令和7年2月定例会 本会議 一般質問 ―2025年2月20日

○島田敬子議員  日本共産党の島田けい子です。先に通告しています数点について、知事並びに関係理事者に質問します。

 まず、災害から住民の命を守る取り組みについてです。
 1995年の阪神・淡路大震災から30年、その後も東日本大震災、熊本地震、大阪北部地震と大規模地震が頻発し豪雨災害も幾度となく起こりました。昨年1月の能登半島地震では、避難所の雑魚寝、冷たい食事、断熱性のない仮設住宅など、30年前と同じ劣悪な状況が繰り返されております。国民の安心と安全にどれほど真剣に取り組んできたのか、政治の責任が鋭く問われています。
 当初予算案には、これまでの災害の教訓を踏まえ、高い確率で予想される南海トラフ地震等の大規模災害に備えた対応力強化や避難生活環境改善事業費等が提案されていますが、本日は、避難行動要支援者の個別避難計画策定の促進や医療的ケアが必要な人たちの避難対策について伺います。
 能登半島地震や南海トラフ臨時情報などのニュースで一気に不安が高まったのか、ある在宅医療を支援する開業医には、在宅人工呼吸器装着患者や家族のからの相談が多く寄せられているとのことでした。わたくしのところにも相談があり、直接お話を伺いました。24時間人工呼吸器が必要な難病のMさんは
「停電時に電源確保と避難が必要になったとき、避難所へどのように行くのか、避難先ではどのように生活すればいいのか。大阪北部地震では5時間の停電で助かったが、非常用のバッテリー発電機を購入した。けれども、24時間が限度であり、複数台あればと思うが高額でとても買えない。購入への助成制度が欲しい」
と話してくれました。
 また、医療的ケア児を持つお母さんからは
「福祉避難所について具体的に案内されたことはない。医療機関からはかかりつけだからと皆が一斉に押し寄せても対応しきれないと言われた。人工呼吸器の内部・外部バッテリーは16時間くらいしか持たない。発電機とか非常用バッテリーが欲しい。何とかならないか」
とのことでした。
 昨年3月21日に開催された令和6年医療的ケア児支援協議会でも、
「できれば日ごろ通いなれて慣れ親しんでいる地域の福祉施設や支援学校に避難したい。慣れないところに急に避難すると体調不良になったり、ストレスが大きくなる。避難所だと吸引の音が気になり、どうしてもそこへ行けず、車中で暮らすことが多かった」
との声や、医療機関からは、
「地域の方から、とりあえず病院へ行けばいいのかと聞かれるが、局所的な水害であれば相談に応じる場合があるが、大災害ともなれば病院へ来ることも不可能で、来られても大学病院としての役割があり、対応は困難」
「広範囲に責任を待つ医療機関が災害のファーストタッチや安否確認は無理なので、各保健所が全例を把握しその機能を活用し、管理されていることがわかるような体制をお願いしたい」
などの意見が出されています。
 このように、平時は、専門医やかかりつけ医、訪問看護ステーション、介護事業所等の連携により、安定した療養の継続が出来ている方々も、災害時には、医療機器を装着する患者・家族をどのように避難させるか、災害時の停電により医療機器の継続をどうするか、自宅待機や避難先での継続的な医療や生活をどう確保するかなど多くの困難があり、不安があります。
 2021年の災害対策基本法の改正により、高齢者・障碍者・乳幼児・妊産婦・傷病者・内部障碍者、難病患者、医療的ケアを必要とする18歳未満の障害児等の避難行動要支援者について、個別避難計画を作成することが自治体の努力義務とされました。この計画は単に、患者の基本的情報だけでなく、患者が円滑な支援を受けられるように、患者の個別性に応じた「避難場所」や「避難方法」「誰が避難をサポートするか」「避難する際の配慮事項」などをあらかじめ決めておくものです。
 内閣府の資料によりますと、2024年4月1日時点での全国自治体の策定状況は13.9%であり、本府では13.3%、未策定は向日市・大山崎町・井手町・和束町で、その他の自治体は一部策定という現状で、全部策定済の綾部市も国の基準を満たす計画策定は4人にとどまるとのことです。1月29日の京都新聞では、「個別避難計画策定進まず。担い手不足、自治体の苦悩」と報じていました。
 東日本大震災後、『避難行動要支援者名簿』の策定が自治体に義務付けられたものの、これらは、当該患者や家族の任意に基づき名簿に登載されるもので、個人情報を知られたくないと名簿登載をのぞまない方も多いといわれ、名簿に登載されなければ、個別避難計画からも漏れ、避難所にも行きにくい可能性も出てきます。どうせ登録しても自分は移動さえできない、迷惑がかかると中には、あきらめて申請すらしない方もおられます。
 避難所の課題はどうでしょうか。全国福祉避難調査では、医療機器を使用しているなど、医療的ケアが必要な方々を受け入れられる福祉避難所は少数であることが明らかとなっています。また、日本難病疾病団体協議会の調査では、「個別支援計画」の「避難行動要支援者名簿への掲載範囲に難病患者を含む割合は、全国で60.2%であり、都道府県による地域格差も大きいということが報告されています。
 人工呼吸器装着患者の生命維持にとって不可欠な医療機器と電源確保は命をつなぐという点で最重要課題です。人工呼吸器の貸し出しは無料で医療機関から貸し出されますが、電源確保は患者家族の自己責任です。死者2名、全半壊155棟、床上床下浸水3,533棟という甚大な被害をもたらした、平成16年台風23号災害で、ALS進行性筋萎縮側索硬化症で在宅人工呼吸器装着患者さんの自宅一階が浸水し、消防団、近所の人たちで2階へ避難させた事例があります。停電がなく、一命をとりとめておられますが、この
後、福知山市では難病患者の災害時の実態調査が始まり、3人の体制を作り、対象者のリストアップや訪問活動、関係機関や地域との調整、避難の受け入れ先の確保、訓練で家族の方とも避難の流れなどに確認などに着手され、優先度の高い 300 人について、令和5年・6年・7年の3ヶ年で個別支援計画の策定に着手されています。

 そこで伺います。知事は本年1月の記者会見で、「計画の遅れを認め、体制やノウハウなどの支援が必要」と述べられました。国において、優先度の高い避難行動要支援者については、2025年度中の作成を目指すとされていますが、計画策定を促進するためには市町村の人的体制強化が必要です。また市町村を支援する府保健所の体制強化も必要と考えますがいかがですか。
 患者さんの命をつなぐために、ポータブルバッテリーや発電機を常備する必要があります。府内では、京丹後市・舞鶴市・京丹波町・長岡京市・亀岡市・綾部市などで、障碍者日常生活用具の支給対象に在宅人工呼吸器使用者非常用電源を加えています。和歌山県や佐賀県、福井県では、県の事業として、在宅人工呼吸器使用者の非常用電源に対する補助を実施しております。本府でも早急に検討すべきと考えますが、いかがですか。
 また、医療的ケアが必要な子どもや感染症のリスクが高い方々避難先の確保について、全国各地では様々な取り組みも広がっています。例えば、熊本では、特別支援学校6校と協定を結び、大規模災害時には、在校生や未就学児が自宅から直接非難することを可能にした「子ども福祉避難所」の取り組み、福島市ではホテル旅館と提携し事前見学会を開いて、保護者に登録してもらい活用する取り組み、仙台市では6つの看護大学を活用し、小児や周産期のお母さんを受け入れる取り組み、岡山ではNPOがキャンピングカーとマッチングし避難ピングとして活用する取り組みがあります。これらの取り組みを参考にしながら、市町村の取り組みを支援するとともに、本府としても早急に対策を検討すべきと考えますがいかがですか。

 次に、教育DXについてです。
 京都府教育委員会は現在第二期「京都府教育振興プラン」のもと、ICTを積極的に活用し重点的、横断的に進めていくことを「教育環境日本一プロジェクト」と位置付けて取り組んでおられます。来年度予算案では、「京都式教育DX」推進事業76億円と多額の予算が計上されておりますが、不登校の子どもたちが増え続けているのに受け皿であるフリースクール支援には1施設50万円で6施設合計300万円の補助金のままと比べても莫大な予算です。
 文科省調査で府内教員のICT活用能力が全国36位、高校は43位と低いとされ、府教育委員会はICTスキル向上が喫緊の課題であるとして、令和4年度、全国に先駆けて「京都府デジタル学習支援センター」を立ち上げ、教員のマインドを変えるんだと市町村のリーダー研修や府立高校全教員への悉皆研修を行っておられます。そして、子どもたちの1人1台端末活用率を令和7年度には100%にする目標を掲げ推進しています。
 政府が進める、GIGAスクール構想の教育指導上の一番の問題は、子どもの成長発達への影響や教育効果を全く検証せず、IT産業や教育産業と一体となってやみくもに端末の日常的活動を求め、「何時間使ったか」「端末に慣れさせよ」と量的活用ばかりを求めていることです。
 本日は、ICT教育における教育効果の検証と子どもの成長発達の課題を中心に質問します。
 内閣府が行った令和5年度青少年のインターネット利用環境実態では、0歳~6歳では68.0%、小学生は90.0%、12歳以上は、約99%となり、平均利用時間は、高校生が約6時間14分。中学生が約4時間42分。小学生(10歳以上)は、約3時間46分となっています。一方、国際学力調査PISAでは、日本の子どもたちは、すでに、2018年時点で、ゲームとチャットの利用状況は世界一です。1人1台端末の活用や学校でのスマホ[=スマートフォン]持ち込みの条件付き容認で、スマホへの依存性や中毒性を広げ、厚労省調査で中学生の7人に1人がネット依存の疑いがあるという結果も出されています。授業中に端末で遊び、集中しない子どもあるなど学校現場にも様々な指導上の困難をもたらしているのではないでしょうか。
 仙台市教育委員会と東北大学加齢医学研究所が共同で行った調査で、毎年7万人を超える小中学生の生徒を8年間追跡した結果では、スマホやパソコン、ゲームや通信アプリの使用時間が長いと睡眠時間や学習時間とかかわりなく子どもの学力が低下するという結果が出ています。
 GIGAスクール構想以降の全国学力調査、2023年度の調査では、ICT機器を勉強のために使っている時間が「3時間以上」の生徒は「30分未満」の生徒よりも全国の平均正答率が小学校で11%、中学校で12%も下がっているとの報告もあります。ICT教育先進国のオーストラリアやニュージーランドでは学力が下がり続け、特に優秀な生徒の学力が低下しており、ICT機器の導入により学力向上の効果がみられなかったとの報告があります。スウェーデン・カロリンスカ研究所の調査では「デジタルツールが生徒の学習を改善するどころか損なうリスクがあるという事実に明確な科学的裏付けがある」と声明を出し、教育大臣が中心となって紙の教科書と手書きに回帰する取り組みをすすめ、フランス、イタリア、フインランド、オランダで学校のスマホ使用を法律で禁止するなどが広がっています。国内でも、紙と手書きの方が記憶と思考に優れており、脳を活性化させることもfMRI(※機能的磁気共鳴画像法:MRIのもたらす構造情報の上に脳の機能活動がどの部位で起きたかを画像化するもの)調査で明らかになっていると、東京大学、東北大学、京都大学の研究報告がなされています。
 さらに、脳の発達にも影響があります。東北大学の川島隆太教授らの調査では、ネット習慣の強い子どもほど、言語性知能の低下がみられ、インターネットをほぼ毎日使用する子どもの脳の発達はほとんどゼロに近い数字になったという衝撃の結果です。笑顔がすくなくなり、怒りっぽくなったり、我慢ができなくなったりと、感情をコントロールする領域に発達の遅れがみられ、他人とうまくかかわれないなど社会生活の調整能力の発達の遅れも指摘されています。こうした脳の発達阻害とともに視聴覚野の発
達阻害、睡眠不足による心身の不調、運動器・関節・電磁波の被害、ネット依存などの様々な障害をもたらす危険性も指摘されています。

 そこで伺います。日本や世界で明らかになっているこれらの事実に目を向け、本府のICT教育における教育効果を検証し、効果を明らかにしたうえで、活用方法の検討を進める必要があると考えますがいかがですか。
 また、危険性や有害性を取り除く管理と規制が必要です。本府は、令和元年度から、インターネットにおける青少年の被害やトラブルをなくし、安心で快適なネット利用対策を推進するため、関係機関、団体、民間事業者等で構成されたインターネット利用対策協議会を設置し、フォーラム等を開催されました。参加した子どもたちから、
「先生にはスマホの具体的な危険性を教えてほしい」「ネットのメリットデメリットを学校で議論してほしい」
などの声が出されています。この事業は文科省のモデル事業であり令和5年度で終了していますが、これらの経験も活かし、ICTの使用の仕方等について、子どもの学習習慣、健康保持、安全面から見たルールを子どもや保護者とともに作るなどの取り組みを進めてはいかがでしょうか。京都府教育員会では、リーフレットによるICT端末の利用ルールやマナーの啓発をおこなっておられますが、さらに子どもの学習や健康第一に考えた取り組み、とりわけ、保護者に正確な情報を伝え、一緒に考える取り組みが必要ではないかと考えますが、どうでしょうか。

○西脇隆俊知事  島田議員のご質問にお答えいたします。
 個別避難計画についてでございます。大規模災害時に高齢者などの要支援者が円滑に避難することができるよう、令和3年5月に災害対策基本法が改正され、個別避難計画の策定が市町村の努力義務となりました。合わせまして、内閣府の指針が改定され、要支援者のうち優先度が高いと市町村が判断した方につきましては、改正法の施行後、概ね5年程度で計画を策定するよう求められております。現在の各市町村におきまして、個別避難計画の策定が進められておりますが、地域の関係者と連携し要支援者1人1人の状況に応じて、避難場所や避難経路などを策定するには時間と労力を要することとなります。
 このため、策定率が高い市町村がある一方で、体制やノウハウの不足により策定率が低い市町村もあり、府内全体の策定率は要支援者の約13%にとどまっている状況にございます。これまで京都府では、保健所を中心とした研修会の開催やアドバイザーの派遣などにより、市町村の取り組みを支援しており、昨年12月に開催した研修会には、市町村の職員や福祉団体の職員など45名の方が参加されたところでございます。また、人工呼吸器の電力を必要とする難病患者などの優先度の高い方につきましては、避難先となる病院や施設の確保が必要となるなど計画の策定にあたって、医療関係者等との調整が課題となっております。このため、令和7年度は保健所と市町村が連携して医療関係者等との調整に取り組む体制を構築することで、優先度の高い方々の計画策定を支援することとしており、 今定例会に必要な予算案を提案しております。
 今後とも、府民の生命を守るため市町村の個別避難計画策定の取り組みをしっかりと支援してまいりたいと考えております。

○井原正裕・健康福祉部長  在宅人工呼吸器使用者の非常用電源の確保についてでございます。
 災害発生時の長期停電時に備え人口呼吸器などの医療機器を作動させる非常用電源の確保や、迅速な避難所への避難など在宅人工呼吸器使用者の支援体制を充実することは重要であると考えております。非常用電源の確保につきましては、現在7市町村で国の障害のある方に対する日常生活用具給付等事業などを活用し、非常用電源などの購入を支援しているところです。
 避難所への避難については、平時から保健所において人工呼吸器を常時使用している難病患者などに対し、長期停電への備えや備蓄する治療薬・衛生材料・想定される避難先などの確認を行い、災害発生時には必要に応じて、避難先となる医療機関との調整などを行うこととしております。市町村が実施する非常用電源の購入支援とともに、京都府といたしましては、地域の状況に応じた避難体制を確保することが必要だと考えており、在宅人工呼吸器使用者に対する支援が円滑に実施できるよう市町村と連携して取り組んでまいりたいと考えております。
 次に要配慮者の避難先の確保についてでございます。
 高齢者や医療的ケア児などの要配慮者については、自立した生活が出来る方は、学校や集会所などの一般の避難所、介護や医療的ケアが必要な方は高齢者施設や障害者施設などの福祉避難所、難病患者など医療機器用の電源が必要な方は電源供給が可能な医療機関や施設へ避難していただくこととなります。避難所の指定などについては市町村が行っており、令和6年11月現在、一般の避難所1,151ヶ所、福祉避難所551ヶ所が確保されております。この他、避難所とは別に避難生活が長期化した場合などには、京都府がホテルや旅館を借り上げることとしており、関係団体と協定を締結しているところでございます。
 また、在宅人工呼吸器使用者などが避難する場合は、電源供給が可能な避難先への誘導の他、介助者や車の確保なども必要となります。そのため、保健所に於いては避難先の確保等の調整を実施してきた他、 東日本大震災後の計画停電などを踏まえて導入された避難先の事前登録制度を運用してきたところです。また、市町村や関係機関と連携し災害対応の訓練や地域の連携協議会などを通じて、避難経路の確認や支援者の確保を進めるなど、要配慮避難に必要な支援を提供できるよう対策を講じているところです。
 今後とも市町村と連携し、災害発生時の安心安全の確保にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

○前川明範・教育長  島田議員の質問にお答えいたします。
 教育DXについてでございます。急激に変化するこれからの時代の教育におきましては、多様な他者と関わり対話を通じて学び合うという学校の営みを大切にしながら、1人1台端末をはじめとするICTを効果的にかつ適切に活用することにより子どもたちの学びをより充実させていく必要があると考えております。ICT活用の教育効果につきましては、令和6年度全国学力学習状況調査の結果によりますと、単にICTを使えば学力が高くなるというわけではなく、例えば、考えをまとめ発表表現する場面でICTを活用し、課題解決に取り組む学習活動を行っている学校の児童生徒ほど各教科の正答率が高いといった結果も出ているところでございます。
 また、京都府学力学習状況調査学びのパスポートにおきましては、ICTを学習の場面でより活用している児童生徒ほど学びに対する積極性などの数値が高いといった傾向も見えているところでございます。例えば、府内の小学校では教員が従来の授業のように黒板を使って説明した上で提示した課題に対して児童が紙の教科書やICTを組み合わせながら、情報収集を行い解決策を考えるといった実践もあり、ICTを使用するだけではなく、互いの良さを生かしながら学びを深めることが重要であると考えております。
 府教育委員会といたしましては、今後、学びのパスポートのデータも活用しながらICT活用の教育効果について研究を進め、教員研修等を通じて学びを深める効果的な活用方法の普及に努めてまいります。
 次にICTの使用方法等のルール作りについてでございますが、学校現場ではICTの使用による視力の低下、姿勢の悪化等の影響を心配する声もあり、各学校におきましては1 日あたりの使用時間に制限を設けたり目を休める休憩時間を入れたりするなどの工夫、保健指導などが行われているところでございます。一方でICTの使用ルールにつきましては、大人から一方的に指導するよりも、どのような利点やリスクがあるのかリスクを減らすためにどのようなルールが必要なのかといった点について、児童生徒自身が考え議論し納得した上で定めることも実効性のあるものになると考えられることから、こうしたルール作りの推進に向けて学校現場に対する情報発信や指導助言に努めてまいります。
 次に保護者への情報発信等についてでございますが、健康面を含め児童生徒がICTを安全安心に活用するためには保護者の理解と協力が不可欠でございます。このため、府教育委員会ではリーフレット『家庭で話そう、スマホ・携帯・タブレット利用のルールとマナーについて』[→PDF 「家庭で話そう!~スマホ・ケータイ・タブレット利用のルールとマナーについて~」(令和5年度版)]を作成し、各学校のPTA研修会や入学者説明会等での活用を促しているところでございます。また、例えばPTAが府教育委員会と協力して実施する家庭教育研修会や各教育局単位で実施する保護者対象のフォーラムにおきましても、情報リテラシーについて保護者同士で考え学び会う機会を設けているところでございます。先ほどご紹介した全国学力学習状況調査などの結果によりますと、家庭におけるテレビゲームやSNS、動画視聴時間が長い児童・生徒ほど、各教科の正答率が低くなるといった傾向があり、今後は、こうした客観的なデーターも含めて、引き続き保護者に対する正確で分かりやすい情報発信に努めてまいります。
 府教育委員会といたしましては、デジタルかアナログかの2項対立ではなく、両者を効果的かつ適切に組み合わせることによって、子どもたちの個性や能力を最大限伸ばす教育を推進してまいります。

○島田敬子議員  教育委員会には要望します。
 学校教育におけるICT教育については、端末は教育の1つのツールであって、その活用や指導方法は教師の専門性に委ねられるべきであります。教員のスキルアップはもちろん必要ですが、その点では府立高校の悉皆研修が、現場が多忙な夕方4時頃から50 分のオンライン研修が2回ほど行われただけで本当に身につく研修になっているのかとの
現場の声も聞きます。ICT活用は始まったばかりであり、現場からの教育効果の検証が不断に必要であります。ましてや子供たちの成長発達を阻害することは絶対にあってはなりません。中学校の教科書には子どものネットリスク研究会のホームページ[https://hiro-univ-netpat-otani.skr.jp/]も紹介されておりますし、脳の解剖図も書きまして健康への影響も紹介をしております。府教育委員会、京都市教育委員会、府警察の発行するリーフレットには『犯罪被害やトラブルに関することが中心で家庭でルールを作りましょう』程度のものでありますが、文科省通知にあるように、子どもへのアンケート調査をするとか実態把握を行って現在の取り組みもしっかり検証していただいて、ぜひ健康面も含めて取り組みを強化をいただきたいと。リーフレットも加筆するなど改善を要望しておきたいと思っております。

 災害時の個別支援計画の策定についてです。今回の私の質問の動機は、医療的ケアの子どもさんを持つお母さんからの相談でした。病院から退院すると途端に投げ出されたように孤独になる医療機器を動かすバッテリーの確保も自己責任になると大きな不安でした。これらの訴えを受けてですね、要望をいろいろされました。
 京都市は新年度予算に非常用電源確保の予算を計上いたしました。山城保健所管内では、府が把握している難病患者だけでも24時間の人工呼吸器装着患者は20人。ところがこの管内の市町村では、市町村の事業としての支援がありません。本府の事業としての検討を重ねて要望しますが、少なくとも、市町村の取り組みを支援するための本府の必要な支援をお願いしたいというふうに思っております。
 事前登録で医療機関の受け入れ確保をする登録制度がありますが、これにとてですね、紹介しましたように必ずその医療機関が受け入れられるとは限らないという条件付きであります。災害の規模や種類によってもいろいろありますけれども、やっぱりいろいろおっしゃいましたが、避難の場所も利用者には明らかになっておりません。個別避難計画について、例えば優先的に計画を策定する方々に人工呼吸装着患者の実態を聞いた時、
「難病対策は健康対策課だ」「医療的ケアは障がい者福祉課だ」「人口呼吸器科は医療課だ」
と。
「個別避難計画は市町村だ」
と。申し訳ないですが全体が把握できてないことも分かりました。京都府は令和4年3月に危機管理課と地域福祉推進課が個別避難計画策定のモデル事業成果発表会を行われまして、課題と対応方法を市町村に示しておられますけれども、やっぱり自治体も保健所も体制がないとですね、手が回らないという現状がありますので、お答えがありませんでしたけれども、そこのところも国に財政支援も求めるし京都府も体制を整えるための支援をお願いいたしまして、時間がまいりましたので指摘要望にかえさせていた
だきます。
 ありがとうございました。