委員会活動のまとめ
(1)今期1年間の本委員会の活動を終えての総括的な所感や意見、要望等について、各委員からの発言を本委員会の活動のまとめとすることが了承された。
また、「委員会活動報告書(案)」については、発言の参考とするとともに、各発言については、「委員会活動のまとめ」として追加記載の上、次期委員会の6月定例会の委員会において、SideBooksに格納することが了承された。
(2)委員会活動のまとめについての協議が行われた。
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◯田中富士子委員 この1年間、本当にありがとうございました。田中委員長をはじめ、古林副委員長、能勢副委員長には大変お世話になりました。また、理事者の皆さんには、勉強不足の中でしたが御丁寧に答弁いただき、本当にありがとうございました。
初めての議員としての議会活動に参加し、この文化生活・教育に関わることができ、大変多くのことを学びました。管内外調査では、各地の先進的な取組、特色ある取組を知ることができました。参考人の専門家の先生方の報告では、多くの学びを得ることができました。至らない点も多くありましたが、今後も御指導、御鞭撻のほどよろしくお願いいたします。
この1年間で私が重要課題だと思ったことは、教員の長時間過密労働の問題と、不登校児童・生徒の増加という問題です。1971年に制定された給特法(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法)下、公立学校教員は4%の調整額が支給されますが、残業代は認められておらず、残業が発生しても残業代未支給となっています。週5日制が導入されましたが、業務量が減ったわけではなく、1日の授業持ち時間数の増加となっています。社会状況は貧困の広がりで様々な子どもがいる中で、教師の業務量も増大しています。教員定数は非正規雇用者も可能にしている中で、正規教員への負担が増大しています。教員の過重・過密労働は深刻化し、教員のなり手不足を招いており、本府における教員の勤務上限指針45時間を大きく越えているのが現状です。是正するためには、教員定数を増やし、正規雇用とすることが必要だと訴えてきました。働き続けられる環境を整え、教員が成長できることや教員を尊重する学校づくりに力を入れてほしいと思います。
ここで、教員不足の穴埋めに非常勤講師や定年退職教員が講師として働いておられますが、その雇用状況についても問題点を指摘します。私は、定年退職後、中学校の国語教師として、講師で働いている方から相談を受けましたが、南宇治中学校で講師として勤務されていた大学院生が長期実習に入るということで、この方の代わりに2023年8月から国語を受け持ったという方です。しかし、その大学院生さんが想定より早く10月に復職されたということで勤務変更を学校側から申し入れされましたが、その内容が週16時間勤務を週4時間勤務に変更、さらには週4日出勤ということで1日1時間ずつ4日勤務ということでありましたので、こんな勤務はできないというふうに申し出ると、学校側に家庭科の臨時免許を取得するように命じられ、校内滞在時間は延ばされたということですが、実際には家庭科を教えていなかったということです。また、その際、御自分が持っておられた小学校教諭の臨時免許を消滅するということになったということです。そんなさなかに上腕を骨折してしまい勤務に就けない状況となり、休職を申し出ると「縁がなかったですね」と退職を強要されたということです。このとき、雇用契約の辞令を受け取らずに勤務していたということです。
教員不足の中で、定年退職後も講師として働いていただいている多くの教員の方々、これが契約の辞令もなしに学校の都合で使い勝手よく勤務させられているという実態がありました。私はやはり、契約書があり、辞令の下に労働に就いていただくということに改善していただくということを要望しておきます。
次に、特色ある高校づくりでは、同じ府立高校でありながら学校格差を広げてきました。新しい普通科を各通学圏に設置することとしていますが、基本的には社会を牽引するリーダーの人材育成、地域と連携・協働した学び、基礎の基本的な学び直しと分類しているように、明らかにそこにはエリートと非エリートの区別があり、これまで以上に競争主義的な高校教育をあおるとともに、学校間格差を拡大するものです。子どもを選別することで子どもの意欲を損なうことになり、さらに格差を生み出すことになります。
また、京都府は、望ましい学校規模ということで1学年6から8学級としていますが、全国的には都道府県で異なった学級数を望ましい学校規模としており、多くは4から8学級としています。府立高校の統廃合により、通学時間が長くなり、経済的負担が大きくなります。また、子どもを育てにくい地域につながり、地域間格差を広げ、過疎化を進める悪循環をもたらします。
特色ある高校、新しい普通科づくりにお金をかけるのではなく、また生徒数・学級数による安易な高校統廃合をするのではなく、近くの学校に、高校に通えるということや、どの学校でも様々な生徒がお互いを尊重し学べる学校にしていただくことを要望いたします。
最後に、DV防止及び被害者の保護・自立支援に関する計画、また困難な問題を抱える女性への支援に関する京都府基本計画の策定の中で、女性相談員の確保と人材育成を進めるということですが、現在、非正規雇用者が多いということや人材確保が困難な問題があります。相談員を専門職として正規雇用することや賃金を引き上げることなどで、ぜひとも人材確保を進めていただくように要望いたします。
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◯島田敬子委員 1年間、大変ありがとうございました。正副委員長、委員の皆様、事務局、理事者の皆様、お世話になりました。
1年間の委員会活動状況をまとめていただきまして、振り返ることができました。文化生活・教育における府政の重要課題について、皆さん、縷々述べられましたように、管内外調査と参考人制度を利用しての専門的立場からの御意見を伺うことができて、本当にたくさんの学びを私も得ることができました。
今年度の最重要課題として、教育環境整備、教員確保の課題があったかと思います。1つは、全ての子どもたちが安心して学べる教育環境整備、教員確保対策についてです。12月議会には、子どもと教育・文化を守る京都府民会議から12,590筆の署名を添えて、30人以下学級の実現、教育の無償化、全ての子どもたちが安心して学べる学校づくり、教育条件整備に関する署名が寄せられておりました。
12月議会、私はちょっとお休みをさせていただきましたが、議事録を拝見して振り返っておりました。30人以下学級実現について、先生を増やすのにはあと260人必要で19億円の財源がかかるとか、京都式少人数授業で成果を上げているなどの理事者の答弁があり、府議会としては令和2年に国に意見書も上げたなどの理由で採択がいただけませんでした。けれども、いじめや不登校児童・生徒が増え続けている現状や、教職員の長期休業、若い世代も含めて中途退職者が増え続けている中で、年度当初から教育に穴が開く事態など、子どもと教育環境をめぐる重要課題が山積しておりますので、これらを直視して、やはり教員を増やして30人以下学級を実現することなど、全ての子どもたちに行き届いた教育実現のために、国・自治体が抜本的に予算も増やし、本格的な取組が求められているということを指摘しておきたいと思っております。
教員の長時間労働の是正と処遇改善は、一刻の猶予もありません。その点で、5月13日、中央教育審議会特別部会が審議のまとめを公表しましたが、早くも現場から、学校現場の窮状を改善することにはならないとの声が上がっているところであります。
現場の先生方が求められているのは、少な過ぎる教員定数を増やすことや、何時間残業しても1円も残業代が出ない制度をやめることであります。京都府でも若い教員が辞めていく、先生のなり手がない、今年度も当初から教員未配置の学級・学校があるなど深刻な教員不足を招いております。司法の場でも、給特法はもはや教育現場の実情に適合していないのではないかとの判も示されておりますし、国立や私立学校は残業代を支給しております。部会は、教職員調整額を10%以上に引き上げるなどと言っておりますけれども、給与増は当然ですけれども、これでは長時間過密労働の問題は解決しないと思うわけであります。給特法を改正して、時間外手当が支給できる仕組みをつくり、時間外労働を抑制すること、仕事量に応じた教職員増を実現して、全ての先生方に自分の時間、家庭生活や社会活動ができる自由な時間を確保できる、そのような環境を整えなければならないと考えております。
子どもたちが先生に授業が分からなかったら「あのね」、そのように気兼ねなく先生にお話ができる、子どもの成長を保障できる教育環境を整えるために国へも必要な意見を上げていただきたいし、本府におきましても一歩でも二歩でも改善できるよう御努力をお願いしたいと思います。
長年の運動が実りまして、普通教室等にはエアコンが整備されてきました。お話が先ほどもありましたとおり、災害級の猛暑の中で子どもの命を守る点でも、また災害時の避難所となる点でも体育館への整備が急がれます。中学校給食や給食無償化等についてもリーダーシップを発揮していただくことを要望いたします。
2つ目は、全ての子どもたちがお金の心配なく学べるよう、そして子育て世代を応援する教育費負担の軽減でございます。教育費無償化は全国に広がっております。義務教育は無償という立場から国や府の努力を求めたいし、若い方々の希望をつなぐために高等教育の無償化も急務の課題であります。私立高校あんしん修学支援制度が順次拡張されていることを歓迎いたしますが、他方で中央教育審議会等では「国公立の大学の学費も値上げせよ」との意見が一部に出されていることは憂うべき事態であります。学費を引き下げ、給付制奨学金の拡充を国へ求めるとともに、本府の独自の創設等の検討も求めたいと思います。
3つ目には、支援学校・支援学級の児童・生徒が急増し、マンモス化して教室不足、教員不足が深刻になっていることです。障害がある児童・生徒が安心して学べる教育環境の整備に今後を見通して計画的な整備を重ねて要望したいと思います。
また、向日が丘支援学校の仮校舎3階屋上に芝生が張られるなど、地域の方の御寄付で実現したようでありますけれども、必要な予算はしっかり確保して保護者や現場の声にぜひ応えていただくよう要望いたします。
4つ目は、化学物質過敏症の児童・生徒に対する支援です。繰り返しませんけれども、実態調査を要望しておきます。
先日、文部科学省こども家庭庁の担当課とZoomで懇談する機会がありました。当事者の子どもたち、小学生から高校生までと保護者の皆さんと一緒に直接声を届けたわけですけれども、この化学物質過敏症問題は疾病概念が確立していないので、その被害を一律に収集することは困難だとの答弁を繰り返されて、参加されたお母さんが泣き出してしまうなどの事態もありまして、理解を広げるのは本当に困難だということに直面をされておりました。他方、各学校における個別の配慮を適切に行うよう周知するとか、学校と教育委員会との連携を強調されておりましたので、引き続き具体例でも改善ができないかとまたお知恵もいただきたいというふうに思っておりますので、お願いいたします。
最後に、北山エリア開発です。北山エリア整備基本計画の中核施設である府立大学の1万人アリーナ計画が取りやめとなりました。163,000筆を超える署名、議会の論戦、画期的であると地域住民の皆さん、大学関係者、府立植物園を応援しているたくさんの府民の皆さんからも喜ばれております。我が会派としては当初から、政府によるスタジアム・アリーナ戦略にのっとった、府立植物園を含む北山エリアににぎわいをもたらすというこの本質的な問題を明らかにしてまいりました。
他方、向日市の競輪場整備と一体のアリーナ建設を進める意向も示されておりますが、トップダウンではなく、まちづくりと一体に市民への情報公開と丁寧な対話を進められたいし、100周年を迎えた府立植物園の生きた植物の博物館としての今後の100年間を見据えた整備、また府立大学の学生用体育館や老朽施設の建替えなど早急な予算化もされ、計画的な施設整備を強く要望しておきたいと思います。
以上でまとめの発言といたします。ありがとうございました。