平成18年12月定例会 本会議(第6号) 「我が国の国際刑事裁判所への早期加盟を求める意見書案」「社会保険京都病院の存続に関する意見書案」等10意見書案 審議―2006年12月15日〜島田敬子府議の発言部分

 

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◯酒井国生議長  多賀久雄君ほか4名の諸君から「我が国の国際刑事裁判所への早期加盟を求める意見書案」「社会保険京都病院の存続に関する意見書案」及び「森林・林業・木材関連政策の推進を求める意見書案」、松尾孝君ほか11名の諸君から「難病対策の縮小でなく充実を求める意見書案」、多賀久雄君ほか4名の諸君から「特定疾患治療研究事業の見直しに関する意見書案」、松尾孝君ほか11名の諸君から「療養病床再編・廃止方針の撤回と診療報酬の改善を求める意見書案」「リハビリテーションの診療報酬算定日数制限を中止するよう求める意見書案」「障害者自立支援法の『応益負担』を撤回し、抜本的見直しを求める意見書案」「介護ベッドなど福祉用具の取り上げの中止を求める意見書案」及び「『品目横断的経営安定対策』と米価対策に関する意見書案」の10件が提出されましたので、この場合、日程を追加変更し、直ちに一括議題とすることに御異議ありませんか。

 〔「異議なし」と言う者あり〕

◯酒井国生議長  御異議なしと認め、直ちに一括議題といたします。
 案文はお手元に配付のとおりであります。
 お諮りいたします。
 ただいま議題となっております10意見書案については、提出者の説明、質疑及び委員会付託を省略することに御異議ありませんか。

 〔「異議なし」と言う者あり〕

◯酒井国生議長  御異議なしと認め、さよう決します。
 これより討論に入ります。
 通告がありますので、島田敬子君に発言を許します。島田敬子君。

◯島田敬子議員  日本共産党の島田敬子でございます。党議員団を代表いたしまして、ただいま議題となっています意見書案10件について、すべてに賛成する立場から討論を行います。
 まず、我が党提案の「難病対策の縮小でなく充実を求める意見書案」についてです。
 難病患者は、生涯が病との闘いです。原因がわからず治療が困難で、長期にわたるため、医療費の負担は大変大きいものです。しかも、病気で仕事を失う人が多く、生活が苦しい。だからこそ、医療費の助成が始まりました。今回、対象になった潰瘍性大腸炎は、20歳代前半の若年者を中心に発症します。入院・退院を繰り返す中で退職に追い込まれるなど、約2割の方が職を失っています。また、パーキンソン病の切り捨ての対象とされた中等度症例の方々の場合も、失業率は5割を超えています。
 若年から壮年期の患者は一家の大黒柱の方が多いにもかかわらず、病気で仕事を失うなど、現在でも困窮家庭が多い現状です。この上に医療費が増えれば、必要な医療が抑制され病状が悪化することとあわせ、家庭の崩壊すら招きかねません。予算を抜本的に増やし、補助対象の縮小をやめ、新たな疾患にも対象を拡大すること、長期的には総合的な難病患者の医療や福祉を支える体系をつくることを求める意見書に、ぜひとも賛同をお願いいたします。
 4会派提案の「特定疾患治療研究事業の見直しに関する意見書案」についてです。
 賛成ですが、ただ、意見書案の記述にある12月11日の特定疾患対策懇談会については問題があります。意見書は、補助対象を見直す理由に「患者が5万人を上回り、希少性の要件を満たさない」とする懇談会の取りまとめについて、何ら批判的見解が明らかにされていませんが、5万人の基準に医学的根拠がないことが国会審議でも明らかになっており、患者会からは「余りにも患者の実情を無視したやり方、希少性についても理論的に説明がつかないもの」との批判の声が出されているところであります。指摘をしておきます。
 次に、4会派提案の「社会保険京都病院の存続に関する意見書案」についてです。
 社会保険京都病院は、京都市北部地域の中核病院であり、60年間、命と健康の守り手として地域に大きく貢献をしてきました。住民にとっては、なくてはならない病院です。健康管理センターの併設による疾患の予防事業や、医学生・薬学生・看護学生を初め、医療従事者の教育の場を提供してきた病院でもあります。現在、地域医療の確保の上で焦点となっている救急医療や小児科、産婦人科などの診療科を備えており、まさに住民の命を守るとりでです。京都病院を初めとする全国の社会保険病院も含め、拡充・強化こそ求められております。
 今回の社会保険病院の整理統廃合計画は、公的な医療機関を潰す一環であり、既に国立病院・療養所80施設が廃止され、残るほとんどの病院も国の直営から切り離されました。その上、地方自治体病院にも民営化や統廃合が押しつけられています。京都病院を初めとする全国の社会保険病院も含め、拡充・強化こそ求められています。地域医療の確保を担う公的医療機関として、社会保険京都病院の存続・拡充を求める意見書に賛同いたします。
 次に、「リハビリテーションの診療報酬算定日数制限を中止するよう求める意見書案」についてです。
 4月の診療報酬改定から8ヶ月。全国で20万人以上の患者がリハビリテーションを打ち切られていることが、全国保険医団体連合会の調査で明らかになりました。「呼吸器リハビリを打ち切られた患者が、1週間後には自分で痰を出すのが難しくなり、夜中に痰が詰まって死にそうになった」「リハビリを打ち切られて、経験したことのない痛みが続くようになった」「体の機能が目に見えて低下をしてきています」など悲痛な患者の声とともに、機能低下や閉じこもりから新たな疾病を併発するおそれがあるなど、医療関係者からも指摘をされています。
 政府・厚生労働省が日数制限をする口実は、「効果を見込めないリハビリが漫然と続けられる例が少なくない」というものですが、これは病状の悪化を防ぐために必要な維持期のリハビリを事実上切り捨てる措置です。国がこれら患者の受け皿としてきた介護保険は、日数制限により医療保険の対象外とされた何万人ものリハビリの中断患者を受け入れるだけの施設もマンパワーも整っていないのが現実です。障害者や患者から生きる希望を奪う酷い仕打ちをやめ、一日も早く日数制限を中止し、診療報酬の改善を求める意見書に賛同をお願いいたします。
 次に、「療養病床再編・廃止方針の撤回と診療報酬の改善を求める意見書案」についてです。
 この7月、療養病床から退院を余儀なくされた女性が、10日後亡くなられました。診療報酬改定で報酬が大幅に削減され、経営危機に直面した病院が、月に3万円の差額ベッドの導入を決めたことで、やむなく退院された結果の事態です。
 私立病院協会の調査では、4月から9月まで、府内の療養病床の314床が一般病床に転換したとのことです。国の想定以上のベッドが減るのではないかと指摘をされております。また、京都療養病床協会が6月・7月に行った患者さんへの直接調査では、現在入院中の患者のうち、病状や状態から「自宅での介護は不可能」という回答が9割に上っています。10月25日、日本医師会も、全国で6万人が「実際はケアが必要なのに退院を迫られる」とする試算を発表いたしました。診療報酬改定で、月に300万円の減収が出るなど病院経営にも深刻な影響を与えており、地域医療にも重大な支障を来し始めております。
 「医療難民」「介護難民」をこれ以上出さないために、緊急に診療報酬の見直しを行い、療養病床再編・廃止計画を撤回し、必要な医療や介護の体制をつくるよう求めるものです。賛同をお願いいたします。
 次に、「介護ベッドなど福祉用具の取り上げの中止を求める意見書案」についてです。
 介護ベッドなど福祉用具は、障害がある方や高齢者の自立を支援するばかりか、生活そのものの向上に大きな役割を果たし、人々の尊厳を保障するものです。ところが、政府・厚生労働省は、「自立の妨げになる」と、現場や利用者の声を無視して制度改革を行い、文字どおり福祉用具の貸しはがしを行ってきました。
 本府の実態調査でも、必要な方から福祉用具が取り上げられた実態があることや、介護ベッドがなくなって逆に寝たきりになり介護度が上がった方もあるなど、制度の矛盾も明らかになりました。京都府としても、近畿府県に呼びかけて、これらの方を対象にするよう、国に対し緊急要望を行ったところであります。府議会としても、制度改善の意見書を上げるのは当然のことです。賛同をお願いいたします。
 次に、「障害者自立支援法の『応益負担』を撤回し、抜本的見直しを求める意見書案」についてです。
 10月から全面施行された障害者自立支援法について、6日、衆議院厚生労働委員会において参考人質疑と集中審議が行われ、自民党の議員からは「見切り発車だった」との発言、公明党議員からも「問題がある」との発言が出されるなど、支援法を強行可決した与党の中からもこうした声が出されました。障害者の皆さんが不自由な体を押して、京都を初め全国各地で闘ってこられた結果、全国の自治体で次々と独自軽減策が打ち出されていますが、今回の障害者自立支援法がいかに欠陥法であったかを裏づけるものです。
 障害がある人々の生活を直撃しているのは「応益負担」の導入です。障害者と家族ら1万5,000人が参加した「出直してよ!『障害者自立支援法』10.31フォーラム」で障害者が求めたのも、「応益負担」の抜本的見直しです。「障害者も働いている人も施設もみんな不幸になった」、これが関係者の声です。わずか8ヶ月の間に、負担を苦にした親子心中や自ら命を絶つ障害者が後を絶ちません。命は返らないのです。一日も早く応益負担を撤回し、障害区分認定の見直し、報酬単価の引き上げなど抜本的見直しを国に強く求めようではありませんか。ぜひ賛同をお願いいたします。
 以上、7件の意見書案は、府民の命にかかわる緊急課題であります。
 この間、自民党・公明党政権下で進められた医療・福祉・介護の諸制度の連続改悪によって、社会的に弱い立場にある人たちが制度の枠組みから排除されるという、あってはならない事態が起こっています。だからこそ、福祉の増進を目的とする地方自治体の議会及び議員が地方から声を上げることが、今、求められているのです。このことを強く指摘しておきます。
 次に、我が党提案の「『品目横断的経営安定対策』と米価対策に関する意見書案」についてです。
 品目横断経営安定対策が京都の農業の現状に合わないことは知事も繰り返し述べておられるとおりであり、国に対して強く見直しを求めているところでもあります。来年度からの本格的実施を目前にして、今、改めて抜本的見直しを求め、府内の意欲あるすべての農家が対象になるよう、また、引き続き営農が続けられるよう、価格保障を基本に据えた対策となるよう求めることは当然です。その点からも、土台となる米価対策として不足払い制度の確立が必要であり、ぜひ賛同をお願いいたします。
 次に、「森林・林業・木材関連政策の推進を求める意見書案」についてです。
 今日の木材価格低迷の原因は、国の木材輸入自由化政策にあります。発展途上国の違法な伐採も、そういうもとで起こっている問題です。これが林業振興にとって最大の問題であることを指摘せざるを得ません。意見書は、この点が全く触れられていない問題がありますが、国、自治体が一体となって必要な予算を確保し、林業振興の抜本的拡充を願い、賛同をするものです。
 以上で討論を終わります。御清聴ありがとうございました。

◯酒井国生議長  以上で討論を終結いたします。
 これより10意見書案について採決に入ります。採決は6回に分けて起立により行います。
 まず、「我が国の国際刑事裁判所への早期加盟を求める意見書案」の採決を行います。
 本意見書案を原案どおり可決することに賛成の諸君の起立を求めます。

 〔賛成者起立〕

◯酒井国生議長  起立全員であります。よって、本意見書案は原案どおり可決されました。
 次に、「社会保険京都病院の存続に関する意見書案」の採決を行います。
 本意見書案を原案どおり可決することに賛成の諸君の起立を求めます。

 〔賛成者起立〕

◯酒井国生議長  起立全員であります。よって、本意見書案は原案どおり可決されました。
 次に、「森林・林業・木材関連政策の推進を求める意見書案」の採決を行います。
 本意見書案を原案どおり可決することに賛成の諸君の起立を求めます。

 〔賛成者起立〕

◯酒井国生議長  起立全員であります。よって、本意見書案は原案どおり可決されました。
 次に、「難病対策の縮小でなく充実を求める意見書案」の採決を行います。
 本意見書案を原案どおり可決することに賛成の諸君の起立を求めます。

 〔賛成者起立〕

◯酒井国生議長  起立少数であります。よって、本意見書案は否決されました。
 次に、「特定疾患治療研究事業の見直しに関する意見書案」の採決を行います。
 本意見書案を原案どおり可決することに賛成の諸君の起立を求めます。

 〔賛成者起立〕

◯酒井国生議長  起立全員であります。よって、本意見書案は原案どおり可決されました。
 次に、「療養病床再編・廃止方針の撤回と診療報酬の改善を求める意見書案」「リハビリテーションの診療報酬算定日数制限を中止するよう求める意見書案」「障害者自立支援法の『応益負担』を撤回し、抜本的見直しを求める意見書案」「介護ベッドなど福祉用具の取り上げの中止を求める意見書案」及び「『品目横断的経営安定対策』と米価対策に関する意見書案」の5意見書案を一括採決いたします。
 お諮りいたします。
 ただいま採決に付しております5意見書案をそれぞれ原案どおり可決することに賛成の諸君の起立を求めます。

 〔賛成者起立〕

◯酒井国生議長  起立少数であります。よって、5意見書案はいずれも否決されました。
 ただいま議決されました意見書の字句並びに取り扱いについては、議長に御一任願います。

 

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