令和5年2月定例会 府民環境・厚生常任委員会及び予算特別委員会 府民環境・厚生分科会2日目―2023年3月6日〜島田敬子府議・馬場紘平府議、他会派府議の発言部分

付託請願

下記の請願について審査が行われた。
 ○新規請願(2件)
   ・第1471号請願「物価高騰に見合う生活保護基準の引き上げを求めることに関する請願」
   ・第1472号請願「難聴者の補聴器購入に係わる負担軽減を求めることに関する請願」

 

●第1471号請願「物価高騰に見合う生活保護基準の引き上げを求めることに関する請願」

◯馬場紘平委員  紹介議員の1人として皆さんに賛同していただきたいという願いを込めて、御発言させていただきたいと思います。
 物価高騰が非常に深刻な状況になっておりまして、請願にも書かれていますように前年同月比で4%を超えるというような状況になっていると。そういった影響というのは、特に生活が困窮されている生活保護世帯の皆さんの暮らしを直撃しているということになっていまして、改めて請願にもありますように、この生活保護費の基準の引上げということが急がれる状況になっているというふうに思います。
 改めて、府民の命や暮らしを守るという立場からも、こうした請願をしっかりと皆さんと御一緒に採択をしながら、命・暮らしを守るという役割を府議会としても発揮をしていくと。そのためにも委員会として、ぜひ採択をいただきたいというふうに思います。
 以上です。

◯北原慎治委員(自民党)  請願を出していただきまして、よく勉強をさせていただいて、反対の立場から討論をさせていただきます。
 請願の中にもあるように、厚労省が2022年に、5年に1度の生活扶助基準の改定ということで、それを厚労省の援護局のデータを見させてもらって、一定、1人当たり、暫定2年間ということですけれども増額されたりとかという内容も見させていただきました。
 それで、いろんな勉強をさせてもらっている中で、一応やっぱり理事者のほうにも確認させてもらいたいなと思うんですけれども。今回のこの見直し案というのは、内容的にどうでしょうか。

◯杉本圭哉 地域福祉推進課長  生活保護制度の見直しでございますが、委員からもお話がございましたとおり、おおむね5年に1度の見直しということになっておりまして、今年度がその検討の年となっております。
 今回、国において提示をされましたのが、令和5年度の概算要求に伴って参考資料ということで、モデルケースごとの見直しの案というのが示されております。その内容を拝見しておりますと、まず大きな考え方といたしまして、一般の低所得者世帯との均衡を図るというところで、モデルケースの世帯ごとに見直しが図られておりますのと、足元の社会経済情勢を適切に反映するという視点から、委員からも今ありましたとおり、生活保護の受給者1人当たり月額1,000円の加算措置を2年間にわたり特例的に設けておられるということでございます。
 内容を拝見しておりますと、京都府といたしましては、基本的には生活保護制度というのはナショナルミニマムの制度ですので、国において適切に御検討いただくべきものであるというふうには考える一方で、京都府といたしましても、一般世帯との均衡と物価の上昇等を適切に反映するように、この間、要望に努めてきたところでございます。
 そういった意味では、京都府が要望してきたことが一定反映されているものということで、評価できる内容となっているのではないかというふうに考えているところでございます。
 以上です。

◯北原慎治委員(自民党)  ありがとうございます。そういう改定はされている中で、こうやって府民の方からお声が上がっているんですけれども、この見直し案というのは先ほどおっしゃっていただいたとおり厚労省からそういうふうに出ていますが、京都府としてはどういうふうに評価されているんですか。

◯杉本圭哉 地域福祉推進課長  今、申し上げましたとおり月額当たり、モデルケースの世帯ごとに見てまいりますと、特に消費支出の多い子育て世帯で1世帯当たり月額3,000円から16,000円程度の増額、率に直しますと1.5%から11.1%の増額という方針が示されておりますので、一定、現下の社会経済情勢や、また一般低所得者世代との均衡という点で、十分に検討された結果であるというふうに認識をしております。
 以上です。

◯北原慎治委員(自民党)  ありがとうございます。知事からも12月の定例会の本会議でも、やっぱり国に要望していて、今後も引き続き要望してまいりたいという答弁もありました。その意見が一定反映もされているので、府議会として特別に対応するという必要がなく、現状、国で出す基準というのもありますので、よってこの請願には賛成できないという立場で討論させていただきました。
 以上です。

◯馬場紘平委員  府がどう捉えているかということもあるとは思うんですが、この請願は国に対して意見書を提出していただきたいというふうな中身になっていまして、そういった意味では、今、北原委員から指摘があった中身というのは、まさに国に対して制度の拡充を求めていくということを、府議会としてもこの請願を採択しながら上げていくというふうにするということでいいのではないかなというふうに思います。
 おそらく、委員の皆さんも地域の中で様々な御相談をいただいているというふうに思うんですね。これだけ物価が急速に上がっていますし、そういった状況の中で府民生活全体が大きく困窮をしていくという状況にもありますし、そういった中で例えば生活保護そのものが役割を果たしきれているかということで言いますと、やはり捕捉率も極めて低いです。
 そうした観点がある中で、低所得世帯との均衡ということで本当にいいのかどうかということがやっぱりあるし、そもそも憲法25条で定められている健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるという国民の権利を保障する制度でありますので、この厳しい社会情勢の中で、さらに制度として拡充を図っていくということは、当然求められているというふうに思うし、そこについては北原委員とも意見は違わないのではないかなというふうに思います。ぜひとも採択に御協力いただければというふうに思います。

◯島田敬子委員  この間、国が2013年から行った生活保護費の基準額引下げは、生存権を保障する憲法に違反するとして、宮崎、大阪、熊本、東京、横浜、各地の裁判で国の減額処分の取消しを求める訴訟の判決があって、勝利をするということになっています。
 2013年から2015年にかけて生活保護費の削減を段階的に実施して、食糧費、光熱水費などに充てる生活扶助の基準、平均6.5%も引き下げて総額670億円を削減したわけです。そもそも生活保護世帯の消費支出の算出の仕方について、もともとそういう人たちがあまり保有もしていないパソコンなどの価格下落の影響を過大に評価した可能性があるなどの指摘もあって、厚労省の判断について統計等の客観的な数字などの合理的な関連性、専門的知見との整合性も欠くとまで述べております。
 これまで引き下げ続けられた保護基準を、あくまで生活実態に基づいて、やはり人間らしく生活できる保障を国の責任でやっていくということが必要ではないかというふうに思っております。
 折しも物価高騰で3食まとめて食べられないとか、またエアコンはもちろん、ストーブもつけないで毛布にくるまって生活をしているとか大変な状況にあります。しっかり改善することが必要だと思いますので、国に意見を上げていこうではありませんか。
 よろしくお願いいたします。

●審査結果…挙手採決の結果、賛成少数により、不採択と決定した。

 


 

●第1472号請願「難聴者の補聴器購入に係わる負担軽減を求めることに関する請願」

◯島田敬子委員  紹介議員の立場から賛同を求めたいと思いますが、難聴者の補聴器購入に係る負担軽減を求める請願についてです。
 加齢性難聴者の補聴器購入に係る負担軽減を求める意見書は、府議会としても全会一致で国に提出されたところであります。府内市町村からも意見書が上がるなどして、住民運動も大きく広がる中で、京丹後市では、府内で初めて難聴高齢者補聴器購入助成金が新年度予算案にも提案される事態となっています。
 今回の請願は、高齢者にかかわらず全ての難聴者について、日常生活を不便にし、コミュニケーションを困難にするなどの生活の質を落とす大きな要因となっている方々の補聴器助成、負担軽減を国に求めるものでございます。
 推計で1,430万人の難聴者のうち、補聴器所有者は210万人で、14.4%と極端に低くなっておりますが、欧米諸国が医療のカテゴリーで手厚い公的助成をしているのに対して、我が国では障害のカテゴリーで限定的な対応となっておりまして、障害者手帳保持、両耳70dB以上の高度・重度難聴者でしかありません。
 生活には補聴器が必要であるという方が多いのに、国の支援がないために、自治体間格差も地域格差も広いということで、これは日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会でも調査報告が出されております。今、申し上げましたように、身体障害者に該当しない軽度から中等度の難聴であっても生活には補聴器が必要であるという方が数多いが、国の費用助成制度がない。自治体独自の助成制度が広がりつつあるけれども地域差も大きく、身体障害者の資格があるか否かで不公平にならないように、聞こえに困っている難聴者全体に対して地域差のない国の制度として0歳から終生切れ目のない支援が早期に確立されることが望ましいという調査結果と論文も発表をされているところであります。
 ぜひ国へ意見書を上げ、また京都府も急いで市町村と連携をしながら、新しい独自の補聴器購入助成制度等に取り組んでいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

◯北原慎治委員(自民党)  請願をよく読ませていただきました。ここに全国131自治体、年金者組合調べというのがあったのでちょっと調べさせていただいて、中央社会保障推進協議会、全日本年金者組合さんが出されている資料も見させていただきました。確かにいろいろ補助をされている、東京がすごい多いなと思ったりしましたし、あと出されているところもやっぱりいろんな条件があって出されているなというふうに勉強させてもらいました。
 自分が勉強しているだけではあれなんで、また、ちょっと理事者のほうに確認させていただきたいなと思うんですけれども、今、請願が出ています難聴者の方への補聴器の購入について、京都府の対応というのはどのようにされているんでしょうか。

◯大辻忍 障害者支援課長  難聴の方の補聴器購入についてでございますが、聴覚に障害があって障害者手帳をお持ちの方に対しましては、国の補装具費支給制度の中で補聴器を購入される際の費用の一部が支給されているところでございます。
 この補装具費の支給制度につきましては、国が2分の1、都道府県、市町村が各4分の1というスキームになってございますけれども、その中で京都府としては補聴器の購入も含む補装具費支給制度、毎年1億5,000万円を超える財政負担を行っているところでございます。
 また、身体障害者手帳を所持されていない方につきましても、18歳未満の難聴のあるお子さんにつきましては、補聴器の装着によりまして学習や社会適応力などを習得いただいて、健やかな成長につなげていただくということで、府内市町村とともに独自の助成制度を実施しているところでございます。
 以上でございます。

◯北原慎治委員(自民党)  ありがとうございます。私も右京区が地元で、島田委員も同じ右京区で、学校がありまして、その事情に関してはよく勉強させてもらっています。今、京都府としての対応、取組というのを教えていただいたんですけれども、府内の自治体でどのように対応されているのかという状況を教えてもらえますか。

◯大辻忍 障害者支援課長  府内の各市町村さんの取組でございますが、先ほど御紹介がありましたけれども、新年度から京丹後市で65歳以上ということでお伺いしましたけれども、それが恐らく初めてのお取組というふうに思います。
 これまで京都府内の市町村さんで独自の助成制度というのは、先ほど申し上げました18歳未満の難聴児さんを除いては取組がないというふうに聞いているところでございます。
 以上でございます。

◯北原慎治委員(自民党)  ありがとうございます。予算規模的なものも今お話は聞かせていただいたんですけれども、難聴者の補聴器の購入に対する補助というのは、京都府はこの購入とかの補助に対して国の関わりというのはどのように考えておられますか。

◯大辻忍 障害者支援課長  難聴のある方の補聴器の購入につきましては、現在は国の補装具費支給制度の中で対応されているところでありまして、その対象等の拡大につきましては、国の補装具費の支給制度により対応されるべきものというふうに考えているところでございます。
 そのため京都府といたしましては、これまでから国に対しまして聴覚障害を含めた身体障害のある方の認定基準が適切なものになるように、その見直しを要望してきたところでございます。
 以上でございます。

◯北原慎治委員(自民党)  ありがとうございます。我々府議会としても、昨年の12月に加齢性難聴者に対する補聴器購入に係る公的支援制度の創設を求める意見書というのも提出させてもらったところでもありますので、一定、府議会として、そういう対応はしておりますので、今この請願に対しては、賛成する立場は取れないという意見です。
 以上です。

◯島田敬子委員  先ほども申し上げましたけれども、国の支援というのは70dB以上、本当に重度の障害者だけしか対象となりません。新生児等は、聴覚スクリーニング検査が広く実施されるようになって、早期診断、早期療育開始の流れができつつあって、これはどんどん拡充していることは、そのとおりであります。
 私からもお聞きしたいんですけれども、国の制度にやっぱり法的根拠がないので、難聴高齢者の把握の実施そのものが大変遅れていると、この学会の調べによりますと実施しているのは僅かに2.2%しかないということなんですよ。
 国に必要な意見を上げて、身体障害者の基準等の見直しも要望をされていることは知っていますが、じゃあ、京都府ではどれだけの難聴者がいらっしゃるんですか。それから、身体障害者手帳をお持ちになって、70デシベル以上が何人で、補聴器はどれくらい保有されているのか。それから、難聴高齢者を把握するような調査ですとか、介護の支援事業だとか老健の事業で行われているのかどうか、ちょっとこの際お聞きしたいというふうに思います。

◯大辻忍 障害者支援課長  身体障害者手帳をお持ちの聴覚障害のある方でございますけれども、これは京都市を除く府内の状況でございますが、総人数といたしましては、去年の3月末現在6,358名いらっしゃいまして、そのうち65歳以上の方が5,386名、おおむね85%弱ということになってございます。
 以上でございます。

◯島田敬子委員  そのうち補聴器等を所有されている方、あるいは補聴器助成の対象になった方は何人ぐらいですか。

◯大辻忍 障害者支援課長  実数では把握してございませんけれども、補聴器の購入という形で補装具費が支給されているのは年間500件前後というふうにつかんでございます。また、修理につきましては、年間その半分の約250件前後というふうに把握しているところでございます。
 以上でございます。

◯島田敬子委員  手帳を保持されている方も6,358人、65歳以上が5,386人もいらっしゃって、支援を受けて補聴器を購入されている方は非常に少ないということですよね。加えて、障害者認定にならない軽度・中等症も、やっぱり引き籠もりだとか認知症だとか、生活を困難にしている状況がありますので、ここは実態調査も含めまして、国に必要な意見も上げるし、耳鼻科の先生方がおっしゃいますように、やっぱり国の制度として切れ目ない支援が必要だという立場に立って意見も上げなければいけないときだというふうに思いますが、北原委員、いかがでしょうか。

◯北原慎治委員(自民党)  医療系の立場として、障害をお持ちの方というのは、難聴以外にもいろいろおられて、でも、やっぱり何をするにしても予算というのはついてくるもので、今、僕が聞かせていただいた理由というのは、その予算がどれぐらいかかっていてというのは、やっぱり知りたかったというところもあって聞かせていただいています。
 それは、歯科治療でも歯が無くなった方、入れ歯とかはありますけれどもインプラントというのもあったりとかして、そういう高額なものを補助でとなったときに、それがどれぐらいのところでお願いできるものなのかとかいうことは、一定、行政のほうも判断はされるんだろうなというところで、先ほど京都府のほうにお伺いをさせていただきました。そういう重度の方に対しては、そういう補助があって、中軽度の方に対しては今現在そういう補助はないと。重度の方で一定それだけの人数の方がおられて、予算が1億5,000万円かかっていて、さらに中軽度の方はどれだけの方がおられるのかというところを想像すると、やっぱり、これは国の話になるのかなというところで、この請願に対しては賛成できないという立場を取らせてもらっています。
 以上です。

◯島田敬子委員  最終的に国が制度をしっかりつくって応援するということも必要ですし、やっぱり実態調査も含めて、介護予防という点からも認知症予防という点からも非常に重要な事業ですので、ぜひ前向きに賛同いただきたいと思います。
 以上です。

●審査結果…挙手採決の結果、賛成少数により、不採択と決定した。