◯島田敬子議員 日本共産党の島田敬子です。さきに通告しております数点について、知事並びに関係理事者に質問いたします。
今日は、京都府内でどこに住んでいても子どもを安心して産み育てることができることを願って質問をいたします。
まず、周産期医療体制の充実について伺います。
1994年9月、京都市内の病院で生まれた双子の超未熟児の赤ちゃんが京都府内の未熟児集中治療室、いわゆるNICUで受け入れてもらえず、5時間もかけて大阪の病院に運ばれる途中、救急車で亡くなる悲しい事件が起こりました。当時、京都府における周産期医療体制の整備が重要、緊急課題となり、本議会でも議論が重ねられました。その後、第一日赤にNICU 6床とする総合周産期母子医療センター整備計画が発表されました。1996年7月定例会で私は、総合周産期医療センターとしての機能・役割を十分果たせるよう、計画病床の拡充や二次医療圏域ごとの地域周産期医療センターの整備、新生児ドクターカーの配備や民間医療機関の支援とともに国公立病院での体制整備、救急情報システムの改善等を提案させていただいたのです。北部地域では、1982年に旧国立舞鶴病院に母子医療センターが開設されておりましたが、1997年11月に京都府周産期医療サブセンターとして指定、2003年にはNICU 6床が開設されました。そして、現在の体制となっております。
そこで伺います。
周産期死亡数は当時180人、死亡率は人口1,000人当たり7.7人であったものが、2015年には86人、死亡率4.4人と改善はされました。年度によって変動がありますが、いまだ周産期死亡は80人前後あり、また低体重児が増えている現状にあります。この現状と課題をどのように認識されているのか、まず伺います。
この間、京都府周産期医療協議会部会で集中的な議論が行われまして、周産期医療受入体制の充実・強化等が進められていると承知をしております。今、どの医療機関も産科医師や小児科医師の不足が顕著となり、周産期医療の現場は医師や助産師等、スタッフの献身的努力でぎりぎりのところで支えられているのが現状です。
先日、第一日赤総合周産期母子医療センターに伺いました。現在、未熟児集中治療室(NICU)が9床、新生児特定集中治療室(GCU)18床、産科専用病床25床、母体胎児集中治療室(MFICU)6床を運用されております。周産期医療情報システム端末と電話による患者受け入れ調整等、24時間体制で医師や助産師が行うとともに、緊急手術をこなしながら当直が月に6回から7回、そのほかの日もオンコール体制に応じるなど、大変な激務をこなしておられます。それでもハイリスクの妊婦の受け入れについて半数を断らざるを得ない状況にあると伺いました。「現場は疲弊をしてきている」「あと数名の医師が欲しい」と痛切なお声でございました。
そこで伺います。
京都府唯一の第一日赤総合母子周産期医療センターがハイリスクの妊産婦を十分受け入れることができるように、特に医師確保に対する支援が必要と考えますが、いかがでしょうか。
また、NICUは大変手狭になっております。機器類が所狭しとフロアを占領し、感染症の疑われる未熟児を隔離するお部屋がとれない状況にあり、プライバシーを守る点からも改善が必要とお聞きいたしました。周産期医療確保の点から、本府としても支援が必要と考えました。いかがでしょうか。
また、京都医療センターでも産科医師がピーク時から4人も減少するなど、府内各地で周産期医療に携わる医師不足の厳しい現実が広がっております。この現状について、どのように認識をされておりますか。
また、日本産婦人科医会は産婦人科医師数が本年1月には昨年比で22人減少するなど危機的現状だと発表をされております。周産期センターの就労環境向上と地域医療供給体制の改善のために、医師の養成や増員等、対策の強化を国に要請するとともに、本府においても人材確保と養成の取り組みを京都大学医学部にも強力に要請する等、本格的な対策を検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。
次に、北部周産期サブセンターである舞鶴医療センターについてです。当センターは綾部、福知山以北で唯一、診療報酬上に規定するNICU 6床を有する施設で、GCUを含む新生児病床が17床、2014年夏には周産期専用ドクターカーが配備をされ、人工呼吸器管理が必要な赤ちゃんの安定的受け入れができ、さらに仮死状態の赤ちゃんの脳低体温療法ができる北部地域の唯一の施設となっております。しかしながら2006年度から産婦人科常勤医師が不在となり、母体搬送の受け入れや医師分娩を休止、その後、常勤医師2名となり、徐々に母体搬送受け入れ、緊急帝王切開等にも対応されましたものの、現在は1名となったままでございます。この10年間、舞鶴医療センターと舞鶴共済病院の産科、新生児科の密接な連携のもと、母・子の命を支えていただいております。両病院は車で10分で移動できますが、その10分が周産期では大きな壁となっております。医療センターから共済病院へ医師が出向き、母体搬送を予定していたものの分娩の急速な進行によって母体搬送できずに出生をし、寒い春先の真夜中に新生児搬送をせざるを得なかった超低体重児症例や母体搬送をしようと救急車に乗せたら出産に至ってしまった極低出生体重児症例など、極めてリスクの高いケースが生じており、綱渡りの現状でございます。そして、これらは母親、保護者の大きな不安となっています。
舞鶴医療センター医師が府北部の医療機関及び母体搬送、あるいは新生児搬送を複数回経験した保護者へアンケート調査を実施されました。その中で保護者のほぼ全員が、病院を転々と移動しなくて済むようにと願っておられます。アンケートの自由記述欄では、
「医師の適切な判断により十分な処置をしてくださった」
「出産後、母子別々で寂しく不安もありましたが、安心してお任せできる病院でしたので本当によかった」
と感謝の声がある一方、
「京都府立に搬送となり、本当に心配だった」
「知らない病院に行くこと、医師や看護師がかわること、2時間近くも救急車に乗って大丈夫なのか」
などなど。
「産後1ヶ月間たっていないので体調がすぐれない中、2日に1回京都に電車やタクシーで通ってとても疲れた。でも早産になったのは自分のせいだと泣きながら通った。精神的にも体力的にも本当にきつかった」
「府立でNICUに車椅子で産後のお母さんが会いに来ていたのを見て、とても羨ましかった」
との声が切々と記載をされております。北部の医療機関から府立医大に運ばれたあるお母さんは出産後、NICUに赤ちゃんを一人残して帰ってこられましたが、その子、1時間2時間かけて可能な限り母乳を届けに行ったけれども、とうとう母乳が出なくなったそうです。助産師さんからは、産後の母子の接触、スキンシップが一番大事な時期に母子分離となると、スタッフがどんなに援助をしてもそのうちに母親の意欲がなくなってしまい、我が子を愛せず育児放棄や児童虐待につながっていくケースが多々あるとのお話をお伺いしました。正常なお産でさえ産後鬱などが問題になっているのに、母体にリスクがあり、未熟児の出産で大きな不安を抱え、産後は母子分離をしなければならない現状を一刻も早く改善されなければなりません。調査では、産科施設から母体搬送・新生児搬送は、搬送先の決定、人手、事務的手間、時間が大きな障害となっており、母体搬送、新生児搬送とともに1ヶ所で受け入れられる施設を確保すべきという声が関係者から強く出されております。
そこで伺います。舞鶴医療センターが京都府北部の周産期サブセンターとしての機能を十分果たせるよう、医師確保を緊急課題に位置づけて、知事も全力を挙げて支援すべきと考えますが、いかがでしょうか。お答えください。
◯山田啓二知事 島田議員の御質問にお答えいたします。
周産期医療体制の充実についてでありますけれども、平成9年に第一日赤に設置した総合周産期母子医療センターを中心に、北部、南部2ヶ所のサブセンターと二次医療圏ごとに、少なくとも1ヶ所以上、16の病院を周産期医療2次病院として指定し、地域の診療所も含めた総合的なネットワークを構築し、各病院の空き床状況など、受け入れ体制に関する最新の情報を共有しながら円滑な医療提供を図ってまいりました。
こうした取り組みによりまして、救急搬送先が見つからず、いわゆるたらい回しになってしまうという事例は発生しておらず、その中で、周産期の死亡は御指摘のように80人前後ということになっておりますけれども、これは昭和50年のときの670人ぐらいと比べると格段に減ったということと、私が就任した平成10年が120〜130人前後ですから、それから見ても、かなりの減となっているところであります。
ただ一方で、近年、御指摘にありましたように、減少はちょっと鈍ってきているということがございまして、その要因といたしましては、ハイリスクの分娩、新生児というものが非常に増えてきている。特に周産期医療機関に搬送される理由の中の3割を占めております低出生体重児の割合は、ここのところ、20年余りで倍増するぐらいの形になってきております。そして、その要因といたしましては、35歳以上のいわゆる高齢出産が、この10年間で約17%から30%にまでなってきているといったような大きな社会的な変化が挙げられると思っております。
こうしたハイリスク患者の急増によりまして、第一日赤や大学病院などの高度周産期医療機関のNICUの稼働状況が今、9割を超えている状況があります。こうした厳しい状況に対応していくためにも、まさに環境の整備と医師確保が重要になってきております。その中におきまして、医師確保につきましては、これは全国的にも大変厳しい状況があるんですけれども、京都府といたしましては、地域医療確保奨学金貸与制度に特別加算制度を創設する。また、臨床研修では、一般プログラムとは別枠の産科・周産期の重点プログラムを実施しておりますし、分娩及びNICU新生児を担当する医師への加算手当や産科・小児科専攻医の研修手当に対する支援制度を創設するなど、さまざまな対策を講じているところであります。産婦人科の場合には、医師に対して非常に加重なものがかかってきている。私はあの裁判は非常におかしかったと思うんですけれども、福島で産婦人科医が有罪に問われるような判例があったり、また24時間休みない緊張を強いられるなどの問題があって、なり手がなかなかないという現状があるんですけれども、こうした中で平成26年度の府内の医師数は、医師確保対策前の平成18年度と比べまして、小児科医は60人増えております。そして、産婦人科医も13人増やすことができているところでありまして、子ども人口10万人当たりの小児科医師数、女性人口10万人当たり産婦人科医師数もそれぞれ全国平均を大きく上回っているところまでは持ってきているということでございます。
次に、周産期医療体制の環境整備についてでありますけれども、先ほど申し上げたようなことを背景に、28年度では府立医大のMFICUの整備に取り組んでいるところでありますし、国の経済対策を活用いたしました9月補正予算によりまして、第一日赤を初めとする府内13病院に対しまして2億2,000万円に上る医療機器整備の支援を行うなど、受け入れ環境の改善に努めているところであります。病院は急に広くはなりませんので、こうした一つ一つ中長期的な観点の見通しと短期的な環境の改善を重ねていくことによって、少しでも周産期医療体制を整備していかなければならないと思っておりますし、人工呼吸器からの早期離脱や麻痺の軽減など、予後の健全な発達を促す新生児の理学療法を第一日赤にも導入する、また高度周産期医療機関から周産期医療2次病院、さらには在宅に至るまでの移行がスムーズに行われるよう受け入れ対策の構築に向けての基準やルールづくりにも着手をするなど、体制の充実に努めているところであります。
京都大学につきましても、周産期医療2次病院として大きな力を発揮していただいておりますし、さらにその中で、京都大学と府立大学の連携についても、昨日、光永議員にお答えしましたように、これから私も積極的に要請をする中で、環境づくりに全力を挙げていきたいと考えているところであります。
その他の御質問につきましては、関係理事者から答弁させていただきます。
◯松村淳子 健康福祉部長 舞鶴地域におきます周産期医療体制についてでありますが、先ほど知事から御答弁させていただきましたとおり、府内においては19ヶ所の周産期医療機関との地域の診療所を含めたネットワークを構築しているところでありまして、必要に応じて母体や新生児搬送を行うなど、円滑な医療提供体制を確保しているところです。
周産期医療、とりわけ新生児に対応するには小児科だけではなく、合併症、例えば未熟児網膜症や脳内出血などに対応できる診療体制が必要なことから、総合的に判断いたしまして舞鶴医療センターを北部サブセンターとして指定しますとともに、専用のドクターカーの整備など、その体制強化を図っているところです。
産科医の確保につきましては、全国的にもその確保が困難な中、分娩取扱手当などさまざまな手法により確保に努めているところであり、その中で舞鶴医療センターの医師確保にも努め、今後とも、北部地域のサブセンターとしての機能が果たせるよう必要な支援に努めてまいりたいと考えております。
◯島田敬子議員 御答弁ありがとうございました。肝心の総合周産期センターである日赤病院での医師確保、そして舞鶴医療センターの医師確保という点では明瞭な御回答・返答がございませんでした。どの医療機関も医師確保の困難が押し寄せて、20年来構築してきた周産期医療体制、とりわけ北部の体制が崩壊をする危機的な状況がわかっているんです。この危機的な状況だという認識に立たなければいけないと思っております。
舞鶴市民病院に産婦人科がなくなり、綾部市民病院でも産科の常勤医師が1人のみ、さらに京丹後市立弥栄病院では常勤の小児科医師がいない厳しい現状の中、舞鶴医療センター・周産期センターが果たす役割は一層重要になっているにもかかわらず、両輪の片方は壊れているわけですね。センターのNICUという後ろ盾を失えば母体搬送を京阪神地区までしなければならない、その数60人から70人とも予測されております。都市部ではNICU不足による受け入れ困難もあると伺っております。医師確保へ本気で取り組んでいただきたい。
お話がありましたように京大ではMFICUが整備をされ、府立医科大学附属病院にも来年度整備予定ということですが、北部地域との格差が拡大をしているのではないでしょうか。北部のセンターである医療センターの医師確保を最重点課題に、関係機関に働きかけていただきたい。他の医師もそうですけれども、市内部、乙訓に集中いたしまして、全国平均では小児科も産婦人科も増えたが、北部に張りつかない。こういう現状を打開するための努力を求めているわけでありまして、この点について、再度お答えいただきたいと思います。
◯松村淳子 健康福祉部長 産婦人科医の医師確保についてでありますが、先ほど御答弁もさせていただきましたとおり、全国的にもその確保が困難である中、地域医療確保奨学金貸与制度に特別加算を小児科、産婦人科につきまして、また臨床研修では一般プログラムとは別枠の産科・周産期の重点プログラムを京都大学、府立医科大学、第一日赤等で実施をしていただいているところでございます。また、分娩及びNICU新生児を担当する医師への加算手当や産科・小児科専攻医の研修手当に対する支援制度を創設する中で、今後とも、産婦人科医師確保について努めてまいりたいと考えているところでございます。
◯島田敬子議員 知事に決意のほどを再度伺いたかったわけですけれども、先ほど申し上げましたように、いろいろ手だてを打って、増えているけれども張りつかない、ここのところですね。北部の子どもたち、赤ちゃんやお母さんたちの命がかかっておりますので、本気で取り組んでいただきたいと思っております。
舞鶴医療センターでは2014年、診療報酬改定で新生児集中治療管理料1には直近1年間の出生体重1,000g未満の新規入院患者が4件以上など、厳しい条件が追加されたことによりまして、以降の1年間はこれらの管理料を算定できず厳しい運営を余儀なくされたとのことです。地域の実態を反映せず集約化を誘導する診療報酬については見直すように国へ強く要望をしていただきたいと考えます。
また、脳低体温療法はタイムリミットが6時間と言われておりますし、三角搬送の体制強化のためにドクターカーの運用にとどまらず広域消防救急等との連携をさらに強化され、またドクターヘリ、ヘリポートを舞鶴医療センターにも整備されるなど、現場を支えていただくための施策を強く要望いたしまして、次の質問に移りたいと思います。
妊産婦の相談体制強化事業について伺います。
産後鬱対策については、本議会でも既に議論が行われておりますが、昨今、厚生労働省の調査結果で、産後2週目に精神状態が不安定になる人が最も増え、その割合は25%に上るとのことで、調査を行った国立成育医療研修センターの久保隆彦産科医長は、
「産後2週間、1ヶ月というタイミングで何らかのケアを母親にしてあげないと非常に大きな問題につながりかねない」
と指摘をされておりました。こうした中、厚生労働省が2017年度概算要求に当たり、産後2週目と1ヶ月の2回の健診事業を国と市区町村が半分ずつ負担し、費用助成を行う方向が示されております。深刻化すれば虐待や育児放棄につながったり、自殺を招いたりするおそれがある産後鬱、不調の兆しを早期に見つけ、行政の窓口につなぐ、適切なケアにつなげることは重要であると考えますが、本府の検討状況について伺います。
さらに、妊娠中から継続的な支援が必要です。埼玉医科大学総合医療センターの総合周産期母子医療センターでは、全ての妊婦に妊娠8ヶ月の段階で聞き取り調査を行い、問題がありそうなケースは医師、助産師、看護師など、病院内で情報を共有し、必要なケアにつなげるようにされ、こうした支援の中で、この病院で出産した女性が産後鬱病と診断される割合は全国平均の10%を大きく下回り、1%程度に抑えられているとのことです。第一日赤総合周産期医療センターでも社会的リスクを抱え支援が必要な方の出産受け入れが多い現状から、妊娠中の支援とともに、退院後の育児指導や産後2週間というタイミングでの無料の相談体制を外来につくりたいと希望をされております。本府の総合周産期医療センターでもありますので、府としてもハード面・ソフト面、両面から支援するとともに、府下の周産期医療施設でも取り組みを広げられるよう検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。
産前・産後の母子ケアについては、何といっても顔の見える支援が必要であり、地域密着の相談支援体制やネットワーク構築のために市町村の取り組みへの支援が重要です。先日、舞鶴市に伺いました。舞鶴市では保健センターを核にして保健師に加え、栄養士3名、歯科衛生士2人の専門職員も正規職員で配置をされております。そしてまた、助産師相談、助産師活用の事業が非常に多く、産褥入院、助産師相談等、きめ細やかな事業が行われておりました。病院間の連携会議の開催や医療センターとの連携では、ハイリスク妊産婦の情報共有も退院前から支援をされているということでございました。府下自治体も取り組みがあるとは伺っています。こうした事業に加えて、この7月からは「子どもなんでも相談窓口」を中総合会館に開設をされ、既に開設されている子育て支援基幹センター、保健センターの3つのセンターが一つのチームとなって妊娠期から18歳まで切れ目のない支援を目指しておられました。児童虐待相談等、相談件数は2倍に増えていました。ところが、現場の保健師は1人も増えておりません。舞鶴市では3年連続一律5%マイナスシーリングが行われ、現場の増員要求に応え切れていません。国の交付金活用による増員要求は要件が厳しく却下をされています。また、府北部では保健師を募集しても集まらないなど人材不足も深刻です。府内各市町村どこでも母子保健、国保健診、介護予防、児童虐待の対応など、現場は業務量がふえ手が回らない状況とお聞きをしています。人材確保に多くの自治体が苦労されているのではないでしょうか。
本府として、現状をどのように認識をされておりますか。また、本府として、母子保健事業にかかわる保健師、助産師の絶対数をふやすなど、人材確保への支援をどのように進めるのか、お聞かせください。
また、こんにちは赤ちゃん訪問事業の後、療育が必要な児童を継続して訪問し、必要に応じて家庭児童相談室の相談員と一緒に対応され、こども発達支援センターへつなぐ事例などがあります。この場合、医師の診察待ちが、今、申し込んでも来年9月まで待たなければならない現状と伺いました。早期診断、早期療育が重要にもかかわらず、開設以来続くこうした現状、状況は深刻な事態だと考えますが、どのように認識をしておられますか。現在の取り組みの状況と同センターの医師確保の見通しを含め、御所見を伺います。
◯松村淳子 健康福祉部長 妊娠出産の相談体制についてでありますが、市町村では母子健康手帳交付時におけるニーズや実情把握に加え、保健師による家庭訪問などの母子保健サービスや子育て支援サービスを行っているところです。とりわけ産後1〜2ヶ月は母体やホルモンバランスの急激な変化等から身体を回復させるための大切な期間であることから、京都府においては若年出産や心身が不安定な状況など、速やかに家庭訪問すべき妊産婦の情報を医療機関から市町村に提供する体制を構築しているところです。
さらに、本年8月に設置いたしましたきょうと子育てピアサポートセンターに妊産婦向けの専用相談窓口を設置するとともに、同センターが中心となりまして妊産婦のニーズや状況に応じたケアプランを作成する専門員や、妊産婦に寄り添い、子育てや家事支援等を行います訪問支援員を養成するなど、市町村が実施します産後ケア事業を支援しているところです。
ハイリスク妊産婦などの出産の受け入れを行う第一日赤を初め、周産期医療機関に対しましては、先ほど申し上げたとおり医療機器整備や新生児理学療法などの導入など、受け入れ環境を改善しているところです。また、育児指導や相談につきましては、母子保健の実施主体であります市町村が地域の産婦人科等の医療機関と連携する中で、地域の状況に合った体制できめ細やかに取り組んでいるところです。
次に、市町村の保健師につきましては、地域保健法を初め、母子保健法等の改正により、乳幼児に係る健康診査等が市町村に移管される中、京都府では保健師の人材確保やスキルアップへの支援として、市町村の募集情報をホームページ等で発信、また先天異常や医療的ケアが必要な困難事例に対する専門的助言の実施、児童虐待や発達障害児など、今日的な母子保健に係る課題研修を実施、乳幼児健診に関します府内統一の手引の作成などに取り組み、この20年で100人を超える増員や市町村保健サービスの一体的な体制整備の充実につながってきたと考えております。さらに、市町村の子育て世代包括支援センターなどに保健師等の専門職の配置や訪問支援を行う際の国の有利な財源活用を助言しているところです。
今後とも、地域の実情に応じた市町村の産前・産後ケア体制づくりをしっかりと支えてまいりたいと考えております。
次に、こども発達支援センターについてでありますが、府内の発達障害児への診断、診療の拠点施設として、その役割を担ってきております。発達障害に対する認知が進む中、センターへの受診申込者は年々増加傾向にあり、初診に係る待機は本年3月末で3.8ヶ月であったものが、9月末時点では4.1ヶ月と待ち期間が延びている状況であります。
発達障害の診断のできる医師については全国的にも少なく、その確保が困難な中、京都府独自に養成とこども発達支援センターの診療体制の拡充を目的に、小児科医を平成25年度から1名、27年度から2名充実を図るとともに、今年度から地域のかかりつけ医に対しまして、発達障害の基礎知識や外来での対処方法等についての研修を実施するなどの対応を図ってまいりました。
今後とも、府立医科大学と連携しつつ、発達障害の診断できる医師の養成・確保に努めてまいりたいと考えております。
◯島田敬子議員 いろいろやっている事業について御説明をいただきましたけれども、率直に言って、まずこども発達支援センターの医師確保等について、発足以来ずっとこういう状況が繰り返されておりますので、京都府の拠点施設でもありますので、医師確保について責任を持って行っていただきたいと思っております。要望いたします。
産後鬱対策は周産期から子育て支援時期まで、お母さんの不安を減らすという考え方から、初期のうちから重要な事業だと考えております。本府が今議会に提案をされました少子化対策基本計画の中にも妊娠及び出産の支援、相談体制の強化等が書かれておりまして、またリスクの高い妊産婦に対する適切な支援等については、行政が核となって連絡・連携体制を強化しながら産婦人科、医療機関、助産師等、関係機関による体制を強化するとあります。まさにいろいろな設置主体があり、また人材があるわけですが、その核となる行政のところでしっかりとした人員増も含めて体制を整えて、切れ目のない支援が本当にできるように御努力を願いたいと思っております。
子育て世代包括支援センターの取り組みがいよいよ始まりましたけれども、市町村では取り組みの格差が多々ございますし、これまでの実績、頑張りも評価をしていただいて、必要な人材確保、交付金の要件緩和など、財政的支援を要望するとともに、京都府保健所からの支援の強化も要望しておきたいと思っております。
府保健所保健師に若手も増えておりまして、産休代替要員を正規職員で確保するということも重要です。また、児童虐待等の相談件数が増え続けておりますので、各児童相談所の増員を初め、久しく廃止されてしまった舞鶴あるいは丹後・与謝地域における迅速な対応、市町村支援のためにも、北部地域に児童相談所の分室を配置されるよう提案をしたいと思っております。
また、性犯罪被害者支援の相談も京都市内にしかありません。心も体も傷ついた女性が市内まで足を運ぶことは非常に困難を来していると伺っております。府北部の相談体制の確立を求めて質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。