○島田委員 日本共産党の島田敬子でございます。さきに通告しております3点について伺います。
まず冒頭に、委員長のお許しをいただき一言申し上げます。
記録的な大雨を降らせた台風15号、19号に続く豪雨が、東海、首都圏、東日本各地、広範な地域に甚大な被害をもたらし、今なお被害が広がり続けております。犠牲となられた皆様に心からお悔やみを申し上げますとともに、被災された皆様にお見舞いを申し上げ、また懸命の救助・捜索活動と災害復旧に尽力をいただいている皆様、また本府からも福島県へ職員を派遣され、現地支援を開始されたことについて、関係者の皆様に心から感謝を申し上げます。
日本共産党といたしましても、災害対策本部を立ち上げまして、現地調査を行い、避難所改善などの緊急要望を防災担当大臣にも直接お届けをするとともに、全国で救援募金活動も取り組ませていただいているところであります。
西日本豪雨を超える甚大な被害であり、従来と異なった様相になっております。被災者が希望を持って生きられるように、防災・減災、被災者支援の取り組みについても、これまでの枠を超えた抜本的な見直しが必要であります。災害救助法の見直し、被災者生活再建支援法等の拡充など国へ要望していただくことを強く要望しておきます。
さて、平成30年度、本府でも6月大阪府北部地震、7月豪雨、8月、9月の台風と、大変な自然災害に見舞われました。6名の方の尊い命が奪われ、住家被害は合計で17,550棟に上りました。道路や河川、農林水産被害も甚大であり、懸命に災害復旧に取り組んでいただいておりますが、先ほどからるる述べられておりますように道半ばであります。
決算状況を見ますと、河川等災害復旧費は、繰越総額が事業費の2分の1に当たる約110億円と多額になっておりますが、これまでの災害復旧事業の進捗と課題について、知事の認識をまず伺います。
○西脇知事 島田委員の御質問にお答えいたします。
災害復旧についてでございます。
平成30年災害の公共土木施設災害復旧事業につきましては、平成16年以来の大規模な災害となったため、事業執行に当たり多くの繰り越しが生じたものでございます。
進捗状況につきましては、京都府の施行する工事、約850カ所のうち、9月末には約7割に着手し、そのうち約2割が完成しております。災害が頻発する中、被災箇所の早期復旧は緊急の課題と考えておりまして、一日も早い復旧に向けて鋭意、工事の進捗を図ることとしております。
このため、土木事務所の技術職員の定数を昨年度から5名増員し、災害復旧事業を初めとする公共土木事業の執行体制の強化を図ったところでございます。
さらに、工事発注に係ります土木事務所決裁額の上限額の引き上げや、概略発注方式の導入、京都技術サポートセンターの積極的活用など、土木事務所における業務の効率化を図ったところでございます。
今後とも、災害対応に万全を期しますとともに、効率的かつ効果的な執行体制の構築に努めてまいりたいと考えております。
○島田委員 御答弁をいただきましたが、書面審査でも平成29年度、30年度と連続した災害で国費を受けるための査定が、夏の災害が1月、翌年に回される。査定のおくれによって事業執行がおくれることを当然のことのように答弁されるのは大問題だと感じましたが、今、鋭意、御努力をいただいているところであるということは承知をしておりますが、やはり何といっても体制の強化が必要であると考えます。
災害の検証会議では、「丹後、中丹東土木事務所においては所管エリアが広く、現場到着がおくれた」「災害時の道路通行規制等を行う要員が不足をした」と、このことを課題に掲げ、その後、私どもも繰り返し要望をしましたけれども、駐在所を出張所に格上げをして5人の職員を増員されましたが、現場からは災害対応力や現場対応力は若干上がったが、出張所には独立した権限はなく、調整は宮津まで行かなければならないなどの課題が残されていると聞いております。
人員も体制も、さらに強化が必要という声が出されておりますが、この声に対してどう今後取り組まれますでしょうか、お答えください。
○西脇知事 島田委員の再質問にお答えをいたします。
今、御指摘のとおり、今年度、土木事務所の「駐在」を「出張所」へ格上げし、また増員したということは事実でございます。それによってどういう課題があるかどうかにつきましては、役所の組織人員体制につきましては常に見直しを行っておりますので、課題があるかどうかにつきましては、また次の組織体制の見直しのときに全体の中で十分に検討してまいりたいと考えております。
○島田委員 今年度増員をされましたが、今後も災害が繰り返されるという予測が出されております。さらなる現場職員の増員と土木事務所の再配置も検討することも要望しておきたいと思います。
また、災害の未然防止のために道路パトロールを直営でやられているものが、民間委託が進められております。退職者不補充方針を撤回いたしまして、こうした事業は直営で行うべきだと考えますので、このための検討も、要員を確保して対応されることも求めておきたいと思っております。
次に、被災をされた住宅の再建支援についてであります。
まず、京都府木造住宅耐震改修等事業についてです。
昨年6月の補正予算審議の知事総括質疑の場で、大阪府北部地震において被災をされた住宅の再建に迅速に対応するために要件を緩和されました。被害家屋数が3,433軒ありましたが、要件を緩和して補助をした実績は80件余ということですが、これをどのように評価をされているのか、まず伺います。
○西脇知事 耐震改修事業についてでございます。
自然災害からの住宅の復旧に当たりましては、被災の規模が大きい場合には被災者生活再建支援法によりまして支援金が給付されますが、大阪府北部地震では京都府内でも多数の被害が出たにもかかわらず、大部分が一部損壊であったため同法が適用されなかったことから、特例的に木造住宅耐震改修等事業を制度拡充し、被災住宅の復旧を支援してまいりました。
具体的には屋根の軽量化など、耐震性が向上する工事につきましては、これまで補助対象としている昭和56年5月以前に建築された住宅とあわせまして、罹災証明が発行された住宅は建築年にかかわらず補助対象に追加したものでございます。
今、御質問の中で御指摘がありました80戸は、特例とした昭和56年6月以降建築の住宅のみの戸数でございます。ここ数年は400戸から800戸で推移をしておりました簡易耐震改修の利用実績は、昨年度1,096戸となっておりまして、平成29年度と比べ332戸増加しております。
そのうち、特に被害が多かった八幡市では、これまで年数戸であった利用実績が114戸と大幅増となっており、増加分の多くは被災した住宅に利用されたものと推測されますことから、被災者支援として、事業は一定の役割を果たしたものと考えております。
○島田委員 御答弁をいただきました。
京都府木造住宅耐震改修等事業の特例について、要件緩和で八幡市など支援対象も広がって、これを活用された方から喜びの声も伺っております。ただし、先ほどの簡易改修、1,096件ですか、これは京都府事業に上乗せをして、市町村独自の支援も入ってやっと1,000件ということであります。
それから、既に国の被災者生活再建支援法を補完する制度としての京都府の地域再建被災者住宅等支援事業、これは半壊・一部損壊・床上浸水などにも適用されておりますが、これとて平成30年度では264件にとどまっておりまして、先ほども申し上げましたように、昨年1年だけでも17,000軒を超える家屋の被害があったわけで、繰り返される災害で被災者が支援を受けるための制度がまだまだ実情に応じていないという現状が残されているのではないかと思っております。
暮らしの再建、なりわいの再建の土台である住宅の再建支援制度のさらなる拡充に、被災者を誰一人見捨てない、その立場でお取り組みを強化していただくよう強く求めておきたいと思います。
それを検討するに当たりましては、先日、報道で大阪の摂津市が被災者に直接アンケートをとりまして、4割が家屋の修理ができず、その理由の半数が経済的な負担の問題だとの結果を発表されていまして、これを受けてさらなる検討をするという報道がございましたので、京都府としても、市町村と連携して、このような調査を行う必要があるのではないかと考えておりますが、御見解を伺います。
○西脇知事 島田委員の再質問にお答えをいたします。
住宅等の災害に対する支援制度につきましては、国の制度も含めて一貫していろんな事業の改善が行われてきております。その都度の災害の状況、被災者の状況に合わせてだと思っております。
今、御指摘のありました点につきましては、我々は常に制度をつくるときに当たりましては、被災者の方、また住民、各市町村の声をお聞きしておりますので、そうした中で十分に声を拾い上げていきたいと思っております。
○島田委員 ありがとうございます。被災者の声を十分お聞きをいただきまして、関係者と連携して、ぜひ調査も行いながら制度拡充にお取り組みをいただきたいと思っております。
被害を受けるのは住民です。何年たっても、何度要望してもなかなか進まない現状に業を煮やして、あげくの果てに、被害に遭っても住宅再建の制度にも乗らない。そこに今回のようなスーパー台風が襲えば一体どうなるのか、ひとたまりもないではないか。住民の皆さんに不安が広がっております。
ハード整備には限界などという答弁とか、いろいろな理由はもうだめです。課題を明確にして、現場の声に耳を傾け、取り組んでいただくことを強く求めておきます。
最後に要望にとどめますが、介護の必要なお年寄りや障害者も含めて、一時避難所の多くが学校の体育館になりますが、たび重なる災害を経験しながら、冷暖房設備もなく、プライバシーも守られず、情報収集にも困難を極めるなど旧態依然です。開会中の臨時国会で、武田防災担当大臣が、「災害救助法が適用された自治体に対し、簡易ベッド、間仕切り、簡易台所等の整備、適温食の提供や栄養バランス等の配慮、福祉避難所の設置と介護員の適正配置等々、取り組みを市町村に対して通知をしている」と答弁されました。
本府におきましても検証会議を行いまして、マニュアルなどもつくられたようでありますが、やはり国へ財政支援を求めていただかないと進めません。この必要な体制を確保しながら、市町村を支援して、避難所の環境改善に取り組まれることを強く求めておきます。
次に、公立・公的医療機関再編統合問題について伺います。
厚生労働省は9月26日、公立・公的医療機関の再編統合に向けた議論を促すとして、全国424の病院名を一方的に公表されました。これに対して、地方自治体から一斉に厳しい批判の声が上がっています。
京都府内で名指しをされた4病院のうち、私も働いておりました難病医療の拠点の宇多野病院や、舞鶴市民病院と連携して急性期医療とリハビリを提供する舞鶴赤十字病院、さらに24時間365日の在宅診療と急性期医療を担う市立福知山市民病院大江分院、そして国保京丹波町病院も365日時間外救急を受け付けるなど、いずれも地域住民の命、患者さんの命と健康を守るとりでとして、なくてはならない病院です。
そこで伺います。患者さんや地域住民、医療従事者に今、大きな不安と動揺が広がっておりますが、これに対する知事の認識と対応方針について再度お聞かせください。
地域や病院の実情を無視した画一的な基準での再検証を求めることは、そもそも許されません。本府として、国に対して再検証の撤回を求めるとともに、病床削減ありきの公立病院再編統合の押しつけをやめるよう国へ求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
もう一点、今回の対象となった1,455病院は、高度急性期、そして急性期病床がある病院や地域医療支援病院が対象となっているのはなぜでしょうか。国の狙いは、医療費の抑制のために病床を削減することであり、中でも急性期病床の削減にあると考えますが、いかがでしょう。
また、国は地域医療構想をてこに、都道府県にベッド削減の計画をつくらせ、2025年のベッド数を今より5万床も少ない119万床に削減する計画を進めておりますが、本府としてはどのようにお考えか伺います。
○西脇知事 公立病院再編統合問題についてでございます。
病院名の公表につきましては、先ほど石田委員に答弁しましたとおり、今回の公表は余りに唐突で、府民に誤解や不安を与えるもので、極めて遺憾であります。
京都府として直ちに国に抗議するとともに、国と地方の協議の場で、全国知事会の代表であります平井知事から「一方的な発表はすべきでない」「丁寧に協議しながら検討を進めるべき」といった意見を強く申し入れたところでございます。
国からは、公表方法に対する反省の意や、説明責任を果たしていく旨の意向が示され、10月17日の九州を皮切りに、国と地方との意見交換会が開催されており、あすには近畿地区を対象に開催される予定でございます。
今後、こうした機会を捉えまして、地域にふさわしい医療提供体制の維持・充実の観点から、改めて「地域における議論の結果を尊重するとともに、地方と十分に協議すべき」との意見を国に対し強く申し述べてまいりたいと考えております。
国が公表対象とした病院の選定についてでございますが、今回、高度急性期、急性期病床がある病院及び地域医療支援病院を対象とした理由については、厚生労働省から明確な説明はなく、十分なデータも示されておりません。
地域において十分な議論を行う観点からも、国の責任におきまして、病院の選定理由等の説明を行うとともに、速やかに十分なデータの提供を行うよう、全国知事会を通じて国に求めているところでございます。
また、地域医療構想についてでございますが、京都府におきましては、高齢化が進行する中、地域における医療及び介護の総合的な確保という観点から、独自にレセプト等による受診状況の分析や全病院に対するヒアリングなどを実施し、平成29年3月に「地域包括ケア構想」を策定したところでございます。
2025年に必要な病床数につきましては、地域の実情を踏まえた急性期から回復期等への病床機能の転換を検討する一方で、総病床数は現状を維持してまいりたいと考えているところでございます。
○島田委員 唐突な発表で誤解や不安を招くということでありますが、そもそも厚生労働省が分析したというデータは、診療実績が平成29年度6月の1ヶ月分の情報だけでありまして、「医療機関の一部のデータが欠落をしているが」とした上で発表されたものだと承知をしております。公表された病院の中には、既に統廃合でなくなった病院もあるなど、調査の方法も、分析の基準も、根拠も欠けるものでありましたので、説明ではなくて、これは撤回すべき代物だと思います。もう一度、明瞭にこの再検証の公表名そのものを撤回すべきと求めていただきたいと思います。
京都府の「地域包括ケア構想」は、確かに許可病床数は現状からふえる計画になっておりますが、急性期病床については回復期。人口高齢化に伴って必要な部分はありますが、しかし診療報酬上、お医者さんも看護師も少ない数で済むように急性期から慢性期に誘導するという施策が進んでおりますので、やっぱりこれは社会保障の抑制の一環なんです。
そうではなくて、あくまでも地域医療の実態に合わせて必要な急性期医療を切り捨てることのないように、あくまで現場の声をしっかり受けとめて、住民の命を守る立場で頑張っていただきたいと思いますが、再度御決意を伺います。
○西脇知事 島田委員の再質問にお答えいたします。
この発表は余りに唐突で遺憾だと申しておりますし、そもそも国のほうも、あくまで参考的なものだと言っていますので、まずはきちっと説明を求めるべきだと考えております。
地域医療提供体制の整備につきましては、地元関係者で構成をいたします地域医療構想調整会議におきまして、地元医療機関等の意見を十分に踏まえまして、地域の実情に合わせた提供体制の構築に努めてまいりたいと考えております。
○島田委員 医療費削減ありきでベッド削減をごり押しすれば、入院患者さんの追い出しや、医療難民を増大させるのは必至であります。政府に対しては毅然として対応していただき、必要な医師や看護師の確保等を行って、地域医療を守るために全力を挙げていただくことを強く要望して、最後の質問をいたします。
重度障害児(者)の医療的ケアについてです。
本府が平成30年度から重度障害児(者)在宅生活支援事業を廃止いたしました。この事業は、痰の吸引など医療的ケアが必要な重度の障害者が生きていくために、そして社会参加をしていくために大変重要な事業であります。
現在、府内の支援学校には、医療的ケアが必要な生徒が80余名在籍をされております。卒業後の生徒たちを受け入れる生活介護事業所に対して、京都府は看護師確保の人件費の補助を行ってこられましたが、これを打ち切ったのは本当に重大であります。
最終年度は1,900万円の予算を削られました。私も何度もこの問題を取り上げました。京都府が行った調査結果について、大きな影響はなしと結論づけられましたが、看護師確保の人件費という点では、いずれの施設もマイナスになっております。国に対して補助単価の引き上げや要件緩和を求めていただくこと、国費が不足する部分については本府独自の人件費補助制度の創設を要望されておりますが、これについてどうお答えになりますか、お聞かせください。
○西脇知事 医療的ケアが必要な重度障害児(者)への支援についてでございます。
京都府では、医療的ケアが必要な重度障害児(者)が、みずからの望む地域生活を営むことができるよう、日中活動の支援を行う事業所での受け入れを促すため、平成22年度から国に先駆けまして、看護職員の加配等の経費に対し補助してきたところでございます。
平成30年度の国の報酬改定におきまして、看護職員を複数配置した場合の加算措置や送迎加算の拡充など、重度障害児(者)を支える制度の充実がなされたことを踏まえまして、府独自制度は、医療的ケア児のショートステイの受け入れ施設の拡充など、利用者のニーズに応じた事業に組みかえました。
このため、報酬改定後の施設の影響を把握するため、施設との意見交換や実態調査を行い、障害者自立支援給付費等の収入に大きな影響がなかったことを確認しております。
本来、重度障害児(者)の受け入れのための看護職員の配置を行う事業所に対する支援制度は、国において対応されるべきところでございます。事業所全体に大きな影響はなかったものの、国の看護職員の配置加算は、重度障害児(者)の利用日数に応じて行われることとなっておりまして、看護職員の雇用実態を十分に反映していない面も見られますことから、当該配置加算の要件緩和や単価の見直し等につきまして、国に要望を行っているところでございます。
○島田委員 国に制度の改善の要望を出すということは、不備を認めたということでありまして、京都府が独自に緊急に支援をしていただきたい。
「必死で生きる我が子を安心して施設に通わせたい。」
子どもや親たちの願いに応えていただき、どの地域でも障害のある方が安心して暮らせるような体制整備を求めて質問を終わります。ありがとうございました。