○成宮真理子議員 日本共産党の成宮真理子です。議員団を代表し、通告にもとづき知事に質問いたします。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)「第3波」の急拡大により、全国で重症者が急増し、医療体制が逼迫するなど、政治が役割を発揮すべき重大な局面です。
ところが菅政権は、感染防止のための検査・医療体制の支援は立ち遅れ、中小業者や雇用への支援も「GoTo」事業にしがみつくなど逆行し、国民や野党の要求に背を向けて臨時国会を閉じてしまいました。これでは国民の願いにはこたえられません。
いま府民からは「このままでは年を越せない」という悲鳴が上がっています。この声にこたえ、暮らしと生業、地域を守るため、本府がどのように役割を果たすのか伺います。
まず、新型コロナから、いのちや健康を守る検査・医療体制についてです。
本府でも、「特別警戒基準」へ引き上げられたもとで、コロナ(COVID-19)患者受け入れの医療体制や、さらに通常の患者さんの医療体制の確保も含め、さらに努力をいただくよう求めます。府民を感染から守り、発熱などの症状が出た場合にも安心して地域で相談や、受診・検査を受けられる体制が必要です。
11月1日から厚生労働省の新たな方針のもと、本府でも新しい医療相談検査体制が始まり、発熱症状などのある方は、まず、かかりつけの診療所などに電話して相談する、土日祝日・夜間や、かかりつけ医がない場合は「きょうと新型コロナ医療相談センター」に電話で相談し、受診・検査が可能な医療機関の紹介を受け、自分で電話して相談・受診するというしくみです。
しかし、府民からは、依然として「受診や検査はどこでできるのかわからない」という声が寄せられます。さらに、コロナ(COVID-19)の受診・検査や患者を受け入れ医療機関からも、例えば、検査で陽性となった方の待機場所の問題、また自宅待機となった方の感染を広げる危険や生活支援の課題、陽性者の入院や入所先の調整に時間がかかるなど保健所とコントロールセンターとの連携や情報共有のしくみ、検査や入院体制をどう拡充していくかなど、実態や意見が様々寄せられています。
そこでまず、新しい仕組みがスタートしたもとで、現時点における課題についてどう分析しておられるでしょうか。これまでの対応や経験をふまえて、府民や医療機関などの要請に応えたしくみや体制にするため、本府が公的な役割を発揮すべきと考えますが、いかがですか。
その上で、3点にしぼって伺います。
1つは、土日祝日・夜間の受診・検査体制です。土曜日は検査センターの一部は動いていますが、日祝日・夜間は、府民から相談を受けても、医療機関の多くは対応できるのは明くる日や週明けとなり、症状が重い場合は救急車を呼ぶ等の対応もあるとのことですが、症状が軽くても家族や周囲への感染、症状の急変も心配されます。年末・年始も目前であり、土日祝日、夜間の受診・検査体制の拡充やその時間帯に対応する医療機関への支援など、どう対応されますか。
2つめに、受診・検査ができる医療機関を公表していくための医師会などとの調整と、公的な「発熱外来」についてです。決算特別委員会総括質疑で、わが党の光永議員の質問に、知事は
「今後とも医師会ときちっと調整しながら、もし可能であれば具体的医療機関名やイメージなど、出せる情報があればなるべく出していく」
と、また
「北部の医療機関の少ない地域には、できれば2次医療圏内では複数の同時検査ができる医療機関を確保したい。場合によっては、検査センターの設置なども含めて万全の体制を期す」
と答弁されました。府民から公表を求める要望は強くあり、医療関係者からも
「そもそも府北部や南部は、検査も入院受け入れも体制が弱く民間まかせでなく各地域に拠点となる公的なセンターを作るなど、府がやってほしい」とお聞きします。
受診・検査ができる医療機関の公表のための調整、検査センターと一体での発熱外来の設置など必要と考えますが、いかがですか。
3つめに、どこの医療機関も、患者が減り大幅な減収に見舞われるなか、すべての医療機関への減収の補填が待ったなしになってきています。コロナの検査や、患者を受け入れている医療現場からは
「これまで以上に緊張した大変な状況が続き、夏・冬のボーナスカットもあり、スタッフが辞めていく」
などお聞きします。コロナ(COVID-19)対応をしていない、やりたくてもできない小さな診療所などにはほぼ支援がありません。西京区でも、ある小児科診療所が、コロナ拡大により患者さんが激減し、残念ながら12月末で閉鎖されるとのことです。「第3波」のもと、さらに受診患者が減り、各地で身近な診療所が閉鎖されるなどすれば、地域医療が崩壊してしまいます。現状をどう認識されていますか。すべての医療機関に対し、減収補填の支援が必要と考えますが、どう対応されますか。
○西脇隆俊知事 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の検査体制についてでございます。
寒冷期には新型コロナウイルス感染症(COVID-19)だけでなく季節性インフルエンザの感染者の増加が予想されるため、診療検査ができる医療機関のさらなる拡充が必要と考えております。一方で一部の医療機関からは、院内感染を懸念する声もあり、そうしたなかでいかに医療機関を拡充していくかが課題であると考えております。このため、感染予防策や検査方法等にかかる研修会の開催や感染症専門の医師や看護師により構成される「施設内感染専門サポートチーム」などによる指導などを京都府として積極的に行ってきたところでございます。
12月6日現在、府民が身近な場所で診療・検査を受けられる医療機関が686ヶ所となっておりますが、府医師会と関係団体の協力を得て拡充をめざしてまいりたいと考えております。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が疑われる場合の土日祝日・夜間の医療・検査体制につきましては、これまでから各市町村が設置する休日急病診療所により対応しているところでございます。今後、年末年始につきましては、診療・検査ができる医療機関が通常より少なくなることが予想されますので、府医師会と連携し24時間体制で相談に対応する「きょうと新型コロナ医療相談センター」において、症状のある方を確実に医療機関につなげられる体制を確保してまいります。併せまして診療・検査ができる医療機関に対しては体制の確保に対する支援を行うとともに、引き続きガウンやマスク等の個人防護服の配布をおこなうこととしております。
医療機関名の公表につきましては、検査を希望する府民が直接医療機関にアクセスできる一方で、一部の医療機関に患者が殺到することや風評被害が懸念され、診療・検査ができる医療機関の拡充の妨げとなる可能性もありますので、引き続き府医師会と協議してまいりたいと考えております。
また、府北部・南部などで医療機関が少ない地域であっても発熱等の症状がある方が、診療と検査を一体的に受けられるよう各圏域に接触者外来や診療体制の整備をおこなってきたところでございます。さらに、かかりつけ医からの紹介で検査を受けることができる京都検査センターを京都市内3ヶ所の他、南部地域にも2ヶ所開設したところであり、年内には北部地域にも1ヶ所開設し、府全体の医療・検査体制の充実をはかることとしております。
次に、医療機関への支援についてでございます。今回の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行に伴い、受診控えや手術、健康診断延期などにより医療機関の経営は厳しい状況であると考えております。そのため、京都府では独自に市中銀行から融資を受けた際の利子補給制度を創設し、現在29病院に利用いただいているところでございます。
加えまして、コロナ(COVID-19)患者受け入れ医療機関に対する病床確保や施設設備整備に要する費用の他、全ての医療機関に対する感染拡大防止対策の費用の補助など、幅広い支援をおこなっているところでございます。
また、独立行政法人福祉医療機構により、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた医療機関に対する融資制度について貸し付け上限額や無利子無担保枠の拡充など、数次に渡り条件緩和がはかられているところでございます。
さらに、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)受け入れの有無にかかわらず、すべての医療機関に対する経営安定化のための財政的支援に加えまして、薬局、検診機関、あんまマッサージ、鍼灸、柔道整復師等の事業所に対する支援についても、全国知事会等を通じて国へ要望しているところであり、引き続きあらゆる機会を通じて働きかけを行うなど、医療機関への支援を進め地域医療をしっかりと守ってまいりたいと考えております。
次に、美山診療所についてでございます。南丹市におかれましては、令和2年3月に南丹市医療対策審議会が取りまとめた答申をふまえ、南丹市直営の国保診療所の開設に向けて準備を進められ、令和2年12月議会に南丹市国民健康保険診療所条例案を提案されております。条例案では令和3年4月に新たに設置予定の直営診療所の医療提供体制について、現行の病床数を維持するとされているところでございます。
また、診療所に併設されている老人保健施設についても、南丹市において必要な介護サービスが確保されるよう、今後、近隣の関係機関との連携等について検討されるとお聞きをしております。京都府といたしましては、引き続き南丹市の意向を十分尊重しながら地域に必要な医療提供体制が確保されるよう、支援してまいりたいと考えております。
○成宮真理子議員 お答えいただきましたけれども、まず、医療機関への減収の補填についてです。知事から様々な支援や融資制度があると仰って、まるで十分であるかのようなお答えで、現場の悲鳴とは全く違うなと思うんです。民間の医療機関からは、
「本当に今、コロナ(COVID-19)の受け入れをしている病院でもそうでない病院でも大変になっている。融資の制度があっても、この先返せなくて、何年か後には本当に経営の危機に陥る」
こういう声が共通して寄せられています。
全日本民医連の調査によれば、国による緊急包括支援交付金(医療分)は、医療現場には金額で2割ほどしか届かず、そもそも減収補填に使えるものは限られているし、コロナ対応でない医療機関にはほぼ支援がないとお聞きしています。こうした現場の声にこたえて、減収補填、さらに人的な支援も含めて、国とともに府としても総力をあげていただきたいと思います。
議論もされていますけれども、府内でもコロナ(COVID-19)感染者が連日40人にせまり、重症者も日を追って増えています。府立医大でもECMOを使うコロナ病床も埋まりつつあると聞きます。
今後、本格的な冬を迎えます。救急医療も限界に達する可能性もあります。そうした中でぜひ現場の声にしっかり耳を傾けて支援をしていただきたいというふうに思います。これは要望しておきます。
それから再質問を2つさせていただきたいと思います。
検査医療体制についてです。祝日や土日・夜間について、知事からは、年末年始にあたって、今後、相談があった方を確実に医療機関につなげて、受診・検査ができるようにするというふうに仰いましたが、具体的にどうするのかと思うわけです。
こういう相談がありました。京都市内にお住いの方の話で、11月末の話ですが、
「金曜の夜に高校生の子どもが39℃の熱が出て相談センターに電話をしたと。夜間でもやっていると3つの病院を紹介された。ところが電話すると、3つとも『夜間の発熱は受け入れていない』と言われて、再度、相談センターに電話すると『夜間に受診・検査ができない人はいるんです。私たちも困っている』と言われた」
ということです。
幸いにも、この方は明くる土曜の日に受診でき、コロナではなかったとのことですが、現状でもこういうことが起こっているわけですね。そもそも、こういう時間の患者の受け入れは元々民間医療機関では難しくなっていますし、そのもとで年末・年始も含めて感染拡大の中で、相談も検査・医療の需要も増えてきているということになります。
先ほどお答えがあったんですけれども、年末年始も含めてどう具体的に相談センターにあった方、確実に医療機関につなぐということになるのか。また、そのために、民間まかせでなく本府が指導的な役割を具体的に発揮する必要があるかなと思うんですが、その点、1点お答えいただきたいというふうに思うんです。
それから、美山診療所についてです。入院の病床は当面守るというふうになっている。それはその通りです。住民のみなさんの熱意に押されたものになっているということです。それから同時に、老健については、これからどこの事業所か検討すると言う話しですが、決まっていないという現状なんですね。
そして、このまま進めばやっぱり廃止になってしまう、また、入院の病床についても、入院病床だけが残れば本当に回らないという現状があるわけですから、早晩赤字になって廃止せざるを得なくなると。市長もそうなるかもしれないというふうに現状を言っておられるわけです。これ、まかせておくわけにいかないというふうに思うんですね。
先ほど紹介しました、美山町内からの約2,200筆以上の署名というのは、これは高校生以上の町民の7割に迫るものだというふうにお聞きをしております。短期間にこういう署名が一気に集まったのは、自ら集める側に回った町民の方が増えたというふうに聞きます。
まさに町ぐるみで命を守る診療所の機能維持を求めておられるわけで、このままで大丈夫という話ではなくて、やはり、しっかりと入院病床と老健を維持するよう南丹市に働きかけて行く。府として支える。そのことを表明すべきだと思うんですが、この点は再度お答えいただきたいと思います。
○西脇隆俊知事 成宮議員の再質問にお答えします。
夜間・休日等の対応でございます。ただいま具体例を聞かせていただきました。我々としては、府市協調で設けました「新型コロナ医療相談センター」。これによって確実につなげるつもりで作っておりますけれども、休日の対応も、また年末の対応も含めて、特に年末年始につきましては、休む診療機関も多くなると思っておりますので、それについては改めて体制の構築をしたいと思っています。
いづれにしても、かかりつけ医の診療検査ができる医療機関がどんどん増えておりますので、まずは、そこの網を広げることによって確実に診療・検査ができる機関を増やすということと、相談・診療・検査をつなげるセンターの機能強化については、引き続き努力をしてまいりたいと思っております。
美山診療所につきましては、特に、老人保健施設については検討中ということでございますけれども、そもそも南丹市には美山診療所の老人保健施設以外にも特別老人ホーム施設が5施設、また老人保健施設が2施設ということで複数施設がございます。そうした施設等の連携等を中心に検討するとお聞きをしておりますので、的確に検討が進められ、検討につきましては京都府としても支援、助言をしてまいりたいと考えております。
○成宮真理子議員 年末年始を含めた夜間、休日土日の対応ですけれども、相談センターに相談を24時間受けるということはあるんですけれども、それを確実につないでいくということで、さらにご努力をいただきたいと思いますし、その際に、民間の医療機関にお願いをするというのは、もちろん力を借りることは大事なんですが、医療機関からも「ぜひ府としても主導してほしい」と。例えば「発熱外来」等をつくる公的な役割を求めてきたところですが、ぜひそうした役割を発揮していただきたいと思います。
いま、医療現場でいいますと、新たな感染者が日々増える。重症者も増えるということで、大きな不安と緊張、人が足りない、ガウンや手袋も足りない。
「泣きながらスタッフが仕事をしているのが普通になってしまっている」
「もうがんばれないと仲間が辞めていく」
こういう声もお聞きをしています。そうした実態に応えて、府が公的な役割を発揮していただきたいと思います。
また、患者さんの側も本当に大変になっています。京都民医連が、12月1日に「コロナ禍における生活困窮事例」について記者発表されました。「非正規の仕事を解雇された」「織物関係の仕事がなくなった」など、もともと収入が不安定だったのがコロナでさらに苦しくなって、病院に行けずに重症化するケースが少なくないと。やっぱり行政の支援が必要だというふうに報告がされています。府民の実態、医療現場に心寄せて、役割を発揮していただくよう求めます。
美山診療所については「議論がされると聞いています」ということで、もちろん、南丹市議会で議論をしていくということなんですけれども、1つの本当に大きな美山町という町に、診療所が無くなると。老健が無くなる、そういう事態というのは、町民の7割の署名が集まっているような町ぐるみで命にかかわる事態なんですよ。そこを受けとめて頂いて、明日は南丹市議会で条例案や住民署名について議論がされるというふうに聞いていますけれども、住民の熱い願いにこたえ、府としても外来とともに病床と老健の維持をする。こういう角度で積極的に南丹市に働きかけていただくように改めて求め、次の質問に移らせています。
次に、京都の地域経済、中小業者の営業と雇用、学生への支援についてです。
11月7日に発表された京都府中小企業団体中央会によるコロナ影響の緊急調査では、売上が減少した事業所が9割にものぼり、専務理事は
「年末・年始に向け、経営が維持できるかどうか。中小企業の廃業・倒産が増えれば失業も増える」
と、先行きへの強い危機感をその時点で示しておられました。
12月に入り街の状況はさらに悪くなっていると感じます。ご近所のある飲食店では
「ジェットコースターの急降下のように客足が減り、年末の予約も入らない。テイクアウトも感染対策も必死でやってきたのに、悪夢の再来だ」
と仰っていました。
民間調査機関では、すでに今年8月までに府内企業の休廃業・解散が600件近くにのぼり、年内に800件に迫る見通しが発表され、いま事態が加速しています。
日本共産党議員団は、ハローワーク前アンケートを9月から続けてきましたが、そこでも
「非正規の仕事を失った。まともに暮らせる求人そのものが、いまは減っている」
という声が共通しています。京都労働局によれば、3月以降の有効求人数が大きく減る一方、仕事を求める方が増えて、10月の有効求人倍率は1.01倍、正社員では0.80倍と大変低い水準です。
学生や高校生の就職活動も、リーマンショック以来の落ち込みといわれる中、「再来年は採用ゼロ」という大手企業なども報じられ、学生の不安はいっそう大きくなっています。「就職氷河期世代」を再び生まないため、大企業への採用維持の働きかけとともに、京都経済の主役は99%を占める中小企業ですから、その経営と雇用維持への下支えが不可欠です。
そこで、「第3波」拡大のもと、京都経済の実態、とりわけ年末に向け、中小企業の経営と雇用の深刻さが増している現状をどう認識しておられるのか伺います。
政府は、第3次補正予算の内容を打ち出しましたが、そもそも来年1月の通常国会では、「年末まで持たない」という声にこたえられません。本府として、どんな中小業者も廃業・倒産させない、誰も路頭に迷わせない、という姿勢での緊急対策が待ったなしです。
そこで、年内に持続化給付金の条件緩和と再給付、家賃支援給付金の拡充、社会保険料の補助制度創設などを前倒し実施するよう国に求めていただきたい。同時に府独自で、中小企業者等再出発支援補助金の再開・拡充や、家賃・水光熱費・リース代など固定費に対する補助の創設に踏み出すなど直ちに打ち出すべきではないでしょうか。
そもそもアベノミクスや2度の消費税増税が貧困と格差を拡大し、京都経済も府民の暮らしも追い詰められ、そこにコロナ危機が襲いかかり、大変な苦境に追いやられています。
対照的に、資産1,000億円以上を持つという「ビリオネア」が日本人では35人、その資産総額は昨年の14兆円から今年は20兆円に増えているといいます。コロナ禍と消費税増税のもとでも、大企業や富裕層には冨が集中し、大企業は内部留保を増やしています。
菅政権は「自助・共助」を強調し、成長戦略会議では「中小企業支援が新陳代謝を困難にしている、淘汰・再編を」と議論していますが、こうした方向では、京都経済はいっそう深刻な危機にさらされるのではないでしょうか。大企業と富裕層に応分の負担を求めて、緊急に消費税減税に踏みきるなど、歪みを正すべきだと考えますが、いかがですか。
特に京都では、学生への支援が急がれます。各地の「食料支援プロジェクト」による学生への食料支援・生活相談会には、
「授業もまともに受けられないのに、学費が高すぎる。奨学金を借りているが返済が心配」
「バイト先が廃業して収入ゼロ。食べるものも買えない」
などの声が寄せられています。「学生の4人に1人が退学・休学を検討している」との調査結果から半年、すでに経済的理由などで退学・休学した学生が数百人規模にのぼり、今後も増えると指摘されています。
そこで、学生支援給付金の対象拡大と再給付、学費の減免など国に求めていただきたい。そして府独自に、学生への給付金創設や、奨学金返済支援の拡充、学生専用相談窓口の設置など必要ではないでしょうか。家賃への支援を求める声も多く、住居確保給付金について、学生の1人暮らしも対象になるよう運用、周知すべきです。
いかがですか。お答えください。
○西脇隆俊知事 京都の地域経済と中小業者支援についてでございます。
日銀京都支店が11月17日に発表した経済概況によりますと、「景気は新型肺炎の影響により、依然として厳しい状況にあるが、足元では持ち直しの動きが見られる」とされております。
また京都府中小企業団体中央会の景況動向調査でも「GoTo キャンペーンの効果もあり、一部持ち直しているとの声がある一方で、景況悪化の状況は変わらない。人員のリストラが先行しつつあり、雇用の悪化が懸念される」など依然として厳しいとする声が多く寄せられております。
そのため緊急事態宣言により経済活動が停止した4・5月に比べて改善しているものの、なお厳しい状況が続いていると考えております。
次に国の持続化給付金や家賃支援給付金につきましては、事業者の事業継続に有効な支援策であると考えており、さる11月5日にも全国知事会を通じ持続化給付金の売上減少要件の緩和や複数回支給について要望し、家賃支援給付金につきましても対象月を増やすなどの拡充を要望したところでございます。
なお社会保険料につきましては、直接保険給付を受ける労働者と事業主双方で応分の負担を行うことが基本であると考えております。事業再出発支援補助金等につきましては、緊急事態宣言が解除された後に感染防止対策を徹底しながら経済活動を再開する事業者を支援するために創設をいたしました。
要望が非常に多かったことから申請期限を延長した結果、約4万社からの申請があり、感染防止対策が府内事業者に浸透しウィズコロナ社会への対応につながったものと考えております。
なおこの補助金では感染防止のため、店内の換気機能を備えたエアコンの導入などを支援しておりますが、省エネ型への更新により電気代等の固定費の削減につながっているという効果もございます。
次に国におきます経済政策の方向についてですが、本年10月に成長戦略会議が設置され、日本経済の持続的成長戦略の策定に向けて有識者の議論が行われております。会議ではデジタル関連投資の推進をはじめ、格差是正につながる中小企業の生産性向上や最低賃金の引き上げなど、日本の構造的な課題にも踏み込んだ意見が交わされており、その議論の行方を注視しております。
一方、京都府では、コロナ禍を乗り越えたポストコロナ社会において、府内の中小企業が活躍できる方向性を示し、中小企業を応援する施策を検討するため危機克服会議において議論を進めているところでございます。
なお大企業と富裕層への負担に関し今後の法人課税や所得課税のあり方につきましては、グローバル化の進展や特に企業では国際競争が激化する中で社会経済情勢の変化や国際的な状況を踏まえて国において検討を進めていくべきものと考えております。
また消費税につきましても「全世代型社会保障」に必要なものとして法律で税率の引き上げが行われたものであり、少子高齢化社会における我が国全体の社会保障財源の問題として国において検討されるべきものと考
えております。
次に学生に対する支援についてでございます。経済的に困窮する学生の支援につきましては、国が今年度創設した高等教育の就学支援新制度において、年収380万円未満世帯を対象として授業料等の減免や給付型奨学金が受けられることとなりましたが、この制度の開始当初から支援対象にコロナ禍により家計が急変した学生も追加されるなど制度の拡充が行われております。
またコロナ禍における緊急対策として新しく創設された学生支援緊急給付金につきましては、すでに希望する学生には給付されたと伺っておりますが、さらに過去に給付金の選考外となった者がその後要件を満たした場合の支援について検討がなされているとお聞きしております。
学生専用窓口につきましては各大学の学生相談窓口において大学独自の支援制度と合わせて日々丁寧に対応されているところであり、引き続き各大学と連携を取りサポートしてまいりたいと考えております。
住居確保給付金につきましては従来から福祉事務所等を通じて周知したところでございます。けれども、例えば両親の扶養に入らず、もっぱらアルバイトにより学費や生活費等を賄っていた学生が職を失った場合など、学生であっても一定の要件を満たせば支給対象となるところであり、大学の窓口においても学生支援策の一つとして情報提供いただけるよう周知することとしております。
国に対しましては学生へのさらなる支援の強化について要望をおこなったところでありますが、今後とも学生が経済的な理由で学業をあきらめることがないよう、また安心して学べる環境を整えられるよう大学や学生のご意見をお聞きしながら引き続き国に対して支援の強化を求めるとともに、京都府としても必要な支援を行ってまいりたいと考えております。
○成宮真理子議員 知事から日銀京都支店の数字などを引いて、緊急事態宣言の時よりは幾分改善しているが依然厳しい状態にあると。それは数字としてはそうですけれども、いろんなデータは遅れて出てくる訳ですから。そして11月の後半から「第3波」の急拡大という中で、先ほども言いましたように様々な支援の制度が消えていくと、これ急激にそれこそ飲食店のお話ではないけれどもジェットコースターのように、現場は良くなりかけたと思ったら本当に悪くなっている、こういう実態が今あるんじゃないかということを述べているわけです。
ぜひそうした京都のとりわけ中小零細業者のみなさん、失業などの危機にあるみなさんの声をしっかり聞いていただいて、役割を発揮していただく必要があると指摘をしておきます。
そのうえで3点再質問させていただきます。
1つは、そういう中で今こそ消費税減税に緊急に、別に恒常的にとかそういうことではなくても、やっぱり緊急減税に踏み出すべきだというのが中小業者や府民の共通した声になっています。これに応えるべきではないかと思うんです。
コロナ対策ということで世界を見ますと、ドイツ、英国、韓国など37ヶ国が消費税にあたる付加価値税の減税に踏み切っています。そして国政では野党も「消費税の時限的な減免」や「消費税を1年間5%に」など、そのやり方についてはいろいろあっても、緊急に減税していくということでは足並みがそろっています。自民党の中からも声があがっていると伺っております。
いま、京都の中小業者と府民の暮らしを支えるために消費税の減税に緊急に踏み出すべき時だということを思われないか、これ再度伺いたいと思います。
それから2つめに、自治体として結局、年末年始への緊急対策どうするのかということについてです。
少し紹介させていただきますと、八幡市では「中小企業おうえん給付金(5万円)」は、対象者が限定され予算額を下回っていたものを、日本共産党議員団が民商と一緒に要望した結果、これまでは対象外とされていた、他の給付金を受け取っている方、八幡市に住民票がない市内事業者など対象にすることになったと聞きます。
また岩手県では、4〜6月に行った家賃支援を来年1〜3月に要件を緩和して実施するっていうんですね。月の売り上げで「50%以上減少が対象」だったのを「30%以上減少」に対象を広げる方向で今検討されていて、達増知事は
「年末年始にかけて追加的な支援を検討すべき厳しい状況だ。事業者へ必要な資金を速やかに届けたい」
と述べている。まさに、年末にむけた追加的支援が必要な局面ではないかと思うんです。
本府では再出発補助金等非常に人気があったという話がありましたけれども、今回の補正の提案では昨日も議論ありましたが、新たな申請を受け付けるものではないですよね。やっぱり必要とされているんだったら、それをさらに拡充していく、また再度給付をしていくこういうことなどを検討する必要性があるのではないかと思うわけです。
また持続化給付金について50%減収という要件はハードルが高いですが、これの緩和も国に求めていただきたいと思います。そういう役割を果たしていただくということ、お答えいただきたいと思います。
それから3つめ、学生への支援についてです。国が作った緊急給付金が希望した方にはだいたい渡っていると聞いていると仰ったんですが、それは現場とえらい違うなと思うんです。
そもそも制度が知られていなかったり、自分はこんなに狭いハードルだったら対象外だなと申請をあきらめたり、そういう方もあるし、その後に親の家計が急変したりバイトがなくなったりという方がたくさんあるわけです。やっぱりそういう実態に京都が「学生の街」としてどうこたえるのかというのが問われると思うんです。
いま紹介しました食料支援ですが、どこの会場も100人を超える学生や若者が列をつくっています。ある学生は、
「この年末で、大学をやめて田舎に帰ろうと思う。学費と家賃を払い続けられない、京都での学生生活はもう続かない。お世話になった」
と帰られた。取り組んでいる地域の方々は、
「これは共助の取り組みだけど、いったいどこまで自分たち支援すればいいのか。やはり国や府が支援に動いてくれないともたない」
と訴えておられます。
いま大学として学生のそういう実態に独自に支援をおこなうところも徐々に広がっていますけれども、先ほども紹介したように国の給付金は1回きりで、今回一部追加されるのは本当に対象が限られています。
そして本府も大学への支援をやってこられましたけれども終わってますよね。そういう中でいま府として大学への支援にとどまらず、学生への直接支援が必要な局面に私は来ているのではないかと、やっぱり検討すべきではないかと思うんですけれどもいかがでしょうか。
また学費の減免については、国に対して引き続き強く求めていただきたいとこれは要望しておきますが、お答えください。
○西脇隆俊知事 成宮議員の再質問にお答えします。
まず消費税につきましては、全世代型社会保障の財源として必要なものとして法律で税率の引き上げが行われたものでございまして、国において検討されるべきものと考えております。
次に年末年始に向けての対応でございます。ご承知のように生活福祉資金の拡充等が随時おこなわれて、今回提案しております予算についても、それに必要な積み増しもございます。これにつきましては年を明けての分にも対応できるということになっております。そうした、あらゆる施策を活用しながら対応してまいりたいと思っておりますし、持続化給付金をはじめ国に対しては引き続く制度の拡充、充実につきまして強く要望してまいりたいと思っております。
3つめの大学生につきましては、先生おしゃっているように学生が経済的理由によって学業を断念しなきゃいけないというのは避けなきゃいけないと思っております。この間5月以降大学当局とも綿密に連携しまして、大学独自の制度、国の制度、府の制度それから福祉施策のつなぎを含めて紹介をしております。我々としては、あらゆる手段を尽くして学生を助けてまいりたいと思っておりますが、国に対しても引き続き制度の拡充につきまして、強く要望してまいりたいと思っております。
○成宮真理子議員 消費税については基本的には財源として必要だという立場にある方も含めて、今コロナ禍のもとで暮らしや営業を守るために緊急の減税が必要だという声が広がっており、各国もそういう判断をされているわけですから、そこは実態に即した判断がいるということを求めておきたいと思います。
それから学生、中小業者のみなさんへの支援ですが、本当に年が越せないという悲鳴に応えて、そこに心を寄せてそこから本府として何をするのかということが問われているわけで、助けたいと思っていると仰いましたけれども、そしたら具体的な施策に踏み出していただく必要があると求めまして、次の質問に移らせていただきます。
次に、文化芸術への支援と、京都こども文化会館についてです。
「文化芸術の灯を消してはならない」という声が、コロナ禍で文化関係者だけでなく多くの人々に広がっています。そもそも、文化という言葉の語源は「耕す」であるように、文化は心を豊かにし耕す、国民みんなの権利です。コロナ危機と不安の中、多くの方々が、音楽を聴いたり映画を見たり、読書をしたりで、励ましや勇気をもらい、それらが生きていくために欠かせないと感じられたのではないでしょうか。
そうして、京都では文化芸術関係者自身が、「コロナに負けるわけにはいかない」と声を上げ、知事宛ての要望書を持って繰り返し府庁に足を運んで来られました。
それらの声を受けて、本府では文化関係者の相談窓口を設置し、文化活動継続支援補助金を創設して、現在「第3期」1月15日まで制度が延長され、関係者に喜ばれています。
同時に、課題もお聞きします。支援の対象になりにくい分野、例えば、裏方と呼ばれる、舞台・音響・照明・映像・衣装などの技術スタッフは、
「アーティストや劇団が動かないと自分たちの出番はない。この間、バイトなどしてきたが、仲間が次々と舞台の仕事を去り、技術者がいなくなる」
と訴えておられます。また、映画や舞台の鑑賞団体、アマチュアの劇団・合唱団なども、活動継続そのものに苦労しておられ、支援が行き渡るよう工夫が必要だと考えます。
また、関係者の一番の要望は、損失補填なんですね。国や行政からの自粛要請で仕事が失われたのに、補償がないために、仕事も暮らしも立ちゆかない。国の支援制度も府制度でも、損失補填には使えないです。
「ようやく再開の兆しが見えてきたのに、また自粛要請が出て、全ての仕事を奪われるんじゃないか。今度こそ自粛とセットで補償をしてほしい」
という声は当然だと思います。
そこで、文化芸術活動の支援について、現状における課題の認識はどうでしょうか。課題をふまえ、既存制度の拡充や、損失補てんにも使える制度の創設を国に求め、府独自にも、制度を拡充し、コロナ収束まで期間延長し、さらに関係者に寄り添いより広く支援が行き渡るようにすべきと考えますが、いかがですか。
加えて、京都こども文化会館についてです。
先日、ある幼稚園で出張公演を行った人形劇の演出家にお話を伺いました。
「子どもたちが、これまでにないくらい盛り上がる姿を見て、文化芸術に触れる大切な時間が、子どもたちから失われていたと実感した」
と仰ってます。園長先生も「コロナでも、こうした機会を諦めてはいけないですね」と仰っていたそうです。コロナ禍でこそ、子どもたちに文化芸術に触れる機会を保障したい、これは多くの大人の願いではないでしょうか。
ところが、よりによってそんな時に、子どもたちが優れた文化芸術に触れ、創造する拠点となってきた京都こども文化会館を、府と京都市は11月13日に閉館してしまいました。一昨年9月議会には4,700筆の請願署名が、閉館が通知された後も3,500筆を超える署名が知事と京都市長宛てに提出される中、利用者や地元への説明会は一度も行わずに、です。
ある合唱団は、
「20年間、毎年ホールで歌ってきたのに、コロナで春のコンサートが延期になり、そのまま舞台を奪われた」
と。またある保護者は、
「子どもの毎年の吹奏楽発表会を楽しみにしていた。今年度も3月にあるはずだ。閉館?そんなの聞いてない」と驚いておられます。地元の商店街でも
「発表会の後、家族で食事をするお客さんが多かったのに残念」
「ありがとうイベントでも多くの方が名残を惜しんでいた。商店街から子どもの姿がなくなる」
などの声が相次ぎました。
利用者や地元関係者に説明もなく一方的に閉館するなどとんでもありません。今からでも意見を聞くべきではありませんか。
さらに、なぜ、年度途中に閉館を急いだのか、という問題です。
京都こども文化会館の建物は府、土地は京都市の所有となっています。京都市は跡地の活用について市会で、「建物の除却を速やかに行うよう府に求めている。庁内検討会議を早急につくる」と答弁しています。
京都市では平成24年に「京都市資産有効活用基本方針」を定めて、「資産の総点検」を進め活用検討の対象となる市有地について分類し、一覧を市民に公開しています。ところが、京都こども文化会館はこの一覧には入っていません。資産有効活用の計画一覧に入れていないのに、建物の除却や、跡地活用の検討を急ぐと言うのです。
そこで、年度の途中にもかかわらず急いで閉館した理由は何か、うかがいます。京都市との間で、建物除却、スケジュール、費用負担など協議されているのかどうか、明らかにして下さい。
京都市が自らの資産有効活用の計画にも載せていないもとで、府民と子どもたちの大切な財産である、京都こども文化会館の閉館を急いだのはおかしいのではないでしょうか。必要な改修など行い、再びオープンすべきです、いかがですか。
さらに、子どもたちの学びの環境、少人数学級についてです。
コロナ危機のもと子どもたちも深刻な影響を受けています。子どもへの心理的影響の調査で、年齢が低いほど「なかなか眠れない」「むしゃくしゃしたり、イライラしたり、カッとなったりする」などのストレス症状が多いとの調査結果が出ています。
府内でも教職員から
「学校が7時間授業などで授業時間確保をしようとするもと、2学期に入り授業についていけない子どもが増えている」
「不登校や保健室登校が増え、欠席者の名前を書くホワイトボードが満杯」
などの実態が寄せられています。
そんな中、一人ひとりの子どもが豊かに学べる環境を保障し、コロナ感染防止のためにも、少人数学級をという保護者・教職員の願いは切実です。京都では、教育研究者が呼びかけた全国署名が31,000筆集められ、さらに今議会には、「子どもと教育・文化を守る府民会議」による請願署名16,266筆が先ほど寄せられました。運動と世論が大きく広がっています。
全国知事会など地方3団体、小学校・中学校・高校の校長会の要請に続き、国の中央教育審議会でも教育再生実行会議でも議論が進み、文科省は来年度予算編成で「少人数学級」を「事項要求」としました。萩生田文科相は「不退転の決意で臨む」と言う一方、「少子化で子どもが減るのを待ち、教員数を維持していくらか配置をすれば10年で30人学級にできる」とも話しておられます。
しかし、10年も待っているわけにはいきません。地方議会では「少人数学級」を求める意見書が広がり、府内でも、精華町、八幡市、京都市で採択されています。少人数学級を求める運動と世論は大きな流れであり、問題は実効性とテンポだと考えます。
子どもたちと保護者、教職員の願いに正面からこたえるため、来年度当初予算で教員数を増やすなどして少人数学に踏み出すべきです。いかがでしょうか。お答えください。
○西脇隆俊知事 文化芸術活動への支援についてでございます。
京都府では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大に伴い、講演や展覧会が中止・延期となり、多くの文化・芸術関係者が発表や活動の場を失って深刻な影響を受ける中、全国に先駆けて4月補正予算により文化・芸術活動の経験があるアートアドバイザーによる、相談窓口を設置するとともに、文化活動継続補助金を創設し、スタッフやフリーランスを含め、幅広い文化芸術関係者を対象に支援を行ってまいりました。
現在多くの文化芸術活動が再開されておりますが、感染状況が日々変化するため、本当に公演ができるか心配で開催に踏み切れない、施設の入場制限が緩和されたのちも、施設の収容人数によっては感染防止対策のため、自主的に入場制限を行う必要がある。コロナ禍前の観客動員数に戻らない。などのお声をお聞きしており、依然として厳しい状況にあると考えております。
一方で、文化活動継続支援補助金を活用した音楽コンサートのウェブ配信や、オンラインでの展示会、講座の配信など、新たな取り組みを多数実施していただいており、こうした取り組みは新たな観客層を掘り起こし、ポストコロナ社会での活動の拡大にもつながるものと考えております。
この補助金につきましては、文化芸術活動が取り組み分野や取り組み内容によって、準備に時間を要することを踏まえまして、申請期間を長く設定しており、今年度の申請締め切り日を令和3年1月15日に設定しております。今後とも相談窓口等を通じて、文化芸術関係者の声をお聞きし、感染状況も踏まえ必要な支援を行ってまいりたいと考えております。
次に京都こども文化会館についてでございます。京都こども文化会館につきましては、耐震性能の不足に加え、老朽化の進行による安全面のリスクの高まりが確認されたことから、本年5月に閉館を発表いたしました。
利用者の方々へは、これまでから京都市とともに地元関係者等で構成する「あり方懇談会」を設置し、アンケ-トを実施するなど幅広くご意見をお聞きするとともに、懇談会報告後も予約の際などに、京都府と京都市で存続と閉館双方の観点から検討を進めていることを利用者の方に丁寧にお伝えをしてまいりました。
さらに閉館発表後も、安全確認を徹底しながらご利用頂くとともに、必要に応じて他施設の斡旋に努めるなど、きめ細かな対応に努め、閉館について概ねご理解を得ております。
この11月で予約いただいていた全ての利用が終了し、閉館したものであり、現在土地所有者である京都市と敷地の返還スケジュール等につきまして、協議を進めているところでございます。施設の老朽化が進行していることや、「あり方懇談会」から多額の税金をかけて、大規模改修や施設建て替えを行うことに、多くの府民・市民の理解を得るのは難しいのではないかと、ご報告をいただいたことに鑑みまして閉館をしたことにつきまして、ご理解をいただきたいというふうに思います。
○橋本幸三教育長 成宮議員のご質問にお答え致します。
少人数学級についてでありますが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を経験する中で、どのような状況にあっても子どもたちの学びを保障するとともに、新しい時代における個別最適な学びと協働的な学びを実現するためには、少人数学級は有効な手立ての1つであると考えております。
現在、京都府では京都式少人数教育により児童生徒一人一人に応じた、きめ細やかな指導の充実を図っておりますが、その財源については国における加配定数に加え、府の単費定数を措置することにより、実施しているところでございます。
今後さらなる少人数化を図るためには、多額の財政負担や人材確保等の課題があることから、国における義務標準法の改正など抜本的な見直しが必要であると考え、これまでから国に対して要望してきたところであります。
令和3年度の国の概算要求においては、これまでの新型コロナウイルス感染症対応踏まえ、子どもたちの学びを保障するため、学級編成の標準の引き下げを含め、少人数によるきめ細やかな指導体制の計画的な整備が上げられ、具体的な検討を進めるとされているところであり、一部の報道によりますと、一定の年数かけ段階的計画的に整備することも検討されているとのことであります。
いずれにいたしましても京都府といたしましては、まず国の検討内容を、また具体的な計画の内容を見極め、これからの新しい時代にふさわしい少人数教育のあり方について検討をしていきたいと考えております。
○成宮真理子議員 まず文化芸術への支援ですけれども、知事から依然として厳しい状況があるということでありました。1月15日で閉めるのではなくて、やはり延長していく、少なくともコロナ収束まで、それから損失補填も対象にということなど、やはり制度の拡充や別の制度を作ることも含め、検討がいる段階にきてるというふうに思うんです。
これは是非検討をいただきたいということと、既存の制度についても、なかなか自分が対象になると思ってなかった、どう申請すればいいのかという声もありますから、アドバイス等も含めて丁寧な対応と周知をお願いしたいというふうに思います。
それから京都こども文化会館についてです。安全面での不安や施設の老朽化というふうに仰いましたが、これ自然現象で老朽化したわけではないんですね。建物が建って38年ですが。自然現象でなくて建物は必要な修繕や改修をやってこそ持つわけで、役に立つわけで、必要な修繕を怠ってきた府と市の責任が問われるということです。
それで閉館になったと仰るのであれば、やっぱり責任を取ってね、必要な修繕をしてオープンをするべきだというふうに思います。
それから利用者の声を、「あり方懇」で聞いたというふうに仰いますけれども、これ、私、詳細に見させていただきましたが、利用者のみなさんのアンケートの結果は、「このままでやってほしい」とか、「やっぱり改善する必要がある」、「もうちょっと修繕してほしい」とかいろんな要望ありましたが、全部合わせるとほぼ98%の利用者の回答が「維持・存続してほしい」というふうになってましたでしょう。
ところが閉めるというんですから、これ違うというふうに思うんですよね。今からでも、閉めるっていうことでは、利用者に納得いってないわけですから、声を聞くということ、これ求めておきたいというふうに思います。
それで、再質問なんですけれども、京都こども文化会館については、ひとつは隣にある宗教法人についてですね、『中外日報』という京都に本社のある宗教専門紙があります。
7月31日号に記事が出ておりまして、宗教法人の7月の臨時宗会に京都市内の土地に関するコンサルティング委託費2,000万円を盛り込んだ補正予算案が提案され、一旦否決された後、議案を分割、採択したという内容になっています。
こういう動きがあると言うことは、文化会館守ろうとしている方から府にも伝えられていると思いますが、こういう動きどう受け止めておられるのか伺います。
2つ目に、市民が、もとい、京都市がですね、さっきも言いましたように市自身の計画一覧にも載せない、つまり市民に何も知らせていないのに、そのもとで府に速やかに建物の除却を求めている、というのが今の段階で起こっていることです。で、こういうことに答えるべきではないっていうふうに考えますが、これもお答えいただきたいと思います。
そして少人数学級についてですが、ひとつは、私は国に求めると同時に府県の特に知事のリーダーシップということが今大事になっているんではないかと思うんですね。
山梨県では、県知事が選挙で「25人学級」を公約に掲げて、そしてそのもとで昨年から山梨県自身が県教育委員会に少人数学級検討委員会を設けて、来年度から小学校1年生、再来年度から2年生で「25人学級」にする準備を進めておられる。知事はその財源も独自に捻出するんだということも、記者会見で言っておられました。さらに検討会議では、3・4年生にも今、導入を望む声が多いってことを踏まえた検討が、この11月には行われたとお聞きしています。
府県の独自の努力が必要になっているんではないでしょうか。そしてコロナ禍のいま、国の動きを加速させることがいると思うんです。国の動きを注視している、見てるんじゃなくて、加速させないといけないと思うんですね。
本府でも独自に、来年度から少人数学級をめざすことを明確に打ち出して、有効性・必要性を議論する検討会議設置などすべきではないかと思うんですが、お答えいただきたいと思います。
○西脇隆俊知事 成宮議員の再質問にお答えいたします。
まず第1番目の議員の方からご紹介のありました件については、私は詳細を承知しておりませんので、ここでのコメントは差し控えたいというふうに思っております。
2点目につきましては、この土地は土地所有者であります京都市でございますので、先ほどもご答弁いたしましたように、現在京都市との間で敷地の返還等のスケジュール等について、協議を進めておりますけれども、私どもとして把握しております事実は協議を進めているというだけでございます。
○橋本幸三教育長 成宮議員の再質問にお答え致します。
少人数学級についてでございますが、府独自の努力が必要だというお尋ねでありました。先ほどもお答え致しましたように、京都府におきましては独自の財源措置もしながら、これまでから京都式少人数教育を進めてまいりました。
あの、今まさに国においては、来年度の予算で具体的な少人数教育の推進、少人数学級の推進を図っていこうとされております。私どもとしましては、この具体的な計画や定数措置というものを見た上で、今後の計画あるいは来年度への予算の反映等について、しっかりと考えてまいりたいと考えております。
○成宮真理子議員 少人数学級については、まさに来年度から踏み出すということが焦点ですから、国の動きを見るだけではなくて、山梨県のようにとは言いませんけれども、やっぱり独自の予算措置についても検討頂く必要があると。それから検討会議の設置等についても改めてお答えありませんでしたが、求めたいというふうに思います。
京都こども文化会館についてはですね、京都市が市民に知らせず急いで閉館し、京都市から建物除却の依頼がある、これはまったくおかしいですよね、ルールに基づいて。ですから協議を進めていると仰いましたけれども、このまま進むというのはおかしいわけで、止めるべきだと指摘をしておきたいと思います。
先日の閉館の次の日、文化会館周辺のみなさんの声をお聞きしました。文化会館の正面にある「からくり時計」が止められたままになっていて、ある親子連れが、子どもさんが「からくり時計、また見たいな」と。お父さんが「そやな、また見られるようにしたいな」っていうふうに話しておられました。
京都こども文化会館は、やっぱり本当に子どもたち、そして府民の貴重な会館だなということ思いました。子どもたちや、合唱団・劇団、地元住民が利用できるよう、修繕して再開すべきだと強く求めて、次の質問に移りたいと思います。
次に、大型開発と公共事業のあり方についてです。
コロナ危機のもと、大型開発・公共事業についても再検討が必要です。北陸新幹線延伸と、「北山エリア整備計画」について伺います。
北陸新幹線延伸について、日本共産党はこれまでから、自然や住環境の破壊、地下水も含め暮らしと生業に影響は「経済効果」どころか損失が大きいこと、建設費だけで2兆1000億円とされる自治体・住民負担はさらに膨張するおそれが高く、大深度地下利用など災害への脆弱性など指摘し、中止を求めてきました。府はそういう指摘に耳を貸さず、国と一体に建設を推進してこられましたが、いま、指摘してきた問題が現実となっています。
トンネル工事による膨大な残土について、少なく見積もっても880万立方メートルになると、府の環境影響評価専門委員会へ、委員の追加意見が添付されました。北海道新幹線では、有害物質を含んだ残土の受け入れに住民が反対して問題になっていますが、今回の京都延伸ルートも、ヒ素などの濃度が高い地域であり、残土が有害物質を含む懸念があります。
この残土などの環境破壊に対し、南丹市美山町田歌区や京北町の住民から、
「豊かな自然や暮らし、生業の大元が破壊されてしまう。環境アセスは受け入れられない」
と厳しい批判が挙がっています。
またこの間、東京調布市では大深度地下工事による陥没・崩落事故が起こり、「地下40mの活用は地上に影響なし」とした大深度法の根拠が崩れ、住民への補償も何も記されていないなど、法律の不備も問題になっています。
加えて、金沢から敦賀への延伸工事が遅れ、開通が当初より1年半も延期されることが明らかになりました。周辺自治体は開通に合わせて進めてきた、まちづくり計画の見当が外れるなど、影響は深刻です。
建設費だけで3,000億円近くも増え、地域と住民に関わる重大問題なのに、情報公表さえせず、見通しの甘さも含め、鉄道・運輸機構と国の責任が厳しく問われます。新大阪までの延伸に伴う本府の財政負担も、2,000億円とも言われていますが、いっそう増大する可能性があります。
大深度地下利用による安全性確保や、敦賀までの工事遅れによる沿線自治体の負担増などの問題が明らかとなっているもとで、それでも推進すると仰るのでしょうか、いったん立ち止まるべきだと考えますが、いかがですか。
もう1点、北山エリア整備計画についてです。
9月議会に骨子案、本議会には最終案が報告される予定ですが、これまでの府立植物園や府立大学、コンサートホール、歴彩館などを拠点にした「文化環境ゾーン」、府民の憩いとやすらぎの場という位置付けから、民間大企業の利益優先に一変させる計画となっており、大きな問題があります。
この間の審議を通じても、名前も「北山エリア」として「文化・環境」は外し、「民間活力導入についてポテンシャルのある地域」と位置付け、新たな開発のために建築物の高さ規制や都市の用途変更についても京都市と協議する、旧府立資料館の跡地に「コンベンション、宿泊、飲食」など「にぎわい」集客を想定した施設を整備するなど明らかになり、周辺の住環境はまったく変わってしまいます。
さらに、これまで府直営で技術と専門性を継承し、博物館法にもとづく研究拠点として役割を果たしてきた府立植物園を、よりによって「100周年」を口実に、エリア全体とともに指定管理者制度など民間委託で民間利益のために差し出すことは重大です。府の役割を放棄するものです。
加えて、府立大学の体育館を1万人規模、150億円もかけた「アリーナ的体育施設」にして音楽イベントなどで儲けを稼ぎ出すシミュレーションまで、東京資本の大手コンサル会社やその子会社などに主導させ、府民や学生・周辺住民の声よりも優先するなど、府の公的な役割はどこにいったのかと言わなければなりません。
計画を知った地域の方々は、「閑静な住環境が一変する」と批判と疑問の声があがっています。「北山エリア」の地域は、府民のかけがえのない財産です。まちづくりには、地元住民や学生、関係者などの声を大切にすべきであり、抜本的に見直すべきです。いかがですか。
次に、原発の再稼働についてです。
関西電力大飯原発3・4号機について大阪地裁は、原子力規制委員会の判断に誤りがあったとして、設置許可を取り消す判決を出しました。規制委員会が、自ら定めた審査基準を踏まえた検討をしていないことを違法としたものです。原発の設置許可を否定した司法判断は初めてで、各地に影響があります。
そして、東京電力福島原発事故からまもなく10年。「原発ゼロ」を求める世論と運動が広がり、全国でも稼働中の原発はわずか1基のみという現実になっています。原発依存でなく再生可能エネルギーへという流れは世界にも広がっています。
ところが、菅政権と関西電力は、福島原発事故以降は停止している運転40年を超える老朽原発について、全国で最初に、高浜1・2号機の再稼働を狙っています。本府は、関電や資源エネルギー庁からの働きかけを受け、金品授受問題で中断していた関係市町との地域協議会を速やかに再開するとしました。
11月22日には高浜原発30km圏内の市町が参加した協議会が開かれ、
「作った当初から40年以上は運転可能であるというデータはあったのか」
「避難計画の課題があり改善しないと理解してもらえない」
など、厳しい意見が述べられました。12月6日の舞鶴市民への説明会でも、
「そもそも金品授受問題など、信頼関係がなりたたない」
など厳しい意見が出ました。
京都府域は高浜原発5km圏内にありながら、立地県並みの同意権がないもとで、地域協議会という形で、再稼働の容認が繰り返されてきており大問題です。さらに今回の高浜原発1・2号機の再稼働とは、運転開始から40年を超える原発の再稼働という経験したことのない極めて危険なものであり、関係市町や府民の不安は当然です。
知事は、府民の安全を守る立場にたつのであれば、国・関電による、これまでに例のない40年超の老朽原発再稼働を認めず、反対を表明すべきです。いかがですか。
また、地球温暖化対策と原発についてです。
本議会には、温室効果ガス排出量を2050年度までに実質ゼロとする「地球温暖化対策に関する条例」改正が提案されています。ところが首相は、2050年までに温室効果ガス排出ゼロを表明したものの、「原子力政策を進めることで、安定的なエネルギーを確保する」とし、梶山経産相は「今後 10 年間は再稼働に全力を注ぐ」と述べるなど、「脱炭素のために原発依存」という時代遅れの姿勢です。
知事は温室効果ガス削減を名目にした原発再稼働を容認されるのですか。実効性ある温暖化対策と再生可能エネルギーへの転換を推進するためにも、原発ゼロを強く求めるべきです。いかがですか。
○西脇隆俊知事 北陸新幹線延伸計画についてでございます。
北陸新幹線につきましては日本海国土軸の一部を形成するとともに、大規模災害時において東海道新幹線の代替機能を果たし、関西全体の発展につながる国家プロジェクトであると認識をしております。北陸新幹線・敦賀―大阪間の整備につきましては、全国新幹線鉄道整備法に基づき、国から建設主体に指名された鉄道建設運輸施設整備支援機構が行うものであり、現在、環境影響評価法に基づく手続きが進められているところでございます。
京都府といたしましては、従来から自然環境や生活環境の保全については慎重な調査と丁寧な地元説明を実施するように、また、費用負担につきましては受益に応じた負担となるように、様々な機会をとらえて国や鉄道運輸機構に対して強く求めてきたところでございます。引き続き府民、関係市町、専門家のご意見をしっかり伺いながら、 国や鉄道運輸機構に対して適切な対応を求めて行きたいと考えております。
次に「北山エリア整備基本計画」についてでございます。
北山エリアは植物園を始め府立大学や京都学・歴彩館などを有する、府民にとってかけがえのない空間であり、さらに文化を創造し安らぎを与えてくれるエリアとしていくため、「京都府総合計画」において「北山文化と憩いの交流構想」として打ち出したものでございます。
北山エリア全体の統一的コンセプト等を定める「北山エリア整備基本計画」につきましては、現在検討を進めているところでありますが、検討にあたり地元の北区・左京区のエリア周辺にお住まいの方のご意見を伺うために、自治会を通じてパブリックコメントの実施についてお知らせするなど、有識者だけでなく府民のみなさまのご意見も伺っているところでございます。
パブリックコメントにおいて、府民のみなさまからは、「北山での滞在時間が長くなるような魅力的な街づくりをしてほしい」、「新たな施設ができることによって環境が破壊されることがないようにしてほしい」、「府立大学の体育館は学生を第一に考えて整備を行ってほしい」などのご意見を頂いております。
こうしたことからエリア内の環境保全や、大学の教育等に十分配慮しながらの整備を検討するとともに、民間事業者のアイデアやノウハウを活用することで、府民負担を極力抑えながら、魅力的な施設整備を行い、府民のみなさまに愛され親しまれる交流エリアとすることを目指してまいりたいと考えております。今後とも北山エリアが府民に安らぎを与え、次々と新しい文化が生まれる創造発信交流拠点となるよう取り組んで参りたいと考えております。
次に、原発の再稼働についてでございます。
原子力発電所の再稼働につきましては、まさに国が進めるエネルギー政策の根幹であり、国が安全性の確保に責任を持って対応すべきことでございます。
しかしながら、京都府としても府民の安心安全の確保は何よりも優先すべきであることから、これまで再稼働に係る手続きの法的枠組みの確立や、避難計画の実効性確保などを繰り返し要請してきたところでございます。
また高浜原発1・2号機の原子炉の安全性につきましては、京都府と地元UPZ(Urgent Protective action Planning Zone:緊急時防護措置を準備する区域)市町で構成する地域協議会において、原子防災専門委員にもご出席いただいた上で、運転許可が延長した根拠、金属やコンクリートの安全性について説明を受け、現地確認も行ったところでございます。
現在住民説明会を開催し、住民の方々にも出来る限り分かりやすく説明しているところであり、出席できない方々にも各市町から録画映像の配信を行い、説明に対する質問について国と関西電力から回答いただくこととしております。今後、住民説明会の開催結果を踏まえた関係市町の意向をお聞きし、府民の安心安全を確保して参りたいと考えております。
また、エネルギー政策と原発についてでございます。エネルギーの問題は、国全体として考えていかなければならないことであり、国はエネルギー基本計画のもと、安全性を前提とした上で、エネルギーの安定供給、経済効率性の向上、環境への適応という基本的視点に立ち、再生可能エネルギーの拡大を図る中で可能な限り原発依存度を低減するというこれまでの基本的な方針を堅持し、2030年のエネルギーミックスの実現をめざしているものと認識しております。
○成宮真理子議員 2点再質問いたします。
「北山エリア」についてですが、民間活力の導入というお話がありました。企業を利益優先で参入させた場合に、何十年も土地・建物を利用して事業がうまくいかなくなれば、新たに自治体負担が出てくる恐れがあります。
既に京都スタジアムでも府の追加負担が議論されており、コロナという事態があったにせよ、府民にツケが回るということです。「北山」はそうならない保障はあるのか、お答えください。
もう1点、原発の再稼働についてです。
大阪地裁の判決は、これは地震動に関わる問題ですけれども、他の関西電力の原発にも関わる判断ではないかと思うのです。ところが12月6日の舞鶴での説明会では、原子力規制庁は「大飯の話であって高浜には及ばない」というふうに仰っていました。それこそが安全神話だと批判されると思うのです。
こういうものは容認できないと考えますが、知事はこの「安全性」を説明して推進していく立場なのか、それとも府民の安全を守るために食い止める立場なのか、そこがやっぱり違うんではないでしょうか。この大飯での話、安全神話だと思いますが、そこについてお答えいただきたいと思います。
○西脇隆俊知事 成宮議員の再質問にお答えいたします。
民間活力を活用するのは、民間のアイデア、ノウハウを活用することと、府民負担を極力抑えるものでございまして、民間の利益を図るものではございません。
また、原子力発電所の質問につきましては、私の立場は府民の安心安全を最優先するということでございまして、今回の大飯3号機・4号機にかかる地裁の判決については、司法の立場からの判断として受け止めておりますけれども、いずれにしても原子力規制委員会の審査に関する件でございます。まずは、国の対応を見てまいりたいと考えております。
○成宮真理子議員 民間導入は府民の負担を減らすためだと仰いましたけれども、すでに京都スタジアムでも府の追加負担、府民負担が議論されていると、こういう事にならない保障はあるのかというふうにお聞きしたのですが、具体的な答えがありませんでした。これ、あり方の見直しが必要というふうに考えます。
それから原子力発電所の再稼働の問題では、大飯原発についての判断があった耐震の基準の問題、それから今回、高浜で問題になっている40年を超える運転の問題でも、これまで関電の説明に基づいてその説明自身が本当に根拠があるのか、それが都合の良い説明になっていないのかということが問われるわけで、それこそ府民の安全安心を守ると仰るなら、知事の立ち位置が問われるというふうに思うわけです。
最初にも申しましたように、福島原発事故から10年、その中で稼働原発が1基という現実が、「原発ゼロ」という世論と運動の中で作り出されてきている。そういう中で政府がこれから10年、原発再稼働に総力を挙げると。とんでもない話だというふうに思うのですが、どちらの立場に立たれるのか。原発から再生可能エネルギーへという強力な流れに立って推進して、そのことで府民の安心安全を守る。そういう立場に知事に立っていただくように求めまして、質問を終わらせていただきます。
ご清聴ありがとうございました。