2025年度京都府予算に関する申し入れ

11月11日、定例会本会議終了後に2025年度京都府予算に関する申入れを行いました。
申入れ文書の内容は共産党府議団HPの下記ページをご覧ください。
2025年度京都府予算に関する申入れ
 2025年度予算要望[PDF]

 


2024年11月11日

京都府知事 西脇隆俊 様

自治と公共の再生へ
中小企業支援と賃上げで
暮らしと地域経済の底上げを

京都府予算に関する申入れ

 

日本共産党京都府議会議員団
団長 島田敬子

 

【はじめに】

 長引くコロナ禍の深刻な影響に加え、異常な物価高や資材・原材料高騰が府民の暮らしや生業を直撃しています。物価高などの原因は、世界情勢の悪化など様々な要因がありますが、国民生活や地域経済にこれほどまでに深刻な影響を及ぼしている背景は、30年以上にわたって経済成長が止まり、実質賃金の上がらない、「失われた30年」を作り出してきた政治に責任があることは明らかです。
 府内のある中小企業団体の調査では、価格転嫁ができているとする事業者が54%にとどまり、そのうち100%価格転嫁できているとした事業者は25%と、全体の85%以上の中小事業者は価格転嫁できずに利益を削って身だしをせざるを得ない事態になっています。また、労働者団体の生計費調査では、物価高の影響も含めると時給約1,700円以上なければ、京都府内で一般的な生活を維持することができないという結果が示されています。
 まさに、府民生活を支える点でも、地域経済を支える点でも、中小事業者への支援と一体の抜本的な賃上げは待ったなしの状況にあります。

 異常な物価高を通じて、国民の大きな怒りを巻き起こし、先の総選挙で自民・公明与党が過半数を大きく割り込む要因となった「政治と金」の問題に象徴されるように、国民生活や地域経済を「540兆円もの内部留保を積み上げる」一部の大企業の儲けのために置き去りにしてきた、これまでの「弱肉強食」や「自己責任」などの政治の矛盾が浮き彫りになっています。
 本府においても、府民の声を無視し北陸新幹線延伸に固執するなどの開発型政治や、賃上げの重要性を知事自身が認めながら、賃上げのための支援には「国のやることと」と背を向け、一方で、スタートアップ企業など一部の成長分野などへの支援に偏った経済政策などの転換が求められています。
 府内企業の99.8%を占める中小事業者に軸足を置き、事業継続や賃上げ原資確保への直接支援で、地域で仕事とお金が回る循環型の経済政策へと転換するなど、「住民福祉の増進」という自治体本来の役割を発揮し、いのち・暮らし・生業を守る立場に立ち、自治と公共の再生こそ必要です。

 こうした立場から、わが党議員団は、本府の来年度予算編成と、緊急に取り組むべき課題について、緊急要望45項目、分野別要求153項目を提案し、予算化・施策化されるよう申し入れます。

 

≪重点要望≫

(1) 物価高騰のもと、賃上げと営農継続へ中小企業と農林水産業者への直接支援を

 今年度、商工労働分野では、産業創造リーディングゾーン加速化事業やスタートアップ企業への支援が重点課題とされてきたが、京都経済を支えている中小企業への支援と下り続けている実質賃金の引き上げこそ、重点課題である。農林水産分野では、官民連携のもとに企業に開発・生産・流通を委ねるフードテック構想を推進する一方、今夏のコメ不足と米価高騰にも示されたように、コメをはじめ、農林水産物の安定供給を確保するうえで欠かせない農林水産業者への支援が後景に追いやられている。
 物価高騰を上回る賃上げが社会的要請となる中、今年の最低賃金審議会の答申は、27県で中央の目安に上積みをおこなった。34円上積みし、84円増と最大の引き上げとなった徳島県をはじめ、少なくない県で、中小企業が賃上げのための原資を確保できるよう、直接支援のとりくみが実施されている。これについては、西脇知事も「即効的な効果はある」と認めながら、「賃上げを直接的に補助金で支え続けることは財源も含めて困難」「限られた財源の中では、中小企業が利益を確保し、持続的に賃金の引き上げができる体力をつけていただくための支援を重点的に行うことが効果的だ」などと述べて、直接支援を拒否し続けている。
 しかし、京都府の最低賃金審議会答申では、「中小企業・小規模事業者を対象とした消費税の減免措置や社会保険料の事業主負担の免除・軽減等、賃上げの原資の確保につながる直接的な支援策を行政として実施するよう、政府に対し強く要望する」と明記している。京都府も、中小企業への直接支援に踏み出すべきである。

  1. 中小企業支援と一体に最低賃金を直ちに時給1500 円以上へ引き上げ、全国一律最低賃金制度とするよう国に求めること。府独自に中小事業者への賃上げ直接支援制度を創設するとともに、抜本的な賃上げ・処遇改善を実現するため、知事を本部長とする「中小企業支援・賃上げ実現本部」(仮称)及び担当組織を設置し、経済界・産業界・労働界などと連携した本格的な体制づくりと取り組みを行うこと。
  2. 最低賃金の抜本的引上げについて、国および中央最低賃金審議会に対し求めること。最低賃金引き上げに伴う中小企業・小規模事業者への支援策については、消費税の減免措置や社会保険料の事業主負担分の免除・軽減等、賃上げの原資の確保につながる直接的な支援策を実施するよう国に求めること。京都地方最低賃金審議会に対して、最低賃金引上げの意見を表明すること。
  3. もっとも効果的な物価高騰対策である消費税の5%への減税を決断し、社会保障などの財源は大企業や富裕層への応分の負担により確保するよう、国に求めること。中小・零細事業者や個人事業主に増税を押し付け、国民的大増税に道を開くインボイス制度は、直ちに廃止・撤回するよう、国に求めること。
  4. コロナ禍に続く物価高騰で重い負担となっているゼロゼロ融資返済支援を強化し、相談体制、借り換えや別枠債務化による返済猶予など弾力的運用を行うこと。家賃などの固定費支援を行なうとともに、物価高による燃料費・原材料費の値上げなどの実態を把握し、価格転嫁に苦しむ事業者への値上げ分の補てん支援を行うこと。
  5. 賃金下限や労働者保護規定などを盛り込んだ公契約条例を制定し、府の公契約下で働く人々の賃上げと雇用継続、法定福利費、仕事の質と人材確保、技術の継承、健全経営、地域の活性化などを図ること。
  6. 府職員の賃金を物価高騰に見合う水準に引き上げ、職員定数増をはかること。会計年度任用職員について、人事院の新たな方針が示されたもと、同一労働・同一処遇の実現にむけ、抜本的な賃上げと権利の拡充とともに、公募期限の撤廃と正規職員化も含む雇用の安定・継続のしくみを早期に確立すること。
  7. 今夏のコメ不足と米価高騰の教訓をふまえ、米の需給と価格安定に責任を持ち、多少の不作や需要増でも不足しないようゆとりをもって生産量や備蓄を確保すること、豊作などで供給が上回った場合には国が買い上げ備蓄に回すこと、将来にわたって米の安定供給を確保するために価格保障や所得補償などで農家が安心して米作りに励める条件を整えるよう、国に求めること。
  8. コメの価格保障・所得補償については府独自にも検討し、とりわけ特栽米や有機農法など「こだわり農法」を実施する農家への所得補償制度や、すべての産地・農家が加入できる野菜の価格安定制度を確立すること。
  9. 農林水産業の飼料・肥料・資材・燃料費などの高騰に対する緊急対策を国に求めるとともに、府独自
    の支援策を実施すること。

 

(2) 子育て・教育――子ども医療費や給食費の無償化、学費負担の軽減を

 物価高は、子育てや学生生活にも深刻な影響を与えている。我が党議員団が取り組んだ「賃金・暮らしの実態アンケート」では、「親の食事は減らせても、育ち盛りの子どもの食事は減らせない」「十分食べさせてあげられない」などの声が多数寄せられた。また、コロナ禍以降、府内各地で取り組まれている「食料提供プロジェクト」では、高齢者や子育て世代に加えて、多数の学生が列を作り、親の仕送りが厳しくなる中で「食事の回数を減らしている」「肉は買えないから、タンパク質は豆腐で」など学生生活の厳しさを訴える声が寄せられている。
 知事は「子育て環境日本一」を掲げるものの、官民連携を掲げた「子育てにやさしい風土づくり」など、子育てにかかる経済的負担の軽減や、厳しい学生生活の根底にある「高すぎる学費」の無償化への取り組みなど、本来公として果たすべき役割をゆがめていることは重大である。
 いまこそ、全ての子どもたちの学びと成長を保障すること、そのための教職員の体制も含めた条件整備など、本府の役割発揮が求められる。

  1. 子どもの医療費助成制度は、国に制度拡充を求めるとともに、府の制度として 18歳まで入院・通院ともに無料化をめざし速やかに拡充すること。子ども医療費助成制度のペナルティを復活させないよう、国に求めること。
  2. 全員制のあたたかく栄養のある中学校給食をどの地域でも実施できるよう、また小・中学校の給食費無償化ができるよう国に求めるとともに、府として市町村への支援や保護者負担の軽減を行なうこと。安易な民間委託を行わないこと。
  3. 小・中学校、および高校で30 人以下学級を早急に実施し、一人ひとりに即した学習を保障すること。そのため、府として「京都式少人数教育」を見直し、緊急かつ計画的に正規教員を増やし、教員定数の抜本的改善と専科教員の増員を行うこと。社会問題となっている教職員の長時間・過重労働と、教員未配置の解消に向け、教員「給特法」、時間外勤務手当の改正を国に求めること。
  4. 不登校児童・生徒の急増に対し、安心できる居場所確保や学習保障のため、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの全校配置、正規教職員体制の拡充、相談・支援体制の強化、通いやすい別室の準備、さらにフリースクールなどへの財政的支援を含む総合的対策を進めること。
  5. 府立高校タブレットの全額公費負担を行うこと。高校教科書などの無償化、高等学校等修学支援金制度、高校生等奨学給付金制度の拡充、高校生への就学援助制度、上級学校への進学に向けた給付制奨学金の拡充等を進めるよう国に求めるとともに、府独自の高校生支援制度をつくること。
  6. 公立大学法人の授業料無償化をめざし、引き下げと減免制度の拡充を行うこと。学生のための給付制奨学金を府独自に創設し、奨学金返済支援制度については改善・対象拡充すること。大学等と連携して、学生の暮らしや学費負担、アルバイトなどに関する専用相談窓口を設置すること。高等教育の速やかな無償化を国に求めること。
  7. 大阪・関西万博への小・中・高校生の動員は、安全確保も困難のうえ教育的効果も不明であり、強制しないこと。

 

(3) いのちと尊厳を守る社会保障の再構築を

 政府は、12月2日に健康保険証の廃止を強行しようとしているが、これは事実上のマイナンバーカードとマイナ保険証の強制である。京都府は「制度移行に向けた準備は進みつつある」としているが、その利用率は14%弱(2024年8月時点)にとどまったままとなっている。
 また政府は、今年9月に「高齢社会対策大綱」を決定し、75歳以上の保険料窓口3割負担の対象を「拡大する」と明記し、介護では、利用者負担の原則2割化や介護人材不足、介護報酬改悪による経営悪化で事業所の撤退・廃業・倒産が続出するなど、高齢者が暮らし続ける基盤が崩壊の危機に直面している。「高齢者の社会保障を削って現役世代に回す」など高齢者と現役世代を対立させ分断する議論は根本的に間違っており、許されない。
 また、コロナの経験を踏まえた新興感染症対策や能登地震・風水害等、災害時の対策をはじめ、総括や経験が生かされないままとなっており、その対策は急務である。

  1. 健康保険証の廃止を中止するよう国に求めるとともに、マイナ保険証の事実上の強制を、府民や医療機関等に押し付けることはやめること。また資格確認証を職権で全員に送付するよう国に求めること。
  2. 「マクロ経済スライド」など実質年金引き下げの仕組みを凍結・撤廃し、年金の引上げを物価上昇以上に行い、暮らしの安心を保障するよう国に求めること。
  3. 介護報酬の緊急改定を行い、訪問介護事業所の倒産などを回避するとともに、公費負担の引き上げや、従事者の処遇改善を抜本的に強化するよう国に求めること。また、府として処遇改善につながる独自施策を実施すること。
  4. 医師少数区域への医師や看護師確保対策を強化するとともに、病床削減や病院統廃合の動きを食い止めるため、全力を尽くすこと。
  5. 高すぎる国保料を引き下げるため、公費負担の抜本的増額を国に求めること。また均等割・平等割を廃止し、保険財政に責任をもつ府として保険料負担軽減策を講じること。保険料の一律化に向けた論議をやめること。
  6. 加齢性難聴における補聴器購入費助成について、国に求めるとともに府としても支援策を創設すること。
  7. 帯状疱疹ワクチンを受けやすくするため、予防接種法に基づく定期接種化を国に求めるとともに、府として補助を行うこと。
  8. 後期高齢者医療制度の窓口負担3割化など、高齢者の医療費の負担引き上げに反対すること。また、京都府老人医療助成制度については、窓口1割負担に戻し、さらに対象年齢を拡充すること。
  9. 物価高騰のもと重要性を増している生活保護制度は、人権を守る制度として改善・強化すること。老齢加算の復活、減額されてきた生活扶助・住宅扶助基準及び冬季加算を元に戻すことを国に求めること。酷暑が続いており、夏季加算の創設を国に求めるとともに、生活保護世帯への見舞金の復活、クーラー設置補助への支援を行うこと。申請権を保障し、保健所や市町村窓口に申請用紙を置き、扶養照会は申請者の意思を尊重すること。保護決定は法定期限の2週間以内とし、保護の辞退届けの強要や実態を無視した就労指導は行わないこと。
  10. 各種減免制度の拡充と周知徹底を国に求めるとともに、府としても手立てを尽くすこと。
  11. 京都府物価高騰対策・生活困窮者支援事業費補助金については、継続・拡充するとともに、とりわけ、越年対策については早急に具体化し府民に知らせること。
  12. コロナの総括と本格的な対策をとるため、コロナ禍の経験と教訓を現場の実践から正確につかむこと。

 

(4) 北陸新幹線延伸など大型開発中止、府民と地域を支える公共・自治の役割発揮を

 北陸新幹線延伸計画について、国が「新たな3ルート案」を発表した。しかし、その中身は地下水への影響や残土処理問題などには一切対応せず、事業費は当初の2.1兆円から最大5.3兆円へ膨れ上がるなど、もはや計画の破綻は明らかで、計画中止以外に道はない。多くの府民や学生らの運動により、府立大学体育館での巨大アリーナ整備は撤回せざるを得なくなった。ところが、次の候補とされた向日町競輪場でも、地元住民への丁寧な説明もなしに進めるという同じ過ちを繰り返し、周辺住民などからは「狭隘な周辺道路の整備はどうするのか」など当然の声があげられており、到底住民理解が得られているとは言えない。
 カジノ・万博計画を、「関西経済の起爆剤」とする関西財界とともに、インフラ・基盤整備などに税金をつぎ込むことに批判が広がるなか、知事は関西広域連合・副連合長として、学研都市の「サテライト会場化」、「万博・京都支援協議会」の立ち上げなど推進。「観光総合戦略」改定でも、インバウンドの再興、京都市と一体で都市の再開発・大規模規制緩和など進めている。
 人口減少やコロナ禍を口実に、政府と財界が「圏域行政化」「デジタル化」など地方自治のしくみを改変し、住民個人情報や公的サービスの企業利活用をねらうもと、府はマイナンバーカードの普及促進、「北部地域連携都市第2期ビジョン」で水道広域化・民営化、消防広域化などを打ち出し、市町村合併により弱体化した地域に、さらに団体自治・住民自治を弱め企業利益に資する「自治体のプラットフォームビルダー化」など役割の変質を進めている。国言いなり、トップダウンで、府民の実態や声を聞く住民自治の姿勢が弱く、新たな施策がほとんど見当たらず、防災や公衆衛生の体制・予算は弱められ、現場府職員に矛盾が押しつけられている。
 これらを改め、府民と市町村を支える自治と公共の役割強化こそ求められる。

  1. 北陸新幹線延伸計画は、自然環境や住環境の破壊、過大な財政負担を住民と沿線自治体に押し付けるものであるため中止を求めること。リニア中央新幹線の大阪延伸中止を国に求めること。
  2. 府民の声を聞かず民間企業に作らせた「北山エリア整備基本構想」は、白紙撤回すること。府立大学の体育館を、学生のための専用施設として早急に建て替えること。老朽化した府立大学施設の建て替えを急ぎ、「京都府における知の拠点」にふさわしいものにすること。
  3. 大阪・関西万博はIR・カジノと一体であり、会場建設費・インフラ整備など膨大な国民負担を強いるものであり、中止すること。府としての万博推進事業は中止し、すでに府業務に支障をきたすこととなっている府職員の動員をやめること。
  4. 健康保険証廃止と一体にしたマイナンバーカードの強制は中止を求めること。マイナンバー制度そのものが、政府による国民生活全体の管理と監視につながる危険をもち、企業による個人情報の利活用をねらいにしたものであり、紐づけの拡大をやめ、制度の見直し・廃止を求めること。
  5. 「北部地域連携都市構想 第2期ビジョン」により、市町に「選択と集中」「分担と連携」「機能的合併」を押し付けるのをやめること。水道事業の広域化、消防指令センターの共同運用は中止すること。
  6. 府営水道へ自治体水道を経営統合せず、自治体の浄水場を生かし、いのちの水=水道事業を充実させること。「ウオーターPPP」の導入、上下水道一体化による官民連携などを進める水道・下水道の広域化を強行しないこと。水道法の理念にもとづき、水道のあり方について住民的論議を保障するよう、技術的・財政的支援を自治体の上下水道事業に行い、簡易水道事業への補助制度拡充と存続を国に求めること。
  7. 京都府南部の消防指令センターの共同運用は消防力を弱めるものであり、中止すること。各消防本部への財政支援を国に求めること。
  8. 支援対象の拡充や支援金の水準引き上げなど、被災者生活再建支援法等の見直しを国に求めるとともに、府独自の住宅改修支援は一部損壊も対象にすること。災害家屋対策の拡充、生業支援・農林水産業支援策の拡充等、見直しを行うこと。災害により生じた民地・農地の土砂等の撤去など復旧に支援を行うこと。
  9. 地域計画や地域づくりの基本を住民の福祉の増進に置き、住民と当事者の意見を踏まえること。府民のいのち・暮らし・生業と地域を支える役割を発揮するため、これ以上の府職員の定数削減を行わず、超過勤務を縮減し、計画的な増員・定数増により、保健所・土木事務所をはじめ必要な体制を確保すること。広域振興局、土木事務所などの体制を統廃合前に戻し、強化すること。

 

(5) ジェンダー平等、気候危機打開、原発ゼロ、平和憲法を守り生かす発信を

 COP28で国連のグテーレス事務総長は、パリ協定で確認した「気温上昇を1.5℃以下に抑えるには、すべての化石燃料の段階的廃止なくしては不可能である」と述べ、成果確認文書でも初めて「化石燃料からの離脱」が盛り込まれた。ところが、岸田首相(当時)は、同会議で「世界の脱炭素に貢献する」と述べながら、石炭火力発電所でのアンモニア混焼の方針を掲げるなど、石炭火力継続を改めて宣言し、環境NGOから「化石賞」を受けることとなった。
 11月11日からCOP29(国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議)が開かれる。「地球沸騰化」ともいわれる地球温暖化による気候危機は、世界各地とともに、日本でも、線状降水帯による豪雨、猛暑による熱中症増加、農業や水産業への大きな被害など深刻な事態となっている。国連は繰り返し「先進国の2030年までの石炭火力の段階的廃止」を求めているが、日本はG7で唯一、石炭火力からの撤退期限を示しておらず、京都議定書を発出した府の役割が問われている。
 また、本年はノーベル平和賞に、日本原水爆被害者団体協議会(被団協)が選ばれた記念すべき年となった。ところが、石破首相は「核抑止」に固執し、さらにアメリカとの「核共有」にまで言及しており、核なき世界を目指す世界の流れからも、唯一の被爆国の首相としても、極めて異常なものだと言わなければならない。
 ジェンダーギャップ指数が146ヶ国中118位の日本に対して、国連の女性差別撤廃委員会が、4度目となる選択的夫婦別姓の早期導入を求める勧告を含む「総括所見」が出された。国民の中でもジェンダー平等を望む声は大きく広がっており、先の総選挙では多くの政党・候補者が選択的夫婦別姓の実施を公約に掲げた。
 こうした中で、ジェンダー平等やエネルギー政策、平和の問題でも、国に物言わぬ姿勢は許されない。府民の安全を守る立場で、国に言うべきことを言い、平和を守り憲法を生かす府政こそ求められる。

  1. 隣接する福井県域をはじめ、原発の稼働延長や新増設に反対すること。エネルギー基本計画は、原発を「ベースロード電源」とするのをやめ、再生可能エネルギーを基本とするものに見直すよう国に求めること。関西電力敷地内の使用済み核燃料貯蔵施設建設に反対すること。京都府地域防災計画・原子力発電所防災対策計画編については、30㎞の範囲に限定せず府内全体を対象とすること。
  2. 「京都府地球温暖化対策条例及び京都府再生可能エネルギーの導入等の促進に関する条例」で規定した温室効果ガス排出量の「2050年の実質ゼロ」、当面の目標として「2030年度に2013年比40%以上削減」を規定したが、目標のさらなる引き上げを行うこと。年間880万㌧ものCO2を排出する舞鶴石炭火力発電の廃止を求めること。エネルギーの地産地消、再生可能エネルギーの飛躍的普及をすすめること。
  3. 有機フッ素化合物PFAS は基準値を現行参考値より低減させるとともに廃棄物処分の抜本的強化策を国に求めること。基準超過している綾部周辺の安全対策・農家支援を強化すること。地下水が基準超過している宇治市や八幡市について継続監視・周辺検査を強化し、住民に正確な情報を公表し、健康を守ること。
  4. 京丹後米軍基地強化と自衛隊との一体化、舞鶴海上自衛隊司令部の「地下化」やトマホーク配備、精華町・祝園弾薬庫へのトマホークなどの保管も想定される大型火薬庫建設、日米共同軍事訓練など「安保3文書」で示した大軍拡と「敵基地攻撃能力」保有の具体化の動きに反対すること。舞鶴港への米軍・NATOなど外国軍の艦船の入港、軍事的利用は拒否し、「平和の港」として発展させること。
  5. 憲法改悪、とりわけ9条改憲、緊急事態条項の創設などに反対すること。国に対して、核兵器禁止条約への参加を求めること。
  6. 政治とカネ問題の根絶のため、裏金づくりの真相究明と、企業団体献金の全面禁止、政党助成金の廃止を国に求めること。
  7. ジェンダー平等社会の本格的な実現に向け、選択的夫婦別姓制度の創設・実施、女性差別撤廃条約選択議定書の批准を速やかに行うこと、男女賃金格差の是正、性的マイノリティの人権保障などを国に求めること。府としても、男女賃金格差の実態把握と是正のため対策を講じること、パートナーシップ制度・条例の実現、各種申請用紙等の改善や相談窓口設置などに取り組むこと。
  8. 性別間や世代間、民族間など様々な分断を広げようとする動きに反対の姿勢を明確に示すこと。ヘイトスピーチ、ヘイトクライムについて、防止するための対策を講じること。

 

≪分野別要求≫

(1) 社会保障の連続改悪に反対し、いのちを守る医療・介護・公衆衛生の体制充実を

  1. 「京都府中期的な医療費の推移に関する見通し」(医療費適正化計画)は、実効性が乏しく、上位計画である国計画の廃止を検討するよう国に求めること。
  2. コロナ禍や物価高等の深刻な影響による受診控えが起きないよう、無料低額診療の実施医療機関の目標をもち、また歯科も含め対象を増やすための取り組み、制度の周知徹底をすすめること。また、保険調剤薬局でも実施できるよう国に求めるとともに、府独自に制度を創設すること。公的医療機関における一部負担金減免制度拡充のため支援すること。
  3. 南丹みやま診療所については、休止された入院病床の再開や往診の充実等のため、休止せず地域住民が安心して利用できるよう、すみやかに常勤医師を確保すること。そのために、京都府が直接確保する努力も含め、南丹市と連携して取り組むこと。また、医師確保や看護師等確保に全力をあげること。また、さらに老人保健施設の再開をはじめ、介護保険サービスが利用できるよう、体制確保も含め支援を行うこと。難聴者への公的支援制度を実施するよう国に求めるとともに、京都府として具体化をはかること。
  4. 京都府ヤングケアラー総合支援センターをはじめとしたヤングケアラー対策について、教育現場をはじめ府民的周知を行うとともに、実態を把握し、寄り添った支援に取り組み、生活・学習支援に取り組むこと。
  5. 医師偏在解消を建前とした「保険医定数制」や「自由開業規制」を導入しないよう求めること。また、かかりつけ医以外の受診の際の「定額負担」導入に反対し、紹介状なしの大病院受診の際の「定額負担」制度の拡大は速やかに見直し廃止するよう求めること。
  6. 府立医科大学の地域枠の拡充等、地域の医師不足対策を進めるとともに、医師養成数の抑制政策を見直し増やすこと。
  7. 国民健康保険運営方針の改定にあたり、高すぎる保険料の見直しのため、国による公費負担を抜本的に拡充すること。また、一般会計からの繰り入れなど、これまで市町村が保険料負担を抑えてきた努力を無にする、統一保険料導入は行わないこと。また保険料負担軽減のため、府として支援すること。市町村による資格証明書交付は全廃するよう求めるとともに、人権を脅かすような滞納処分や地方税機構への移管はやめ、国保法44条に基づく窓口一部負担金減免制度を積極的に活用するよう支援すること。
  8. 介護保険制度への公的負担を増やすとともに、医療保険や介護保険制度における窓口一部負担金や利用料負担を軽減すること。保険料滞納者への制裁を中止すること。介護保険への財源措置の強化なしに、「保険あって介護なし」の事態は解決できない段階に来ており、抜本的な見直しを求めること。
  9. 特別養護老人ホームをはじめとした入所施設の計画的な増設、待機者の解消を図り、マンパワー確保など地域包括支援センターへの支援を強化すること。介護保険の補足給付改悪により、介護施設入所者にとって深刻な負担増となっており、国に元に戻すよう求めること。地域ケア会議等への公的関与の仕組みを高めること。
  10. 障害者総合支援法を見直し、「骨格提言」に沿う新法の制定を行い、障害者対策予算の抜本的増額をはかるよう国に求めること。障害児・者の福祉医療の「応益負担」を撤廃し、無料化するよう国へ求めること。65 歳以上の障害者の介護保険優先を定めた介護保険法第7条の廃止を求めること。
  11. 障害者の家族単位の収入認定や自立支援医療費の負担軽減について府独自に改善策を講じること。障害者の既存障害の悪化や二次障害の実態を調査し、国、市町村と協力して総合的な二次障害対策を打ち出すこと。ヘルパー制度について、日常生活すべてを支援できるものとなるよう国に改善を求め、府独自に対策を講じること。
  12. 障害のある人々からの相談と解決に積極的に取り組む関係行政機関の体制を強化すること。府障害者相談等調整委員会や推進協議会に幅広い種別の障害当事者の意見を反映できるよう、体制と運営の充実を図ること。
  13. 障害者の地域での暮らしを保障するため、公営住宅の利用促進、グループホーム、ケアホームの家賃補助の創設、拡充を行うこと。重度心身障害者の医療的ケア体制等の充実をはかること。障害者専門の高齢者施設、介護保険施設を整備・拡充すること。地域活動支援センター事業については、現行の補助金の水準を維持できるように補助額を設定し、府独自の助成制度を創設すること。障害者の仕事確保に向け、さらに官公需を増やすこと。
  14. 重度障害者医療助成制度の拡充にあたっては、精神障害者(児)手帳2級まで対象とすること。また、精神障害者の運賃割引制度を全ての公共交通機関で適用できるようにすること。精神を含む全ての障害者のための「指定相談支援事業所」の増設、24時間対応、精神福祉士などの専門職員の配置の拡充を行なうこと。
  15. 精神科病床を府北部医療センターや中部医療センターに整備するなど、救急医療をはじめとする精神科医療体制の整備拡充をおこなうこと。府立洛南病院の改築にあたっては現場職員の声を充分反映し、医師、看護師などの増員を行うこと。
  16. 発達障害の診断ができる医師の確保に努め、初診待機期間を減らすこと、また、発達障害者支援センターにおける相談体制を充実させること。
  17. 障害児の療育の充実、障害児保育の受け入れの支援と、放課後デイサービスの質の向上を支援すること。
  18. 府立ろう学校の児童が居住地の学童保育・児童クラブを利用できるようにすること。盲・ろう者などの通訳介助者やガイドヘルパーの交通費の負担軽減、自家用車の使用許可、手話通訳者の養成講座を拡充すること。
  19. 医療的ケア児・者を受け入れる生活介護施設の看護師配置・加算の補助金を復活し拡充すること。特に医療的ケア児を受け入れることが出来る療育施設、保育所が不足しており、どの地域でも安心してケアを受けられる体制の整備に全力を上げること。
  20. 京都府福祉医療制度について、所得制限を緩和し、重度心身障害児・者医療制度について、障害者手帳3級と療育手帳Bも対象とするなどに拡充すること。
  21. 桃山学園や府立洛南寮などの福祉施設は本来直営とすべきであり、指定管理者制度に移行後の総括および検証を真摯に行い、指定管理料の引き上げや必要な施設整備、実情に応じた職員体制の強化など支援を強めること。
  22. 民間医療機関の耐震補強工事への公的支援の拡充を行うこと。
  23. 府立医科大学附属病院、府立洛南病院、府北部医療センターの看護師を大幅に増員し、夜勤体制の充実を行うこと。また、長時間労働・二交替制勤務を是正し、不払い時間外労働・違法宿日直などの労働基準法違反をただちに改めること。府立医科大学学内保育所については直営に戻し、保育士の処遇を改善すること。
  24. 府立看護学校の建て替えにあたっては、就労支援策を充実すること。また、寮の引っ越し費用など必要な支援策をとること。准看護師移行教育「二年課程通信制」を早期開設すること。OT、PT、STの養成・確保と地域偏在解消対策を講じること。京都府看護師等修学資金については、貸与額の引き上げや貸与条件を満たしている希望者全員が貸与を受けられるように拡充するとともに、入学時に貸与を受けた看護学生に卒業まで継続貸与すること。また、返済免除要件の年数の緩和をはかること。
  25. 公的年金について、「マクロ経済スライド」をやめ、「減らない年金」とするよう国に求めること。
  26. 自殺対策について、とりわけ若年者の対策を強化するとともに、福祉・医療・教育をはじめとした関係機関と連携し、切れ目ない対策をとること。
  27. 総合的ながん対策の強化について、がん検診の受診率向上にむけ、企業、職域における対策の強化と未受検者への通知、啓発などの対策を強化すること。緩和ケア病床の拡充、がん診療拠点病院での相談体制の拡充と共に、患者の立場に立った相談・支援を行う体制を整備すること。高額な薬価を引き下げる見直しを求めること。AYA世代のガン支援策を拡充すること。
  28. 肝炎対策基本法に基づき、患者救済に必要な具体的法整備と予算化をすすめるとともに、医療機関での無料肝炎検査の実施、肝炎の専門的治療ができる医療体制の整備を図ること。肝硬変や肝がんの治療への助成制度を実施するよう国に求めること。
  29. 難病法は抜本的に見直し、すべての難病患者を医療費助成の対象にするなど、安心して治療に専念できるよう制度の抜本的改善を国に求めること。自己負担をなくす等、すべての難病患者を対象とするなど療養と社会生活を支える総合的対策をすすめるよう国に求めること。さらに府独自に、難病患者の申請書料・診断書料・交通費等支援策を復活させ、20 歳を超えた小児慢性特定疾患患者への支援など難病対象事業適用までの間の支援策を検討するなど、難病対策を強化すること。長期入院児の家族等付き添い負担軽減策の拡充を行うこと。難病相談支援センター及びピアサポートなど患者の立場にたった難病相談活動事業の拡充をすすめること。脳脊髄液減少症への対策などの新たな医療課題に対する体制の整備・拡充をはかること。
  30. 高次脳機能障害支援について、専門医の養成をすすめ、診断・治療・リハビリテーションが行える対応医療機関の整備拡充を行うこと。
  31. 人工透析施設の整備促進など地域における慢性腎不全対策を推進すること。腎機能障害者通院交通費助成事業を透析患者の通院に見合うよう拡充すること。災害発生時における透析患者受け入れ体制の構築をはかること。
  32. 周産期医療情報システムの充実と総合周産期母子医療センター充実のための支援の強化、府南部地域などの医療機関の産科・小児科医師の確保・派遣、NICU後方病院・後方施設の整備を行うこと。
  33. 未熟児・低体重児等、きめ細かな支援が必要な乳幼児に対する市町村の訪問事業への支援を行うこと。
  34. アレルギー疾患対策基本法に基づく実態調査を行い、医療関係者や学校・福祉関係者と連携・協議のもと本府のアレルギー疾患対策の基本計画を策定すること。保健師や栄養士、養護教諭、保育士などに対して、アレルギー性疾患への対策と対応についての専門的な研修を充実させるなど、積極的な人材育成を行うこと。
  35. 化学物質過敏症(CS)・香害など、新たな課題について実態を掴むとともに、あらゆる機会を通じた府民への周知、学校現場での合理的配慮に取り組むこと。
  36. 消費生活安全センターの専門的な相談機能や啓発、市町村への支援など本来の役割を果たすための職員体制の充実と相談員のいっそうの処遇改善に取り組むこと。

 

(2) すべての子どもの発達と学びを保障し、府民の文化・スポーツの権利保障を

  1. 高校で学ぶ権利を保障するため、公立高校の定員を維持し、どの学校でも格差のない豊かな高校教育を保障すること。「府立高校のあり方」に「新しい普通科」など「特別な学校づくり」による学校間格差と序列化を改めること。現行の「入学者選抜」制度の見直しに当たっては、「前期選抜」を直ちに廃止し、現場教職員や保護者、生徒の声を丁寧に聞いて制度づくりを進めること。適正規模を口実にした統廃合は行わないこと。
  2. 私立高校あんしん修学支援制度を拡充し、他府県への通学生や専修学校高等課程、各種専門学校、他府県に本校がある通信制高校も対象とし、生徒への直接助成とすること。
  3. 子どもたちの心のケア、増え続けるいじめや不登校などに対応するため、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを全校配置し、定数化・正規職員とし、相談・支援体制を強化すること。養護教員・事務職員の複数配置、専任の学校司書と栄養教諭の全校配置を支援すること。
  4. 学校におけるICT等の活用については、新たな格差を生まないよう、機器購入や通信環境整備などは公費で行い、機器の利用について教員や児童・生徒をサポートする支援員を各校に配置すること。
  5. 競争教育に拍車をかけ、学力形成に有害な「全国学力テスト」の廃止を国に求めるとともに、テスト結果は公開しないこと。府独自の「学力診断テスト」を見直すとともに、本来の学力形成に重点を置くこと。
  6. 希望するすべての学校に通級指導教室を設置し、教員の定数化、特別支援コーディネーターの専任化などを国に求めるとともに、府独自でも条件整備をはかること。
  7. 外国人の子どもへの教育条件の整備をすすめること。
  8. 地域の教育力の衰退、長時間・長距離の通学、安全面などの不安につながる学校統廃合は推進せず、マンモス校の分離・新設への支援、小規模校の良さを生かした学校教育への手厚い支援を行なうこと。
  9. 子どもの安全を守るため、通学路や園児移動経路などの総点検にもとづく安全対策を急ぐこと。学校周辺及び通学路の危険なブロック塀の撤去、「ゾーン30」の区域拡大など、道路管理者と連携した取り組みを行うこと。
  10. 高等学校生徒通学費補助金の基準を見直し、速やかに拡充すること。
  11. 酷暑が続いており、体育館のエアコン設置を急ぐこと。府立学校の耐震工事、エレベーター設置などのバリアフリー化、トイレの洋式化、老朽校舎の改修を促進すること。北桑田高校美山分校は、体育館の耐震改修をはじめ学習環境の改善をすみやかに行うこと。
  12. 盲聾支援学校の教育条件整備について、京都府の学級編成基準、教員配置を改善し、定数を大幅に増員すること。
  13. 特別支援学級の学級編成基準を8名から6名に改善し教員を増やすよう国に求めるとともに、府として独自に6名とすること。1人でも特別支援学級への希望があれば学級を開設すること。
  14. 特別支援学校の大規模・過密化対策として教職員の増員、教育環境の改善をはかること。老朽校舎の与謝の海支援学校の建て替え計画を早急に具体化するとともに、それまでの対策を講じること。丹波支援学校の大規模化を解消し、子どもたちの教育を保障するため、新たに特別支援学校を亀岡地域に整備すること。
  15. 支援学校のスクールバスや給食(舞鶴・井出やまぶき・八幡・宇治支援学校)の民間委託を改めること。医療的ケア児の送迎について保護者負担の軽減をはかること。
  16. 特別支援学校の教員の未配置解消のため、正規教員の抜本的な定数増をはかること。とりわけ、6年前から続く丹波支援学校の未配置問題の解決を最重視すること。
  17. 児童・生徒への防災教育(原発・放射能被害など含む)をすすめること。
  18. 子どもの意見表明権や思想・信条・良心の自由を尊重し、管理的な校則や指導の見直しをはかること。体罰をはじめ、あらゆる暴力を学校から一層すること。
  19. 子どもたちを対象とする公演鑑賞や創作活動等の機会を増やす等、支援事業を抜本的に拡充すること。
  20. 憲法と子どもの権利条約を生かし、「人格の完成」を教育目標とする、子どもたち一人ひとりの幸せと成長・発達をめざす教育を推進すること。そのためにも、首長等による教育内容への「不当な介入」を行なわず、教育委員会の独自性・中立性を堅持し、保護者や府民、教職員の意見が反映される民主的な教育行政をすすめること。憲法19条に違反する「内心の自由」への侵害、教育への「不当な支配」となる「日の丸」「君が代」の強制をやめること。
  21. 主権者教育、政治教育は、「個人の尊厳」や基本的人権の重要性を学び、批判的に政治や社会の問題を考え行動できるよりよい主権者として成長することをめざすものとすること。高校生の政治活動の自由を尊重し、一般市民と同様に認めること。
  22. 子どもの発達に応じた「包括的性教育」を導入するよう国に求めること。生理用品を学校トイレ等に配備すること。
  23. 公立大学の自治と学問の自由を守り、教育研究活動を保障するために、大学法人への財政措置をはじめとした支援を行なうこと。「戦争する国づくり」と一体となる軍学共同研究は受け入れないこと。
  24. 京都スタジアムについては、「稼ぐスタジアム」づくり優先を改め、真に府民スポーツ振興をはかる拠点として公的施設にふさわしい役割と責任を京都府が果たすこと。
  25. 京都府立文芸会館は、貴重な府民の文化拠点であり、また建物や舞台そのものが貴重な財産である。関係者や利用者の意見を聞き、技術職員体制強化や老朽化対策、修繕を行うこと。
  26. 北山エリア「シアターコンプレックス」は、設計や管理運営に関係者の要望を反映させるとともに、「にぎわい機能」、ホテル・コンベンションの併設は中止すること。旧総合資料館跡地の暫定活用にあたっては業者任せにせず、府として地域住民への丁寧な説明を行うとともに、運営に当たり住民の声を十分に聞くこと。
  27. 府立歴彩館について、指定管理者による管理をこれ以上拡大せず、全体を府直営に戻すこと。
  28. 文化財や文化芸術を「地方創生」や観光の道具とし、「稼ぐ」ことに偏重した活用方針は見直し、関係者の意見をよく聞いて必要な支援を拡充すること。

 

(3) 中小事業者支援と一体の賃上げ、正規雇用拡大、地域循環型経済を

  1. 地域経済の振興のため、小規模企業振興基本法に基づいて「中小企業地域振興基本条例」を制定すること。中小企業団体、商工会、金融機関、労働者、下請職人、大学など研究機関の参加による「地域経済振興会議」を設置し、真に実効ある振興策を確立すること。
  2. 「誰もが人間らしく働ける京都府づくり条例(仮称)」を制定し、実態調査を行うとともに、事業者に対する労働関係法令の遵守や低賃金対策に加えて、府として中小事業者に対する賃上げのための原資確保のための直接支援など必要な支援策の実施や、府職員の体制や処遇の見直しで目指すべき労働環境の在り方を示すこと。
  3. 雇い止め・リストラ対策を抜本的に強化し、雇用を継続・拡大する中小企業等への支援を国に求めるとともに、府独自の対策を行うこと。「1日7時間、週35時間」労働で、人間らしい生活時間を確保し、経済と社会の発展を目指す労働法制の抜本的改革を国に求めること。
  4. 雇用調整助成金特例措置を、コロナ対策だけでなく物価高対策として継続し、失業給付上限を雇用調整助成金の特例に合わせて引き上げ、給付期限を延長、休業支援金制度の改善など、国に求めること。雇用保険の加入条件緩和に伴う小規模事業者の雇用者負担軽減へ支援を行うこと。
  5. 高等技術専門校における職業訓練の機能と体制を強化すること。リスキリング(職業能力の再学習)については、国がすすめる労働市場改革の一環として成長分野への労働移動を促進するものであり、京都府において推進しないこと。
  6. 雇用の安定・創出と地域経済の活性化を図るための企業の立地促進に関する条例に、雇用と地域経済を守る企業の社会的責任を明記し、工場閉鎖や解雇は事前に府に報告・協議し、法令違反や解雇を強行した際は補助金返還を命じる規定を設けること。
  7. 中小企業が障害者の雇用確保と定着をはかれるよう、支援策を講じるなど、障害者の雇用確保と定着に力を尽くすこと。中高年齢者の雇用拡大にむけて求人開拓などの取り組みを強化し、高齢者雇用に取り組むすべての団体を支援すること。
  8. 勤労者福祉会館は、老朽化対策と維持・管理の財政措置を行い、住民合意で機能を存続・強化させること。
  9. インバウンド偏重の観光政策を見直し、府内・国内観光客誘致に重点を移すとともに、府域内での消費を喚起するために内需をあたためる経済政策に転換すること。京都市内で、受け入れ能力を超える観光客が殺到し、住民生活に重大な支障をきたしているオーバーツーリズムへの対策を、京都市と協力して実施すること。
  10. 地域経済への波及効果が大きい住宅リフォーム助成、商店リフォーム助成などを制度化し、経済活性化への支援をつよめること。
  11. 西陣織、丹後織物、京友禅等伝統産業の振興をはかるため、伝統と文化のものづくり産業振興条例を活用し、庁内横断的な総合的対策を行う本部を設置すること。事業所の悉皆調査など、早急に実態調査を行うこと。伝統産業振興のための予算を大幅に増やし、伝統産業育成基盤強化事業の通年化や新規就労支援制度など職人の後継者育成制度の確立等に取り組むこと。炭素繊維の活用など、産地の新たな取り組みを積極的に支援すること。
  12. 西陣織・丹後ちりめんの機料品、道具、部品生産について、府として全国の産地や国にも働きかけ、織機づくり、部品など、生産の具体化を図ること。
  13. 伝統地場産業の技術や材料など消滅の危機にある業種・業界について、関係者の意見を聞き対策を講じること。公平公正で秩序ある流通体制の再構築に向けて、イニシアティブを発揮し、業界団体や販売グループへの支援・育成をはかること。
  14. 丹後地域の織物業の最低工賃引き上げについて、府として国とも連携しながら、最低工賃の徹底に責任を持って取り組むこと。
  15. 文化活動継続補助金を復活させ、施設使用料減免や損失補てん等も支援対象とし、技術職人なども広く支援できるようにすること。
  16. 府全体の産業振興を図るため、振興局も含めた経営支援機能、公設試験研究機関の抜本的な機能と体制の強化を図ること。中小企業技術センターについては、体制と機能強化をすすめるとともに、経営支援機能を復活させ、府の全産業を視野において振興を図る拠点として、体制と機能の強化を行うこと。また北部産業技術支援センター、京都府織物・機械金属振興センターの検査器機設備の拡充、技術職員の確保や充実などをすすめるとともに、市町とも協力して事業所調査の実施など北部中小企業振興を本格的に行うこと。
  17. 大型店と大企業系列店のこれ以上の進出を規制するため、大店立地法の全面見直し、小売商業調整特別措置法の活用や「まちづくり条例」の制定をはかること。商店街の空き店舗活用として、生鮮3品の商店の導入や公共施設の誘致など、来街の動機付けとなる支援施策を実施すること。商店街・小売市場・個人商店の振興のための支援、大型店やスーパーの撤退にともなう、市町村の「買い物難民」対策を府として支援すること。大型店の出店にあたっては、警察とも連携して交通渋滞対策を抜本的に強化すること。
  18. 中小企業支援融資については、中小企業団体などへの経営診断の委託を再度実施すること。信用保証料や金利負担の軽減をはかること。新規開業や新事業への転換、新製品開発に取り組む中小業者に対し、無担保・無保証人、低利で返済猶予期間の長い融資制度の創設、信用保証協会の保証枠拡大など、融資制度の改善・充実をはかること。延納等で納税している事業者について、資格者として資金需要に応えられるよう、改善すること。
  19. 中小企業あんしん借換融資の5号の指定業種について、前年対比での判断でなく、経営実態に即した指定となるようにするとともに、地域ごとでの指定がなされるように国に働きかけること。日本政策金融公庫など政府系金融機関分にも対象を拡大し、延長・継続すること。保証協会の制度融資に対する求償権の放棄ができるように条例の制定をはかること。
  20. 信用保険法の保証割合を、100%保証に戻すよう国に求めること。信用保証協会が中小零細企業支援に資するよう、制度融資の金融機関窓口一本化をやめ、府として経営診断と制度融資を行うしくみに戻すこと。
  21. 暫定登録文化財制度の修復事業をはじめ、文化財修復事業による新たな仕事おこしを進めること。事業推進にあたっては、各同業組合とも連携し技術と意欲のある事業者への発注を拡大し、技能や技術継承・向上に資する支援制度を構築すること。
  22. 公共事業の発注にあたっては、生活密着型への転換、分離・分割発注をさらにすすめ、地元中小業者や官公需適格組合の積極的活用により仕事確保をはかること。小規模工事希望者登録制度を創設すること。事業者による企画・提案を評価して契約するプロポーザル方式による府外企業への発注が増えている現状について、見直しと改善をはかること。
  23. 京都が世界に誇る文化財を維持するため、技能や技術の継承対策を早急に進めること。文化財修復予算を抜本的に拡充するよう国に求め、府としても拡充に努めること。

 

(4) コメ農家、小規模農家をはじめ農林水産業を支え、持続可能な地域づくりを

  1. 改定された「食料・農業・農村基本法」は、輸入自由化・市場まかせに反省がないどころか、食料の安全保障の強化をいいながら自給率向上の目標を投げ捨て、海外依存の姿勢を強めている。したがって、食料自給率の向上を柱とした農業政策への根本的転換をはかるよう、国に求めること。
  2. フードテックについては、遺伝子組み換えやゲノム編集など安全性などへの不安の声も多く、いったん立ち止まり、食の安心・安全や食料システムへの悪影響についての検証を行うこと。
  3. 国連「家族農業10年」にもとづき、小規模・家族農家、兼業農家をはじめ中小の農業経営を支え、農村集落を維持・存続するとともに、食料自給率の向上をはかるため、「京都府農林水産業振興条例」を制定し、農業・林業・水産業の振興に向けた総合計画を策定すること。農林水産技術センター等の専門職員体制や設備の拡充をはかること。
  4. 近年進行する気候変動などにより、天候不順や病害虫による農作物への被害が相次いでおり、国際情勢の不安定さや急激な円安不況のもと、肥料、飼料、原油高騰などによる農家の減収も大きいことから、営農を継続できるよう収入減少への補填・支援を実施すること。カメムシによる被害への支援策は、果樹だけでなく、米も対象にすること。
  5. 種子法が廃止されたもとでも、農林水産技術センターや農業研究所、改良普及センター等、「公」が担う原原種、原種を守り、地域にあった種子開発を強め、府独自の種子条例を制定して自家種子と農家経営を守ること。
  6. 画一的な大規模化や企業参入のための農地再編、規制緩和に反対すること。農地中間管理機構の運営は、農地の貸付等は地域の農業者優先ですすめること。農業機械の更新への支援は、法人以外に集落営農とともに個人の農業者にも助成を拡充すること。
  7. 新規就農者について、研修期間・終了後を通じて支援を強化し、支援金や貸与額の引き上げ・期間延長、農機具の購入支援、住宅対策、技術支援や販路拡大、地域との関係づくりやグループづくりなどに継続的な支援を行うこと。農家子弟の就農に対しても積極的な支援を講じること。
  8. 鳥獣被害対策を強化し、恒久防護柵の設置人件費補助、電気柵等の設置や補修への支援、罠・檻の設置や駆除後の処理に対する助成の引き上げ、捕獲に対する支援金の拡充など、従事者の要望に応えた対策をすすめること。林業大学校における専門家の育成を強化すること。
  9. 都市近郊農家が守ってきた環境と優良農地を維持・保全するため、生産緑地制度の届け出の支援など、振興策の推進をはかること。
  10. コメ作りについて、水田活用交付金の削減中止、法的義務のないミニマム・アクセス米の輸入中止、収入保険や各種農業共済保険料の軽減と条件緩和、飼料用米の助成措置の安定確保、転作に伴う補助金の主食用米に見合う単価への引き上げを、国に求めること。
  11. 中山間地直接支払い制度や多面的機能支払交付金の改善・拡充を国に求めるとともに、府として、いわゆる「限界集落」も含めた中山間地地域・集落への支援をつよめること。
  12. CSF(豚熱)に関する情報収集、野生イノシシへの経口ワクチン散布、定期巡回などの感染拡大防止対策をいっそう強めること。国産牛のBSE検査の復活を国に求めること。
  13. 飼料の国産自給化、特に飼料用稲の実用化への支援を行うこと。乳価引き上げを国に求め、家畜診療体制の強化、酪農ヘルパー制度の拡充など、畜産農家の経営支援対策を強化すること。感染症についての情報提供、感染防止のための資材提供など、対策に万全を期すこと。
  14. 茶農家の後継者対策をつよめ、茶園の再整備や機械化、製茶工場や改植・本ず等への支援および、茶の消費拡大にむけた取り組みをいっそう強化すること。農業共済の掛け金の補助を行うこと。霜被害対策を抜本的に強化すること。
  15. ウッドショックやロシア産木材の輸入規制の影響等による国内木材流通量の減少、価格高騰の調査、便乗値上げ・買い占めなどの監視を国に求めること。
  16. 原木価格の引き上げのために、外国産木材の輸入規制、緊急を要する除・間伐への支援強化、造林経費控除の全額への引き上げ等を、国に求めること。府内産材のいっそうの利用促進をはかり、公共事業や学校など公営施設での優先利用、間伐材の利用など、需要拡大のための積極策を講じること。「ひろがる京の木整備事業」(住宅タイプ)補助金については、施主への直接交付にすること。
  17. 間伐材や木くずの燃料化、バイオマス発電などの推進、再生可能エネルギー事業の促進をはかること。松茸や漆など特用林の振興対策を強化すること。
  18. 森林の持つ資源や景観などはもちろん、水源涵養や防災機能といった多様な働きを維持するために、国に対し森林環境税の交付基準の見直し、一般会計における林業予算の拡充を強く求めるとともに、市町村の体制強化、地産地消の木材活用のさらなる推進を府としても支援すること。
  19. 森林の適正な管理により森林災害を未然防止するため、森林組合への支援、林務事務所、地域振興局などの職員体制を強化し、森林の実態把握と所有者への支援を積極的に行うこと。下流部で水害が発生している森林での残土投棄などを禁止する条例改正を行うこと。放置されている風倒木の撤去を急ぐこと。
  20. 漁業の継続・発展の根幹となる、魚価の引き上げのための対策を実施すること。育てる漁業、資源管理型漁業、沿岸漁業のいっそうの振興へ、栽培漁業センターの体制や設備など支援を拡充すること。担い手対策を強化し、水産加工、商品開発、流通対策、開業などへの支援をはかること。丹後とり貝の振興、燃油対策などを行うこと。放置されている倒木の撤去を急ぐこと。
  21. 府内の漁業の中心を担っている定置網について、負担の大きい網の更新への支援を実施すること。国に対し、定置網の税法上の償却期間延長を求め、設備施設として位置づけられるようにすること。
  22. クロマグロの漁獲量規制について、大中規模の巻網漁業を優遇して小規模漁業者を排除する理不尽な配分が一方的に決められており、小規模漁業者を排除しない配分へ見直すよう、国に求めること。
  23. 府内農産物の地産地消を促進するとともに、「食育」を推進し、全員制の中学校給食の実施、府内農産物の学校給食への活用等がいっそう進むよう、市町村への支援を行うこと。
  24. 「食の安全」確保等のため、食品衛生監視員の専任化・増員をはかるなど体制強化と検査機器の充実をはかるとともに、市町村の消費者相談窓口への支援を強化すること。輸入食品の安全性確保のため、検査体制の強化、製造年月日表示の復活と調理冷凍食品、加工食品も含めた原産国表示を国に求めるとともに、府として府内を流通する加工食品の原産国表示実施の条例を制定すること。
  25. TPP(環太平洋経済連携協定)や、NAFTA(北米自由貿易協定)、日欧EPA(経済連携協定)などは、際限のない市場開放により中小企業や家族農業など地域経済を衰退させ、貧富の格差を拡大するものであり、直ちにやめるよう国に求めること。

 

(5) 地域と住民の暮らしを支え、安全を向上させる建設・交通行政に

  1. 人口減少時代において市街地拡張の大型開発を進めず、老朽化している既存市街地の道路・排水等インフラ整備など住み良い市街地作りを進めること。
  2. 学校、幼稚園、保育所等児童福祉施設、医療・高齢者介護施設、大規模集客施設等の耐震診断、補強工事を急ぐこと。「京都府建築物耐震改修促進計画」の数値目標を達成するため、耐震住宅改修・簡易改修制度を拡充すること。市町村の耐震改修が促進されるよう支援すること。
  3. 住民の理解のもと、土砂災害警戒区域の指定の促進、砂防ダム・治山ダム等の整備をすすめ、土石流、地すべり、急傾斜地崩壊等の防止対策を抜本的に強化すること。また、森林の適正管理を促進し、倒木・流木の抑止対策をすすめること。
  4. 国道の危険箇所の解消、歩行者安全対策を急ぐなど、府民生活と地域経済に結びついた生活関連道路の整備を急ぐこと。
  5. コロナ禍の減便は特に交通困難地域に大きな影響を与えている。在来線の増便などダイヤの充実を鉄道各社に求めるとともに、国に支援策を求めること。鉄道駅のエレベーターの設置などバリアフリー化を促進すること。踏切の改良、転落防止のためのホームドアの設置等の安全対策を早急に講じること。JR奈良線の全線複線化、JR片町線、山陰本線、関西本線の利便性向上への対策を進めること。JR奈良線で住民合意なく廃止された「生活踏切」を復活・整備すること。駅の無人化、「みどりの窓口」閉鎖をしないよう求めること。
  6. 地域住民の交通権の保障、財政支援の拡充を国に求めること。府の補助制度を拡充し、市町村と連携して乗合バス、コミュニティバス、デマンドタクシー等「住民の足」を確保すること。
  7. 府営住宅については、入居の希望に応じた整備を進めること。エレベーター設置などのバリアフリー化、水洗化、設備の改善を進め、エレベーターの電気代、耐用年数がすぎた長期入居者の部屋の畳・ふすま等の取替は、府の負担で実施すること。民間任せの指定管理者制度をやめ、住民の声を生かし自治を尊重した管理に改善すること。
  8. マンション管理適正化法の主旨にのっとり、府として早急に実態調査を行ない、耐震強度にかかる相談も含め専門家によるマンション無料相談窓口の拡充を図るとともに、管理組合の育成・援助、大規模修理に対する融資の拡充など、府独自の対策を行うこと。また、温暖化対策や再生可能エネルギーの導入・省エネ化に取り組むマンションを支援すること。
  9. 土砂災害・水害の危険などへの住民の不安と反対の声を押し切って運用が始まっている南山城村メガソーラーのような、再エネ普及を名目にした無秩序な大規模開発・自然破壊を許さないよう行政指導を強化すること。太陽光や風力発電等の整備にあたっては、「立地困難な保全エリア」など立地条件を調整するゾーニングを規定する等の条例を検討するとともに、良好な自然、景観および生活環境調査と災害防止を目的にした「再生可能エネルギー発電設備設置指導要綱」を策定すること。住民合意と協力、環境を壊さず、利益が地域に還元される再生可能エネルギー利用のため、環境影響評価も含め、府がイニシアティブを発揮すること。
  10. 世界文化遺産、伝統的建造物、重要文化財などの周辺にバッファゾーンを指定し、景観保全をはかること。景観法の積極的活用をはかり、マンション建設等に高さ・意匠規制を強化すること。
  11. 城陽市東部丘陵地開発は一旦立ち止まって見直すこと。山砂利採取跡地に搬入された産廃は覆土ではなく完全に撤去させること。違法伐採した保安林は復元させること。ヒ素・フッ素・ホウ素などによる地下水汚染が確認されてきたが、開発に伴って観測用井戸が一部廃止をされている。地域住民の安心安全のためにも、観測井戸の復旧を行うこと。
  12. 府営水道については、依然として高い水道料金の要因となっている受水市町への供給水量を見直し、過大な「建設負担水量」の押しつけを見直すこと。府営水道施設のダウンサイジング、未利用水利権の活用等を実施するとともに、一般会計からの繰り入れ努力を行い、また国からの財政的支援を強く求め、料金値上げをしないこと。
  13. 向日町競輪場の再整備と一体に進めようとされているアリーナ建設については、6月の住民説明会に先立って5月には事業者の募集を始めるという進め方への疑念や、周辺の狭隘な生活道路など住環境悪化への懸念の声が相次いで出されている。住民理解のないアリーナ計画はいったん白紙撤回し、住民説明会を開催するなど地域住民の声を聞き見直すこと。

 

(6) 災害から府民を守り、環境保全対策、原発ゼロと再エネ促進を

  1. 激甚化する災害に応じた緊急治水対策を講じること。遊水地、遊砂地、山林整備、治山、堤防強化などハード・ソフト一体となった事前防災対策を加速する「流域治水」対策を講じること。
  2. 発生が予測されている南海トラフ巨大地震、日本海側大地震、直下型地震等、大規模地震に対する防災・減災対策を急いで講じること。日本海側の津波に対して、防災・避難の総合対策を講じること。
  3. 避難所の整備・拡充にあたっては、新型感染症の対策として、災害時の感染症対策、感染者の避難所確保や搬送の体制を強化すること。迅速な災害対応をとるため、的確な情報伝達、災害弱者対策、備蓄資機材確保、また、市町村消防団員の定数確保対策、団活動への支援を強化すること。
  4. 水害等避難行動タイムラインの作成や避難所の増設避難所の環境改善など、地域防災計画を実態にあったものになるよう市町村や地域自治組織を支援すること。
  5. 宇治川1,500㌧放流は見直し、各河川の堤防を強化し、大戸川ダムの建設の中止、堤防強化等の促進を国に求めること。
  6. 原子力防災対策は府内全域を対象とし、複数の避難経路の確保など避難計画の実効性を確保し、必要な資機材やインフラ整備対策などの予算確保を国に求めること。初期被曝医療体制、二次被曝医療体制、並びに内部被曝医療機関の整備拡充をすすめ、そのために必要な資機材の整備や医師、看護師等の育成確保をはかること。安定ヨウ素剤について、UPZ内で事前配布をすすめること。
  7. 建設アスベスト訴訟で国と建材メーカーの責任を認定する判決が確定したことをふまえ、国に対して全ての被害者の早期救済・解決を求めること。さらなる被害を防ぐために、府としても関連条例の抜本的な改正や、調査のための補助制度の実施など、必要な対策に全力を上げること。「吹き付け石綿」のみを対象にしている府条例を改正し、2006年以前の全ての建築物を対象にすることや解体工事の事前調査と結果の掲示、発注者による届け出や近隣住民への工事説明会の義務付け、届け出のない解体・改修の現場への立ち入り等を実施し、レベル3を含め解体現場等での新たな被害を防止すること。石綿分析調査、除去工事等に対する補助制度を創設すること。
  8. 盛土規制法による規制区域は府域全域にするとともに、具体的な安全点検を強化し、危険箇所に対する指導を強化すること。全ての盛土を総点検し産業廃棄物、残土など原因の如何を問わず起因者に撤去させるとともに、代執行等も含め早急に安全対策を講じること。
  9. 産業廃棄物の不法投棄を根絶させるために、府の産業廃棄物規制条例による立入検査の徹底、不法投棄のルートと関与者の解明、違反者・排出者の責任による撤去を実施させること。緊急の場合は、代執行など実効ある措置を取るとともに体制の強化を図ること。
  10. ダイオキシンの調査・監視体制の強化とともに発生源対策を抜本的に強化すること。事業者が製造の段階から塩化ビニールなど、ダイオキシンの発生の原因となる物質の生産を大幅に減らし、使用後は回収して再利用をはかるよう指導を強めること。
  11. 中小企業の公害防止対策や公害対策の研究・開発について、助成制度及び税制上の優遇措置の拡充をはかること。
  12. 住宅や小規模工場の屋根への太陽光パネルの設置、自治体主導や住民の共同による事業、屋根貸し太陽光発電事業などを推進するとともに、再生可能エネルギー電力の固定価格買取制度を地域の多様な取り組みを促進するように改善すること。
  13. 絶滅のおそれのある野生動植物保全条例を生かし、絶滅が危惧される野生生物を地域ぐるみで保全するため、府民の啓発や無秩序な開発の規制を強めること。とくに、公共、民間を問わず大規模な開発については事前の環境アセスなど十分な規制措置を講じること。
  14. 海岸への漂着ゴミの対策及び廃棄プラスティックの海洋汚染防止対策を強化すること。
  15. ゴミ収集について、100㌧/日以上の大型焼却工場に集約する「ごみ処理の広域化及及びごみ処理施設の集約化」を強行しないこと。

 

(7) 憲法にもとづく人権、平和、地方自治の尊重――府民が主役の府政を

  1. 京都地方税機構に対し、生活保護基準並みの低所得世帯への強引な差押えをただちに中止し、換価の猶予など滞納整理の執行停止の収入基準を生活保護基準の1.2倍に引き上げ、「納税緩和措置」を活用するよう求めること。府や市町村の課税自主権を侵害する、さらなる「事務移管」は撤回し、課税業務の全面移管の検討は中止すること。
  2. 京都府戦没者追悼式は、「すべての戦争犠牲者」が対象であることの周知徹底をはかるとともに、空襲被害者遺族などによる献花を行うなど、戦没者遺族が主人公の追悼式となるよう、内容を改善すること。
  3. 被爆者健康手帳は、申請にもとづいてすみやかに交付すること。
  4. 土地利用規制法の府域での対象施設の指定中止、法律の廃止を国に求めること。
  5. 日米合同演習や自衛隊の大規模演習、実弾射撃・空砲演習や市街地訓練、航空機の市街地上空の訓練飛行、市民や子どもたちのヘリコプターや車両、艦船への試乗などについて中止を求めること。
  6. 自衛官募集業務への自治体の協力要請、青年名簿の提出などの押し付けをやめるよう、国に求めること。自衛隊での府職員研修はおこなわないこと。
  7. 京丹後米軍レーダー基地について、現在までの米軍の約束違反を検証するとともに、自衛隊を動員した共同軍事訓練、自衛隊福知山演習場での実弾射撃訓練は中止すること。米軍関係者の交通事故等は全件を報告するしくみに戻すよう求めるとともに、再発防止・交通安全対策を徹底すること。日米地位協定の抜本的見直し、米軍基地撤去を国と米軍に求めること。
  8. 「人権」に名を借りた「同和啓発」「同和研修」は廃止すること。
  9. 反共カルト集団である旧統一協会・勝共連合と自民党をはじめとした政党・政治家、地方議員、政府関係者との関係について徹底究明するよう国に求めること。
  10. 財政収入確保対策として、ふるさと納税などへの依存を強め、府有資産活用として府民財産の売却や民間活用の推進、府民利用施設の利用料値上げは中止すること。府民本位の財政確保のためにも、不要不急の大型開発は中止すること。地方自治体の財政需要に見合った一般財源総額・地方交付税の拡充を国に求めること。
  11. 「デジタル田園都市国家構想」、「自治体情報システム標準化」など、自治体が持つ個人情報を企業のために利活用することは中止を求めること。
  12. 政府と財界が狙う「道州制」の導入や市町村再編に反対すること。関西広域連合が関西財界とともに推進する都道府県域を超える広域ブロックや権限強化は、地方自治体の役割をゆがめるものであり、また国出先機関の地方移管や「道州制」の検討などは、中止すること。
  13. 住民や構成府県市よりも関西財界の利益代弁機関となっている関西広域連合について、あり方そのもの抜本的見直し、廃止も含めた検証を行うこと。