平成30年12月定例会 本会議(第6号)- 2018年12月12日

○島田敬子議員  日本共産党の島田敬子です。さきに通告しています数点について、知事並びに関係理事者に質問をいたします。

 まず第1に、美山診療所の医師確保及び僻地医療支援についてです。

 美山診療所は、1998年、美山地域にあった民間診療所の閉鎖を受け、旧美山町が支援し、将来にわたって美山地域の医療を担う施設として設立され、医療法人財団美山健康会に任せる公設民営方式で運営されております。平成28年度には、本府も僻地診療所に指定し、府保健医療計画にも明記されました。
 美山地域は合併後25%も人口が減少し、現在4,000人弱となり、高齢化率は45%を超えています。基幹病院が整備をされた市街地から遠く離れ、340平方キロメートルという広大な山間部で、老人保健施設15床と入院ベッド4床を運営されております。美山地域で唯一、24時間365日、医師や看護師が常駐し、緊急時のケガや急病の患者に対応し、住民の命を支えるとともに、介護施設と連携しながら、地域包括ケアを行うかなめとしての役割を果たしておられます。

 この美山診療所で常勤医師として15年間にわたり献身的に医療活動を行ってこられた尾嵜医師が今年75歳を迎えられ、7月には美山診療所を辞任する意向を表明されておりましたが、現在に至っても後任医師を確保できず、さらに人口減少等で医業収入が減少し、赤字経営を余儀なくされています。こうした中、美山健康会理事会は、入院病床の中止などを柱とする事業改革構想案を提案されました。これは、医師確保の条件整備のために、現在の医師の業務量を減らすしかないという苦渋の選択ですが、患者、住民の間から、大きな不安の声が上がっています。

 現在、まちづくり委員会と各振興会、美山健康会が協力をして住民アンケートが取り組まれておりますが、1週間余りの間に1,300通を超え、現在の美山診療所の存続を願う声が多数寄せられております。自由記述欄には、「診療所に命を助けてもらい、家族みんなお世話になっている。美山の医療を守ってほしい。安心してかかれる医療機関がなくなれば生きていけない」など、びっしりと書かれております。

 そこで伺います。これまで有床診療所としての入院機能を持ち、4,000人の住民の命と健康、地域医療を支えてきた美山診療所の機能と役割を引き続き存続させることが必要と考えますが、本府の見解を伺います。

 この間、南丹市議会でも党派を超えて診療所の医師確保と地域医療存続の要望が出されるなど、美山診療所の存続は、オール美山の声となっております。地元では、美山診療所医師確保対策検討委員会が組織をされる中、現場医療機関や南丹市からも、京都府や近隣医療機関に対して医師確保のための支援・協力依頼が寄せられていると承知をしておりますが、これまでの本府の取り組みと支援の内容について、また現段階の医師確保の見通しについて、お聞かせください。

 本府も御存じのように、これまで尾嵜医師が2人分以上の医師業務を担っておられる現状を考えますと、後任については常勤医師を複数で配置することが必要と考えますが、いかがでしょうか。
 後任が決まるまでの間、緊急対策として、尾嵜医師の業務軽減のために医師派遣の支援が必要と考えます。僻地医療支援病院である中部医療センターからの医師派遣はなぜできないのでしょうか。中部医療センターの医師が不足をしているのであれば、府立医科大学附属病院から同医療センターの医師確保に支援をいただきながら、美山診療所への医師派遣を行うことができるよう機能拡充が必要と考えますが、いかがでしょうか。

 次に、僻地診療所の運営への支援です。美山診療所のような有床診療所では、入院基本料が、病院に比べて著しく低く、さらに山間僻地にあることから、厳しい経営状況に置かれているのが実態です。これに加えて寒冷地対策としての水光熱費、人材確保のための交通費がかさむなど、僻地特有の負担もあります。京都府内に16カ所ある僻地診療所も経営環境としては同じような状況ですが、他は公設公営であり、行政からの財政支援により経営が維持されております。
 そこで伺います。美山診療所と同様の機能を担っている和知診療所では、行政から1億円余の補助金が拠出されておりますが、美山診療所は民営であることを理由に決して十分な財政補助が行われてきませんでした。南丹市の努力も始まっていますが、本府としても何らかの財政支援が必要と考えますが、いかがでしょうか。また、僻地医療を支える診療所への診療報酬の改善を国へ求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 ここまでお答えください。

○西脇隆俊知事  島田議員の御質問にお答えをいたします。
 美山診療所の医師確保と僻地医療支援についてでございます。
 超高齢社会を迎える中、住みなれた地域で安心して暮らすためには、地域医療を確保していくことが重要でございます。とりわけ僻地医療につきましては、拠点病院を10カ所、僻地診療所を16ヶ所指定し、施設整備や運営費に対する補助を通して地域で必要な医療体制を整備しております。
 公設民営で運営される美山診療所につきましても、僻地診療所として指定し、CT等の設備整備への支援を行っております。今回、南丹市と美山診療所の運営法人から診療所の医師確保について相談を受けた際には、南丹市が直営する美山林健センター診療所も含め、美山地域の医療のあり方について、将来を見据え、住民の医療ニーズに合った診療所の機能や経営の見通しを立てる必要があると申し上げているところでございます。
 これを受けまして南丹市におきましては、近隣の病院や地区医師会が参画する懇談会を8月に開催し、そこでは「診療所の担う役割を明らかにした上で、関係者間における支援のあり方を検討すべきである」、また「近隣の病院、診療所との入退院連携等の仕組みづくりが必要である」などの意見が出され、引き続き検討されているところでございます。
 また、医師確保につきましては、地域医療支援センターに設置している京都府医師バンクに就業相談があった医師に対して、優先的に美山診療所の求人情報を提供するなどの対応を行っており、何件かの問い合わせがあったところでございます。今後とも南丹市の意向を踏まえながら、地域においてその役割が果たせるよう支援をしてまいりたいと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係理事者から答弁をさせていただきます。

○松村淳子・健康福祉部長  美山診療所の医師の配置についてでありますが、先ほど知事が御答弁いたしましたとおり、地域医療を守る観点から、隣接する美山林健センターの診療所も含め設置者である南丹市として、住民の医療ニーズに合った診療所の機能や経営のあり方を検討することとし、現在、懇談会を設置され、美山地域の医療のあり方について協議されております。京都府としてはその結果を踏まえて、必要な支援を検討することとしております。
 京都中部総合医療センターについては、僻地医療拠点病院として平成29年度は美山林健センター診療所や和知診療所に、年間290回医師派遣を実施しているところです。さらに、本年12月1日には、同センターを地域医療支援病院として南丹圏域で初めて承認したところであり、南丹市等からの地域医療への支援要請に対し、適切に対応されるものと考えております。
 京都府では、僻地診療所の運営及び必要な機器整備への補助は、官民問わず行っており、美山診療所に対しても、昨年度はCTスキャンを、今年度はX線撮影装置の整備支援を行うこととしているところです。また、診療報酬については、これまでから国に対し、診療所や開業医が地域において果たすべき役割等を法的に位置づけるとともに、診療報酬体系についても、必要な措置や見直しを講ずるよう要望しているところです。

○島田敬子議員  御答弁をいただきましたが、地元の緊急な事態、対応には答えられておりません。中部医療センターから林健センターや和知診療所に派遣はできるのに、なぜ美山診療所には派遣できないのかという理由について、再度御答弁をお願いいたします。
 11月22日に、平成30年度京都府保健医療功労者授賞式で、知事は、美山健康会の活動を
「長年にわたり僻地診療所として医療提供体制の整備や訪問診療、訪問看護、訪問リハビリの推進に尽力するなど、地域医療の充実と向上に貢献した」
と高く評価をされました。このとおり、美山地域の3分の1の方が利用され、70歳以上の高齢者の実に56.4%が受診されているのが、美山診療所です。構想案は、診療所の入院病床を廃止し介護医療院にするというものでありますが、それでは、夜間当直の医師がなくなり夜間休日の初期救急もできず、在宅等のターミナルケアにも対応できません。そして、介護医療院に転換すれば二度と入院病床を確保することはできません。

 私は南丹市議会を傍聴させていただきました。超満員の地元住民の傍聴の中、南丹市長は、
「医師確保、診療所の存立は待ったなし、行政の最重要課題として自覚し決意をしている」
と答弁をされました。その南丹市と思いを同じくし、緊急課題として美山地域の医療を継続的に確保し、現在の水準を存続するために入院病床を確保維持することが必要なんです。明確にこの入院病床の存続等について答弁を再度いただきたい。表彰されました知事の決意を御答弁いただきたいと思います。

 診療所存続の最大の困難は医師確保です。これも、南丹市議会で市長が明言されておるとおり、医療法等で医療提供体制の確保の責任と権限を有するのは京都府です。その責任を果たしていただきたいと思います。「引き続き検討中」などと言っている事態ではありません。現場任せにせず、府の役割発揮を求めますが、今後何を強化されるのか、御答弁をいただきたいというふうに思います。
 今後の医療のあり方についても検討中ということでございますが、その点では、医療現場の調査研究の報告がございます。国の調査報告書を考察しますと、人口10万人当たりの入院ベッドの全国平均を美山に当てはめますと、ベッド数は47.3床、医師数は9.8人となります。また、人口や面積などの地理的条件で美山地域と同じ規模の自治体に、北海道黒松内町がありますが、ここでは、3つの診療所に医師9人がおられ、自治体から2億1,200万円が拠出をされております。美山診療所は2度の補正で、合わせて5,000万円にとどまっております。常勤医師複数配置の必要性の認識、財政支援強化策についても、再度明確なお答えをいただきたいと思います。いかがでしょうか。

○西脇隆俊知事  島田議員の再質問にお答えをいたします。
 超高齢化社会でございます。住みなれた地域で安心して暮らすために、地域医療を確保することが重要だという思いでございまして、特に僻地医療につきましては、必要な体制を整備することが必要だと思っております。ただいま議員御指摘がございました、美山診療所が美山地域において、これまで地域医療に果たしてきた役割を高く評価するという思いは、今も全く変わるものではございません。
 ただ、現在、南丹市等におきまして、今後の地域医療のあり方についての検討が進められておりますので、その検討結果を踏まえながら、検討結果が出ますれば、早急に支援に対する検討を我々も進めてまいりたいと思っております。
 その他の再質問につきましては、関係理事者から答弁をさせていただきます。

○松村淳子・健康福祉部長  京都中部総合医療センターからの美山診療所への医師派遣についてでございますが、先ほど御答弁もさせていただいたとおり、今現在設置者としての南丹市の方が、そういう意味では住民の医療ニーズに合った診療所の機能また経営のあり方について、懇談会で検討されているところでございます。その検討の結果を踏まえて地域医療への支援要請に対して、中部医療センターとして適切に対応されるものと考えているところでございます。
 また、美山診療所への財政支援等についてでございますけれども、先ほども御答弁させていただきましたとおり、京都府では、僻地診療所の運営及び支援に対しては、官民問わず実施をさせていただいており、美山診療所に対しても、昨年度はCTスキャン、今年度はX線撮影装置の整備支援を行っております。今後も必要に応じて支援をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

○島田敬子議員  安心して住み続けられるためにとおっしゃいましたけれども、住民が住み続けられるかどうか、本当に命にかかわる問題でございます。懇談会の場に京都府も参加をされておりますが、何らリーダーシップを果たしておられません。CTが入って、緊急時の検査ができて命が助けられております。こうした医療機能も充実をさせるということが重要です。
 合併で役所がなくなり、学校も地域からなくなり、この上に医療も縮小では、住民は安心して生きて暮らしていくことはできません。美山診療所の現在の機能を拡充するためには、入院病床の確保ができるよう、医師確保と財政支援をさらに拡充をし、さらなる充実に向けて、京都府の責任を果たされるよう強く求めて、次の質問に入ります。

 次に、介護保険の生活援助制限及び介護人材確保について、質問をいたします。
 この10月1日から、ケアプランを作成するケアマネジャーに対して、生活援助中心型の訪問介護で一定回数を超えるケアプランは保険者である自治体に届け出を出させ、地域ケア会議などで検証を行い、ケアプランが不適切な場合は、是正を促す仕組みが導入をされました。
 議論の発端は、財務省です。「平均は月9回なのに、月に31回以上利用している人がいる」と、無駄遣いであるかのように言い出したことがきっかけでした。「要介護1で月26回、要介護3では月42回」など、要介護度別に基準となる回数を決め、これを超えるものを届け出の対象としました。これに対して、認知症の人と家族の会などは「在宅介護の実態とかけ離れいる」として、回数を制限しないよう再三にわたり要望をされております。こうした中、厚生労働省自身が合計90回以上の多数回利用がある自治体に対し、サービスの必要性について調査をしたところ、96%のケースで「適切またはやむを得ないサービス利用」であり、「不適切」とした事例についても「人工透析患者で在宅は限界であり、今後は施設入所も含め話し合いが必要」という事例など、「不適切な事例」は全くなかったのです。

 この間、府内事業所で働くヘルパーの皆さんでつくる京都ヘルパー連絡会が、「生活援助」の利用状況について、府内全市町村のホームヘルプ事業所を対象とした実態調査を行われました。
 生活援助を週に6回から7回以上利用される方の場合、独居の割合が74.3%に達し、年齢も80歳以上が75%に上ります。心身状況では、脳血管疾患、骨関節疾患、心疾患、認知症が複合しており、多くの課題を抱えていることが明らかになりました。
 83歳で要介護2の女性は1人暮らし、認知症の中核症状である記憶障害や認知機能の障害のため生活に支障を来し、食事の準備、食事、服薬もひとりではできず、親族の日常的訪問もありません。御主人がなくなったことがわからず、介護拒否も見られ、生活援助が減らされれば、認知症がますます進み、生活の質が下がります。
 80歳、要介護2の女性も1人暮らし。認知症はありませんが、声かけをしなければずっと寝ている生活です。1日1回45分の訪問で、ヘルパーは声かけをしながら、糖尿病のある利用者の3食分をつくり、掃除、洗濯、買い物、寝具の整理などを行っています。生活援助が減らされれば、服薬もせず体調不良が起きます。生活リズムが悪化し、在宅生活が継続できなくなる事例です。
 これらは決して特殊な事例ではありません。ヘルパーの援助が生きていくことを支え、病気の重症化を予防しています。毎日の訪問は、生活リズムを整え、意欲を引き出し、高齢者のうつや認知症の予防にもなっているのです。このように、生活援助は単なる家事代行ではなく、すぐれて専門性の高い支援を行っているのであり、多様な人材の活用で代替できるものではないということは明らかではないでしょうか。

 また,京都社会保障推進協議会が実施した府内自治体の生活援助の回数制限に関する調査では、多くが「機械的制限はしない」としながら「現在、逸脱する事例はないが、大きく乖離する場合は、適正かどうか検討する」とか、「国の基準が出ているので、それが前提だ」とか、「ケアマネが見て必要性を判断する。国から言われたからとはならない」など、検証法も検証体制も適否の判断も、自治体に大きなばらつきがあり、苦慮されている実態が明らかになっております。
 一方、現場からは、
「ケアプランを行政主導の別機関で検討するとなれば、ケアマネジャーが萎縮するのは目に見えている」
「最初から回数を抑えたケアプランになってしまわないか、心配」
との声が出されております。既に届け出義務を見越して、生活援助の回数を規定数以内におさめる動きも出ております。

 代表質問で、知事は、「生活援助の制限が目的ではない」と答弁されましたが、根拠が崩れた「利用制限」を盾に、ケアマネジャーがしっかりアセスメントをして立てたプランについて、届け出を義務づけること自体が問題なのです。
 そこで伺います。ヘルパー連絡会が行った調査結果については、理事者にもお届けをいたしましたが、ごらんになりましたか。そして、それについてどのような認識を持たれたでしょうか、お聞かせください。
 また、府としても、介護の現場や利用者の実態及び自治体での取り組みの現状を把握すべきですが、いかがでしょうか。
 そして、国に対し「生活援助制限」などの中止・撤回を求めていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

 さらに、政府は今年度、保険者機能強化推進交付金200億円を、国が一方的に自治体を評価しランク付けし、成果を上げた自治体に財政を優先的に分配する、いわゆるインセンティブ改革を進めています。この交付金の条件の中に、「生活援助の訪問回数の多いケアプランの地域ケア会議での検証について、実施体制を確保しているか」などの項目があります。また、「介護予防・重度化防止」の名のもとに、給付抑制に誘導する指標が組み込まれています。こうした財政圧力によって利用を抑制するやり方はやめるべきと国へ迫るべきではありませんか。
 適切なケアプランを練り上げるために、ケース検討会議やサービス担当者会議に、利用者の生活をよく知っているヘルパーが参加できるような仕組みを構築することが必要と考えますが、いかがでしょうか。
 ヘルパーの8割が非常勤職員であり、低賃金にあります。総合事業などの導入が、さらにこうした事態に拍車をかけております。このような在宅介護の現場とともに、施設サービスでも深刻な人材不足となっております。第6期の介護保険事業計画の施設整備が頓挫する事態になっております。小規模多機能施設を計画していたが断念した宇治市、ショートステイを休止せざるを得ない事業所がある亀岡市、60床定員で30床しかあけられない宮津市、認知症対応グループホームが撤退した精華町、老人保健施設100床の整備計画を断念した福知山市、ショートステイを一部閉鎖した和束町など、介護現場の深刻な人手不足は制度の基盤を脅かす重大事態となっております。

 そこで伺います。介護人材の不足を解消し、介護制度の充実を図るためには、全産業平均を月10万円も下回っている介護労働者の低賃金を改善し、過酷な労働環境の改善がどうしても必要です。歴代政権の介護報酬抑制路線のもと、多くの事業所は経営難に苦しみ、介護分野は低賃金の非正規労働が主流となっております。
 介護報酬を引き上げながら、事業所の雇用管理や法令遵守を図り、正規化・常勤化の流れをつくること、国費による介護職員の賃金引き上げの仕組みを創設し、賃金引き上げの実効性を確保するためのベースアップ等を要件に入れることが必要と考えます。また、介護保険施設の人員配置基準について、「利用者3人につき職員1人以上」を、実態にふさわしく、「利用者2人に対して1人以上」に引き上げるなど、改善を進めることが必要です。これらについて国へ強く求めていただきたいと考えますが、いかがでしょうか、お答えください。

○松村淳子・健康福祉部長  介護保険の生活援助についてでございます。
 介護保険は介護の必要な方を社会全体で支える社会保険制度であり、地域の限られたサービス資源を真に支援を必要とする方に届けることができるよう、保険者である市町村がサービスの実態を把握し、ケアマネジャーや事業者とともにサービスの質の向上に取り組むことが不可欠でございます。ホームヘルパーについては、利用者の身近な支援者としてその専門性を発揮しながら介護保険サービスを支えていただいているところです。
 今年度から開始された生活援助の届け出については、過度な生活援助が高齢者の心理的、身体的な自立を妨げる事例もあることを踏まえ、通常の利用形態からかけ離れた利用回数となっているケアプランを対象としており、多職種による多角的な視点からケアプランの検証を行い、利用者の自立支援にとってよりよいサービスの提供を目指すものでございます。
 届け出の運用は、本年10月から始まったところでもあり、市町村による点検の実施状況を今後把握してまいりたいと考えております。
 また、保険者機能強化推進交付金については、高齢化の進行により介護を必要とする高齢者が増加する中、地域包括ケアの充実に向け、保険者として市町村が果たすべき役割がますます大きくなっていることから、市町村が取り組む自立支援、重度化防止等の取り組みを支援するため、既存の調整交付金とは別枠で、今年度新たに創設されたところでございます。
 この交付金の評価指標については、地域の高齢者の課題分析と効果的な施策立案につなげるため、多職種による地域ケア会議の充実、在宅医療・介護の連携の促進、多様な生活支援体制の整備など、保険者が地域包括ケアの推進に向けて取り組むべき内容が網羅されており、利用抑制の観点で評価されているものではございません。
 京都府としては、市町村が本交付金を活用してより質の高い介護サービスが提供されるよう、高齢者の自立支援に向けた課題分析や地域ケア会議に係る研修など、きめ細やかな支援を行っているところです。また、介護サービスの提供に当たっては、関係する多職種が連携したチームケアが非常に重要であり、サービス担当者会議等においては、現制度においてもケアマネジャーが必要に応じてホームヘルパーを含めたサービス等の担当者を招集して開催されているところです。
 介護人材の確保対策については、京都府では「きょうと福祉人材育成認証制度」により、常勤職員としての採用、職員のキャリアパスと連動した給与の制度設計、休暇取得など、就労環境の改善を進めております。また、これまでから国に対して介護・福祉職員の資格や経験が正当に評価されるよう処遇改善を強く求めてきたところであり、その結果、国においては、これまで4回にわたり介護職員の処遇改善が行われ、月額5万7,000円の加算が実施されたところです。さらに、国の社会保障審議会においては、次期報酬改定に向けて賃金のベースアップ等につながる視点を含めた報酬改定の検討が行われているところであります。
 人員配置基準につきましては、京都府では、介護サービスの充実を図るために、これまでから手厚い職員配置に努力する事業所に対して介護報酬の充実を繰り返し国に求めており、平成21年度からではございますが、介護職員や夜間職員の配置に対する加算などの措置がなされているところです。

○島田敬子議員  「生活援助の制限をするものではない」「利用抑制にはならない」というふうな答弁でございました。厚生労働省も利用制限の基準を超える事例、90の事例について、不適切ではないと言われておりますね。それで「過度の支援が自立の妨げになる事例がある」とおっしゃいましたが、厚生労働省の調査でも基準の根拠が明確にできないのに、部長はそういう実態があると、どこでつかまれているのでしょうか。
 それで、地域ケア会議が利用制限の場に変わり、ケアマネの自己規制や届け出制度が実質的な上限となる可能性は、府下の自治体の答弁を聞いておりましても否定できません。
 地域ケア会議で検証すると言いますが、ヘルパーも利用者も家族もいない中で判断するなど、言語道断だと思います。それで実態をぜひ調査していただきたいし、必要な意見を上げていただきたいというふうに思います。

 多職種連携とかいろいろ言いますが、国は介護費用の抑制、これが最大の目的なんです。利用者の立場に立った計画ではありません。既に初期認知症の人が含まれる要支援1・2の人の訪問介護と通所介護が介護保険から外され、自治体の総合事業に移行いたしました。本府も専門職でない「住民の支え合い」サービスを広げる計画ですが、事業所の参入は進まず、住民主体のサービスは担い手不足というのが実態であり、これらを要介護1・2に広げて、さらに給付を抑制するなど、保険あって介護なしの制度改悪にキッパリ反対すべきであります。
 介護現場の深刻な人手不足は、制度の基盤も脅かす重大事態との認識を持っていただきたいと思います。処遇改善5万7,000円の加算制度などが実際に労働者に届いたかどうか、そのような調査もしっかりしていただきまして、必要な意見を国に上げていただきたいと思います。
 指摘をして質問を終わります。ありがとうございました。