令和元年9月定例会 産業の担い手の確保・育成に関する特別委員会―2019年9月30日〜島田敬子府議・西脇郁子府議・馬場紘平府議の質疑応答部分

所管事項の調査

下記のテーマについて、参考人から説明を聴取した後、質疑及び意見交換が行われた。
 ・外国人労働者の受入れに係る企業の取組について

◯池田委員長  所管事項の調査についてでありますが、6月定例会の委員会での議論を踏まえ、本日のテーマは、「外国人労働者の受入れに係る企業の取組について」とし、参考人として、ジャパンマリンユナイテッド株式会社人事部外国人実習生統括グループ長の一重克彦様とサント機工株式会社代表取締役社長の山下敬史様に御出席いただいております。
 本日は、大変お忙しい中にもかかわらず、本委員会のために、快く参考人をお引き受けいただき、まことにありがとうございます。
 一重様におかれましては、東京大学工学部船舶工学科卒業後、日本鋼管株式会社において造船事業に携わられた後、経営統合等を経て、平成28年からはジャパンマリンユナイテッド株式会社に所属され、本年より現職である人事部外国人実習生統括グループ長として外国人実習生の確保・育成やマネジメントに御活躍されていると伺っております。
 また、山下様におかれましては、龍谷大学理工学部卒業後、平成13年に船舶用ディーゼルエンジンの部品等の加工や産業機械等の組立を行うサント機工株式会社に入社され、事業部長等を経て、平成26年からは代表取締役社長として、外国人技能実習生の採用なども含めて、積極的に事業を展開されていると伺っております。
 本日は、そういった日ごろの取り組みを踏まえたお話をお聞かせいただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、参考人の御意見を拝聴いたしたいと思いますが、説明の準備が整うまでしばらくお待ち願います。
 それでは一重様、よろしくお願いいたします。

◯一重参考人  それでは、皆様、こんにちは。先ほど御紹介に預かりましたジャパンマリンユナイテッド人事部外国人実習生統括グループ長の一重です。お手元の資料に沿ってパワーポイント、こちらのプロジェクターを用いながら御説明させていただきたいと思います。
 こちらの地図ですけれども、右側が御存じのように日本の地図で、左側がベトナムの地図になります。弊社の場合、外国人就労者は、ほとんどこのベトナムの方を採用しておりますので、内容的にはベトナム中心の話になることを御了解いただきたいと思います。この地図を並べたというのは、よく見ると日本と形がよく似ている、またはいろいろな国から外国人就労者を受け入れている会社は多いですけれども、特にベトナムの場合、日本のルーツと言われるようなこともありますし、食事などもかなりの日本人に合うようなことで、親和性の高い国の1つではないかというふうに思っております。ちょっと2つ並べるとその国の形がよく似ていることがおわかりいただけるということで、はじめに御紹介させていただきました。
 また、JMUは造船会社ですので、ベトナムの中でも船をつくる会社を中心に、そちらから就労者を受け入れております。この地図からもわかるように、日本ほど島国ではないんですけれども、国の約半分が海に面しているということで、造船業も非常に発展していっている国ではあります。昨今の造船不況の影響でベトナムの中での造船業というのは非常に苦しい状況にはありますけれども、地理的にはこのように海に面した造船業に適した国だということで、日本と協力しながら活動を行っております。説明に入る前に、先ほども私の入社以来の御紹介も一部していただきましたけれども、簡単に弊社の沿革、並びに私自身の紹介も含めて御紹介させていただきます。
 JMUというのは、もともとは日本鋼管と日立造船さん、舞鶴事業所などはもともと日立造船に属していた会社でしたけれども、その造船部門が1つになって2002年にユニバーサル造船という形に統合されました。
 一方、石川島播磨重工さん、IHIと住友重機械の浦賀の艦船部門ですね、こちらの2つが一緒になって、同じく2002年にマリンユナイテッドという会社ができていまして、その後、IHIマリンユナイテッドとなったんですけれども、この2つの会社が2013年に統合されて、今現在のジャパンマリンユナイテッドになっております。
 ですから、それぞれのもともとの会社のいろいろな事業所を数多く抱えておりますので、ベトナム人就労者に関しては今現在ある新造船、船をつくる5つの事業所のうちの京浜地区を除いた4つの事業所、具体的には三重県の津、それから広島の呉、京都の舞鶴、それから熊本の有明という4つの事業所で、ベトナム人の就労者を採用しております。私自身は日本鋼管の鶴見造船のほうに入社をしまして、ちょうど大学3年生のときに鶴見で現場実習をしたときに、ちょうど南極観測船のしらせをつくっているときで、こういったところで働きたいと希望したら、そのとおり鶴見の造船のほうの現場に入社ができまして、その後、何年かしてから津に転勤をしたり、いろいろ統合を経たりして、さまざまな事業所で仕事をしながら、今現在、横浜の本社のほうで働いているという形になります。京都でお話しさせていただくというのも何かの縁かなと思うんですけれども、大学でも卒論では南極観測船をテーマにしておりまして、ちょっとこちらにユニバーサル造船のときのものではあるんですけれども、弊社の今現在の南極観測船しらせ、これはしらせの2代目になるんですけれども、これを弊社の舞鶴事業所で建造して引き渡しを行っております。
 また、姉の親友に白瀬さんという方がいて、たまたまその白瀬の名前のもとになった白瀬中尉の孫娘の方のようで、先日もお会いをしたんですけれども、こういったしらせの引き渡し式のようなものが舞鶴事業所であったときには声がかかって出席されるような方が、たまたま姉の友だちであったりというような形でいろいろと、これも何かの縁かなということで、本日お話をさせていただいております。
 具体的に技能実習制度についても沿革を簡単に紹介させていただきますと、平成2年に研修制度というものが開始をされて、平成5年、9年というように、もともとは研修は1年間だけだった制度が実習を1年加えたり、あるいは実習が2年に延びたり、平成22年には研修制度から技能実習制度という形に制度が変わったりというような形で、実習制度に関しては平成29年に実習3号の2年を加えますと、トータルで5年間いられるという制度に今現在なっております。
 ただ、この実習3号というのは優良企業に認定されたところでないと採用ができないんですけれども、弊社の場合にはそういった認定をされておりますので、現在ではこの実習3号で受け入れている実習生もございます。
 それから、これらの制度に沿ってジャパンマリンユナイテッド、弊社の外国人の受け入れの沿革ですけれども、平成5年に実習制度が創設された直後、当時、日本鋼管の津事業所のほうで、ベトナム人の実習生の受け入れを開始しました。当時、私はちょうどこの津に勤務しておりまして、外国人を受け入れる組み立てという部署の係長を、ちょうど担当しておりましたので第1期生の外国人を受け入れたときから現場で一緒に仕事をしていたというような縁もございました。その後、日立造船さんと統合してユニバーサル造船になったときに、この津での経験がかなりありましたので、その経験などを踏まえて有明事業所のほうでもベトナム人の実習生の受け入れを開始しております。
 それから、まだ統合前ですけれども、IHIMUさんのほうでも呉事業所で、2006年にベトナム人の受け入れを開始しておられます。この受け入れに際しては私が津にいたころにIHIMUの方も津のほうに来られて、いろいろ実習のことをヒアリングされたりとかということで、いろいろお話ししたようなことも記憶にあります。
 それから、舞鶴事業所では2012年から受け入れを開始しています。その直後、2013年にジャパンマリンユナイテッドという会社になりまして、現在に至っておりますけれども、今までお話しさせていただいた実習生とは別に、特定活動という制度もございます。こちらについては、2015年からグループ会社も含めて受け入れを行っております。
 それから、実習制度も年々いろいろと変わっていて、一番最近のものとしては、2017年が新技能実習法という形になっておりますけれども、今年の4月に新しい特定技能という制度ができております。これについての説明資料ということで、国土交通省さんのこちらの資料がございます。
 現行ですけれども、先ほど御説明させていただいたように、実習の1号が1年、2号が2年、その後に優良企業として認定されたところは、3号がさらに2年とあるんですけれども、その前にこの特定活動というのが国交省関係では造船と建築関係ですね。これがオリンピック向けの人材不足に対応するという形で、時限立法で今現在、特定活動者を弊社でも数多く採用しております。受け入れとしては、来年度いっぱいまでということで、最終的な活動そのものは2020年度末で終了という形になっています。ですから、最長3年間という期限があるんですけれども、今年度中に受け入れをすれば、2022年まで3年間採用できますし、来年度中に採用すれば、2022年までに2年間という形で、まだこの時限立法が継続して使える形になっております
 こういった制度が残っているので、この4月からスタートした特定技能1号というのは、まだ弊社では実際には採用は始まっておりませんけれども、徐々にこちらへの移行という形で特定活動者が時限立法なので、なくなったときには特定技能に移っていくというような形で予定をしております。
 こちらの新しい制度は、滞在が通算5年間になりますし、またこの1号の後に2号という制度であれば、またさらにそれ以上の滞在が可能という新しい制度になっております。
 それから、同じ国交省さんの資料で、先進的な受け入れ企業の取り組み例という形で、ホームページ等でもこういった資料が紹介されておりますけれども、この中の造船所B社、九州地方とあるのがジャパンマリンユナイテッドの熊本の有明事業所になりますけれども、具体的な中身は津のものであったり呉のものであったり、若干いろいろな要素を混ぜて資料としては作成されておりますけれども、これを読んでいただくと弊社の実習制度の取り組みの概要がおわかりいただけるかと思います。
 ちょっと字が小さくて見にくくて申しわけないですけれども、お手元の資料で、あとでじっくり読んでいただければおわかりいただけるかと思うんですけれども、概要を簡単に紹介しますと、出身国としてはベトナムです。安全指導などは通訳を使って行っております。先ほど言いましたように、1995年に私が工場のほうで係長をしているころに、制度がスタートしたということで、そのころ、リクルートに行っていたころのハノイは、海のあるハイフォンというような海側まで行くのに、今現在ですと高速道路があるので車で行けるんですけれども、当時あまり車というものもなくて、舗装されていない土の道をほとんどの人は自転車で移動しているような中を数少ない車に乗って移動していたような記憶があります。それから、もう既に24年ぐらい経ちますけれども、ベトナムのほうも非常に発展をしてきています。
 通訳の件についても、私が初めてベトナムに行ったときには、日本語がわかる通訳の方がいなかったので、英語とベトナム語がしゃべれる方が通訳で、実際リクルートするときには、現場の班長クラスを一緒に連れて行くんですけれども、そういった班長クラスが具体的な質問をするのを右側の耳から日本語で聞きながら、左側の通訳の方に英語で話をして、その通訳の方と正面にいるベトナム人の方とがベトナム語でしゃべっていると非常に苦労した思い出があるんですけれども、現在はもう各事業所の就労者が非常に数多くなっていますので、1名ないし実習生の人数の多いところでは2名の通訳が専属として勤務をしております。こういったこともあって、サポート体制がしっかりしているということと、それから昔に比べると1、2年で帰ってしまうということがありませんので、3年あるいは5年という期間、日本にいてくれていますので、1年目などはなかなかまだ言葉がうまくしゃべれないような場合でも、2年生、3年生、5年生のような日本に長くいる方がサポートしながら、通訳、1人2人では行き届かないところは日本の滞在が長い方がサポートしてくれるような体制で行っております。
 それから、ほとんどの事業所は寮として、アパートが事業所の近くにありますので、自転車が1人1台ずつ割り当てられて、通勤は主に自転車での往復になります。休日の買い物などもその自転車を使って行っております。
 ただ、津だけはちょっとアパートが事業所から遠いというような事情もありまして、バスでの通勤になっております。それ以外は自転車通勤ということで、私、熊本の有明事業所にも3年ほどいたことがあるんですけれども、ベトナム人がいるアパートと同じアパートに単身で行っていたんですけれども、ちょっと自転車だと雨の日とかが大変じゃないかと思われる方も多いかと思うんですけれども、車も持っていたんですが、駐車場までは車のほうが早いんですけれども、実習生などが仕事をする現場のハウスというのがその会社の駐車場から歩いていくと10分以上かかるようなところにありまして、たまたま自転車で行くと有明事業所の場合は中まで乗り入れられるんで、アパートから自転車で漕いでいくと、途中で車を追い越して時間的にはあまり変わらずに構内を自転車で行ける分だけ非常に早く着くというケースもございますので、休みの日は自転車でかなり遠くの熊本市内まで行ったり、そのような形で日々の生活も行ってくれています。
 また実際のベトナム人の生の声はこちらのほうにいろいろ書いてありますけれども、いろいろと教えてもらえるので日本語もだんだん上達していっている、宿舎などもきれいで自転車も貸してもらえるので便利だというような話があります。
 それから、受け入れのキャリアパスについては、先ほど御説明させていただいたように、1号、2号、それから3号ないし特定活動という形で、最近では5年間あるいはこの4月からの新しい制度を加えますと、さらにそのプラス5年間というような形でのキャリアパスになってきております。それらを含めて実習だけではなくて、この右下のほうにも書いてありますけれども、10年あるいは、それ以上いられるようになれば、日本人で言う班長クラスのような、そういった活動もできるのではないかということで、そういった制度の改革などについても取り組み始めたところでございます。
 それから、今回の報告に際して事前に幾つかの御質問をいただいておりましたので、それに回答するような形でメモをとってきております。
 まずは、担い手として確保されるに至った経緯ですけれども、何度もお話しさせていただいているように、日本鋼管津事業所で1995年に受け入れを開始しました。受け入れ企業、送り出し企業、技能実習生のこの三方のメリットについては、また後ほど具体的に御説明させていただきます。
 確保に当たって工夫されたことということで、今の団体管理型という形で、組合のようなところを経由して採用されている会社がほとんどなんですけれども、我々は企業単独型と言って、10億円以上というような規模での外国企業との取引がある、あるいは3年間以上継続した取引があるというようなところに対して、企業単独型という方式が採用されているんです。会社としては全体の1、2%程度のところしかないんですけれども、弊社の場合には、この企業単独型という形で24年間ぐらいのベトナム企業とのおつき合いを通じて採用を行っています。試験方案などもその当時からいろいろ自分たちで試験方案をつくって、現地で実技試験、学科試験、それから面接などをして人選して、日本国内で1、2、3年ぐらいの実習期間は教育して育てていく。かなり技量的に上がってきて以降は、特定活動のような形で、またさらに継続して就労していただいているという形になります。
 最近はSkypeなども無料でいろいろ使えるようになっていますので、現地に行かなくてもSkypeで面接をして、日本語の習得状況などフォローを行ったりということができるようになってきています。
 それから3番目の受け入れに当たって準備されたことということでは、各事業所のアパート、大体みんなベッドで寝ることが多いので、特に畳はフローリングにかえたり、自転車、それから最近ではWi-Fi、ほとんど無料のスマホを使いながら本国の家族とコミュニケーションをとっておりますので、そういった環境をより整備するという意味で、アパートにWi-Fiを整備したり、あるいは工場内、アパート含めてベトナム語の表記、こういったところを整理しております。
 それから、繰り返しになりますけれども、通訳の配置ですね。それと、津に関しては、先ほど言いましたように、バスの手配、これは地元の交通会社と調整をしながら、バスの便を増やしてもらったり、夜勤などはちょっとバスまでは対応ができませんので、こちらについてはジャンボタクシーなどの手配という形で対応しております。
 それから、育成ですけれども、基本的には技能実習計画というものを作成して、それに目標をつくってフォローしていくということが基本になりますけれども、それ以外にやはりコミュニケーションですね。スポーツレク、祭り、出店、社内のお祭りなどではベトナム人の屋台のようなものが出て、生春巻き、それから揚げ春巻き、こういったところが非常に人気があるので、早く行かないとなくなってしまうぐらいです。
 それから、地域行事への参画という点では、7月末に舞鶴におきましては、ちゃった祭りへの参加ということで、JMUのチームの中にベトナム人もま混ざってもらったそうですけれども、約25名で参加したというふうに聞いております。
 それから技能交流会という、これは、もともと社員の技能向上のための技能オリンピックのようなものを従来からいろんな職種で行っていたんですけれども、これにもベトナム人が参加するようにいたしております。
 それから、労働者の受け入れ意識ですけれども、私が係長をしていた当時からそうですが、同じ世代に負けたくないというような競争心を持っているというのが本音のところかなと思います。
 一方で、班長クラスは自分の部下になりますので、休みになると自分の家に呼んだりとかそういった形で接しているので、ここに書いてある例は私の部下の班長が言っていたんですけれども、ベトナム人研修生が非常に若くして頑張っている姿を見て、もう自分の息子のように思ってしまって、帰国するときにはもう寂しくて泣かれて困ってしまったよという話もよく聞かれましたし、特に請負を始めた三重県は、私の極めて個人的な感想ではあるんですけれども、伊勢神宮があったせいか、皆さん、おかげ犬って御存じでしょうかね。犬がお伊勢参りをするというのが昔、江戸時代にあったらしくて、死ぬまでに1度はお伊勢参りをしたいと思って一生懸命頑張ってお金を貯めたんだけれども、年をとってもう行けなくなった人が、かわりに犬にお金をぶら下げて行ってもらうというのが本当にあったらしくて、それを三重県というのは私の印象ですけれども、いろいろなところからお伊勢参りの人が集まってきていたので、そういった人たちを迎え入れるような気質があったのかなというふうに思っています。犬でもちゃんとお参りができて、その後、住所が書かれたものを何かぶら下げているらしいんで、ちゃんと家まで送り届けるというようなことが昔から行われていたというふうに聞いています。
 最近、お伊勢さんに行っていただくと、おかげ犬のキーホルダーとかもございますので、御参考までに。これは極めて私の個人的な感想ですけれども、そういった外国人に対しても非常に受け入れるようなことで弊社の場合、うまくスタートができて、それが他の事業所にも展開されていったかなと思います。
 それから、先ほど1番目に出た受け入れによるメリットとデメリットですけれども、メリットとしては我々受け入れ企業としては安定した労働力の確保、またベトナム人就労者、非常に残業、休日等もよく協力してくれていますので、これによって日本人の労働環境、なかなか人が少ないときには、どうしても残業でカバーするしかなかったんですけれども、働き方改革等も含めて、少しでも労働時間を短くしていくという中では、こういったベトナム人就労者の協力というものが、非常に日本人の労働環境改善にも役立っております。
 それから、送り出す企業にとっては当時からよく言われていましたけれども、日本で技能習得すると、これがいろいろな教育をベトナムでベトナム人がやったところで、いかに教育するとしても、なかなかこう実技に勝る教育はないということで、本場の日本に行って日本人と一緒に働くと、実際の仕事をするということがどんな教育よりも有効であるということを皆さん、口をそろえておっしゃっていましたので、これは今でも変わらないかなというふうに思っております。
 それから、実習生自身にとっては高収入ということで、昔はよく3年間行って約300万円ためて、ベトナムに帰ったら家を買うというのが1つのパターンになっていました。最近では、ベトナムのほうも物価も上昇等して、なかなか3年間で家が買えるほどにはならないかもしれませんけれども、まだまだ日本で働くことによって得た収入でベトナムに帰って家を買うということを目標に、皆さん頑張ってくれています。
 デメリットとしては、やっぱり語学の壁、一生懸命勉強はしてくれていますけれども、日本語は非常に難しいと思います。中国の方は漢字があるんで日本語を漢字で結構理解できるケースが多いようですけれども、ベトナム人のように、やっぱりアルファベットを使うような国の方々にとってはハードルが高いということで、適応できる職種が限定的ということがデメリットかなというふうに思います。
 それから最後、今後、受け入れを予定されている企業へのアドバイスですけれども、まず1つは相手の国の文化を尊重するということが大事かなと思います。ベトナム人の場合には、具体的に頭をさわるというのは余りよくないというふうに言われているとか、日本人と同じような形で接すると、ちょっと向こうにとってはよくない対応になってしまうというケースもあったり、あとはかなりプライドの高い国民性なので、人前で叱ってはいけないとか、何か怒るときには、みんなの前というよりは個人的にちょっと呼んで注意してあげたほうがいいというようなことを言われたりもしています。
 あと、これはベトナムではないんですが、私の経験の中で、ちょっとブラジルに2年ほどいたことがあったんですけれども、ブラジル語で明日のことを「アマニャン」というんですが、日本人がいつやってくれるんだと言うと、よくアマニャンという答えが返ってきます。そうすると、日本人はそれを翻訳して明日やってくれると約束したと思って、次の日になってやらないとブラジル人は嘘をついたと怒る人がいるんです。何ヶ月か住んでいるとわかるんですけれども、彼らが、アマニャンと言ったときに、明日やりますと決して約束していないんですね。今日は無理ですというような意味で言っているだけなんで、どういうつもりでそういうことを発しているかということも、ちゃんと向こうの立場で理解すると、そういった怒るようなことには至らないと思うんですけれども、自分たちの尺度で翻訳して彼らは約束を守らないみたいなことになると、そういったことが誤解に通じることもありますので、そういったことも含めて、相手の文化を尊重するということが非常に大事だなというふうに私の経験上、思っています。
 それから最後に、もう1つ、コンプライアンスですけれども、これは今年の1月25日に4つの企業で実習計画の認定取り消しという事例が新聞等でも報道されています。特に注意しなくてはいけないのが、実習生に全く関係のない法令違反でも認定取消の対象になるということで、これらの企業の中には非常に大きな企業も含まれています。日本人の方が法で定められた以上の残業をして、それが原因で自殺をしたということが過労死の認定を受けて、それがもとで刑がおりたというような事例がもとで、その事件に全く関係のない外国人実習生が80何名かが、実習が継続できなくなって、一部は本国に帰らざるを得ないとか、そういった事例もありますので、特にコンプライアンス、実習生の法律だけではなくて、労働基準法あるいは安衛法のような災害が起こってしまって、その内容によって刑罰になったりしたということも事例になりますし、もう1つの会社では、役員の方の相続税法違反というようなことが原因で認定取消ということもありますので、そういったところを今まで以上に新しい制度がどんどんできてくるということは、またそういった法的な制約というのもどんどん厳しくなってきておりますので、そういったところへの注意が重要ではないかと思います。
 ちょっと簡単ではございますけれども、以上で私の説明を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

◯池田委員長  ありがとうございました。
 次に山下様、よろしくお願いをいたします。

◯山下参考人  それでは、私のほうからの説明をさせていただきたいと思います。本日は私どもの取り組みに関しまして発表させていただく貴重な機会を頂戴いたしまして、まことにありがとうございます。先ほどのお話と比べますと非常に目線の低いお話の部分があろうかと思いますが、しばらくお時間のほうを頂戴して説明をさせていただきたいと思います。
 まず弊社の会社概要についてでございますが、創業は1952年でございます。先ほど御質問等もいただきましたけれども、サント機工株式会社のサントとは何ですかというところでございますが、綾部市の田舎ですので山の都かなと。綾部は皆様、御存じのとおりグンゼ株式会社様の発祥の地でございます。グンゼ様が大きく伸びられたのは何かと言いますと、養蚕業、絹糸をつくられてそれを世界に売っていかれて非常に大きくなられた会社でございます。綾部のまちはその養蚕業で栄えたまちということで、蚕の都と書いて「さんと」というふうに呼ぶようなこともございます。そこの地名のところからお名前をいただきまして、もともと創業したときは蚕都機工製作所、そして1954年に株式会社になりまして、現在第66期、今の社名につきましては昭和40年代後半に、CI運動というものが非常に盛んだったそうでございます。コーポレートアイデンティティということで、各社がこぞって会社の名前を片仮名に変えたりとかといったときに、私どももお取引先様が京都市内のお客様であったりとかというところで、さんとと呼んでいただけないということが多々あったようでして、今の片仮名のサント機工株式会社になったというふうに聞いております。
 所在地につきましては、京都府綾部市の井倉新町ということで、JR綾部駅、電車で来ていただきまして、そこから徒歩10分圏内、綾部駅から福知山方面に電車で走りますと、1つ目の踏切までに向かって右手に私どもの会社が見えますので、ぜひ福知山方面へ行かれた際は、ああ、ここにあるんだなと見ていただけたらなというふうに思います。
 事業内容につきましては、マシニングセンターとかフライスとか旋盤という工作機械を用いまして機械加工をさせていただいております。
 お手元の会社案内のほうをつけさせていただいておりますが、素材といたしまして、鋳物と呼ばれる鉄を溶かして形をつくった、そういった素形材と呼ばれる素材を中心に加工のほうをさせていただいております。
 あと、その加工したものを使って、組み立てアセンブリーを一部させていただいたりとか、工業用ファスナーの機械選別をさせていただいたりしております。
 あとで説明させていただきますけれども、工業用ファスナーとは何なのということなんですけれども、これは地元の日東精工様のネジ、工業用のネジのことを工業用ファスナーというふうに呼んでおります。
 続いて、主要な取引先と生産品目ということでございますが、当社におきましては、ヤンマー株式会社様が一番取引額が多くて、約40%弱ぐらいがヤンマー様でございます。
 あと、株式会社エクセディ様、株式会社エクセディ鋳造様、こちらグループ会社でお仕事のほうを頂戴しております。主に研究用のトランスミッションの部品のお手伝いをさせていただいております。エクセディ鋳造様については、福知山市の会社でございます。
 地元の綾部市にあります上場企業の日東精工株式会社様、こちらが先ほど言いました工業用のファスナーの選別並びにカシメ機、中空リベットという素材がありますけれども、そちらのほうをかしめるための機械、具体的に言いますと、小学生などが背負っておりますランドセル、これが革と革を銀色の鋲でとめてあると思いますが、それをとめておるのが中空リベットでございます。日東精工様については、その中空リベットもつくっておられて、それをかしめるための機械もつくっておられます。そのかしめるための機械を私どもがお手伝いさせていただいております。
 京都市伏見区にあります歯科医療機のトップメーカーでありますモリタ製作所様、兵庫県尼崎市にあります大東精機株式会社様、亀岡市にあります宮木電機製作所様、あと村田機械株式会社様、村田様から一部派生しましたTMTマシナリー様、このTMTの略は東レ、村田、帝人、この3つの会社の名前をとられてTMTマシナリー株式会社、繊維機械の会社でございます。あと消防自動車の株式会社モリタ様、そして先ほど発表されましたジャパンマリンユナイテッド様とも、非常に少額ではありますけれども、お取引させていただいております。
 従業員数でございますが、資料をつくった時点で、非常勤役員並びにパート、雇用延長を含みまして68名でございます。役員が私を含めまして3名、正社員が34名ですけれども、うち外国人技術者が3名でございます。雇用延長が65歳未満が4名、65歳以上が3名、最高齢は72歳でございます。契約社員が4名、パート社員が4名、うち外国人のパート社員が1名でございます。
 外国人技能実習生が15名、通常は12名ですけれども、今、帰国前の方と新しく入ってきた方が重複しておりますので、資料を作成した時点では15名でございます。
 アルバイトが元実習生の外国人が1名、あと障害者が身体障害者が2名と知的障害者が2名で4名でございます。
 なぜ細かく書かせていただきましたかと言いますと、多様な人材を雇用させていただいておるというか、そういった仲間でやらせていただいておるというのを少し表現させていただきたいがために少し細かく書かせていただきました。
 ここからは最初にいただきました質問に対しまして1つずつ回答していくという形で発表のほうをさせていただきます。
 まず、外国人実習生制度の取り組みの経緯でございますけれども、2006年、約13年前ですね。当時は生産変動に対応するために人材派遣もしくは請負で入っていただいてというところを利用しておりました。
 しかし、派遣会社が人を連れてこない、なかなか人を見つけて連れてこられない。また、連れてきてくれても非常にレベルといったら失礼ですけれども、例えば2、3日で来ないようになるとか、そういった問題が非常にありまして、人の確保、非正規で雇う人の確保というところに非常に苦心していた時代がございました。
 私ども品質関係の認証といたしまして、ISO9001を認証取得しておるんですが、それの指導をしてくれる先生として京都のガス機器をつくっておられるメーカーさんの元品証担当の方が来ておられました。その方の元勤務先が外国人の実習生、ベトナム人の方を使っておられまして、非常に良い感じですよと。よい感じというのはどういうことかというと、安いコストで使えて人間性もいいですよと、穏やかで真面目ですよというようなことの御紹介がありました。
 当時の私どものまちの状況なんですけれども、綾部市は先ほど言いましたように繊維関係の会社が非常に多くありまして、中国人の技能実習生を比較的早くからお使いになっておられました。この中国人の技能実習生の方を使っている会社さんにいろいろ情報交換で聞くと、言うことは聞かへん、生活態度には問題がある、できれば使いたくないぐらいの感じのことをおっしゃっておられる。よくない評判をよく聞いておったというところで、当社としては外国人の方の採用実績もないし、周りの評判を聞くとトライしなくていいのかなというふうに思っておったわけなんですけれども、当時の社長、先代の社長と当時の統括部長が、先ほど紹介しましたISOの先生経由で組合のほうを紹介していただきまして、そちらの組合のほうがベトナムの視察ツアーを組んでおりまして、そちらに行かせていただきました。そうしましたら、もう既に面接会がセッティングされておりまして、3名採用が前提で向こうに行きますと、こういった会議室にずらっと向こうに10名ぐらいのベトナムの若い方が並んでいて、ぜひ日本に来て働きたいというような面接会だったということで、3名採用を決めて帰ってきてしまったというのがもともとの経緯でございます。
 先ほど御説明がありましたけれども、弊社につきましては技能実習生については、団体管理型でございますので、大阪のほうにあります組合に入らせていただいて、そういった送り出し機関、受け入れ機関を使わせていただいております。
 2007年の秋に3名採用して入国してまいりました。1人は来ないね、どうしたの、逃げました。ええっ、逃げた。1人は日本語も最初から非常によくできる、機械も最初からよくさわれて図面も読めるし、この方、よかったよねと言っていたら、その方の親族にうちの送り出し機関がベトナムで、おまえの親戚、日本のサント機工で頑張っているぞと写真を見せたらそんな人知りませんと、じゃあ、サント機工にいるのは誰やねんという話になったときに、どうやら偽造パスポートやったということで、偽造パスポートがつくれるということは、それなりにも政府の関係とかにあると非常にまずいよねということで、私どもは受け入れ機関と相談いたしまして、寝込みを襲いまして夜中の3時ぐらいに彼が寝ているところに行って、そのまま関空に連れて行って、そのままさよならをしたというようなことがございまして、波乱の幕開けと。実習生制度、外国人を採用するのは非常に難しいよねと実感した次第でございます。
 これで今、1期から16期、名前を書いていますけれども、約12年で約22名、私どもから卒業してくれております。大きな問題は1期生の2名のみでございました。あとは1人病気で帰ってしまった方がいるんですけれども、あとはもうきちんと3年間満了して帰国をしてくれております。帰国後も良好な関係を構築させていただいておりまして、私どもが面接にベトナムに行くというふうに言いますと、オートバイで3時間、4時間もかけてわざわざ会いに来てくれたりというようなところがありまして、非常にいい関係ができているのかなというふうに思っております。
 また、ベトナムに帰り、日系企業に勤めまして、その後、日系企業内の企業内転勤みたいな形で日本へ戻ってきている方も何名かおります。岡山県に私どもの卒業生が日本でベトナム人と結婚して勤めていると。その方が、ことしの夏ですけれども、私どもの綾部のまちに地元のお祭りがあるんですが、夏祭りにも来てくれたというようなところで、そういった個人的なつき合いもさせていただきながらやらせていただいております。
 今、先週9月末で2名帰りまして、10月末で1名帰りますので、通常は12名体制で実習生を受け入れさせていただいております。現在の外国人の体制でございますが、技術者、社員としてカウントしている技術者が3名おります。うち1名は元実習生でございます。私どもで3年間の実習を終わりまして、ベトナムの国に帰りまして、その後、同じような製造業に約1年弱勤めまして、その後、私どものところに戻ってきたいということを言ってくれましたので、入管のほうに申請を出させていただいたらオーケーが出ましたので、今は社員として頑張ってくれております。
 資料をつくった時点では実習生が15名、10月末になりますとまた12名に戻っていきます。あとパート、女性の方で1名来てくれています。綾部のまちも実はベトナムの方がたくさんいらっしゃいまして、非常にコミュニティが盛んです。サント機工、パート、社員の方を募集しているけれども全然集まらないということで困っているのを、やっぱりベトナムの実習生も知っているわけで、綾部にあります他社さんのところに技術者として来ている男性社員の方の奥さんが勤めたいと。技術者の奥さんというのは、週25時間か特定活動かな、という資格で働けますので、フルタイムではないんですけれども、パートタイマーとしてお手伝いしに来てくれているということで、外国人の方が外国人を呼んで来たということでございます。
 アルバイト1名ということで、この方も元実習生です。元実習生で高卒の方はなかなか技術者として日本に帰って来られないんですが、仙台の日本語学校に戻ってまいりまして、そこで2年間、日本語学校で勉強しまして、その後、技術系の専門学校に2年行けば就労ビザがとれるということで、千葉のほうの学校と舞鶴のポリテクカレッジに受かりまして、今、舞鶴のほうで勉強しております。2年生です。私どものほうで一生懸命声かけをしまして、2020年の4月からは私どものところに正社員としてきてくれる約束で、今は土曜日とか日曜日の時間のあるときにお手伝いに来てもらっているという状況でございます。
 合計20名で通常は17名、先ほど68名と社員数を言わせていただきましたので、約30%がベトナム人、外国人という状況になっております。当社にとってはなくてはならない人材の一部となっております。あと技能実習生から技術者にシフトしつつありまして、特定技能での受け入れも検討しております。今はほとんどが技能実習生でございます。
 実習生確保での工夫ということで、基本的には3年で帰国ということで、2017年に法律が変更になりまして、3年終わった後に3号に移行しましたら、あと2年採用することが可能なんですが、当社といたしましては今のところ、3年で帰国させております。あと3年生、3年目の方が帰国する前に新入生が入ってきてできるだけ重複するようにしております。これは仕事引継ぎのためで、仕事は実習生から実習生、技術指導ということをできるだけしております。
 これは、もともと言葉の壁がございます。そこにさらにもって技術の壁がある中で、2つの壁でもって日本人が一生懸命、新人に教えても、これはなかなか伝わりませんので、基本的にふだんやる作業というのは、ベトナムの方からベトナムの方へ教えるというのを基本とさせていただいております。
 ストレス発散はパーティーということで、私ども30歳ぐらいまでの20代前半とか20代半ばの男の子を2人ないし3人で一部屋に住まわせているんですけれども、その方たちが例えばサッカー、ベトナム対日本、こんなのを夜テレビでやっていてお酒を飲みながら騒がれた日には、もう隣近所からクレームの嵐で大変です。非常にカラオケが好きですね。仕事が終わって、鼻歌まじりにカラオケで歌ったりするんですけれども、そういった部分で非常に御近所からお叱りを受けるということで、もう基本的に寮とかで歌とかテレビとかで大きな声を出さないでね、そのかわり会社の食堂を貸してあげるから、そこで思いっきり騒ぎなさいよというふうにさせていただいております。
 受け入れに際しての準備ということで、まず住居の準備ということで、当然私どもの規模ですと、寮を建てたりとかということはできませんので、まず最初は一軒家の借り上げをいたしました。現状は一軒家とアパート3室を借り上げて、そこに住んでもらっています。あと家電、冷蔵庫、洗濯機、炊飯器、照明も当然ないので、そういったものも全て用意する必要があります。寝具、お茶碗、お箸、スプーン、そういったものも全て会社のほうで用意してあげる必要があると。あと、インターネット環境の整備は必須です。なぜかと言いますと、日本人はどちらかと言うと便りのないのは元気な証拠で、息子、元気にやっているんだなというのものだと思うんですが、ベトナムの方というよりは、日本人以外の東南アジアの方は皆さんそうだと思うんですけれども、1日1回はやっぱり家族の方とお話をしたい、そういった要求は非常に強いかなというふうに思います。
 ですので、インターネットの環境があれば、持ってきておるパソコンであったり、携帯電話、スマートフォンでSkypeなり、FacebookのMessengerで、直接 Face to Face でお話ができる、それは非常に彼らにとって大きな重要なことでしてて、インターネットの環境というのはつくってあげる必要があるのかなというふうに思っております。
 そういった日々の維持費に関しては、基本的に寮費という形で私どもは徴収はさせていただいていますけれども、最初の準備に関しては、やっぱり会社側が用意してあげる必要はありました。
 あと、受け入れに際しての準備と育成ということで、最初、当然、私ども外国人の方を使ったことがないということで、日本人社員への周知、受け入れの周知というのはさせていただきました。最初は3名を受け入れたんですけれども、結果的に1名になりましたので、その1名に関しては60歳を超えて、その当時、雇用延長で来ていただいた方にべったり張りつけまして、もう師弟関係で最後、帰るときは、非常に泣いて別れていましたけれども、そういった形でべったり教えていただいて、非常によい技術を身につけて、最後は役に立つ技術者に育ってくれましたけれども、そういった形でしておりました。
 現状は受け入れを繰り返していくたびに、人数がふえてきておりますので、実習生から実習生へまずは教えるということをしております。できばえはどのようにして確認していますかという話になるんですが、私どもは機械加工屋でございますので、できばえというのは見た目と測定値というもので客観的に評価できますので、そういったところでしっかり技術が伝わっているかどうかという確認をしております。
 あと、繰り返しの作業であるとかポイント、こういったものは組合に通訳がおりますので、組合の通訳さんを通じて翻訳してもらって、ベトナム版の作業指導書というものをつくって、彼らに指導をさせていただいております。
 受け入れによるデメリット。メリット、デメリットという部分で、先にちょっとデメリットというのを言わせていただきます。
 ただ、デメリットと言いますけれども、技能実習生という制度の趣旨を正しく理解しておれば、デメリットと言っているほうが間違いやと思われるというふうに思いますが、あくまで中小零細が受けたときに感じるということというふうに思って聞いてください。
 まずは実習生であり労働者ではないというところが、もう非常に大きな前提かなというのもいます。特に2006年当時は、そういったところはあまりお上もうるさくなかったというのが実情でございます。
 ところが、2017年に法律が変わりまして、非常にそういったところが厳しくなりまして、やはり実習計画があって、それに基づいてしっかり実習をやっているか、それの記録があるか非常に厳しく求められますので、そう言った意味では、昔のような労働者として連れて来ているんではなくて、あくまで実習生として来ているんだよという理解がないと、先ほど言っておられたコンプライアンスの問題に引っかかってくるのかなというふうに思ったりしております。
 あと、来たときは1号という資格で来ているんですけれども、8ヶ月ぐらいですかね、1年未満で2号という資格になって、2号になって初めて2年間、最終3年までいられるんですけれども、この1号から2号のテストに受からないと即帰国になっちゃうんで、そこのところは私どもも日本語ないし、技術の部分のテストに関してはしっかりフォローして、必ず受かるようには手伝いをしたりとかということをしております。
 あと実習生は、3年から最長5年、3号に受かると残り2年いられますので、5年いられるというところなんですけれども、結果的には5年で帰りますので、自社の主要技術の後継者にはなり得ませんよと。ふだんの部分では非常に大きな戦力になりますけれども、コアな技術をその方に教えてもいずれ帰っちゃいますよということを頭に置いておかないと、ちょっとひどい目に遭うのかなというふうに思います。
 先ほど言いましたように、非常に書類関係等々もしていかなければいけないということで、煩雑な手続と日々の書類関係の整理等は、きっちりしないと後で夏休みの宿題みたいにばあっとやるというわけにいきませんので、そういったところはしっかりやらないといけないかなというように思っております。
 あと、決して安くないコストということで、当然彼らに対しての賃金というのは法で定められただけの額はしっかり払っていくんですけれども、それにプラスアルファしまして、まず面接に行くためのこちらの旅費ですね。これがかかります。あと、彼らに対して管理費というのを組合に払わないといけませんので、彼らに対する給与プラス管理費というのを払っていかなければいけない。そういったところをいろいろ考えていくと、決して安い人材、外国人の人は安い人材ですというようなことではないですよということでございます。必要でもすぐには呼べませんよ、仕事がないから外国人実習生を使いたいなと言いましても、最低でも半年はかかりますので、すぐに戦力にして急場をしのごうということはできません。あと逆に、仕事が減っても仕事が減ったからという理由で実習を中止させて帰国させることはほぼ難しいと思います。よしんばできたとしても、次に実習生を採用しようとしてもできなくなるということは覚えておかないといけないかなというふうに思います。
 あと、仕事やけがの対応が大変ということで、例えばのおうちで包丁で指を切りました、手を切りました、当然仕事でのけがをしましたとなると、日本人の方ですと、じゃあ、病院に行っておいでということで済むんですけれども、当然やっぱり病院の場所もわからない、先生のおっしゃることもいただいたお薬の説明もしないといけないので、必ずついていかないといけない。特に最初のときはついていかないといけないというところでは、日本人の方よりは対応は大変でございます。
 あと、仕事以外の部分で近隣近所の住人とのトラブルがあれば対応していかなければいけない。例えば、ごみ出しの問題であるとか、騒音の問題、彼らもずっと住まわせていただかないといけないので、そこでやっぱり家の御近所の方と喧嘩をしてしまうと非常に具合が悪いので、そういったところは丸くおさめるように日本人が出ていってしないといけないのかなというふうに思っております。
 あと、言葉の壁と生活習慣の違いによるトラブル。先ほどもお話がありましたけれども、ブラジルの話を最後にされましたが、ベトナムの方は二言目にはわかったというので、そのわかったを信用しているとえらい目に遭うんで、何がわかったんですかという部分は聞いておかないと、彼らのわかった、わかったわはちょっと余り信用できないですよみたいな形ですね。
 あと、1つの国で、私どもはベトナムの方ばかりなんですけれども、それが10何名いて、これが一度に団結して交渉に来られると、もうちょっと勝てないよというところがございます。私の先輩のこの組合をもともとやっておられる企業の社長さんからは、いろんな国で分散しなさいよというのはアドバイスでいただいています。そうしないと、もう本当に大変です。旧正月は休みたい、平日に休みたい、10何人に一度に休まれたら会社が止まるけれども休みたい、もう一生懸命交渉して大変でした。
 受け入れによるメリット。デメリットをこれだけ書いて、メリットがこれだけかという話なんですが、何よりもやはり勤労意欲の高い人材がいてくれる、それも3年間、時期が確実に決まった中でいてくれる。あと、お休みが社員の方に比べて圧倒的に少ない。これも私どもの会社の一部をちょっとここで言わせていただくんですけれども、やっぱり日本人社員の方というのは、自分の判断が甘いというか、朝電話がかかってきて頭が痛い、風邪をひいた、おなかが痛い、休みますね。あと、当然、御家族をお持ちの方はお子さんが体調が悪くなった、また家族の行事があるというところで言うと、やっぱりお休みはどちらかと言うと多いですけれども、外国人の方は比較的お休みはされないですという意味では、当然、生産計画に影響が出にくいというところでは、非常に計画が立てられる人材であると。
 あと残業や休日出勤を歓迎してくれるということで、先ほども出ていましたけれども、当然、技能実習で日本の高い技術を身に付けて自分の国に戻って、その技術を役立てるという趣旨で来てはおられるんですけれども、やっぱり彼らの本音の1つにお金を稼ぐという要素というのも非常に大きいです。ですので、残業や休日出勤をやってくれるかと言ったらやってくれます。
 ただし、注意しなければいけないのが実習生同士で差が出てしまうと、そこは不満の要素の1つになるので、別にない残業を無理やりつくって3人だったら3人に出させるというようなことはしていないですけれども、やっぱりちょっとある程度バランスがとれるような形の配慮は必要なのかなというふうに思っております。
 あと、今後受け入れされる企業様へということで、外国人の受け入れ方法は技能実習生だけではなくて、技術者を採用するということもありますし、特定技能という新しくできた資格制度で引っ張ってくるのもありなのかなというふうに思ったりいたします。
 あと、デメリットと言いましたけれども、技能実習生をもし使われるのであれば、その技能実習生を使うためのルールというのをしっかり理解した上で、彼らを採用すれば、きっとよい出会いがあるんじゃないかなと。本当に、私も若いつもりですけれども、彼らはさらに若いので、非常に一生懸命やってくれるとかわいいですし、そういう意味では本当に僕らは常に出会いをさせてもらっているなというふうに思っております。
 あと、弊社は最初からベトナムの方を採用して、今もずっとベトナムの方を採用し続けているんですけれども、ベトナムは非常に発展が著しいです。今、中国とアメリカが貿易摩擦というか、いろいろありまして、中国に出られている日本の企業さんがベトナムに出られて、そういった摩擦を回避するという動きの中に、アメリカの企業さんであるとかヨーロッパの企業さんも中国からベトナムにという動きも実際、新聞紙上にでております。
 そうなってくるとベトナムに非常に仕事がいっぱいできてくる。そうして、さらに彼らの国が経済成長すると、彼らの通貨も高くなってくる。そうすると、相対的に見て日本円がやっぱり高くないと来る値打ちというか、魅力がやっぱり薄れますので、そういう意味では、今からベトナムというよりは、今から行かれるんでしたらベトナムプラスワンの国を採用されたほうがいいのかな。
 具体的には、できるだけ親日の国で、なおかつ彼らの文化を私どもみたいな小さな会社で尊重しようとすると、これは私個人の思いですけれども、できるだけ仏教とかカトリックとかといったことを信じておられる方のほうがおつき合いとしては、彼らのいろいろなことに対して合わせやすいのかなと。具体的にはネパールとかスリランカとかカンボジアというところあたりが、もう既に遅いかもしれません。もう遅いかもしれないですけれども、そういったベトナムじゃない国というところにも目を向けていくのが大事なのかなというふうに最近思っているところでございます。
 以上、つたない説明で申し訳ありませんけれども、以上で説明を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。

◯池田委員長  参考人の皆さん、ありがとうございました。
 説明は、お聞き及びのとおりでありますが、もとの状態に復旧するまで、しばらくお待ちください。
 本日の所管事項の調査におきましては、テーマについて、参考人もまじえて委員間の活発な意見交換の場となるよう、運営してまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、御意見、御見解等がございましたら、御発言をお願いいたします。

◯島田委員  本日はありがとうございます。
 事故や労働災害から実習生を守っていくといいますかね、そういう点でも生活習慣の違いはありますが、日本語の能力といいますか、やっぱりコミュニケーションが一番重要かなと思っておりますけれども、既にベトナムのほうなど現地で日本語能力をつけた上で来ておられるのか、先ほどはこちら側に来てまた研修など日本語教育を推進するプランなんかも進んできておりますが、日本国内で日本語教室や日本語教育とかそういうことの取り組みを活用されているのかどうか、そのあたりはいかがでしょうか。お願いします。

◯一重参考人  ジャパンマリンユナイテッドです。お手元の資料の5ページに、先ほど国交省さんの資料で、先進的な受け入れ企業の取組み例というページがございます。このページの右側の真ん中の部分に受入先におけるキャリアパスの例というものがございますけれども、こちらに書かれていますように、まず採用が決まってから日本に来るまでにビザとの関係で6ヶ月間という期間があります。その間は弊社の場合には、弊社の費用負担で6ヶ月間、日本語の勉強を行っています。技量的にはもう現地の会社で、うちの場合には溶接だとか塗装だとかという職種で来るんですけれども、そういった経験はある人なので6ヶ月間は日本語だけを専門学校で勉強いたします。その後、入国してから2ヶ月間、国内で技能安全、日本生活等の研修とこちらの資料に書かれていますけれども、そういうものを経てから実際の仕事のほうに移っていくというキャリアパスプランになります。
 ちょっと私、今月の頭にベトナムに行ってきたんですけれども、日本語教育のときに、あまり一般的な会話だけを勉強させていますと、日本に来てから現場のほうでなれるまで時間がかかりますので、特に溶接職であれば溶接で使うような専門用語、通常の会話の言葉以上に現場で必要になるような言葉を、まだ日本に来る前の6ヶ月間にできるだけ教えるようにというようなことに最近、取り組んできております。
 あとは、実際の現場のほうでは、言葉も大事なんですけれども、マーク等で立ち入り禁止であれば、そういった記号などを使って、なおかつ日本語、英語、それからベトナム語併記のような形で、さまざまな安全関係の標語等もそういった併記で伝わるようにということを注意しております。

◯山下参考人  私ども団体管理型におきましても、まず面接をします。採用を決めます。その後、半年間は送り出し機関、いわゆるかの国の送り出し機関のほうで半年間は日本語の勉強をいたします。その後、日本に入ってきまして、1ヶ月間、今度は、受け入れ機関のほうで勉強して、そこから配属という形になります。ですので、そこで日本語の基礎的な力をつけて配属されてくる。ただし、実際、しゃべれるかというと、そうではなくて、なかなかお話ができないので、私どもはまずは先輩社員を通じて意思疎通を図る。先輩社員はどうやって日本語が上手になったのかと言いますと、基本的には資格をどんどんとっていきたいという思いもやっぱり持っていますので、非常に自主的にやっぱり勉強をしてくれるということと、私どももベトナム語は一切しゃべれませんので、そういう意味では、この日本語しかしゃべれないという環境がある意味、彼らを強くするのかなと。
 あとは、ボランティアで日本語を教えるコミュニティもありますので、そういったところに積極的に行く方は行って日本語の勉強をしているというのが実情でございます。
 あと、安全とか云々かんぬんに関しては、当然、そういった先輩を通じて、これをやったら駄目よという部分は指導はするんですけれども、やはり先ほど言われたように、頭を打つところとかは、やっぱりベトナム語表記でするというのは順番にちょっとしているというところでございます。
 以上です。

◯島田委員  どんどん法律もルールも改正されています。さまざまな取り組みが改善をされているとは思うんですけれども、悪い事例などになりますと、ベトナム本国、ベトナムに限らず本国のほうで日本語教育をしていただくのに多額の借金を背負って日本に来て、日本でいろいろ大変な経験をいたしましても、借金を返すためには本国に帰れないのでとか、そのうち失踪するとか、送り出し機関と受け入れ機関双方にまだまだ課題があったりするのかなということを新聞報道などを見ておりましても感じるわけですが、そのあたりの課題と今後の改善方向等、もし御提案があればお願いしたいと思います。

◯一重参考人  日本語学校への多額の借金という面に関しまして、弊社の場合にはこちらが負担をして、現地の造船所での3年以上の経験がある人の中から選抜するということで、余りないんですけれども、先ほど来、説明させていただいている特にコンプライアンスの問題点というのが非常に重要になってきていますので、先日ベトナムに行ったときにも、向こうの会社に対して、文書をもって日本でもコンプライアンスの問題で認定が取り消されるような事例が非常に出てきているので、そういったお金をいっぱい預かるみたいなことをすると、それが理由で認定が取り消されるようなリスクもあるので注意してくださいというようなことを相手側の企業に申し入れたりといったことは行っております。
 それから失踪問題、先ほど我々のほうでは説明はしなかったんですけれども、スタートした当時はありました。私が係長のときに初めて来た方、何年か経って失踪したというような事例もあったんですけれども、やはり1、2年しかいられないという当初のころは、もっと日本にいて稼ぎたいということで、帰国の期限が近づいてくると失踪という事例があったんですけれども、最近は長くいられるようになってきていますので、弊社の事例で言えば、失踪する人が非常に減ってきたというのは、この制度の改善によっていい方向になっているとは思いますし、本人たちに対しては失踪してよそに行ったからといって、決していいことにはならないということをしっかり説明しながら、理解してもらうように努めております。

◯山下参考人  まず、彼らが借金をしているかどうかというところは、正直私は聞かないようにしています。でも、恐らくですけれども、送り出し機関が日本語学校である以上は、授業料というのは多かれ少なかれ発生するものだというふうに思っておりますので、それが適正かどうかというのは、それは彼らの判断なのかなというふうに私は思っております。
 失踪に関しては最初、先ほどお恥ずかしい話、失踪しましたよと。今はずっと失踪せずにということですけれども、やはりそこそこの残業等は必要なのかなと。いわゆるその8時間だけ、月曜日から金曜日までで最低賃金でとなってきますと、やはり収入というのが限られてきますので、そういう意味では、いわゆるこの決められた範囲内での残業が少しあるぐらいというのは、やっぱり必要なのかなというふうに思ったりしております。
 ですので、逆に言うと、最低賃金が違いますよね。東京から離れれば離れるほど最低賃金が安い。例えば、離島とかというところのほうが逃げる方が多いというのは、そういったところもあるのではないかなというふうに私は思ったりもしております。
 以上です。

◯島田委員  あと、いろいろ心配するのが病気になったり、怪我をされたときの補償といいますかね、山下参考人のほうは病院まで連れていってということですが、なかなか病院にもそういう通訳ができる方とかがいらっしゃいませんし、そういう点での支援といいますか、課題といいますか、御要望等もあればお聞かせください。

◯一重参考人  弊社の場合には、かなり数多くのベトナム人就労者がいますので、事業所ごとに1名ないし人数の多いところは2名の専属の通訳がいますので、病院に行くときには必ずその通訳がついていくようになっています。ですから、毎週病院に行くときは何曜日とか日にちを決めていたりして、複数名の人がいるときには、順番に回りながら病院に行くというか、3人で行ったりすると、1人目が見てもらうときには、2人目、3人目のベトナム人の方は待っているというような、通訳の人数も限られていますので、そういったやり方にはなるみたいですけれども、仕事が終わってから順番に通訳と一緒に病院に行ったりというような形で対応をしております。

◯山下参考人  病院に連れていく場合は、基本的には私が連れていく場合が多いです。では、行って何をしているのかというと、例えば綾部市立病院ですと、まず6時半に行って予約をしないといけないです。その後、8時半からの受付に一緒に並んでというところで、まず予約をとりに行ってあげないといけないというところがあります。行って私が何をしているかと言いますと、先生の日本語を日本語で通訳しています。わかりますかね。
 だから、例えば「いつから腹痛が続いてますか」というのは、「あなた、いつからおなかが痛い、昨日」みたいな感じで言うと彼らに通じるので、そういう日本語で通訳しに行って、なおかつ診察が終わったりとか非常に専門的な中身で、こういう経過を見ないといけないよということになりますと、それを先生に話してもらうのを携帯で通訳に聞かせて、その携帯を渡して直接伝えたりとかという手続というか、そういうことをしてあげて、彼らも病気になったりとかして、不安になっている、その不安を取り除いてあげるということをできるだけ心がけております。

◯島田委員  安上がりどころかいろいろと御苦労もあって、結構いろいろな御負担もあるようでありますが、率直に言って、日本人の若者を雇用する場合と外国人の労働者を雇用する場合とでは、現実、コスト的にはどういうことになっているんですかね。

◯山下参考人  弊社ですと、20代の若い方と連れてきた外国人の方というのは、トータルコストで言うと多分ほとんど変わらないと思います。結果的には同じぐらいはかかっていると思います。
 以上です。

◯一重参考人  弊社の場合、社員で補えないようなところに日本人の場合、協力会社の方とかを採用する場合もありますけれども、それに比べれば実際にはその言葉の問題だとか、あるいは通訳の費用だとかいろいろあるんですが、そういうものを含めても若干はコスト的にはメリットがあるのではないかと思うんですけれども、おっしゃるように余り大きな差ではないです。
 それ以上にやはり出力として非常に安定して期待できるというところが、先ほどの説明の中でもありましたが弊社も全く同様でして、特に私が現場にいたころに、班長さんとか現場を預かる人がよく言っていたのは、まだ実習生とかですと技量的には協力会社の方に比べると、8割とかそのぐらいの技量しかなくても、必ずそのときにいてくれるということが生産管理面では非常に強みというか、現場を預かる班長さんにとってはありがたいということがよく言われていました。幾ら一人前以上にできる腕のいい人でも、ぱっと今日の朝見たら会社に来ていないとかというような方は、協力会社の方には結構います。競艇場があったりとか何かの試合、夏休みで言えば高校野球の試合が決勝が終わるまでは会社に出てこないだとか、いろいろそういったことがありますけれども、ベトナム人の場合には安定した出力という面が一番の強みかというふうに思っております。



◯馬場委員  きょうは本当にありがとうございました。JMUさんとサント機工さんと会社の規模は大分違いますけれども、話を聞きながら重なるところもたくさんあったなというふうに思いながらお話を聞かせてもらいました。
 先ほど山下参考人から少し出ていたみたいに、本音と建前のところで建前の部分が大きくなっているように感じるというようなお話があったりとか、御説明の中でもかなり本音のところで語っていただいているところもたくさんあるのかなというふうに思ったんですが、お話を聞いているといわゆる非常に労働者性の高い、労働者として、労働力として見ている部分があるけれども、実際には技能実習生というこの矛盾がやっぱり1つはあるのかなと思うんですが、これは恐らく働いている方もそうだと思うし、実際にこの制度を活用されている方もそうだと思うんですけれども、実際のところは技能実習生で当然、実習計画も立ててやっていくわけだけれども、その中では今の人手不足の状況もあると思うんですが、労働力というか、働いていただく力としてやっぱり現場は見ていくというふうに理解したらいいんですかね。

◯山下参考人  そういう意味で政府は特定技能という資格をつくって、そこの建前の部分を切り離したんだと僕はちょっと理解していまして。なので、技能実習は技能実習として、単純作業とかもしてもいいですよということで特定技能というのを創設されたのかなというふうに思っております。
 以上です。

◯一重参考人  弊社の場合には、先ほど特定技能という新しい制度ができましたけれども、いきなりそこでの採用というのは考えていないとお話しさせていただいたように、当然、安定した労働力という面で、技能実習生などもそういったことでは大変役に立っている、弊社にとってのメリットになっている部分はあるんですけれども、やはり初めのうちはどうしても覚えてもらうまでにはかなりロスというのも弊社にとってもあると思います。
 ただ、それが昔のように1、2年で帰ってしまうのではなくて、2年、3年継続して、それ以降の特定活動あるいは特定技能に続けられるものだということで、そのための教育というふうに考えておりますし、それが彼らがベトナムに戻った後の造船会社での役にも立っているということは、本人あるいは向こうの会社の方もよく言ってくれていますので、双方にとってそういったことがうまく機能しているというふうに感じております。

◯馬場委員  ありがとうございます。
 もう1つお聞きをしたいなと思っていたのが、先ほど山下参考人の、他の委員への答弁の中で、今後はいわゆる技能実習として来てもらうというふうにするのか、それよりもいわゆる今も増えてきているというふうにお話があったんですが、いわゆる普通の技術者として雇用していくという方向がいいんではないかという話が少しあったかなというふうに思うんですが、その思いというのをもう少しお聞かせいただければなと思うんですが。

◯山下参考人  コンプライアンスを守るために、要するに技能実習生ですと残業させてもいいですよと言っても、やっぱり特定条項まではしたらだめですよと最近は厳しく言われるので、どうしても私どもの規模ですと、特別条項も目いっぱい使った中で、やっぱり仕事の割り振りをしていかないとしんどいよねという中で、1年間で40何時間というずっとそこまでしか見ていませんよというと、正直ちょっと辛いところもあるので、それであれば技術者の方であれば、通常の雇用形態、日本人の方と同じ雇用形態でできるという認識でおりますので、違っているかもしれないですよ。ただ、僕はそういう認識でおりますので、そちらのほうがいいのかなということと、あとはやっぱりいろんな管理費とかという部分を払っていくということに対して抵抗感がないわけではないので、それであれば、直接的に雇用して、今度は逆に賞与とかという部分も払っていかないといけないので、コストという部分で、人をコストと見ていいのかどうかというところもあるんですけれども、そういったところでは、もう自社でそうやってこうやっていったほうがいいのかなというように思うところがありまして、先ほどの答弁になった次第です。

◯馬場委員  ありがとうございます。
 もう1つなんですか、きょう、お二人のお話を聞きながら、いわゆる仕事、仕事を覚えてもらうとか、仕事になれてもらうとかというのは、一定時間をかけたり、さまざまな工夫をすることでクリアできるところがあるのかなというふうに思うんですが、一方で先ほどお話があったみたいな病院に連れていくであるとか、あと御近所とのトラブルであったりとか、こういうことではなかなか、だんだんなれていくということがあったりとかトラブル対応の、いわゆる会社側のスキルというものが上がっていくということがあるとは思うんですけれども、そういったところのほうがなかなか一定のところで負担としては企業側としては重いのかなというふうな気はするんですが、その辺の受けとめというか、特にJMUさんなんかは非常に規模が大きくて、先ほど話を聞いていても寮のほうにも管理人さんがいらっしゃって、ごみの仕分けも全部できるというようなことになってくると、また少し話が違うかなと思うんですが、サント機工さんみたいに借り上げの借家であったりとかアパートに住まわせて、一定その生活の部分は自分たちでやってもらうということになると、そういうところの会社を離れた後の気苦労というか、いわゆる普通の日本人の労働者とは違う、そういうものがやっぱりあるのかなというふうには感じるんですけれども、その点については何か感じていることはありますでしょうか。

◯山下参考人  あります。ただ、でもそれはもう彼らを採用する以上は仕方ないことですので。
 ただ、そのできるだけ繰り返さないように、例えばその借り上げの寮のお隣のおうち、例えばさよならパーティーをやるとしますよね。彼らにとってはウェルカムパーティーとさよならパーティーは1回だけなんですね。3年間で1回か2回ですね。
 でも、御近所さんにしたら毎年という話になりますよね。またかというところになるので、そこら辺のところは会社としては学習して、では、さよならパーティーの時期になったら、これはもう寮ではさせずに、会社の食堂を使ってやりなさいという形で、指導じゃないですけれども、そういうふうにしてやってもらって、御近所さんには御迷惑をおかけしないみたいな、それがある意味会社としてのスキルというか、対応かなというふうには思っております。

◯一重参考人  弊社の場合、管理人とかもいるんですけれども、トラブルという点で1つ、お話をさせていただくと、人数が多いのでトラブルがあります。そういう中ではできるだけ各事業所のそういった情報を共有化して、同じようなミスが起こらないようにという活動をしています。最近では、Facebookで本国と大体スマホなどで家族とやりとりしているんですけれども、ちょっと振り込んでというのが家族になりすまして本人のスマホにFacebookで入ってきて、振り込んだら全然関係ないところに、5、6万円ぐらいの規模らしいんですけれども、そういった事例が複数上がってきています。それをある事業所から情報をもらったので、他の事業所にも全社的に展開すると、初めて聞いたというケースもありますので、そういった事例をできるだけオープンにして共有化することによって再発防止を図るというようなことを弊社の場合には心がけております。
 それから、特定技能の話をされたときに、うちは実習をやっていますよという話をしたんですけれども、確かに実習生は残業の規制であるとか、あるいはほかの事業所に応援に行けないという制約があります。そういった面で、3号実習生の話をちょっと先ほどさせていただいたんですけれども、その3号を使って最長の期間というのは今までは試行してたんですが、実習生よりも特定技能のほうがそういった応援も行ける、残業的にも有利だということで、3号を採用せずに特定技能を使おうかということも弊社の場合にも検討の中には含まれております。御参考までに。
 以上です。



◯西脇委員  ありがとうございました。他の委員の皆さんのお話、それから御説明も伺いながら改めて皆さんの実情といいますか、ある意味、御苦労も一定理解できたかなと思います。
 それで幾つかお聞きしたいんですけれども、送り出す企業といいますか、ベトナムの側ですね。先ほど島田委員も少し触れましたけれども、一般的にはブローカー的なところが介在して、今、組織とか組合ですか、あと個別ということでやっておられるということでしたけれども、そのあたりの送り出す際の費用ですね。英語、日本語の研修以外のところでいろいろと、例えば組織なり仲介業者として何かとられるものといいますか、必要な経費というのはあったんでしょうか。

◯一重参考人  弊社の場合には、送り出し機関としては企業単独型という形で、直接取引のあるところとやっておりますので、実費ベースの、例えば試験に必要な材料だとかその場所の準備だとか、面接して実際の実技試験をしたり、面接したりする、その実技試験をするときに溶接であれば、鉄板を用意してもらったりだとか、溶接機を配備してもらったりだとか、そういう必要な経費を請求してもらうという形になっておりますので、ブローカー的な費用というのは発生していないというのが弊社の状況にはなります。

◯山下参考人  すみません。先ほどもちょっと費用の件、御質問がありましたけれども、実際に私どもがお支払いというか、いろいろ払っている費用のなまなまの数字をちょっと言わせていただきますと、まず最初、組合に入るために組合の出資金というのを払うんですけれども、それはもう1回払ったらおしまいですが、ちょっと金額を控えてきていないんですけれども、これも数万円を払わないとだめです。組合に入れてもらいます。組合の管理費が、1人35,000円ぐらいですね。送り出し機関への費用が1人8,000円なので、月に1人当たり大体40,000円ちょっとはかかっています。
 これは、ちなみに、うちの組合の話なんで、よそさんはちょっとわからないです。
 事前教育費ということで、先ほど自社でお金を払ってはると言いましたけれども、私どもは採用面接で君と君と君って決めます。その後、半年勉強すると言いましたけれども、その勉強をするためのお金を私どもが払わないといけないので、それが1人200,000円弱を払っています。200,000円強かな。だから、3人採用するといったら600,000円を、ポンと振り込まないといけないということですね。
 あと、帰国費用ですね。入国費用も払わないといけないと思いますし、帰国費用もエア代は払ってあげないといけないですね。
 なので、さっき御質問もいただきました、その送り出し機関に対して何を払っているのというか、ブローカー云々かんぬんというお話があったんですけれども、うちは明朗会計で、最初に決めたら200,000円を払うのと毎月8,000円ずつを払っていくというのが、私どもが払う費用であって、逆に言うと、彼らが来るために何ぼ払っているかというのは、ちょっと見えないのでわからないですし、こちらもちょっとあえてそこに触れないようにはしています。

◯西脇委員  ありがとうございます。なかなかリアルな数字をいただきまして。
 それから、ベトナムの国内で応募、面接もされるわけですけれども、そこに手を挙げてこられる、応募される方ですね。若い方。そういった方というのは、やっぱりどういう相手先が事業所かということで、一定の経験があったりとか同じような同業のところに勤めておられた方、全く関係ない方も含めてでしょうか。どういった人を採用しようとされていますか。

◯山下参考人  もうまさに卒業してきてすぐそこに来た方もいますし、似たような業種で働いていて経験を積んだ方もいますし、全然違う業種から日本に行って日本の製造業で学びたいという方もいらっしゃるので、もういろいろでございます。

◯一重参考人  弊社の場合は、企業単独型というやり方で、相手先の企業で今現在で言うと、3年間、経験を有した人の中から選ぶというやり方をしていますので、その造船所で働いて溶接をした経験がある人の中から選んでいるということで、既にかなりの経験のある人を選べているというのが実態です。
 ただ最近、ベトナムの造船業の状況が非常に悪いので、経験が3年間あると言っても、あまり船をつくれていないという事態がありますので、昔ほどその経験を積んでいない人がいるということで、また新しい若い人を、経験がなくても若くてやる気のある人を採用するような仕組みも取り入れていかなくてはいけないなというのを、最近検討し始めた状況でありますが、現時点では経験者の中から選抜しているというシステムになります。

◯西脇委員  ありがとうございます。
 あともう2点ぐらいなんですけれども、先ほども質問がありました病気になられた、怪我とかをされた場合ですね。そのときには手厚くちゃんと日本の方がついていかれるということですが、その際の医療費ですね。恐らく日本の医療制度を適用されていないと思うんですけれども、実費全部を会社が負担されているんですか。

◯一重参考人  多分、実習生であれば実習生保険とか、そういった保険制度がありますので、余り本人負担というよりも、その保険を使って治療を受けているという状況になります。

◯山下参考人  おっしゃるとおりで、私どもはまず保険証を持っていますので3割負担でまず受診します。歯医者はだめなんですけれども、実習生保険がありますので3割負担したその3割については後で基本的に返ってきます。でも、歯医者は戻ってきません。それ以外の例えばお腹が痛い、頭が痛いというところで病院に行った場合に、治療が終わったときに精算して、例えば3回行って治りましたよと。3回分の払った医療費に関しては、保険請求すれば返ってくるので、彼らの実質負担はゼロになっています。

◯西脇委員  最後ですけれども、それぞれ地元の企業ということで頑張っておられるということですけれども、やはり地元企業さんの役割として地元、地域に貢献をするということもあるかと思いますけれども、残念ながら労働力の確保ということでは、なかなか地元の若い人も含めて応募がないという状況のもとで、今後の会社のありようというか、どんどん外国の方が増えていく中で、その辺の何というんですか、地域に貢献するというか、何というんですかね、ちょっと言い方がよくわからないんですけれども、地元企業としてのありようというところでは、何か思いとかありましたら。

◯山下参考人  きょう、お話させていただいた内容というのは、もしかするとすごく情けない話をしているのかなと。というのは、やはり人が集まらないというのは、集まるだけの魅力を発信できていないということの裏返しなのかもしれないですし、そういうところでは、魅力ある企業さんがたくさんあって、日本人の方でも何らその採用にお困りになられない企業さんも中にはあるわけですので、そこができていないのに外国人にという話を一生懸命しているのはいかがなものか、自分自身、資料をつくりながら正直思ったところもあります。
 でも、企業の1つの役割として、そこの地域に永続的に存在して利益を上げて税金を納めるということも1つあろうかというふうに思いますので、できるだけ継続できるように努力しながら、やっぱり人が来ていただける、働いておられる方が少しでも自信を持って、誇りを持って働いていただける企業になりたいなと。だから、今できていないので、なりたいなという思いでやれたらというふうには、今回お話をいただいて資料をつくらせていただく中で、少し感じたのはそういういったところもあったということで答弁とさせていただきます。

◯一重参考人  外国人が、かなり増えてきているというのはあるんですけれども、弊社の場合にも無限に増え続けるわけではなくて、やはり何割ぐらいが外国人であるとか、社員比率とか協力会社の比率だとか、そういったものを各事業所ごとにある程度目標を決めて管理しているという状況があります。
 そういった中で舞鶴事業所の場合は今現在、50人から60人ぐらいの人数になっていますけれども、それをどんどん増やし続けるというのではなくて、この中期的にもそのぐらいの数でコンスタントに採用していくという考えで持っていますし、一方で社内というものも定年になって辞めていく方がいたら、その分を新卒で補充していかなくてはいけないという点では、舞鶴だけでなくて各事業所とも地元の学校とのつながりを常に持ち続けるであるとか、あるいは祭というような機会で、近隣の方に会社に来ていただいて仕事の内容を紹介するだとか、そういったことで日本人の採用というものも各事業所、安定するようにという努力をしております。

 

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◯島田委員  お二人の参考人が本当にリアルに現状をお話しいただいて、本当によくわかって、現場の大変さも理解できましたが、お話にありましたように、やっぱり本来、地域経済に貢献をしたいし、日本の若者をきちっと雇用をし、そして技術力も高めて、そういう人材をつくっていきたいという思いがやっぱり中心におありになると。それで、やむにやまれず、外国人労働者を採用せざるを得なかったというのが垣間見えて、また今日お越しになった企業は、きちっと決められたルールに沿って、それを守り、そして労働者の立場でいろいろと支援されていることにちょっと感動いたしました。
 でも、この間から私が指摘した、まだブラックなところとか外国人労働者の採用に当たってもいろいろとあるので、その点は気をつけながらもやはり一番大事にしなきゃいけないことは、そういうふうな苦境に立たされている企業の立場に立って、京都府がどう応援するかということではないかなというふうに思いました。
 それで、山下参考人が新卒の高校生や、あるいは大学生でまた地元の企業に帰ってこれるようにインセンティブということで、奨学金なんかにかかわって少し発言されたのは、まさに沖縄県などでもうそれをやっておられるんですけれども、そういうことも含めまして、中小企業を応援する、京都府が始めた奨学金制度、あれを少しは勉強されているのかなと思いますが、本気で地域で働く若者の雇用を確保し、後継者をつくっていくというところの対策ですね。本腰を入れてやらなきゃいけない。そういう点では、そういう中小企業のお話を聞けたのは、非常によかったかなというふうに思っております。
 多様多様と言いまして、多様な働き方を求める人はおりますが、日本の若者が就職しても定着しない原因のそこの奥にあるものは何かとか、そういう発言も引き続きちょっと深めなきゃいけないなということと、山下参考人がおっしゃっていたように、企業が魅力ある企業になって地元の若者たちが働けるようにという努力をしたいということなんで、そういう努力を応援するような府政であったらいいなというふうに思いました。
 以上です。

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◯馬場委員  きょう、2人の参考人のお話をお聞きしながらもそうですし、他の委員の質問を聞きながらもそうですけれども、例えば藤山委員や石田委員からも担い手として、例えば将来、長い目で見たときの担い手について、どう思っていますかという話を聞くと、例えば地元企業さん、サント機工なんかでは、もう不安しかないという話があって、メインが40代で30代が弱くて20代はほぼいないと。20年間頑張って何とかなるだろうかという不安だと思うんですよね。産業の担い手の確保・育成に関する特別委員会ですから、そういった声にやっぱりどう応えていくのかということが物すごく大切だなというふうに改めて認識をしましたし、同時に外国人労働者、この間、2回やってきて改めて思ったのは、きょうのサント機工の山下参考人の途中のお答えの中でもありましたけれども、1回この技能実習生、どんなもんやろうと言って手をつけてみて、実際は物すごくがんばってくれる。それはいいことだと思うし、それが安定的な労働力として回っている。これで今、サント機工さんの経営は回っていると。それ自身は別に否定するものではないですけれども、一方で先ほど言ったみたいに、長い目で見たときの自分たちの会社の経営はどうかと言ったら、不安だらけだという状況があって、やっぱりそこをしっかりと見ていかないと、本当に本府がやる産業施策、担い手の確保とか育成というこの施策をどう考えていくのかというのはちょっと誤るんじゃないかなというふうに思っています。目の前の当然、大変な人手不足や人材不足、これをどうするのかということとあわせて、地域で頑張って、これからも継続的に経営ができるように頑張っていきたいと言っている社長の声にどう応えるのかというのがやっぱり問われているんじゃないかなというふうに思いました。
 そういった意味では、途中で少しで出ていましたけれども、例えば地域で生まれ育って地域の学校を出て、もしくは多分、社長の言葉。

◯池田委員長  馬場委員、その意見はよくわかるんですけれども、ただ、今、外国人労働者の話をしていただいた中で、それをどう外国人に対して府の政策的にこういう形に変えていってもらわないとだめですよという意見ならいいんですけれども、外国人は外国人でちょっと置いておいて、それは余りいいことではないから、他のことで政策的に行きましょうというのでは、ちょっと今、参考人を呼んできていろいろ話を聞いてという議題に対して議論していくという委員間討議の中からいくと、少し私は、これまでずっと幅広くこうやって皆さんの意見をずっと聞こうと思って頑張ってやっているんですけれども、あまりそちらのほうに意見が行ってしまうと、外国人を同じ採用するのであれば、こういうふうな部分が課題だとか、外国人に対しての部分をこう変えていくべきじゃないかというような部分の整理ならいいかと思いますので、ちょっとまたそういう面も御配慮いただいて御発言いただけたら幸いに存じます。

◯馬場委員  今、委員長からもお話があったように、私はそういった前向きな意見というのは、逆に言うと、御提案いただいた方々がまずは率先的に発言をしていただけるんじゃないかなと思ったんだけれども、なかなか御発言もないし、一方で先ほど外国人労働者を雇っておられる実態を聞いたら、ああいう実態だということがあるわけで、やっぱりそういったところをちゃんと見ていかないと、その外国人労働者で、例えば人手不足が解消できるというふうなことだけではやっぱり済まないんじゃないかなというふうに思うんですよね。
 これから国のほうでは、新しい働き方というか、その特定技能みたいなものがもっともっとやっていくんだというふうに言われていて、その流れというのは、まさに外国人労働者をどんどん入れていこうという話なわけですね。そういった中で、それは国の中で進んでいくと。そういった国の大きな流れがある中で、じゃあ、京都府はどうするのかというのは、やっぱり先ほどあったみたいな現場の人たちの声をちゃんと反映するものでないと、外国人労働者を国がふやしていきます、だからそれに乗っかってやっていきましょうということだけでは済まないんじゃないかというふうに私は改めて思いましたので、そういう意見として発言をさせていただきました。

◯島田委員  お話の中にあった受け入れ企業と送り出し企業、この実態というのは、今日初めて管理費を負担しているとか現場の声を聞いたんですけれども、その企業は京都府としてはつかんでいらっしゃるのか。ホームページなどネットを見ておりますと、何々組合、たくさんあるんですけれどもね。きょう、優良企業、まさに優良の方のお話だったんですけれどもね。やっぱり全体はちょっと把握しなきゃいけないのかなと。委員長の御提案の趣旨に沿って質問するならですね。ちょっと理事者に確認したいんですけれども。

◯福原人材開発推進課長  先ほど副部長のほうが答弁いたしましたとおり、京都府は外国人技能実習生に関しまして、技能検定という部分について事務を所管しておる状況でございまして、その技能検定も全ての業種について掌握しているということではなく、例えば農業ですとか建設関係ですとか介護関係については、京都府以外の実施機関において技能検定を実施されております。京都府が全ての技能実習生の受け入れ事業所等につきまして、情報を網羅しているわけではございません。
 以上でございます。

◯島田委員  現時点ではそうだと思うんですが、外国人材受入れ・共生推進本部も設置をされて、会議で今まさに審議されていて、そこは縦割りではなくて本部をつくったわけですから、実態調査はしっかりすべきであるし、そして京都で働かれる外国人労働者の雇用環境とか生活改善とか環境改善とか、そういうことは受け入れることになったわけですから、しっかり京都府として何をしなきゃいけないのかというのを、しっかり方向性も含めて今後議論されるべきではないかというふうに思っています。
 ちなみに、国際センターなどでいろいろとアンケート調査をネット上でやられたり、始まっていますので、それを要望しておきたいと思います。

◯池田委員長  法令解釈に関係するところであったら答弁してもらっていいですけれども、それ以外はちょっと。事実確認だけでしたらあれですが。

◯河島商工労働観光部副部長(労働担当)  すみません。先ほどは京都府が何もしていないという答弁では決してございませんで、送り出し団体あるいはその管理団体を所管するところは国のほうにございますので、まずはそこで一義的にしっかりと状況を把握した上で指導監督していただくというのが大原則かなと思ってございます。その上で京都府として、そこにかかわっていかないというわけではなくて、今も委員から御紹介がございました外国人材受入れ・共生推進本部会議というのを立ち上げさせていただきました。これはあくまでも庁内会議でございますけれども、今後、例えばその入管庁でございますとか関連の国の機関、こういったものにも入っていただいて、情報を共有すると同時に、必要な対策をどうその関係機関で連携してとっていくのか、こういったことも今後取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。
 以上でございます。

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◯西脇委員  お疲れ様でした。皆さんもおっしゃったように、それぞれのお二方、本当に率直に、リアルに報告もしていただいて、それはそれでよくわかりました。
 ただ、とても良心的な、まともなといいますか、言い方があれですけれども、企業だなと。けれども、やっぱり全国でも、それから府内、そういう企業ばかりではないんじゃないかと。いつでも働いている外国人労働者、実習生の立場でということにはなかなかなり得ていない企業もあるんではないかなと。逆にそのことも危惧いたしました。そういう意味では、先ほどあったかと思いますけれども、やはり府として、これからいろいろと状況が変わるかと思いますけれども、まずは働いておられる実習生の実態調査、それから気になったのは、確かに企業側のコストは外国人労働者を雇用する場合は高いと、思った以上に高くなっているということでしたけれども、実際に雇用をされる側はどうなのかと、どれぐらいな生活、生活というか給料、結果的にはどれぐらい最終的にもらっておられるのかということも知りたかったんですが、そのあたりのこともぜひちょっとお調べいただいて、公表していただければなと思います。
 それから、改めて実感したのは、山下参考人もおっしゃっていましたけれども、今のルールが歯止めになっているというか、それに従うしかないと、いろいろやりたいことというか、思いはあるけれどもとおっしゃって、私は今の国の法律改正された中身は決してこれはいいものではないし、もっと改定しなければならないと不十分だと思っておりますが、それでもそういうふうに今のルールが歯止めになっていると、労働者の側から言うと、そういう意味では引き続き、さらなる労働者の皆さんの立場においては改悪的なものをされないように、よりもっと拡充といいますかね、労働者の皆さんの立場に立ったものになるようにということ、それは私も思いました。国に対して要望していただきたいと思います。以上です。