平成17年12月定例会 本会議(第6号) 常任委員会審査報告書 審議―2005年12月16日〜島田敬子府議の発言部分

 

●●●

 

◯酒井国生議長  次に日程第3、第1号議案から第31号議案まで及び平成17年9月府議会定例会への提出に係る第23号議案から第27号議案までの36件を一括議題といたします。
 ただいま議題となっております議案36件のうち、第1号議案から第31号議案までの31件については、各常任委員長から審査終了の旨の委員会審査報告書が議長あて提出され、その写しをお手元に配付しておきましたので、会議規則第40条第3項の規定により委員長報告を省略いたします。

 ただいま議題となっております議案36件のうち、第30号議案「職員の給与等に関する条例等一部改正の件」及び第31号議案「京都府知事、副知事及び出納長の給与及び旅費に関する条例等一部改正の件」のうち職員に関する部分については、地方公務員法第5条第2項の規定により、人事委員会の意見を聴取する必要がありますので、この際、人事委員会の意見を求めます。武田人事委員長。

◯武田盛治 人事委員長  ただいま議長から、第30号及び第31号議案のうち職員に関する部分につきまして、人事委員会の意見を求められましたが、第30号議案「職員の給与等に関する条例等一部改正の件」につきましては異議がないものと、また、第31号議案「京都府知事、副知事及び出納長の給与及び旅費に関する条例等一部改正の件」のうち、給料月額の改定に関する部分につきましては異議がないものと、管理職手当等の減額措置に関する部分につきましては、諸般の事情を勘案した上で措置されたものと思料されますので、やむを得ないものと判断いたします。
 以上のとおりでございます。

◯酒井国生議長  人事委員会の意見は、お聞き及びのとおりであります。
 これより議案36件に対する討論に入ります。
 通告がありますので、まず、島田敬子君に発言を許します。島田敬子君。

◯島田敬子議員  日本共産党の島田敬子です。私は、日本共産党府会議員団を代表して、ただいま議題となっております議案36件について、9月定例会提出の決算認定議案であります第23号議案、第25号議案、12月定例会提出の第8号議案京都府個人情報保護条例一部改正の件に反対し、他の33件に賛成の立場で討論を行います。
 まず、今定例会提出議案についてです。
 第1号議案平成17年度一般会計補正予算についてですが、こども発達支援センターの待機者解消のために外来診療体制の拡充をされたことは評価をします。私も長らく要望してきましたので、大きな喜びです。この施設に指定管理者制度が導入される予定ですが、本来、子どもたちの発達支援のために本府が全面的に責任を持つべきものです。さらなる機能強化のために、必要な財政の確保を強く要望するものです。
 次に、第5号議案京都府地球温暖化対策条例制定の件です。
 ポスト京都議定書について国際的な議論が始まり、より本格的な温室効果ガスの削減に向け、人類の英知を結集した取り組みが求められていることは言うまでもありません。本条例の成立は、まさに温暖化対策の第一歩であり、条例が掲げた2010年までに温室効果ガスの90年比10%削減目標を達成するため、本府が今後一層実効ある措置をとることが求められております。条例には、企業の社会的責任を果たさせる立場から、我が党もこれまで求めてきた事業者の取り組みや自動車・運輸部門対策、自然エネルギーの普及等が一定盛り込まれました。今後は、温暖化対策推進計画に部門別の施策積み上げ方式による実効ある削減計画を持つこと、産業部門や自動車総量規制など、運輸部門の取り組みを促進することなど、本府が大いに役割を発揮して取り組みを進めることが必要です。さらに、府域全体で実効ある取り組みを進めるため、地球温暖化防止活動推進センターの役割が重要であります。振興局ごとの分室設置や市町村支援など、その体制強化を求めるものです。
 また、知事が「ダブルスタンダードにならないように」と述べてこられた関係からも、京都市との協議を継続的に行い、整合性ある施策展開と府民への理解を促進するよう求めるものです。
 なお、温室効果ガスの削減の目標達成に逆行する関西電力舞鶴石炭火力発電所2号機の建設について、我が党が中止を求めたことに対し知事は背を向けられましたが、京都議定書発効の地の知事の姿勢として重大であることを指摘しておきます。
 次に、第6号議案食の安心・安全推進条例制定の件について、賛成するものですが、この条例が「安全で安心できる食料を」と願う多くの府民の期待にこたえるものとするためには、本府の体制の強化が求められます。これまでのプロジェクトチームという臨時的対応ではなく、担当部署を設置し、専任の食品安全監視員配置など体制の抜本的強化を求めるものです。あわせて、食品安全衛生法に基づく業務は、京都市内は政令市である京都市が行っていることから、京都市との協力体制が欠かせません。この体制づくりもあわせて求めておきます。
 次に、第8号議案個人情報保護条例一部改正の件についてです。
 改正案は、京都府個人情報保護条例の実施機関に公安委員会と警察本部長を加え、個人情報の取り扱いについて適正な保護義務を課すことを目的とするものですが、実際にはそうなっておりません。
 審議の中で明らかにしたとおり、実施機関が収集する情報については、第4条3項で「思想、信条及び信教に関する個人情報、個人の特質を規定する身体に関する個人情報並びに社会的差別の原因となるおそれのある個人情報を収集してはならない」と厳しく制限をされています。ところが、警察が「犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締りその他公共の安全と秩序の維持」、すなわち警察法第2条1項に定める警察活動全般にわたる活動のためには、「この限りでない」との例外規定によって収集が可能とされ、さらに目的外の利用と提供、オンライン結合まで可能とされているのであります。これは、思想・信条の自由、信教の自由などの基本的人権を侵害する憲法違反のおそれの強いものであり、到底認められるものではありません。
 また、第2章第1節から5節にわたって、「個人情報の取扱い、事務の登録、開示請求権、訂正請求権、利用停止請求権」などの保護規定が盛り込まれておりますが、これらについても、警察活動に支障があると判断すれば、同じ例外規定によって「この限りでない」とされ、保護請求は拒否されてしまうのであります。
 理事者から、「今後の運用の中で検討」とか、あるいは「慎重な解釈運用」などの答弁がございましたが、例外規定の適用はすべて警察の判断です。保護規定が遵守される保障は全くありません。これでは一体何のための改正かと言わざるを得ません。改正案は撤回し、やり直すべきであり、反対です。
 次に、今定例会追加提出議案の第31号議案京都府知事、副知事及び出納長の給与及び旅費に関する条例等一部改正の件についてですが、現在の府民の暮らしの実態や職員給与の削減という事態から見ても、知事給与、退職金の引き下げは当然であり、賛成するものです。とりわけ、知事の退職金については、4年間務めて5,337万円という全国最高水準であることを見ても当然です。ただ、改定後も4,300万円を超えるものとなっており、さらなる引き下げの検討を求めておきます。
 次に、9月定例会提出議案についてです。
 まず、第23号議案平成16年度一般会計及び特別会計歳入歳出決算を認定に付する件について、反対するものです。
 代表質問で我が党の原田議員が指摘をしましたとおり、小泉構造改革により雇用破壊と不安定雇用労働者の拡大、中小零細企業の倒産・廃業、低所得者層の増大等、府民の暮らしや営業は脅かされ、あらゆる階層で不安が増大しています。こうしたときだからこそ、京都府政が府民の暮らしの痛みに心を寄せ、命と暮らしを守るためにあらゆる手立てをとって府民を応援することが求められております。
 反対の第1の理由は、府民の切実な声にこたえず、弱者に非常に冷たい姿勢をとり続けられていることです。
 乳幼児医療費助成制度をせめて小学校に上がるまで無料にという声は、子育て世代の強い願いです。今議会にも5,000名を超える署名が寄せられましたが、これに背を向けられました。2年前に助成対象は拡大したものの、国の医療制度改定で、決算では制度改善前に比べて京都府の歳出は4億円も減少しているのに何らの見直しも行っておりません。
 お年寄りからは、「年金は下がる一方なのに、国保料や医療費の値上げ、介護保険の負担増で、年寄りは死ねということか」と悲痛な声が上がっています。私は、医療費の値上げで治療を中断した在宅酸素療法の患者が3人も亡くなられた事実を挙げ、緊急な対策を求めましたが、府民の命が奪われている事態にあっても知事は拒否されました。府民の痛みがわかっていないと言わざるを得ません。介護保険料・利用料の軽減対策も求められました。いずれも国へ要望するにとどまり、府独自の対策を拒否したことは重大です。
 また、年度途中で、市町村にも相談なく、安心子育てテレホン相談事業や低所得者への就職助成金を突然廃止し、福祉労働者の特殊健康診断補助金を廃止、研修事業等を縮減しましたが、これも現在の子育て環境や福祉労働者の労働条件等の悪化を考えますと、現場の実態などお構いなしに財政論を優先した結果にほかなりません。厳しく指摘をしておきます。
 なお、書面審査で、理事者は「福祉医療制度の見直しは必要。検討していくべきだと考える」と答弁されました。知事が「弱者の視点」「人・間中心」を言われるなら、早急な対応を要望いたします。
 反対の第2の理由は、「民間でできることは民間で」「経営効率」最優先で、地方自治体の役割を切り捨てているということです。
 2004年9月10日、定例記者会見の場で「洛東病院を廃止する」との突然の発表後、3万人に上る廃止反対の府民の声を無視して、年度末に病院廃止を強行されました。わずかに半年の出来事でした。トップダウンのやり方は前代未聞で、あまりにも異常なやり方でした。1,300人もの通院患者や府内各地域から病院を頼りに入院をされていた方々は、府内外の病院へ転院を余儀なくされ、必要なリハビリが中断した方もあります。今も不安な毎日を送っていらっしゃる患者さんがあります。やり方も内容も「弱者切り捨て極まれり」と言わなければなりません。
 また、同年5月には保健所、土木事務所、振興局等の地方機関の再編・統合が行われましたが、台風23号災害での対応の遅れを招くとともに、保健所の統廃合により難病患者や障害者へのサービスが大きく後退をさせられました。
 反対の第3の理由は、このように府民には「受益と負担」「経営の視点」と言って、暮らしや福祉を支える予算を削減する一方で、無駄な事業や急ぐことのない事業を進めていることです。舞鶴和田埠頭、畑川ダム、丹後リゾート公園、木津川右岸運動公園、市内高速道路、関空2期工事などを継続した結果、借金を抑制するどころか実質府債発行額はこの5年間に100億円も増加をいたしました。一方、今定例会には2万8,000人を超える請願署名が寄せられた南部への養護学校の早期建設については、重度の障害児童・生徒が長時間のバス通学や過密状態に置かれている事態の改善は待ったなしですのに、高校の統廃合とリンクさせて5年も6年も先送りにしています。障害のある子どもたちの安全・安心の教育環境の整備を怠っていることは重大であり、厳しく指摘をしておきます。
 次に、第25号議案京都府水道事業会計決算を認定に付する件について、反対です。
 府営水道問題で、乙訓2市1町から受水水量等の弾力化を求める要望が知事に出されています。知事は「受益と負担の観点で、市町の経費節減の努力も必要」と答弁されましたが、現在、2市1町の受水量に対する給水実績は52.4%です。住民は、使ってもいない水の料金を負担させられ、連続的値上げが押しつけられております。過大な水需要予測に基づく施設の建設と責任水量制の押しつけが住民負担を大きくしているのです。命の水です。赤字をすべて市町村、府民に押しつけるのではなく、一般会計からの繰り出しを含め検討するよう強く求めます。
 この際、府政運営について一言申し上げます。
 姉歯元建築士による耐震構造偽装事件で、京都北部の2つのホテルで耐震強度の偽装が明らかになりました。11月22日には、「再点検した、構造計算書の改竄はなく、耐震性に問題がないことを確認」と発表し、委員会審議では、我が党議員が「現場調査等をやるべきだ」と求めたのに対しても「必要ありません」と言いのけられました。ところが、12月2日には、「改竄があった。耐震基準を満たしていないおそれ」と一転させました。
 また、加茂町ゴルフ場へのフェロシルト埋設事件では、岐阜・三重両県で既に「土壌調査した結果、六価クロムが含まれている」との結果が出ていたのにもかかわらず、本府は「業者が調査したところ、含まれていない、安全だ」と業者の検査結果を鵜呑みにして、独自調査を半年近くも行わないまま安全宣言。ところが、これも、12月2日には「基準の36倍の六価クロムが検出された」と発表をいたしました。これには加茂町助役も府が偽装を当初見抜けなかった点について、「『危険がある』と地元から声が上がれば、検査機能を持つ都道府県は業者報告をうのみにせず、直接調査に乗り出す必要があるのではないか」と厳しく指摘をされています。今後、事件の全容解明とフェロシルトの早期完全撤去、周辺環境の安全確保のために全力を挙げることを強く求めるものです。
 これらの問題は、知事の言う「安心・安全」が府民の目線からいかにかけ離れたものであるか、また「現地・現場主義」がいかに空虚かを如実に示しており、住民の安全を守るべき京都府の姿勢が根本から問われる問題であります。
 本日の京都新聞「凡語」欄では、「府民の安全・安心を脅かす危険を見通せず、見抜けず、見逃したのでは、何の行政と言えようか」と厳しい批判の声が出されておりますが、こうした指摘を真摯に受けとめ、抜本的な反省と改善を強く求めるものです。
 最後に、本日の本会議を利用した山田知事の事実上の再出馬表明は、全く道理がなく議会を私物化するもので許すわけにはいきません。知事が「府政運営の基本姿勢について発言したい」というなら、本議会の冒頭の議案提案説明の際にも、各議員への答弁の際にも、その機会は十分ありました。それをせず、本日の閉会本会議で行わなければならない理由は全くありません。これまでの林田知事や荒巻知事のときにも、前例のないことです。また、知事からこうした申し入れが行われていることを知った我が党議員が、麻生副知事を通じて、前例もなく議会運営上道理もないことから、こうした申し出は行わないよう申し入れたにもかかわらず、これを強行されました。しかも、こうした知事の道理のない要求に対し、我が党が繰り返し指摘をしたにもかかわらず、数の多数を頼んでこれを強行し、それを認めた与党会派並びに議長の議会運営は、府議会史上に極めて大きな汚点を残すもので、厳しく抗議をするものです。こうした不正常な運営を議会に求めた山田知事は、知事としての資格に欠けていると言わざるを得ません。このことを強く指摘しておきます。
 日本共産党は、多くの府民の皆さんと力を合わせ、府民が主人公、府民の暮らしを守る府政の実現へ全力を挙げる決意を述べまして、討論を終わります。
 ありがとうございました。



◯酒井国生議長  以上で討論を終結いたします。
 これより議案36件について採決に入ります。採決の方法は起立によります。
 初めに、決算認定議案5件について採決いたします。
 まず、平成17年9月府議会定例会への提出に係る第23号及び第25号の議案2件について一括採決いたします。
 ただいま採決に付しております議案2件については、委員長報告どおり、それぞれ認定することに賛成の諸君の起立を求めます。

 〔賛成者起立〕

◯酒井国生議長  起立多数であります。よって、議案2件については、いずれも委員長報告どおり認定することに決しました。

●●●

◯酒井国生議長  次に、第8号議案について採決いたします。
 ただいま採決に付しております第8号議案については、常任委員会審査報告書どおり、原案を可決することに賛成の諸君の起立を求めます。

 〔賛成者起立〕

◯酒井国生議長  起立多数であります。よって、第8号議案については、原案どおり可決されました。