平成23年12月定例会 本会議(第6号) 一般質問―2011年12月9日〜島田敬子府議の質疑応答部分

◯島田敬子議員  日本共産党の島田敬子でございます。さきに通告しております数点について、知事並びに関係理事者に質問いたします。
 まず、中丹地域医療再生と地域包括医療・ケアについてです。
 私は先日、岩手県南部、宮城県との県境にある一関市立藤沢病院、旧藤沢町民病院をお訪ねして、病院と福祉医療センターを核にした保健、医療、福祉を総合的にとらえた包括医療ケアの実践をお聞きしてきました。藤沢病院は、「長くよい医療をするためには、患者を大事にするだけでなく、住民を尊重する医療機関になることだ」として、積極的に地域へ出て住民と対話し、病院運営に生かしてこられました。佐藤院長は、「地域医療は、総合的医療と包括医療という2つの軸で考えなければならない。包括的医療とは、医療の前後を考えるということで、健康なときにも関心を持ち、治療が終わっても症状が安定したときも責任を持って一人一人の人間を見ていくこと。一方、総合的医療というのは、頭の先から足の先まで肉体を一つのものとして理解し、できるだけ患者のリクエストにこたえていくことだ」と言います。住民も医師も研修医も参加する「藤沢地域医療セミナー」では、患者さんや地域住民の医療に対する理解が深まるとともに、地域医療を志す医師や医学生が住民の手によって育てられておりました。藤沢病院の実践と高い理念にあこがれ、研修医が次々に来られるようであります。
 それらの取り組みにより、住民の健康増進、医療費の低減、国保税まで安くなり、病院経営も黒字です。地域で育てられた若い研修医がいよいよ着任されるそうです。そして何より、震災のときにはこれらの実践によってつくられたネットワークが生かされ、一人の犠牲者もなく住民の命が支えられたとのことです。
 さて、こうした実践が京都にもあります。京丹後市の久美浜病院の取り組みです。旧久美浜町でも、病院を核として、保健センター、特別養護老人ホーム、デイサービスセンターなど保健・医療・福祉のゾーンを整備し、断らない救急、病気の診断・治療はもとより、疾病予防活動、さらに介護の支援など、地域包括医療・ケアを営々と取り組んでこられました。地域包括医療をやることによって、住民が健康で長生きし、医療費が安くなり、国保税も安くなる。医師のモチベーションも上がり、定着しているとのことです。
 合併時に、京丹後市に2つの市民病院は要らないと統廃合、民営化の危機にさらされた久美浜病院でしたが、住民の粘り強い運動で、現在、市立病院として立派に発展しているのです。この3月末に退官された奥田院長は、「公設公営でこそ行政との連携もとれて地域包括医療が展開できる」と強調され、行政の担当者も自治体病院の果たしている役割に誇りを持っておられます。この際、このような地域包括医療、包括ケアの取り組みと自治体病院の役割をどのように認識されておりますか、お聞かせください。
 さて、こうした観点で、現在検討中の中丹地域医療再生計画を見ますと、事態は全く逆さまです。11月8日の第2回関係者会議で了承された中丹地域医療再生計画に関する京都府の修正案は、舞鶴市長の提案をほぼ丸のみにした内容で、選択と集中、分担と連携による地域医療の再生、東西のバランスに留意しつつ、個々の病院の特色ある分野の機能充実による疾患別のセンター化、公的4病院の再編・連携を推進する、舞鶴市民病院は療養病床に特化し、日赤の横に移転、新築するとしています。地域医療再生のかなめである医師確保の展望や中長期的な具体的計画もなく、明瞭になったのは病床数の削減と25億円の基金の配分だけです。
 修正案の第1の問題は、市民病院の役割を療養型病床に特化し、救急医療、住民健診、リハビリや過疎地域の支援など、これまで市民病院が果たしてきた役割をなくしていいのかということです。公的3病院が疾患別のセンター化になるなら尚更のこと、本来、市民病院は総合医療を提供し、保健・医療・介護の分野まで包括的に支援することが求められていると考えますが、いかがですか。見解を伺います。
 回復期リハビリ病床、療養病床は不足しており、東舞鶴にも必要です。さらに、第一次救急医療施設については西舞鶴も強化しなければなりません。人工透析の施設が西舞鶴に必要という声もあります。東西バランスを考えるなら、地域全体の住民ニーズに照らして何が必要か検討されなければならないはずです。さらに、中丹地域は、京都府保健医療計画の基準病床数2,546床に対し257床の不足と、府内6医療圏域で最大の不足数となっております。これで200床の削減では計画との整合性がとれないではありませんか。いかがですか。
 第2の問題は、本府がこれまで舞鶴の地域医療の現状と課題について指摘をした、産婦人科医師の不足により困難を極めている周産期サブセンターの再構築や整形外科医がいないため交通事故など多重外傷に対応できていない問題の解決、呼吸器外科、リハビリテーション科、麻酔科、病理に常勤医師が不在であり、小児科、放射線科、産婦人科についても十分な体制が構築できていないこと、一人診療科の解決を一刻も早く行うことが求められておりますが、修正案にはその肝心かなめの解決策がありません。
 市長は、説明会で、「美術館やデパートがない。子どもの教育環境も整っていない田舎には、医師が来たがらない。現状維持で行くしかない。基金25億円を原資に4つの病院が100億円かけてリニューアルをすれば、若い医師にとって魅力ある病院になる」と言っていますが、「医師確保などを含め、病院間の連携は舞鶴地域医療連携機構が役割を果たす」としながら、「舞鶴市には権限はない」と発言をいたしました。具体的な構想も明らかではありません。京都府も、8日の関係者会議の場で、「舞鶴市が地域医療確保のために努力を。府立医大は医師派遣は厳しい」と、半ば突き放した対応であると聞いております。
 本府はこの3月に京都府における今後の医師確保対策についての提言をまとめ、中丹医療圏ではあと75人の医師が必要であること、医師のキャリア形成支援や大学における地域貢献の取り組みを強化して、医師の勤務環境の改善を進めるとされました。6月には、地域医療支援センターを開設し、22年度からは府立医大に地域医療を担う総合医を養成することを目的に「総合医療・医学教育講座」を開設されました。修正案は、これらの取り組みや計画との整合性もとれておりません。舞鶴の地域医療の再建と住民の命を守るために、医師確保の本府の責任を果たすべきと考えますが、いかがですか。お答えください。
 第3の問題は、府立舞鶴こども療育センターの病床を60床から30床に半減をして、舞鶴医療センター敷地内への移設が突如盛り込まれたことです。施設職員も支援学校北吸分校職員も保護者も、圧倒的多数は新聞報道で知らされる中、大きな不安を寄せておられます。舞鶴こども療育センターは、府でただ1つの肢体不自由児施設です。9月定例会で、全会一致で採択された「重度心身障がい児に対する施策の充実に関する請願」の審議の中で、重度障害児・者の短期的入所に対応できる医療型ショートステイが不足をしている実態、また、舞鶴こども療育センターでは受け入れてもらえず、亀岡の花ノ木へ行かなければならない現状が明らかになりました。こども療育センターに実情を聞きますと、入所児童生徒の重度化に伴って、医師や看護師、理学療法士等が不足しており、受け入れたくてもできないのが現状とのことです。必要なマンパワーを確保してニーズにこたえる体制こそ整備すべきではありませんか。
 また、当施設は児童福祉法に規定する施設でもあります。医療と教育、福祉との連携が必要な施設の重大な変更を関係者との具体的な協議や合意なしに進めることは許されません。本府は、現場が10年来要望してきた屋根の防水工事や給湯の配水管が破れるなど老朽化した施設設備の改善要望にもこたえず放置してきました。ですから、施設がよくなることは現場も望んでおります。しかし、ベッド数が減らされることによって職員が減らされるようなことでは困るとおっしゃっております。また、軽度発達障害児や家庭崩壊、虐待等で児童相談所が介入した事例への対応等、今日的課題に対応できる体制へ拡充することも望まれております。小児医療の充実にとどまらないさまざまな課題があります。病床削減は撤回し、こども療育センターのあり方、整備方向について十分な検討を求めるものです。いかがですか。
 修正案は、これから国の承認を受けるところにもかかわらず、舞鶴市は早々に療養病床のみの新病院設計予算を編成する等、あまりにも拙速です。本府も医療審議会に対し、修正部分のみしか提案されておりません。当初計画との整合性がとれないからではありませんか。このままの修正案を国へ提出されるおつもりでしょうか。こうしたやり方を知事は認めるのか、ぜひお聞かせください。修正案について根本的に見直すべきです。いかがですか。

 次に、原子力防災計画の見直しと食の安全問題で伺います。
 私は先日、党京都府議団を代表して、国会議員団、福井県及び近畿各府県議団とともに、経済産業省、環境省、文部科学省へ「世界一の集中立地点、福井原発からの撤退と原子力行政の抜本的転換を求める要望書」を提出し、懇談を行ってまいりました。原発の再稼働問題で経済産業省の担当者は、「今まさに福島原発事故の原因究明の途上である。現段階で新たな知見はない」と繰り返し発言をいたしました。地震の影響、耐震性の見直し、過酷事故が起きた場合の対応、放射能汚染の流れ、原子力防災等の肝心の点はほとんどこれからです。こうした中、2日には東京電力が福島第一原発事故に関する中間報告を発表いたしましたが、想定外を繰り返すなど全く反省がありません。
 知事は関西電力に対し、立地県並みの安全協定を求めておられますが、福井県知事と同じというのでは、立地県並みの責任ある発言とは言えません。大飯原発の再稼働はするなと関西電力へ強力に求めていただきたいと考えますが、いかがですか。
 さて、立地県並みの責任ある判断をするには、情報・伝達網の強化や府の監視体制の強化が求められます。モニタリング体制については30km圏を中心に拡充されましたが、放射能プルーム防護措置対応も含めて、リアルタイムで観測データが伝送されるテレメーターシステムを府域全体で整備するなど体制を強化する必要があると考えます。また、長岡京市、井手町が独自で放射能測定機器を整備されますが、その他の市町村とも連携して整備をすべきと考えますが、いかがでしょうか。
 現在の放射線監視体制、環境影響監視業務について、これまで温排水検査等、高浜原発を中心に監視をされておりますが、大飯原発にも対象を広げる必要があると考えます。さらに、土壌調査や水源地のモニタリングも拡充すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 また、琵琶湖の放射能汚染対策が課題となっております。本府の暫定計画の見直しの中でも水源問題を検討すべきとの意見も出されました。琵琶湖のモニタリング体制も整備する必要がありますが、先日の環境省の交渉で、竹生島にモニタリングポストを設置するよう求めたことに対し、明確な答弁がありませんでした。府民の命の水源でもあります琵琶湖の水のモニタリングの実施を国へ要望すべきと考えますが、いかがですか。
 次に、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の活用についてです。
 福島では情報がないために、南相馬市から飯館村へ逆に高濃度の放射能汚染地域へ避難する事態になりました。地域防災計画の見直しをしている今こそ、福島原発事故のデータを参考にしてシミュレーションを行いハザードマップを作成して、その想定に基づいた避難計画等を防災計画に盛り込むべきと考えます。また、福井県でも本府でも、現在は10キロの狭いエリアしか予測ができません。文部科学省交渉では、SPEEDIは92km四方の計算ができるそうです。府内全域をカバーできるシステムに改善し、公表すべきです。
 また、被曝医療機関は拡充をされたものの、被曝医療の専門医が大変不足している実態も政策常任委員会で明らかになりました。今後の養成・確保計画についてお聞かせください。
 これらの推進のために、京都府の職員体制についても、原子力工学や放射線防護等の技術や知識を有する専門家を配置するなど、立地県並みの体制を整備すべきと考えますが、いかがですか。
 最後に、食品の放射能検査体制についてです。先日、NHKのETV特集番組で、沿岸部の放射能汚染の高濃度の海域が、福島県沖よりも茨城県沖などに南下をしており、海のホットスポットとも言うべき海域があること、さらに、お米についても連日報道がありますように高濃度のセシウムが検出される等の事態、さらには赤ちゃんの粉ミルクまで汚染されていることが大問題になっています。安全な食べ物を子どもたちに安心して食べてもらえるよう、改めて学校給食食材の検査体制の強化を求めるものです。
 国の補正予算で学校給食の放射能検査機器の整備費が予算化されましたが、その対象は17県にとどまり、京都府は配分なしとされました。食材は全国規模で流通をしているのです。改めて、国に対して予算の拡充と対象地域の拡大を要望すべきと考えますが、いかがですか。
 また、地方消費者行政活性化交付金を活用した食品の放射能測定機器の購入が可能となっております。京都府基金を活用し、市町村でも活用できるように周知徹底をすべきと考えますが、いかがですか。
 以上、お答えください。

◯山田啓二知事  島田議員の御質問にお答えいたします。
 中丹地域医療再生と地域包括医療・ケアについてでありますけれども、私どもも地域包括ケアを推進しておりますけれども、これはやはり、公的病院はもとより、民間病院、さらにはかかりつけ医も含めて多くの医療関係者等が連携して、そしてそれに加えて介護・福祉サービスとも一体となって取り組む必要があるというふうに考えています。そうでなければ、私はこうした包括ケアというのが単に点で終わってしまう、面的な広がりというものを持てないんじゃないかと思っておりまして、そこに包括ケアに対する私ども広域行政組織としての都道府県の役割があるのではないかなと考えているところであります。
 とりわけ、かかりつけ医と地域の病院が連携し、入院が必要となった場合には迅速に対応するなど、安心して地域で生活を続けることができる環境を整備していくということが重要でありますので、ドクターズネットや在宅療養あんしん病院など、京都オリジナルの包括的なケアについて、今、私どもは話を進めているところであります。
 その中におきまして、公設公営病院の役割といたしましては、これはいろいろなものがあると思いますけれども、医療資源が厳しい地域において安定した医療を提供していくことでありますとか、高度な医療を提供する拠点病院としての役割を果たすなど、さまざまな役割があると思っております。ただ、地域におきましては、もちろん私立の病院も本当に大きな役割を果たして頑張っていただいているところもありますので、こうした地域の歴史とか経緯とかを踏まえて私どもは考えていく必要があるのではないかなと思っております。しかも、こうした公設公営は市町村立に限られることなく、舞鶴市域におきましては、舞鶴市民病院に加えて国立の舞鶴医療センター、舞鶴赤十字病院、国家公務員共済組合連合会立の舞鶴共済病院の4つの公的病院が併存しております。医療資源というものが限られている中で、診療科の重複や一人診療科が多い。やはり地域全体として、まとまった形でできるだけ包括的なケアをしていく観点からすると、こうした公的病院間の役割というものについて、しっかりと連携を進めていくことが必要だということであります。
 こうした観点から、国からも地域医療再生計画のモデル的な例として私どもに対しまして基金の交付をいただいたわけでありまして、今回策定いたしました中丹地域医療再生計画におきましては、各公的病院間のこうした支え合い、連携し合う形を強化していくことによって、安定的で持続可能な医療提供体制を確立することを目指したものであります。
 こうした中で、舞鶴市民病院につきましては、舞鶴赤十字病院の隣地へ移転し、連携して運営することにより、西舞鶴地域の医療提供体制の充実を図ろうとするものでありまして、これは舞鶴市長初め、舞鶴市民の皆さんの意向も踏まえ、計画の見直しを今回行ったものであります。
 こうした内容で関係者の合意が得られておりますので、今後、関係各団体間の相互の連携により、着実に計画を進めてまいりたいと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係理事者から答弁をさせていただきます。

◯山田清司 危機管理監兼会計管理者  原子力防災対策についてでありますが、大飯発電所の再稼働につきましては、代表質問で光永議員に対して知事からお答えしましたとおり、福井県知事が再稼働の条件として国に4項目の回答を求めておりまして、京都府としても同じ立場で対応してまいりたいということでございます。
 SPEEDIを活用したシミュレーションにつきましては、原子力災害時に迅速かつ的確な避難を実施するために有効であると考えております。
 福島第一原子力発電所の事故を踏まえた放射性物質の拡散予測につきましては、現在も国におきまして事故の検証が行われており、予測に必要な放射性物質の放出量、放出継続時間、放出核種の組成などのデータが確定していない状況にございます。このため、具体的な事故の想定やこれに基づく放射性物質の拡散予測につきましては、国におきまして、こうした検証結果をもとに実施されるべきものと考えております。
 地域防災計画の運用におきましても、同心円の距離ありきで決めつけることなく、状況に応じた柔軟な対応が重要であると考えております。
 次に、被曝医療機関の医師等の養成についてでございますが、暫定計画によりEPZを拡大したことに伴い、本年6月に11病院の初期被曝医療機関を新たに追加指定したところでございます。指定とあわせまして、原子力災害に適切に対応するためには、被曝医療の特殊性に対する専門知識と技能が必要となりますことから、現在までの間に計4回にわたり、医師を初めとする医療従事者などを対象として、被曝医療に特化した専門知識の習得のための研修会などを実施しており、引き続き、専門的な知識を有する医師などを養成してまいりたいと考えております。
 原子力災害に対応するための専門的知識・技術を有する職員の配置につきましては、9月議会で池田議員にお答えしましたとおり、これまでから原子力防災の専門家に専門委員として御就任いただいておりますが、この5月には、被曝医療に関する有識者も加わった防災会議の専門部会を設置しており、今後とも専門の委員から助言・指導を受けますとともに、専門職員の配置についても検討を進めているところでございます。
 また、消費者行政活性化基金を活用した食品の放射性物質検査機器の整備についてでございますが、本年7月29日付で消費者庁から「検査機器の整備等に基金を充当することが可能」との通知がございまして、直ちに市町村に対して周知したところでございます。要望があれば、基金全体の状況を踏まえて検討したいと考えております。

◯中井敏宏 文化環境部長  モニタリング体制の強化についてでありますが、京都府では、国の見直しに先行して、府北部及び京都市域の7局のモニタリングポストを府内全域を網羅する15ヶ所に拡充し、府独自の放射線監視テレメータシステム並びに府のホームページによりまして、府民の皆様に情報提供しているところでございます。さらに、原子力防災対策として環境放射線監視の一層の強化を図るため、モニタリングポストを9局増設することとし、9月議会で御議決いただいたところであり、監視体制をさらに強化することとしております。
 市町村におけるモニタリングについては、独自に携帯型のサーベイメーターを整備されているところでありますが、整備や測定に当たり技術的支援を行っているところでございます。
 食品の放射性物質の検査についてでありますが、暫定規制値を超えた食品が流通しないように、まずは国が検査計画をつくり、国と福島県及び周辺16都県が連携して総合的に検査が行われております。その上で、京都府におきましても府内に流通する食品について放射性物質検査を独自に実施しており、11月には新たに食品検査専用のゲルマニウム半導体検出器や簡易迅速検査機器を導入し検査体制を強化しております。
 また、風評被害を防止するため、府内産農産物等の検査を実施しており、すべて不検出でございますが、さらに簡易迅速検査機器を導入し、品目や検査点数を増加させるなど、府民の一層の食の安心・安全確保に努めているところでございます。
 なお、府内15ヶ所で測定しています環境放射線量は、現在に至るまで通常の値であり、保健環境研究所で測定している定時降下物も大きな変化は認められず、水源への影響はないものと考えております。
 琵琶湖の水のモニタリングに係る国への要望についてでありますが、琵琶湖への放射能の影響は広範囲に及ぶことが考えられるため、関西広域連合の原子力災害対策専門部会において、今後、琵琶湖への放射能の影響などについて広く検討される予定であり、その議論も踏まえまして適切に対応してまいりたいと考えております。

◯浅田良純 健康福祉部長  中丹地域医療再生計画の修正案についてでありますが、現行の京都府保健医療計画の基準病床数は平成14年時点の人口などに基づき算定されておりますが、中丹医療圏ではその当時と比較すると、現在では1万人以上人口が減少するなど状況が大きく変化していることから、その後の人口動態などを踏まえ、現在既に見直し作業を進めているところであり、24年度中に次期計画を策定することといたしております。
 こうした中、平成23年4月現在の中丹医療圏の病床数は、人口10万人当たりで府内最多となっており、特に舞鶴市域は府平均が882床であるのに対して1,215床と突出しているなど、病床過剰傾向であることが明らかなため、今回の修正案では将来の医療需要動向などをにらみ、各病院の協力のもと、府全域の平均レベルに近づけようとしているものであります。
 本計画における医師確保対策につきましては、舞鶴市が設置する舞鶴地域医療連携機構がその役割を担うことといたしておりまして、本年3月の医療対策協議会の提言に基づき本年6月に設立いたしました京都府地域医療支援センターによる京都府全域における医師確保対策の取り組みとも連携して取り組むことといたしております。
 舞鶴こども療育センターの病床数につきましては、ここ数年間の入所児童数は30人前後で推移しており、少子化や在宅療育の進展などを考慮すると適切な水準であると考えております。
 なお、同センターの整備に当たりましては、現在、発達障害や重度障害児のショートステイなど新たなニーズに対応するため、機能の充実等について関係者間で検討しているところであります。
 舞鶴市民病院の移転改築に係る補正予算につきましては、さきの関係者会議での修正案の合意が得られたことから、地域医療再生基金の執行期限が平成25年度末までとなっていることなどを勘案して、舞鶴市の責任と判断のもとで行われたものと考えております。

◯田原博明 教育長  島田議員の御質問にお答えいたします。
 学校給食用食材の放射線検査機器の整備についてでありますが、整備に必要となる経費を補助する「安全・安心のための学校給食環境整備事業」が国の第3次補正予算において措置されたところであります。今回の3次補正では、東日本大震災を踏まえて、東日本の17都県に限定して実施されるものと承知いたしております。
 一方で、国において食品の暫定規制値自体の見直し作業が進められているところでありますが、検査機器に関連して文部科学省の対応で混乱しているという報道もあります。教育委員会といたしましては、こうした状況の正確な情報の把握に努めるとともに、市町教育委員会とも連携しながら、必要な場合には国へ働きかけるなど適切に対応してまいりたいと考えております。

◯島田敬子議員  御答弁をいただきましたが、まず地域防災計画、原子力防災計画の見直しについて、SPEEDIの活用について国において検討中ということですけれども、先ほども申し上げましたように、福島の現実のリアルなデータで本府も検討するぐらいの主体性がないと、国任せでは実際に計画をつくっても机上の空論になるわけで、滋賀県では独自にシミュレーションを用いて、具体的に防災計画に生かしておられます。そういう姿勢こそ、今必要ではないかというふうに思っております。
 それで、職員体制について検討を進めているということですので、これも滋賀県では既に非常勤2人配置をされたようですし、ぜひ立地県並みの体制をということですから、強力に進めていただきたいというふうに思います。
 学校給食等食の安全にかかわる問題ですが、消費者庁の行政活性化基金の活用状況は、現在2自治体にとどまっておりますので、引き続き周知方お願いをしておきたいというふうに思います。学校給食についても、今、お米も大問題になっております。国の検査自身が穴だらけで、民間人が調べて告発しておたおたするということになっておりますので、二重にも三重にも検査体制の拡充が必要です。学校給食、保育所の食材等もそうですけれども、現場際で検査をして安全な食料を子どもたちにということで、ぜひ御努力をいただきたいと思います。要望にかえておきたいと思います。
 中丹地域医療再生と地域包括医療ケアについてでございます。京都式地域包括ケアは動き出しました。確かに、民間医療機関も公的病院も福祉も連携してやる必要があると思いますが、北部の開業医は高齢化しておりますし、医療機関自身が少ないわけで、その中で自治体病院の役割、そして併設された訪問看護ステーションは既に地域包括ケアを必死で展開されておりますので、ここを応援することこそ必要だというふうに思います。指摘をしておきます。
 修正案発表後に実施された市民アンケートでは、
「死ぬほど重症でないと病院に来るな。救急車は呼ぶなと電話で断られた」
「8ヶ月の孫が入院して3日目に手術が必要だったが、麻酔科医がいないために福知山市民病院まで搬送されて夜中に手術をした」
「救急車で運ばれて、心臓を診てもらい、どうもないと言われて待たされること1時間、その後、次の病院に搬送され、2日後に亡くなった。2つの病院でお互いの責任問題はうやむやだ」
こういう告発、悲鳴に近い声が出されております。そういう問題について、今回の修正案が解決できると確証が得られていないので市民が不安を寄せております。なので、市民病院を専門特化するようなことだけではだめだ、基金の配分だけではあかんと言うとるわけであります。自治体の責任放棄ではないかと指摘をしたんですが、どこに充実する確証があるのか、再度お聞かせください。
 こども療育センターについて、喫緊の課題について要望しておきますけれども、北部の心身障害児療育の拠点施設ですから、地域医療再生計画から外して、関係者の声を聞いて進めるべきですし、計画を待つまでもなく、雨漏りなどの老朽施設の整備については緊急な改善を求めます。
 以上で質問を終わります。

◯浅田良純 健康福祉部長  中丹地域医療再生計画の修正案について、充実する確証がどこにあるのかという御質問でございますが、基本的にはこれから現場で各関係者が協力・連携して実現に向かうものというふうに考えております。計画そのものも、先ほど来申しておりますように、各病院の特色を生かした分担機能を明らかにしたこと、さらには、その間をつなぐ舞鶴地域医療連携機構というものの設置を明らかにしたこと、さらには、第一次救急の診療所をつくるということも明記しておりますので、そうした枠組みを定めていることから、今後その中で関係機関の協力のもとに実現してまいったら、いいものになるのではないかと思っております。