令和6年 閉会中 文化生活・教育常任委員会―2024年7月12日〜島田敬子府議の質疑応答部分

所管事項の調査

下記のテーマについて、理事者及び参考人から説明を聴取した後、質疑及び意見交換が行われた。
 ・学校部活動の地域連携・地域クラブ活動への移行について

◯山口勝委員長  まず、所管事項の調査についてでありますが、本日のテーマは「学校部活動の地域連携・地域クラブ活動への移行について」としているところであり、参考人として、通知をお送りしました参考人略歴のとおり、立命館大学スポーツ健康科学部教授の長積仁先生に御出席をいただいております。よろしくお願いいたします。
 本日は、大変お忙しい中、本委員会のために快く参考人をお引き受けいただき、誠にありがとうございます。
 長積先生におかれましては、1993年に筑波大学大学院体育研究科を修了された後、大阪体育大学や徳島大学を経て、2010年からは立命館大学スポーツ健康科学部教授として、「スポーツの魅力」や「スポーツの持つ力」についてまちづくりやまちの新たな価値創出への観点から御研究をされております。また、財団法人日本体育協会総合型地域スポーツクラブ育成推進事業中央企画班員をはじめ、京都府地域部活動推進検討委員会委員長を務められるなど、部活動の地域移行等について幅広く取り組んでおられると伺っております。
 本日は、そういった日頃の御活動を踏まえたお話をお聞かせいただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、初めに理事者から、テーマに係る説明を聴取いたします。説明は簡潔明瞭にお願いいたします。

◯相馬直子 指導部長  それでは、資料に基づきまして、学校部活動の地域連携・地域移行について御説明をさせていただきます。ただいま通知をお送りいたしました資料を御覧ください。
 まず1の「これまでの取組」についてでございますが、国におきましては当初の方針であった令和5年度からの改革集中期間を改革推進期間とし、令和4年12月に総合的なガイドラインを策定されました。
 京都府におきましても、先ほど御紹介がございましたとおり、有識者からなる推進検討委員会を設置し、モデル地域での実証事業の検証を踏まえて今後の京都府の方向性について協議を進め、令和6年3月には京都府の総合的なガイドラインとなる京都府学校部活動及び地域クラブ活動推進指針を作成したところです。
 次に、2の「実証事業の取組と検証結果」についてでありますが、令和3年・4年度につきましては、京丹波町と舞鶴市をモデル地域とし、京丹波町ではホッケー競技の将来的なスポーツクラブ化を視野に入れた活動や小規模校にフリースポーツ部を設置するなど、工夫された取組を行っていただきました。また、舞鶴市では、市スポーツ協会在籍者や中学校の教職員が登録できる人材バンクを総合型地域スポーツクラブに設置され、陸上、柔道など5種目に指導者を派遣されました。
 令和5年度は、宇治田原町、精華町、福知山市、舞鶴市にお世話になり、宇治田原町ではバレーボール、福知山市ではサッカーを地域クラブとされ、舞鶴市では前年度種目に4種目を加えて取り組んでいただきました。また、精華町では、文化部である吹奏楽において地域の吹奏楽団へ業務委託され、小学生から高校生までが参加する活動として実施されたところです。
 この間、地域移行はあくまでも主体は子どもたちであり、子どもたちにとって望ましい活動が整った結果、教員の働き方改革につながることを着地点として事業を展開してまいりました。その結果、生徒にとっては魅力ある活動となり、環境を整えたことによって教員の負担感も減少するに至っております。ただ、一方で、送迎や経費などの保護者負担や兼業・兼職などとの課題も浮き彫りとなりました。
 今年度につきましては、7市町において実証事業をお世話になっているところでございます。
 次に、3「京都府の学校部活動の地域連携・地域移行の考え方」についてでございます。府教育委員会といたしましては、国の方針が改革集中期間から改革推進期間へと変更になったことをメリットと捉えまして、各地域が実情を踏まえながら急がずに丁寧に地域連携や地域移行ができるよう進めていただきたいと考えております。
 部活動が成立しない学校や部活動もあれば、部員数や指導者、働き方改革も含め活動が成立している学校や部活動もございますので、丸の1つ目のとおり、全ての学校部活動を一律に地域へ移行するのではなく、従来の学校部活動の課題解決や子どものニーズの充足等の観点から有効と考えられる場合に地域と連携し、よりよいスポーツ・文化芸術環境の構築を目指すものと考えております。
 その上で、少子化により、活動が困難であったり、専門でない顧問が指導する体制が困難であるなど、子どもたちの活動ができていない地域・学校・学校部活動単位から着手するという視点と、学校部活動を継続する場合であっても働き方改革を踏まえた部活動改革を一層推進することをメッセージといたしました。
 そして、単に学校部活動を学校から切り離すことではないとする趣旨を押さえ、府内全域で課題とされている子どもたちの活動の場の保障をオール京都で取り組むこととしております。
 最後に、この3月に作成いたしました京都府学校部活動及び地域クラブ活動推進指針についてでございます。
 第1編には、本府の学校部活動の地域連携・地域移行の考え方を京都モデルとして示し、第2編では、京都府部活動指導指針を一部改定し、国のガイドラインに沿って地域クラブ活動の運営の在り方等にも触れております。そして、第3編では、モデル地域などの実践事例も含めた様々な連携移行スタイルや、各地域で具体的に進めていくための段階を追った手順等をまとめております。
 各市町組合・教育委員会等において検討に行き詰まったり、進めていく途中で課題が生じた際は、この推進指針をよりどころとして立ち戻り、府の方向性の確認や様々な方策のヒントを得てもらえればと考えております。
 府教育委員会といたしましては、府内各市町村や実施主体となる連携団体が進められる様々な取組にしっかり伴走できるよう努めるとともに、実際に子どもたちがやりたいスポーツや文化芸術活動に取り組める環境づくりに必要な方策等について、引き続き検討してまいります。
 教育委員会からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

◯長積仁 参考人  立命館大学の長積と申します。このたびは、このような貴重な機会をいただきましてありがとうございます。限られた時間なんですけれども、今の国の流れも踏まえていって、京都府についてあるいは、京都府の取組はまたいろんな御質問をいただいたときということにしたいと思いますけれども、全国の内容等も踏まえまして部活動の地域連携と地域クラブ化を推進するための視座ということをお話させていただきたいというふうに思います。
 お話は3つぐらいポイントを決めています。1つ目は、皆さんもう既に御承知かもしれませんけれども、学校運動部の地域移行が進められる背景ということで京都府下の中学校の現状、あるいは国の動向について御説明をしたいと思います。
 2つ目は、部活動の地域連携・地域移行、もう皆様既に御存じかもしれませんが、この地域連携と地域移行という言葉がどのように使われているのかということ、さらにはこれを進めるということがどのような可能性を持ったり、あるいはどのような課題を含んでいるのかどうか、さらにはこれまで進められてきた、手がけられてきた地域の取組なんかの具体事例をお話ししたいと思います。ここに時間はできる限り割きたいと思います。
 最後に、なぜこのような改革が行われてきたのかどうか、これを府民、我々がどのようなチャンスにすればいいのかどうか、そのあたりのお話で今日のお話をまとめさせていただきたいというふうに思っております。
 最初ですけれども、これも釈迦に説法かもしれませんが、国が出しています第3期のスポーツ基本計画というものになります。この基準に基づきまして、日本のスポーツ振興が進んでいるということになります。1つ目がスポーツを「つくる/はぐくむ」。2つ目がスポーツで「あつまり、ともに、つながる」。3つ目がスポーツに「誰もがアクセスできる」ということです。この基本計画の第3期になったポイントというのは、今まで、人々のする・見る・支えるとか、あるいはつくるというそんなような視点でスポーツ振興を進めてきたんですけれども、いろんな御意見はあるのかもしれませんが、スポーツの持っている魅力だとかスポーツの持っている可能性みたいなものをまちづくりだとか、あるいは経済の活性化だとか様々な観点で生かそうという、スポーツをただ単にする・見る・支えるということだけにとどまらないようなそんな視点が置かれたということになります。
 つまり、人々の健康と幸福に資する豊かな社会を創生するためにスポーツというのを優良コンテンツにして使えないかということ、こんなことのポイントでスポーツ振興の基軸が切られているということです。
 当然その中には、学校教育、教育政策だけがあるのではなくて、やっぱり部活動というのはスポーツ推進です。今まで日本のスポーツ推進というのは企業と学校ということを言われ、学校そのものというのは十分これまで機能してきているんですけれども、府下の生徒数なんかを見ていただければ分かりますように、1985年、これは僕の大学の1回生のときですけれども、その頃には12万5,000人ぐらいのお子さんがいた。つまり、中学生の生徒はこれくらいいたわけです。それがずっと下がってきて2019年以降は、ずっと6万5,000人、6万3,000人ぐらいで、2023年、ちょうど2018年・2019年・2020年に生まれた出生数の合計を足すとマックスで5万504人ということになるというわけです。つまり、今現段階の6万3,000人ぐらいから2割ぐらい減るというような状況にも陥るということになっているというわけです。
 これが、中学校の生徒数の規模別に見たものになります。京都府全体で見れば、100人未満の学校というのは16.8%ということになっていて、500人以上のところも20%を越えているということがあるんですが、京都市外の府下を見たりすると、100人以下の規模の学校が24%ということになるということです。つまり、市内中心のところにいる子どもたちというのと、市を除いたところの学校の規模というのは少し様相が違ってくるということ。つまり、学校の生徒数が減ってくるということに伴っていって、実際今までやってきたような部活動というのが本当に同じような形で維持できるのかということ、これにも関わる問題なのかなというふうに思います。
 こちらが、中学校の教諭の1日当たりの学内の勤務時間ということになります。これは教諭のみということになりますが、2017年のところでは1日の在校時間というのが11時間42分ですね。それが、2023年と6年ぐらい経ったら少し減っているということは分かるんですが、1週間当たりの在校時間が60時間以上ということになるわけですけれども、実際には時間外勤務というのが80時間以上、つまり1ヶ月80時間以上というのは、これも皆さん釈迦に説法かもしれませんけれども、80時間を超えるというのは過労死レベルと言われているところの値になります。その値が72%だったのが57.7%ということになりますけれども、これでも正直、まだまだちょっと働き過ぎなんかなと。働き過ぎという言い方はちょっと適切じゃないかもしれませんけれども、このような状況になっております。他府県なんかは5割を切り始めているところもあるんですけれども、まだまだ京都府下というのはこのような状況にあるというわけです。
 そのような流れを持って学校部活動をめぐるような国の動向が示されているということになります。これも皆さん御承知のことかもしれませんので流してみたいと思いますけれども、2019年の1月に中央教育審議会の答申のところで、このまま部活動を学校だけで維持するのは難しいんじゃないか、将来的には地域単位で取組をしなければならないんじゃないかということを言われていて、そして教員の働き方改革のほうが取られ始めたということになります。そういう学校の部活動の維持に関することを踏まえていったことと、さらには教員の働き方改革、そんなことが問われるようになってきて、2022年の6月にこういう指針が示されたり、あるいはガイドラインが出たりというような状況になりました。
 このような国の動向が、何となく教員の働き方改革のために学校の部活動の改革をするのかというちょっとミスリードされているところがあったんですけれども、当然それも1つの背景であり、そうじゃなくて学校の今の様子とかを捉えていったときに、今まで維持してきたスポーツ振興システムの1つを担ってきた学校の部活動というのが、同じような形で本当に維持できるのかということが問題視されるようになってきたということです。
 それで、先ほど出したところのものになりますけれども、地域移行に関する検討会議の提言のところに書いてあるわけですけれども、そこの目指す姿というのは、「少子化の中でも、将来にわたり我が国の子どもたちがスポーツに継続して親しむことができる機会」をちゃんと保障しましょうねと。そのことは結果的に働き方改革だとか学校の教育の質も向上しますよということが書かれているように、もともとこの考え方そのものというのは働き方改革がメインというよりも、しっかりと生涯にわたって子どもたちがずっと部活動のみならずスポーツに親しめるようなそんな環境をつくりたいということです。
 それはなぜかというと、数年前にここでお話をさせていただいたんですが、総合型地域スポーツクラブが国の政策として取り入れられたときというのは、教育機関によって小学校、中学校、高等学校、大学という形でクラブ活動が推進されるばかりに、要は入学をして部活に入って、次の学校教育機関に行くときにはやめて、次にまた学校へ入ったときにまた新しくクラブに入る。つまり入部と引退を繰り返すという分断化されたという方向性を何とか改善しなければならないという総合型地域スポーツクラブの流れがあって、地域を受け皿にというのはこのような取組の中にも見られるということです。このあたりは、皆さん、資料を見ていただければと思いますけれども、ガイドラインが示されて、京都府もこれに沿って作っているわけですけれども、学校の部活動と新たな地域クラブ活動、その環境整備をしていって、大会の見直しを考えましょうというような総合的なガイドラインが提示されました。
 それに伴って当然予算もついていて、地域クラブ活動への実証事業、京都府も行っているように様々な実証事業を積み重ねていって、どのような新しい形が模索できるのかということに対する予算、さらには部活動指導員という、これは地域連携のほうになりますけれども、教員の代わりに指導する人たちのための予算、環境整備のための予算という形で予算化がされているということになります。
 つまり、今、お話をしてきたようなことをもう少し丁寧にお話をすると、部活動の地域移行・地域連携というようなもの、それがそもそもどのような意味合いなのかなということですが、新たな地域クラブ活動、いわゆる部活動の地域移行という言葉で使われていることですけれども、移行というのは、今、学校の部活動を地域にばさっと任せるという丸投げするというようなことではなくて、今までの学校の仕組みをしっかりと守りながらも、既存の団体とか組織が主体になって複数の団体とか組織が協力を図っていって新しい地域にスポーツをする仕組みをつくりましょう、その地域のクラブ活動をしましょうというのが地域移行、いわゆる新たな地域クラブの活動と言われるものになります。
 今の大きな問題というのは地域連携・地域移行なんですけれども、地域移行のほうです。例えば、地方公共団体がしっかりと関わりながら、総合型地域スポーツクラブだとかスポーツ協会、文化協会、あるいは地域学校協働本部、学校運営協議会みたいなものですね、そのようなものだとか、いろんな様々な既存の団体というところに委託だとか支援だとか連携とかを図っていきながら、こういう団体が主となりながら今まであった学校の部活動を中心としたものについて地域クラブ化を図っていくというのが一つの流れです。もちろん、この学校区にある中学生の生徒だけが活動するのではなくて、ほかの学校の子どもたちも拠点となっているようなところで活動する。それだけじゃなくて、学校の生徒だけに開くんじゃなくて、機会を地域住民にも開いていって様々な交流とかつながりを持たせる。新しい地域のスポーツクラブの仕組みをつくろうとするのが、この地域移行と言われているほうの部類になります。
 もう1つは、このそれぞれの団体のところに任せるということじゃなくて、やはり様々な地域の資源というのはいろんな自治体によっても違うと思いますので、こういう既存の様々な団体が連携とか協力を図りながら1つの組織を形成し、お互いが力を貸し合いながら地域クラブ化を図っていく。その中で同じように、学校の生徒だけじゃなくて地域住民の方々も参画できるような地域クラブ化を図るというのが、いわゆる地域移行と言われているものになるということです。
 とはいえ、先ほど指導部長のほうからお話がありましたように、学校には様々な実情があり資源にもちょっと多少なりとも格差があるわけです。そうすると、学校の部活動の今の仕組みというのをいきなり地域クラブ化を図って見直すことがなかなか難しい学校も出てくるのかなということなので、単体の部活動だとかあるいは複数の部活動が集まった合同部活動みたいなものを形成していって、そこに地域人材を活用しながら部活動指導員、つまり学校の先生だけじゃなくて地域の方々を人材派遣していきながら学校の部活動を維持するというパターンが、地域連携と言われているものになります。
 ですので、学校の先生が兼職兼業でやるというパターンもあるのかもしれませんが、地域にいる様々な地域人材みたいなものを地方公共団体は発掘をしていって、発掘をしていった一定の素養を持っている方々に部活動指導員として委嘱をして、そして各々の部活を見てもらう。野球部なら野球部、サッカー部ならサッカー部を見てもらうというパターン。
 あとは、子どもたちの数が減ってきているということになりますので、近隣の中学校、他府県では、同じ同一地域内だけじゃなくて、市をまたいだり町をまたいだりする形で拠点のところにいろんな子どもたちが集まりながら、そこで同じように合同部活動を形成したところで地域人材が部活動の指導員になるというパターンというのがあるということです。これが地域連携、地域移行という言葉で用いられている大きな2つの流れということです。
 ただし、ここで一番やはり考えるべきなのは、先ほどの総合型地域スポーツクラブのお話にもありましたように、大きなチャンスだということです。学校の部活動をどうするということよりも、スポーツを含めた様々な文化の振興というのを各地方自治体でどのように守っていくのかということ、文化とかスポーツの活動を推進する持続可能な仕組みづくりをするというのが、今回、我々が課せられている使命であり、このチャンスを生かすということにこの機会を考えるべきなのかなというふうに思っています。
 様々な地域連携、地域クラブ化の可能性とか課題があるわけですけれども、これも言い出せば切りがないんですが、きっと地域連携、地域クラブ化が進んでいくならば、生徒は選択肢が拡大する可能性があるだろう。当然、学校の先生でもその種目を専門としない方々が担当されていたようなものを地域の専門指導を受けるようなことができたりだとか、あるいは学校間を超えたり地域住民と触れ合ったりする機会があるので、つながりが強化されたりする。
 当然、学校の教員は部活動というもの、もちろんそれをしたいという方もいらっしゃるんですが、部活動に当てていた時間というのを教科教育に注力をする。当然、働き方改革だとか、地域と関係を強化しながら、学校を基盤としながら地域と協力する体制がまた新たにできるだろうと。当然、地域社会とするならば、学校・家庭・地域、この三位一体によって子どもたちの教育を見守っていくということ、さらにはそういう協力体制ができるならば、地域力の1つの指標とされているソーシャルキャピタル、こんなものが醸成されるということが言われています。
 もちろん課題はあります。いろんな課題、例えば今、指導部長が冒頭お話をされていましたけれども、送迎の問題はどうするの、受益者負担になったらどうするの、そうすると、経済的な負担がかかってくる場合には各御家庭に不平等が生じるんじゃないかということ、あるいは学校の先生は部活動を教えることが一義的な教員のミッションではないとは思うんですけれども、やっぱり部活で子どもたちと一緒に何らかの達成感を得たいという先生もいらっしゃいます。そうしたときに、部活動を頑張っていた人のやりがいが低下したりとか、あるいは部活動でしか見られなかった子どもたちの様子を見られなくなることによって、子どもたちの関係が弱体化するんじゃないかという危惧をされている先生方もいらっしゃいます。
 もちろん、これは地域間に様々な資源の格差がありますので、人材面だとか資金面だとか、あるいはこういう推進をする体制、こんなものを築き上げたりするということによっても地域間には温度差があったりすることがあって、これは不平等になるんじゃないか、こんな声もあるということです。
 ただし、我々が今、目を向けるべきところというのは、いろんな課題だとか懸念点だとかそういうものはたくさんあるとは思うんですけれども、むしろ我々が考えなければならないのは、オペレーショナル上で生じるようなことはしっかりと対応するということも重要だし、そこに終始していくと疲弊してしまうのかなと。むしろやはり府としては、今、活動推進指針が示されているように、どうありたいのか、どこに進むべきなのか、どんな仕組みをつくらなければならないのか、今回の改革を機にして何を京都府として成し遂げたいのかどうかという大きな方向性そのものに対する合意を得ていくということ、これが重要なのかなというふうに思っています。
 幾らか、地域の取組が進められ始めています。まず、都道府県レベルの話なんですけれども、先進県と言われているところはいろいろとあるんですが、私が訪れたところで非常に参考になるなと思ったところは新潟県と山口県になります。
 ここのところは、知事がかなり今回の取組に対して問題意識をお持ちになられていて、知事が各市町村の首長、市長とかを集めたところで、国がやっている方針に対する考え方をそしゃくしながら知事としてどのようにこのことを進めていくべきなのかどうかということをトップがしっかりトップに伝えるというようなこと、そんなことをしているのがこの新潟県と山口県です。その市長が聞いてきたことを今度は教育長がちゃんと通達を受けていって、そしてトップの賛同を得ながらやることの意義みたいなものに自治体そのものが本気になっているという事例になります。
 ですので、新潟県には幾つの市町だったかちょっと記憶にとどまっていないんですが、新潟県にある市町には、部活動の地域連携・地域移行の考えていくための推進協議会というのが全て100%設置されているだけじゃなくて、そのための推進計画というのも全ての自治体に設置されているということがあります。つまり、いつまでに何をやるのかどうかというのを決めているので、それに向かってみんなが形を進めていこうとする形を取っています。
 山口県も同様です。山口県の場合というのは、今、言ったような協議会ができているだけじゃなくて、京都府の資料の中にもありましたけれども、どのような形で地域連携・地域移行を図れるのかというパターンを示す中で、そのパターンで皆さんの自治体のところはどういうパターンが当てはまりやすいですかということを話し合いながら、対話をしながら物事を進めていらっしゃいます。
 あんまり事例ばっかりしゃべっていると時間がなくなるんですけれども、山口県で非常に面白いのは、この問題が教育委員会、つまり学校教育課のテリトリーの話なのか、あるいはスポーツ振興部局のテリトリーなのかということでせめぎ合いというか譲り合いというか、押しつけ合いみたいなのが生じたりするところがあったりするんですけれども、それではいけないだろうと。どちらかがイニシアチブを取るというのはあるのかもしれませんけれども、山口県の非常に面白いところというのは、県にはないんですけれども各市町のところには、それぞれが協議をするためにあえて学校教育課とスポーツ振興をやっている部局がお互いに力を合わせるような形をしていて、部活動改革推進室みたいなものを設置されて、あえてそのような形で進めていらっしゃるというところもあると思います。今回の件は部活の改革だけではないんですけれども、つまりパートナーを図るための部局をわざわざつくられている、そんなこともあります。
 あとは、多世代化というのが図りやすいというのが今回の問題で一番分かりやすいのかなと思います。つまり、地域との連携を図っていく、あるいは地域との協力を図っていくというのに、スポーツ少年団、小学校の活動を多世代化するという形で、少年団と連携を図っている地域というのは富山県、あるいは群馬県の吉岡町。こういうところは小・中の連携を図っていく、つまり少年団で入った活動をそのまんま続けて中学校の部活動へと移行できるという形を取っているような多世代化を図っているパターン、これが比較的やりやすいパターンなのかなと思っています。
 あとは、教育委員会が直轄しているところで、教育委員会が教育委員会の直轄の下、合同部活動を運営しますと。その代わり、教育委員会がずっと抱えておくことは難しくなるだろうから外郭団体を設立していって、その外郭団体に教育委員会から出向で人を配置していって合同部活動で、例えばスクールバスの手配だとか場所のアレンジメント、あるいは人の手配ということを行う別組織をつくられているというパターンなんかもあります。もちろん、財源の確保をするためにクラウドファンディングだとか企業の寄付金だとか様々なアイデアを練られながら、教育委員会が主導となりながらやっているパターンがこのパターンです。
 あとは、部活動の地域移行の新たな部活動化の右側の図にあったところと同じようなことをされているというのが、茨城県のつくば市だとか、あるいは山口県の周南市。つくば市なんかはプロスポーツチームなんかも入って、大学、プロスポーツチーム、高校、地域のスポーツ団体、そんなところが連合体組織になっていきながら活動を提供しているパターン。周南市も同様に、その組織をつくるだけじゃなくて財源の確保まで既に見据えていらっしゃるということになります。例えば、今、教員の負担を軽減する代わりに土日にかかっている教員の超過勤務手当のようなもの、そこの財源を使いながら人を確保していこうだとか、あるいは原資に充てていこう、そんな大胆な発想なんかもお持ちになられているのが周南市です。
 あとは、今の改革推進期間というのは休日の移行のことを考えられていることが多いんですけれども、休日やって改革して仕組みつくって、次にまた平日という話になると、検討が2段階になってしまって混乱を招くだろう、いずれそんなことになるんだったら平日から見据えてやりませんかと。つまり、休日を改革していっても実質的に今、中体連の大会だとか、あるいは対外試合をやったりするのが週末になるということを考えていくと、休日の改革をしていっても結局その改革はうまくいかない。それだったら、もう実際に平日の地域移行を踏まえていった形で地域クラブ化を推進していきましょうと言われているのが、静岡県の掛川市、あるいは新潟県の村上市というところ。これは地域スポーツクラブとかスポーツ協会が中心になっているところになります。
 じゃあ、最後のスライドになります。ちょっと駆け足でお話をさせていただいたんですけれども、なぜ部活動の地域連携だとか地域クラブ化を考えるのかということです。1つは、総合型地域スポーツクラブの創設とか育成から学ぶ新たな仕組みづくりを考えなければならないだろうと。これは2年前にお話をさせていただいたときも同じような話をさせていただいたんですけれども、国が何か政策を出していって、そして都道府県あるいは市町村がその国の政策を受けて様々な政策、指針、施策を練っていくときに、例えば総合型地域スポーツクラブだったら、いついつまでに各市町村に総合型地域スポーツクラブをつくりましょうということは、本当は地域の新しい仕組みづくりの手段でしかなかったのに、クラブを創設することが目的になってしまうということです。そうすると、今日のような部活動の地域移行だとか、あるいは地域連携ということが、国が言われていることをどうやってやるのかというHOWばかりに解を求めてしまうと、何でこんなことを考えなきゃいけなかったのかなということがなおざりになってしまうということです。ここではそれではいけないだろうと思います。
 もう1つの総合型地域スポーツクラブから学ぶとするならば、何か改革をしていくときには必ずミッションとかビジョンだとか戦略が重要であって、そして何よりもミッションとビジョンと戦略をかなえるための経営資源が必要になります。多くの場合、総合型地域スポーツクラブも、人と財源の枯渇によって行き詰まりがあったということを踏まえたときに、これはやっぱり自治体として、手厚く支援するだけじゃなくて、どういう形でこれを進めるのかといった考えも持っておく必要があるのかなというふうに思っています。
 あとは、この問題は、先ほどお話ししたように学校教育課の話なのか、スポーツ推進部局の話なのかということを言ってしまったりするといけなくなるので、この改革に関することというふうにアンタッチャブルな領域をつくらない。「いや、それはうちの部局に関係ないことですから」ではなくて、京都府の府民あるいは子どもたちにとって望ましいような社会をつくるためにはどのようなことをすればいいのか、あるいは行政は当然担当者が変わりますので、この人しかできなかったなんてことが言われないような仕組みをちゃんと考えていって、それを見直していって、対話していってしっかりと話し合える雰囲気、場をつくるということが重要なのかなということです。
 このような政策だとか国の指針が出たりするということというのは、やっぱり自治体にとっては過去になかったことをやるというのは若干ストレスではあるというわけです。ところが、改革というのは、そもそも何でこんなことやらなあかんのやろうというようなネガティブなものではなくて、きっとそれは新しいチャンスを生み出すそういう機会なわけです。そうすると、想像性だとか創造性、自立性、新しいことだとか異なることを認め合いながらやはりわくわくする挑戦、そんなところに活路を見いだしながら今回の問題に取り組むべきなのかなというふうに思っています。
 駆け足になって申し訳なかったんですけれども、私の話は一旦これで終わらせていただきたいと思います。御清聴、どうもありがとうございました。

◯山口勝委員長  ありがとうございました。御説明はお聞き及びのとおりでありますが、もとの状態に復するまでしばらくお待ち願います。
 本日の所管事項の調査におきましては、テーマについて参考人も交えて委員間の活発な意見交換の場となるよう運営してまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。それでは、御意見、御見解等がございましたら、御発言を願います。

 

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◯島田敬子委員  冒頭、教育委員会のほうから、今回の問題で、全ての学校部活動を一律に地域に移行するのではなくということが言われました。他方、部活動自身の改革もすると。そして、部活動が成り立っている地域、学校がある、そして課題があるところがあるという説明でしたが、これはどれくらいの割合になるのでしょうか。実証をやっていらっしゃる7自治体のほかにも、課題があるのかどうか。その辺をちょっと現状をお聞かせいただきたい。
 また、実証の取組の中で、八幡市などが生徒、保護者、教員を対象にしたアンケートも実施されて、こういうことも大事なことだなというふうに思っているんですけれども、やっぱり子供を主体に考えるということがとても重要だと思うんです。その点で全体にそういうふうに子どもの声を聞くというようなそういう取組を今後、なされていくのか。そして、現実に今、部活動に参加しないという子ども、参加している子どもはどれくらいの割合になっているのか、現状、ちょっとお聞かせください。

◯井上哲 保健体育課長  まず、府内の活動の状況といいますか、課題とされているかされていないかというふうな、どういう思いを持っていらっしゃるかという内容の内訳まではちょっと把握はしておりません。今、手を挙げていただいている7市町については、モデルとして地域の課題に取り組もうということでまずは手を挙げていただいているというふうに考えているところでございます。
 それから、部活動をしていない子どもたちの割合ということでよろしかったでしょうか。割合でいいますと、これは中体連の調査になりますけれども、令和5年度でいいますと私立を除きますと加入率が70.04%になっておりますので、残り30%が部活動には携わっていないというそういう形になろうかというふうに思っております。以上でございます。
 失礼いたしました。子どもの声の部分、申し訳ございません、私、今、頭から失念をしておりまして。もう一度御質問を賜ってもよろしいでしょうか。申し訳ございません。

◯山口勝委員長  島田委員、もう一回言ってあげてくれますか。

◯島田敬子委員  八幡市の取組で地域部活動準備委員会を設置して3回の会議をして、そして市内4中学校、3年生以外の生徒・保護者・教員を対象にしたアンケート調査などを実施されております。これは、大変大事な取組であるというふうに思っております。地域移行をするかしないか、今後の学校の部活動を改革・改善していくためには子どもの声をしっかりと聞くということが重要だろうと思うので、こういう取組は八幡市に限らず教育委員会としても取り組むべきだなという思いがありますものですから、考え方とか今後の方向とかいかがと思います。

◯井上哲 保健体育課長  大変失礼いたしました。
 子どもたちの声を拾うということで、これまでも実証事業の中でアンケート調査を取ってまいりました。今年度の事業におきまして、この地域移行に関して全ての市町村に対して子どもたちの声を拾うということは、現段階では計画はしておりません。ただ、この実証事業の各市町村につきましては、子どもたちの声を拾い上げるようなそういった計画については、考えていきたいというふうに思っております。
 また、子どもたちの声を拾うということにつきましては、実は福知山市のほうでこれも中学3年生にアンケートを取ったということで、その中から、サッカーがしたいという子どもたちが多かったということでサッカーに取り組もうということだったんですけれども、実は中学校でサッカー部がなかったと。そのために、サッカー部の地域クラブをつくったというそういう流れもあります。ですので、子どもたちの声を拾うということは非常に大切だというふうには考えておりますので、まずはモデル地域の状況をしっかり把握しつつ、子どもたちの様子を把握していきたいというふうには考えております。以上でございます。

◯島田敬子委員  参考人のほうで何か、全国的な状況についてあれば。

◯長積仁 参考人  今、保健体育課長がおっしゃっていただいたんですけれども、私、京都府下全てを知っているわけではないんですが、基本的には実証事業をやろうとしているところとか、あるいは先日私、宇治市の検討委員会をつくる前の段階のところの下打合わせをしてきたんですけれども、やはり検討委員会をつくろうと思っているところは、まずニーズ調査をしましょうということになっています。だから、京都の7市町の全てがどうかは分からないですけれども、恐らくまずニーズを調査するというところがあるので、どのところも検討委員会をつくろうとしているところは多分ニーズ調査をされていることがあるのかなと思いますので、一定、状況を把握されての上でどういう形で進むのかどうかを決めていらっしゃるような気がいたします。
 先ほど課長もおっしゃっていましたけれども、福知山市の場合は例えば種目でいうならばサッカーに対するニーズが多かったということがあるように、先ほどの前にもお話したように、実は子どもたちに聞くと、土日はそんなしたくないと思っている子どもたちが多いというのも、こういうデータとかに基づいていることになります。あともう一つは、勝つことやうまくなりたいばっかりじゃなくて、仲間づくりとか、もっと気軽にできるようなスポーツをやりたいという、多様なニーズがあるんですけれども、やはり学校の部活動となるとどうしても限られた人数で限られた指導者しかないということがあるので、それをできる限りたくさんの人を束ねたりすると、さっきの高校野球の話じゃないですけれども、甲子園で丸坊主をしない高校野球をつくってもいいのと同じように、多様なニーズに応え得るような受け皿の整備をすることが重要なのかなというふうに思っています。

◯島田敬子委員  地域移行が目的ではなくて、全ての子どもたちのそういうスポーツを楽しみたい、もちろん技術なども考慮されて、それぞれニーズがあるけれども、その受け皿整備のための一つの方向であるということですよね。だから、一律ではないというのは非常に大事だと思うんです。
 それにしても現状の部活動については様々な課題があるというふうに思いますので、しっかりまだ読み込めていませんので引き続き勉強させていただきたいと思いますが、そもそも文化スポーツ関係の予算とか子どもに関する予算というものが少な過ぎるなというふうに思いますので、本当に子どもたちのことを思うのであれば、そういう予算もしっかり確保して、人づくりも含めて取り組むべきかというふうに思っております。以上です。

◯山口勝委員長  他に御発言はございますか。
 それでは、御発言も尽きたようでありますので、これをもって所管事項の調査を終了いたします。
 長積参考人におかれましては大変お忙しいところ、参考人として本委員会のために御出席いただきまして、貴重な御意見を述べていただきましたことに改めて心より感謝申し上げたいと思います。
 本日いただきました御意見につきましては、今後の委員会活動の参考にさせていただきたいと存じます。また、理事者各位におかれましては、本日、各委員から出された御意見、御見解等について、今後の府政の推進に当たり十分御留意いただき、府民のためになお一層の創意工夫をされるようお願いいたします。