令和3年5月臨時会 新産業創造特別委員会―2021年5月18日〜島田敬子府議と光永敦彦府議の発言部分

委員会活動のまとめ

本来なら5月臨時会において「委員会活動のまとめ」を行っているが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策として、委員会の場で各委員から御発言いただくのを取りやめ、希望される委員に書面で事務局に御提出いただくことが報告された。

委員会終了後、別紙「委員会活動のまとめ」のとおり、希望する委員から書面にて委員会活動のまとめが提出された。

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◯光永委員  正副委員長、委員の皆さんには1年間お世話になりありがとうございました。また、理事者の皆さんにも大変お世話になりました。
 今年度は、政策提言型でなく見聞を広げることを中心に、管内調査も含め様々な知見を得られたことは貴重なことでした。
 一方、府農林水産技術センターでは、ICT技術について調査しましたが、やはり現場で伺うと、南丹地域の担い手を含め農業をめぐる厳しさと、その下での府職員の皆さんが地元農家に寄り添いながら地道な支援を行っておられることがあるからこそ、農業が続けられていることをリアルに拝聴することができました。
 また、この1年の動きや委員会で参考人の方の御意見を拝聴し、国や京都府が、コロナ禍でも、先端産業支援は熱心であるだけでなく、けいはんな学研都市を新たに大規模開発と一体に、またデジタル化と一体に、スーパーシティ特区指定をはじめ、大掛かりな投資が検討されている全体像をつかむことができました。今、コロナ禍と人口減少時代に、この方向にあたかも未来や希望があるかのように描いて、集中投資していくのは、問題があります。地元中小零細企業等の事業継続への支援や、またその裾野が広いからこそ先端産業の発展もあるわけで、その視点からの底上げ支援策が求められており、そういった施策展開と産業政策の見直しを強く求めます。

◯島田委員  1年間、正副委員長並びに理事者、事務局の皆さん大変お世話になりました。
 コロナ禍につき、管外調査はできませんでしたが、府内の事業所や関係機関の取組の現状を調査することができました。また、府立大学、京都大学などの研究者を招いて、意見聴取する機会をいただいたことも有意義でした。
 参考人の京都大学の山口栄一名誉教授 産学官連携本部特任教授のお話と質疑の中で、日本でのワクチン開発などの遅れの原因について、日本政府の大学運営交付金の削減や博士課程大学院生や若手研究者が研究をしようにも低賃金の下に置かれている現状を紹介されたことが印象に残っています。この間、政府は、目先の経済的利益につながる研究に投資を集中させる「選択と集中」政策を進め、さらに、国立大学運営費交付金など基盤的経費が削減されて、研究者の裁量で使える研究費が減り、若手研究者は任期付きの不安定雇用に置かれた結果、論文の量でも注目度でも、日本の国際的地位が下がり「研究力の低下」と言われる事態となっていますが、そのことをずばり指摘されました。
 菅政権が、2021年度から5年間の科学・技術振興策を定める第6期科学技術・イノベーション基本計画を閣議決定しましたが、安全保障や大企業の利益に資する研究を求める一方で、研究振興策はほとんどなく、博士課程大学院生や若手研究者への支援を強調していますが、対象は限られ、産学連携や競争的資金に依存する不安定なものとなっているようです。国においては、「選択と集中」政策をやめ、基盤的経費を抜本的に増額し、研究現場を安定的に支える政策へと転換するべきと考えます。
 京都府北部の企業視察で、IoT、ロボット、人工知能等の先端技術を活用した新産業創出について、現場での様々御苦労や技術革新の現状もお聞かせいただきました。新たなIT技術を、大資本の儲けの道具にするのではなく、中小企業等地域産業の振興とそこで働く労働者の労働時間の短縮や人間らしい暮らしを取り戻す等の自由獲得に活用できればなあと、考えます。