いつかの東京はそのうちの京都――京都民報2018年12月02日

本日のニュースより

調布市の道路陥没 メカニズムや補償範囲示す 東日本高速道路

[NHK 2021年2月12日 19時06分]

東京 調布市の住宅街で道路の陥没や地下の空洞が相次いで見つかっている問題で、地下でトンネルの掘削工事を行っている東日本高速道路は、地下のトンネル掘削工事との因果関係を示すメカニズムを明らかにするとともに補償の考え方や範囲を示しました。

東京 調布市の住宅街では、去年10月に道路で陥没が見つかって以降、先月にかけて地下の3か所で空洞が見つかり、そのさらに下で「東京外かく環状道路」のトンネル掘削工事を行っている東日本高速道路の有識者委員会は、12日夕方、会見を開き、原因に関する調査の最終報告を発表しました。

それによりますと、トンネルを掘削するシールドマシンと呼ばれる大型機械が、地盤の土の固さによって動かなくなることがあり、機械を動かすために薬剤を注入した際に機械とトンネルの上の地盤に隙間ができたことなどから地盤が緩み、その緩みが地表面まで及んで、空洞や陥没ができたと結論づけました。

そのうえで、対策を行った区間の周辺で地盤の緩みが生じている可能性があるとし、その範囲は陥没や空洞が見つかった場所を含む南北400メートルほど、幅16メートルほどのトンネルの真上の部分としました。

東日本高速道路は、この範囲について今後、2年間かけて調査をし、必要な補修を行うことにしています。

また、周辺の住民への補償については、工事による家屋の損傷に対してだけでなく、病気を引き起こした場合の治療費などについて補償を行う方針を示しました。

東日本高速道路関東支社建設事業部の加藤健治部長は「今回のことで社会的に大きな影響を及ぼし、住民にも大きな不安を与えてしまったので、今後、不安を解消すべく対応していきたい」と述べました。

会見で東日本高速道路関東支社建設事業部の加藤健治部長は、周辺住民に対する補償に関して「甚大な社会的影響を生じさせているということを踏まえ、住民の皆様が被った損害の広範な補償の枠組みの検討を進めている」と述べました。

そのうえで具体的な内容として、緩んだ地盤の補修のほかに、建物の損傷の補修費用や家賃の減収相当額、地盤補修後の不動産の売却損の補償、病気などでかかった治療費の補償など、発生した実損については、個々の事情を踏まえたうえでしかるべき対応を行う考えを示しました。

また、生活に影響が大きいと認められる損害については、補修対応を速やかに行うとしています。

有識者委 委員長「地上に影響が出る可能性考慮を」

今回の工事では、地表から40メートル以上の深さの「大深度地下」が利用されています。

この深さの地下は、「大深度地下使用法」で開発に際して、基本的に用地買収や土地の所有者への同意は必要ないと定められている一方、安全の確保への配慮も定められていて、国の基本方針では、損害が発生した場合には適切な対応をする必要があると盛り込まれています。

これまで、東日本高速道路は工事を行うに当たって、「地上への影響は生じないと考えている」と説明してきましたが、今回の工事では、地表面近くに陥没や空洞ができて、住民の暮らしに影響が出ています。

これについて、陥没とトンネル掘削工事の因果関係を明らかにした有識者委員会の委員長を務める早稲田大学の小泉淳名誉教授は「今回の工事における問題が、すべての大深度の問題につながるかは分からないが、今回のような事態が起こる可能性があるということを今後は考えていただきたい」と述べ、大深度地下の利用に当たり地上に影響が出る可能性を考慮すべきという考えを示しました。

現場の近くの住民「とにかく元に戻して」

東京 調布市の道路が陥没した現場の近くに住む近田太郎さんは「とにかく元に戻してほしい。それで元に戻せないとなれば、『しっかり補償してほしい』という話になってくると思う」と話していました。

また、妻の真代さんは「被害の状況について個人差があるのは確かだが、東日本高速道路とは地域の住民とともに集団で交渉したい。地域住民で共通して損害が出ている部分をしっかり補償するシステムが必要だと思う」と話していました。

東京の調布で何が起こったかというと、こんなのです↓


よく見ると、建物の真下も抉れているように見えますね。

地下40m以深のいわゆる“大深度地下”を利用した、大都市圏での道路トンネル掘削など大規模工事では、こうした悲劇的な事故がいくつも報告されています。そして大深度地下工事の場合は残念ながら、大深度地下使用法大深度地下の公共的使用に関する特別措置法)に基づいて認可された事業に関しては、真上に一軒家を建てて住んでる人やビルを建てて賃料などを収入源にしている法人の土地所有権がマルっと無視されます。更に悪いことに、補償は原則として不要、です。上記のニュースのように損害補償で調査が云々と書いてあるのは、そうした損害補償が例外事項だからです。知らんぷりできなくなるほど大事になったからにすぎません。

そして、昨秋の東京は近いうちに京都でも起こりえます。なぜなら↓

北陸新幹線延伸で計画されている敦賀―新大阪間のルートが上の図のようになっているからです。JR京都駅の真下を通過するといいますか、京都駅が主要な停車駅の1つですので、少なくとも京都市の下京区と南区・伏見区、あとはルートの具体化次第ですが、右京区・左京区・北区もほぼ確実に何らかの悪影響を被ります。

COVID-19パンデミックの終わりが見えない渦中ですが、何事も無関心はいけません。情報収集は敏感に、延伸計画がまだ紙の上でデッサンされそうな段階でNO!の声を上げられるようにしましょう。

 


 

配水管破損5千戸断水に――左京区 宝ヶ池公園 北陸新幹線ルート選定で地質調査中[京都民報 2018年12月2日]

 北陸新幹線敦賀―新大阪間のルート選定に向けたボーリング調査により、11月22日、京都市左京区の宝が池公園内の水道管が損傷し、市内約5,000戸に断水などの被害が起こりました。住民からは
「突然の断水で不安になった」
新幹線が地下深くを通っても生活は大丈夫なのか」
と不安の声が上がっています。
 鉄道建設・運輸施設支援機構が地質調査のために行った掘削工事で、同公園地下の水道管(口径600mm)を損傷し、漏水。23日午前0時から午後0時半まで左京区岩倉や、北区上賀茂地域(上賀茂・柊野学区)など約5,000戸で断水や漏水を発生させました。
 同機構によると、公園側から提供された埋設図面だけを見て委託業者が掘削し、水道管を管理する市水道局側への事前連絡などは行っていなかったとしています。同機構は「原因究明した上で再発防止を徹底したい」として、ボーリング調査を継続する意向です。

地質調査で断水――住民:「延伸」知らない、地下工事に不安

 自宅が断水した北区の女性は、同日午後10時頃、水道局の広報者のアナウンスで断水を知ったといい、
「驚きました。20年近く住んで初めて。子ども2人を育てているので、慌てて水をためるなどしました」
と話します。
 断水した北区の男性は、
「調査をすることも全く知らされていない。北陸新幹線延伸計画も事前に住民にしっかりと説明すべきだ」
と話します。
 北陸新幹線延伸のルート調査をめぐっては、宝が池公園(左京区)のほか、鹿ノ下公園(北区)、穂根束公園(北区)、地蔵本公園(左京区)で来年1月にかけて同様のボーリング調査が行われる予定です。
 また南丹市美山町の知井地区、京都市右京区京北町、京都市北区の小野郷、中川、雲ケ畑の各学区でルート選定のための調査を実施。住民からは地下水や生活への影響に対し不安の声が上がっていました。
 前述の北区の女性は、
北陸新幹線が延伸することはまったく知りませんでした。私たちの住む、(ルート選定の対象になっている)北区の地下に新幹線が通る可能性があるなんて信じられません。こうした事故や生活に影響があったら不安です」
と話します。