令和6年9月定例会 決算特別委員会 書面審査 建設交通部―2024年10月17日〜島田敬子府議の質疑応答部分

◯島田敬子委員  ありがとうございます。2点伺います。
 住宅耐震化総合支援事業についてです。
 能登半島地震における石川県内での住宅被害が7万6,000棟余りで、死因の8割が家屋の倒壊で、改めて住宅耐震化促進が求められております。本府でも、能登半島地震を踏まえて、時限的措置として、補助金額、補助率の引上げ等、拡充をいただいております。
 令和7年度95%の目標になっておりますが、令和5年度の到達状況はどうなっているのかということと、決算では、令和元年から令和5年の事業執行を見ますと、事業費ベースでは1億3,200万円から2,814万円と21%に減少しています。令和4年度、令和5年度は京都市が事業を休止したためと伺っておりますけれども、令和3年度事業ベースでも半分に減少しております。制度の拡充によって促進が進むように期待をしているわけであります。この点で、現在の進捗状況と、そして京都府のこの時限的措置、加えて京都市なども時限措置2年間で、京町家も含む耐震改修等の実施が行われておりますが、市町村独自に同じような制度拡充をしているところはどれくらいあるのか、また現在の進捗状況はどうか、お聞かせください。

◯坂本智生 建築指導課長  まず、1点目についてでございます。令和5年度の耐震化率についてでございます。この耐震化率につきましては、5年に1度行われます総務省の統計調査によっているところでございまして、直近では平成30年度の調査結果ということでございます。しかしながら、私ども独自に推計をいたしまして、直近では令和2年度で88%という状況でございます。
 2点目につきまして、令和4年度、令和5年度、決算ベースで実績が落ちているということでございます。それのみが唯一の原因ではございませんが、委員御指摘のように、京都市さんが事業を休止されたという影響もあろうかというふうに承知をしております。さらに、令和2年度から感染拡大をしましたコロナ感染症、この影響を受けまして普及啓発が十分にできなかったのかなというようなことも原因の1つとして考えてございます。
 それと3点目、私ども、令和6年度、令和7年度、暫定的かつ緊急的な措置としまして事業費を拡充してございます。これに対応する市町村でございますけれども、拡充の仕方はそれぞれですが、基本的に26の市町村全て何らかの形で拡充をいただいているという状況でございます。
 以上です。

◯島田敬子委員  ありがとうございます。
 2024年2月2日の国土交通省の統計を見ますと、持家3,032万戸のうち、昭和55年以前に建てられたもので耐震診断も改修工事も行っていないものが1,038万戸、持家全体の3分の1になっております。本府では、持家66万500戸のうち、診断も改修もしていないのが24万800戸、持家の36.5%、そういう状況であります。
 耐震化が進まない住宅に住む方のおよそ7割が、65歳以上の高齢者であるとも言われておりますが、これをどうやって促進していくのかということで検討が要るのかなと思っておりますし、今回私が問題に思ったのは共同住宅の耐震診断・改修のことです。市町村ごとのメニューを見ますと、共同住宅の耐震診断補助を持っているのが18自治体で、改修補助制度を持っているのは京都市、長岡京市というふうなことになっております。総合支援メニュー事業がここにはまるかどうか分かりませんけれども、これは課題ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

◯坂本智生 建築指導課長  いわゆる共同住宅、マンションに対する耐震化施策についてでございます。直近の私どもの評価といたしまして、先ほど申しました平成30年の総務省の統計、これによりますと、京都府全域では先ほど申し上げました住宅の耐震化率は87%でございますけれども、そのうち共同住宅に限定した耐震化率は95%というふうに出てございまして、そのように承知をしております。さらに、共同住宅で昭和56年5月30日以前、いわゆる旧耐震のものというのは、私どもの手元の資料によりますと、約8割が京都市内に集中しているという状況もございます。
 そうしたことから、京都市、特にその他市町村に対する耐震化の取組といたしましては、まず耐震化率が低いという木造住宅、これに注力して取組を継続しているというのが現状でございます。
 以上です。

◯島田敬子委員  木造住宅も注力してほしいんですけれども、大きなマンションは最近の建物も多くて、やっぱり取り残されている小さな共同住宅というのは大変危険な状況にあるんではないかというふうに思うわけですね。なので、これは京都市が8割ですが、京都府内も2割あるわけで、何らかの対策が必要だと思います。
 それで、花折断層の被害想定の結果で、焼失棟数が増えて死傷者も増えるということで、耐震改修の際に、防火対策も京都市などは入れました。この点は京都府はどのような検討をされておりますか。

◯坂本智生 建築指導課長  防火対策についてでございます。今、私どもとしましては、消防を所管し、また地域のまちづくり主体である市町村の皆様からのお声を踏まえまして研究を続けているという状況でございます。
 以上です。

◯島田敬子委員  ありがとうございます。今の問題、感震ブレーカー等の問題とか、耐震シェルターもなかなか利用がほとんどないということで、こうした課題、また耐震ベッド等、府の計画にも書かれておりますので、しっかりと検討していただいて、少しでも制度を拡充して皆さんの命を守っていただきたいなと要望をしておきたいと思います。
 2点目が、北陸新幹線延伸計画についてです。
 本会議で、8月初めの3ルート案の提示を受けて質問いたしましたが、知事は「国土交通大臣の指示を受けて、知事環境影響評価手続の中も含めて、言うべきことを言っていく」「今発表されたものだけでは判断できないことが多いので、指示を待ちたい」ということでありました。
 その後、国、運輸機構の新たな指示はありましたか。いかがですか。

◯笹井淳 交通政策課長  委員がおっしゃったとおり、8月にルート案が示されたところでございます。その後、知事の発言どおり、国の説明を待っているという状態でございます。
 以上でございます。

◯島田敬子委員 ルート図案は全体像を示すとしておりますが、A4判で5ページ、駅位置とルート図、工期と概算事業費、「シールドトンネルと地下水については影響がない」と、データも示さずに断言をいたしまして、大深度地下トンネルの延長キロ数とか、府南部に建設される車両基地の面積、山間部トンネルの縦断図もありません。深度や河川水系との関係、また4キロないし7キロ間隔で予定される車高の位置も掲載がありませんが、本当に知事が言うように判断できる材料ではないと思います。
 国交省、運輸機構の説明等の関係自治体の会議に副知事も参加されておられますが、どのような発言をされているのか、この際よかったらお聞かせいただきたいと思います。

◯八田直哉 建設交通部理事(交通政策担当)  答弁でも申し上げましたとおり、あの資料をもって説明を受けておりますけれども、京都府といたしましては、今後、国に対しては、施工上の課題及び環境の保全について適切な対応をしていただく必要があるということを伝えているところでございます。

◯島田敬子委員  恐縮ですけれども、副知事さんがその説明会等に参加をされているのであれば、どんな発言をされたのか、よかったらお聞かせください。

◯武田一寧 副知事  説明会では、先ほど八田理事から御回答させていただいたとおり、施工上の課題、これについて慎重な調査と丁寧な説明をしてほしいということと、それから地方の負担については受益に応じた負担を検討してほしいということを常々申し上げておりまして、この連絡会議でも同様の発言をさせていただいております。

◯島田敬子委員  なかなか判断できるような材料もないということで、そのような状況であるのに、京都新聞インタビューで、与党PTの西田議員が「機構が環境面や工期、利便性など問題を整理した上で複数の案を出す。その中から我々が決めることになる」と発言しておりますが、事実はどうなんでしょうか。もともとそういう手続になっているのでしょうか。
 それから、事業の決定権者は法的にはどこにあるのか、お聞かせください。

◯八田直哉 建設交通部理事(交通政策担当)  現在、そういう今後の進め方等のプロセスにつきましては何らまだ説明を受けていないというのが現状でございます。
 「ルートは誰が決めるのか」という質問に対してでございますけれども、ルート案についてどのような形で決めるのかというのは法的に何ら定められているものはございません。ただ、最終的には、環境アセス等、諸手続を経た上で、建設交通大臣が全幹法の工事実施計画の認可をもって決定するという形になるかと思います。

◯島田敬子委員  9月12日に京北の自治振興会、また山国自治会への機構の説明が行われております。明かり区間ができるということで、割と詳細に説明をされております。もう時間がないので中身は省きますが、最後に「言い訳ではないけれども、ルートを決めるのは機構ではなくて与党の委員会であることを強調したい」と、このように強調されているんですね。なので、政権が替わったら1年延びるとか、そんなことも事例はありますけれども、しかし与党委員会は「年内にルートを決める」と発言をしているわけです。
 そういうことですから、もう少しはっきりと、そういう手続になっているのか、それとも勝手におっしゃっているのでしょうか。

◯八田直哉 建設交通部理事(交通政策担当)  先ほども申し上げましたけれども、そのあたりの今後のルートの絞り込み等についてのプロセス、方法等については何も説明を受けていないというのが現状でございます。

◯島田敬子委員  事業の決定権者は法的には定めがないということは、確認しておいてよいですか。

◯八田直哉 建設交通部理事(交通政策担当)  先ほども申し上げましたが、ルートの計画等につきましては、鉄道・運輸機構が実施主体である与党鉄道・運輸機構が最終的に国土交通大臣に工事実施計画の認可を申請して決定するというのが法的な手続ではございますけれども、それに至るまでの今のルート案等について誰がどういう形で決めるということについては、法的な定めはございません。

◯島田敬子委員  京都新聞も「新幹線決定過程自体も問題視されてきたけれども、沿線自治体を中心とした少数の国会議員だけでは多様性や長期的な視野を反映しづらい」「抜本的に見直すべきだ」と指摘しているところであります。
 この西田PT長は「既に環境アセスメントは終了している」とも発言されておりますが、事実はどうでしょうか。

◯八田直哉 建設交通部理事(交通政策担当)  現在、事業主体である鉄道・運輸機構が進めております環境影響評価につきましては、方法書の手続を終え、現地調査、予測評価という手続を行っているところでありまして、今後、準備書の手続が進められるということで、まだ環境影響評価については終わっておりません。

◯島田敬子委員  これも京北の説明会で「現地調査はもう完了した」と、「あとは予測評価の段階に入っている」「山国あるいは田歌区の環境影響評価はまだ終わっていない」と。これは、そばの最初の計画のところでは調査は終わってないけれども、近くでやったから完了という、そういう認識なんですか。

◯八田直哉 建設交通部理事(交通政策担当)  御質問は、現地調査ということでございましょうか。現地調査ということであれば、現在の準備書に向けて現地調査を一定終えて、現在、予測評価を行っているというふうに機構からは聞いておるところでございます。

◯岡本和徳委員長  残り時間が僅かですので、簡潔にお願いします。

◯島田敬子委員  この整備の手法、法律も含めまして、住民も地方自治体も本当に無視をする形で進められております。基本的な私たちの姿勢は、繰り返しませんけれども、今、右京区でもボーリング調査も進められて、住民の不安が高まっておりますし、方法書に対する知事意見等では「住民への説明、意見の聴取の機会を十分確保する」というふうに言われておりますので、ぜひ京都府としても責任を果たしていただきたいと求めて、終わります。