付託請願
下記の請願について審査が行われた。
○新規請願(3件)
・第62号請願「年金受給資格期間の10年への短縮を求めることに関する請願」
・第63号請願「無年金・低年金者への基礎年金国庫負担分3.3万円の支給を求めることに関する請願」
・第64号請願「外来がん治療患者の窓口負担の軽減を求めることに関する請願」
あわせて、送付要望一覧表及び陳情又は要望に関する文書表が机上配付された。
●第62号請願「年金受給資格期間の10年への短縮を求めることに関する請願」
◯山内委員 紹介議員として発言をさせていただきたいと思います。
この請願は、年金受給資格期間を10年への短縮を求めることに対する請願であります。厚生労働省でも、受給資格期間25年間を今後満たす見通しにない人を含めて、無年金者が118万人おられるということです。しかし、現時点で65歳以上の方のうち、今後、保険料を納付しても無年金になる方が42万人いらっしゃるということです。この受給資格期間を10年に短縮をすることで、その方々のうちの4割が救済できるということも、国の資料等でも明らかになっています。そういう点では、ぜひとも皆さんの御賛同をお願いしたいと思います。
◯北岡委員(民主党) 今、紹介議員から御説明もありまして、年金制度は、大変重要な問題であるということはよく私も承知をしております。
ただ、この要旨の中にもありますように、国においては、まさしく「社会保障と税の一体改革」に向けての議論がなされているところでありますので、この時点での請願ということには、そもそもなじまないのではないかと、まさしく今、議論されているところでございますので、私たちはそういう意味におきまして、この請願については採択しかねますので、申し上げておきたいと思います。
◯前波委員(自民党) この年金制度の設計については、国民生活のセーフティネットを一つ基本として、給付と負担のバランスに配慮しながら構築されていると私は思うのです。こういったことで、給付の一部のみを取り出して議論するべきではないと私は思っております。したがって、これは反対でございます。
◯島田委員 今、まさに議論されている中だからこそ、府民の老後の生活にかかわる大変大事な問題であり、議論を進めていくということが必要であると思いますので、京都府議会として府民のこういう願いに沿って議会で採択をし、意見書を上げるというのは、当然のことだと思います。賛成です。
●審査結果…挙手採決の結果、賛成少数により、不採択と決定した。
●第63号請願「無年金・低年金者への基礎年金国庫負担分3.3万円の支給を求めることに関する請願」
◯山内委員 第63号請願については、無年金・低年金者への基礎年金国庫負担分3万3,000円の支給を求めることに関する請願についてであります。
先ほど北岡委員と前波委員からも発言がございましたけれども、まさに「社会保障と税の一体改革」で、今、年金改革が議論されておりますが、現在の最低保障年金については、現在、年金を受給中、あるいは年金受給年齢にある方々を対象にしていません。そういう点では、現在の高齢者を対象として3万3,000円の支給を求めるということと、それからセーフティネットとしての年金というのは意味があるということを前波委員も先ほどおっしゃいましたけれども、無年金・低年金の方々でもそれなりに消費税等を負担をされているわけで、せめて基礎年金の国庫負担分の3万3,000円については保障するということが負担の公平性につながるのではないかと思っていますので、ぜひとも御賛同いただきたいと思っています。
◯前波委員(自民党) 私も今年の8月から国民年金をいただいておりまして、税金は1円でも安く、年金は1円でも高いといったことが望ましいわけです。先ほど申し上げましたように、年金制度の設計については、給付と負担のある程度バランスを配慮しながら構成されておるといったことで、給付の一部のみをこういったことで考えていくというのは、私は反対なのです。
昔の年金というのは、若い方がたくさんおられて、そしてその方からいろいろともらって、高齢者が年金を受給されていたと。今、こういった年金を払う方が非常に少ないといったことから、山内委員が言われていることは、確かに一理も二理もありますけれども、年金の制度は給付者と負担のバランスをきちっと考えてしていかなければならないということで、私は反対です。
◯山内委員 給付と負担のバランスというお話でしたけれども、互助制度であれば、そういうことがあり得るかと思いますけれども、年金というのは社会保障制度です。そういう点では、年金を払っている若い方々、支える世代の分母が少なくなったとしても、それは社会全体で税できちんと保障していくべき仕組みであります。ぜひこれは社会保障制度として、セーフティネットとおっしゃったのは、まさに社会保障制度のことですから、そういう点では、今の年金制度が十分な社会保障制度として機能していないという点で、この3万3,000円の支給を求めて、社会保障の質を上げていくということをぜひ府議会としても請願を採択をして、国に意見書を上げてはどうかと思っております。
◯北岡委員(民主党) 山内委員からもいろいろな観点で御議論をいただいて、紹介議員として要旨もしっかりとお述べになったところなのですけれども、先ほど来、何回もおっしゃっています社会保障制度、まさしく先ほどの請願と同様のお話ですが、「社会保障と税の一体改革」ということで、本当にいろいろな観点からまさしく議論がされるという状況ですので、同様に今現時点での請願にはなじまないということで、不採択と表明させていただきます。
◯島田委員 高齢者の生活実態が本当に大変な状況であるということで、その思いをはせないというのはいかがなものかと思います。
それで、過去をさかのぼって低年金の方々からも返還せよと、今後も改悪の一途ということで、本当に貧しい年金制度になりつつあるということでございます。生活保護以下の年金では、本当に暮らしていけないし、その年金から国保料も介護保険料も取られて、深刻な状況に陥っております。こういう年金制度、本来、最低保障年金制度を早く確立をするということが重要ですけれども、救済策としての無年金・低年金者に対する最低3万3,000円の支給という措置については、緊急課題ということで意見書を上げてはどうかと思います。
賛成をいたします。
●審査結果…挙手採決の結果、賛成少数により、不採択と決定した。
●第64号請願「外来がん治療患者の窓口負担の軽減を求めることに関する請願」
◯島田委員 外来がん治療患者の窓口負担の軽減を求めることに関する請願でございます。
癌患者の死亡が全国で194万人、京都府では毎年7,000人以上の方が亡くなられております。
医療の進歩で、従来入院で行われていた抗がん治療なども外来で行われるなど、患者のクオリティ・オブ・ライフ(QOL)向上に寄与しておりますけれども、そもそもどんなに癌治療が開発をされて高度になっても、お金の負担ができなくて、治療を中断すると、断念をしなければいけないというような事態が起こっておりまして、命にかかわる重大な事態が発生しております。ぜひとも、請願の趣旨をお酌み取りいただきまして、国に対して癌患者の医療費負担軽減を求める声を上げてほしいという要望でございますので、議会としても上げていきたいと思います。
高額療養費の現物給付化については、平成24年4月から実現することになっておりますけれども、現物給付は70歳未満の上位所得者で、月上限8万3,400円、一般は4万4,400円となっておりまして、医療費だけで上位所得者が1年間に約128万円、一般でも73万円もの負担となり、負担の限度を超えていると言わざるを得ません。早急に負担限度額を引き下げることを求めているものであります。
なお、本府も平成23年3月18日に京都府がん対策推進条例を公布いたしました。総則、目的には、癌患者及びその家族が置かれている状況を深く認識し、療養生活に伴うさまざまな不安を軽減するため条例を制定したということで、癌の治療にかかわって適切な医療をすべての府民に受けていただくということも含めまして、請願を採択していただきたいと皆さんに呼びかけまして、紹介議員としての発言とします。
◯北岡委員(民主党) 本当に癌患者さんの大変な療養生活はよくわかります。ここの要旨にもありますように、癌患者さん194万人ということで、だれもが安心してかかれる医療ということについては、まさしく同じ思いであります。
したがって、この医療の分野におきましても、先ほど来申し上げております「社会保障と税の一体改革」の中で必ず盛り込むべきところだと思いますので、その議論の真っ最中ということでありまして、現時点においての請願ということについてはなじまないということで、不採択とさせていただきたいと思います。
以上です。
◯田中委員(自民党) 私も今の北岡委員の発言と同意見であります。
島田委員から少しお話があったように、一定、この高額医療費の現物給付等々についても、議論があり前進をするという状況があって、全体の中でいろいろなことが議論をされているわけであります。確かにがん患者というのは大変だろうと思いますが、病種の一つ一つを切り取って、この部分についてのみ府議会で上げていくというようなことは、今の状況ではややなじまないのではないかと、全体の議論をしっかりやっていただき、見守っていくということで、この件は不採択ということにしていただきたいと思います。
◯山内委員 どんなに医療が進歩しても、お金がないためにその医療が受けられないということは、あってはならないことです。また、私どももこの間、治療費が続かなくて、抗がん剤治療を断念をするという決意をされた方の最期等を見てまいりましたけれども、医療技術がどんどん進歩しているのに、お金がないためにその医療が受けられないということについては、本当に悔しい思いをされていると思います。
「社会保障と税の一体改革」の中で議論ということでした。これは、医療全体の問題もそうですが、とりわけがんについては、昔は癌だったら治らないと言われていたのが、今は治る、あるいは延命が期待できるということで、随分と変わってきました。そんな中で、医療費の負担をもっと減らしてほしいというのが癌患者の皆さんの願いですので、これは本当に府議会としてぜひ意見書を上げていただきたいと思いますし、私もこの請願には賛成であります。
●審査結果…挙手採決の結果、賛成少数により、不採択と決定した。