○田原人事委員会委員長 人事委員会委員長の田原でございます。日ごろは、能勢委員長を初め、石田、岡本両副委員長並びに各委員の皆様方におかれましては、人事委員会の運営につきまして格別の御理解と御指導を賜り、厚く御礼を申し上げます。
以下、座って説明させていただきます。
さて、当委員会は、地方公務員法に基づきまして、去る10月21日に田中府議会議長及び西脇知事に対しまして、職員の給与等に関する報告及び勧告を行ったところでございます。
地方公務員の給与や勤務時間その他の勤務条件につきましては、地方公務員法において社会一般の情勢に適応させるという大原則のもと、一つは、職務給の原則、また民間企業従事者や国、他の都道府県職員との均衡の原則などに基づき決定する旨、規定されております。
一方、人事委員会による勧告制度は、地方公務員の労働基本権制約の代償措置として、人事委員会が中立性、専門性を有する第三者機関の立場から、地方公務員法に規定されている諸原則に基づき、職員の勤務条件に関する報告・勧告を行うことにより、適正な処遇を確保しようとするものでございます。
本年もこうした基本的な考え方のもとで、職員の給与等に関する報告及び勧告を行ったところでございます。
その内容でございますが、まず月例給については、府内民間事業所の4月分給与の支給実績等について調査した結果、管理職員の給料カット措置がない場合の職員給与が、民間給与を478円下回っておりましたので、民間企業の水準との均衡が図れるよう、月例給を本年4月にさかのぼって引き上げるよう勧告いたしました。また、特別給、いわゆるボーナスについても、職員の年間支給月数が民間の年間支給月数を下回っておりましたので、0.05月分の引き上げを勧告いたしました。給与以外の勤務条件につきましても、総実勤務時間の短縮、健康の保持増進、職業生活と家庭生活の両立、適正な勤務環境の確立などにつきまして、一層の取り組みの必要性を報告しております。
以上が本年の報告・勧告の概要でございます。具体的な内容につきましては、事務局長から説明させていただきますので、よろしくお願いいたします。
○中本人事委員会事務局長 それでは、お手元の資料に基づきまして、御説明を申し上げたいと存じます。
まず資料の1ページでございます。1の民間給与との比較についてでございます。
(1)月例給につきましては、臨時・特例的なものとして行われております管理職員の給料月額カット措置がないものとした場合、本年4月の職員の給与水準が民間の給与水準を478円、0.13%下回る結果となっております。下の(2)特別給(ボーナス)でございますが、これにつきましては、職員の年間支給月数4.45月に対しまして、民間が4.50月と、職員が民間を0.05月分下回っている状況でございます。
おめくりいただきまして2ページをご覧いただきたいと存じます。これらに対しまして給与改定の内容でございます。まず(1)の月例給につきましては、民間給与などとの均衡を図るため、国の人事院勧告の俸給表の構造あるいは改定内容を基本といたしまして、職員の30歳代半ばまでの職員が在職する号俸について、給料月額の引き上げ改定を行い、諸手当へのはね返り分も含めまして473円の引き上げとなるよう勧告をしております。
なお、この改定につきましては、本年4月時点の公民の格差に基づくものでございますので、本年4月に遡及して実施することを求めております。
次に(2)期末・勤勉手当(ボーナス)につきましては、民間の支給月数に見合うよう0.05月分引き上げ、年間4.50月とするよう勧告をしております。この引き上げ分につきましては、勤勉手当に配分することといたしまして、ボーナスの支給基準日であります本年6月に遡及して実施することを求めているところでございます。
これらの改定を実施されますと、2ページの一番下、コメ印のところの表でございますけれども、職員の平均給与は、年間で22,000円の増額となるところでございます。
また、その表の上ですが、(3)その他の改定でございますが、住居手当につきまして、人事院は手当支給対象となる家賃の最低額を国家公務員宿舎の使用料の状況などを踏まえ勧告をしたところでございます。京都府におきましても、この改定の考え方に準じて、令和2年4月から改定するよう勧告をしております。
次に3ページでございます。3番の給与以外の勤務条件などについてでございます。
(1)アの「総実勤務時間の短縮」に関しましては、1つには、本委員会といたしまして、時間外勤務命令の上限規制などの運用状況を事業場調査などにおいて確認し指導を行うこと。さらには、任命権者におきましては、業務実態に応じた適切な執行体制の整備を進め、全庁的に時間外勤務を縮減すること。また、教職員については、「府立学校の教育職員の勤務時間の上限に関する方針」に基づき、業務改善の取り組みを着実に実行することなどにつきまして、言及をしているところでございます。
また、イの「健康の保持増進」に関しましては、定期健康診断等の全員受診を徹底することや、メンタルヘルス対策として、予防、早期発見・早期対応、職場への復帰・再発防止の各場面におけます対策を推進することなどについて言及をしております。
さらに、ウの「職業生活と家庭生活の両立」につきましては、職員が両立支援制度を利用しやすい職場環境づくりに引き続き取り組むことなどについて、報告をしております。
このほか、エの「適正な勤務環境の確立」におきましては、パワーハラスメントなどを防止するための対策を推進することや、オの「非常勤職員の勤務条件」におきましては、来年4月から導入されます会計年度任用職員の勤務条件が制度創設の趣旨を踏まえたものとなるよう、それぞれ言及をしたところでございます。
また、(2)人事管理につきましては、アの「人材の確保・育成等」に関しまして、高度な専門性が求められます獣医師職などの人材確保に向けまして、受験者確保や採用辞退防止、離職防止などの対策を推進することについて言及をしているほか、高齢期の雇用ですとか公務員倫理の徹底について、報告をしているところでございます。
以上、簡単ではございますが、本年の「職員の給与等に関する報告及び勧告」の概要でございます。どうぞよろしく御審議賜りますよう、お願い申し上げます。
○浜田委員 幾つかお聞きしたいと思います
月例給・一時金の引き上げですが、6年連続の引き上げということは非常に重要だと思うんですけれども、先ほど、30代半ばまでの月例給の引き上げということを言われた。いわゆる中高年の世代は据え置きということになるんですか。
○中本人事委員会事務局長 基本的には、その年齢の状況を見ながら民間の給与水準に合わせていくというのが基本だと思っておりますが、今年の公民格差が478円ぐらいの状況でございますので、特に民間のところで給与水準の伸びが大きい若手から30代半ばまでのところについて改善を図るということで、国の人事院勧告の考え方に準じて勧告をさせていただいているところでございます。
以上でございます。
○浜田委員 40代、50代のいわば一番働き盛りのところで、子育て等々を含めて支出もかかるわけなんで、やはりよくそこも考慮していただきたいなと思います。
2つ目に住居手当なんですけれども、12,000円を超える家賃額を支払っている職員とするというふうに今度書きかえられるということで、12,000円以下の人というのは人数で言うと何人ぐらいおられるんですか。
○中本人事委員会事務局長 今年の4月時点で、家賃が12,000円以下の職員については3名であったというふうに把握をしております。
○浜田委員 3名でわずかではあるんですけれども、この方たちにとっては、今まで1,000円ですか、出ているのがなくなるということは、470円くらい上がったとしても、逆に賃下げになってしまうことになるので、これはちょっと考慮すべきではないかなと思います。
それから3つ目に、獣医師の問題で、獣医師の確保のことの重要性が強調されておりまして、その上で、今度の勧告によりますと、獣医師については確保・定着対策の一環として、他の都道府県の状況等を考慮し、給与上の措置を検討していく必要があるということで、まあ、検討というところにとどまっているんですけれども、他の都道府県の状況ということで、こちらでお聞きしているので言いますと、34県では既に初任給の調整手当だとかいうのが導入されていて、今年もあと4県で新たに導入するということをお聞きしているんですけれども、他の都道府県の状況を見れば京都府もそれは実施すべきじゃないかと思うんですけれども、それはいかがでしょう。
○中本人事委員会事務局長 まず、獣医師の確保については非常に厳しい状況にあるというのは御案内のとおりでございますが、この人材確保につきましては、今は給与上の措置というのを申し上げておりますけれども、全般的にやはり勤務の環境ですとか、あるいは、さまざまなキャリアパスですとか、あるいは受験生の確保のためのさまざまな取り組みですとか、そういう総合的な人材確保対策というのが必要かというふうに認識をしております。その中で、例えば給与上の措置については京都府においてどうなのかというところを、十分分析をして、他府県で行われているような給与上の措置も十分調査をさせていただいて、どういう措置が適切かどうかにつきまして検討を進めたい、そういうことで考えているところでございます。
○浜田委員 その他の都道府県が実際やっていることを京都府でも実施するということも含めて検討をされているということでいいんですか。
○中本人事委員会事務局長 獣医師の初任給につきましては、特に初任給基準の換算の扱いにつきましては、他の職種よりも既に有利にしている部分もございますが、それでもなお他府県に比べて十分でないところがあるのであれば、他県のいろんな措置の導入状況も踏まえて、任命権者と連携しながら検討をしてまいりたいというふうに考えております。
○浜田委員 ぜひ前向きに検討していただきたいと思います。
最後に、職員の勤務条件の問題で、引き続き、時間外勤務の問題について指摘をされていて、今後の改善方向として、
「業務内容や業務量など各職場の業務実態に応じた職制の見直しや職員配置など、適切な執行体制の整備を進め、全庁的に時間外勤務の縮減を図る必要がある」
というふうに指摘をされているんですけれども、現場の声で言いますと、やっぱり職員が足らないという声が強くて、職員を増やしてほしいという声があるんですけれども、そういう声も受けとめて、ぜひそういう方向も提起していただきたいなと。これは要望しておきたいと思います。
○島田委員 人事管理の「高齢期の雇用」のところで、
「高齢層職員がモチベーションを保持し、その役割を十分に発揮できる人事制度の確立」
とあるんですが、今回の中で見ますと、一時金について、再任用職員が増額なしということですが、どのような議論がされて、こういう結果になったのか。今後の検討の見直し、方向について、1点だけ聞かせてください。
○中本人事委員会事務局長 再任用職員のいわゆる期末・勤勉手当の取り扱いでございますけれども、再任用職員の制度導入時の民間におけます高齢層従業員の状況も踏まえまして、一定の再任用職員の給与水準というのは設定されております。その中におきまして、その月例給と、それから期末手当として、いわゆるボーナスとして配分される部分と、バランスを考慮して決められているわけですけれども、一定これまでもあったんですが、いわゆるその月数も定年前の常勤職員とイコールじゃなくて、一定の率を乗じた月数で取り扱いをされているところでございます。この間、定年前の職員について改定があったときも、その割合に応じて改定の検討をしているんですが、その月数については、基本的には0.05月で上下させるものですから、再任用職員の場合には、改定までに至らないという状況もございまして、過去にも、定年前で引き上げがあっても再任用の勧告をしていない年もありますし、逆に定年前職員が引き下げをしたときも、そのイコールじゃなくて、定年前の職員の引き下げ幅を圧縮した改定をしたこともありますので、必ずしも自動的にイコールの改定をしてきていないというところでございますので、何とぞ御理解を賜りたいというふうに考えております。
○島田委員 再任用職員については、制度導入時の状況から大きく変わって、定年前職員と変わらない業務量に加えて、後継者といいますか、後輩の指導等の役割も担っている状況にあって、給与水準が低い状況に置かれているというのは、やはり大きな課題であるということでありますので、いろいろ計算上の問題はあるかと思いますが、職務に見合った水準への引き上げを求めることの検討を要望しておきたいと思います。