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◯小林弘明議長 日程に入ります。日程第1、平成8年9月府議会定例会への提出に係る第15号議案から第19号議案までの決算認定議案5件を一括議題といたします。
ただいま議題となっております議案5件については、決算特別委員長から審査終了の旨の委員会審査報告書が議長あて提出されましたので、ただいまから、決算特別委員会における審査の経過及び結果について決算特別委員長から報告を求めます。大橋健君。
◯大橋健 決算特別委員長 決算特別委員長を仰せつかりました大橋健でございます。去る9月府議会定例会におきまして本決算特別委員会が設置され、付託を受けました平成7年度京都府一般会計及び特別会計歳入歳出決算を認定に付する件等5件の議案につきまして、本委員会が審査を行いました経過及び結果について御報告を申し上げます。
本委員会は、まず11月1日に梅原出納長から総括的な概要説明を聴取した後、11月13日までの8日間にわたり各部局ごとの書面審査を行うとともに、11月14、15日の両日には主要事業箇所21カ所に対する現地調査を実施いたしました。
さらに、11月19日には荒巻知事を初め関係理事者全員の出席を求め、テレビ中継を行う中で、府政全般にわたる総括質疑を行いました。
それらの中におきまして、予算の議決の趣旨に沿って事務事業の執行が適切かつ効率的に実施されているか、あるいはまた府民が期待する行政効果が上げられたかなどにつきまして、決算書及び関係書類をもとに、監査委員の決算審査意見書をも参考にしながら熱心かつ慎重に審査を行ったところであり、その結果は次のとおりでございます。
我が京都府におきましては、一部に景気回復の兆しが見えてきたとはいえ、中小企業を中心に依然として厳しい経営環境にあり、府税収入が府政史上初めて4年連続で減収したことに加え、この間の減収を補ってきた財政調整基金等各種基金の活用にも限界があるなど、いまだかつてない極めて厳しい財政状況のもとに置かれております。
しかしながら、国等の直接行う事業の効果的な導入を図りつつ、国庫財源や有利な起債の積極的な活用により、必要な財源の確保に努めながら、行政組織の抜本的な見直し、予算の重点的・効果的な配分、経常経費の節減・合理化の徹底によって、「第4次京都府総合開発計画」に示された発展方向に沿って、 260万府民が安全で安心して快適に暮らせる社会を築くため、当面する課題に的確に対処するとともに、平安建都1300年に向けたスタートの年として21世紀に光る京都府づくりの諸施策が着実に推進されていると認められた次第であります。
中でも、障害者や高齢者を初めすべての人々が安心して快適に暮らすことができるよう福祉のまちづくりを推進し、また、急速に進む高齢化に対応するため高齢者保健福祉計画の推進に努めるとともに、ガット・ウルグアイラウンド農業合意の成立等、農業農村を取り巻く厳しい状況に対応するための農業農村の活性化対策、急速に発展する技術革新、企業の海外移転など、国内外における急激な経済環境の変化に対応するための府内産業の活性化対策、京都縦貫自動車道の建設等社会資本整備の推進、さらに阪神・淡路大震災の教訓を生かし、総合的な防災対策の研究を踏まえた地域防災計画の全面的な見直し、緊急対策の実施など、各般にわたる施策について、着実かつ積極的に実施されており、所期の目的を達成しているものと認められる次第でございます。
なお、審査の過程におきまして各委員から種々の意見や指摘・要望が述べられましたが、その主なものはお手元に配付の「指摘・要望事項一覧」のとおりであります。
次に、付託議案5件に対する昨日の委員会における採決の結果でございますが、第15号議案、第17号議案及び第18号議案の3件につきましては賛成多数で、第16号議案及び第19号議案の2件につきましては賛成全員で、いずれも認定することに決した次第であります。なお、第15号議案、第17号議案及び第18号議案については少数意見が留保されておりますので申し添えておきます。
以上が本委員会におきます審査の経過概要と結果でありますが、各委員から述べられました各般にわたる事項につきまして、理事者におかれましては今後の府政運営の中で十二分に反映されるよう留意いただくとともに、間近に迫った21世紀において京都が力強くさらなる飛躍を遂げることができるよう、今後とも一層の努力を傾注されることを切望する次第でございます。
最後になりましたが、委員の皆様におかれては、御多忙のところ長期間にわたり連日熱心に御審査を賜り、また円滑な審議運営に御協力をいただきましたことに対し、心から感謝申し上げますとともに、池田昭典、田中英夫、水口洋各副委員長の皆様には、微力な私を助けていただき、委員会運営に格別の御協力を賜りましたことに厚く御礼を申し上げまして、決算特別委員長報告といたします。まことにありがとうございました。
◯小林弘明議長 これより委員長報告に対する質疑に入りますが、通告がありませんので、質疑を終結いたします。
これより決算認定議案5件に対する討論に入ります。
通告がありますので、島田敬子君に発言を許します。島田敬子君。
◯島田敬子議員 日本共産党の島田敬子です。私は、日本共産党府会議員団を代表いたしまして、ただいま議題となっております9月定例会提出の第15号議案、17号議案、18号議案についての反対討論を行います。
我が共産党議員団は、昨年2月の予算審議の中で、平成7年度当初予算案が不況対策でも福祉や医療の点でも府民の切実な要求に背を向けた予算であること、防災予算の少ないこと、その一方で、相変わらず財界の要求する大型事業が優先されていること、さらに、同和対策事業も一層拡大されていることなどを指摘し、その見直しを強く求めました。決算の審議を通じて、これらの問題点が一層明らかになりました。
まず、15号議案平成7年度京都府一般会計及び特別会計歳入歳出決算を認定に付する件についてです。
反対の第1の理由は、府民の暮らし、福祉、教育を軽視している問題です。
生活保護行政にかかわって、宇治市で、中国帰国家族に対し、収入が全くないことが明らかであるのに「就業の可能性がある」と生活保護を打ち切られた方の事例を紹介し、不当な生活保護抑制策の改善を求めました。この事例はその後改善をされましたが、問題はこれが氷山の一角だということです。やむにやまれぬ思いで援助を求める人々が、相談窓口で申請をする権利さえ奪われる「水際作戦」と称する非道な対応が行われ、全体として保護抑制策がとられていることが背景にあります。
不況の中、京都でも倒産件数は過去最高に上っており、失業者が増大をしている状況にありながら、保護件数は85年をピークに6割まで下がり、93年度を境に全国平均を大きく下回る結果となっております。95年度の保護率は、全国 7.0%に対し、本府は 6.2%となっています。東京豊島区のような悲惨な事態を絶対に起こさないためにも、このような抑制策をやめるべきです。
入院給食費の公費助成についてですが、31の都府県で実施をされているのに、本府は「検討中」を繰り返したあげく、いまだに実施をされていません。乳幼児・障害者医療費助成制度の一定の改善は、長年の府民の要求にこたえるものですが、入院給食費の助成にかわるものではありません。29の都県では、入院給食費の公費助成も乳幼児・障害者医療助成制度のどちらも実施をされているのです。
与謝の海養護学校では、雨漏りなど老朽化した施設の改善を数年間放置した結果、この9月には生徒が転んで腕を骨折する事件も起こりました。「亀岡に第3の公立高校を」との願いも放置をされたままです。住民の安全、健康、福祉を保持するという地方自治体の本来の役割が果たせるよう、行政の転換を求めるものであります。
第2の理由は、福祉や教育、中小企業対策の予算は抑制をしながら、大手ゼネコン、財界向けが中心の土木建築事業費は1.63倍にもなっていることです。
府税収入が91年度に比べ19.8%も落ち込み、財政が厳しいとの理由で、教育や商工費の伸びは平均以下、そして扶助費は98%に落ち込んでいます。
その土木建築事業の中身にも重大な問題があります。財界とゼネコン奉仕型の大型事業を続ける一方、府民の生活環境の整備を後回しにしている点です。 200億円を投じて建設をされ、管理費だけで年間1億円もかけられているのに、利用者は少なく閑散とした学研都市記念公園は、むだ遣いの最たるものです。農水省も「前例がない」としている、圃場整備がされたばかりの農地をつぶし道路建設を進める園部町天引地区の国道 372号バイパス計画は、二重投資であり、ずさんな浪費と言わなければなりません。
さらに、木津川右岸スタジアム公園建設では、94年6月のワールドカップ候補地懇談会答申では用地が10ヘクタールだったものが、現段階では30ヘクタールと当初計画の3倍に膨れ、買収価格も地元マスコミに「高い買い物」と批判をされています。最も許せないことは、これら計画の全容をいまだに議会にも府民にも明らかにしないまま事業が進行している点です。
一方、府道の整備は全国42位という遅れについては、与党議員からも「京都縦貫道は有意義だが、近距離や一般道にしわ寄せは出ていないか」との発言や「府道は管理が悪い、維持費の増額を」との声が出されていることでも明らかです。また、我が議員団の、福祉・教育を削ってのため込み批判に対し、知事は「ため込んでおいてよかった」と強弁されてきましたが、これらの事態を見れば「ため込みがあってよかった」と言えるのは大手ゼネコンだけです。
反対の第3の理由は、不況の中、中小零細企業や伝統地場産業、既存商店街は大変ですが、本府の主体的な取り組み、振興策が極めて無策であることです。
大型店の出店規制、和装製品の海外生産、逆輸入規制のためのセーフガードの適用を国に求めることもされませんでした。農産物の輸入に関しても同様です。農業振興策でも、中山間地対策や米をつくり続けることのできる施策についても有効な手だてをとられませんでした。そればかりか、減反は目標を上回り、それを農家に押しつけてきました。中小企業に対する官公需発注率も依然として改善が見られません。その結果、機械金属、伝統産業、商工業、農林水産業など、京都経済は大きく落ち込んでいるのです。だからこそ、今年元旦の京都新聞報道による府民アンケートでも「京都の沈滞は、本府の振興策がないため」と感じている人が70%にも上っているのです。4年連続の府税収入の減少は、長引く不況に加え、本府のこのような無策の結果でもあります。これらは、国の悪政から、府民の暮らし、営業を守る防波堤の役割を果たさなければならない本府が、国の悪政直結という立場をとり、府民の立場で物が言えないことを示しています。
反対の第4の理由は、同和行政の問題です。
来年3月、同和対策特別事業の終結を迎えるに当たり、単独事業の廃止などが全国的流れとなっている中で、本府の同和事業は「見直し検討中」と言いながら、本来廃止すべき事業を継続をしています。部落解放同盟言いなりに、差別解消に逆行するこれら施策を続けることは、部落問題の解決をおくれさせるだけです。
最後に、知事の政治姿勢についてです。
今、厚生省汚職で国民の怒りが最高に達しています。「厚生省は、国民の命を預かる仕事をするところでしょう」「それが福祉を、国民の税金を食い物にするとはどういうことか。福祉を食い物にして何が増税か」という国民の声は当たり前です。また、それらをチェックすべき政治家が献金をもらっていたことにも怒りが高まっています。
本定例会で、健康保険財政や税金を食い物にしたワタキューセイモア、日清医療食品の役員が、荒巻知事を支援する政治団体の代表を務め、この政治団体から過去2回の知事選挙で知事の支援団体に 650万円の献金がされていたことについてただしたのに対し、知事は関係ないとする答弁をされましたが、重大なことです。
和風迎賓館の誘致にかかわって、鴇田前副知事が東京協和信用組合による大蔵官僚の接待の宴席に同席した問題や、知事が和風迎賓館問題で世話になったとして自民党国会議員を招宴した問題、また歯科指導医療官をめぐる汚職事件も発覚し、接待行政の実態も明らかになりました。
一方、秘密主義、官僚主義、府民の声を聞かない反民主的な姿勢が教育行政などにも顕著にあらわれています。単位制高校導入、定時制や商業科などの募集停止という重大な変更や決定を教育委員会議でも十分な審議をせず、府民や教育関係者の陳情を一蹴して進めるやり方にも、怒りが寄せられています。このようなやり方は、行政への信頼をそぎ、府民との矛盾を一層拡大します。府民の立場に立った行政をと努力をされる職員の皆さんの願いにも背くものです。府民の声に真摯に耳を傾けて、府民が主人公の行財政運営に転換することが求められています。
次に、17号議案京都府水道事業会計決算を認定に付する件についてですが、乙訓地域への事業拡大について、大企業への地下水くみ上げを野放しにして、住民に過大な負担を押しつけるものであり、反対です。
次に、18号議案京都府病院事業会計決算を認定に付する件についてですが、不採算と言われる結核医療について、その責任を民間医療機関に押しつけ、公的責任を果たすべき本府が率先して洛東病院の病棟閉鎖を行ったものであり、反対です。
以上で反対討論を終わります。ありがとうございました。
◯小林弘明議長 以上で討論を終結いたします。
これより決算認定議案5件について採決に入ります。採決の方法は起立によります。
まず、平成8年9月府議会定例会への提出に係る第15号、第17号及び第18号の議案3件について一括採決いたします。
ただいま採決に付しております議案3件については、委員長報告どおりそれぞれ認定することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔※賛成者起立〕
◯小林弘明議長 起立多数であります。よって、議案3件については、いずれも委員長報告どおり認定することに決しました。
次に、平成8年9月府議会定例会への提出に係る第16号及び第19号の議案2件について一括採決いたします。
ただいま採決に付しております議案2件については、委員長報告どおりそれぞれ認定することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔※賛成者起立〕
◯小林弘明議長 起立全員であります。よって、議案2件については、いずれも委員長報告どおり認定することに決しました。
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