令和5年6月定例会 文化・教育常任委員会3日目―2023年6月30日〜島田敬子府議の質疑応答部分

所管事項(文化生活部、文化施設政策監)

委員会の所管事項(文化生活部、文化施設政策監)について質問・答弁が行われた。

 

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◯島田敬子委員  2点伺います。
 高等教育無償化についてです。負担能力を超えた高い学費、学生の3人に1人が平均300万円の借金を背負って、その総額は10兆円にも上るということです。2022年の労働者福祉中央協議会の調査で、奨学金の返済が「少し苦しい」、「かなり苦しい」が45%、「今後の返済に不安がある」が7割、日頃の生活、食事、病院受診等だけでなく、結婚、出産、仕事の選択にも奨学金の返済が影響を与えている実態が報告されました。
 岸田政権の高等教育費負担軽減策は、高い学費そのものを引き下げる案がなく、授業料を国が一旦立替え、後から返済する制度で、新たな学生ローンに過ぎないと思うんです。授業料の減免と給付奨学金をセットで行う大学等修学支援制度は多子世帯、あるいは理工系学部の中間層のみに拡大する差別と分断を持ち込む内容になっていると考えています。日本共産党といたしましては、6月5日に授業料を直ちに半額にし、入学金ゼロ、奨学金は返済不要の給付型奨学金を中心に改革すること、貸与制奨学金の返済も半分に減らす提言を発表したところです。もちろん、国の責任で財源も示しております。
 さて、東京都立大学が令和6年度から都立大学授業料の無償化を、世帯収入目安910万円未満に引き上げるということです。大阪では、5月9日に大阪における高校・大学等の授業料無償化制度の基本的方向性について発表し、高校等の授業料無償化制度について骨子案が示されました。所得制限や子どもの人数による制限の撤廃、府外の私立高校に通う生徒にも対象を広げるとしています。
 日本は無償教育の漸進的導入をうたう国際人権規約も批准をしており、世界の流れであって無料化の理念は賛成できるものです。内容については問題があるので後ほど述べますけれども、本府も次元の異なる少子化対策の重点要望で、高校等の教育費の負担軽減を要望されていますが、現状認識と課題、また東京や大阪などの取組をどのように見ておられるかお聞かせください。
 また、既に大阪から本府に説明に来ておられるとお聞きしましたが、どのような説明が行われたのか教えてください。

◯井関好之 文教課長  所管の私立高等学校の支援についてでございますけれども、大阪府さんが完全無償化ということをおっしゃっていますけれども、大阪府と京都府とでは財政規模も異なることなどから、完全に同様の制度を京都府で実施することは難しいかというふうに考えております。
 それから、大阪府の説明でございますけれども、大阪府庁から京都府に対しましては5月に素案の説明がございました。
 また、6月、先日には京都の私学の団体に対しても説明があったところでございます。
 以上でございます。

◯島田敬子委員  その説明の素案の内容は私が先ほど述べたとおりでございますか。

◯井関好之 文教課長  基本的には委員のおっしゃったとおりでございまして、所得制限なしに無償化をする。ただし、CAP制(※国と大阪府が生徒1人あたりの授業料を負担する上限を年間60万円までとして、それ以上の授業料である場合は、その費用は私立高校が負担する)というのを設けて、一部学校の負担を求めるという内容でございました。
 以上でございます。

◯島田敬子委員  これまでの京都府の私立高校あんしん修学支援制度で、大阪に対しては相互支援をしましょうと調整をしてきたわけですが、大阪はこれに応えず、京都から大阪の私学に通う生徒、令和2年度で808人もいらっしゃいますが、本府のあんしん修学の支援が受けられない事態だったと思っていますが、大阪の今回の無償化の大きな問題、先ほどもCAP制のお話がありました。施設整備費用を含む授業料の上限を行政が決定するCAP制を取って、国、府が決めた60万円を超えた分は私学の負担になるということで、これ大問題だと思うんですね。大阪から京都に通う生徒の負担を、これ、私学が払うということになるのか、また大阪府の制度は既に800万円未満の世帯の授業料、標準授業料60万円を超える額は学校が負担をしており、大阪府内の私立高校5校が参加していません。今回の新制度の参加を見送る学校も出てくることが予測されております。
 京都府の私学の対応は、個別の判断、学校の判断になるのか、この辺は分かる範囲で教えてください。

◯井関好之 文教課長  大阪府が検討されております制度では、おっしゃいましたように、一部学校の負担が生じますので、京都の私立高校の中には、大阪府の制度の検討に関心を持って、また不安や懸念も表明をされております。大阪府が実施をされる制度に京都府の学校が申請をして認められて、この制度に参加するというのが大阪府さんの考えでございますので、基本的には、そこの申請をされるかどうかということになるのではないかというふうに思っております。
 以上でございます。

◯島田敬子委員  少なからず、本体の大阪は何億という(財政負担)規模で増える学校、京都にも大阪からたくさん来られていて、その私学の負担も数千万単位で出る学校も出るのではないかと思うんです。制度を入れるかどうかの判断は個別の学校になっていくということなのでしょうか。京都府と大阪がそれぞれの制度について協議をして、京都の私学の負担が増えないようにしていくところとか、そういう協議とか京都府はどのような責任を果たそうとしているのか教えてください。

◯益田結花 文化生活部長   ただいまの御質問でございますが、大阪府さんが大阪府でされる制度、それについては京都府が何か御意見を申し上げるというようなことはないかというふうに思っております。
 ただ、私ども今までの経過を聞いておりますと、京都府の私立学校のほうも非常に懸念ですとか心配を持っておられるということはお聞きをしておりますので、その点に関しましては私学の御意見もよくお伺いしてというようなところでございます。
 また、先ほど課長も申し上げましたとおり、大阪府さんからただいま素案ということでお示しをいただいているという状況でございまして、大阪府のほうもいろいろやり取りをなさっているというのを報道ベースで承知しておりますけれども、夏に向けて大阪府のほうも制度を固めるというふうなお話を伺っておりますので、最終的にどういったお話があるのかというところを今はしっかりと見極める、また私学の御意見をしっかりお伺いすると、そういう段階ではないかなというふうに思っております。

◯島田敬子委員  本来、隣接する自治体がお互いに協議をして合意も取っていく丁寧なプロセスも必要ではないかというふうに思っているところでありますが、私学団体に説明に来られた大阪の方は、質問をしてもいいが意見を言うなと、こういう運営が一部にあったようにも聞いておりますが、京都府としてもその個別の私学の判断、それから主体の判断ではなくて、やっぱり話合いをしっかり進めていくという方向で言うべきことは言っていただきたいなと、これは要望しておきます。
 私学の運営費補助、経常費助成についてですが、本府も毎年、私学助成拡充の意見書を国に上げてまいりました。この大阪の経常経費は、生徒1人当たり単価額に基準額を80,000円程度下回る全国最下位レベルで47都道府県中46位、15年間ずっと、15年以上ですかね、経常費助成を削られた大阪は、生徒の獲得競争が激しくなって、教員の正規雇用率が全国平均58.8%を大きく下回る49.3%と、非正規雇用の職員が増えているということで、これは教育の質という点でも、私学の教育水準の維持向上という点でも、大きな課題があるやに思っています。ちなみに本府の経常費助成も全国40位と聞きましたが、補助単価は国の基準を満たしているのでしょうか。今、幾らぐらいになっておりますのかとお伺いします。

◯井関好之 文教課長  経常費助成の単価についてでございますが、おっしゃっている基準というのが、国の交付税と補助金の単価の合計のことだと思いますけれども、京都府はその額に対して95%で計上をしておるところでございます。
 以上でございます。

◯島田敬子委員  私どもも保護者負担の軽減を頑張れということも言ってきましたし、それから私学も公共性に鑑みてしっかり公費でも支援をするという両面からやっぱり支援をする必要があると要望をしてきましたけれども、先ほどのCAP制で私学の負担を増やすのに経常費の助成も減ると。こういうやり方をすると、ますます先ほど紹介したような教育現場の困難な事態が広がって、それは子どもの教育にとっても大変悪い影響も及ぼすということを考えております。CAP制などという教育の中に行政が上限を設けるなどという仕組みもおかしいし、私学の負担で無償化といって言っていくようなやり方もおかしいし、私学の自主性を大前提に公費による無償化、教育条件整備へ取り組む必要がありますし、国の抜本的な財政支援が欠かせませんし、本府としても予算要望に上げておられますが、さらなる努力を求めておきたいというふうに思います。
 この点について一言あればどうぞ。

◯井関好之 文教課長  京都府のあんしん修学支援制度につきましては、全国でも上位の制度だと思っておりまして、この私学助成とあんしん修学支援の両輪でしっかりと支えてまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。

◯島田敬子委員  次に、北山エリア整備計画について伺います。これまでコンサルタント業者に委託していろいろ計画を出させてまいりましたが、2018年の旧総合資料館跡地の在り方検討会以降、毎年いろいろな委託をされてきましたが、どの事業にどれだけそれぞれ補助金を打ったか、決算額と事業名と教えてください。

◯砂子坂孝之 文化施設政策監付理事  北山エリア整備計画関係の委託内容等でございます。令和元年度、2年度、3年度、そして今年、今、プロポーザルの作業に入っているものがございます。
 まず、令和元年でございますが、京都府立大学の共同体育館の整備にあたりまして、学生利用を大前提に多機能、多目的な利用を検討するために、アリーナ的要素を持った体育施設の可能性調査を行わせていただきました。委託先はKPMGコンサルティングでございます。委託金額は998万円余となっております。
 続きまして令和2年度でございますが、北山エリアの整備の議論のたたき台のイメージとして我々策定しておりました、北山エリアの整備基本計画の策定業務をあずさ監査法人に1,990万円余で委託をいたしました。
 続きまして、令和3年度でございますが、この北山エリアの整備事業手法などにつきまして、官民連携も想定をいたしまして、民間の視点からの提案をいただくために、北山エリアの事業手法の検討業務としてプロポーザルでKPMGコンサルティング、こちらに1,499万円余で委託をいたしました。
 そして、今年度、今、作業に入っておりますのが、旧総合資料館跡地の活用についてでございまして、去る5月30日に実施いたしました第3回の同旧総合資料館跡地等の活用に係る意見聴取会議におきまして、舞台芸術ですとか視覚芸術拠点施設にそれぞれ求められる機能でありますとか、北山エリア全体の魅力向上につながる附帯施設として、我々、交流・創造・発信というようなキーワードを掲げましたが、これらの施設整備の考え方を整理されたと。座長からも具体化を京都府、求められましたので、この整備内容の具体化を図るためのプラン作成の支援業務を、現在、プロポーザルの作業に入っているところでございます。
 以上でございます。

◯島田敬子委員  たくさんのお金を使っていろいろな計画も立てて、成果物も出ておりますけれども、北山整備基本計画のイメージ図に、例えば植物園の心臓であるバックヤードが描かれていなかったなど、現状を知らない人がプランしたのではないかと、よう分かるようなものもありました。
 この間、北山エリア開発計画について、2月20日、第4回の植物園有識者懇話会で、京都府が植物園の見直し案を提示しました。4月26日には、第3回共同体育館アリーナに係る意見聴取会議で、学生の意見を反映した案を提示いたしました。植物園の職員など現場の声、そして体育館は学生の声を聴くことの重要性が非常によく分かったと思います。多額の税金を投入した3つの施設の計画のうち、2つが大きく見直しをすることになったのですから、初めから現場の当事者の声を聴いて進めるべきだっただろうと思うわけであります。一旦、計画は白紙撤回し、一から見直すべきと思います。
 なので、もう5月30日から始まっている旧総合資料館跡地についても、プロポーザルで計画を作らせるのはやめたらどうかと思うわけです。文化芸術団体、府民の声を集めて、また隣接する住環境にも大きな影響を与える施設ですので、説明会等も持つべきだと思いますが、いかがでしょうか。

◯砂子坂孝之 文化施設政策監付理事  今、御質問等いただいたことでございますが、今回の代表質問で知事からも答弁させていただきましたとおり、北山整備基本計画につきましては、北山エリアをこれから整備させていただくための議論のたたき台のイメージというような答弁をさせていただいております。ですので、この計画内容が全て固まったものではなく、あくまで様々な方からの御意見を頂戴するための議論のたたき台のイメージでございますので、本件、申し上げたとおりでございます。
 先ほど様々な方からの御意見をいただいたでしょうというお話もございましたが、我々、そのつもりで、様々な方からの様々な幅広い御意見を今、頂戴をしているところというふうに考えております。
 また、令和元年度から令和3年度まで委託させていただいた内容については、北山エリア全体に係る整備計画の策定業務に係るものでございますが、今年につきましてはその中でも旧総合資料館跡地の活用に係るものということでございますので、それぞれの施設、それぞれの様々な御議論いただいている中の1つの中身を前に進めていくということでございますので、令和3年度までで行ってきた委託内容と本件につきましては、違ったものというふうに考えております。今回につきましては、意見聴取会議の内容で座長から具体化を進めてほしいという御要望もあって、京都府としては委託を進めたいと思っているものでございます。
 以上でございます。

◯島田敬子委員  整備事業手法等検討業務の企画提案仕様書には、植物園、そして共同体育館、シアターコンプレックスがありまして、その植物園とシアターコンプレックスの枠外に別途、民間事業者による賑わい・交流施設の整備を予定していると別枠で書いてあるんです。そうしますと、これは他方で何か進めていらっしゃるんですか。

◯砂子坂孝之 文化施設政策監付理事  今、それぞれ他方でということではないかと思っております。今、北山エリア全体の中でどのように進めていくかというのは、先ほど申し上げたように、令和3年度までの中身でございますので、その別枠だから別でやるんだというような議論ではないというふうに思っております。
 以上でございます。

◯島田敬子委員  2020年12月の整備基本計画のイメージ図、これもありますけれども、植物園の見直しをしたり、あるいは共同体育館の見直しをして規模も少し小さくなる。だけれども、この整備基本計画のイメージ図にあるのは、北山通りから旧総合資料館跡地を南側に臨む風景が紹介されていまして、シアターコンプレックスよりも高い別棟の賑わい・交流施設がドーンとあるわけですね。これはその全体像も説明しなかったし、その全体にかかる金額も説明されていないし、これ教育環境にも、それから生きた植物の博物館である植物園にも重大な影響を与えるものだし、第一、閑静な住宅街の住民の住環境を破壊するので、これ、いろいろ心配があって住民説明会を開いてくれと、こういう要望が上がっているわけですね。このイメージ図はどうですか。この賑わい・交流施設と書いてあるイメージ図にあるこのでかい建物というのは、これはどういうことなんですか。

◯角田幸総 文化施設政策監  繰り返しになりますけれども、北山エリア整備基本計画については、その議論をスタートするためのたたき台としてのイメージだと考えておりまして、その整備の検討に当たりましては個々施設、本当に論点が多岐にわたるものですから、施設ごとに有識者の方々による意見聴取会議、あるいは地域の自治会の役員の方々、小中学校周辺の周辺の福祉施設の方々、様々意見交換を行ってきたところでございます。
 また、府民の方々を対象としたワークショップ、あるいは共同体育館については、府立大学の学生によるワークショップ、こういったものを開催するなど幅広く府民の声、利用者の声をお伺いしているところでございます。
 先ほど委員から植物園は見直しをした、アリーナは見直しをしたということで御質問があったんですけれども、我々、見直しということは考えておりませんので、こういったたたき台としてのイメージを、こうして様々に御意見を聞いてきているという段階でございます。
 説明会のお話もございましたけれども、そういった中で1つゾーニングができた植物園については、3月には次の100年に向けた植物園像、その考え方を踏まえた配置図案、これについて4日間、計8回の説明会をさせていただいたところでございます。資料館跡地活用とか共同体育館につきましても引き続き、御意見を伺っているところでございまして、今後、こうした御意見を踏まえた整備に方向性をお示しできる段階で、しっかりと御説明をさせていただきたいというふうに思っております。
 以上でございます。

◯田中健志委員長  会派残り時間2分切っておりますので、そろそろおまとめください。

◯島田敬子委員  正確にしなければいませんね。様々な提案がされたので、しっかり意見を聞いて、やっぱり見直すべきところは見直していただきたいというふうに思います。
 最後に、府立大学の整備計画について本会議で答弁いただけませんでしたので、完成時期に向けたスケジュールだけお聞かせください。

◯角田幸総 文化施設政策監  現在、様々な調整をしているところでございます。府立大学の学舎整備に当たっては、学部学科再編に対応した学舎整備を行うべく、昨年度、府立大学において京都府立大学整備基本計画を取りまとめたところでございまして、我々としてはこの基本計画を基に整備検討を進めていくに当たって、法人とともに様々調整を図っているところでございまして、府立大学における耐震性能の向上とか魅力あふれるキャンパス整備、できる限り速やかに実施できるよう、検討を進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

◯田中健志委員長  残り1分を切っておりますので、おまとめください。

◯島田敬子委員  耐震も問題がある、学生の命を守るためにも、できる限り速やかにと、この完成の目処はまだ示せませんでしょうか。

◯角田幸総 文化施設政策監  様々な調整を行っているところでございまして、できる限り速やかに実施をしてまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。