令和4年6月定例会 府民環境・厚生常任委員会(3日目)―2022年7月15日〜島田敬子府議の質疑応答部分

所管事項(健康福祉部)

委員会の所管事項(健康福祉部)について質問・答弁が行われた。

◯島田委員  2点、お願いします。
 まず、看護職を目指す学生への緊急支援給付金の制度継続拡充と、看護師養成所への補助金の拡充に関してです。
 コロナ禍は、我が国の保健医療体制の脆弱性を浮き彫りにし、同時に保健医療体制の多くを担う看護職の存在意義も改めて可視化されたと考えます。慢性的な看護職不足を解決するための財政措置等が必要だと思います。
 看護学校をめぐる状況としましては、経済的な困窮と様々な社会的背景を抱える学生が多くありますが、今回非課税世帯、低所得者世帯へは2020年4月から高等学校就学支援新制度が実施されて、一定、学びの保障がされてきております。また、学生支援緊急給付金について、これも住民税非課税世帯の学生には20万円、それ以外は10万円ということで実施されて、看護学生はこれら各種奨学金や緊急の給付金を用いて一生懸命学び、暮らしていらっしゃいます。
 新型コロナ感染症(COVID-19)の影響でアルバイトが減少し、さらに家族の方が介護されて収入が減ったりして仕送りが途絶える、あるいは看護学生に特徴的なのは、臨床実習に行く2週間前からアルバイトをしないで検査もしてということで、それでもうアルバイトができないということで、もともとアルバイトをしなければ生活できない実態が、さらに困窮されています。特に京都府内でいくと北部から京都市内に出てきて看護学校で学んでいる自立した学生たちが暮らしていけない現状にまで追い込まれ、本当に痩せ細っているという学生もいるそうで、中には学校を中退せざるを得ないような事態も出てきております。
 そこで伺いたいのは、特に保障が届きにくい中所得層、あるいは制度のはざまにいる学生への緊急支援が急務であるのかなというふうに思っておりますが、このあたりの実態をどのようにつかんでおられるか。さらに、京都府の制度も所得制限590万円というのがあって、ちょっと超えますと、もう当たらないので、ここら辺りの緩和が必要ではないかと考えておりますが、いかがかと。
 あと学生支援緊急給付金について、今年度も制度の継続を求める要望が上がっていますが、この点について私も必要だと考えています。お話があったように、コロナがまだ拡大する状況の中で必要性も高まっているし、この際、府の認識と、あと、この制度継続について国の動向なり見通しはどうかをお聞かせください。
 以上です。

◯安原医療課長  看護学生の支援の関係でございます。
 先ほど委員から御案内のございました緊急給付金につきましては、これは文部科学省のほうで所管をされているもので令和3年度に実施をされておりますけれども、令和4年度につきましては、現在のところは実施されていないというところで今承知はしておるところでございます。
 また、京都府におきまして看護師の修学資金という制度を設けておりまして、こちらの制度につきましては、令和3年度までの直近5年間でいきますと毎年大体560名程度の方が貸与を受けられておりまして、特に令和2年度からコロナの影響もございまして、令和2年度・3年度、それから今年度につきましても希望者の方については全員の貸与を決定しているところでございます。
 以上でございます。

◯島田委員  すみません、最初の学生支援緊急給付金についての必要性といいますか、認識のお話はありましたかね。国の動きは今ありましたけれども。

◯安原医療課長  先ほど委員からの御案内にございました緊急給付金制度につきましては、生活困窮の方の分でいきますと、やはり制度自体は大変重要な制度であるかなというふうに感じているところでございます。

◯島田委員  ぜひ国へ要望を上げていただきたいと思います。
 学生の声を聞きますと、先ほど申し上げましたように、実習2週間前から感染予防のためにアルバイトができずに減収によって食費を切り詰めても生活費、交通費、学費の支払いが困難で、親の仕事がなくなって、きょうだいも学費が必要で学業の継続が困難になっていくというようなことです。昨年の給付金を申請した学生は、全体の8割に上っておりますので、ほとんどの学生が困窮しているにもかかわらず、今年度は国の学生給付金がまだ確定しないということから、学生には大きなショックになっていますので、ぜひ強く要望をいただきたいというふうに思いますし、看護職を目指す貴重な人材を確保する上でも、これは緊急の課題だと思いますので、制度継続・拡充を求めていただきたいと思います。
 一方、養成校への支援についてですが、感染対策費用、あるいは必要な実習に行くときに必要なPCR検査費用などの負担が増えております。そして、学校経営が立ち行かなくなる事態の声も上がっております。この点は現状把握をされておりますでしょうか。
 また、京都府の支援策については、もう何十年か制度的には拡充がないわけですが、現状コロナ禍の下、増額等も含めて制度拡充が必要だと私は考えますが、ちょっと認識を伺います。

◯安原医療課長  看護師等の養成施設への運営補助の関係でございますけれども、やはり厳しい状況にあるということは認識をしておりまして、ただ財政状況も厳しい状況にあるわけですけれども、学校運営については必要な補助をしておるところでございまして、令和3年度につきましても看護師の養成施設12施設に対しまして、補助額でいきますと約3億円程度の補助金の支援を行っているところでございます。

◯島田委員  コロナ禍という現状を踏まえて、新たな負担が発生しておりますので、ぜひ制度改善を含めて必要な支援を行っていただきたい。
 ICTが言われて久しいんですが、学生側の通信環境の整備補助は、コロナの1年目のみで、パソコン購入等の対象にもなっていませんし、やはり全ての養成所に対して新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策に係る設備とか衛生用品等の費用、またICT整備等に対する支援が必要だと考えておりますので、御検討をいただきたいと。
 国の緊急包括支援金は、学校は対象じゃないということで、これはぜひ国からも対象を広げていいただいて活用できたら京都府も助かると思いますので、ぜひ国に要望を上げていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

◯安原医療課長  各養成施設等の状況もお聞きしながら、必要な場合についてはやはり国にしっかりと要望等はしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

◯島田委員  大学で看護を学ぶコース等が増えていますが、やっぱり看護師になられる方は大卒で43%、専門学校・養成所卒業の方が8割は定着されておりますので、ここは非常に重要だと思います。専門学校なんかでは3か所も募集停止、廃止の方向が出ていますので、ここは大変だと思うんです。ぜひ力を尽くしていただきたいというふうに思います。要望をしておきます。
 2つ目は、生活保護世帯のクーラー設置補助についてです。
 非常な暑さの中で冷房器具、クーラーがない世帯には本当に命に関わる問題だと考えております。国が平成30年6月から熱中症予防に特に必要な方がいる世帯には、このクーラーの購入に要する費用を支給する制度見直しを行いましたが、残念ながら新たに平成30年4月1日から開始した方とか転居の際しか対象とならなくて、既存の生活保護利用の方は対象外ということで大変厳しい状況にあると思うんです。現状はどのように把握されておりますでしょうか。

◯杉本地域福祉推進課長  生活保護制度におけるクーラー購入費の補助についてでございますが、委員がおっしゃいましたとおり平成30年3月以前から保護を受けておられる方については、現在のところ生活扶助の対象となっておりません。
 国によると生活扶助の中で、生活費のやりくり等を行いながら購入等を行っていただくという取扱いになっておりまして、戸別訪問等で被保護者の方の生活状況等をお聞きする中で、必要な場合には生活福祉資金の貸付け等を活用いただくなどにより購入を行っていただいているところであります。
 国に対しては、支給対象は平成30年3月以前の方にも拡大されるように京都府からも要望を行っているところでございます。

◯島田委員  生活保護費をちょっと貯金して買えということですけれども、保護基準額が年々下がってきて、夏季加算も冬季加算もなくなって貯金する余裕などないぐらいにずっと落ち込んできているから問題なので、それで生活福祉資金を借りてなんていうのは、国に要望を上げているということですけれども、これは本当に制度的にやっぱり保障していかないといけないというふうに思うんです。
 先ほど、そういうことも含めまして現状社会福祉協議会の貸付けを利用して乗り切っている件数とか、ケースワーカーが定期的に訪問して必要な方にはきちっと支援をするとか、一体どういう支援状況になっているかについては把握されているのでしょうか。

◯杉本地域福祉推進課長  具体的にクーラーの購入に際して生活福祉資金の貸付けを受けておられる方の件数というのは把握をしておりません。制度見直し後に生活扶助の支給を受けてクーラーを設置された方の人数につきましては、制度開始後、平成30年8月当時に確認をした数字ということになるんですが、府内で40件の給付を受けられてクーラーの設置を行っておられる状況です。
 以上でございます。

◯島田委員  ちょっと現状では、高齢者の皆さんは生活保護世帯ではなくてもクーラーをつけないとか、電気代節約のためにとかと。生活保護世帯であると余計に節約節約で、購入もできないし、もちろん持っていても節約するとか、そして熱中症で亡くなるということが起きないように、日本全国が灼熱列島となっていて、エアコンの持ち合わせがない家庭があるということは放置されてはいけないというふうに思うので、これはやっぱり制度改善が必要ですし、夏季加算・冬季加算の復活、さらに保護基準もこの際やはり見直すべきだと考えますし、抜本的な制度改善が必要だと思うんです。そこら辺りの声を上げていただいているでしょうか。

◯杉本地域福祉推進課長  生活保護制度でございますが、国民の生活を保障するナショナルミニマムの制度でございます。委員がおっしゃいましたクーラーの購入費でございますとか、また夏季の電気代相当分の措置でありますとか、そういった内容につきましても国の責任においてしっかりと措置をいただくべきものというふうに考えておりまして、これからも国に対して要望してまいりたいというふうに考えております。

◯島田委員  最後に、自治体独自で何らかの支援を独自にするようなことは、制度上は可能なのか、認められているのかどうかだけ伺いたいと思いますが。

◯杉本地域福祉推進課長  生活保護の制度上、都道府県の裁量によって措置をするしないということは認められていないと考えております。

◯島田委員  緊急課題でもありますので、実態も少しお調べをいただいて、何らかの検討を行って、国へ強く要望を上げていただきたいというふうに思います。
 以上で終わります。