令和2年2月定例会(第5号)- 2020年2月21日

○島田敬子議員  日本共産党の島田敬子です。さきに通告にしています数点について、知事並びに関係理事者に質問をいたします。

 まず、美山診療所についてです。
 地域ぐるみで美山地域の医療の存続・充実を願う住民運動が広がり、昨年の9月には1,300名を超える署名が本府にも寄せられていることは、御承知のとおりです。
 この間、南丹市医療審議会が開催され、医師確保や今後の美山診療所のあり方についての審議が行われ、大詰めを迎えております。医師確保についても、二転三転しましたが、やっと4月から後任医師が赴任する運びと伺っております。
 さて、昨年11月から12月にかけて美山まちづくり委員会や美山地域振興連絡協議会などが、美山地域の医療に関する住民アンケートを取り組まれました。このアンケートに、旧美山町人口3,810人の35%、1,325人705通の住民が回答をされました。回答者の65%が65歳以上であり、過去5年間の受診・入院経験者は、全体の90%にもなります。回答者の半数52%が自宅に近い美山診療所を利用し、自分の車を運転して平均40分ほどかけて来院している方が63%という実態も明らかにされております。
 回答者の3割が休日・深夜の急病を経験し、身近なプライマリーケアをする医療機関として、現在の診療体制を維持・存続・拡充を願っておられます。こうした中、開催された昨年7月の第1回南丹市医療対策審議会で、市長から、経済的負担をなくし医療に専念できる体制づくりとして、診療所の直営化を進めることが表明をされました。10月23日の第2回審議会は、住民の皆さん20人が傍聴に駆けつけられる中、開かれました。この場で、診療所の新たな運営方針が示されました。その内容は、国等の補助金を得やすい国保直営診療所として設置し、外来診療や往診などを安定的に継続できる事業を行う新しい診療所として開設すること。入院については、経費的な面や市の財政負担なども考慮し、現在の4床のベッドについて、休床を踏まえた検討を考えていること。訪問リハビリ、短期入所、通所リハビリなどの介護事業や、介護老人保健施設運営について、他の法人を検討するなどです。
 先ほど紹介した住民医療アンケートでは、美山診療所を南丹市直営として、複数の医師体制で現在の機能を維持・継続してほしいという住民の強い願いが寄せられておりましたが、審議会の中でも、「地理的に病院への通院が困難であり、身近な生活の中で、いつでも安心して受けられる医療が必要」との声や「医療と介護の仕事をさらに広げる必要がある。地域での役割は大きい」「高齢化が進む美山地域で命と健康を最優先されるようにしてほしい」「子どもを持つ親として、近くに病院がないと不安」などの切実な声が寄せられております。
 また、美山の救急搬送の現状については、京都中部広域消防組合園部消防署長から「美山診療所のこれまでの医療が継続できないことになると、非常に傷病率が悪化する」という重要な報告がありました。私も直接お話を伺いました。「美山出張所の救急車で美山町外へ搬送するが、長いときには半日がかり、その間に救急患者が発生をすれば、丹波・日吉・園部の出張所が応援体制をとり、救急車で向かうが、早くて30分はかかる。美山診療所の入院病床があることは重要である」と伺いました。地域医療は、住民の命を守るために24時間365日切れ目なく継続されなければなりません。とりわけ僻地での地域医療でこそ、医師が交代で確実に休める体制をつくる必要があり、医師体制の複数化が各地で進められております。在宅医療には、療養中の患者さんの容体悪化時にすぐ入院できるベッドが必要です。厚生労働省は、高齢者の生活圏域ごとに医療・介護が一体となった包括ケアシステムの構築を進めています。美山は南北20キロ、東西30キロメートルで、亀岡市役所と大津市役所の距離に匹敵する広大な中山間地域です。美山の在宅患者さんが必要時すぐに入院ベッドを確保することは、簡単ではありません。受入れ態勢の困難も指摘をされております。入院をなくしても医師の負担が減るとは限りません。

 以上の点を踏まえて伺います。
 1つには、美山診療所において、救急医療・在宅医療を安定的に確保するため、医師複数体制を整えるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 2つには、美山診療所の運営のためには、本府や南丹市の財政支援など強力な支援が必要と考えます。また、医療の専門家がいない南丹市でこれらを解決していくためには、知事のリーダーシップのもと、本府の支援がどうしても必要と考えますが、いかがでしょうか。現在の本府の取組状況について伺います。
 3つには、救急搬送や、在宅医療の現状、地理的諸条件からも、医療空白をつくらないためには、美山診療所が有する入院病床の確保がどうしても必要と考えますが、いかがですか。
 4つには、訪問リハビリ、短期入所、通所リハビリなどの介護事業や介護老人保健施設の運営について、診療所から分離し、他の法人へ移す案については、医師確保やリハビリスタッフ等の人件費など新たなコストが増え、これまでの医療・介護の一体的運営を壊すことになりかねないと考えますが、美山診療所と南丹市でどのような協議が行われているのか、お聞かせください。
 まず、ここまで御答弁をお願いいたします。

○西脇隆俊知事  島田議員の御質問にお答えいたします。
 美山診療所の医師確保や今後のあり方についてでございます。
 超高齢社会を迎える中、住み慣れた地域で安心して暮らすためには、必要なときに適切な医療が受けられる体制を構築することが重要でございます。
 各地域においては、1つの病院や診療所だけで全ての医療を担うのではなく、病診連携や病病連携などにより、地域全体で医療を提供できる体制づくりを進める必要がございます。このため、病院や診療所におきましては、地域でどのような医療を担うのかにより、必要な医師の体制も異なってまいります。
 議員御質問の美山診療所につきましては、京都府の保健所長も参画する南丹市医療対策審議会におきまして、どのような医療を提供するかなどについて検討されており、医療関係者や学識経験者等からは、医師確保等の観点から、医師1人であっても持続可能な診療体制を検討すべき、また京都中部総合医療センターや明治国際医療大学附属病院、医師会も含め、地域全体でバックアップ体制を構築すべきなどの意見が出されておりまして、年度内には答申が出される予定と聞いております。
 京都府といたしましては、南丹市が出される方向性や御要望を十分に尊重し、地域に必要な医師を含めた医療提供体制が確保されますよう、南丹地域医療構想調整会議の中でしっかりと議論をし、引き続き必要な支援を行ってまいりたいと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係理事者から答弁させていただきます。

○松村淳子・健康福祉部長  美山診療所の医師確保と今後のあり方についてでございます。
 美山地域をはじめとする僻地診療所に対しては、地域医療に必要な施設整備等に対して支援しており、美山診療所については、平成29年度にはCTスキャン装置を、30年度にはX線撮影装置の整備を支援したところでございます。
 美山地域の医師確保については、地元の医療状況を熟知されている地区医師会の会長が議長を務められる南丹市医療対策審議会において、地域の中核病院との病診連携のあり方や入院機能の必要性などを検討されており、年度内にも答申が出されると聞いております。
 先ほど知事が答弁申し上げましたとおり、京都府としては、その答申に沿って南丹市が示される方向性や御要望を十分尊重し、地域に必要な医師を含めた医療提供体制が確保されるよう、南丹地域医療構想調整会議の中でしっかり議論してまいります。
 介護事業や介護老人保健施設については、保険者である南丹市が美山地域を含めた南丹市全体の介護保険の状況を踏まえ対応されることになりますが、京都府としては、南丹市の意向を踏まえた必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

○島田敬子議員  御答弁ありがとうございます。
 美山診療所の複数医師の確保の必要性についてお尋ねをしたところ、1人であっても持続可能な体制でと、あとは地域ネットワークでということでありますが、るる述べてきましたように、また今議会に限らずこれまでも紹介をしてきましたように、僻地で医療を確保しようと思えば、もちろん常勤の所長さんがいらっしゃって、常勤のお医者さんがいて、あとは派遣で病病・病診連携を今でもやっているわけですから、その複数医師の確保が必要ですよということをお尋ねしているんです。答申を踏まえてとおっしゃいます。しかし、現地の議論を聞いておりますと、やはり財政上の問題とか医師確保などの府の支援、決断なしには進みません。これは南丹市、大変お困りだと思うんですよ。なので、府の責任をどう果たしていくのかと。現地の答申とか、その議論は承知しています。その上で、担当者を派遣されておりますから、京都府がどう責任を取るかというそのことを明確に御答弁いただきたいというふうに思います。
 南丹市の医療審議会、第1回から3回までの議事録を全て拝見をいたしました。第3回審議会では、住民代表の委員から「直営と言うから非常に期待した。しかし、入院病床を休止するとは、開設以来美山地域では初めてのことで、非常にショックなことである」「財政的に困難と言うが、何も新しいものをつくってくれとは言っていない」と。「何とか今の医療を残していただけないか。これは住民のエゴなんですか。今あるベッドを残せというのがぜいたくですか」と、このように述べておられるんです。全くそのとおりだと思うんです。この声に知事はどうお答えされますか、明確にお答えください。
 今日、先ほど改めて、職員有志の皆さん方が利用者の声を集めて持ってきていただきました。美山診療所の存続を願う切実な声がびっしり書かれておりますので、また後ほど知事にはお渡ししたいと思うんですが。「お母さんの介護を6年間、リハビリや訪問介護、ショートステイで診療所にお世話になって在宅でみとることができた、その上に夫が末期がんを宣告されて、京都市内の病院から帰ってきた。『診療所のベッドを空けておくからいつでもどうぞ』とお医者さんや看護師の励ましで、最後まで住み慣れた美山で夫さんも見送ることができた」ということであります。「美山診療所のおかげだ、財政難で切り捨てないでほしい」これが住民の声です。この声に知事がどう応えるかということであります。住民に身近な入院・入所施設は、このように重要です。訪問・通所リハビリ、入院医療、老人保健施設などの一体的運営が壊れたらどうなるのかと、住民の不安が一気に高まっているのでありますので、この点でも知事のお言葉で、知事自身のお言葉で御答弁を頂きたいと思います。

○西脇隆俊知事  島田議員の再質問にお答えいたします。
 まず、「医師1人であっても持続可能な」と申し上げましたのは、審議会での学識経験者、医療関係者の意見を紹介したことでございますので、結論として申し上げたわけではございません。ただ、美山診療所における医師の複数体制につきましては、やはり診療所がどのような医療提供を行うかにより、その体制も変わってまいると思っておりますので、その体制、医療をどう持つかにつきましては、現在、南丹市の医療対策審議会が検討し、大詰め、年度内に答申されると伺っておりますので、その答申を受けまして、南丹市が出される方向性、御要望を十分尊重しながら、京都府としては、引き続き支援をしてまいりたいと考えております。

○島田敬子議員  どんな医療が必要か議論がされていると、南丹市の意向を尊重するのは当然ですけれども、地域では、例えば林健診療所も閉鎖をし、その前の知井地区ですか、そこの診療所もなくなっているんですね。それでおまけに診療所をもう少し縮小すると、今の医療より後退するわけですよ、明確に。なので、もうこれはずっと取り上げてきましたけれども、もともと複数いたお医者さんがいらっしゃらなくなって尾嵜先生が一生懸命支えてこられたと。これを、今を存続するだけでも複数は要ると言ってるんですよ。「高齢化率が46%の美山地域で、外来診療のバックアップ、在宅ケアの連携の要で入院病床は命綱ですよ」と、私は昨年6月にこの点は知事に伺いました。知事は「診療所は命綱であるのは十分理解している。その観点も踏まえて議論に参加していく」と答弁をされました。再度、この点、知事の決断が必要だと思うんですけれども、もう一度お答えください。

○西脇隆俊知事  島田議員の再々質問にお答えをいたします。
 診療所がその地域にとりまして命綱という思いは全く変わっておりません。ただ、非常に厳しい医療環境を取り巻く状況の中で、どうやって地域の医療体制を確保していくかということについて、審議会でも真剣に議論されていると思います。まさにその結論を受けまして、我々も引き続き支援してまいりたいという考えでございます。

○島田敬子議員  美山住民の命を守るために、医師派遣の決断、財政支援が一番のネックだと思いますので、これは公営でも民間でも応援するとずっとおっしゃっていただきましたので、どうぞその立場で御努力をいただきたいし、知事が現地で直接住民の声もお聞きいただいたらどうかと、併せて要望をして、次の質問に移ります。

 次に、公立・公的病院の再編統合・再検証通知について伺います。
 厚生労働省は、1月17日、「地方側から一定の理解が得られた」として、全国440病院に対し、病院のベッド削減や再編統合を要請する通知を各都道府県に発出しました。昨年9月26日に公表した424病院のリストについて、診療実績データの報告漏れや、厚生労働省の集計ミスが判明し、一旦公表した名前を一部撤回するなど、非常にずさんなやり方も判明をいたしました。
 名指しされた病院では、病院がなくなるのではないかという地域住民の不安が広がる一方、病院への就職内定者が辞退するなどの風評被害も広がり、病院経営にも深刻な影響をもたらしております。昨日も議論がありましたが、市立福知山市民病院の香川病院長は「総合診療医をはじめ地域で活躍できる医療人材の育成を行う病院、地域包括ケアのつなぎ目となる在宅療養支援病院と確認し、現在まで市民病院大江病院を運営してきた。急性期の一部だけで病院の色分けをするようなことは、地域矛盾を引き起こし、地域住民に不安を与え、公表された病院は風評被害を被った。地域の状況を全く勘案しておらず、批判や反響は当然だ」と京都保険医新聞で述べられております。私が勤めました国立病院機構宇多野病院では、難病治療のために病院の近くに転居した患者さんもおられます。「難病医療の拠点病院である宇多野病院を再編統合の対象に名指しするとはどういうことか」と怒りの声、不安が上がっています。再検証リスト発表後、「データの根拠そのものが不明瞭」「頭ごなしで再編統合を発表するのは問題」など、批判が噴出し、対象とされた各医療機関や関係団体から抗議が相次ぐ中、総務省・厚生労働省は、「基準を押しつけるものではない」と釈明をせざるを得なくなっていたにもかかわらず、再検証要請通知を発出したことは、ベッド削減ありき、医療給付費削減ありきで、国の基準を地方の病院へ押しつけることにほかなりません。12月定例本会議で光永議員の質問に対し、知事は「極めて遺憾」と表明をされました。しかし、明確に反対の表明をされませんでした。さきに述べたように、リストに挙げられた医療機関においては、風評被害を初め、医師や看護師などの人材確保、さらには病院経営にも深刻な影響を来しております。
 そこで伺います。改めて、再検証リストは撤回を求めていただきたいと考えますが、いかがでしょう。

 また、今回の再検証要請通知発出に併せて2017年の病床機能報告で、高度急性期、急性期病床を有するとした民間病院の診療実績データを都道府県に提示するとされ、そのデータの公開については、都道府県の判断に任せるとされています。本府としてどのように対処されるのか、伺います。
 再検証公表後の昨年10月28日に開催の経済財政諮問会議で、財界代表である民間議員は「官民合わせて13万床の過剰病床の削減、急性期から回復期への病床転換等について、期限を区切って必ず成し遂げなければならない」と強く主張し、民間病院も再編の必要性を分析するよう求めています。「今後、3年間集中再編期間として大胆な財政支援、診療報酬措置の効果検証、転換を加速するべき」と発言をしているのです。これまで本府は「地域医療構想調整会議において、地域の実情を踏まえ、それぞれの病院の役割や病床機能のあり方について丁寧に議論を進めていく」とされましたが、国は今後、新公立病院改革プランや公的医療機関等2025プランなどを基に、地域の調整会議で一旦合意したものを国が強引に覆し、期限を区切って病院統廃合やダウンサイジングを行う結論へと導こうとしています。これら安倍政権の進め方は、地方や地域の自治や主権をないがしろにするものであると考えます。国に対してきっぱりと、こうしたやり方を中止するよう求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。

 安倍政権は、このように医療提供体制を縮小するとともに、全世代型社会保障の名で、年金の大幅削減、医療・介護の負担増、給付削減、病床削減、保育予算の削減など、全世代に痛みを押しつけようとしております。とりわけ高齢者を狙い打ちにしたこのような大改悪、切捨てを進めていることは許されません。
 75歳以上の窓口負担を原則1割から2割に引き上げることが、全世代型社会保障検討会議で検討をされ、財務省の財政制度等審議会からも、その実施を求める答申が出されております。さらに、財政審は、高齢者医療の現役並み所得の対象拡大、医療機関の窓口負担に上乗せをして定額を徴収する受診時定額負担の導入、薬剤費の一定額まで全額自己負担など、患者負担増の提案がめじろ押しでございます。
 さらに、介護サービス利用料金についても、財政審は原則1割を2割に引き上げることを念頭に、段階的な負担増を提案しています。ケアプランの有料化、介護施設の食費、居住費の軽減措置を行う補足給付の対象の絞り込み、要介護1・2の生活援助の保険給付外しも狙われております。
 こうした負担増や給付の抑制は、受診抑制やサービスの利用控えをさらに広げ、病気の早期発見・早期治療を妨げ、要介護状態の悪化を招くなど、逆に給付費を増大させるだけではないかと考えますが、いかがでしょうか。

 これら患者負担増に対しては、日本医師会をはじめ、医療関係団体からも懸念の声が噴出するとともに、介護関係では、日本ホームヘルパー協会、認知症の人と家族の会などから、見直しを求める要望が政府に上がっております。
 さらに、全国後期高齢者医療広域連合協議会は、負担増中止と国庫負担引上げを要望しています。本府としても、安倍政権が狙う社会保障の連続改悪に対して中止を求めるべきですが、いかがでしょうか。
 また、新年度予算案には、後期高齢者保険料軽減対策事業費が計上をされておりますが、保険料上昇を抑制するということですが、さらに、本府の老人医療助成制度の窓口負担についても、2割負担を元の1割負担に戻すなど窓口負担の軽減へ御努力をしていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。御答弁をお願いいたします。

○松村淳子・健康福祉部長  公立・公的病院等の再検証についてでございます。
 昨年9月に国が行った再検証が必要な公立・公的病院名の公表については、あまりにも唐突で、全国一律の基準による機械的な分析結果に基づく一方的なものであり、地域住民に不安を与えるものであることから、極めて遺憾であり、全国知事会等から国に強く申し入れを行ったところでございます。
 京都府としては、公表された各病院は、神経難病等専門医療や、リハビリテーション機能、在宅医療支援など、地域で必要な役割を担っていただいているところであり、今後、それぞれの病院の役割を改めて示してまいりたいと考えております。
 京都府では、各医療圏ごとに設置しています地域医療構想調整会議において、これまでから民間病院も含め、各医療機関から報告された病床機能や診療実績等のデータを基に、地域に必要な役割や機能について課題を共有してまいりました。
 今回の国から提供された資料も参考にしながら、人口動態や、その将来推計、医療機関までのアクセス、病床の転換状況などを活用して、民間病院を含む地域医療の確保について、地域医療構想調整会議の中でさらに議論を深めることとしております。
 京都府の地域包括ケア構想においては、令和7年(2025年)の必要病床数は、現状の病床数を維持することとしており、高齢化の進展などを踏まえて、病床を減らすのではなく、地域の実情を踏まえ、急性期病床から回復期病床への転換などを進めてまいりたいと考えております。現在も、各地域医療構想調整会議において丁寧に議論を進めているところであり、国に対しては、地域医療構想調整会議の結果を十分に尊重するよう、強く申し述べていくこととしております。

 次に、全世代型社会保障についてでございます。
 社会保障制度は、府民の生活を守る大切な社会的インフラであり、人生100年時代を迎え、持続可能な安定的な制度として、次世代に引き継いでいくことが大切であると考えております。
 京都府では、府民の方々が安心して必要な医療や介護を受けていただくことができるよう、国民健康保険や後期高齢者医療、介護保険制度に対し所要の予算を確保し、制度をしっかりと支えてきているところであり、今議会においても約930憶の予算を提案しているところでございます。昨年12月に、国の検討会議において取りまとめられた中間報告では、全世代型社会保障は、給付と負担の見直しだけでなく、健康づくりや早期治療、重症化予防、また介護予防などを進めることにより、全ての世代が安心できる社会保障の構築を目指すものとされています。
 京都府ではこれまでから、データ分析に基づく予防・健康づくりを進めるとともに、運動と口腔ケア、栄養・食生活改善を組み合わせた介護予防総合プログラムの普及を進めているところであります。また、給付と負担の見直しの検討に当たっては、とりわけ低所得者の生活実態や医療機関への受診行動、介護サービスの利用などに影響が出ないよう配慮するとともに、負担の見直しに際しては、急激な変動が生じないよう必要な措置を講じることなどを国に対し強く求めているところでございます。
 次に、老人医療助成制度、いわゆるマル老については、高齢者の医療と健康を守るため、国の医療保険制度を補完する制度として多くの府県が制度を廃止する中、府・市町村ともに厳しい財政状況にありながらも、全国トップの水準を維持しているところであります。
 今後とも、市町村とともに制度の維持に努めてまいりたいと思っております。

○島田敬子議員  御答弁ありがとうございます。国のやっている方向は、狙いで重症化予防とか介護予防をやっているということですが、とにかくお金がないと病院に行かれないという事態になっているんですよね。国民健康保険の問題は今回取り上げておりませんけれども、高過ぎる国民健康保険料が払えずに、保険証がなくて病院に行けない、負担が増えて、行こうにも病院に行けない。そうすると重病化になって医療費もどんどん増えるということなんですよ。
 こうしたやり方について、国の方向を基本的に是認する答弁というのは、非常に現状認識を改めていただかなければいけないと思います。開会中の衆議院予算委員会で、我が党の高橋千鶴子議員の質問に対し、加藤厚労大臣が「経済財政諮問会議の場で、地域医療構想が当初の姿にならないと指摘があった」と、図らずも答弁されました。それで来年度予算では、病床削減を行う医療機関に全額国庫負担で補助して、令和3年度からは、消費税を財源とする新たな仕組みを法律で規定をして、何が何でも統廃合、病床削減を迫ろうとしているわけですね。病院名公表とするだけで、先ほど言いましたように風評被害も広がっているわけで、一方的な発表だったと言われるなら、病院名の公表そのものを撤回すべきと、そしてこうした国のやり方にきっぱり中止を求めていただきたいと強く要望して、終わりたいと思います。御清聴ありがとうございました。