令和6年6月定例会 本会議 補正予算等議決ー2024年6月28日〜島田敬子府議の議案討論部分

6月28日の本会議において、共産党府議団からは意見書・決議案に関して森吉治議員が、知事提出議案に関して島田敬子議員が、それぞれ討論に立ちました。
共産党府議団公式サイトに発言の文字起こしがPDFでアップロードされていますので、ぜひご覧ください。

意見書・決議案討論|森よしはる議員
議案討論|島田けい子議員

 


 

○島田敬子議員  日本共産党の島田けい子です。党府会議員団を代表して、ただいま議題となっている、議案11件のうち、令和6年度京都府一般会計補正予算(第一号)他9件に賛成し、第2号議案「文化が活きる京都の推進に関する条例制定の件」、第4号議案「京都府府税条例等一部改正の件」に反対する討論を行います。

第2号議案「文化が活きる京都の推進に関する条例制定の件」についてです。
この条例の根拠となる2001年制定の「文化芸術振興基本法」はその後、全会一致で、『表現の自由』が明記をされております。今回、廃止しようとする2018年度策定の「京都府文化力による未来づくり条例」の審議の際にもこの重要な理念を明記すべきと指摘をしました。今回の条例にも、明記がありません。これが反対の第一の理由です。

第二の理由は、条例前文には
企業活動を含めて、府民の多様な文化的経済的諸活動に京都の文化の力を活かしていく
とあり、文化を経済的利益追求の道具として利用しようとしている点です。
審議会では委員から
「儲かる分野の芸術のみが “推し” とされた30年間の日本の文化政策は失敗であり、文化政策の根本的転換が必要」
との意見も出されておりました。
また、今回、条例案は理念条例にとどめて、施策の体系を入れない形をとっています。具体の基本方針や計画、施策について白紙委任をすることは問題です。

第三に、基本的施策や条例には対象とするものが明記されておらず、文化芸術を創造し、享受する立場の幅広い府民の意見が反映されていないためです。ホームページでは、審議会の概要が報告されていますが、会議資料などは掲載されておりません。パブリックコメントの府民意見は2人にとどまっていることからも明らかです。

第四に、廃止される未来づくり条例及び、基本計画の総括が十分なされておりません。新型コロナ(COVID-19)対応のいくつかの補助金、芸術家団体への補助は縮小廃止されたり、子ども文化会館の突然の廃止、文芸会館など府立文化芸術施設整備事業費が年々削減されていることは問題です。
必要な予算を確保し、府民利用の文化芸術施設の改善を求めます。

第4号議案「京都府府税条例等一部改正の件」については、地方税法等の一部改正に伴うもので、外形標準課税の適用対象について、一定の基準を追加し、資本金1億円以下の中小企業にも拡大しようとするものです。
政府は、資本金の減資等への対応、すなわち「税逃れ対策」だとしていますが、そもそも外形標準課税とは、資本金や従業員給与などにまで課税するしくみであり、日本商工会議所は、賃金への課税は賃上げに逆行し、赤字法人への増税などの影響は甚大であるとして適用拡大へ反対意見をあげています。

京都では、とりわけ中小企業が多く、物価高騰やコロナ禍の融資返済などに苦しんでいる事業者が多いなか、その上、「資本金の減資対策」と言うものの、京都の実態については「把握できていない」と答弁された通り、実態も踏まえないまま、課税対象の拡大を進めることは、大きな影響が懸念されます。
この間、政府と財界は、大企業の法人税を減税し、法人事業税については、外形基準を設けて所得への課税を軽減し、そのうえ、一貫して狙ってきた外形標準課税の対象拡大に、今回、踏み出すことは重大です。
税制のあり方とは本来、応能負担原則であり、外形標準課税とその拡大は、これに逆行するものであり、よって、4号議案には反対です。

次に、1号議案「令和6年度京都府一般会計補正予算(第1号)」に賛成するものですが、いくつかの事業には問題があります。
まず、歳入部分についてですが、一般財源部分の全額にについて、25年ぶりに5億2,100万円の積み残しを行った財政調整基金を取り崩して充てるということとなっております。
これまで本府は、財政調整基金の取り扱いについて、「府民サービスの向上のため」と説明をしてきました。
ところが、今回取り崩して充当する一般財源部分のほとんどが、大阪・関西万博関連経費となっており、「府民サービスの向上」とはかけ離れたものとなっています。
さらに、府民生活や地域経済は異常な物価高、資材高騰などの中で、深刻さを増しており、こうした財政調整基金の取り扱いは到底認められません。

補正予算総額37億5100万円のうち、35億円余は土砂災害の被害防止軽減、歩行者の安全確保、第一次緊急輸送道路の耐震化、街づくりの都市機能の向上、そのほか地域医師確保対策や脱炭素行動促進事業など、必要な予算であり賛成するものですが、問題だと思うのが、大阪・関西万博開催に向けた取り組みです。
大阪・関西万博きょうとの魅力発信事業費、2,000万円、債務負担行為6,000万円、計8,000万円について、会期全体を通じて日替わりで発信事業を行う京都ブースに加えて、関西パビリオン多目的エリアにおいて、府県が入れ替えでイベントを行うものです。
わずか2週間に8,000万円のべらぼうな税金投入は府民の生活実感からも到底認められません。

また、けいはんな次世代技術基盤整備事業費は、けいはんな万博や万博終了後におけるロボットの遠隔操作、自動運転等の持続可能な環境整備の構築に向けて、精華大通りで通信環境や安全性を向上させる設備を整備するものですが、万博がなくても必要なら当初予算で整備すべきです。
明らかに、万博の機運醸成のための事業であり、今必要な事業ではありません。

次に、向日町競輪場周辺地域まちづくり協同検討費100万円にかかわって要望します。
頓挫した北山エリアの整備計画の進め方で学んだ教訓を踏まえ、住民本位でまちづくりと一体に進めることを強く要望するものです。
6月9日の住民説明会には私も参加をさせていただきましたが、参加者から
「今回の説明会の前に、もう5月には事業者の公募が始まっている。
京都府や向日市の考え方に疑念を持っている。
北山エリアの検討状況と比べても市民の意見が軽んじられている」
との声が出されておりました。
市民の多くがアリーナ建設に伴う交通渋滞のさらなる悪化、通学路の安全対策、緊急車両の通行問題、騒音の問題、住環境など率直な意見が出されておりました。長年のまちづくりの課題である府道の拡幅整備が本計画実施の大前提であり、具体的に計画策定およびテンポ等について、周辺自治体や住民も含め広く示され、合意されること。市民からの切実な要望について、事業者まかせにせず、京都府の責任において、計画にどのように盛り込むのかについて示すこと。
そのためにも、緊急に説明会を再度行うこと。また、市民が自由に参加できるようワークショップ形式等の意見聴取手法も取り入れた丁寧な議論を積み重ねること。競輪場等の解体等、工事にあたり、市民への丁寧な説明と対応を行うこと。これらの事項が満たされることのないまま、本計画を推進しアリーナ建設ありきで進めることがなきよう強く求めるものです。

最後に 地域医療人材確保加速化事業費3,400万円についてです。
北部医療センターにおける地域医療のあり方を検討する講座開設支援と研究員として小児科医6名を確保する事業であります。来年度にも継続していただくことをはじめ、府内各地域で医師不足が深刻であります。
各地での常勤医師の確保と地域医療の拡充へ府の責務を果たされ、住民の命と健康を守っていただきますよう強く要望をしておきます。

最後に一言申し上げます。
昨年12月、沖縄県内で、16歳未満の少女を誘拐し、自宅に連れ込み、同意なくわいせつ行為をしたとして、那覇地検がわいせつ目的誘拐と不同意性交の罪で、在沖縄米空軍兵長を起訴していたことが報じられております。
少女の人権と尊厳を踏みにじる卑劣な蛮行に満身の怒りを込めて抗議するものです。
日本共産党沖縄県議団の申し入れの際、外務省沖縄事務所は、事件発生の直後に事件を把握していたことを認めました。事件発生から、今月25日に至るまで6ヶ月も隠蔽し、沖縄県にも県民にも一切明らかにされていません。この6ヶ月の間は、岸田政権による名護市辺野古の米軍基地建設のための「代執行」やエマニュエル駐日大使が石垣島や与那国島を訪問し、米軍の抑止力の重要性を強調、今月16日には沖縄県議選も実施されており、日米両政府が共謀して事件隠蔽を図ったのではないかとの疑念がぬぐえません。
国民の命と安全に関わる問題であるにもかかわらず、日米安保体制の維持を最優先にし、事実を隠蔽しようとする姿勢は断じて容認できません。沖縄県警によりますと、沖縄が本土に復帰した1972年から2022年までの50年間で、米軍関係者による刑法犯の摘発件数は6,163件、うち凶悪犯は584件に上ります。政府は県民の人権蹂躙の根源である米軍基地の縮小・撤去、日米地位協定の抜本改正に正面から取り組むべきです。
以上で討論を終わります。