平成23年9月定例会 本会議(第3号) 一般質問―2011年9月27日〜島田敬子府議の質疑応答部分

◯島田敬子議員  日本共産党の島田敬子でございます。党府会議員団を代表いたしまして、さきに通告しております数点について伺います。
 まず、放射能被害から住民の命を守る問題についてです。
 東京電力福島第一原発事故による放射能被害から逃れて、本府にも妊婦さんや母子、家族でたくさんの方が避難してこられました。その京都でセシウムに汚染された牛肉が出回ったことに強いショックを受けられ、せめて子どもたちには安全なものを食べさせたいとの願いが寄せられております。放射能汚染から国民、わけても子どもたちの命と健康を守ることは日本社会の大問題です。京都へ避難されてきた母親たちの思いに心を寄せて、全国知事会長でもある知事に幾つか質問をいたします。
 放射能による健康被害は、これ以下の被曝なら安全という、しきい値はなく、いわゆる少なければ少ないほどよいという大原則に立った対策が求められます。国の責任で放射能汚染が疑われるすべての食品を迅速に検査し、放射線量を測定する体制をつくることが求められます。緊急除染のために専門家の配置、放射能汚染地図をつくり、恒久的な除染に取り組むことです。放射能汚染の実態を全面的、系統的に調査をし、除染を推進する特別の体制として放射能調査・除染推進センターを確立することが必要と考えます。
 福島県を初め放射能汚染の不安が住民から出されている各自治体が徹底した放射能汚染調査や除染ができるよう専門家の派遣、財政支援など、支援体制を早急に整えること。また、現行の放射線障害防止法は、福島原発事故のような広範囲の放射能汚染は想定されておりません。大規模な放射能汚染から子どもと国民を防護する緊急の法整備を国へ求めるべきと考えますが、いかがですか。
 本府におきましては、流通食品のモニタリング調査や6月からはサンプリング調査等の強化が行われました。その上で、国において出荷制限が指示されている農畜産物の府内流通は確認されていないから安全としてきましたが、7月中旬になって放射性セシウムに汚染された牛肉が全国で相次いで確認され、学校給食の食材として混入する事態となりました。その結果、国民の不信・不安を広げる事態となりました。
 そこで伺いますが、流通している物は基本的に安全と片づけず、学校給食食材については検査を行う体制をつくる必要があると考えます。また、保育園の食材についても不安が出されております。市町村とも連携し、簡便に測定できる食品放射能測定機器を整備し、検査の求めに応じる体制をつくる必要があると考えますが、いかがですか。
 また、「放射線の影響は大人よりも細胞分裂が活発な子どもたちのほうが受けやすいのに、どうして食品の暫定規制値は大人も子どもも一本なのか」という声や、野菜や飲料水のセシウム暫定基準値がベラルーシやアメリカに比べて高いことにも疑問が寄せられております。国の責任で、民間の能力も活用して最新鋭の検査機器を最大限に確保し、検査体制を抜本的に強化すると同時に、科学者、専門家、生産者、消費者などの意見を踏まえ、暫定規制値の検証、見直しを絶えず行うよう求めるべきですが、いかがですか。
 また、生産者に損害を与えない万全の措置が必要です。国の責任で、買い取りを含めた迅速な賠償を行い、賠償に係る経費は東京電力に負担させるよう国に要請すべきと考えます。お答えください。
 府内生産者から「今年収穫する米について、取引業者から使用した肥料の資料と放射能検査結果の添付を求められ、添付しないと購入できないと言われている」との声が寄せられております。民間機関では1つの検査で平均2万5,000円もかかります。府として農家の検査要望に迅速かつ無料でこたえられるよう検査体制の強化を求めますが、いかがですか。

 次に、税と社会保障改革と本府の福祉医療制度改革について伺います。
 野田新政権は、6月に決定した「社会保障・税一体改革成案」の具体化を早急に進めるとしています。2010年代半ばまでに消費税を10%まで引き上げる法案を来年3月までに国会提出の構えです。改革案は、社会保障の重点化・効率化を強調して、医療、介護、生活保護等の各分野で給付の削減、負担増を盛り込んでいます。年金の支給金額の引き下げ、支給開始年齢の引き上げ、病院の外来窓口負担は現行の負担に加えて受診のたびに100円から200円の定額負担を上乗せするとしています。さらに今後、高齢者の自己負担を増やす一方、医療費の抑制を目的に入院患者の平均在院日数を1割から3割も減らし、介護施設入所者と合わせて、実に63万床も削減することも目指しています。
 そこで、伺います。消費税を10%に上げて社会保障を悪くする、これが政府の一体改革の正体ではないでしょうか。また、このような改革は医療難民、介護難民ともいうべき事態の解決に逆行するものと考えます。知事の見解を伺います。
 国の医療保険制度の相次ぐ改悪で、病気になっても受診できずに亡くなる例が多発をしています。住民福祉の向上を責務とする地方自治体の本旨に立って、現在検討中の京都府福祉医療制度の見直しの中で、子どもの医療費助成制度を小学校卒業までに引き上げ、父子家庭への支援や障害者医療の対象を拡大するなど早急に実施すべきです。
 また、訪問看護ステーションからの訪問看護について、入院では無料である乳幼児や筋ジストロフィー等特定疾患認定外の成人難病患者の場合、2割あるいは3割負担となっております。福祉医療助成の対象にすることは喫緊の課題であると現場から強い要望が出されておりますが、実現すべきです。いかがでしょうか。
 一方、福祉医療制度検討会中間まとめでは、老人医療助成制度について対象者を住民税非課税世帯に狭め、国の制度改定に伴って2割負担に引き上げる案も示されておりますが、国の負担増に加えて本府も負担増を迫るやり方はやめるべきと考えます。指摘をしておきます。
 以上、知事の見解を伺います。

◯山田啓二知事  島田議員の御質問にお答えいたします。
 放射能から子どもたちの命と健康を守る対策についてでありますが、今回の原子力発電所の事故は国の責任において早期収束を図るとともに、放射性物質の除染費用も含めて復旧・復興に要する経費は全額国庫負担とすべきものであります。これまでからあらゆる機会を通じて国に要請し、放射性物質汚染対処特別措置法の成立などの対応が行われてまいりましたが、さらに9月15日には東日本大震災復興に向けた国の第3次補正予算への全国知事会からの緊急要請を行い、特に原子力関係として原子力災害からの地域再生に向けた特別法の制定、原子力発電所事故の早期収束と放射線対策の着実な実施として、放射線に関する各種安全基準や廃棄物処理方法等の速やかな決定と正確、迅速、丁寧な情報発信、対象地域を限定することなくモニタリングや健康への影響調査、放射性物質の除染、汚染土壌や下水汚泥の処分等を国が責任を持って確実に実施すること、極めて大きな問題である放射線の子どもの健康への影響について必要な健康対策を講じること、災害廃棄物の処理については国が早急に最終処分先を確保し処理経費は全額国庫負担とすること、放射性物質の除染に国が責任を持って対応し、地方自治体が実施する場合は全額財政措置を講ずること、あらゆる損害に対する迅速かつ十分な賠償の実施などを地方と十分協議の上、第3次補正予算の編成において措置するよう既に強く要請を行ったところであります。
 次に、府民の食の安心・安全についてでありますが、学校給食等の食材につきましては、学校等の設置者が十分に安心に気をつけておりますけれども、京都府といたしましても府内産や府内に流通する他県産の食品について検査を行い、府民の食の安心・安全確保に全力を挙げているところであります。
 検査のための体制や機器の拡充につきましては、国民の健康保護の観点から、検査体制の構築や財政支援等を全国知事会等から国に強く要請をしているところであります。暫定規制値につきましては、食品安全委員会に諮問の上、緊急に取りまとめられたもので、現在、同委員会で詳細な食品健康影響評価案を策定中であり、全国知事会からは安全基準の速やかな決定を、京都府及び関西広域連合からも同委員会の意見を十分に踏まえた基準値の早期制定を国に対し要請をしているところであります。
 生産者に損害を与えない措置につきましては、8月29日に京都府と農林水産関係団体等で構成する東日本大震災対策の緊急連絡会として、経営的打撃を被った農林漁業者や流通関係者への損害賠償に誠実に対応するよう国に要請したところであります。
 京都府の検査は、府内産農作物におきましては、生産者に負担を求めず、生産地ごとに抽出実施しており、今後は現行の民間委託検査に加え、迅速に検査できる簡易検査機器を導入し、さらに多くの品目について検査できるよう体制の充実・強化を図ってまいりたいと考えております。
 次に、社会保障と税の一体改革についてでありますけれども、社会保障は国と地方が一体的に担っており、社会保障の再構築には地方の視点が不可欠であります。今回の社会保障・税の一体改革の取りまとめは、こうした地方の意見を十分に聞くことなく、現行制度を前提とした財源問題に終始しており、社会保障の将来像を示していないことが私はそもそも問題であると考えております。
 このため、国と地方の協議の場におきまして、現地・現場の立場から各種サービスのワンストップ化や福祉・就労施策の総合的実施、障害者施策の充実など、社会保障の全体のあり方を主張し、その成案に盛り込ませたところであります。もっとも、成案はスタートにすぎず、具体的な内容についてはほとんど論述をしておりません。一体改革が国民の理解を得るためには、総合的な社会保障の全体像をきちっと明らかにし、真に国民が安心して生活できる持続可能な社会基盤をつくり上げることが必要であり、今後ともそうした観点から、国と地方の協議の場において主張していきたいと考えております。
 次に、福祉医療制度についてでありますが、少子・高齢化の進展、世帯構成の変化など社会・経済情勢が変化する中で、現在、制度の見直しについて検討を進めているところであります。昨年度は、京都市など5市町とのワーキンググループにおいて、子どもの医療費助成など福祉医療制度全般について、全国や府内市町村の状況、府民アンケートの結果、訪問看護の取り扱いも含め、考えられる制度の見直しを行った場合の事業費推計等を整理し、報告書として取りまとめたところであります。
 今年度はこのワーキンググループ報告書を踏まえ、より幅広い議論を行うために外部有識者による福祉医療制度検討会を設置し、制度見直しの具体的内容及び時期を検討することにしております。制度拡充に当たりましては、検討会の取りまとめ結果を受け、実施主体であります市町村とも十分に協議・検討を行い、その中で実施をしてまいりたいと考えております。

◯島田敬子議員  消費税と社会保障の一体改革について明言はされませんでしたけれども、全国知事会の政府要望を見ておりますと、地方の単独事業も含めて社会保障財源を明らかにして、全体を明らかにして消費税を求める立場が暗に示されておりまして、地方と国との分配、つまり地方消費税として増税分の1%を回せと暗に述べている、このように私は見ました。「少ない年金をさらに引き下げ、医療も介護も悪くして何が消費税増税か」、これが街の人々の声であります。
 財政が厳しいと言われますけれども、京都府税収入の落ち込みを嘆いておられましたけれども、これまでの改革のやり方、庶民増税や社会保障の切り捨てで府民の暮らしを破壊して、貧困を増やし格差を広げた結果ではないかと思うんです。やり方が間違っておりますので、これを転換する立場に知事が立つべきであると指摘をしておきます。

 次の質問に移ります。
 次に、地域医療再生についてです。
 この間、府内の医療機関をお訪ねいたしまして現場の声を聞いてまいりました。どの地域も課題は山積みですが、詳細は常任委員会に委ねまして、きょうは中丹地域について伺います。
 舞鶴市においては2月の市長交代後、中丹地域医療再生計画が振り出しの状態となっています。先日現地でお話を伺いました舞鶴市民病院では、3月末に整形外科を廃止、6月末には循環器や糖尿外来が廃止され、休日一時救急も廃止されました。舞鶴新市長が市民病院を療養病床に特化すると発表したことを受け、市民病院の先行きを見通せない中で医師が退職されたからです。整形外科医の退職で400名以上の患者さんが福井県の高浜病院へ移られましたが、その高浜病院でももうすぐ整形外科医がいなくなり、峰山の丹後中央病院へ1日かけて通院をしなければならなくなります。
 交通事故で頭を打った子どもさんが医療センターに運ばれ脳外科で診てもらった後、近隣の整形外科に運ばれたり、小児喘息発作を起こした子どもが舞鶴市内で受け入れることができずに救急車で福井県小浜市へ運ばれる事例も起こりました。私は、住民の命が危険な状況にさらされていると考えます。府として現在の状況をどのように把握して、また認識されておりますでしょうか、まずお聞かせください。
 医療再生の議論と並行して、緊急課題として舞鶴で不足する整形外科医や産婦人科医師等の医師確保を行うべきです。地域医療支援センターができたのですから、ぜひオール京都の体制で緊急の医師派遣を求めますが、いかがですか。
 舞鶴市長が提案した見直し案は、選択と集中、分担と連携により、各病院のセンター化で機能を分担し、あたかも1つの病院として機能する体制を構築する。舞鶴市民病院は舞鶴赤十字病院の隣接地域に移設し療養型に特化するとして、不足する地域医療の課題について具体策が示されておりません。これでは舞鶴の医療の現状を改善することは到底できません。
 本来、自治体病院は、その地域に不足している医療に積極的に取り組むとともに、地域医療機関や行政と連携しながら、公平公正な医療を提供し、地域住民の健康の維持・増進を図り、地域の発展に貢献することが使命と考えます。現在、舞鶴に不足している救急医療、リハビリ、呼吸器、小児医療の提供体制を確保することこそ行政と公立病院の役割ではないでしょうか。その立場を貫いて、舞鶴市民病院の今後のあり方を検討すべきと考えます。しかも、検討会議の場では、「舞鶴には隣接の丹後医療圏や福井嶺南医療圏からも患者が流入して、舞鶴は府北部の医療の要所である」としています。ところが、現在の中丹医療再生計画検討会議は25億円のお金をどう配分するかが議論の中心となっております。舞鶴を含む中丹地域医療をどう再生するのか、真摯で粘り強い議論をするため京都府としてリーダーシップを発揮し、地域医療対策協議会を開催すべきと考えますが、いかがですか。

 次に、看護師確保についてです。
 地域医療再生の柱には、医師確保と並び看護師の確保が喫緊の課題です。看護師不足から病棟閉鎖や地域包括ケアの要所となる訪問看護ステーションが閉鎖されるなどしています。厚生労働省は現在5万9,000人不足とし、2015年には最大25万人が不足するとしていますが、慢性的で絶対的人員不足の中で極めて深刻な状況が広がっております。
 2001年2月には、大阪の循環器病センターで*歳の看護師の****さん、2007年には東京で*歳の看護師・****さんが亡くなりました。いずれも過労死でした。相次ぐ過労死認定を受けて日本看護協会は全国1万人の看護師を対象に緊急実態調査を行い、その推計では、「全国で2万人の看護師が過労死危険レベルである。看護師の平均勤務年数は約7年と短く、およそ10万人もの看護師が過酷な労働条件を理由に離職している」という結果でございました。また、日本医労連が2009年に実施した「看護職員の労働実態調査」では、妊婦の3人に1人が切迫流産を経験し、1割以上が流産するなど、12年前の調査に比べて3倍以上も悪化しております。「慢性疲労」は7割、「健康不安」は6割に及び、「仕事への強い不満」「悩み」「ストレス」も7割に達し、そのため「仕事をやめたい」が実に8割に上ります。病院から看護師が消えていく、看護師不足から本当の医療崩壊が始まると警鐘が鳴らされております。
 ところが、昨年12月に発表された「第7次看護職員需給見通し」は、こうした事態を改善するには遠く及びません。日本看護協会、日本医師会、各病院団体などからも「甘い見通しだ」と厳しく批判をされております。
 昨年11月に厚生労働省は、「看護師等の雇用の質の向上に関する省内プロジェクトチーム」報告書を取りまとめました。5局長通知を都道府県労働局、知事及び関係団体あてに発出いたしました。これを受けて各都道府県の労働局が、地域で直面する課題を関係者間で共有するために「企画委員会」を設置し、労働基準法令の遵守等に関する研修会を設置することとなりました。京都府におきましても、労働局と連携し、深刻な看護現場の改善に向けた実態調査や必要なヒアリングを行うべきです。
 また、この企画委員会には現場の医療労働者の代表や患者・地域住民などの参加を得るとともに、委員会審議の公開を求めます。労働局と連携・調整の上、具体化を求めますが、いかがでしょうか。
 大幅増員で長時間夜勤や交代制労働の勤務改善へ、夜勤は月8日以内など、夜勤等に関する最低規制や看護職員確保法・基本指針の実効ある改正が急がれます。看護師配置基準を引き上げ、賃金・労働条件の抜本的改善を国へ求めるべきと考えますが、いかがですか。
 京都府が責任を持つ府立医科大学附属病院についてですが、現場に伺いますと、今年度は必要数に対し17名も不足してスタートいたしました。看護職場では病棟からの応援体制や外来間の応援体制が頻繁に行われ、毎日がこま送りで綱渡りの運営となっております。夜勤回数が多い人で9回から11回という現状が常態化し、2人夜勤体制も残されており、職員の大きな負担となっております。それらの改善のために外来職場に正職員を配置し、育児や介護、病気のときなど外来勤務を可能にすること。病棟は夜勤可能者を配置し、すべての看護師の夜勤回数を8日以内にできるようにすべきです。産後、せめて子どもが1歳半になるまで夜勤免除が行える体制をつくるとともに、院内保育所を病児保育にとどめず、全面再開を求めます。
 また、夜勤手当は大阪に比べても、準夜勤で900円、深夜勤で1,200円も低くなっております。夜勤手当の増額を求めますが、いかがですか。
 洛南病院についてですが、24時間体制で外来救急に対応する救急病棟でも2人夜勤が残され、急性期認知症病棟も夜勤体制は2人です。患者同士のトラブルや暴力行為などもあるだけに、夜勤2人では人員が不足し、いつ事故が起きてもおかしくないぎりぎりのところだとお聞きをいたしました。さらに本府では、妊娠出産後の短時間勤務職員制度を導入されており、これは子育て中の看護師にとって大きな支援であり評価をいたしますが、代替要員をしっかり確保しないため夜勤回数が10回を超える方が出ております。患者と医療従事者の命と健康を守るために、救急病棟、急性期認知症病棟の3人夜勤体制の確保、産休代替要員などの人員を正規任用で確保するよう定数改定を求めますが、いかがですか。

 最後に地元課題について伺います。
 このほどJR西日本が東映太秦映画村のリニューアルと合わせてJR太秦駅へのエレベーターの設置やホームの安全対策の強化などを発表したと報じられております。JR太秦駅のホームは狭くて大変危険です。複線化に伴ってエレベーターの設置もいよいよ切実になってまいりました。私も住民の皆さんとともに何度もJR西日本へ要請を重ねてまいりました。現在、京都市やJRとの協議状況、そして事業着手の今後の見通しについてお聞かせください。

◯山田啓二知事  中丹地域医療再生計画についてでありますけれども、舞鶴市域では公的4病院が併存し、人口10万人対の病床数が府内で最多とはなっているんですけれども、その中で病床の過剰傾向や近年の医師不足の中、医師の確保や診療科の重複、救急医療体制の構築など、安定した医療体制の提供が大きな課題となっておりました。
 このために市民病院の現状を踏まえた今後のあり方や舞鶴市域における医師確保、救急医療・リハビリ等を含めた安定した医療提供体制を確立し、中丹医療圏全体の医療水準の向上・強化につなげることを目的に、舞鶴市域の公的病院の再編・連携を中心とした中丹地域医療再生計画を策定したところであります。
 こうした中、舞鶴市からは、現行計画の見直しの申し出がありました。そして、それはその前の市長選挙におきまして市長が信任を得たわけでありまして、これは舞鶴市の地域の意見として私たちは尊重すべきであるということでこの間お聞きをしているところでありますが、御指摘のように関係者会議において、「選択と集中、分担と連携による、全体としてあたかも1つの病院として機能する体制の確立」という説明を受けたところでありますけれども、具体的な中身というものはございませんでした。方向性自身はこれまでの京都府の考えと大きな齟齬はないものでありますけれども、そうした中で具体性を欠いておりますので、とにかく今の舞鶴で早く医療の安定的な体制をつくることが私は何よりも肝心であると。それが、ひいては整形外科も含めてしっかりとした医療体制の構築につながると考えておりますので、府が主体となって舞鶴市を初め関係者との調整を進めているところであり、今後速やかに計画修正案を取りまとめ、関係者会議で合意を得て府の医療審議会を開催・報告の上、国からの変更承認を受けたいというふうに考えております。
 今の段階では、舞鶴市及び関係医療機関等から医師確保等についての具体的な要望等は出てきておりませんけれども、今後とも、本年6月に設立しました地域医療支援センターにおいて、大学や医療関係団体とも連携して、必要な医師の派遣・確保に努めてまいりたいと考えております。
 次に、看護師確保についてでありますけれども、平成22年12月に策定いたしました看護職員の需給見通しは、府内の全医療機関を対象に実態調査を行い、取りまとめたところであります。また、需給見通しを示すのみではなくて、現場の実態を踏まえた看護職員の確保・定着をより一層進めるため、新たに多様な勤務形態の導入など、社会保険労務士などによる就業環境改善に対する相談・支援事業にも取り組んでいるところであります。
 しかしながら、依然として看護師不足の状況は続いていることから、今回、国において医療行政と労働行政が協働して施策を推進するための企画委員会が設置されることになりまして、京都府も参画を求められているところであります。
 京都府といたしましては、こうした場を活用して、実態を踏まえた施策の一層の充実に向け国に意見を申していきたいと考えておりますが、この企画委員会は国が設置するものでありますので、地域の実情を踏まえた審議が行われるように求めているところであります。
 また、看護師の労働条件の抜本的な改善につきましては、これまでから国に対し、看護職員の養成、確保等について大幅な財政措置を講じるなどの要望を行っているところであり、引き続き要望してまいりたいと考えております。
 次に、府立医科大学附属病院における看護師確保についてでありますけれども、7対1の看護基準の導入を契機に、全国的に看護師の採用を増やす病院が増加し、看護師確保が困難な状況が続いている中で、法人化後2年間は年度当初において職員数が確保できていたものの、今年度におきましては退職者の増加などで厳しい状況にあるというふうに認識しております。このため、京都府公立大学法人におきましては、採用内定の前倒し、期限つき職員の常時募集を引き続き実施しておりますし、今年度から新たに年度途中採用も募集し、再募集も検討しているところであります。
 また、育児や介護、病気等により夜間勤務が困難な職員につきましては、できる限り外来などの日勤職場に配置、1歳6ヶ月未満の子を持つ職員につきましては、職員の希望に応じ外来などの日勤職場への配置や、病棟配置でも夜間勤務を免除することにしているようであります。
 夜間勤務の回数についても、職員のさまざまな事情や夜間勤務免除者も多数ある中、平均的には1人当たり月8回程度となるよう勤務シフトを調整し、本年7月に学内に病児保育室の開設を行う等、病院として看護師の確保や勤務条件の改善に努力されており、京都府といたしましても、公立大学法人の努力が実るよう十分に連携を図ってまいりたいと考えております。
 次に、洛南病院の看護体制についてでありますけれども、認知症病棟も含めてすべての病棟で診療報酬上の基準は満たしておりますけれども、特に精神科救急業務の困難性に配慮し、救急病棟につきましては1名の夜間勤務者を増員配置し、看護業務の負担軽減を図っております。また、人員確保につきましては、短時間勤務職員制度や産休等の年間の取得影響分を考慮した看護職員を配置するように運営しておりますけれども、できるだけしっかりとした運営体制がとれるようこれからも努めてまいりたいと考えております。
 次に、JR太秦駅のエレベーター設置についてでありますが、昨日も小鍛治議員に答弁しましたとおり、バリアフリーを行うためには鉄道事業者が施工方法をまず検討していく、そして地元や関係団体、事業者などで構成される協議会において地域のバリアフリー化についての議論を経て事業実施のための移動等円滑化基本構想を策定し、それによって初めて京都府や国、京都市からの3分の2の補助という形になってまいります。
 太秦駅につきましては、バリアフリー化を早期に行うためにエレベーターが設置できるようJR西日本において今検討が進んでいるところでありますし、京都市は新たな基本構想を策定すべく協議会を7月に立ち上げ議論が始まっておりますので、京都府といたしましても、施設整備に対しまして、国、京都市と連携いたしまして支援を行うなど早期実現に向けて努力をしてまいりたいと考えております。

◯島田敬子議員  中丹地域医療の再生についてですけれども、市を尊重するというのは聞こえはいいわけですけれども、私は率直に言って、お互いの責任のなすりつけ合いという無責任状態があるというふうに考えております。
 先ほども申し上げましたけれども、舞鶴及び地域医療をどうするかということで、医療法上にも規定をされておりますが、地域医療対策協議会をしっかり現場で行うということが必要ではないかというふうに思うわけです。舞鶴市任せではなく、府がリーダーシップを発揮して調整、そして丁寧な議論をする必要があるというふうに思うんです。再生検討会議では、府は病床数を減らすことばかりおっしゃっています。舞鶴は北部地域の医療の要所だという認識は変わったのでしょうか。丹後・中丹地域は本府の計画からも病床不足地域で、もともとの計画も地域医療縮小型の病院再編でありまして、25億円の基金と引きかえに病床数を減らせ、経営効率、財政優先の公立病院改革、この延長線上の計画ですし、私はこういうやり方では地域医療の再生はできないというふうに考えますが、いかがでしょうか。
 看護師不足から本当の医療崩壊が始まる、そういう危機感に立って対策を急ぐべきだと考えます。
 先ほど、制度上は1歳6ヶ月まで子どもが小さい間は夜勤免除ができるんですけれども、人がいないから2回、3回夜勤をやってくれと言われてやっているのが現状なんです。年度途中の採用とおっしゃいますけれども、それができないから年度当初から確保できるように洛南病院も含めて定数を確保すべきだと指摘・要望をしておいたところでございます。
 国公立大学法人50のうち院内保育所がないのは京都ともう1ヶ所だけです。答弁がありませんでしたので再答弁を求めます。
 夜勤手当の答弁もありませんでしたのでお答えください。
 以上で質問を終わります。

◯山田啓二知事  医療再生計画につきましては、とにかく今の4病院が並立をしていて、その中で病床が過剰になっているという現状を、どうやってお医者さんも効率的に配置し、一番効果的な医療が確立できるかという観点から今検討を進めているところでありまして、引き続きその観点から検討を進めていきたいというふうに思っております。
 公立大学法人の勤務の問題につきましては、これは今、公立大学法人で夜勤の場合についてもしっかりと手当をするよう努力をされておりますし、学内に病児保育室を開設するなど病院の改善に努力をされているところでありますので、私どもとしましては公立大学法人の努力が実るように、これからも十分連携をしていきたいというふうに考えております。