◯島田敬子議員 日本共産党の島田敬子でございます。私は、さきに通告しております2点について、知事並びに関係理事者に質問いたします。
まず、洛東病院とリハビリ医療体制の問題です。
8月4日「洛東病院の存廃を含めて検討」という突然の新聞報道からわずか4ヶ月、今定例会に廃止条例が提案されましたが、住民の声を全く無視をした、あまりにも乱暴なやり方は他に類例を見ません。また、我が党の加味根史朗議員が代表質問で指摘をした雨漏り問題の中心は、老朽化を放置してきた府の責任を厳しく指摘し、反省を求めたものですが、知事は全く無責任な態度に終始されました。患者さんの医療確保についても、「大阪や奈良と探したが入院を受け入れてもらえない」という患者さんの苦しみの声を聞いても、なお「順調に転院が進んでいる」と言われる知事の態度は、弱者への配慮が全くありません。みずからは府民や患者にまともに説明責任を果たさずに、後始末を担当医師や職員に押しつけるやり方も、全く無責任です。厳しく抗議をするものです。
今、京都の遅れたリハビリ医療を何とかしたいと努力を重ねてこられた方々から「洛東病院を廃止してはならない」との声が日増しに高まり、特にリハビリ医療の専門家から貴重な意見が寄せられております。
京都府地域リハビリテーション協議会の委員で、京都府老人保健施設協会理事の角谷増喜先生は、
「今ようやく広域支援センター指定にこぎつけたところです。私たちとしては、京都・乙訓圏域の広域支援センターとして洛東病院を推薦します。施設、スタッフ、医療、経験ともすぐれた洛東病院を廃止することは歴史的禍根を残します」
とおっしゃっております。日本リハビリテーション医学会専門医で高次脳機能障害治療の第一人者である原寛美先生は、
「全国的にも洛東病院のような高次脳機能障害など重度障害のリハビリ医療に本格的に取り組む病院は多くないのが現状。この分野の政策医療性が最近ますます認知されてきており、各自治体は財政的に厳しくとも、そうしたリハビリ医療の場を1つでもつくろうと努力をしている。地方自治体は、採算性よりも地域医療ニーズを第一にしていただきたい」
とおっしゃっています。洛東病院の総合リハビリテーション施設は、日本のリハビリテーションの草分けである東京大学名誉教授で元国際リハビリテーション医学会会長の上田敏先生の設計でつくられたものです。その洛東病院で20数年間診療に当たられた佐藤能史元副院長は、
「洛東を残していただきたい。それがかなわなくとも、即時廃止は避け、患者さんの治療が継続できる保障をつくっていただきたい。大学にリハビリ医療の教室を設けていただきたい。これらは、京都でリハビリ医療に携わる者すべての願いです」
と発言をされています。知事はこうした方々の声にどうおこたえになるのですか。お聞かせください。廃止条例を撤回し、関係者の英知を集めて洛東病院を存続し、府立医大病院や府内医療機関とのネットワークを構築して、リハビリ先進地京都をつくることが一番効果的で現実的と考えます。知事の見解を伺います。
次に、リハビリ医療の具体的課題について、何点か伺います。
第1に、マンパワーの問題です。
私は、決算特別委員会でリハビリ専門医の不足についてお尋ねしたところ、府立医科大学学長は「リハビリの医師は不足しているのは事実であり、これから大学が取り組むべき大きな問題だと思っている。ぜひ保健福祉部と大学と一丸となり努力したい」と答弁をされました。府立医科大学にリハビリ医学の教室を設置し、専門医の養成に取り組むべきと考えますが、学長の決意に知事はどのようにこたえようとされますか、お聞かせください。
また、理学療法士や作業療法士についてですが、本府のリハビリテーション資源現況調査でも、医療機関、介護施設、訪問・通所リハ等の事業所の5割から6割が、人員の確保を課題としています。決算委員会で、保健福祉部長は「人材の量的確保及び地域支援を含めて確保していきたい」と答弁をされましたが、現在の需要に対する供給の状況及び量的確保の数値目標をどのように考えておられますか、お聞かせください。
次に、2次医療圏域ごとにリハビリ医療の中核的施設を整備する課題です。
回復期リハビリ病棟が京都市、宇治市以外にありません。この間、舞鶴日赤、京丹後市立弥栄病院、公立山城病院が広域支援センターに指定をされましたが、残る3圏域でも早急に指定をし、これら医療機関に回復期リハビリ病棟の設置と人材確保等のリハビリ体制強化が必要だと考えます。さらに、府立与謝の海病院についてですが、病院には現在理学療法士が2名しか配置をされていません。外来患者にも週1回程度のリハビリしか行えず、やむなく豊岡の病院へ通院をされている患者さんがあります。また、現地の何人かの保健師さんに伺いましたが、
「与謝の海病院が急性期病院になり、短期間で退院して地域に帰ってこられた患者さんが自宅で寝たきりになっています。老人保健施設も満杯で、橋渡しの機関がないのです。伊根町、岩滝町、宮津市には理学療法士が一人もいません。何とかしてほしい」
と悲痛な声でした。宮津・与謝地域の唯一の公的病院である与謝の海病院に回復期リハビリ病棟を設置するなど、体制を強化し、そこから市町へ支援をしてはいかがでしょうか。知事は、医大病院を地域のリハビリ支援の拠点とするとしていますが、そもそも支援する先の地域資源の整備がなければ絵にかいたもちであります。知事の見解を伺います。
また、医大病院の急性期リハビリの充実は喫緊の課題ですが、問題は歴代保健福祉部長がお答えになってきたように、その後の回復期・維持期・職業リハ等の一貫した体制をどのようにつくるのか、また、民間が受け入れることが困難な脊髄損傷や高次脳機能障害、切断、重症熱傷など、重度障害者のリハビリ医療の確保のために本府の公的責任をどう果たすのかということです。平均在院日数が21日と言われる医大病院ですが、急性期の病院の入院期間はさらに短縮されそうです。そうなりますと、急性期を脱した重度障害の患者さんの受け皿をしっかり確保する必要があります。医大病院の中に回復期をつくるなら話は別ですが、私は洛東病院と連携すればより効果的かつ公的な役割がしっかりと果たせると考えますが、この際、知事のお考えをお聞かせください。
さて、公明党や民主党の会派の皆さんは、洛東病院の整備拡充や総合的リハビリ体制の確立を要望されてきましたし、また、この間は病院にも足をお運びだと伺いました。患者さんが議会を注視されています。慎重な審議をお願いするものです。
1998年2月定例会、1999年9月定例会で、公明党の池本議員は「リハビリ医療の需要は今後増大の一途である。日本のレベルは欧米各国と比べて極めて手薄な状況であり、寝たきりや訪問看護患者の4割は脳卒中が占めており、適切なリハビリ医療の供給不足が要介護老人増加の一因にもなっている。洛東病院を本府におけるリハビリ医療の中核施設に整備することが、府立病院の役割を果たす見地からも現実的な方策」と提案をされておりました。保健福祉部長は「リハビリテーションに対する需要は今後ますます増大していく」と答弁、当時の荒巻知事は「京都府保健医療計画においても京都府内における中核として整備の検討を進める」と答弁をされておりました。また、2000年6月定例会で民主党の田中卓爾議員の質問に対しても、「高齢者の方が寝たきりになることなく、住みなれた地域で生き生きとした生活を送れるようにするために、寝たきり予防、閉じこもりの高齢者、脳卒中患者など、それぞれに応じたリハビリテーションが継続的に行われる必要がある」、森野保健福祉部長は「洛東病院の医学的リハビリテーションについて、社会復帰促進に大きな力になっている」と答弁されておりました。
池本議員が指摘をされたとおり、寝たきりの高齢者は増え続けています。京都府全体で2000年の介護保険制度スタート後の4年間で要介護4、5の高齢者は14,053人から20,315人と約1.5倍に増加をいたしました。回復期リハビリの受け皿がなく地域で寝たきりの高齢者が増え続けているのは、先ほど紹介をした宮津・与謝地域だけでなく、医療機関が集中する京都市内でも同様です。とても、洛東の回復期リハは必要がないという状況ではありません。重ねて、洛東病院廃止条例の撤回と慎重審議を求めるものです。
次に、介護保険制度についてです。
今、政府は介護保険法施行後5年目の見直しに向け、来年の通常国会に提出する法案の取りまとめ作業を行っています。今回の見直しについては、識者から「まず財源ありきの議論が先行している」と指摘されているように、専ら国の財政支出を抑制するための利用の抑制と国民負担増が中心です。第1に、在宅介護サービスの利用制限、第2に、介護サービス利用料の大幅な値上げ、第3に、支援費制度との統合を大義名分にした保険料徴収対象の拡大、第4に、低所得者に対する特別対策の廃止です。これは、少ない年金から保険料が天引きされていながら、必要と認定された介護サービスが受けられないという社会保険制度の根幹にかかわる矛盾を一層激化させ、介護に対する国民の願いに真っ向から反するもので、およそ改革の名に値しないと私は考えます。知事の見解をお聞かせください。
見直しに当たっては、この4年半に明らかになった課題をはっきりさせる必要があります。私は、本府が行った利用者アンケートなどの調査結果を踏まえながら、改善の提案をさせていただきます。
まず第1に、保険料・利用料のあり方を支払い能力に応じた負担の方向に見直すことです。
アンケートでは、利用料の負担が「大きい」「やや大きい」が3割近く、「負担が大変だから限度額以下しか利用していない」人が18.3%、「負担があるから利用を減らした」人は16%となっています。現在でもこのような事態ですのに、2割、3割と負担を増やせば利用はさらに大幅に減少します。特別養護老人ホーム入所者には「ホテルコスト」がかかりますが、月10万円を超え、個室では13万4,000円にもなります。6万6,000円の国民年金満額受給者でも入所ができません。そもそも、介護保険以外の福祉施設、例えば保育施設や障害者施設は所得に応じた負担になっており、生活の場である特養ホームの利用料が、所得にかかわらず一律ということがおかしいのです。こうした利用料について、所得に応じた額に改めるよう国へ意見を上げるべきと考えます。また、府として利用料減免制度を支援する制度を市町村と協力してつくってはいかがでしょうか。来年度から社会福祉法人の減免制度も国の補助がなくなるとの関係者の危機感が広がっています。もし国が打ち切った場合でも存続させるべきと考えますが、いかがでしょうか。
保険料についてですが、現在65歳以上の介護保険料は5ないし6段階の定額制と定められておりますが、例えば所得が200万円の高齢者と1,000万円を超える高齢者の保険料が同額となるなど、所得税や住民税、国保料に比べても逆進性が著しいものです。「負担は能力に応じて、給付は平等に」は社会保障制度の原則です。各自治体が定率制や多段階制など所得に応じてきめ細かく設定できるよう改正を行うこと、国庫負担割合を引き上げ、保険料の自治体間格差を調整するよう国へ提案をしていただきたいと考えます。また、市町村独自の減免についても、国の3基準を押しつけず、制度改善の努力を求めますが、いかがですか。お答えください。
そもそも保険料や利用料が高くなる最大の原因は、介護保険制度導入の際に国庫負担を50%から25%へと大幅に引き下げたからです。私どもは、調整交付金5%を別枠にし、国庫負担全体を緊急に30%に引き上げることを求めてきました。知事は、低所得者対策について国へ提案しているとの答弁を繰り返してきましたが、具体的な提案の中身とその結果についてお答えください。
第2に、在宅・施設両面で安心して暮らせる基盤の整備を進めることです。
「介護が必要になっても、できれば住みなれた自宅で過ごしたい」と願う多くの高齢者の願いにこたえ、在宅で暮らせる基盤をつくることが必要です。それは施設不足の解消にも役立ち、介護費用の節減にも役立ちます。4年半たってもなお地域には十分なサービス基盤がそろっていません。さきのアンケート調査で、「希望しているのに利用できないサービス」の第1がショートステイですが、今どこも満杯の状態です。「3ヶ月、4ヶ月前に申し込みが必要では、急の必要に間に合わない」という声が出されています。介護家族にとって、いざというときには支えてくれるところがあることがどうしても必要です。緊急ショートステイを自治体として確保するための対策を講じるべきと考えますが、いかがですか。
次に、特養ホームの計画的整備です。6月定例会で知事は、17年度の見直しに向け調査が必要と答弁されましたが、調査はされたでしょうか。私は府内市町村に聞き取り調査をいたしましたが、明らかに前回の3,640人を上回っています。国は「介護保険施設が充足している圏域での施設整備については国庫補助の協議対象外」として、宇治市、亀岡市の申請を門前払いいたしました。現在まで京都で17年度の新規整備は1ヶ所しか認められておりません。また、三位一体改革で施設整備補助金が交付金化される予想もあり、総額の抑制にも拍車がかかります。こうした事態に知事はどのように対処されますか。国に対して、地域の計画的な整備ができるよう財政支援を求める必要がありますが、いかがでしょうか。また、地域の実情に応じて安価で質のよいサービスが提供できる施設として、長野県の「宅幼老所」の事業は大変ユニークな取り組みです。本府としても検討されてはいかがでしょうか。お答えください。
第3に、介護予防事業についてです。
政府は、現在、国と自治体の負担で行っている健康診査や機能訓練などの老人保健事業、高齢者の給食サービスや送迎サービスなどの介護予防・地域支え合い事業などを再編成して、介護保険内に組み込む方向を検討しています。これで国の負担は400億円削減をする一方、国民の介護保険料負担は1,000億円も増えます。国の負担と公的責任を後退させることは、介護予防に逆行することです。今必要なことは、国の財政支援や地方自治体の責任を明確にして、介護、医療、福祉、公衆衛生の連携を強め、保健所が核になって、市町村や関係団体との連携を密にして高齢者の健康づくりを進めることだと考えますが、いかがでしょうか。知事の見解を伺います。
第4に、介護労働者の労働条件改善の取り組みが急務です。
制度の矛盾が集中しているケアマネジャーについて、独立性、公共性をもって最も適切なケアプラン作成に専念できるよう、担当件数の削減が必要です。それらの裏づけとなる介護報酬の引き上げなど適切な条件整備を国へ要望すべきと考えますが、いかがですか。見解を伺います。
以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
◯山田啓二知事 島田議員の御質問にお答えいたします。
リハビリテーション医療についてでありますが、人口の高齢化が進展、リハビリテーションは、急性期・回復期・維持期など患者の症状に応じた対応が求められているとともに、保健分野・介護分野でのリハビリテーションなど、ニーズが高度化、多様化しております。こうしたニーズに対応していくためにも、地域での基盤整備などの体制強化とともに、人材の育成・確保、資質の向上、とりわけ医療スタッフのかなめとなります専門医の育成が重要でございます。このため、京都府としましては、これまでから公立南丹病院や、現在整備中で今回新たに回復期リハビリ病棟を整備する福知山市民病院等に対しまして、地域医療を担う中核病院が実施する施設等整備について、国庫補助に対する上積みや起債利子軽減助成など府独自の助成措置も講じながら、リハビリテーションの基盤整備の充実を図っているところであります。さらに、今議会で補正予算をお願いしておりますけれども、府立医科大学を府域のリハビリテーションの拠点と位置づけをして、来年4月から、脊髄損傷、小児等に対するリハビリも含めまして、急性期リハビリを飛躍的に充実するとともに、京都府リハビリテーション支援センターを設置して、地域リハビリを担う人材の育成、関係施設の連携の推進などを図ることとしております。また、専門医の養成につきましては、府立医科大学において授業の中で整形外科学のカリキュラムに取り入れるとともに、附属病院にリハビリテーション部を設置いたしまして、診療を通じ専門医の養成に取り組んできたところでありますが、さきに田中卓爾議員の御質問にお答えしましたとおり、専門の講座の設置も含め、府立医科大学における人材の育成のあり方を検討し、京都府のリハビリテーション医療の充実を図ってまいりたいと考えております。
その他の御質問につきましては、関係理事者から答弁させていただきます。
◯地上進 保健福祉部長 洛東病院についてでありますが、リハビリテーションに取り組む病院が急増し、政策医療性が低下していること、施設の老朽化の進行、周辺に多数の医療機関がある中での東山区の高齢化、人口減少の進行、患者数の減少など、状況変化の中で、民間医療機関では取り組むことが困難な政策医療を担うという府立病院の基本的な役割を踏まえました抜本的なあり方の見直しが求められており、こうした中で、今年度、包括外部監査や府立病院あり方検討委員会からも「全病棟廃止が適当」など厳しい提言をちょうだいし、これらを踏まえ、廃止することとしたものでございます。
廃止に当たり、最も重要である患者さんの医療保障につきましては、主治医等からも医療ケアについて十分説明していく中で、必要に応じ適切な医療機関を紹介する等対応してきておりまして、今後の医療保障についての一定の見通しが立った今日の状況を踏まえて、関係条例の改正を提案させていただいたところであります。また、リハビリテーションの推進につきましては、京都・乙訓医療圏だけでなく、各地域で展開されているリハビリを担う多様な主体と連携し、府全域のリハビリテーション施策の総合的推進を図るため、来年4月から府立医科大学附属病院の人材を活用し、センターを整備すべく所要の補正予算について御審議をお願いしているところであります。
リハビリテーション医療体制についてでありますが、増大・多様化するニーズに対応するため、民間医療機関等さまざまなリハビリ実施主体と連携して推進していく必要があると考えております。OT・PTにつきましては、全国的には国の需給見通しを大幅に上回る水準で増加しておりますが、京都府においても年々増加いたしておりまして、現在、約900名が従事しており、人口10万対従事者数は全国とほぼ同様の水準となっております。なお、ここ1〜2年の間に複数の養成施設が設置される予定となっており、今後こうした条件も生かしながら、確保を図ってまいりたいと考えております。
広域リハビリ支援センターについてでありますが、リハビリテーションは、急性期・回復期・維持期など医療リハビリのほか、保健分野・介護分野でのリハビリなど多様化しているとともに、京都府のみならず、民間医療機関、福祉施設、市町村など、さまざまな主体がかかわっております。こうした機関の連携を推進するため、現在3つの医療圏で支援センターを指定したところでありますが、他の3つの医療圏につきましても、来年度に指定を行うべく、既に関係機関との調整を進めているところであり、今後とも、充実した体制のある病院を指定してまいりたいと考えております。
また今回、府立医科大学に設置することといたしております京都府リハビリテーション支援センターは、これらの広域支援センターと連携し、関係者に対する研修・教育や実地研修などにより、さまざまなリハビリの実施主体の活動を支援することといたしております。
与謝の海病院につきましては、急性期医療を中心に展開してきている中で、これまでからリハビリテーション科を標榜する管内3つの病院との役割分担と連携のもとにリハビリテーション医療に対応してきているところであります。また、今年11月からは、地域の45の診療所に参画をいただきまして「かかりつけ医」制度を発足させたところであり、リハビリテーションを含めた医療の継続と確保を図ることといたしております。
府立医科大学附属病院につきましては、民間医療機関との役割分担のもと、急性期医療を担う特定機能病院として、再生医療など高度医療に支えられた脊髄損傷など、急性期リハビリテーションを実施することといたしております。
次に、介護保険についてでありますが、新たに介護予防に重点を置こうとする国の改正方針が示されておりまして、その方向性は、現在京都府が取り組んでおります「きょうと健康長寿日本一プラン」とも一致したものでありますが、今後、さらに利用者本位の安定した制度としていただくよう、国に強く要請してまいりたいと考えております。
保険料や利用料につきましては、社会全体で介護が必要な高齢者を支え合うという制度の趣旨から、高齢者の方や現役世代の方に保険料・利用料を負担いただくとともに、国、都道府県、市町村、それぞれが公費で負担することとされております。こうした中、京都府といたしましては、低所得者に配慮いたしまして、通常5段階設定の保険料を6段階とする制度の活用について市町村に助言してまいりましたが、その結果、京都府内では7割以上の市町村が6段階制を導入しております。
介護保険は、制度の設計や財源措置など国の責任において解決すべき課題もあることから、国に対しまして、地方公共団体の財政負担の軽減については調整交付金を国庫負担金25%の別枠で措置することを、保険料・利用料については低所得者対策の充実を、特別養護老人ホーム等の施設整備については三位一体改革による補助制度の動向にかかわらず必要な施設整備が行える財源確保を、ケアマネジャーについては資質向上のための支援策や介護報酬の見直しなどを積極的に提案し、要望してきているところであります。
なお、低所得者対策につきましては、今回の制度の見直しの中で、保険料の設定区分の細分化や利用料の負担限度額の引き下げなど検討が行われているところであり、また、社会福祉法人による利用料減免措置については、現時点で見直しが行われるとはお聞きいたしておりません。
在宅介護を支援するショートステイベッドの整備につきましては、従来から特別養護老人ホームの整備に際しまして必ず併設するよう努めてきたところであり、この結果、平成15年度におきましては、介護保険事業支援計画の目標値を上回る利用がなされているところであります。
また、特別養護老人ホームの計画的整備のための調査につきましては、平成18年度からの次期介護保険事業支援計画の改定に向けまして、平成17年度の早期に実施できるよう準備を進めているところであります。
地域の実情に即した良質なサービス提供につきましては、京都府においては、民家等を活用した小規模で地域密着型のデイサービスを基本に、複数のサービスを提供する「ふれあいホーム整備事業」を府独自に実施しているところであります。
介護予防につきましては、介護予防対策を含む総合的な健康づくりの方向性を示すものとして、平成15年度から、健康寿命を日本一に延ばすことを目標に「きょうと健康長寿日本一プラン」の策定に取り組んでいるところであります。
今後とも、府、市町村など関係者が一体となり、高齢者の健康づくりや介護予防等を推進していくことといたしております。
◯島田敬子議員 洛東病院についてですけれども、先ほどから命の重みを語ってこられました。洛東病院は、まさに患者さんの命を支え、生きる喜びを多くの方々にもたらした本当に大切な病院であります。
地域医療の実態について、リハビリを行う機関が急増している等々おっしゃいました。これは、書面審査並びに9月の常任委員会、そして知事総括質疑でも指摘をしてきましたけれども、現場の実態は、患者さんが急性期病院から在宅にそのまま帰ってこられて、寝たきりになる患者さんが増えていると、医師会でも大問題になっているわけですね。回復期リハビリについてはまだまだ足りませんし、さらには、今このリハビリの質も問われております。日本リハビリテーション専門医学会の中では、京都のこのリハビリの質の問題も問題になっているそうです。これまでも指摘しましたように、現場のリハビリ専門医から、「洛東病院を残して京都・乙訓地域の広域支援センターで指定をして、これまでの経験を十分生かせるようにすべき」という声や、「最近政策医療性が認知をされた高次脳機能障害など重度障害のリハビリ患者さんのリハビリ、急性期ではなく回復期等も含めて一貫したリハビリテーションを行うための施設として洛東を拡充すべき」、知事はこういう声をお聞きになるべきだと考えます。改めて、私はこうした声を聞くべきと考えますが、知事の答弁をお願いをしたいというふうに思います。
宮津・与謝地域の問題は本当に深刻な実態で、一度伺って、保健師さんの話を聞いたらどうでしょうか。連携をとっていると言われましたが、寝たきりの患者さんがふえていることは宮津・与謝地域の実態であります。現場をよく調査をしていただきたいというふうに思います。
患者さんの医療確保について、順調だと言われましたが、廃止報道以来、患者さんの中に不安が高まって、うつの症状が出ている人もふえています。転院先が見つからない患者や、紹介状を持って府立医大の外来に行ったら開業医を紹介されたと、再び洛東の外来に帰ってこられた患者さんまでいます。どこの病院にも転院できない、自宅にも帰れない患者さんは、「府庁の知事室にベッドを置いてもらおうか、そのくらいに責任を知事はとるべき」との声も出されておりますが、知事はどのように受けとめられますか、知事の答弁をお願いいたします。
リハビリ専門医の養成確保について、私は、講座にかかわらず独立したリハビリテーション医学教室を設けるべきだと思いますので、これは強く要望をいたします。
最後に、介護保険について、利用者負担の問題ですけれども、社会福祉法人や市町村を支援してきた京都府の支援を、国の制度を打ち切られた後も、国庫負担がなくなった後も継続すべきだと考えますが、これも知事の答弁を求めます。
以上で質問を終わります。
◯地上進 保健福祉部長 洛東病院についてでありますが、先ほどもお答え申し上げましたとおり、京都府域のリハビリテーションは、京都府と民間医療機関、社会福祉施設、市町村等が役割分担を進めながら、全体として進めてまいりたいというふうに考えております。
洛東病院の患者さんの医療の確保の問題でありますが、12月1日現在58人の入院患者さんがいらっしゃいますけれども、主治医から懇切丁寧に説明をさせていただいているところでございます。
介護保険の利用者負担の問題でありますが、現在のところ、先ほどもお答え申し上げましたとおり、今回の介護保険制度の見直しの中で廃止を検討されているとは伺っていないところでございます。