◯島田敬子議員 日本共産党の島田敬子です。党府会議員団を代表して、質問をさせていただきます。
まず、医療・介護の問題です。
住みなれた地域で安心して暮らしたい、医療や介護をよくしてほしいという住民の皆さんの願いは切実です。ところが、現在の安倍政権が進めようとしていることはどうでしょう。75歳以上の窓口負担の2倍への引き上げ、70歳以上の高額療養費上限額の引き上げ、さらに、かかりつけ医以外の外来受診時は毎回100円から数百円を窓口負担に上乗せ、そして湿布薬、痛みどめ、漢方薬を公的保険から外すことも狙われています。4月から入院給食費が値上げになりましたが、これに加えて、水光熱費の徴収も検討されています。合わせて1日1,700円、1ヶ月5万1,000円もの負担になります。
昨年10月に開催された中丹地域医療構想調整会議の場では、現場から、「地域住民の経済力がじわじわ下がってきている。貧困が進み、医療費が払えず、医療にかかれない人が増えていると感じる。こうした事実を事実として受けとめることが必要」との声が出されました。
そこで伺います。こうした患者負担増は、受診抑制につながり重病化を招き、命さえ奪いかねない事態になると考えますが、これについて、知事はどのようにお考えでしょうか。国民の生存権を規定した憲法25条にも反する社会保障大改悪については、中止、撤回を求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。今、必要なことは、現在ある制度の十分な活用や、制度拡充へ力を尽くし、住民の命を守ることではないでしょうか。
3点、伺います。1つは、経済的困難で収入が低い場合、通常の3割負担が無料ないしは低額で診療を受けることができる無料低額診療制度の活用です。これを実施している病院は京都市内に35ヶ所と集中し、府北部では、丹後中央病院と綾部協立病院、まいづる協立診療所しかありませんので、これを増やすことが必要です。また、自治体病院での外来一部負担減免制度の拡充と制度の活用により窓口負担が軽減されるよう、京都府のイニシアチブの発揮が求められます。いかがでしょうか。
2つには、国民健康保険法第44条の規定に基づく一部負担金減免制度の活用です。この制度は、災害や事業の休廃止による所得の大幅な減少などの生活困窮者に対し、医療機会の確保の観点から行われるものですが、その活用は平成26年度、府内では128件、うち京都市が94件、八幡市が14件で、19市町村ではゼロで、ほとんど活用されていません。制度の周知徹底と積極的な活用が必要と考えますが、いかがですか。
3つには、老人医療助成制度の見直しを検討すべきことです。京都府は、国の医療改悪に連動し、今年4月から、老人医療助成制度、いわゆるマル老制度の窓口負担を1割から2割に増やし、対象も世帯全員が所得税非課税へと改悪し、寝たきり、単身者、高齢者のみなど、一番大変な世帯を一気に切り捨てました。これに対して、制度の維持・拡充を求める約2万筆を超える署名、陳情や請願が府議会に寄せられました。本制度をもとに戻し、対象年齢を74歳まで拡充をするお考えはありませんか。
次に、医療提供体制の整備、医師確保について伺います。
安倍政権は医療費の抑制のために、慢性期の患者を在宅へ移すことを中心に、病院のベッド数を削減する計画を都道府県に迫っています。現在、京都府においても、地域医療構想調整会議を開催し検討中です。府北部を初め、医師不足の地域でも、ベッド数削減が狙われていることは重大です。京都府におけるお医者さんの数は、平成14年から26年の間、府全体では1,226人も増えているのに、府北部では32人も減少しています。人口10万人対医師数は、丹後圏域で168.6人と京都・乙訓圏域の4割、中丹医療圏域では217.9人と同じく5割強という状況でございます。丹後の調整会議では、「癌や脳疾患等高度医療に対応できる医療機関が不足している」ことや「京丹後市では、開業医が10名で診るのはどうにもならない」という声が出され、中丹の調整会議では「中丹は医療が完結しているというが、実情はかなり苦労している」「医師が突然いなくなり、病棟が閉鎖になる。地域医療構想も重要だが、今の診療をしっかりやっていく体制がない」などの深刻な現状が出されております。
この間、北部医療センターからの医師の派遣が強化されましたものの、医師の数は逆に減少し、舞鶴では常勤の内科医が決定的に不足し、血液内科医師が不在になり、福知山では専門医が不足し、綾部、舞鶴、丹後各地で産婦人科医師の不足が続いております。特に重大なのは、未熟児や妊婦さんの命を救う拠点である、北部周産期医療センターの産婦人科医師が1人体制のままで、十分に機能していないことです。
そこで伺います。今、指摘した問題点を含め、これまでの取り組みをどう総括され、また今後の課題と対策についてどのように考えておられるのか、伺います。
京都府市長会、町村長会から、より実効性ある医師確保対策と取り組みのために、京都府において医師の人事権限を持ち、府内の医師配置の調整ができるようなシステムの確立や、府立医大病院が指導的、調整的な役割を担うことが必要と要望されています。平成23年度に設置された地域医療支援センターの取り組みを含め、真摯に検証し、医師確保と地域偏在解消へ強力に取り組んでいただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
また、住民はもとより市長会からは、北部医療センターの脳神経外科における府北部の高度医療の拠点としての救急受入体制の拡充及び精神科医療の入院病床の新設・充実について、たび重ねて要望が出されております。いかがでしょうか。
次に、介護問題です。
安倍政権は、医療・介護の一体改革の法律に基づき、昨年4月から、特別養護老人ホームの入所対象を原則要介護3以上に限定し、食費・居住費などの利用者負担を増やし、要支援1、2の訪問介護、通所介護を介護保険から外しました。さらに、要介護1・2の方の生活援助や福祉用具、住宅改修を介護保険から外し、利用料を1割から2割に引き上げ、介護施設入所の低所得者に対する食費・居住費補助を不動産を所有する場合は対象外にすることも検討しています。
これらに対して、認知症の人と家族の会や老人クラブ連合会からも「余りにも過酷で負担増になって、サービスを控えるなどの重大事態を招くものだ」「重度化が進んで、結局、介護離職を増やすことになる」などの批判が相次ぎ、8月31日には、認知症の人と家族の会が厚生労働省に対し、これらの制度改悪を実施しないよう要望書を提出されました。
そこで伺います。知事は、このような際限のない負担増とサービスの取り上げ、介護家族や当事者の悲痛な声をどのように受けとめておられるでしょうか。こうした改悪を行わないよう国へ求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
次に、要支援1・2の訪問介護と通所介護を介護保険から外し、市町村事業に移行することとなった、新総合事業についてです。京丹後市や綾部市などでは既に始まり、来年4月には全ての市町村での実施に向けて、検討が進められております。
新総合事業の最大の問題は、事業費に上限を設け、市町村の75歳以上の高齢人口の伸びしか認めず、介護専門職によるサービスから、無資格者による基準緩和サービス、NPOやボランテイア等のサービスへの移行を誘導していることです。現行サービスを継続する自治体がある一方、多くの自治体が、安上がりな基準緩和型サービスへの移行を検討しているとお聞きしております。介護専門職から安易な無資格者への置きかえは、介護の質を低下させ、利用者が不利益をこうむることになります。
6月定例会で知事は、「介護の質を落としてはいけない」「財源が削られることのないよう、国へ申し入れをしている」旨の答弁をされました。
そこで伺います。国に対して、新総合事業の上限設定をやめ、必要な費用を保障するよう求めるべきではありませんか。介護予防に力を注ぐことで重症化を防ぎ、介護費用を抑制することができます。この観点から、市町村の取り組みを評価し、国に対して必要な国庫負担を求めるとともに、京都府としても必要な支援を行うべきと考えます。また、チェックリストの活用によって窓口での介護認定申請を妨げたり、自立支援に名を借りたケアプランへの締めつけなどが起こらないよう、必要な助言や支援を行うべきと考えますが、いかがですか。以上、お答えください。
◯山田啓二知事 島田議員の御質問にお答えいたします。
社会保障制度改革についてでありますけれども、健康保険や年金、福祉制度などは、府民を守る大切なインフラ。まさに国民皆保険というのは、日本が世界に誇る制度として今あるわけですね。ただ、今、少子高齢化が急速に進展している。このままでいくと財源的にはとても追いつかなくなるという現状、これは国民の皆さんはみんな理解をし、心配をしている点だというふうに思っております。それだけに、いかに安定的な制度として、持続的に次世代に引き継ぐかが大きな課題であります。しかも、今回、消費税率の引き上げ延長に伴いまして、社会保障に充てるべき地方財源だけでも1.7兆円の不足が生じる。京都府においても、200億円を超える財源が来なくなるということになりますので、大きな不安材料になっております。来年以降の社会福祉のあり方にも大変大きな影を落としているのが現状でありまして、今の制度維持を何とかしなきゃいけないというのが、実は今、私たちの置かれている現状であります。
その中で、私も全国知事会長として国に対して、社会保障財源の確保を地方の福祉は待ったなしであるという観点から、繰り返しお願いしているところでありますし、この後の国と地方の協議の場でも、地方を代表して、しっかりとそうした安定的な財源確保の中で安定的な制度が維持できるように求めていきたいというふうに思っているところであります。
地方税の一つである固定資産税の無料低額診療事業ですけれども、これは地方税の1つである固定資産税の軽減等のインセンティブのある無料低額診療事業や自治体立病院における減免制度ということであります。ですので、設置者みずからが低所得者の皆さんに対して、医療費の自己負担を軽減するという形のものになっておりますので、これは地域医療における役割や経営見通しに基づいて、個々の医療機関の主体的な判断が基本になってまいります。京都府としても、こうした立場を踏まえながら、入院案内やホームページなどを通じ、相談窓口の周知を図るとともに、患者や家族からの相談に対しては、福祉制度の活用の助言等も含め、丁寧に対応するなどの努力をしているところでございます。
国保の一部負担金の減免につきましては、市町村との協議を経て、平成24年3月に京都府の基準を定め、災害時や病気・失業等により所得が減少した際にも受診できるように、市町村に周知徹底を求めてきており、平成27年度は112件の減免実績となっております。府としても、こうした中で国保が安定的に運営されなければいけませんので、そうした点についてきめ細やかな対応がなされるように求めますとともに、やはりこれはナショナルミニマムでありますから、最低、都道府県単位で国保を維持していくような体制をつくっていくことによって、安定的な制度にしていくことが必要だという観点から取り組みを進めているところでありますので、御理解をお願いしたいと思います。
老人医療助成制度の拡充につきましては、これは間違いなく全国トップなんですね。他の府県でここまで厚いところはないんですよ。それを、先ほど言いましたように、消費税増税の延期で大変財源も心配される中で必死になって維持してるということは、御理解いただきたいというふうに思っているところであります。ぜひともこうした財源問題とセットでお願いをしたい。
私どもは何としても、乏しい中でも財源を確保しながら安定的な行政をやりたいということで、これは申しわけなかったんですけれども、環境を守るということで森林環境税についてもお願いをしたんですけれども、共産党の議員の皆様には理解を得られなかった。やっぱりそうした中で、財源の問題もできるだけ提案をしていただき、「大企業から、大企業から」と言ってても、実際とれていないわけですから、武士は食わねど高楊枝では困るので、我々ももちろん内部留保が多いということに対しては、国に対しても申し上げていますしね。地域経済に対してもっときっちりやれという形で地方創生を引き出してきていますので、そうした点も御理解いただきたいなと思います。
次に、府北部地域の医療提供体制についてでありますけれども、地域医療の解決の課題は一生懸命やってまいりまして、御存じのように、舞鶴市域におきましても、病院をほとんど改築・修復をして、かなりこれはつぎ込みました。頑張ってきたというふうに思っております。そうした中で、北部における公的病院の常勤医につきましても、平成28年は285名と平成21年に比べまして20人増加させたんですよ。いろんなところを見ていただきたいと思うんですけれども、その点では、京都、頑張っていると思います。しかも、北部医療センターも、府立医大の附属病院とすることによって府立医大の協力をしっかりとつくり上げて、医師派遣回数は、附属病院化前は466回だったのを3,792回まで上げたんです。こういう形のところで、いろいろとまだ足りない点はあるのかもしれませんけれども、やっぱり一つ一つやっていかなきゃいけない。その点におきましては、私どもはこれから、地域医療のほうの卒業生も出てまいりますので、確実に医師をふやすことができるという見通しを立てて、その中で一つ一つ解決していかなきゃいけないなというふうに思っているところであります。日本全国で、医師不足の顕在化が指摘されていて、その中で、こうして人員の確保と柔軟な医師派遣の構築によって医療体制を維持しているという努力は、ちょっと見ていただけたらありがたいなと思います。
そのために医師派遣をって、お医者さんに対して人事権限を持っていないわけですから。共産主義みたいに全員が公務員だったらいいんですけれども、そうではないので、どうやって人事権限がないのにそちらのほうに派遣をするんですか。それは厳しいからこそ、医療機関と連携をして、京都府地域医療支援センターを全国に先駆けてつくって、その中で、先ほど申し上げたように医師を増員させていく。そして、14億円を超える医師確保対策事業を実施してきているわけですので、ここは御理解をいただきたいというふうに思います。また、先ほども申しましたように、いよいよ来年度、3名、府立医大の地域枠の卒業生が出てまいります。再来年度は5名、北部地域への配置も始まってまいりますので、確実に医師確保や地域偏在の解消に向けて取り組みを進めていきたいと思っております。
北部医療センターにつきましては、北部地域の救急医療機能や医師確保、地域医療支援を担うという形で行ってまいりましたけれども、脳血管系につきましては、限られた医療資源の中で、これは北部の市町村も話し合っていただき、舞鶴医療センターを北部の拠点として位置づけ、病病連携をする中で対応していくことで、今、行っているところであります。
そしてその上で、北部医療センターの脳神経外科につきましては、附属病院化に際して、医師を1名増員して4名体制にするなど体制を充実し、救急診療での脳血管疾患件数は平成27年度806件、附属病院化の前に比べて約6割増加するまで努力をしているということでございます。精神科病床につきましては、精神疾患に対する治療が入院から在宅・通院による治療にシフトしており、北部地域の精神科病床は減っているんですけれども、依然、基準病床数を上回る病床を確保しております。一方、在宅で重要となる精神科救急医療体制につきましては、舞鶴医療センターを中心に3病院の輪番体制で中丹以北全体をカバーしているところでありまして、北部医療センターとも十分連携しながら、必要な体制整備を図っているところであります。
次に、介護保険制度でありますけれども、どんどん介護の充実というのは必要だと思うんですけれども、一番問題なのは実は介護人材の不足でありまして、これは高齢化が進む中で、2013年から2025年までに82万人の人材確保が必要になってくる。人口が減り続けている中、高齢者が増えていく中で、この分野で一生懸命増やしていかなければならない。京都府だけでも約15,000人の人材確保が必要であります。そうなってまいりますと、現実問題としては介護ニーズに対応するために、介護を支える多様な人材を確保していかなければ、現実は対応できない事態が来るということも、我々はしっかりと見据えていかなければならないと思っております。
その上で、財源のほうの懸念もあるという状況でありますけれども、国においても経済対策等についてしっかりと手当てをしていくということで、我々も申し入れて、少しずつ改善をされているようでございます。私どもはこうした中で、地域の実情に応じたサービスの推進、介護人材の確保、軽度者への支援や利用者負担のあり方につきましては、皆様方の要望も踏まえながら、今、審議会のほうに知事会からも委員を出して、地方の意見を申し上げているところでありますし、これからも国に対しまして、介護の充実について意見を申し上げていきたいというふうに思っております。
また、京都府自身も、介護保険だけで毎年300億円を超える額を負担して頑張っている。その中で、財源の問題は非常に心配をしているんですけれども、そうはいっても後退することは許されないという現実がありますので、必死にやりくりをして頑張っていきたいというふうに思っているところであります。
介護予防・日常生活支援にかかわる新しい総合事業につきましては、これは高齢者の多様なニーズにきめ細かく対応するために、各市町村が地域の人材を有効に活用していく。それに応じて実情に応じた多様なサービスができる。例えば介護のほうの人をお助けするものとして、買い物代行とか掃除等の家事支援があるんですけれども、これは学校を出た専門の方よりも、長い間、地域において頑張り、家事を十分やってこられた方のほうが十分にできる場合もあると思うんですね。そうした多様な人たちにしっかりとこの制度の中でも活躍していただくという、そういうあり方というのは一つのあり方ではないかというふうに私は考えている次第であります。
新しい総合事業につきましての上限でありますけれども、事業の運営の結果として上限を超えた場合には、これは個別協議の仕組みも設けられておりますので、高齢化の進行やサービス資源の状況等が地域で異なっておりますので、市町村が地域のニーズに合った事業を確実に実施するためにも、必要な事業費がしっかりと交付されるよう、国に対して強く要望を行ってまいりたいと考えているところであります。
介護予防につきましては、これは非常に重要であるというふうに私も思っており、そのために、京都府もいろいろな取り組みを行っているところであります。京都式介護予防総合プログラムというのを府立医大の開発で、今、展開をしておりまして、こうしたものに取り組む市町村に対しましては、養成にかかる経費ですとか、府独自の総合交付金による支援など、介護予防のさらなる普及に全力を挙げて取り組んでいきたいと思います。
なお、チェックリストでありますけれども、これは迅速に地域支援事業のサービスにつなげるために、日常生活関連動作や運動機能を把握するためのチェックリストでありまして、それ自体が要介護認定申請を妨げるようなものではありません。市町村に対しましては、チェックリストのみの対応で終わるのではなくて、他の介護サービスを必要とされる方には要介護認定の申請を促して適切な対応を行うよう、市町村担当者会議等においても助言・指導を行っているところであります。
◯島田敬子議員 御答弁ありがとうございました。
私が最初にお聞きしたのは、医療も介護も、お金がないとサービスが受けられないような厳しい現状に対して心を寄せていただきたいとその認識を伺ったんですが、そこは答えずに、もっぱら財源論でありますね。御努力は認めますが、社会保障だけは目の敵にするという、これもおかしな話でございます。時間がありませんので、やはり先ほど提案した内容について、主体的な判断はもちろんありますが、一緒になって、連携して、絵に描いた餅にしないように頑張って取り組んでいただきたいというふうに思っております。
医師確保についてですが、医療センターで脳を治療してもらい、リハビリは綾部市に行かなければならない、高齢化の中で大変だと舞鶴市民の声が多数出ております。脳卒中や脳挫傷等は舞鶴医療センターが対応しているが、整形外科医がいないために、交通事故等の多発外傷に対応できない、これは中丹医療再生計画当初の課題でありましたが、現在も解決されておりません。機能分担と連携という計画そのものが、検証が必要だと思うんです。丹後も含めて重要な拠点ですから、ここにも整形外科医をきちっと配置するべきではないでしょうか。さらに、休日急病診療所の医師確保について、舞鶴市から医師派遣の要請があったものの、市町村の仕事だと京都府も府立医科大学も応えておられません。計画の当事者として、最後まで責任を果たすべきと考えます。指摘・要望をして、次の質問に移りたいと思います。
原発と住民避難計画について、質問いたします。
福島原発事故で、原発が抱える危険性と事故被害の深刻さが明らかとなり、原発安全神話は完全に崩壊しました。再稼働反対が国民多数の世論となってまいりました。司法の場でも画期的な判決が相次いでいます。2014年5月、福井地裁は、生存権を基礎とする人格権が奪われる可能性があると大飯原発の運転差し止めを命じました。本年3月には大津地裁が、福島第一原発事故の原因究明が道半ばであるとして、原因究明を徹底的に行うことが不可欠であり、避難計画をも視野に入れた幅広い規制基準が望まれるなどと指摘をしました。運転中の原発が初めて止められる事態となりました。政府と電力会社は、原発再稼働を断念すべきであります。
さて、住民の怒りが沸騰しているのは、高浜原発1・2号機、美浜原発3号機などの老朽原発の運転延長問題です。これについて知事は、8月23日に開催された地域協議会で、「疲労がたまる接続部などを実証して検査しないと、安全性はわからない。理論値と違う事態が起これば誰が責任をとるのか」「40年経過したものを動かす必要があるのか」と疑問を呈されたそうです。それならば、高浜原発1・2号機の再稼働は断念せよと迫るべきではありませんか。九州電力川内原発を抱える鹿児島県の三反園知事は、熊本地震後の県民の不安に応え、川内原発の停止を求めておられます。京都府知事としても、老朽原発を初めとする原発再稼働は認められないとの立場を明確にすべきです。いかがですか。
次に、避難計画についてです。8月27日には、高浜原発の過酷事故を想定した広域避難訓練が行われました。新聞各紙が、「実効性に疑問」「『渋滞』『人員』課題山積み」などと報じました。30km圏内の府内避難対象者は7市町で12万5,000人ですが、参加住民は5市町400人に限定でした。大地震による事故を想定しながら、家屋の倒壊、道路の損壊はほぼ想定せず、30キロ圏内は屋内退避、行楽シーズンを外し、移動はバスに限定されました。府道が土砂崩れで寸断されたことを想定して船で避難する訓練は、悪天候で中止になりました。訓練の目的は避難計画の実効性の検証でしたが、これで検証したと言えるでしょうか。
そこで伺います。訓練で明らかになった避難計画の問題点と課題は何か、実効性を上げるために、今後どのような対策をとられるのか、伺います。そもそも、新規制基準は住民の避難計画を審査の対象にしていないことが大問題です。こうした基準のもとでの再稼働と老朽原発再稼働延長に反対すべきと考えます。
私は地元の市会議員さんと一緒に、5km圏内とこれに準ずる松尾や野原など山間部の集落へ伺いました。住民の方からは、「避難路は1本しかなく、道路が寸断されて避難できるとは到底思えない。せめて、被曝の危険から住民を守るために、防護施設でもつくっていただきたい」とのことでした。関電や国に拠出を求め、防護施設の設置を検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。
また、安定ヨウ素剤の事前配布について、避難時集結場所の小・中学校や障害者施設などにあらかじめ分散備蓄し、住民への説明や問診表などを活用して緊急時の対応に備えるべきです。特に乳幼児と小・中・高校生については、学校健診等を活用し、服用できるかできないか、確認しておくことが必要と考えます。高浜原発から50kmに位置する兵庫県篠山市では、医師会の協力も得て、この1月から配布が始まっております。島根県でも、30キロ圏内の住民への事前配布を決定いたしました。京都府においても、少なくとも30km圏内の住民に対し、安定ヨウ素剤の事前配布をすべきと考えますが、いかがでしょうか。
次に、京都府が亀岡市に建設を計画している大規模球技専用スタジアムについてです。
当初、知事が決定した予定地では建設できなくなり、隣接地への変更が住民不在で進められていることは重大です。当初計画発表後、治水対策や国の天然記念物アユモドキの保全、水源である地下水の汚染対策、交通対策、財政負担など、地元・亀岡市議会でも大問題になっており、各界から懸念の声が上がり、我が党も繰り返しそれらの問題を指摘し、計画を見直すよう求めてきました。新しい予定地も基本的には同じ課題があり、事業の進め方に大きな問題があります。
第1に、予定地の決定過程です。2011年10月、亀岡市、京都市、城陽市、舞鶴市の4市と京丹波町が候補地として名乗りを上げましたが、2012年5月には、亀岡市、京都市、城陽市の3市に候補が絞り込まれ、用地調査委員会の検討の結果、同年11月、3候補地とも一長一短あり、課題があるとして、結論が見送られました。亀岡市については、遊水機能、防災対策、アユモドキ保全環境などの問題が指摘されておりました。ところが、同年12月26日の京都府議会全員協議会で突然、知事が「亀岡市に決定した」と発表いたしました。さまざまな課題や懸念の声に耳を貸さず決定した、知事の責任が問われているのではありませんか。
しかも、当初、候補地の条件は市町村が無償で提供することでした。亀岡市は用地費を14億円支出し、建設予定地の変更で、新たに用地買収に34億円かかるとして京都府へ要望され、これに京都府が応えて財政支援をするとしています。住民への新たな負担の問題とともに、候補地に手を挙げた他の自治体に対しても不公平、不公正であります。
第2に、変更されたJR亀岡駅北側用地も重大な問題があります。知事の用地決定から9ヶ月後の2013年9月16日、台風18号が襲来し、開発予定地を含む282ヘクタールが水没し、亀岡駅ホーム、線路にも濁流が流れ、線路南側の住宅街を中心に366戸が床上・床下浸水被害を受けました。亀岡盆地は水害との闘いの歴史があります。当地は浸水常襲地です。元京都大学防災研究所所長で、淀川河川整備計画の委員長も歴任された今本博建京都大学名誉教授は、
「計画地を変更しても、どちらも川の中。桂川改修計画はつくられたが実現の目途は立っていない。今後も河川の氾濫が予想される遊水地を埋め立てれば、洪水調整機能も低下する。遊水地開発に行政が突破口をつくることは問題だ。ばかげた計画」
とまで、厳しく批判をされました。日本魚類学会など56の環境保護団体からも、関連工事によるアユモドキへの影響を慎重に考慮し、生息地に深刻な影響を及ぼさないよう、環境影響調査を厳密に行うよう、国へ意見書を提出されました。こうした厳しい指摘があるのに、十分な検証がなされていないのではありませんか。
第3に、こうした経過や計画変更について、知事は、議会にも住民にも説明をされていないことです。154億円の建設費について、「本体建設工事の見直しで安くなる。全体の予算フレームはそのままいく」ということですが、新しい用地で、設計も変更するのですから、その積算根拠については、本来、議会と住民に説明するのは当然です。以上のことから、計画は一旦白紙に戻し、一から検討すべきです。いかがですか、お答えください。
◯山田啓二知事 まず、原発の問題についてでありますけれども、京都府といたしましては、これまでから国に対し再三、原発の安全性の確保などを求めてきておりまして、特に高浜1・2号機など40年を超過した施設については、これは原則廃炉にすべきであり、そして国において責任を持って慎重に対応すべきだということを求めてきております。こうした中で、本年6月に、原子力規制委員会が高浜1・2号機の運転期間延長を認可しましたので、すぐに高浜発電所に係る地域協議会を開催し、運転期間延長の審査内容や安全対策について、原子力規制庁や関西電力から直接説明を受けました。しかしながら、まだ納得できるという状況ではありませんので、UPZ(Urgent Protective action planning Zone:緊急防護措置を準備する区域・原子力施設から概ね半径30km圏内)圏内の市町村長や京都府の原子力防災専門委員の意見を取りまとめ、文書による質問を行っているところであります。
原発には賛否両論があるんですけれども、私は、こうした積み上げ、積み重ねというものをきちっとやっていかないと、いかなるものも納得は得られないのではないかなと思っております。鹿児島県の知事も申し入れたんですけれども、すぐ拒否されて終わってしまっているという現状ですので、そういった点ではやっぱり、国民の安心・安全を第一に地域協議会を通じて、これからも説明と慎重な対応を強く求めていきたいという中で、我々としての対応をしていかなきゃならないと思っております。
次に、原子力防災訓練の課題等についてでありますけれども、昨日、小原議員にも御答弁しましたとおり、今回の訓練では、全体としてはそれなりにできたと思うんですけれども、初めての訓練でありますから、やはり複数の避難手段の確保ですとか、避難退域時のスクリーニング検査、こうした体制などさらに丁寧に対応すべき課題が生じているというふうに思っております。これは、これから国のほうも検証して、それを避難計画に盛り込んでいくという話になっておりますけれども、私どもも、国及び関係市町村とも連携して、さらに多様な避難手段の確保でありますとか、そうした説明の徹底ですとかこうしたことに取り組んで、避難計画をよりよいものにしていきたいと思っております。
新規制基準についてでありますけれども、国は、基準に適合している原発については閣議決定で再稼働を進めているわけであり、避難計画につきましても、原子力防災会議で承認されています。私どもは全国知事会の提言を行い、こうした中での避難計画の具体化、充実化に向けてやっていくということに対して、政府もそれを受けて頑張るというふうには答えてくれています。ただ、私はやはり、こうした全体の流れがきちっと地元、私どもは地元と思っておりますけれども、そうした都道府県、そして舞鶴市を初め関係市町村もシステムとして、制度として担保されていかなければ、本当の意味での理解はあり得ないという立場ですから、その中で法的整備を含めて、国が責任を持って取り組みを進めるよう、今、強く求めているところであります。
次に、PAZ圏の住民の避難につきましては、ここは全面緊急事態で即時避難となっているんですけれども、孤立した場合には、ヘリ、船、そして道路もいち早く開いていく、こうした多様な手段をしっかりと講じていく。そして、道路自身についても、今、国に対しても強く求めておりますけれども、避難道路の整備というところをお願いしていく中で、安全を確保していかなきゃならないと思っております。
放射線の防護施設の整備なんですけれども、舞鶴市では、全額、国の補助で整備した高齢者や障害者施設、公民館など5施設をPAZ(Precautionary Action Zone:予防的防護措置を準備する区域・原子力施設から概ね半径5km圏内)圏住民の退避施設としても活用するとされています。これは普通、PAZ圏の場合にはなぜそうした施設に避難するかというと、最初にどっと出たときのプルームをやり過ごすために、そういう施設に避難をするというのがUPZ圏内の避難のあり方であります。PAZ圏はやり過ごしがないので、とにかく早く避難しなければならないという前提があるということは御理解いただきたい。ですから、舞鶴市も、PAZ圏までまず防護施設を利用していくんだという形をとっていると思います。その中で、やっぱり地元の住民の皆さんの意思も、また舞鶴市の意思も確認をしていかなければなりませんけれども、どういうものなのかを確認して、その中でどういうことができるのかというのは協議を進めていきたいというふうに考えているところであります。
それから、安定ヨウ素剤の備蓄と配布でありますけれども、備蓄場所や配布、ここのところは市町村がやられますので、我々は技術的な支援ですとか、いろいろな面でこのあたりを支援してほしいという具体的な話があれば、当然対応していくことになりますけれども、一番地域の実情をしっかりと把握されている市町村というものをまず大切にしなきゃいけない。ここができないとか、ここが難しいという話になったときに、我々がやっぱり出ていく形になろうかなというふうに思っております。
この中で、舞鶴市では大浦小学校を避難時集結場所として、安定ヨウ素剤の備蓄場所である保健センターからの搬送訓練ですとか、事前に配布した簡易問診票を用いた安定ヨウ素剤の配布訓練が実施されております。こうした訓練を通じまして、各市町村では、分散備蓄も含めた備蓄場所の見直しですとか、また服用直前の薬剤アレルギーの有無の確認など、服用までの手順の検討が進められているところであります。これはやっぱり誤飲ですとか、紛失リスクがあるとか、歳によってアレルギーの状態も変わってまいります。そうしたことを総合的に考慮しなきゃいけないので、一概に事前配布が全ていいということではないんだというふうに思っております。こうした点も含めて、関係市町村の御意見も聞きながら、私としましては、よりよい方向というものを探っていきたいと思っているところであります。
京都スタジアムについてでありますけれども、多分議会においても委員会等で説明をしてるというふうに思うんですね。ですから、議会のほうにおいても設計費も認めていただいた。また、亀岡市議会も、別に反対議決をされてはいないんですよね。亀岡市議会としてはオーケーを出されているということは、一番議会が住民の代表ですから、その点で、今の島田議員のお話というのは、議会軽視ではないかなと僕は思います。
私どもは今まで、物すごく丁寧にやっています。つまり、京都府におけるスポーツ施設のあり方懇話会を立ち上げて、どういうスポーツ施設が必要か、その中で、スタジアム整備を要望する48万人の皆さんの署名を受けて、じゃあ、スタジアムをつくろうじゃないかと。しかし、京都府が一方的に判断をするのではなくて、市町村の皆さんとの協力のもとにやろうということで公募をさせていただいて、御指摘のように公募が出てきて、今度は専用球技場用地調査委員会が設置されました。そして、選定を進めたんですけれども、最終的に結論は京都府に預けますよと。ただ、点数が一番高かったのは亀岡なんですよ。それは見ていただくとわかると思います。そうした中で私は最終的に判断を、これは最終責任者ですから、ここで判断をしなかったら一体誰が判断するんですか。これは私の判断でそこでやると。ただ、それにおいても、できる限り住民説明や議会の皆さんに対する説明をするために、さらに環境保全専門家会議を設けて、ここでしっかりと実証実験を重ねて、それを公開していっているわけですよ。これほど丁寧に公共事業をやった例というのがほかにあるなら、ぜひとも教えていただきたいと思うんです。
そうした中で、同会議の座長提言が出されたわけです。こっちのほうがいいよと。そうなってくると私どもも、一回決めたからといってそれに固執するなんてことはせずに、専門家の意見を聞いてやってきて、そしてそれをやる場合にも、今度は亀岡の地元の理解を得なきゃいけないので、地元の住民説明を行って自治会等の理解や協力を得て、土地区画事業組合の皆さんからも、じゃあ、それなら土地を出しましょうという協力を得ている。これだけ住民説明、住民理解を得て、そして今度は亀岡市議会のほうでそれをどうするか判断をされる。私どもで決められるわけではないんですよ。そういう形を積み重ねて初めて、このスタジアムができるわけでありますので、どこが一方的で、どこがまた亀岡市を無視してるのか、そこは御指摘いただきたいと思うんですけれども。ある面でいきますと、これほど丁寧にやって、専門家を入れて、そしてその中で提言が出ればそれを踏まえた形で行動していくという点では、これからの公共事業のモデル的なケースだというふうに私は考えております。その中で早期にスタジアムの実施をしていきたいと思います。
そして、スタジアム建設地の治水対策でありますけれども、これは河川の改修事業の進捗によりきちっと治水安全度の確保が図られた中で、都市計画決定の手続を経て市街化区域に編入されて、もう盛り土もされている土地のところに建てるわけですから。これからやるわけではないですよ。全て、もう盛り土もされてるんですよ。そういうところにやっていくわけであります。そして、それについては、しっかりと治水の専門家も入れてやってきているわけでありますので、標高90.5m以上の造成で計画されていますから、この高さでは、整備済みの駅前道路は、平成25年の台風18号の出水でも浸水していない状況であります。安全とかそういうものをやっていきますと、日本の場合には、がけ崩れもない、津波もない、そして洪水の被害もないところって、浸水想定区域図を見ていただくとわかると思うのですが、ほとんどないんですよ。その中でどこで折り合うかという判断をやって、それはきちっとした手続を経て今回も行っていることは御理解いただきたいと思います。
アユモドキの保全対策につきましては、今回の決定は、今までにないナショナルミニマム的、ナショナルトラスト的な観点からしっかりした対策ができるようになりましたので、ここは専門家会議の皆さんも非常に評価をされているところでありますけれども、さらに地下水の問題等を専門家会議の意見も聞きながら、私どもはこれまでの取り組みを進めていきたいと考えているところであります。
◯島田敬子議員 まず、原発再稼働問題です。
高浜1号機は、若狭原発の中でも最も危険と言われ、2号機は今日のニュースにもありましたように、原子炉圧力容器の強度不足が疑われております。美浜原発は2004年、11人の死傷者を出した原発です。この原発を動かされたら、自分たちは見殺しにされた思いだと松尾の方がおっしゃっておりました。
もう一度、明確にお答えください。老朽原発の延長は認めるのか、認めないのか、先ほど40年超えは反対だとおっしゃったので、再度、ちょっとここは伺いたい。大事なところなんです。
それから、スタジアム問題についてですが、台風18号が襲来したとき、迫りくる水に胸までつかって、おばあさんを逃がし、子どもを避難させたり、妊娠中のお母さんが小さいお子さんを抱えて一晩中、恐怖の一夜を過ごされたことを御存じでしょうか。大雨警報のたびに不安からひきつけを起こす子どもが出てきまして、おうちを引っ越さはった、そんな人もいはるんです。
洪水調整機能という点では、スタジアムだけが安全になっても、新名神高速道路の公共残土まで搬入をして盛り土をしているわけで、これは絶対に危険ですよ。ですから、本当にこれで治水対策は万全だと責任が持てるのかどうかということです。そして、現に住民の理解が得られていません。2つの裁判が闘われておりますので、この点を指摘しているわけです。再度お答えください。
そして、今も答弁がありましたように、地下水保全対策、アユモドキ対策も時間がかかると場所を移されましたけれども、変更地も同じ課題があると指摘をしておりますので、現に検証が行われていないということをくしくも今、答弁をされました。もう一度、明確にお答えください。
◯山田啓二知事 まず、原発でありますけれども、40年について原則廃炉というのは、国の方針のはずであります。それを変えるには、きちっとした理由がなければならない。そうした点を私は今、国に対し、また関西電力に対して、強くただしているところでありますので、そうした説明をしっかりと受けとめて対応していくという、私はあくまで慎重な対応を今、求めているところであります。
すごい情緒的な質問になってしまっているんですけれども、新名神の残土をなぜ入れたかと申しますと、あれ以上、掘れないんですよ。掘ったら嵐山のほうが溢れてしまうので。だから、河川を掘って実は盛り土をしている部分があって、その部分では河川の治水度を上げながら、あのスタジアムの建設にいってるんですよ。これ以上やったら、今度は京都市内のほうが危なくなってしまうというぎりぎりまでやってるんですよ。そして、その中で都市計画決定もされているんです。河川だから中が危ないとか言ってしまったら、河川なんか何にもできないじゃないですか。そしたら、これから亀岡の発展はどうするんですか。そういう点について、ちょっとあまりにも、お子さんをお持ちの方とかそういう方の不安を煽る形でですね、私もいろいろなところの洪水被害に対してはすぐに行ってやっております。ただ、現実においては、ハードでできる部分、ソフトでできる部分、限界があるんですね。そうした中で、ハードでできる部分はここまでですよ、そしてソフトでこういうことをお願いしますという中でやっているわけでありまして、そうしなければ、この日本は、一切住むところもなくなってしまいますよ。そういう現状において、我々は安心条例をつくって、ソフトとハードの全体でやっているわけですから、もう少し理論的な形で、例えばこれだけ治水度が下がったじゃないか、何パーセント下がったなら何パーセント下がったということを言っていただきたい。河川改修によって治水度は上がっているわけですから、それを確認してやってますんで、治水度が下がったとおっしゃるならば、その根拠を示しておっしゃるべきではないでしょうか。
そうした中で、私どもはさらに丁寧を期すと。丁寧に丁寧を期しているから、これからやっていく最中でも、常に環境保全専門家の意見を聞いてやっていく。そして、そのときには、決めなければ聞くこともできないじゃないですか。そうした点できちっと決定をし、ただし我々は、よりよい方向があれば常に改善をしていきますよということを申し上げながら公共事業をやってるということは、御理解いただきたいというふうに思います。
◯島田敬子議員 原発の問題ですが、鹿児島県知事が要請して拒否されたとおっしゃいましたが、引っ込まないで、今日も所信表明で、県民の安全・安心を守るのは知事の責任だとしっかり明確にされております。滋賀県も、琵琶湖をお預かりする地域の知事として容認できないと述べておられます。はっきりと老朽原発の延長に、再稼働に反対とその立場を明確にして、最後まで頑張っていただきたいと要望しておきたいと思います。
スタジアム問題についてですが、情緒的だとおっしゃいましたが、現実に起こっていることなんです。河川改修が行われて治水度が上がったのでということで、かさ上げをしないでつくった住宅が、今回、浸水しているんです。危ない、危ないと言われて嵩上げした住宅の横にかさ上げをしないで住宅をつくった、そこが浸水しているんですよ。だから、安全だと言われても住民は納得ができないんです。
先ほど、京都大学名誉教授の今本先生のお話も紹介しました。環境の専門家からもたくさん指摘がございますので、白紙から見直して、子どもたちに希望や夢を育むスポーツ施設がこんな形で進められてはなりません。何が何でも建設ありきはやめて、見直していただきたい、住民の声を聞いていただきたいと指摘・要望をしておきたいと思います。
最後に、高校問題でございます。口丹以北の府立高校の再編・統廃合について質問いたします。
府教育委員会は、生徒減少を理由として、宮津高校と加悦谷高校、網野高校と久美浜高校を統合し学舎制とすること、伊根分校と間人分校をなくして弥栄分校に統合し、京都フレックス学園構想に基づく昼間二部制、定時制高校の新設を提案されました。5会場で説明会が行われました。私も参加してまいりました。290名の参加で保護者はわずかに76名、丹後通学圏の小中学生は7,272名ですから1.1%。保護者からは、「子どもがたまたま持ち帰った案内を見て参加した」「地域の行事と日程が重なって行けなかった」「中学校区単位での公聴会を開催してほしい」との要望が出されております。
公聴会では、この学舎制、キャンパス化について疑問や否定的意見が相次ぎました。保護者からは、「定員が減れば地元の高校に行けなくなる。遠くの高校に行くことに不安がある」「卒業式に出られなかったり、インターネットに頼らなければならない授業なんてデメリットとしか言いようがない」の声がありました。部活動については、宮津高校と加悦谷高校は約13km、網野高校と久美浜高校は20kmも離れています。「現状でも部活が終われば帰りの交通がなく、親が車で迎えに行っている。キャンパス間の移動をどう考えているのか」「網野と峰山、久美浜と峰山の方が距離的には合理的ではないか」との質問がありましたが、まともな答弁がありませんでした。
キャンパス化の理由については、学校が小規模化すれば、学校行事や生徒会活動の活力が失われる、この断定的な説明に対しては、「弥栄分校では、小規模校だが生徒会活動も部活動も活発に行われて、生徒が生き生きと学び、中学校で課題があった子も1学期、全員が高校に登校している。なぜ小規模校か、調査をしたのか」との問いに、「具体的な調査をしていない」と根拠を示すことができませんでした。何より、生徒や保護者にとって一番関心が高い、再編後の学科編成、教育内容、生徒の願いがどう実現し、地域の高校の役割はどうなるのか、具体的な説明が最後までありませんでした。7月14日には京丹後市議会が、地域住民の声をしっかり聞くことや丁寧な説明を求める意見書を全会一致で可決して、府教育委員会にも届けられました。
府教育委員会は、高校再編先にありきのやり方をやめて、中学校単位で少なくとも説明会を開催するなど、生徒、保護者、地域住民の要望や意見に耳を傾けるべきと考えます。「小・中学校の統廃合で地域が寂れてしまった」「子どもが減るから統廃合ではなく、きめ細かな教育をしてほしい」「どの高校にも普通科を残してほしい」「生徒減少をチャンスに変えて、30人学級など少人数教育を充実するために教育条件整備をしてほしい」、この熱い要望が出されております。小さくても、子どもたちが輝く学校づくりを支援することこそ、府教育委員会の責務であると考えます。御答弁をお願いいたします。
◯小田垣勉 教育長 島田議員の御質問にお答えいたします。
生徒減少期における府北部地域の府立高校のあり方の検討についてでございますが、地域の将来を担う人材育成のための魅力ある高校づくりに向け、これまで検討を進めてきたところであり、7月に丹後地域5ヶ所で公聴会を開催したところでございます。
昨日、尾形議員にお答えいたしましたとおり、保護者の方の参加が少なかったことから、小・中学校の全保護者対象のアンケート調査を実施するとともに、改めて保護者のみを対象とした懇談会を丹後地域5ヶ所で開催することといたしております。公聴会やアンケート、懇談会での御意見、今後の議論等を踏まえながら、さらに検討を進めてまいりたいと考えております。
また、丹後地域におきまして、生徒数が大幅に減少していく中で高校教育の質を維持・向上させていくためには、一定の学校規模を確保し、学校全体の規模が小さくなることにより生じます、さまざまな課題をできる限り解消する必要がございます。そのため、学舎制を導入いたしまして、今ある高校をそれぞれ学舎として活用する中で、各学舎間で教育課程の連携を図り、教員が移動して両方の学舎で指導するなど、生徒の進路希望に応じました授業選択の幅を広げるとともに、合同で学校行事や部活動を行うなど、学舎間で教員や生徒が一体感を持って取り組むことにより、教育環境の充実を目指してまいりたいと考えております。
◯島田敬子議員 アンケートは実施中で、16日に締め切って、17日から保護者説明会を行うそうですが、なぜ、保護者のみなのか、非公開なのか、地域や教職員を排除するのか、その理由について端的にお答えください。
◯小田垣勉 教育長 先ほども申し上げましたように、保護者の御意見をできるだけ丁寧にお聞きするために、より聞きやすい形をとらせていただきました。以上でございます。
◯島田敬子議員 高校は地域の宝でございます。ぜひ公開にして、高校生自身にもお聞きになって、地域や教職員の声、保護者の声をしっかり聞いて、丁寧に議論を進めていただきたいと思います。
最後になりましたが、医療、介護、原発、スタジアム、高校統廃合など、どれも子どもたち、孫たちがこの地域に安心して住み続けることができるのかどうか、ふるさと、地域の未来にかかわる大問題です。地方自治体は、住民の福祉の向上を第一にすることが役割と法律にも明記されています。効率化優先で、過疎・高齢化の地域を切り捨てるのではなく、しっかりと市町村も住民も支えていく京都府政になるよう、強く求めて質問を終わります。御清聴ありがとうございました。