平成9年6月定例会 本会議(第4号) 一般質問―1997年6月28日〜島田敬子府議の質疑応答部分

◯島田敬子議員  日本共産党の島田敬子でございます。私は精神障害者の保健、医療、福祉にかかわって、知事並びに関係理事者に質問をいたします。
 心の病を持つ人々は年々増え続けています。神経症やうつ病、アルコール依存症、精神分裂病、老人性痴呆など、現在、府内の入院患者数は約 6,000人、通院医療費公費負担患者は約2万人で、京都府民の 100人に1人が何らかの精神科治療を受けていることになります。思春期や青年期など、人生これからというときに発病し、社会から隔離をされ、10年、20年と長い年月を病院という閉鎖社会の中で送る人々が今なおいらっしゃいます。
 ストレスの多い現代社会の中で、子どもたちや子育て真っ最中のお母さん、毎日まじめに働き続けてきたお父さんがある日突然発病し、一家の暮らしがどん底に陥れられる例は枚挙にいとまがありません。日本の精神保健医療体制の貧困を象徴する事態が今なお進行中なのです。日本の精神医療は、隔離収容主義の入院医療から社会復帰施設へ、社会復帰施設から地域社会へと変化しつつありますが、幾度かの法改正が行われたものの、救急医療体制を含む地域精神医療体制の整備や福祉施策は大変遅れています。
 一方、93年12月、障害者基本法が制定され、対象の障害に従来の身体障害や知的障害に精神障害も加えられ、基本的理念には
「すべて障害者は個人の尊厳が重んじられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有し、社会を構成する一員として社会、経済、文化、その他のあらゆる機会を与えられるものとする」
という条項がつけ加えられたところです。
 精神障害者が「障害者」と認められたことは、精神障害者と家族にとって一筋の光がともったものでありました。京都府障害者基本計画にもやっと盛り込まれましたが、長年放置されてきた精神障害者の実態は、国の言う基本的理念からはほど遠い実態にあります。本府計画の基本理念にも明記をされました障害者の「完全参加と平等」、とりわけても、おくれた精神障害者の実態を改善するためには、患者さんが地域で安心して暮らせるための救急医療を含む質のよい医療の確保、住居の確保、働く場の確保、そして、これらを支援する地域や仲間づくりが重要です。
 以下、具体的問題について質問いたします。
 第1に、救急医療体制と地域精神医療体制の問題です。
 薬物療法などの医学の進歩により、精神疾患も一般医療と同じように早期発見・早期治療が適切になされ、地域に気軽に相談できる医療体制などがあれば、精神疾患の半数を占める分裂病などは9割が治り、社会復帰が可能と言われています。ところが、本府には休日や夜間の相談窓口や救急医療システム、搬送体制がないために早期の適切な処置が遅れています。自宅で急激な症状の悪化を来したとき、相談窓口がないために家族が不安な夜を過ごしています。手に負えないときは病院を探し、民間搬送会社に3万、4万円とお金を払って駆けずり回るというのが現状です。京都府警の調べによりますと、府民の通報などでパトカーで運ばれ、警察の保護を受ける精神障害者は年間 500人にも上っていますが、法に基づく措置入院以外は精神科医師や保健所職員の対応がなされず、警察署員が患者を見ながら必死で保護者を探し、その末にまた家族だけに任されているのが現状です。
 私は、先日、千葉県立精神科医療センターに伺いました。1985年から診療開始をした当センターでは、24時間体制で保健婦や精神保健の専門職員が電話相談に応じ、適切なアドバイスをしています。緊急度の高いケースについては来院を指示し、急性期病棟50床には医師10名、看護婦34人を配置して患者を受け入れ、高密度の医療と看護による早期の集中医療を行っています。平均45日間で退院し、その後は外来による面接相談、訪問活動やデイホスピタルなどによって継続的に支援することによって、半数が就労や学校などへの社会復帰を可能にしているとのことでした。特に24時間の電話相談は、患者の不安軽減や再発防止に大いに役立っており、専門家の適切な指示のもとに、入院に至ることなく解決する事例も多いとのことでした。いわゆるこれらは「ソフトな救急」と言われるものですが、緊急な措置を有する「ハードな救急」とともに、県立の医療センターが大きな役割を果たしています。
 また神奈川県では、1996年度から横浜市や川崎市との共同事業として、県立精神保健センター内に救急相談窓口を設置し、救急対応を行っています。県立病院と北里大学病院が救急担当病院として位置づけられたほか、それをカバーする民間での救急ベッド確保のために1億円の補助を県が行っています。このように、県立の病院やセンターを中心としたシステムをつくり、民間医療機関と連携して、県下すべてをカバーする救急医療を行政が責任を持って行っているわけです。
 既に今年度で全国21都府県がシステムを確立するとお聞きをしています。本府でも、府立医大病院や府立洛南病院、府立精神保健福祉総合センターを核に、救急情報センターや搬送体制、電話相談も含めた総合的な救急システムを早急につくる必要があると考えますが、いかがですか。知事の御所見をお示しください。

 次に、これらシステムの中で、自治体病院と行政の果たす役割が問われています。そこで、まず府立洛南病院について伺います。
 当院は、府内唯一の公立の精神単科病院として、覚せい剤や薬物中毒など処遇困難な患者を初め、府内の措置患者の半数を受け入れています。救急医療体制の確立に向け、昨年4月には急性期病棟を発足させました。しかし、人員増や施設整備がないまま発足せざるを得なかった状況の中で、今さまざまな問題を抱えています。
 病院概要によりますと、1994年度の初診患者数 385人のうち、時間外や休日が30人、 7.8%あります。また、電話での入院依頼の段階で受け入れを断った数が40人、そのうち21人は保護室がないために断ったということであります。95年度も初診患者数は 500人に増加、休日・時間外も42人に増え、入院依頼を断るケースも増加をしています。
 急性期病棟では、夜間看護体制は2人のままで、職員がまさに命がけで受け入れをされています。保護室の数が足りないために、まだ保護室の入所が必要な患者をほかの部屋へ移動させて緊急患者を受け入れることもあると聞きました。公的病院として、処遇困難の患者さんや重症や合併症の患者さんを断ることなく受け入れたいというのが病院の方針ですが、体制がないために断らざるを得ないのが現状です。また、重症者や合併症を持つ患者、薬物などの依存患者さんの治療体制の確立のために、内科、整形、外科などの医師が必要ですが、これらの常勤医師は1人もおられません。早期に退院ができるように地域や家庭などと連絡調整を図る業務を行うケースワーカーが足りないために、退院をおくらせる患者さんも出ているとのことです。
 急性期の医療看護を行い、早期退院、早期社会復帰のために抜本的な体制強化が必要です。この際、医師の増員と、当面、発足をした急性期病棟の夜間看護を3人体制にするよう看護職員を増員し、ケースワーカーも増員するとともに、保護室の整備が必要だと考えますが、いかがですか。本府の障害者保健福祉計画では、洛南病院の機能充実を挙げられておりますが、今後、具体的にどのような充実を図る計画か、御所見を伺います。
 また、重症の合併症の治療を初め、総合病院の精神科の役割も重要です。府立医大病院の精神科病床は、昨年の改築時に40床に削減したままですが、将来構想についてはどのような計画ですか、お聞かせください。
 さらに民間医療機関との連携も重要です。府北部の救急患者さんを中心的に引き受けているのが福知山の紅葉丘病院ですが、ここでも職員の献身的な努力で支えられています。診療報酬で急性期治療の評価が一定引き上げられたものの、なお患者1人当たり月40万円で、一般医療の平均80万から90万円に比べて半分の評価です。国に対し、精神科医療に対する診療報酬の引き上げを要求するとともに、緊急ベッド確保のための運営費補助を本府独自でも行っていただきたいと考えます。御所見を伺います。

 第2に、精神障害者の社会復帰と生活への支援についてです。
 各種の研究調査では、入院患者の3分の1は病状的には今すぐ退院が可能なのに、社会復帰施設の不足や地域での支援体制がないために退院できないと言われています。住居、働く場、地域の精神障害者に対する理解の遅れが決定的要因です。
 この間の法改正によって、障害のために独立して日常生活が送れない人、家庭環境などの理由により住宅の確保が困難な人が一定期間生活訓練を行い、社会復帰を支援するための援護寮や福祉ホーム、さらにある程度自立が可能な人が地域で小人数の共同生活を営むための生活支援を行うグループホームなどが明文化されました。これら施設の本府の現状を見ますと、援護寮が1ヶ所、グループホームが3ヶ所あるのみで、全国的に見ても最低レベルとなっています。精神神経学会社会復帰問題委員会の調査報告の基準を当てはめますと、府下における必要数は、援護寮や福祉ホームなどで 260人分、グループホームは 390人分必要だと言われています。しかし、本府にはおくれた現状を打開するための数値目標も独自施策もありません。
 先日、紅葉丘病院が設置をしたグループホームを訪ねました。病院の努力と職員の熱意で10年前に設置をされましたこのグループホームでは、現在4人の方が生活をされています。運営費は年間およそ 500万円かかりますけれども、国や府からの補助は 302万円しかなく、 200万円以上が病院の持ち出しだとのことで、運営費補助の増額を希望されていました。また、住宅の確保が困難で、公営住宅が利用できるようにしてほしいとのことでした。
 そこで伺います。この際、社会復帰施設に対する不十分な国の建設費補助ヘの上乗せや、都市部で問題になる用地取得費の補助など府単費で助成をし、設置を促進するとともに、グループホームの設置に当たり、地域の理解も得ながら公営住宅が利用可能となるように検討していただきたいと思うのですが、いかがですか。御所見を伺います。

 第3に、就労支援、働く場の確保の問題です。
 1つには、共同作業所の問題です。幾つかの作業所に伺って関係者のお話を聞きました。
「利用者が意欲を持って通えるように工夫をしているけれど、月10,000円そこそこの給料で、しかも遠方から通えば交通費に全部消えてしまう。これでは明日もまた頑張って作業所に来ようという気にならない」
とのことでした。
 作業所の数もまだまだ足りません。自宅を開放して作業所を始めたり、バザーなどで地域の支援協力を得て資金を確保するのに苦労をし、中には患者の家族がたくさんの私費を投じているところもあります。運営面でも、まさにボランティアで支えられているのが現状です。作業所への補助金の増額が必要ですが、いかがですか。
 また、交通費の問題ですが、この間新設されました精神障害者保健福祉手帳交付者にも、他の障害者にある運賃割引制度を適用するよう国に対し要求するとともに、府独自にも福祉乗車証などによって割引制度をつくっていただきたいと願うのですが、いかがですか。
 2つには、通院患者リハビリテーション事業の問題です。これは、登録事業所に委託して、就労の機会の提供と社会生活適応のための必要な訓練を行い、社会経済生活への参加促進を図るものですが、理解のある事業所が不況で倒産するなどの事態もあり、登録事業所開拓は容易ではありません。患者数も、現在38人と伸びておりません。この事業は6ヶ月から最大延長で3年の訓練期間となっており、その後の就労の場所の確保が難しく、せっかく働く能力を身につけても在宅へ逆戻りです。また事業主には1人につき1日 2,000円の委託料がありますが、訓練生には手当はありません。最低賃金の制度も雇用・健康保険もありません。訓練とはいえ、しっかりとした雇用条件が整えられる必要がありますが、いかがですか。
 さらに、リハビリテーション後の保護雇用、職場の確保が重要です。本府の障害者計画にも盛り込まれた授産施設や福祉工場の設置が急がれます。どのように具体化されるのか、お聞かせください。

 第4に、地域精神保健体制の強化についてです。
 これまでに述べてきた施策を地域で推進していくために、保健所に配置されている精神保健福祉相談員の役割は重要です。精神障害者と家族の相談、訪問指導、市町村や関係機関との連絡調整、デイケア事業、通院患者リハビリテーションの受け入れ事業所の開拓、社会復帰施設、作業所などの整備促進や運営支援、市町村への技術支援や地域住民の理解促進など、ほとんどすべてを1人で担っておられます。入院中心から地域へという流れの中で、精神保健福祉業務の拡大に伴い相談員の複数配置が必要です。保健所の統廃合などはもってのほかですが、いかがですか。
 また、精神保健福祉総合センターについてですが、デイケアサービスや相談業務などの件数を見ても、府北部地域をカバーできていません。北部にもう1ヶ所サブセンターが必要だと考えますが、いかがですか。
 さらに、遅れた社会復帰施設の整備を促進する上で、センターに併設をしたモデル的な府立の援護寮や福祉ホームなどを設置してはいかがでしょうか。御見解を伺います。

 最後に、本府の精神障害者の施策を進めるに当たっての知事の責任についてです。
 この間、一定の法的な整備が進み、精神医療保健福祉施策が大きく転換をする中で、東京都などではその節目節目で地方精神保健福祉審議会の答申が出され、施策の具体化を進めてきました。ところが、本府では手帳の判定審査などは行ってはいるものの、重大な転換期であったこの10数年間、京都府の精神障害者施策に関する審議会の答申や建議書は見当たりません。法律では、精神保健福祉審議会は都道府県知事の諮問にこたえるほか、精神保健及び福祉に関する事項に関して知事に具申することができるとなっています。一体知事は審議会に対し諮問をされているのでしょうか。されているのであれば、どのような諮問か、それへの答申はどのようなものか、お示しください。
 本府の精神障害者施策のおくれの最大の原因の1つに、こうした知事の責任と主体的な取り組みの欠如があるのではないでしょうか。どのようにお考えですか。一刻も早く関係者の英知を結集して諸施策が前進するよう、知事がしっかり責任を果たすべきではないでしょうか。御決意を伺いまして、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

◯荒巻禎一知事  島田議員の御質問にお答え申し上げます。
 地域精神保健体制についてでありますが、京都府におきましては、従来から保健所に心理学などの専門的知識を有する精神保健福祉相談員を配置してきたところでございまして、今年度においては宇治保健所に専任職員の増員・複数配置を行いまして、体制の整備に努めているところでございます。この配置状況は全国的にも高い水準となっているところでございます。さらに、保健婦が精神保健福祉相談員資格取得講習会を受講することにより、保健所において精神保健福祉対策を一体となって取り組めるようにしているところでございます。
 一方、精神保健福祉総合センターは、保健所など関係機関に対する技術援助や関係職員の研修を行うとともに、思春期、青年期の健康相談やアルコール依存関連相談などを行っておりまして、専門的な相談活動を行う精神保健福祉に関する高度専門機関として設置しているものでございまして、その機能の充実に努めているところでございます。さらに、北部地域の保健所にも職員を派遣して、保健所が専門的な相談活動に取り組めるように必要な支援、指導を行ってきているところでございます。
 なお、精神保健福祉総合センターには、精神障害者の社会復帰を促進するための施設といたしまして全国に先駆けてデイケア施設を併置した総合的な精神保健福祉対策を展開しているところでございます。
 その他の御質問につきましては、関係理事者から答弁をさせていただきます。

◯河野栄 総務部長  府立医科大学附属病院の精神科病棟についてでありますが、近年の向精神薬の開発、普及により収容型の入院治療から社会とのかかわりの中で治療を展開するという方向に変化してきております。そのため大学病院では、有効な治療法を集中的に行い、できる限り短期入院治療に努め、その後は外来治療あるいは地域医療と連携し、より効果的な医療を行うこととしているところであります。こうしたことから、ここ数年では、1日平均30名程度の入院数で推移しましたことから、平成8年3月に45床に再編整備しておりますが、現在順調に運営がなされておりまして、大学では、当面現行の体制を維持していくことといたしております。

◯道林邦彦 保健福祉部長  精神科救急医療体制についてでありますが、その整備に当たりましては、関係者が医療機関や患者、保護者のみならず、警察、消防など多岐にわたりますこと、さらには精神科医療の特殊性や精神病床に係る医療圏が京都府全域となっていることなど、一般救急医療とは次元の異なる大きな課題がありますため、一般救急医療よりも多角的な検討が求められることから、順次関係者の御意見をお伺いする中で検討を行っていく予定であります。
 なお、洛南病院につきましては、従来から必要な職員を配置し、急性期治療病棟の設置を初めとして、公立病院の使命である処遇困難な患者の受け入れに努めているところであります。
 また、精神科救急医療に係る民間病院への助成や診療報酬につきましては、関係府県ともどもその充実につきまして国に対し強く要望を行っているところであり、今後とも機会あるごとに必要な要望を行ってまいりたいと考えております。
 精神障害者授産施設など社会復帰施設の整備につきましては、今後の精神保健福祉対策を推進する上で重要な役割を果たすものと考えておりまして、今後市町村の意向や関係者のニーズも十分に把握する中で計画的な整備の推進を図ってまいりたいと存じます。現在複数の整備計画がありますことから、計画者の考え方もよくお聞きした上で、必要な対応に努めてまいる所存でございます。
 また、グループホームとして公営住宅を使用することにつきましては、今回の公営住宅法の改正の趣旨を踏まえ、研究してまいりたいと考えております。
 次に、就業支援についてでありますが、共同作業所に対する助成につきましては、本年度も増額を行い、全国トップ水準の助成を行っているところであります。
 さらに、共同作業所で製作される授産製品につきましては、京都府授産振興センターを設置し、京都府を初め市町村や企業の行事等の記念品として活用いただくよう促進をいたしておりますし、また京都駅ビルの開業に当たりましては、共同作業所を初め障害者施設の関係者の方々の念願でありました、仮称ではありますが「福祉の店」を京都府、京都市連携のもと出店することといたしております。このように私どもも共同作業所等に対しましてさまざまな施策を展開しているところでございます。
 交通運賃割引制度につきましては、精神保健福祉手帳の制度化以降、国におきましても課題とされておりますことから、京都府といたしましても国に対し引き続き要望を行っているところでございます。
 なお、京都府におきましては平成8年5月以降、精神障害者保健福祉手帳所持者に係る府立施設使用料の減免措置を講じているところでございます。
 次に、通院患者リハビリテーション事業にかかわります訓練生の手当につきましては、社会復帰に向けての治療の一環という性格から、国の実施要領にも手当については定められていないところでございます。一方、回復が著しい方が雇用を前提とした職場適応訓練を受ける場合には訓練手当が支給されているところでございますので、回復の状況に応じ有効な制度の活用がなされますよう、医療機関や保健所、さらには公共職業安定所などともよく連携して、必要な対応に努めてまいりたいと考えております。
 地方精神保健福祉審議会につきましては、精神保健福祉総合センター設置の際にも答申をいただくなど、精神保健福祉に関する事項の調査審議に当たっていただいているところでございます。今後とも精神科救急医療についての課題を初め、精神保健福祉行政の推進に当たり、必要な御意見をいただく所存でございます。

◯島田敬子議員  お答えをいただきましたけれども、やはり救急医療体制の問題も社会復帰施設の問題についても「これから順次検討する予定だ」、あるいは「ニーズ調査を行う」ということで、まさにゼロからの出発というのが現状です。大変遅れています。
 知事から御答弁をいただきませんでしたけれども、京都府のこういった遅れを早急に打開するために、現段階でも結構ですから、早急に京都府精神保健福祉審議会に知事が諮問をされて、専門家の英知を集めて、さらにニーズ調査の結果も踏まえて、障害者と家族、そして住民参加で数値目標を明確にし、障害者計画の理念、目標が早期に達成できるよう責任ある対応をしていただきたい。再度、知事の御決意を伺います。
 細かな点については引き続き委員会等でさせていただきますとしまして、共同作業所の運営についてであります。共同作業所の運営費については、厳しい実情をしっかり見詰めてほしいというふうに思います。今回の増額分は20人の通所施設、作業所で50万円の増額。ちょうど消費税分で消えてしまう額だとお聞きいたしました。運営費では1人分の人件費は15万円しか保障できません。共同作業所をつくるところからまさに献身的に頑張ってこられた方々が、今、高齢になって、後継者を探すにも十分な人件費ではないというのが実情です。また、みんなで作業をして、通所者には月1万円ほど払った後、残るのは35万円。先日伺った施設では、作業のための機械が故障して、この修理費に5万円、10万円かかる、これは全部施設負担ということで、通所者にせめて交通費を出したいと思っても出せないというのが現状なんです。既に実践的に地域に根差した活動を続けておられる共同作業所をさらに支援し、地域の精神障害者施策の理解を進めていくためにも、さらなる補助対象要件の拡充など運営費の増額をされるよう重ねて求めまして、質問を終わります。

◯荒巻禎一知事  島田議員の再質問にお答え申し上げますが、いろいろ御説明申し上げましたけれども、ゼロからの出発とおっしゃいましたが、私たちは決してゼロからの出発とは思っておりません。その時々に応じて精いっぱい努力をしてきたつもりでございます。
 審議会へのいろんな諮問等につきましては、施策の決定に当たりまして、必要に応じて審議会へもお願いしてまいりたいと存じております。