平成23年6月定例会 府民生活・厚生常任委員会2日目―2011年7月5日〜島田敬子府議の質疑応答部分

所管事項

委員会の所管事項について質問・答弁が行われた。

 

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◯島田委員  2点お願いいたします。
 京都府の地域医療再生計画案について伺います。
 作成計画の経過を資料で見ますと、パブリックコメント等の実施もなく最終案が出されておりますけれども、これまでいろいろな計画策定、アクションプランにしても中間案を求めて住民・関係者の声を聞くというプロセスがありましたけれども、今回はどのようになっているのでしょうか。
 それから、この中身の問題で、地域医療再生計画において周産期医療のサブセンターと位置づけられております舞鶴医療センターについて、現状はどうなっておりますか、お聞かせください。

◯浅田健康福祉部長  この地域医療再生計画というものは、国に対して交付金を申請するためにつくるものでございまして、京都府として、要するに最後まで案がついているものでございます。パブリックコメントはいたしておりませんけれども、そのかわりに府内の市町村あるいは関係団体などに意見・提案を求めまして、さらには医療審議会ですとか救急懇談会とかさまざまな会議がございます。そうしたときの意見でございますとか、最終的には医療審議会あるいは医療対策協議会等の座長の方3人ほどにお集まりいただいて、有識者会議という形で意見を聞いて、その意見を踏まえて作成し、国に提出をしているところでございます。
 それから、舞鶴医療センターの関係でございますが、周産期のサブセンターとして現在北部の中で機能しているところでございますけれども、引き続き体制の充実に努めていきたいと思っております。

◯島田委員  交付金申請のための事業計画案ということで、そういう側面もあり、また申請の締め切り期日等もあったかと思います。計画を見ますといろいろと御苦労が見てとれますけれども、いずれにいたしましても、広く意見を聞くという点で努力が必要ではなかったかと思います。指摘をしておきたいと思います。
 舞鶴医療センターについて、共済病院と医療センターと2ヶ所で連携をしてということですが、これまで連携が不十分であったり、さらに共済病院が正常の分娩だけ受け入れて困難事例は舞鶴医療センターに集中をしているというようなことで、体制が追いつかない、助産師がその中で辞めていっているというようなお話も伺ったんですけれども、ちゃんとやっているという現状認識とはちょっと現場は違うのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

◯余田医療課長(救急医療情報センター所長事務取扱)  舞鶴医療センター(周産期サブセンター)につきましては、この4月1日現在で産科医2名、小児科医7名という体制で維持していただいているところで、NICU[※Neonatal Intensive Care Unit:新生児集中治療室]6床ということでございます。御存じのように、正常分娩等につきましては共済病院等で引き受けていただいておりますけれども、困難事例等につきましては共済病院との連携、合わせまして与謝の海病院から産婦人科医の派遣とか、そういった形で北部全体で連携をとっていただきまして、大学の教室とも連携して対処しておるところでございます。以上でございます。

◯島田委員  困難事例を受け入れて周産期医療を扱うという点では、お医者さんが常時は2名ということでは大変困難な状況が続いていると思っております。さらなる充実を求めておきたいと思います。
 あわせて、中丹地域医療再生計画についてですけれども、舞鶴市のリーダーがかわって、府としてもいろいろ御苦労されているともいますけれども、舞鶴市の提案及び市の態度として、中丹圏域全体の医療をどう再生するかという視点が少々欠けているのではないかと私は感じたわけですが、府の見解はいかがでしょうか。

◯浅田健康福祉部長  我々の中丹地域医療再生計画について、地元の事情から舞鶴市として見直しをしてほしいという御要望がございまして、それを踏まえて先般、関係者の会議を開いたわけでございます。そこで舞鶴市からの提案がございましたが、そこでも申し上げ、本会議でも知事から答弁をいたしましたように、市の示した案についてはまだ抽象的なところ、不十分なところがございますので、現在、市においてもう一度詳細の案を示すようにお願いをしているところでございます。
 中丹地域全体の医療圏域についてどうかということでございますけれども、舞鶴市は、医療の再生について御検討された案を出していただいていると思っておりまして、私ども一貫して申し上げておりますように、中丹の綾部市、福知山市それぞれが市立病院を中心に地域完結型の医療提供体制が整っている中で、舞鶴市については4つの公的病院が存立して、医師確保あるいはさまざまな形で、将来にわたっての医療提供体制をどう確保していくかということが問題になっております。舞鶴市域のその問題を解消することによって、3つの市それぞれが補完的な役割を補いながら、中丹地域全体の医療水準の向上を図っていきたいというコンセプトで進めておりますので、そういう意味で市の計画を詳細なものを出していただいた時点で、答弁でも申し上げましたように、改めて他の2市の御意見も聞いた上で、中丹地域全体の医療再生計画の見直しをしていきたいと思っているところでございます。

◯島田委員  中丹地域そして北部地域に3次の救命救急センターがないということで、2.5次救急と言われようなやり方も含めて、救命救急センターがつくられていく方向を目指しておられるというふうに思います。市長さんの議会の論戦を聞いておりますと、医師不足の問題でなかなか確保が困難な現状の中で救命救急センターをつくるということにはなっていないということもあって、やはりネックは深刻な医師不足と、あるいは看護師等の従事者の現状、議論の推移にかかわらず京都府としても支援をする、責任を果たす必要があるということを強く求めておきたいと思います。
 あと、医師不足、看護師不足の問題は北部地域にとどまらないと思います。この再生計画の3ページのデータでも、人口10万人対医師数や看護師数は、丹後医療圏を下回っている山城南地域、そしてそこに少し多いですが、不足地域として山城北地域の現状があると思いますが、これをどうするのかということが見えてまいりません。京都府の医療計画、そして今回はこの再生計画で個々の諸課題の早期解決を目指すと、救急医療を充実するという方向も出されておりますが、この山城南部圏域の医師不足等の問題についての認識はどうなっておりますか、お聞かせください。

◯藪健康福祉部副部長  南部地域における医師不足の問題についてでありますが、確かに委員おっしゃるとおり、診療科の偏在等、診療科によって医師が不足している状況はあるかと思っております。京都府におきましては、これまでから主として平成19年度以降、総合的な医師確保対策に取り組んでまいったところでございまして、また国に対しても研修医制度の改善要望とかも繰り返しておりますし、本年度におきましては去る6月に、地域医療支援センターを立ち上げまして、さらに府全体を視野に入れて医師確保に努めてまいりたいと思っております。

◯島田委員  ありがとうございます。
 小児救急でいえば田辺中央病院、また現在は宇治徳洲会病院に集中をしておりますし、城陽市に産科はありませんし、公立山城病院の整形外科の入院ベッドがなくなって救急対応ができなくなっていると、さらに状況は深刻になっております。平成19年度から始まった医師総合対策事業は、北部地域限定ということで理解しておったのですが、そうではないんですか。地域医療支援センターもできたことですし、この事業の対象を全域に拡大するなどして改善をするべきと思いますが、いかがでしょうか。

◯藪健康福祉部副部長  おっしゃるとおり、主として平成19年度からの総合的な医師確保対策は北部を中心にやってきたところでございますけれども、それ以降も医師配置の現状等を踏まえまして、当然南部も視野に今後ともやってまいりたいと思っております。

◯島田委員  ありがとうございます。ぜひ全力を尽くしていただきたいと思います。
 次に、肝炎対策についてですが、B型肝炎訴訟で国と原告側が和解調印をしたことを受けまして、首相も謝罪をいたしました。感染の拡大を防ぐ努力が結果として十分ではなかったということで、40年間長期にわたって注射器の針を使い回したことを放置したことで感染が拡大した、国の加害責任は最高裁判決でも明確にされましたけれども、すべての国民と被害者への実効ある対策を進めることが、国・地方自治体に求められております。解決のための出発点にやっと立ったと言えると思いますが、肝炎友の会からも毎年本府に対して要望が出されております。ぜひその声にお答えをいただきたいと思います。
 具体的に、平成23年度の国の予算で、肝炎患者支援手帳事業の実施ですとか、市町村保健師などのコーディネーターの育成、個別勧奨による健診受診率の促進、肝炎検査受検状況実態把握事業などが提案されておりますが、本府におけるこれらの施策の検討状況をお聞かせください。

◯西垣健康対策課長  京都府の肝炎の対策といたしましては、肝炎の早期発見のための無料検査の実施でありましたり、また患者支援としての専門医療機関の選定、紹介、また治療費の公費負担、また肝炎に対する正しい知識の普及・啓発ということで、それらの事業に取り組んでいるところでございます。
 国のほうでも肝炎対策につきまして、基本的な指針が出てまいりましたので、それを踏まえてより一層こういうような取り組みを推進していきたいと思っております。
 具体的に、国の事業に基づくものにつきましては、昨年度国のほうから示されたところでございますけれども、今後も引き続き検討していきたいというふうに思っております。以上でございます。

◯島田委員  肝炎ウイルス検査事業をやっていただいておりますけれども、身近なところで気軽に検査が受けられる体制をつくるということがとても重要だと思います。府内すべての医療機関に委託を要請して、ぜひ実現をしていただきたいし、保健所における無料検査については、週1回、数時間だけしか受け付けないという現状は改善すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

◯西垣健康対策課長  まず、検査の機関でございますけれども、委員御指摘のように、私どもの検査機関につきましては、保健所か医療機関にも委託をして実施しているところでございます。私どもの委託の考え方といたしまして、検査の結果を踏まえて適切な治療につながるようにということから、肝炎の専門の医療が提供できる医療機関に対して委託をしているところでございます。そういう中で、平成22年度、22から46という形で、肝炎検査の委託の医療機関の数も増やしてきているところでございます。
 また保健所のほうでは、週に1回の検査の受け付け等をしておるところでございますけれども、例えば肝炎の検査を受けたいという御相談は毎日受けておりますし、すぐにでも受けたいというような方につきましては、近くの委託医療機関を御紹介させていただくことによって対応していただいているところでございます。以上でございます。

◯島田委員  大阪府や兵庫県などで、ほとんどの医療機関で無料検査ができるというふうに伺っておりますので、さらなる努力をお願いしたいと思います。B型肝炎ウイルスの感染力は非常に高いと言われておりますし、この検査の受検率を引き上げる、これは喫緊の課題だと思います。早急に未受診者などの実態を把握するための事業にも取り組む必要がありますけれども、この点はいかがでしょうか。把握できておりますでしょうか。

◯西垣健康対策課長  肝炎の感染者でありましたりとか患者数でございますけれども、厚生労働省で研究事業で全体的な数は把握しておりますが、なかなか都道府県単位での把握というのは難しゅうございます。私どもは、厚生労働省の研究事業で把握をしております患者数等から、おおむね2%程度ということで患者数推計をいたしておりますけれども、やはり国においてきちっとそれらについての体制を整えていただきたいということで、引き続き国のほうに求めていきたいと思っております。以上でございます。

◯島田委員  国のほうも、都道府県が手を挙げてというふうに待っていらっしゃるので、ぜひお取り組みをいただきたいと。これを把握することによって受診率の向上ですとか啓発事業ですとか、地域ごとの感染者数が把握できれば治療体制の拡充にもつなげられる、基礎資料にもなりますので、ぜひとも強力に推進をいただきたいと思います。
 肝炎患者の多くが国の責任で感染をしたものであり、患者さんが高齢化をしておりますし、病状が進行して、待てない状況に置かれている方もたくさんございます。肝炎対策基本法の精神に立って、国へも働きかけるとともに、府としても全力を挙げていただきたいと思います。例えば専門的な医療機関の不足、舞鶴北部地域等では専門医が少ない、そういうことから、遠くまで交通費をかけて通っておられる実態があります。こうした方々への交通費の助成ですとか、さらには北海道などでは治療費について入院4万4,000円以上、外来は1万2,000円を超える部分の助成が、慢性肝炎や肝硬変の患者へも助成をされていると伺っております。京都府でもぜひ検討いただきたいと思いますが、こうした治療費の助成とか生活支援等の観点ではどういう取り組みをされていますでしょうか。

◯西垣健康対策課長  肝炎に係ります治療につきましては、核酸アナログ製剤なりインターフェロンの治療費について公費負担をさせていただいているところでございます。そこから過ぎました場合の肝がんや肝硬変になりましたら、一定疾病となりますので、他の疾病とのバランスの中でなかなか制度的には難しい面も多々あろうかと思っております。必要な肝炎対策の意味での公費負担の対応についても引き続き国の制度にのっとって進めていきたいと思っております。以上でございます。

◯島田委員  国の制度にのっとってということですけれども、これはまだまだ不十分ですし、ぜひ、冒頭に申し上げましたように、国の責任で感染が拡大をしたということで、その立場に立って強力に要請もしていただきたいし、京都府でできる支援をお願いしたいと思います。
 肝炎患者さんが闘病、治療をしながら生きていく意欲を持っていただくためにも、患者さん同士の交流の場ですとか、あるいは相談窓口ももっと広げる等、あるいは患者会への支援も求められているというように思いますけれども、いかがでしょうか。

◯西垣健康対策課長  肝炎の患者さんの、例えばサロンなりにつきましては、一般的に集まられるような機会がありました場合、保健所なりに御相談いただきましたらそういう場で御紹介ができようかと思いますけども、さまざまな患者会がございますので、そのすべての患者会に対する御紹介というような形にはなかなかなりにくいかなというふうに思っております。必要な所轄の地域において保健所等に御相談をいただきたいと思っております。以上でございます。

◯島田委員  患者さんの相談窓口を病院として構えているというところは京大病院ぐらいだとお聞きをしていますが、ぜひ府立医科大学附属病院や府立病院等にも窓口を開いていただいて、相談にも気軽に乗っていただきたい。また、患者団体への支援は肝炎対策の推進の上でも大変重要な役割を持つ団体だと思いますので、ぜひとも支援のほうを検討していただきたいと要望して終わります。