令和3年2月定例会 危機管理・建設交通常任委員会 3日目―2021年3月17日〜島田敬子府議と水谷修府議の質疑応答部分

所管事項(危機管理監、危機管理部)

委員会の所管事項(危機管理監、危機管理部)について質問・答弁が行われた。

 

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◯水谷委員  高浜原発についてです。
 3月14日、高浜発電所1・2号機に係る地域協議会が開かれました。関西電力と国から説明を受け、知事が「安全性の根拠は一定確認された」と述べて要望書を出すことにしたようですが、要望書に入れる内容についてはどういうふうにやっているんでしょうか。御説明いただきたいと思います。

◯松村危機管理部理事(原子力防災課長事務取扱)  3月14日の地域協議会につきましては、京都府及び構成市町から意見が出まして、大くくりですが、まず原子力発電所における運転における安全の確保が第一という点と、避難路の確保、続きまして避難に必要な人員や資機材の確保、また避難に必要な車両や運転員の確保が必要になってくると。また、コロナの防止という点でさらに人員が必要になってきますので、そういった人員の確保。あと、住民の意見等から、原子力政策への理解があまり進んでない、それから原子力発電所の安全対策にも不安があるということで、そういった点について住民への周知、情報提供が必要という意見がありましたので、その他含めまして要望書という形で取りまとめていくことを予定しております。現在、作業中でございます。
 以上でございます。

◯水谷委員  安全確保や避難の実効性について、要望するということですから、実効性が担保できなければ再稼働に反対すべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

◯松村危機管理部理事(原子力防災課長事務取扱)  今回の地域協議会で、まず原子力発電所、具体的に言いますと、高浜1・2号機の安全性について関西電力、そして国が安全性を判断した根拠を確認して、その上で住民への住民説明会の結果、やはり避難に対しての不安が非常に強いという点から、今回につきましては、3月14日の地域協議会につきましては、その住民不安を少しでも解消するという点で避難に関しての要望の取りまとめを行うということですので、それについて要望書を提出するというところまで決定しましたので、まずはその要望書の取りまとめをして、国、関西電力に要望するということで事務を進めていくことになります。
 以上でございます。

◯水谷委員  朝日新聞の3月16日付によりますと、知事は取材に応じて「一つの区切りがついた。避難の確実性について改めて要望書の形でお示ししたい」と述べておられます。
 例えば、舞鶴の5km圏内、大浦半島がありますが、即バスなどで避難をするんですが、バスで逃げるには道が狭くて、トンネルでも掘らなければ無理だと思います。避難路の整備も道半ばで、できていません。まあ、市長が発言したそうでございますけれども、避難路ができてないのに容認するのは駄目だと思います。
 避難先についても、例えば私の選挙区の宇治市では舞鶴から14,000人避難されてきますが、避難先は小・中学校の体育館です。人数からすると、卒業式の人数ぐらいを詰め込まなければならない人数になります、大体計算しますと。まあ、椅子に座るのが精いっぱい。横になることもできない。とても避難するだけの量があるものではありません。
 要するに、避難路は整備できてない、避難先は確保できていない。これでは容認できないのではないんでしょうか。要望を出すということですけれども、それが担保できるまで容認しないということを明確にすべきだと思いますが、いかがですか。

◯松村危機管理部理事(原子力防災課長事務取扱)  避難路につきましては、先ほど委員が言われました大浦半島につきましては、現在、整備も進めておりますし、より避難ができるという点で整備を進めているところでございます。障害が出た際につきましては、海路避難、ヘリも検討して訓練もやっておりますので、複数の避難方法について進めているというのが実態でございます。
 また、広域避難先につきましては、状況に応じて府内と府外、具体的には兵庫県と徳島県にも広域避難先がございますので、そういった2方向について状況に応じてしっかりと検討して対応できるようにということで、コロナも含めまして、今、対応を検討しております。
 以上でございます。

◯水谷委員  避難路については、大浦半島は山を越すのもなかなか困難で、海路も含めて考えているということですけれども、仮に雪や風雪、風雨があれば海路は使えません。実際に訓練のときでも困難であったことがございますように、やはりきちんとしたトンネルを掘るなどした完全な避難路が最低限必要だと思います。
 避難先については、たしかに風向きによっても、あるいは被害の及ぶ範囲によっても、広域避難所の選択とか、設定されているのは承知していますが、最初の計画にあった宇治市に14,000人というのは、とても入り切るような容量はございません。こういったことはもう最低限の条件として確保されてからしか駄目だと。要望書を出すのであれば、「要望書を出して終わり。容認」ということではなく、その回答が来て、きちんと担保ができる、それまで再稼働に賛成すべきでないと思いますが、今後の対応はどうされるんですか。要望書を出すのは分かりますけれども、法律上容認するとか賛成するとかいうステップはございませんから、出しただけで事実上容認ということでは駄目だと思いますけれども、対応をどうするのか。ここの点、お聞かせいただきたいと思います。

◯松村危機管理部理事(原子力防災課長事務取扱)  今回、要望書を提出することに関しましては、避難に関してもセットで考えるべきということから要望をするものでございます。要望書を提出した後、引き続き原子力発電所の安全性とその避難について実効性を求め続けるというスタンスは変えるつもりはございません。引き続き取り組んでいくという状況でございます。容認する・しないとかいうものではなくて、追求をしていくという姿勢でございます。
 以上でございます。

◯水谷委員  引き続き求めていくということですけれども、1つの区切りがついたと知事が明言されています。要するに「要望書を出して、これで一応言うといた」ということで、これは「反対と言ってはないけれども、容認だ」というふうにとられるのはもう明確じゃないかと思いますので、きっぱりこの条件が担保できなければ再稼働すべきでないという姿勢を取っていただきたい。重ねて姿勢を変えるように要望しておいて、終わります。

 

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◯島田委員  ありがとうございます。
 まず、私のほうからも原発の関連で。
 先ほど水谷委員の指摘・要望もありましたけれども、昨日ですか、市民団体が高浜原発事故時の避難先自治体アンケートを実施されて、その結果を踏まえて、府に対し、老朽原発高浜1・2号機の再稼働の反対を表明するよう、要請をされました。
 アンケート結果は、感染症対策を実施した場合の避難先は足りているかとの質問に「足りている」が10市町、27%で、「避難所が足りない」が51%、19市町、「決まっていない」が22%、8市町村となっています。足りているという自治体もいろいろあって、しかもコロナ禍。濃厚接触者の別室確保について、「濃厚接触者や発熱者は、避難者を送り出す際に、水際対策として、一時保護所で健康をチェックし、健康な人が避難先に向かう」と。「受入れ対象は感染症のおそれがない人に限られると承知している」と答えたというようなこともございました。
 それから、世論調査でも、地方紙協働企画アンケートでは脱原発を望む回答が8割にも達しております。当時賛成だった人も含めて「これはやはりあかん」ということで世論も広がってきているわけで、こういう実態からしますと、はっきりと現時点では、この老朽原発も含めて、原発を再稼働するなということが府民的な要望であると思います。指摘をしておきたいというふうに思います。
 お尋ねしたいのは、昨日の避難所等緊急実態調査の結果についてです。
 この調査で指定緊急避難場所1,319ヶ所、指定避難所1,170ヶ所、施設ごとに1,636ヶ所のカルテを作成したということでありますが、これは単純計算で指定緊急避難場所と指定避難所は2,489ヶ所となるんですが、これは何でしょうか。

◯船越災害対策課長  指定緊急避難場所と指定避難所とが重複している施設がございますので、それを加味して1,636か所ということになってございます。
 以上です。

◯島田委員  避難所について、震災対策等の被災リスクや避難所運営・設備等に絞って、しかもこれは災害種別ということでは洪水と土砂災害に絞った調査ということで理解してよろしいかということと、なぜこれを絞ったのかということをお聞かせください。

◯船越災害対策課長  今回、風水害、洪水と土砂災害を想定した調査としてございます。そもそも、この調査のきっかけといいますのは、令和元年度の九州での豪雨、これを受けまして、避難所の浸水、また避難行動中の被災ということがございましたので、それを踏まえて調査したものでございます。
 以上です。

◯島田委員  昨日も指摘しましたが、総合的にさらなる調査が必要であるというふうに思うんです。これはコロナ感染症に係る国の通知を参考にして1人当たりの専有面積を4平米にしたということで報告があるんですが、発熱者とか濃厚接触者の別室確保等、あるいはレイアウト、そのほかに、広さだけではなくて、様々な対策が求められていると思うんですが、この点についてはどのように調べられたんでしょうか。

◯船越災害対策課長  調査によりまして、おおむねですけれども、各市町村におきまして基本的なレイアウトを作成しているというようなところにとどまってございまして、施設ごとの避難所のレイアウトはちょっとできていないというような状況でございました。
 その中で、濃厚接触者等の避難スペースの確保につきまして、検討している、また準備しているというような市町村は多かったところでございますけれども、簡易テントでありますとかパーティションで区切って濃厚接触者を区分していくと、そういった措置を取られることについては各市町村で検討されるというふうに認識しているところでございます。
 以上です。

◯島田委員  この実態調査報告を見ておりますと、実施継続中のものと予定のものも含めて黒丸で、今後必要と思われるが白丸で、まだ考えていらっしゃらないのが棒線でということで、これは到達状況が全然分からないのですね。これはもう少しはっきりと、到達状況はどのレベルに来ているのかをきちっと示した上で、分析した上で「じゃあ、何の対策が必要か」というふうに計画を立てないといけないと思うんです。
 具体的に「安心して避難できるための避難所環境の改善」では、多機能トイレが58%、スロープが64%、Wi-Fi環境整備は44%、発電機は45%と、これは本当に大変な遅れであったなと。これは貴重な調査結果だと思うんですが、この点はどのような評価でしょうか。

◯船越災害対策課長  まだまだ各施設におきまして多機能トイレ等の設備が整っていないという状況でございますので、ちょっと金銭的な、予算的なものもかかろうかとは思いますけれども、また来年度予算で一部支援しながら市町村の取組を支援していきたいというふうに考えているところでございます。
 以上です。

◯島田委員  ぜひ財政的な支援も含めて、これは抜本的に必要だと思うんです。もともと、たくさんお金もかかるし、すぐにはできないから、避難状況の周知システムとか、調べた箇所がどのような機能を持つとか、カルテを公表するとか、このレベルの対策にとどまってはいけないというふうに思うので、これは指摘をしておきたいというふうに思います。
 それで、急ぎ拡充が必要な点でいきますと、浸水が予想される施設が953施設のうち255、土砂災害危険区域内の施設が726施設のうち85施設もあります。地域的には、舞鶴とか南丹は非常に危険なところに避難所がある。固まっているんですが、これはやはり、人数上、1階は駄目で、2・3階は大丈夫だから数にカウントするとか、そんな話ではなくて、これも緊急に改善が必要なところだというふうに思うんですが、認識はいかがかと思います。お聞かせください。

◯船越災害対策課長  避難所の被災リスクがあってはいけないというふうに思います。基本的にはそういった施設への避難は控えたほうがよいと思うんですけれども、現実、地域によりましてはもうそこしかないというような箇所もあろうかと思います。なかなか難しい問題ではあろうかと思いますけれども、まずはそういった施設に避難していただいて、より危険だという場合にはまた広域避難というようなことも検討していく必要があるというふうに考えているところでございます。
 以上です。

◯島田委員  緊急的に改善が必要だというふうに思います。
 先ほどのタイムラインも含めまして、これは地域の住民の方と一緒に計画も立ててということなんですが、なかなかその場で、例えば八幡市で一部タイムラインの検討をしたときに、やはり縦割りになっていて、どこが安全な場所で危険な場所かを防災士さんに聞いても、こんなことは全然情報が入っていないので議論にならないということも聞いたんですよね。だから、もう少し専門的な立場で京都府も入るし、市町村も入るし、責任ある答弁ができる方が入ってタイムラインというのは作成すべきだというふうに思っております。これは、実態はどのようになっているんでしょうか。

◯船越災害対策課長  令和2年度までの取組につきましては、京都府職員、また市町村職員が現地に赴きまして、地域の皆さんとワークショップをしながらタイムラインを進めてきたというのが一つと、あと各市町村で独自の取組をされておられるところがございます。マイ防災マップということで取組をされたり、また自主防災組織でマニュアルでありますとか地区防災計画をつくっておられるところもございます。
 そういったことを含めて進めてきているところでございますけれども、今後、防災士さんのお力もお借りしながら進めてまいりたいというふうに思っております。

◯島田委員  防災士等を養成されて、志ある方が民間の方でも協力いただくということは大事なんですが、やはり責任を持って回答できる方々もちゃんと入れて、これは非常に避難等の行動に対しての啓蒙・啓発の場にもなると思うので、この辺りは対策の強化を求めておきたいというふうに思っております。
 今回の調査は建設技術研究所が直接的には行われたということでありますが、市町村の課題ということでいいますと、振興局に呼ばれて行ったけれどもコンサルタントの職員しかいなかったと、こういうことも一部聞いております。やはり市町村の課題やら要望などをしっかりと聞き取るためには、委託された調査を踏まえて、さらなる調査が必要であるというふうには思っておりますが、いかがでしょうか。

◯船越災害対策課長  今回の調査でございますけれども、各市町村にヒアリングを行ったときに、委託業者、またできるだけ府の職員も参加して行ったところではございます。また、報告書の説明会を兼ねて各市町村の情報共有をしようということで、12月初めだったと思いますが、リモートを含めて、各市町村の取組事例の紹介を、それぞれいいところを御報告いただいたというような取組もさせていただいたところでございまして、そういったことを含めまして各市町村の取組を御支援させていただきたいというふうに考えているところでございます。

◯島田委員  せっかくの調査をしっかり施策に生かしていくためにも御努力いただきたいし、それから計画的な整備目標等を持って取り組む必要があるというふうに思っております。引き続きの御努力をお願いして、質問を終わります。