令和3年2月定例会 危機管理・建設交通常任委員会 – 2021年3月16日〜北陸新幹線延伸工事での影響について、島田議員の質疑応答部分

◯島田敬子委員  北陸新幹線延伸計画について質問します。
先日、敦賀―新大阪間の想定ルートの京北・美山・福井県小浜市・敦賀駅の工事現場を訪ねて住民の声を聞いてまいりました。すでに、敦賀―新大阪間ルートの京都の方での工事着工に向けた環境アセスメントと本調査が、私が住んでおります右京区でも始まりました。
 早期に進めて2023年、いろいろ難工事がありまして、再来年には京都府、京都市内各地で同時多発的に工事着工が行われるということになります。京都府としては敦賀までの工事完了の見通しとか、これが終わらないと来ませんから、機構からはどのように聞いておられるのか伺います。

◯瀬野加津人 建設交通部・交通政策課 課長  現在の金沢―敦賀間の事業でございますが、新聞報道で知るしかありませんが、新聞報道によりますと、加賀トンネルの盤ぶくれが起きたことによる工事期間が延びるといったこと、敦賀駅で在来線との接続がある訳なんですが、不足の期間を要したということで期間が延びているというふうに伺っております。
 金沢―敦賀間の工事と敦賀―新大阪間の工事を進めることについては一切リンクしてないと承知しています。
 府内の状況ということでございますが、本会議でも先の委員会でもお話ししたと思いますが、現在事業の実施主体であります鉄道運輸機構におきまして、環境影響評価法に基づく手続きの中で現地の調査が行われると承知しております。

◯島田委員  国のプロジェクトであって環境影響評価も国で進めているんだということですが、それではすまない問題がいろいろと出ております。
 これまでも指摘してきたように、歴史的にも例を見ない大量の残土の処理の問題や砒素等の有害物質を含む残土処理、水道水源や農業用水の枯渇、大型の工事車両の長期間の通行による地域の疲弊など、与える影響は甚大だと思います。敦賀の工事現場に伺って、そういったことが起こっていたということを確認いたしました。
 2023年敦賀開業に向けた新北陸トンネル19.7kmの区間の工事の影響で、弘法大師空海にまつわる伝説が残る井戸が使えなくなった被害などが出ております。建設主体の鉄道建設・運輸施設整備支援機構が下流側から水を汲み上げて送水する等の応急対策を行っているようであります。アクセス道路の斜坑の掘削工事が2017年3月に始まった越坂区では、当年7月から河川の流量の減少、機構の調査でも毎分100Lあった流量が5分の1を下回る流量になって、川の水は農業用水や一部冬場の道路融雪にも使っておりますし、区民の生活にも大きな影響が出ております。ポンプで汲み上げた水を貯めて沈殿させて上澄みをまた川に戻すと言うことでありますけれども、以前は川で野菜を洗う区民もいたが濁水も混じって今はもう洗えないという状況があります。加えて井戸、地下水の水位が低下して使用が出来なくなったという現状などもございました。
 田んぼも沢の水が枯渇をして川からポンプで水を汲み上げる送水対策等が行われておりますが、重大な事態が進行していると思っております。こういう事態がありますので、京北の山国、美山町では同様に地下水や流量の河川の減少等になりますと、住民の水道水源、農業用水が取れなくなるということが想定されるということが非常に不安に思っております。敦賀駅の工事の問題について把握されていますでしょうか。京北等の住民の不安については、どのように応えられますか。

◯瀬野課長  現在事業中の金沢―敦賀間の工事による具体的なお話を、具体的な事例を今お話しされたと思いますが、京都府においては一切承知していません。環境影響評価も常々申し上げております通り、法の手続きに従いまして今までから配慮書についての知事意見、方法書についての知事意見、今後も機会を使って環境影響に極力少なくなるような意見を述べていきたいと思っております。

◯島田委員  京都府内においては敦賀―新大阪まで140㎞ルートの8割が山岳トンネルや大深度地下トンネルということで、これは他人事ではないというふうに思うんで「承知をしていない」ということでは済まされないと思います。
 金沢―敦賀間で整備される福井県内のトンネル12本、中でも南越前町と敦賀市を結ぶ延長20㎞の新北陸トンネルの工事は軟弱な地盤や突発的な湧水にみまわれて難工事の連続だったようであります。さきほど言いましたように重機を入れると沈んでしまう、水を含んだ泥を取り除いて、少しずつ掘削したり工事も進んでいる間に、田尻区では住民の貴重な命の水が枯れているという結果になっているので、機構のホームページ(https://www.jrtt.go.jp/ ※セカンドレベルドメインが「go」、すなわち日本国の政府機関・各省庁所轄研究所や独立行政法人・特殊法人しか取得できない属性型JPドメイン名である)にも掲載されていますので、知らぬ存ぜぬでは済まされません。そういう影響は京都府の区間のルートでも予測されることだと思うんですが、そういうふうには思いが至らないのでしょうか。

◯瀬野課長  技術的な話だと思うんですが、当然山岳トンネルが現在、日本の各地で建設される部分がございます。当然、今、委員がお話がありましたように、地形の状況であったり、いろんなケースでいろんなことが起きていると、それをもって今後、行われる山岳トンネルの施工がすべてそういった事例にあたるというのはいくらかいかがなものかと承知をしております。

◯島田委員  京都新聞に出ておられましたが、国の大深度地下地盤調査マニュアル策定に携わった京都大学名誉教授の芦田さんが、賛否を問う前に最先端の手法で地下構造を調べることが先決だと、このように強調されて、延伸工事でもいろんな強固な地盤とかどこにあるか確認しなければならない、探査の手を抜くと同様の事態が起きる可能性があると専門家が指摘されているわけですよね。だからあたらないという認識は改めていかなければならないと思うんですよ。
 大井川の水が住民の水道水源に関わる減量がリニア新幹線工事に待ったをかけて調査を行うことを求めている静岡県・川勝知事は、独自に静岡県の環境保全連絡会議専門部会を設置されて専門家を入れて検討されているんですね。国がやっている環境影響評価やJR東海の示す資料も全く不足しているし、説明も不足しているし、科学的な論議が困難。それを鵜呑みにしてOKだと、機構に任せるという手法はだいたい問題があると思うんですよ。専門家等の指摘を踏まえれば、京都府が独自に調査もすべき内容です。国の事業だからどんどん行くと、少々のルート変更では問題は解決しない問題だと思うんですけれども、いかがでしょうか。

◯瀬野課長  リニアのお話がございましたが、JR東海です。他の事例も検討しないということではなく、当然事業主体になります鉄道運輸機構においては、今後具体的な詳細の計画を立案するときには技術的な検討を充分なされるものと承知しています。

◯島田委員  現実起こっている問題は住民に被害を与えているということですよ。特に大深度地下問題では京都市内部で計画検討段階ですが、東京都調布での大深度地下での高速道路建設で被害が広がっています。アセスメント等おっしゃいましたけれども、もともと地盤の弱いところが指摘をされたにもかかわらずボウリング調査等もまともにやられていないという、そういう進行の仕方もされていまして大問題になっています。そういうことが京都でも起こりかねないという事態にあるということを認識されないといけないと思います。京都府の立場は繰り返し質問しましても全く変わらないということは非常に問題がある、少なくとも住民の意見と不安に応えるだけの調査・分析も必要ではないかと指摘要望して終わります。