平成10年6月定例会 本会議(第5号) 一般質問―1998年6月16日〜島田敬子府議の質疑応答部分

◯島田敬子議員  日本共産党の島田敬子でございます。私は、友禅・伝統和装産業対策、難病対策、国民健康保険一部負担金減免制度について伺います。よろしくお願いいたします。
 第1に、京友禅・伝統和装産業対策についてです。
 先日、京都染色協同組合連合会のまとめが発表されました。京友禅の生産量は3年間連続2桁の減少が続き、97年度は前年度に比べ21.9%の大幅な減少となりました。過去30年間で最高の下落幅で、最盛期の1971年当時の 1,652万反から 176万反へ、実に10分の1まで落ち込んでいます。業界関係者の話ですと、まだ売れていた振りそでや留めそでなどフォーマルまで落ち込んでいる。今の時期は秋冬物が売り出され、売り上げが最も上がる時期ですが、大手の問屋で去年の6~7掛け、目も当てられない惨状とのことでした。地元の友禅業者を歩いてみますと、どこでも一様に
「真っ暗やみの出口のないトンネルに入ったようだ」
「仕事がないので、手塩にかけて育てた職人を8人から2人に減らした。それでも仕事がなく、2人の職人に仕事を保障するために、自分は中央市場で夜8時から明け方5時までアルバイトをしている」
「しみ抜きの同業者がもう3人も自殺した」
など、深刻な声が出されています。
 室町の問屋では今、大規模なリストラが進行しています。「リストラをしなければ金は貸さない」との銀行の圧力がリストラに拍車をかけているとも言われています。96年度の京都織商の組合員調査によりますと、96年までの5年間に73の商社、従業員数では 3,300人の減少となっています。さらに今後、リストラの計画は、A社40人、B社 100人、C社は全員の解雇との噂も流れております。「室町は暴動寸前、友禅は西陣に比べても無政府状態」との声も出されています。下請その他の友禅職人の多くは、退職金はもちろん、失業手当もまともにもらっておられず、そのままほうり出されていると言っても過言ではありません。
 このような室町・友禅業界の実態や休業・解雇に追い込まれている労働者の実態をどのように把握され、認識されていますか。まずお聞かせください。
 本府に雇用対策本部が置かれていますが、ここで直ちに調査をし、必要な対策を講じる必要があると考えますが、いかがでしょうか。

 次に、知事選挙の際に、知事が政策協定をされた「活力の会」の基本政策で、「伝統産業関連の中小企業の資源・情報・流通のネットワークの構築促進や、伝統工芸士の皆さんの活躍の場を広げながら、伝統工芸品の貴重な技術、技法の保存、後継者育成を支援します」と約束されています。その点で幾つかお尋ねいたします。
 1990年に業界関係者のアンケート調査を含む実態調査が行われ、産地診断報告書が出されております。この報告書で「和装業界における前近代的取引習慣が根強く存在する」として、業界に対する提言がされていますが、「歩引き、難引き、不当返品、受け取り拒否、支払い代金の不払い」など不公正取引の実態は、改善されるどころか、一層悪化をしています。ある型染め職人さんは「仕事が来るたびに工賃が下がり、採算がとれない。1反 3,000円までダンピングされた」とのことでした。こうした正常なルールを逸脱した取引関係は、弱い立場の受注者を困難に陥らせ、友禅業界の基盤そのものを崩壊させています。「長い年月の積み重ねの上に成り立つ技能と技術にふさわしい加工代金」となるよう一定の基準に基づく指導が必要ではありませんか。
 88年2月議会で、我が共産党議員のこの問題での質問に「繊維業界の取引改善については、業界全体にかかわる問題であり、関係業界に積極的に取り組んでいただき、府も指導に努める」との御返事でした。業界自身の2度の「完全撤廃宣言」にもかかわらず、事態は悪化をしています。府として、どのように指導してこられたのですか。下請代金支払遅延等防止法に基づく指導を徹底する必要がありますが、いかがですか。
 このままでは、すぐれた技術の伝承さえ危ぶまれます。後継者育成対策を抜本的に強化する必要があります。手描き友禅の色挿しだけでも2年、型友禅の色あわせだけでも6年と言われます。急ぐ必要があります。現在、友禅・染色の職業訓練校3校はいずれも休校中であり、民間1校も経営上の理由で廃校になっています。京都市とも協力をして公的養成訓練校の開校が必要と考えます。そして、後継者育英制度も拡充する必要があります。国庫補助を受けた「京都府京もの工芸品技術後継者支援制度」の支給者数は、友禅で3名のみ、他の後継者も含めてわずか22名と制度発足以来変わっておりません。年額30万円で1年限りです。
 加賀友禅の金沢市は、県立の高等技術訓練校を持ち、技術保存後継者育成対策として、伝統産業技術研修者に月5万円で3年、希少伝統産業後継者には月額12万円、3年の奨励金を交付するなど、独自の支援を行っております。国に対し改善を求めると同時に、独自の公的後継者育成機関と育英制度を創設すべきと考えますが、いかがですか。
 現在、友禅独自の振興センターがありません。さきに述べた後継者育成や技術・技能の伝承と研修、情報収集やデザイン開発、需要開拓と消費者サービス、観光にも役立つものとして、京友禅振興の拠点的総合センターを設置することを提案いたします。いかがですか。
 「主要業界の動向と課題」で「京友禅は、我が国における染め呉服の代表品種であり、その生産量は全国染め呉服生産量の8割以上を占め、全国最大の産地を形成している」と紹介をしていますが、その一大産地が崩壊の危機にある今、日本と京都の伝統と文化を守るための責任が知事、あなたにあると言っても過言ではありません。英断を願います。
 最後に、緊急の課題として、解雇をなるべく避けるため、雇用調整助成金の業種の拡大を室町にも適用されるよう求めます。室町は、製造業に該当しないことから適用事業所になっておりません。商工部と労働部による対策会議を持ち、業界への協力要請を行い、国に対し要望していただきたいと考えますが、いかがですか。御所見を伺います。

 次に、難病対策について質問いたします。
 代表質問で、患者の自己負担導入の撤回と府独自の対策を求めたのに対し、知事は「重症の患者については、全額公費負担が継続される」とのことでしたが、今回の改悪で、無料制度が継続されるのは約1割にすぎません。従来の公費負担患者約 9,000人のうち、96年実績で薬害のスモン、ヤコブ病の患者、激症肝炎、重症膵炎の4疾患、計 137人及びおおむね障害年金1級、身体障害者手帳1・2級に該当する方であります。病気のために職を失い、年金受給者も大変少なく、収入の道を閉ざされている患者にとっては、限度額があるとはいえ、外来 2,000円、入院で14,000円は大きい負担です。特に、一家の大黒柱が難病にかかった家族の苦しみは、察するに余りあります。
 身体障害でなく、内部障害が多い膠原病のグループのほとんどに自己負担が導入をされます。膠原病を代表する全身性エリテマトーデスは20代から40代の女性に多く、再発と小康状態を繰り返し、慢性の経過をたどる病気ですが、ある患者さんは
「発病して10年、発熱や関節リューマチ、足の動脈炎と、夜も寝られない日が続いた。大量のステロイド剤で症状を抑えることの繰り返し。最近は尿たんぱく、血尿がひどくなり腎臓が冒され始めた。どんどん自分の体が病んでいくことで精神的苦痛や不安でいっぱい。それにむち打つ公費負担の切り捨ては、目の前が真っ暗になります」
と言われました。また、ある方は
「病気を理由に就職や結婚もできない患者も多く、経済的、精神的負担は大きい。医療費が公費負担になって25年、やっと生きる希望が持てたのに、患者負担の前にほかに財源があるはず」
と怒りを話されました。一生、毎日毎日、病と向き合い、いつかは治療法がわかり、治ることを夢見て苦しみと闘っている患者に、命綱とも言うべき公費負担制度を切り取るなど、許されないことです。どのようにお考えですか、伺います。
 その上で、代表質問で明確に御答弁がありませんでしたが、本府独自の助成措置をとられる考えはないのか、改めてお伺いをいたします。
 先日、私はあるお母さんから手紙をいただきました。
「次男は先天性代謝異常のフェニールケトン尿症です。体の中にアミノ酸を分解する酵素がないため、アミノ酸の一つであるフェニールケトンがたまり、放っておくと脳障害を引き起こす病気で、食事療法のみに頼っています。専用のミルク代は月4万円。現在は無料ですが、その他に治療食の購入費用があります。仕事も辞め、頑張っています。毎日の食事のことで精神的にもストレスがたまります。親の不安に追い打ちをかける自己負担の導入は怒りでいっぱいです」
とのことです。
 国、厚生省は、小児の特定疾患治療研究事業についても見直しの意向と伝えられています。知事、難病の子供たちへのこのような措置も財政再建のために必要とおっしゃるのですか。切り捨てでなく、拡充を国に強く求めていただきたいと考えますが、いかがですか。
 さて、自己負担導入と引きかえに、重症患者対策を初め、在宅支援の予算化が図られました。難病患者は長く医療と福祉制度のはざまに置かれていたことから「やっと一歩が始まった」と関係者の喜びはひとしおですが、一方、その予算の少なさに落胆の声を上げておられます。
 私は、先日、2歳になる難病のAちゃんを訪ねました。Aちゃんは在宅で24時間人工呼吸器で酸素療法を行い、生きることのすべてを御両親の24時間の介護で支えられ、懸命に生きています。お母さんは言います。
「在宅で見るようになって1年、大変ですが、病院の天井を24時間見て過ごすよりもいいです。保健婦さんを中心に、訪問看護、リハビリ、ヘルパー、ボランティアなど多くの人々の支援を受けて、動かなかった手が上がるようになり、表情が豊かになりました。活発に動くようになった手で、最近は人工呼吸器を外してしまうので、24時間目が離せません」
と。訪ねた日は訪問看護婦とともにお風呂の介助中でした。懐メロを歌い聞かせると、泣きべその顔に笑顔が戻ります。お母さんの必死の働きかけが確実にAちゃんの成長を促しているのがわかります。けれど、お母さんは言います。
「まだ1年ですし、若いからやれてます。でも、24時間ずっとこの子と2人きりでいると気持ちがおかしくなりそうなときがあります。たまには夫と2人で近くのファミリーレストランでいいから出かけてみたいです」
と。
 A君は制度的にはショートステイが可能でしたが、受け入れ施設がありませんでした。数日前、関係者の連携でやっと国立療養所宇多野病院に受け入れてもらえることになりました。一同大いに喜びました。ところが、今、この京都の難病医療の拠点的役割を果たしている宇多野病院を初め、国立病院・療養所の統廃合、独立行政法人化による切り捨て、看護婦への17時間にも及ぶ長時間夜勤の押しつけが行政改革の名で強引に進められようとしています。これでは、家族も安心して家族を預けることはできません。このような国立病院の切り捨てをやめるよう、国に対し強く要望していただきたいと考えますが、いかがですか。
 また、ショートステイの受け入れどころか、相次ぐ医療の改悪、診療報酬の逓減性の強化や、付き添い制度の廃止で重度患者の事実上の追い出しや入院拒否も起こっています。医療が必要なことから特別養護老人ホームにも入所ができません。在宅療養が不可能な患者が安心して療養できる中間施設も必要です。
 このたびの補正予算で、難病患者の受け入れのための拠点病院及び協力病院の整備に向けての検討費が計上されましたが、府立病院など公的病院での体制の整備とともに、地域での難病の専門医療を行う民間病院への財政支援がどうしても必要です。あわせて検討いただきたいと考えますが、いかがですか。
 これら在宅支援のネットワークのかなめは保健所です。これまで、医療相談、訪問診療、家族教室の開催事業など難病の総合的な地域ケアシステムの構築に努力をいただいておりますが、市町村への支援も含め一層強化が求められています。保健所統廃合はこの点でもやめる必要があります。いかがですか。
 これら施策が真に実効が上がるよう、設置が予定をされております協議会に患者の代表を入れることを提案いたします。いかがでしょうか。
 最後に、難病の患者を含む、障害者・老人に吸引器購入の助成制度の創設と訪問看護ステーションからの身体障害者に対する訪問看護についても福祉医療助成事業に加えるよう、関係者から要望が出されていたところですが、その後の検討結果をお聞かせください。
 また、障害者医療助成制度について、対象範囲をせめて3級まで拡大していただきたいと考えますが、いかがですか。御所見を伺います。

 最後に、国民健康保険一部負担減免についてです。
 昨年、11月末、綾部市の業者の方の子供さんが耳を患い、入院手術を受けることになりました。不況でお客さんもなく、入院費を払うことが困難なため、国民健康保険一部負担の免除を申し入れましたが、市は12月「災害減免でない」ことを理由に、非該当の決定を下しました。当初は、営業不振による減免もあると言っていたのに、一転してこの結果となったものです。
 市は1月に入り「実態調査に協力すること。その内容を他に公表しても異議申し立てをしない」趣旨の承諾書を書くよう求めました。そして「承諾書を提出しても、非該当通知は取り消さない」と言って帰られたそうです。その後も「あなたの申請を認めたら次々と認めんならんようになる」とも言われたようであります。舞鶴や丹後でも、申請された方に「生活保護並みの徹底した調査をやるがそれでいいか」と言われ、申請を断念された事例があります。この不況の中、府下ではこの制度の利用は1件もありません。
 そこで伺いますが、本府では市町村にどのような指導をされていますか。法律や条例を全く無視したことが行われているとしたら、直ちに改善指導を行うべきと考えますが、いかがですか。
 また、申請用紙を窓口に置くことを含め、住民に対して制度の周知徹底を図るよう求めますが、いかがですか。
 さて、業者の方はこのような事態は納得できないと、2月に本府国民健康保険審査会に不服申し立てをされています。現在も何らの連絡が本府よりされておりません。5月には早急に審査会を開くことを要望したところです。現在どのようになっておりますか、まず伺います。
 国保行政は市町村の独自の事業ではありますが、監督・調査の権限があり、条例の制定に当たっては知事と自治体との協議事項となっています。その立場から責任ある答弁をお願いし、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。

◯荒巻禎一知事  島田議員の御質問にお答え申し上げます。
 国立病院及び国立療養所についてでありますが、京都府内には現在4ヶ所の病院と療養所が設置されており、府民の医療確保と健康の保持・増進に大きな貢献をしていただいております。これらの病院などでは、国の政策医療として特に推進すべき、がん、母子医療等の分野における高度先駆的医療や進行性筋ジストロフィー、スモン病等の難病など、府民の高度専門医療の確保に必要不可欠な存在となっております。
 京都府といたしましては、これまでから国、すなわち厚生省に対し、その機能の充実について京都府として強く要望してきているところでございます。
 その他の御質問につきましては、関係理事者から答弁をさせていただきます。

◯森野泰一 保健福祉部長  難病医療対策についてでありますが、厚生省において、在宅療養者への支援対策の充実を図りながら、重症患者や特定の4疾患の患者については全額公費負担を継続し、その他の患者については限度額を設けた自己負担を導入する制度改正が行われたところであります。京都府におきましては、長期の療養生活をねぎらい励ますため、療養見舞金を支給させていただいているところであり、今年度からさらに増額することといたしております。
 小児慢性特定疾患についてでありますが、患者、家族の方々の経済的、精神的負担の軽減を図る観点から、国に対し、対象疾患の拡大や対象年齢の延長など現行制度の充実について要望を行ってきているところであります。
 在宅療養の問題についてでありますが、難病患者に対する医療と介護の機能をあわせ持つ施設につきましては、国の公衆衛生審議会成人病難病対策部会における「患者・家族の高齢化に伴い、家庭介護力の低下が見込まれ、引き続き検討が必要」との報告もあり、今後、動向を注視してまいりたいと考えております。
 難病治療を行う民間病院への財政支援についてでございますが、平成6年に特定疾患患者等の治療に関し、難病患者等入院診療料、難病外来指導管理料などが創設をされ、難病治療に係る診療報酬上の措置が講じられているところでございます。
 保健所の見直しについてでありますが、保健所が果たしている役割や府民の利便性にも十分配慮する必要があると考えておりまして、府民サービスの向上の観点から、検査機能の集約化により、迅速性やレベルの向上を図る方向で慎重に検討を進めているところでございます。
 在宅で療養されている方に対する吸引器の購入の助成についてでありますが、本年度から呼吸機能等に障害のある方を対象として、障害者の「日常生活用具給付等事業」の中で実施されることとなっており、厚生省におきまして、障害の範囲、程度など詳細について検討されているところでございます。
 また、訪問看護ステーション事業につきましては、在宅の保健サービスの一環として看護婦や保健婦、理学療法士などが在宅生活の支援を行うことを目的とするものでございまして、その利用料の取り扱いにつきましても、各種保健福祉サービスの利用料のあり方についての整理、訪問看護ステーションが医療機関とは別の事業主体として位置づけられていることなどの点を十分に踏まえる必要があり、本府の福祉医療の対象とはしていないところでございます。
 障害者医療助成につきましては、重度の障害のある方々の保健維持と福祉向上を目的として実施をしているところであり、現行の対象等級の考え方につきましては継続していきたいというふうに考えております。
 次に、国民健康保険についてでありますが、国保は市町村が保険者であるところから、市町村の責任と判断に基づき運営されているところでございます。したがいまして、国保の被保険者が医療機関の窓口で支払う一部負担金の減免につきましても、市町村が地域の実情はもとより、被保険者の実態も踏まえて、ケースに応じて個別に判断されるものであり、広報につきましても、市町村において取り組まれるものであると考えております。
 また、綾部市国保の被保険者からの審査請求についてでございますが、現在独立した第三者機関である京都府国民健康保険審査会におきまして、処分庁である綾部市の弁明書を求めるなど、所定の手続が進められていると伺っているところでございます。

◯吉池一郎 商工部長  京友禅を初めとする和装産業の振興についてでありますが、産地や業界の皆様方の実情についてはきめ細かくお聞きするとともに、公共職業安定所とも連携し、雇用動向の把握に努めているところでございます。このような状況の中で、去る5月26日に緊急不況・雇用対策本部会議を開催し、全庁を挙げて経済・雇用対策に取り組むこととしているところでございます。
 取引実態についてでありますが、府中小企業振興公社に相談窓口を設ける等、下請取引に関する苦情や相談に適切に対応しているところでございまして、さらにPRに努めてまいりたいと存じます。
 なお、昨年の「きものサミット」におきましても「きものの業界が連携の上、生産・流通の合理化、商取引の近代化」等を図ることが重要との宣言が行われておりますので、今後とも、その促進に向けて、必要な助言等を行ってまいりたいと考えております。
 後継者対策についてでありますが、「京もの工芸品技術後継者支援事業」なども活用し、若手後継者の技術修得を奨励しているほか、それぞれの業界組合などが実施する後継者育成のための研修会に対する支援や京都府工芸産業技術コンクールの開催、業界組合青年部等への活動助成などを通じて、後継者育成を図っているところでございまして、今後ともこうした方法により進めてまいりたいと存じます。
 また、拠点的総合センターについてでありますが、これまでから京都友禅文化会館など業界の拠点施設等を活用して実施される新商品開発や市場開拓などの取り組みに対し支援し、京友禅の総合的な振興を図っているところでございます。
 次に、雇用調整助成金の対象業種の拡大等につきましては、国におきまして、関係業界団体とのヒアリング等を踏まえ行われているところでございます。京都府といたしましては、国に対しまして、雇用調整助成金などの雇用の安定のための施策の充実・強化を要望してまいりますとともに、この制度等を活用し、和装産業界の雇用の維持と失業の予防に努めてまいりたいと存じます。

◯島田敬子議員  友禅の問題についてですが、雇用調整助成金の問題について国に対して要望していくということで、毛皮製品等の衣服の卸売業も現在入っておりますので、ぜひ業界の協力を得て頑張っていただきたいというふうに思います。
 全庁挙げての取り組みということで、中小企業振興公社に窓口を設けたということですが、相談件数はいかほどでしょうか。
 不公正取引の問題についてははっきりとお答えがありませんでしたが、現実には、次の仕事がもらえなくなると困るからということで、みんな泣き寝入りをされている。相談窓口にもなかなか行けていないわけです。ですから私は、窓口にパンフレットを置いたり、そういうことだけではなくて、やはり現場を歩いて実態を調査をするということが必要かというふうに思います。
 今、全国的には、不況の中で、大田区を初め1軒1軒の事業所を訪問する活動などが始まっています。ぜひ、庁から出まして、現場に足を運んでいただきたい。その上で意見を聞いて、抜本的な対策の強化が必要だというふうに思います。
 それから、後継者対策等についてのお考えを伺いましたが、「せっかくの技術が受け継げなくなる」と、本当に心を痛めておられます。ですから、先ほども質問で述べましたように、後継者対策の一層の充実を図る必要がありますし、提案した中身を真剣に御検討をいただきたいというふうに思います。
 それから、国保の問題についてですが、市町村の責任・判断において、ケースによって個別に取り組まれるものだというお話がございましたが、国民健康保険法第4条では「都道府県は、国保の運営が健全に行われるように、必要な指導をしなければならない」と明記をされております。健全な運営といいますと、いつでも、国と府はペナルティーをちらつかせて、財政的な健全性ばかり強調するから、先ほど紹介をしましたように、1つ認めれば次々と認めなければならなくなる、これでは財政が大変だという市の担当者の本音が出る、こういう状況になっているのではないかというふうに思います。国保の目的を社会保障及び国民保健の向上に寄与すると明記をしておりますが、この目的を大前提に置いて、憲法と法令・条例に従って適切な指導をすることは本府の責任だと考えますが、再度御答弁をお願いいたします。
 それから、国保審査会の問題ですが、審査会が市の弁明書を求めているとのことでしたが、これも 100条で「審査会は、審査請求を受理したときは、保険者及びその他の利害関係人に通知しなければならない」というふうになっております。いかなる理由があるにせよ、何の連絡も本人にされていないということは、どういうことなのか、明確にお答えを願います。
 難病対策において、国立病院について大変評価をいただきまして、国に対して意見を言っていただくということで、ありがたく思っています。その立場で、国立病院・療養所を行革の名のもとに切り捨てないように知事にぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。
 ところで、今回の見直しですが、在宅対策が上がったわけですけれども、先ほどお話がございました厚生省公衆衛生審議会難病対策専門委員会の議事録が公開をされておりますが、この場で厚生省の課長は「特定疾患治療研究事業は奨励補助金で一律10%カットの対象」だと、だから治療研究事業を見直せということで、ここから議論が始まっていること自体がそもそも問題なのです。医療を切り捨てて、では在宅支援がどこまで進むのかということでは、大変疑問がある問題です。引き続きさまざまな問題について検討が進められておりますが、ぜひ真に在宅でも施設でも安心して難病の患者さんが生きられるように全力を挙げていただきたいと思います。
 そのほかの質問については、大変長くなりますので、委員会でさせていただきます。
 ありがとうございます。

◯森野泰一 保健福祉部長  国民健康保険事業についてのお尋ねでございますが、保険者である市町村が中長期な健全運営の観点から、みずからの責任と権限において運営されることが国保制度の基本でございます。一部負担金の減免や保険料の減免の実施につきましても、市町村が地域の実情や被保険者の事情等を踏まえて判断されるべきものであると考えております。
 それから、綾部市国保の被保険者からの審査請求についてでございますが、6月15日に処分庁であります綾部市の方から弁明書の提出があったというふうに審査会の方から報告をいただいております。今後、この弁明書の副本を審査請求人に送付するための手続を進めているところだというふうに聞いております。