付託請願
・第1417号請願「選択的夫婦別姓の導入のため民法改正を求める意見書に関する請願」について審査が行われた。
◯島田委員 「選択的夫婦別姓の導入のため民法改正を求める意見書に関する請願」についてです。
婚姻に際して夫婦の一方の改姓を強制し、その結果として多くの女性が様々な場面で改姓の不利益を被っている現状があります。憲法並びに女性差別撤廃条約及び自由権規約にも反するものです。
選択的夫婦別姓は、「選択的」という言葉が表すとおり、同姓ないしは別姓のいずれかを強制することなく、個人の尊重と両性の本質的平等の観点から同姓を希望する者、別姓を希望する者それぞれに対して選択の自由を認めるもので、我が国においては既に四半世紀にわたって様々な議論が尽くされ、国民の多数が導入を支持することになっております。よって、国におかれて選択的夫婦別姓導入の問題が氏の変更を強制されない自由を全ての個人が享受すべきであるという人権の問題にほかならないということを真摯に受け止め、夫婦同姓の強制をやめるよう民法を改正し、希望する者が婚姻前の姓を保持したまま婚姻することができる選択的夫婦別姓制度を速やかに導入することを強く求める意見書を出してほしいという請願であり、当然です。
家族の在り方は多様化し、夫婦、家族の形は様々ですが、個人の選択に寛容な社会をつくっていくことが急務であります。地方議会で昨年8月時点でも238の意見書が可決されております。府下では高校生が請願された宇治市、それから精華町、八幡市、亀岡市、京都市、井手町、向日市、長岡京市の8つの自治体で意見書が上がっております。
都道府県議会でも、北海道、岩手県、千葉県、埼玉県、東京都、神奈川県、愛知県、三重県、滋賀県、大阪府、香川県で意見書が可決されております。京都府議会でも遅れを取らず、ぜひ意見書を上げたいというふうに思いますので賛同をお願いいたします。
ちなみに、今は世界で夫婦同姓を法律で義務づけている国は日本だけであります。国民世論も既に7割以上が選択的夫婦別姓制度の導入に賛成をしています。国連の女性差別撤廃委員会も日本政府に対して繰り返し、法律で夫婦同姓を義務づけることは女性差別であり、直ちに改正すべきだと勧告をしております。夫婦別姓を可能にする法改正は待ったなしだと考えます。
以上、皆さんにも賛同を求めたいというふうに思います。
◯園崎委員(自民党) 請願に対して反対の立場で討論をさせていただきます。
この趣旨も読ませていただいたんですけれども、まず、3行目と7行目辺りの捉え方についてです。先ほど島田委員からもあったんですけれども、この2015年及び2021年の最高裁判所の判決としては、夫婦別姓につきましては合憲という判断を示しておりまして、「不当な」ということの捉え方が違うんではないかというふうに考えております。その3行目のところも併せて「憲法に反する」という記載についても、そこは違うのではないかと考えておりまして、まずこの請願の趣旨の段階の問題の事象の捉え方については立場が違うということで、この請願につきましては反対ということで考えております。
◯島田委員 昨年6月の最高裁大法廷は憲法には違反しないと判断しましたが、国会での立法による解決を促しております。また、憲法との関係では日本弁護士連合会も憲法並びに女性差別撤廃条約及び自由権規約に反するものだと見解を述べられております。
それはお立場によっていろいろ議論はあると思いますけれども、必要性については、法の下の平等、あるいは婚姻の自由をうたう憲法に反するという観点からも議論が交わされていて、先ほど申し上げましたように国会での立法による解決をきちっと促せということになっております。
加えて、国民世論がやっぱり大事だと思います。特に若い世代ほど、どの姓を名乗るかというのは自由だと。2017年の内閣府の家族の法制に関する世論調査で、選択的夫婦別氏制度の導入に対する考え方において、同じ姓を名乗るべきと、選択的夫婦別姓に反対するのは29.3%、夫婦それぞれが婚姻前の名字を名乗ることができるよう法律を改めても構わないとする人が42.5%で、若い世代は5割を超えていますし、年々これは増え続けております。
こういう世論の変化の中で一向に国会が動かないので、より市民感覚に近い地方議会において、立て続けにこの選択的夫婦別姓制度の導入を求める意見書が採択され続けているわけであります。
この動きは先ほどおっしゃった最高裁判決以後に目に見えて加速をしておりまして、市民団体の調査によりましても確認できているだけで、昨年8月時点で238件も意見書が上がっておりますので、そういうことも踏まえまして地方から国でしっかり議論していただきたいという声を上げていただくことは当然あり得ると思いますので、よろしくお願いいたします。
◯光永委員 参考のためにちょっとお聞きしておきたいと思います。この請願の審議は、当然、私どもが請願しているのではないので、請願団体や個人の願意を受けて私の場合は今回紹介議員になっておりませんけれども、その願意が当然必要だということで賛成したいと思っているんです。
要旨の中についての意見だったと思いますので、要旨については様々な意見が当然あるし、あるいは「てにをは」も含めた表現について100%同意をするということにならないことは、別にどなたの請願であっても当然ないことはないと思います。したがって、今回の請願の要旨というのは、選択的夫婦別姓導入のための民法を改正することについての意見書を出してほしいということなんですね。それは先ほど島田委員もおっしゃったように、全国の県議会でもそういう意見書は当然上がっておりますと、地方議会でも上がっておりますよということになっています。
そこで、ちなみに園崎委員にお聞きしたいのは、その要旨のところの意見が違うのは私も理解しました。それはあり得ることなんだろうなというふうに思います。議会として一致して請願を国に上げる以上は、その願意のところで一致しているのかどうかということが非常に大事かなと思っておりまして、園崎委員は選択的夫婦別姓の導入のために民法を改正することについてはどうお考えですか。
◯園崎委員(自民党) 今、光永委員のほうからもあったとおり、この請願の方の要旨についての不一致ということで先ほど発言させていただきました。今、御発言をいただいたので、さっき島田委員からもあったように、まず最高裁のことについてもやっぱり国民的な議論がしっかりされるべきだということについては、私も同感だと感じておりますので、これにつきましての議論はしっかりやっていくべきだというふうには考えております。
◯光永委員 これは質疑する場じゃないのであれですけれども、一応私がお聞きしたのは、今の御説明は、この件名に書かれている内容を論議するのは大事だけれども、それを求めることはしないという意味ですか。
◯園崎委員(自民党) 現段階では、しっかりと議論をすべきところで、選択的夫婦別姓の議論につきましては、一つはこのまま維持をするという議論と、あるいはこの制度を維持した上で旧姓の通称使用についての法制度を認めるという議論、それと導入ということにありますので、私自身は旧姓の通称使用についての法制度を進めていくというような考えを今持っております。
◯島田委員 世論調査の仕方でもいろいろあって、先ほどあった内閣府の世論調査では、今おっしゃったように設問内容を変えて通称使用を選択肢に加えてやられましたね。しかし、現行の夫婦同姓制度維持、法改正は必要なしとする回答が27%と過去最低になっております。自民党の一部の議員などが通称使用の拡大、法制化を主張されていることも知っておりますが、この通称使用の拡大では大本の問題は解決しませんし、不利益は解消しないばかりか2つの名前を使い分ける期間も増えます。
この点では宇治市議会で高校生が見事に論破して可決されましたからね。宇治市議会は若い世代の思いを真摯に受け止めて意見書を提出されております。「選択的夫婦別姓制度は人々に選択の自由を与える有効な制度であるとして、同姓の選択肢しかないと悩みを抱える人たちを助けたいとしている。また、私たちが成人して同姓か別姓かを選択するときには、自由に選択できるようになってほしい」ということで、「選択的夫婦別姓は同姓か別姓か選ぶ方の双方に対して権利を保障して、国民それぞれの思いをかなえる選択肢も実現できる」と非常に格調の高い意見書を若い人の意見を取り入れて出されております。
こういう立場で、あくまで選択的ですから、同姓を強制することをやめようと、民法で改正していただきたいということでありまして、先ほども申し上げましたように、もう国際的には日本だけでありますので非常に遅れております。ぜひ歴史を前に進めなきゃいけないというふうに思っております。
◯北岡委員(府民クラブ) ありがとうございます。勉強をどれだけしたとか、人の話をどれだけ聞いたということに多い少ないという基準はないわけでございますが、私自身も先ほど来からあります、本当に率直にどうして選べないのかという不思議さ、不条理さということは若い人たちからもお話をたくさん聞いておりますし、なるほどと思うこと、自身が考えていることをより深めるという意見もたくさん伺っております。
ですので、この方向性について私も努力をしていきたいという意見の1人でございますが、先ほどもいろいろなお話がございました。やはり京都府議会として、できれば満場一致でというふうに思いますが、なぜこれが必要なのかということについて、それぞれの意見を尊重しないわけではありません。しかしながら、今、次を担う世代の皆さんが何を考え、何を求めているかということについて、先ほど申し上げました、お聞きになっている大小多少ということの基準はありませんけれども、議論がまだ深まっていないんじゃないかということが大変懸念をされます。
ですので、必要とする者がリードしていくということも、もちろん議会で必要なことでありますが、もっと深めて、なぜこの選択的夫婦別姓について賛意をという方向に行きづらいのかということについて検証し、それに時間をかけろと言っているわけではありません。より多くの議員の皆さん方に同じ方向を向いていただくような手だてというか努力がもっと要るんじゃないかということを率直に思っています。
先ほども御紹介がありました、いろんな市町村、他県もそうですよね、島田委員がおっしゃいましたよね。いろんなところで、確かにそのとおりなんです。私も他県の方からもいろんな情報交換であったり情勢調査であったりということはしております。ただ、この府議会においてどうだと言われたときに、もっと事例、もっといろんな話を聞くということをより多くの方にしていただきたいという思いがありますので、このことについて賛成反対とかではなくて、もう少し議論を十分に深めて、より府民的な議論が巻き起こるということを期待したいと思いますので、ここについては、もう少し時間を置きたいなという思いがありますので、申し上げておきたいと思います。
◯島田委員 1996年2月26日に法制審議会が民法改正を答申してから22年が経過しましたが、いまだ選択的夫婦別姓制度を導入する法改正の見通しが立っていないと。
そして、最高裁判所のさっきの件ですね。2015年12月のその議論、裁判で見いだすことは困難だと言われて、国会で論じて判断すべき事項にほかならないと。それで民法の見直しを国会に委ねられて、しかし、それから3年以上たっても議論が進まないということでありまして、それで選択的夫婦別姓を求める裁判がその後4件も提起されて、これは議論をされているんです。
ちなみに野党共同で民法改正法案を国会に提出しておりますね。立憲民主党は選択的夫婦別姓制度を早期に実現する、公明党は選択的夫婦別姓制度の導入を推進する、国民民主党は選択的夫婦別姓制度を導入すると参議院選挙政策に書いてあるじゃないですか。これは公約違反じゃないですか。政策に掲げてあるんですから、政府が進めないんだから地方議会から意見を上げようと言っているんですよね。その範疇にも達しております。もちろん府議会でいろいろ勉強をして、ジェンダー平等施策の推進について議論することはあれですけれども、民法改正が急がれるという、そこの水準にもう今来ていますので、反対される理由はないというふうに思います。
◯村井委員(公明党) 我が党(※公明党)は、しっかりと「推進」と言っていて、「即決」とは言っていませんよね。やっぱり間違いなく理解というのは深まってきていると思います。これは間違いなくこの10年間、20年間の間に。今が一番大事な時期なんでしょう。府民、国民の理解を今一歩求めていくということをしっかり今やるべきであって、この時期においてそういう意見書を出すという請願が即しているかどうかといえば、僕はやっぱり少しクエスチョンな部分がありますね。国もはっきりと書く、政党がこれを達成していくとか、我が党のように推進していくとかやっているんですから、あとは地方議会とすれば、今、他の委員からあったように理解をしっかりと深めていったほうがいいでしょうね。
やっぱり、当然いい面とそうじゃない面もあるんだと思うんですね。そういうことははっきりともう1回ここに、ある意味ではスタートラインみたいなことにもなっているでしょうし、過去の理解を、今までの進め方を踏まえまして、そういうことをやっていけばいいんじゃないですか。ですから、私としては、そういう意味からいってこの請願には不採択としたいと思うんですけれどもね。
◯島田委員 直前の参議院選挙で掲げた公約とも違う態度表明で、非常にそこはおかしいというふうに思います。国も地方でも一緒やと思いますよ。皆さん方の政策をじっくり読ませていただきました。これは民意を裏切るものであります。指摘をしておきます。
◯光永委員 私は、採択すべきだというのは、どんな問題でも、特にこの手の問題は必ずいつの時代もバックラッシュという動きがあって、それを乗り越えてきたというのが国民の世論であり、あるいは政治の力だというふうに思いますので、そういう意味ではいろんな意見があるからちょっと勉強しようというような段階はもう超えているんじゃないかなというふうに率直に思っております。広く見れば、世界から非常に遅れてちょっと恥ずかしいというぐらいの気持ちで、やっぱりこれはバックラッシュを乗り越えていくという努力が今ほんまに必要だと。
ただ、議会でそれぞれの委員の方から、もっと意見を深めるべきだという意見があるのも私は分からんでもないので、じゃあ、それをどうするんですかと。宇治の高校生が立派な提案をされたんだったら、ここの委員会に宇治の高校生の方に来てもらって、その思いや意見を聞くという役割をしっかり果たすのも我々の役割じゃないかなというふうにお二方の発言を聞いて思いました。そういう意味では今回出されている請願は、私は採択すべきだと思いますけれども、そういう意見があるんだったら継続にして、その間に新しい年度が始まったんだから、しっかりと、そういう方々の意見も聞いて採択していくという流れをつくるというのも我々の考えかなというふうに思いますが、委員長いかがでしょうか。
◯小原委員長(府民クラブ) 第1417号請願につきましては、御意見が分かれているようでありますので、ここで継続審査とするか否かを採決したいと思いますが、御異議ございませんか。(「なし」と言う者あり)
◯光永委員 継続審査をするかしないかの以前に、継続審査になろうがなるまいが意見はちゃんと聞こうというのが皆さんの意見やったと思うので、それについて委員長どうですかという質問をしているんです。(「委員長が答えんでええ」「委員長に聞く質問じゃない」「委員長に質問してどないするねん」と言う者あり)いや、私は委員長に聞いているんです。委員長にそういう運営を采配してほしいという要望をしているんだから、委員長が答えるべきではないというほかの委員の意見は聞く必要はないです。私が聞いているんだから、私の質問に答えてください。委員長はどうするんですかと。継続審議にならなくてもこれは大事な問題だと皆さん言わはったんだから、ここの委員会で採択したところで、例えばの話で言ったのが宇治の方の話も聞いたりとか、これをやっていこうやないかという提案をしているわけです。
◯小原委員長(府民クラブ) この件につきましては、正副委員長で審議させていただきたいと思います。
●審査結果…継続審査とするか否かについて挙手採決により、挙手少数で採択・不採択について採決を行うことと決し、続いて挙手採決の結果、賛成少数により、不採択と決定した。