◯島田委員 日本共産党の島田敬子でございます。
私は、洛東病院問題に絞って伺います。
9月の定例会で、知事が府立洛東病院を来年3月をもって廃止をする意向を表明されたことに対し、患者、家族、そして多くの府民の皆さんに不安が広がっております。
「洛東病院は命の綱。この灯を消さないでほしい」。
署名は21,000名を超えました。知事のもとには「患者・家族の会」の皆さんが「一言メッセージ」ということでこれをお届けし、懇談会を開催するよう求めておられますが、知事はお読みになりましたでしょうか。まずお聞かせください。
「くも膜下出血で民間病院に入院し、その後洛東へ移りました。2つのリハビリセンターを移りましたが、その中で洛東が最高でした。ぜひ存続拡充をしてください」
という患者さんの声。
「夫が突然の脳出血で入院。何とか歩かせたいと洛東病院で訓練計画を立てていただき、数ヶ月訓練。おかげで、つえで歩けるようになりました」
という奥さんの声。そして、
「介護保険の申請に来られた40歳代の女性が、洛東のリハビリで障害を改善し、介護保険の申請を取り下げられました」
という京丹後市の保健師さんの声などです。30年にわたる洛東のリハビリ医療の実績への高い評価と感謝の声がつづられております。知事は、こうした患者・家族の声を直接お聞きになってはいかがでしょうか。
さて、本府のリハビリについては大変おくれていることが決算審議の中でも明らかになりました。例えば回復期リハビリ病床は現在京都府で575床、全国平均を下回っております。しかも、京都市以外にあるのは宇治市だけです。南山城、中丹、丹後には1つもありません。だから、舞鶴や福知山や丹後からはるばる洛東病院に患者さんが来られています。リハビリ医療では先進の兵庫県リハビリテーションセンター顧問の沢村医師は、回復期リハビリについて「人口10万対50床が必要である」。京都におきましては今22床ですから、今の2倍以上の整備が必要となります。これらの課題についてどのように解決をしていく計画ですか、お聞かせください。
◯山田知事 島田委員の御質問にお答えします。
先ほどの話があるんですけれども、ただ、私どもは経営の中で税金の赤字を切り詰めるというのは何のためにやっているかということですね。すべて税金というのは府民の方が払われているわけです。その税金をいかに有効に、本当に必要な府民の方に配分しなければならないかということで、今回の災害におきましても思い切った形で全国最高水準の住宅再建を実現するなどやっているので、財政再建をやるのは私たちはまさにそういう視点で物事を運んでいるということを御理解いただきたいと思います。あくまで我々が預かっているのは、すべて府民の皆様の税金です。
洛東病院についてなんですけれども、小巻委員にもお答えしましたとおり、患者さんを第一に考えるべきだという観点に立って現在対応しているところでございまして、院長名のお知らせを個々にお渡しし、説明を行う等、丁寧な対応をしてきているところでございますし、患者さんにとって最も切実な問題であります患者さんへの医療について個別に診療計画を説明し、病院として責任を持って診療に当たってきたところでございます。
委員御指摘のようにいろいろな御意見が寄せられていることは私も十分承知をしております。他府県からも大変多くの署名をいただいておりまして、洛東病院というのは本当に有名なんだなというふうに思っておりますけれども、こうした御意見はやっぱり洛東病院が長い歴史を有している中で、今までいろいろな面で先駆性を発揮して貢献をしてきたという、そういうことを評価いただいたものだというふうに私は感じております。
ただ、洛東病院がこれまで果たしてきた役割やそういった丁寧な医療を提供していることへの評価には確かに感謝いたしますけれども、一方で、周辺に数多くの医療機関がある中で、どういう形で一番府民の健康を守らなければならないのかという点について、やはり私どもは検討を進めていかなければならないというふうに思っております。
近年、患者が急速に減少して患者離れが進展しているのもまた事実であります。さらに、回復期リハビリ制度や介護保険等の創設によりまして、リハビリに取り組む医療機関が飛躍的に増加いたしまして、リハビリ医療に係る公民の役割分担も考える上で、状況が変化しております。そして、老朽化した病院として運営していくことがこれからできるのかというと、当然建てかえを考えなければならないわけです。その建てかえの費用と近隣にある府立医科大学の建てかえ、これもしなければいけないわけです。その費用を、どうすれば一番総合的な形で府民に対する医療が提供できるか、こういう判断によって私どもは判断しなければならないということで、包括外部監査報告や府立病院のあり方検討委員会にも多角的に検討していただきまして、洛東病院については残念ながら今後も引き続き公が担うべき医療としての意義はほぼなくなったということで、「廃止が適当」との厳しい御意見をちょうだいしたところでございます。
確かに、今の洛東病院につきましては、本当に根本的に建て直さなければならないのは私も明白だと思います。私としましては、そういった観点から廃止の方向性をお示ししたところでございまして、患者の皆さんに対しましても、先ほど申しましたように、そういった状況を繰り返し説明を申し上げまして、御理解いただくよう努めてきたところでございまして、今後も引き続き患者さんの医療保障について懇切丁寧な対応を行いながら、御理解を求めてまいりたいと思っております。
リハビリにつきましては、リハビリに対する診療報酬の充実が図られまして、総合リハビリテーションや回復期リハビリテーションを実施する病院が平成11年度以前は6病院でありましたものが、現在延べ30病院に達するなど、急激に今ふえてきている状況がございますので、私はやはり民間の力というものと公の力をバランスよく結びつけていくことによって、府ならではの政策医療を推進する必要があると考えております。このため、府立医科大学附属病院におきまして、再生医療等高度医療に支えられた内科系・外科系もあわせ、小児や脊髄損傷も対象に加えた質の高いリハビリを来年4月から実施すべく準備を進めているところでございます。また、老人保健や介護保険などリハビリテーションニーズが多様化する中で、理学療法士や作業療法士などリハビリ専門医の再教育や、看護職員の資質の向上、さらには医療・保健・介護を含めた地域でのリハビリテーションネットワークを構築することが重要な課題でございまして、これまでから、府立医科大学附属病院に集積された人材を活用しまして、地域リハビリセンター機能を整備いたしまして、広く全府域を視野に入れたリハビリ施策を推進していきたいと考えているところであります。
◯島田委員 患者さんに説明をしているということでしたけれども、患者さんという弱い立場の人たちに「廃止」という結論を決めて一方的に説明をする、これがどうして弱者の視点、府民の目線だと言われるのでしょうか。私は、この際患者さんに直接会って、一度お話を聞いていただきたい。強く要望いたします。
延べ30のリハビリの病院があるとおっしゃったけれども、ごまかしがあります。ダブルカウントいたしまして、現実は21の病院しかありませんし、回復期リハビリをやっているのは11の病院しかありません。
さて、府立医大で急性期のリハビリや人材養成をやることは当然であり、遅過ぎるほどです。問題は、府下どこでも、だれでも、急性期のみならず、回復期、維持期、職業・家庭復帰のリハビリ、この一貫したリハビリ体制をどのようにつくるのか、この問題であります。
今、地域の開業医さん、そして医師会の中でも大問題になっている課題があります。急性期病院で入院日数の短縮化が進んでいるのに、急性期から回復期リハ病院に転院できず、リハビリを十分受けられないまま在宅に戻ってくる患者さんがふえ、寝たきりになる患者がふえているとのことです。これは多くの府民の実感でもあります。こうした中で、洛東病院を廃止することは許されません。
そもそも京都府のリハビリテーション医療体制をどのように整備をするのか、京都府の協議会の中でもまだ結論が出ておりません。ところが、知事は廃止をすることだけは一生懸命です。
その上、あり方検討委員会などの進め方も重大な問題があります。委員のお一人、「京都医療ひろば」代表の奥田さんは、機関誌の中で「府立医大への重点化は賛成できないといった私の意見を加筆してくださいと言ったのに、これを無視をした。提言のまとめ方についても十分な意見交換がされず、まとめ方や意見の内容について異議を述べることができませんでした」と告発をされています。この経過について、知事は報告を受けておられますか。こうした進め方は重大な問題だと思いますが、いかがでしょうか。
◯山田知事 先ほども申し上げましたとおり、洛東病院をこれから維持していく、私もあの病院に行きましたけれども、私が一番印象的だったのは、行きましたら、非常に高価な機械の上にビニールがかけてありました。私は「何でビニールがかけてあるのですか」と聞きましたら、そのときに「この前天井から汚水が降ってきた。そのために機械が壊れたら困るのでビニールをかけてあります」ということでした。今そういった状況になっておりますので、本当に建てかえるかどうか、この判断を早くしなければ、私はやはり行政を担う者として責任は全うできない。そのときに、これから洛東病院だけですべてのリハビリ患者を担うことはできないわけですね。まさに民間の病院の力も入れて、そして府立医科大学附属病院を中心とした新しいリハビリの体制をつくっていかなければ、本当に我々はリハビリ患者さんの皆さん一人一人、高齢者はふえているわけです、それに対応できないのじゃないか。だからこそ地域リハビリ支援センターをつくり、そして府立医科大学に対しましてもこれから高額な投資をして、府民の健康を守る体制をつくっていくということを私は重ねて表明させていただいているわけですので、そのあたり、総合的な観点から御判断いただきたいというふうに私は思います。
◯島田委員 質問に答えておられません。病院改革プロジェクトから知事にこの「医療のひろば」代表の声を伝えられたかどうか、お聞かせください。
時間がありませんので申しますが、知事の御出身の兵庫県では、総合リハビリテーションセンターがあります。おっしゃったように300床の中央病院を核に、地域で困難な特殊・高度・専門性の高い医療の提供と生活・職業リハビリなど先導的なサービスを実施するとともに、10の2次医療圏域に県立病院を軸としたリハビリ医療の中核施設を配置して、全県的な整備を進められております。さらに、昨年3月には「全県的なリハビリテーション施設のあり方に関する報告」が策定をされまして、西播磨に新しくリハビリセンターの拠点をつくる計画です。「回復期は民間」などという無責任な結論はどこにもありません。まとめをなさった沢村委員長は、経済政策優先から生活者重視の政策への転換を強調されておりますが、「総合的なリハビリ体制を構築したい」とおっしゃるなら、ぜひこの兵庫県に学んでいただきたいと思います。
最後に指摘をしておきますが、あり方委員会については、NPOを名乗って兵庫県から医業経営コンサルタントをお呼びになった、このことは9月議会で指摘をいたしました。いま1つの問題は、府立病院のあり方を検討する委員会の委員に、保健福祉部からではなく、島津製作所から2年の任期付で出向してこられた経営戦略室の方だけが任命をされていることです。また、全病棟廃止の結論を導き出した包括外部監査の事務局も経営戦略室です。経営効率優先で、最初から洛東病院をつぶそうというやり方がはっきりしているのではないでしょうか。
患者の声も聞かない。幅広く府民の意見も聞かない。京都府の現時点での明確なリハビリ政策もない、あり方検討委員会の委員の中からも「問題だ」と意見が上がっているわけですが、少なくともこれだけの問題があるわけですから、洛東廃止方針を凍結をし、見直すべきだと考えます。強く要望して終わります。
先ほどの件だけ御答弁ください。
◯山田知事 委員の方からは、「文書上の表現について1人の委員から意見はあったが、洛東病院のあり方そのものに関するものではなく」、また当該委員は「反対意見があったかのように言われることは本意ではない」ということを我が方の職員にも、確認したときに述べられているところでありまして、そういった面ではちょっとおっしゃっていることが余りにも食い違っておりまして、私も当惑をするところであります。兵庫県の方の話を聞けと言っておいて、兵庫県からコンサルタントを呼んだら問題だとか、また先ほどから私が申しております「経営」というのは、府民の視点でどうしてやっていくかという形で、まさに府民本位の形での行政経営品質をやっている、その資格を持っている職員を委員に入れているわけですので、ちょっと誤解がおありだと思いますので、そのあたりは十分に御理解を賜りたいと思います。