令和4年9月定例会 決算特別委員会 知事総括質疑 – 2022年10月27日

○島田敬子議員  日本共産党の島田敬子です。
 新型コロナ感染症(COVID-19)はいまだ収束せず、新規感染者が増加傾向にあります。お亡くなりになった方々に哀悼の意を表しますとともに、療養中の皆様の1日も早い回復をお祈ります。また、医療従事者をはじめ関係者の皆様に心から感謝を申し上げます。

 それでは質問に入ります。
 新型コロナ感染症(COVID-19)対策についてです。
 9月23日、わたくしの親しい知人である74歳の女性が介護施設でコロナに感染し施設に留め置かれたまま、1週間後に肺炎を併発し急変、病院に搬送される途中に心肺停止で亡くなりました。難病もありましたので、早期に病院で治療が行われれば、助かった命ではなかったかと、悔やまれてなりません。
 私どもは、こうした介護施設留め置きをなくし、必要な人が必要な医療を受けられるよう、要望を重ねてまいりましたが、残念ながらそうはならず尊い命が奪われたことは、痛恨の極みです。
 新型コロナウイルス感染症の波は、来るたびに大きくなり、多くの命が奪われました。京都府保険医協会が4月に介護施設に行った「第6波における影響調査」では入所者の感染者が948人、そのうち、703人、74%が施設療養となり、うち53人が急変し、そのうち入院できずに亡くなった方が15人という調査結果が報告されました。
 また、第7波では、京都市老人福祉施設協議会が緊急のアンケート調査が行われ、把握できているだけでも67施設でクラスターが発生し、そのうち約半数が5人以上のクラスター。入所者のほとんどが感染した入所施設もあることでした。救急車が来たが搬送してもらえなかったが7件。救急車が来てくれ搬送したが入院できなかった方が3件、施設で亡くなられた方が6人もおられます。施設からは
「状態が悪化し、もがき苦しむ方が入院できず、『助けてほしい』と懇願される方を目の前にしてなすすべがなく、非常に心が痛んだ」
との悲痛な声が寄せられています。

 そこで伺います。
 知事は、9月定例本会議で森下議員の質問に対し、知事は「入院が必要な患者は入院していただいている」と答弁されましたが、今紹介した事例、施設に留め置きで対応が遅れて死亡者が発生した状況について、どのように把握されていますか。お聞かせください。
 今後も感染拡大が予想されます。適切な治療が受けられずに、亡くなるという事態を招かないために、真摯な検証が必要です。いつまでに検証を行い報告されるのか伺います。
 専門家からは、第8波、新型コロナウイルス感染症とインフルエンザの同時流行による医療逼迫が予測されています。必要な方が適切な医療を受けられるよう、さらなる入院病床の確保と行政が責任をもって発熱外来を設置する等、体制の強化が必要と考えますがいかがでしょうか。
 また、コロナに感染した利用者が施設に留め置かれている介護現場からは、「なぜ、入院待機ステーションにも運んでもらえないのか」という声が出されておりました。書面審査で、入院待機ステーションの利用率を伺いますと、第6波の最高時でわずかに11人ということでした。
 本府は、本年4月28日から、介護が必要な人の受け入れを可能とするために、入院待機ステーションを京都東山老年サナトリウムに移転させ、看護師や看護助手等の体制を強化したのに、なぜ有効活用ができなかったのでしょうか。今後、待機期限を24時間以内と限定せずに運用し、後方ベッドの確保も含めて介護が必要な高齢者や障害者の患者さんの受け入れが可能となるよう、体制を見直すべきと考えます。いかがですか。
 また、ホテルを借り上げの施設療養について、1,126床を確保したというものの、令和3年度は3施設合わせて15.8%、令和4年度9月までは23%の稼働率。ホテルの借り上げ経費は3施設49億8,000万円と多額であるのに、これも有効な活用ができておりません。臨時の医療施設として運用できる環境を整えているホテルを活用する等の、委託先を検討すべきではありませんか。以上、お答えください。

○西脇隆俊知事  施設に入所されている新型コロナウイルス感染症患者への対応についてでございます。
 令和3年10月国通知におきまして、感染が拡大した際医師が入院の必要がないと判断した場合には施設を含む自宅等での利用として差し支えないとされたところでございます。
 入院医療コントロールセンターでは、基礎疾患の有無や症状、食事や水分が取れないなどの全身の状態も考慮した上で、療養方針を丁寧に判断しており、入院が必要な患者は入院していただいているところでございます。また施設療養者に対しましては、保健所が施設医や施設協力医療機関の協力のもと適切に患者の療養状態を把握してきたところでございます。

 次に新型コロナウイルス感染症の検証についてでございます。
 新型コロナウイルスは変異を繰り返しながら種類を増やし、重症化リスクや感染力を変化させてきたことから、その都度検証し対策を見直しながら対応してきたところでございます。
 例えば、新型コロナに対する医療水準や受け入れ体制が今日ほど進んでいなかった当初から、入院医療コントロールセンターを全国に先駆けて設置し、患者の状態や医療機関等の状況を一元的に把握して、入院を調整を行ってきました他、受け入れ医療機関や宿泊療養施設の確保・拡充、入院待機ステーションの新設など、患者の症状に応じた適切な療養環境が提供できるよう、状況に応じて様々な対策を講じたところでございます。また自宅療養者の増加に対しましては、医療機関など472の機関にご協力をいただき、訪問診療体制の強化を図ってきたところでございます。
 さらに高齢者施設等での集団感染の増加を踏まえ、昨秋から感染症に対するノウハウが少ない施設職員をサポートするため、ゾーニングなどの感染予防策を助言する対策チームを拡充し、これまで延べ400ヶ所の施設を現地で支援してきたところでございます。合わせて施設で利用される方に対しましては、協力医療機関や施設医などの協力のもと、施設等で療養される陽性者の診療が可能な体制の確保を図ってきたところでございます。今後とも新型コロナに対する対策につきましては、その都度状況を検証し、臨機応変に対応することとし、府民の命と健康を守れるよう万全の対策を講じてまいりたいと考えております。

 入院病床の確保につきましては、病室ごとのゾーニングなどの病床配置を工夫して受け入れ能力を高めていただき、現在1,013床まで拡充し、合わせてコロナからの回復患者の療養支援病床での積極的な受け入れにより、効率的な運用を図っているところでございます。また外来診療体制につきましても、身近な医療機関で検査は医療が受けられるように順次強化を図り、現在994ヶ所まで拡充を図ったところでございます。
 入院待機ステーションにつきましては、医療機関への搬送困難ケースに対応する一時的な受け入れ施設として設置し、現在は医療行為も可能な臨時の医療施設の機能を併せ持つものとして運用しております。第7波においては9月末までに146名の患者を受け入れ、24時間を超える滞在にも対応しましたほか、介護の必要な方も利用しやすい環境に改善したこともあり、利用者の9割が70歳以上となっているところでございます。
 宿泊療養施設につきましては、感染症の蔓延防止などを図るため入院の必要がない患者の療養のために設定しており、入所者の症状が悪化した場合は、24時間常駐しています看護師等が入院も含む最も適切な治療につなげているところでございます。引き続き病床の逼迫状況や役割に応じまして、施設や医療資源を有効に活用してまいりたいと考えております。

○島田敬子議員  介護施設は生活施設でありまして、ゾーニングを頑張っても感染を防ぐことはできません。リスクのある高齢者基礎疾患のある方は入院が今でも原則です。そしていろいろやったと仰るのですけれども、先ほど数字も紹介しましたように、現状は大変な状況であります。検証も今していないのに何を根拠に適切と言われるのかわかりません。

 9月30日の府民環境厚生常任委員会で、すでに光永議員が紹介している2つの事例、1つは、他の疾患で入院中であったハイリスクの患者が陽性となり、病院は他のコロナ患者受け入れ病院と直接やり取りして転院の準備ができていたにもかかわらず、府の(入院医療コントロール)センターが『入院不可』といって、転院することができずに亡くなられました。
 2つ目の事例。ある施設で入所中の高齢者がコロナにり患し、酸素飽和濃度が低下、国の『診療の手引き』によると入院加療が必要な中等症になり、施設は保健所に入院調整を求めましたが、保健所の返事は
「コントロールセンターが入院対象でないと判断したので入院できない」
というものでした。
 患者さんは施設に留め置かれ、その後悪化し生命の危機に陥り、施設側は救急を要請しました。駆け付けた救急隊が懸命に入院調整を行いましたが、
「病院ができる対応と施設でできる対応は変わらないので入院不可とセンターが回答している」
と施設側に伝えられております。最終的にこの方は病院に運ばれまして、一命をとりとめました。
 常任委員会質疑で、理事者は
「コントロールセンターは『入院の可否』まで判断しているわけではない」
と説明しておられましたが、2つの事例は府の(入院医療コントロール)センターの医師が、『入院可否』を判断していると考えられます。
 私は個人の責任を問題にしているわけでなく、やはり、組織として検証する必要があると考えます。こうした事例を聞いてなお適切だったと言えるのか、お答えください。

 そして、判断するには実態調査と真摯な検証が必要です。府民環境厚生常任質疑では、理事者からは、死亡場所については公表していないが、統計的にはまとめて公表する、保健所の対応等も含めて、落ち着いて検証する必要があると答弁されました。
 警察本部書面審査では、不審死で検死したご遺体が増え続けており、コロナ陽性者が令和4年9月末で57人、そのうち死因がコロナ感染という方が20人もおられました。これらについて健康福祉部書面審査では把握してないとの答弁でした。警察本部資料では、高齢者ばかりでなく若年層の死亡もあります。医療が受けられず、孤独死した可能性もあります。改めてコロナ感染による死亡事例のすべてを「医療につながることなく亡くなられた」方が何人おられるのか、課題がどこあるのか、検証すべきであります。
 本気で医療へのアクセスを保障しようと思えば、さらなる入院病床の確保はもちろん、施設療養や入院待機ステーションについても、課題を明らかにして活用が必要です。知事は記者会見で、
「入院待機ステーションは、臨時の医療施設として登録しているから、いざとなれば病床として使うことが前提だ」
と仰いました。ならば、24時間とかの原則をはずして、さらに認知症や高齢者、障害者も受け入れられるように、強化をすべきと考えますがいかがでしょうか。

○西脇隆俊知事  幅広いご質問だったので簡略に申し上げますが、まずは入院医療コントロールセンターにおきましては、当然年齢とか基礎疾患の重症化リスクの判断、それからその時の症状、そしてコロナ以外の症状についての判断も含めて、さまざまな幅広い療法方針の中から最適なものを選び、その中で当然、入院が必要だと判断したものについては入院をしていただくということで運用しておりまして、私としてはそこの判断は適切に行われているものだというふうに考えております。
 それから入院待機ステーションの24時間(以内の転院)でございますけれども、これはもともとは一時的にそこで入院の可否を判断するということでございますが、臨時の医療施設として登録しておりますから、24時間しかいないということではなくて、現に24時間を超えてお預かりしてる人もございます。ただあくまでこれは臨時の医療施設でございますので、他のコロナ受け入れ病院の所が空いている場合については、そちらの方が当然、医療・療養の水準は高いものですから、そちらの方で入院をしていただくということが最適な方法だと考えております。

○島田敬子議員  適切に行われているということでしたが、さきほどの事例を聞いて、今日は時間がありませんので、私もまとめて言いましたので、ご理解いただけなかった部分もあるかと思いますが、やはり検証しませんとね、適切だとは言えないと思うんですよ。それで施設の関係では、やはり、今日の京都新聞でも認知症の患者さん方、家族の方の要望で、神奈川県や滋賀県でそうした方々も受け入れられる高齢者の専門の療養施設も作っていると、こういう報道もありましたので、やはりこうした新たな改善策も含めまして、やっぱり多額の税金を使っておりますから、医療提供体制の拡充に向けてひき続き努力をいただきたいというふうに思っております。
 今、コロナ病床確保料に上限を設けた国の措置について、京都府内医療機関から、これではコロナ感染患者を受け入れられないという声が多数出始めております。これについては国に手をあげていただきたい。要望しておきたいと思います。
 パンデミックが明らかにしたことは、緊急時に対応するためには、平時から医療提供体制に余裕が必要であるということではないでしょうか。ところが政府は、マンパワーの手厚い急性期ベッドを200,000床削減する計画を進めております。コロナ禍でも京都府では231床の急性期ベッドが減らされました。国に追随をして医療費抑制路線を行うのではなく、医療提供体制を確保するための支援、保健所の増設など、医療公衆衛生行政の抜本的な拡充を求めておきたいというふうに思います。

 続きまして、南丹市の国保みやま診療所について伺います。
 2021年4月から国保南丹みやま診療所(南丹市国民健康保険南丹みやま診療所)が開設されました。老人保健施設や24時間の訪問看護、無料送迎を廃止し、人員体制はおよそ半分に減らされました。さらに南丹市は、入院病床を廃止し外来のみとする考えでしたが、住民の強い願いに押され、かろうじて入院病床4床を維持することとなりました。
 私は昨年の2月定例本会議で質問した際、知事は
「直営の国保診療所として、夜間体制も含めた診療所の体制を検討している。地域に必要な診療所機能を確保されるもの」
と答弁をしておられましたが、南丹市は9月8日の市議会の場で、突然11月1日から入院病床を医師の体調不良を理由として休止するということを発表いたしました。これらに対し、住民の不安、怒りが高まっております。現地の守る会の皆さんが、南丹市や本府にも医師確保等の支援を含めて要請をされていると承知しております。
 京都府は「医師確保計画」をつくり、美山を少数スポット地域と位置づけております。必要な医療を確保できるよう、本府が医師確保に全力をあげるべきと考えますがいかがですか。いつまでに医師確保を行うのか、ご所見を伺います。

○西脇隆俊知事  国保南丹みやま診療所についてでございます。
 府民の皆様が住み慣れた地域で安心して暮らすためには、必要な時に、適切な医療を受けられる体制を構築することが重要だと考えております。そのためには、それぞれの地域の実情に応じて、病院や診療所が相互に連携し、地域全体で医療を提供できる体制づくりを進める必要がございます。国保南丹みやま診療所につきましては、令和3年4月に、公設民営方式の医療法人財団美山健康会による運営から、南丹市直営の国保診療所としての運営に変更をし、引き続き美山地域での必要な医療が提供されてきたものと承知しております。
 京都府といたしましても、これまでから京都中部総合医療センターを通じ国保南丹みやま診療所に医師を派遣してきたところでございます。こうした取り組みによりまして、地域医療を支えてきたところでございますが、所長として診療所の中心的な役割を担う医師の体調不良により、入院を受け入れることが困難となりました。そのため外来は継続しつつも、やむを得ず入院については11月1日から当面の間中止せざるを得ないとの報告を南丹市から受けているところでございます。
 京都府といたしましては、医師の体調の回復状況を注視しながら、引き続き南丹市の意向を十分に尊重して参りたいと考えております。

○島田敬子議員  南丹市の意向とは、どのような意向が現時点で示されているのか聞かせてください。

○西脇隆俊知事  具体的にどういう風にしたいというところまでは、私にはまだ伝わってきておりません。

○島田敬子議員  南丹市はこの間、土日の当直医師を断ったり夜勤看護師を雇止めにしました。なので入院休止の後は、これは廃止するのではないかと危機感が広がっております。そんなことになってもいいんでしょうか、知事。
 人口3,700人、高齢化率は48%を超え、1人暮らしの高齢者がたくさんおられます。老人保健施設がなくなり、24時間の訪問看護もなくなり、やっと確保した入院病床4床がなくなれば、地域のお年寄りが美山に帰って来られなくなるではありませんか。知事どのようにお考えでしょうか。
 地元の消防署長から
「美山診療所のこれまでの医療が継続できなくなると、非常に傷病率が悪化する」
「美山診療所の入院病床があることは重要である」
との声を、私聞いて、何度も知事にも紹介しました。本会議の場で。入院病床がなくなるということは、在宅医療の拠点、お年寄りの命を守ることすらできなくなるのです。この南丹市の動きに対しては、知事は今地域はどこでもちゃんと安心して出来る医療体制をつくると仰った。この方針がですね、事実とすれば、どのように考えられますか。私は適切に助言をするべきであるというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

○西脇隆俊知事  今、委員からご紹介がありました地域の声、また地域全体の医療の状況も踏まえて、南丹市の方で、適切に判断され、その意向を踏まえて、我々は作業してまいりたいと考えております。

○島田敬子議員  お医者さんばっかりじゃなくて、看護師さん達も、医療従事者も含めて、しっかり確保して、地域医療、地域のケア体制を整えていただきたいと思っております。直営になったら医師が確保しやすくなると、確保するとおっしゃったんですから、11月1日から休止しないように、今、医師確保を中部総合医療センター、そして府立医科大学附属病院にも強力に要請を頂いて、医療の確保をお願いをして、質問を終わります。ありがとうございます。