2026年6月定例会を終えて

6月18日からはじまった京都府議会の6月定例会は7月10日に閉会しました。
此度の6月定例会の総括を共産党府議団サイトに団長談話として公表しましたので、ぜひご覧ください。
京都府議会2026年6月定例会を終えて|団長談話
 【団長談話】2026年6月定例会を終えて[PDF]

 


 

2026年6月定例会を終えて

 

2026年7月17日
日本共産党京都府会議員団
団長 島田けい子

 

6月18日に開会した2026年6月定例府議会が7月10日に閉会した。
本府議会は、4月に行われた京都府知事選挙で3回目の当選をされた西脇知事の肉付け予算案が提案され、予算特別委員会補正予算小委員会で詳細審査を行う議会であった。
また、アメリカによるイラン戦争の深刻な影響が出るとともに、高市政権による翼賛国会ともいえる法案の相次ぐ強行に対し、国会前や全国で集会やデモが広がる中で開かれた。
わが共産党議員団は、物価高、資材不足、資材高騰による府民の実態の調査をふまえ、また憲法改正や京都のミサイル基地化を許さない立場から、運動と連携して攻勢的に論戦した。

 

[1] 提案された議案18件のうち、第1号議案「令和8年度京都府一般会計補正予算(第1号)」及び第6号議案「京都府立学校授業料等徴収条例等一部改正の件」、第8号議案「京都府立学校授業料徴収条例及び行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律施行条例等一部改正の件」、第13号議案「財産取得の件(電子黒板)」、第14号議案「財産取得の件(情報通信機器)」の5議案に反対し、他の議案には人事案件も含め賛成した。

肉付け予算として提案された第1号議案「令和8年度京都府一般会計補正予算(第1号)」は反対した。
その理由は、322億円もの肉付け補正予算であるにもかかわらず、大半が不動産取得や公共事業となり、その他の予算も多くが、『まるっとじっくり関西プロジェクト事業費』や『けいはんな未来プロジェクト事業費』などモデル事業と、『北部物流最適化推進事業費』などの検討費となっており、府民の深刻な暮らしや営業を支えるものになっていないためである。

具体的には、第一に、コロナ禍以降の経済低迷に加え、中東情勢の影響で資材不足や、凄まじい物価高騰・人手不足と人件費高騰で、中小事業者や農林漁業者が深刻な打撃を受けている中で、それへの対策は、国の重点支援交付金を活用したLPガス料金の2.9億円のみで、固定費補助や保険・税金の低減、融資返済免除など、事業者への直接支援等は全く盛り込まれていないためである。

第二に、医療・介護・保育の深刻な経営難と人手不足に対する対策は、6月の報酬改定があったのみで、医療材料費高騰と人件費等により、府内医療機関の49%が赤字となり、さらに中東情勢により、医療資材不足とナフサ由来物価の高騰が病院や介護事業所に深刻な影響が広がり、また人材不足のためにも医療や介護等人材確保対策としての賃上げ支援策が必要であるにもかかわらず、なんら対策がないためである。
その上、看護学校と学生寮の建て替えに合わせ、授業料、考査料、入学料の大幅な引き上げまで提案したことは重大である。

第三に、物価高騰に賃上げが追い付かず、子育て世帯の経済的負担軽減が必要にもかかわらず、『風土づくり』『意識改革』『地域づくり』が重点とされ、経済的支援がないためである。
遅れている子どもの医療費助成制度は、入院で中学校卒業まで、通院で小学校卒業までで、来春から中学校卒業まで拡充の方向が示されたものの、京都市以外18歳まで何らかの無償化をしている実態とかけ離れた対策となっている。
さらに保育所等における『親育ち支援』事業が、今年度から国制度となったものの、府制度は、保育体制拡充の支援が無いなど大きな課題があり、保育現場における人材確保や処遇改
善こそ求められている。

第四に、特定の学校に莫大な予算を投入し、全ての府立学校の教育環境を整備する予算になっていないためである。
国の高校教育改革『ネクストハイスクール構想』に沿った取組として、『公立高校改革リー
ディング事業費』や補助金積立基金が計上されたが、これは産業界のための人材育成方針を具体化するもので、しかも特定の高校に限定し予算を投じることは、高校間の格差を生じさせるものである。
一方、特別支援学校の過密の解決のための具体策は持たないままである。

第五に、国の政治をそのまま持ち込み、市町村支援や府民の願いに応えていないためである。
地域の祭りへの補助や地域交通の運行、浄化槽の補助、防災対策などに活用されてきた『地域連携交付金』は、今年度から『地域共創交付金』とされたが、予算5億円も削減し、5年以上継続事業を対象から外すもので、地域に自立を押し付けるものである。
一方、知事は、新幹線与党整備推進委員会ヒアリングに出席し、北陸新幹線延伸ルート確定にお墨付きを与え、さらに、向日市の京都アリーナ(仮称)建設事業費が21億円も上振れし、今後も増え続ける可能性が示された。その上、精華町祝園弾薬庫建設と舞鶴自衛隊イージス艦へのミサイル配備に対し、国に何も言わず、容認していることは重大である。
第6号議案「京都府立学校授業料等徴収条例等一部改正の件」は、府立看護学校の新校舎及び学生寮の供用開始に伴い、大幅な値上げをするもので反対した。
府内看護学校の学費値上げが相次ぐもとで、今回の大幅値上げにより、これを加速しかねず、看護師養成のため、看護学生が経済的不安なく学び続けられる環境の整備は喫緊の課題であり、これに逆行するものである。
第8号議案「京都府立学校授業料徴収条例及び行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律施行条例一部改正の件」は、国の法改正に伴い、高校授業料無償化のための支援金が引き上げられた一方、日本国籍等の要件が加わり、外国籍の生徒は対象外とされたもとで、府条例で、改正法どおり(法施行日前から在学している生徒は除外)としたことで、私立・公立問わず外国籍の生徒を実質差別するもので反対した。
第13号議案「財産取得の件(電子黒板)」及び、第14号議案「財産取得の件(情報通信機器)」は、一括発注した一般競争入札のため、東京本社の大手1社入札となり、分離分割発注など、地元業者が参加できる方法にすべきであり、反対した。

 

[2] とことん府民によりそい、調査を踏まえた運動と論戦で、前進を切り開くため全力をあげた。
共産党府議団は、4月7日に『イラン戦争終結・生活防衛対策本部』を立ち上げ、資材高騰・資材不足等の実態と要求を様々な団体、個人等を訪問、懇談を重ね、京都府に経済対策補正予算等の提案、申し入れを行うとともに、代表質問で、その実現を迫った。また、京商連から「緊急経済対策を求める請願」が提出され、採択に全力をあげた。

中でも、中小企業支援策と一体の賃上げについて、これまで西脇知事は中小企業への直接支援の効果は認めつつ、「賃上げできる環境整備が大事」としてきた。また他府県の施策は「最低賃金が低い府県の人材不足対策」と答弁を繰り返してきた。
このため、最低賃金が東京に次いで高い神奈川県が直接支援策を実施した事例を示し、直接支援策の実現を迫ったが、「直接支援は一時的な対処療法」としてまともに取り合おうとはしなかった。賃上げで地域経済の再生を図る立場から、引き続き取り組みを強めるものである。

一方、補正予算には、大変遅れたものの、府立大学体育館と校舎の整備検討費が計上された。今後、学生や教職員の要望を踏まえ、速やかな整備を求めるものである。また、南部児童相談所の整備検討費がようやく計上された。今後の体制やあり方を充実させることが必要である。

なお、7月6日に発生したクレジットカード売上の立て替え入金サービスを手掛けていた全東信の自己破産により、負債総額1,259億円、全国20万件に影響が及びかねない事態になった。このため、党府議団は西脇知事に緊急対策を要請した。

 

[3] 憲法改悪の動きをはじめ、翼賛国会の様相のもと、党府議団は、改憲の動きを許さない1年とするため『憲法改悪・ミサイル基地化を許さないプロジェクト』として、“9”の付く日に、シールアンケートと憲法9条を守る署名を集める宣伝行動を行ってきた。
議会開会中にも同志社大学、京都大学、烏丸御池で、昼休み等を活用し宣伝・対話活動に民青同盟の皆さんと取り組み、計204名と対話し、その対話経験をニュースで返すなど、6月16日に行った第72回公共政策講座『憲法入門「憲法って何?」から考えるこれからの日本と世界』を力に、憲法守る運動に一貫して取り組み、その対話の経験も踏まえ議会論戦に大いに活かした。

しかし、西脇知事は憲法9条について「国民の福祉国家の発展に大きな役割を果たしてきた」と述べる一方で、「防衛力の抜本的強化は国の専権事項」として、府民の代表としてミサイル基地化の現実に背を向け、容認し続けていることは重大である。

 

[4] 北陸新幹線京都延伸計画は、「国会会期中にルート決定を行う」とする緊迫した中、共産党議員団は代表質問、予算特別委員会、常任委員会質疑、知事総括質疑など、運動と結び延伸計画中止を求めて論戦を重ねた。

代表質問では、6月30日に与党整備委員会ヒアリングが予定されたため、
「ルート決定にお墨付きを与えるもので、応じるべきではない」
と厳しく指摘したが、西脇知事は「ヒアリングに対し出席する予定」と答弁した。
その後、知事総括質疑では、
「仮に与党PTがルートを決定した場合、これをやむなしとされるのか」
と追及した。西脇知事は
「最終的には5条件のところもありますように、地元の知事が合意しない限り、着工には至らないということは変わらない」
と答弁せざるを得なかった。

7月15日、与党PTが『桂川案』を示したが、昨年の参議院選挙での審判や維新が「小浜京都ルートは反対」としてきた立場からも全く説明がつかないものであり、中止以外にないことが明らかになった。
引き続き、延伸計画そのものの中止と、サンダーバードや在来線、住民の足確保にむけて全力を尽くす。

また、向日市に建設中の京都アリーナ(仮称)は、本体建設288億円で契約し、府民の反対を押し切って着工したものの、契約後わずか2年で、建設費が資材高騰等により約21億円上振れしたことが報告された。
その返済が令和10年から始まることとなる。本事業は、DBFO(事業者が設計・建設・資金調
達・運営まで一括して行う)方式で、総額348.5億円となるものだが、着工直後からすでに本体建設だけで309億円となり、今後一層膨れ上がることは避けられない。これは、一旦走り出した巨大プロジェクトにより、人口減少下で、将来莫大な負担を府民に負わせるもので、公が実施する施策として妥当なのかどうかが府民的に問われている。

 

[5] 代表質問で、党議員団は、同志社国際高校生徒の死亡事故について、以下のとおり述べた。
「3月16日に、同志社国際高校に通う女子高校生が、研修旅行で訪れた沖縄県名護市辺野古での小型船舶の転覆事故でお亡くなりになられました。謹んでご冥福をお祈り申し上げますとともに、ご遺族の皆様に深くお悔やみを申し上げます。
日本共産党中央委員会は、高校生を船に乗せたこと自体が重大な誤りであり、また心からのお詫びと哀悼の意を表明しています。
我が党議員団は、今回の事故の検証と原因究明、再発防止策が取られるよう、強く求めるものです。
一方、教育基本法違反との判断は、教育の自由と私学教育の自治性に反する、不当な介入であると考えています。」

この問題にかかわって、維新所属議員が代表質問で、私学運営費補助金の削減についてどのような措置をとるのか、今後、補助金の減額や不交付について一定の明確な判断基準を設けるのか、等の質問を行った。
これに対し、西脇知事は「同補助金の減額等の措置を行った事例がないことから、国の事例等についての情報収集も行いながら、どのような措置を講じるかにつきましては、現時点では検討中」「今回の一例のみをもって統一的な判断基準を設けることは必ずしも適当ではない」等と答弁した。

 

[6] 共産党府議団は提出された府民からの請願採択に全力をあげたが、他の党はすべて反対し否決した。しかし、その願意を活かすため、『消費税減税とインボイス廃止を求める意見書』案、『安全保障法制と安全保障三文書の廃止を求める意見書』案、『第221回国会における重要法案の審議について国民的議論を尽くすことを求める意見書』案、『北陸新幹線延伸ルート決定をやめるとともに計画の中止を求める意見書』案及び『北陸新幹線延伸ルート決定に反対し計画の中止を求める決議』案、『物価高騰、資材不足への緊急経済対策ができる地方財政措置を求める意見書』案、『医療・介護労働者の処遇改善実現に必要な財政措置を国に求める意見書』案、『一部保険外療養制度で国民皆保険の根幹を破壊する「健康保険法等改正」の撤回を求める意見書』案を提案した。
ところが、これらも他会派が討論すらせず、すべて反対し否決した。
請願審査も含め、府民の願い実現に誠実に応えているのが、府議会唯一の野党・日本共産党である。

 

イラン戦争の先行きが見えず、また憲法改正や翼賛国会とそれへの府民的反撃、北陸新幹線京都延伸への批判の広がりなど、せめぎ合いが続く緊迫した時期が今後も続くことが予想される。
党府議団は、憲法を守り、自民党政治の行き詰まりを大本から変えることと、暮らしの願いを実現することを結び、ブレずに広範な府民と運動を広げ、議会論戦に取り組むため、引き続き全力をあげるものである。

以上