北陸新幹線:敦賀ー新大阪間想定ルートの京北山国地域・南丹市美山田歌地区・福井県小浜市、金沢―敦賀工事現場を視察しました。

 今日は北陸新幹線敦賀ー新大阪間想定ルートの京北山国地域、南丹市美山田歌地区、福井県小浜市、金沢―敦賀工事現場を訪ね、住民の方の声を伺うとともに、敦賀工区では地元市議会議員の山本さんの案内で駅周辺や工事現場を調査してお話をお聞きしました。

 2020年12月からすでに「住民不在」の環境アセスメントが開始されました。右京区宇多野ではすでにアセスメント協力依頼の回覧板も回されるなどしています。そして、2023年、つまり、再来年には京都府内、市内各地で同時多発的に工事着工が狙われています。

 明らかになっている総建設費は2兆1000億円ですが、金沢ー敦賀間ではトンネル工事の追加工事、物価上昇、入札不調などですで2880億円が増額されており、東京外郭環状道路の大深度地下トンネル工事では、陥没事故なども発生し、工事費は倍額になりかねないことから推定すると、敦賀ー新大阪間全長140kmの8割が山岳トンネルや大深度地下工事という計画は、工事費が当初の想定から倍額になることも考えられます。

 歴史的にも例のない大量の残土の、しかもヒ素など有害物質を含む残土の処理水道水源や農業用水の枯渇、大型工事車両の長期間通行による地域の疲弊などなど、地域に与える影響は甚大です。

 そして、敦賀の工事現場では、実際にそのような様々な影響が出ていることを確認しました。

 福井では、自民党の政治主導により、原発エネルギー政策とも絡んで無謀な計画が進行していることも改めて実感しました。

 急いで急いで、府民の皆さんに知らせなければなりません。

 そうそう、工事現場に熊さんが出てきて作業員二人が怪我をされたそうです。地元では報じられていますが、熊さんも猪さんもいい迷惑ですよね。

 北陸新幹線延伸計画問題で金沢敦賀間の工事関連で様々な問題が起きていることを確認し、改めて福井新聞などの情報を調べてみました。地元と連携した取り組みを早急に強めなければなりません。トンネル工事により水枯れが起こった敦賀市越坂地区田尻地区では弘法大師ゆかりの井戸が枯れ、田尻では農業用水枯渇も起こりました。関連ニュースを参考までに。

 

 

北陸新幹線トンネル工事で水枯渇―敦賀、河川や農業用水などに影響

[福井新聞 2020年6月12日]

 2023年春の北陸新幹線敦賀開業に向けた新北陸トンネル(約19.7km)工事の影響で、周辺の福井県敦賀市越坂、田尻の両区内を流れる川や農業用水が枯渇する現象が起きている。弘法大師空海にまつわる伝説が残る井戸が使えなくなった被害も出ている。建設主体の鉄道建設・運輸施設整備支援機構は、下流側などから水をくみ上げて送水する応急対策を行っているが、地元住民からは恒久的な対策を求める声が相次いでいる。

 越坂区では、新北陸トンネル工事のアクセス通路となる「斜坑」の掘削工事が2017年3月に始まり、同年7月ごろから区内を流れる越坂川の流量が減少。同機構の調査によると、上流付近で毎分約100リットルあった流量が5分の1を下回る状況となった。

 川の水は農業用水の一部や冬場の道路の融雪に使っており、区民の生活に影響を及ぼす懸念が生じたため、機構は地元と協議。応急対策として、斜坑付近の湧水をポンプでくみ上げ、浄化処理して川の上流部まで管路を通し、送水するようにした。

 区長の男性(70)は
「以前は川で野菜を洗う区民もいたが、濁水も混じり、もう洗えない」
と厳しい表情。
「トンネル工事の完了後は、絶対に水が枯れない場所から送水するようにしてほしい」
と抜本的な対策を求める。

〔※写真:農業用水として使っていた沢水が枯渇した用水路=7月3日、福井県敦賀市田尻〕

 同区では民家2軒の井戸の地下水の水位が低下し、使用できなくなった被害も出ている。このうち83歳の男性所有の井戸は、かつて弘法大師がこの地を訪れ、つえをつくと清水が湧き出たという伝説が残り、区民の飲料水として重宝されてきた歴史があるという。男性は
「いわれのある井戸が使えなくなり悲しい。行政などは新幹線が来ると喜んでいるが、生活用水に悪影響が出ている面もある」
と声を落とす。

 一方、田尻区でも昨夏以降、山の沢水が枯渇。農業用水として使っていた約30アールの水田に影響を及ぼすため、機構は近くの田尻川からポンプで水をくみ上げ送水する対策を行った。水田所有者の62歳の男性は「区内の沢水や川の流量が全体的に減少しており、以前と比べると半分以下。井戸掘削などで地下水をくみ上げるようにしてもらわないと、米作りができない」と訴えている。 機構は「トンネルの主な工事が完了する2020年9月ごろまで応急対策を継続する予定。その後は地元住民と相談し、恒久対策を検討する。対策設備の整備費や30年相当分の維持管理費を金銭補償することが考えられる」としている。

 

■新北陸トンネル

 福井県南越前町と敦賀市をつなぐ全長約19.7kmで、新幹線トンネルとしては全国で6番目に長い。2014年6月から掘削工事に着手し、6工区に分けて整備を進めている。敦賀市内の工区の掘削状況は葉原工区が6月1日時点で進捗率93%、田尻工区51%、樫曲工区95%となっている。貫通時期は来年4月ごろの予定。

 

 

新北陸トンネル、想定外の難工事連続 北陸新幹線金沢―敦賀間で最長

[福井新聞 2020年7月12日]

 北陸新幹線金沢―敦賀間で整備される福井県内のトンネルは12本。中でも、南越前町と敦賀市を結ぶ延長約20kmにも及ぶ新北陸トンネルの掘削工事は、軟弱な地盤や突発的な湧水にたびたび見舞われ、難工事の連続だった。

 「工事の難しさは想定していたが、それ以上だった。それだけに今はほっとしている。その一言に尽きる」。新北陸トンネルの貫通式に臨んだ鉄道建設・運輸施設整備支援機構敦賀鉄道建設所の柏木亮所長は約6年に及ぶ工事を振り返り、安堵の表情を浮かべた。

 最終工程となった敦賀市の田尻工区は当初、4月貫通予定だったが、トンネル周辺の地盤が脆弱で、思うように掘削が進まなかった。「重機が入ると沈んでしまう。水を含んだ泥を取り除き、路面の砂利を入れ替えて少しずつ掘削を進めてきた」(柏木所長)という。

 また、南越前町の大桐工区や敦賀市の葉原工区では断層破砕帯などに蓄積された大量の水が湧き出し、排水処理に時間を取られた。丸一日作業しても掘削が1ミリも進まない日が続いた。

 柏木所長は「場所によってコロコロ変わる地質に苦しめられたが、地質に対応した適切な工法を選択し、施工業者の高い技術力で難工事を突破することができた」と強調した。新北陸トンネルの施工には延べ約40万人が関わったという。

 このほかのトンネル工事でも曲折があった。あわら市の柿原トンネルでは、掘削作業中にトンネル天井が崩落。地上部のグラウンドで陥没事故が起き、工事が一時中断した。ラムサール条約に登録されている敦賀市の中池見湿地の一部を通る深山トンネルでは、環境への影響が出ないよう慎重に工事を進めてきた。

 新北陸トンネルの貫通によって、金沢―敦賀間の12本のトンネルのうち、残るは敦賀市の深山トンネルのみとなった。2023年春の開業まで約2年8ヶ月。柏木所長は「工程に余裕がない厳しい状況だが、引き続き工事を進めたい」と気を引き締めた。