所管事項の調査
下記のテーマについて、理事者及び参考人から説明を聴取した後、質疑及び意見交換が行われた。
・地域公共交通の確保について
◯池田委員長 まず、所管事項の調査についてでありますが、本日のテーマは、9月定例会中の委員会での議論を踏まえ「地域公共交通の確保について」とし、参考人として、一般社団法人グローカル交流推進機構理事長の土井勉様及び特定非営利活動法人気張る!ふるさと丹後町専務理事の東恒好様に御出席いただいております。
本日は、大変お忙しい中にもかかわらず、本委員会のために、快く参考人をお引き受けいただき、誠にありがとうございます。
土井様におかれましては、京都市役所や阪急電鉄株式会社に勤務後、京都大学大学院工学研究科都市社会工学専攻の特定教授、大阪大学COデザインセンターの特任教授などを経て、2019年から一般社団法人グローカル交流推進機構の理事長として、人口減少社会における今後の公共交通の在り方等についての研究に取り組まれていると伺っております。
次に、東様におかれましては、京都大学大学院工学研究科を修了された後、大阪の会社で都市計画コンサルタントとして自治体の公共交通やまちづくりの計画策定に従事されておられ、定年退職を契機に生まれたふるさとに戻られ、特定非営利活動法人気張る!ふるさと丹後町に参画され、スマートフォンを使って車を呼べるサービスである「ささえ合い交通」の実現に当初から関わり、今日まで運行管理に携わっておられると伺っております。
本日は、そういった日頃の活動を踏まえたお話をお聞かせいただければと思っていますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
それでは、初めに理事者からテーマに係る説明を聴取いたします。
説明は、簡潔明瞭にお願いをいたします。
◯細井交通政策課長 それでは、地域公共交通の確保について、京都府の取組を御紹介いたします。お手元に、お配りしております「地域公共交通の確保について~京都府の取組み~」という資料を御覧いただきますようにお願いをいたします。
公共交通の確保につきましては、府内市町村と連携して取組を進めているところでございまして、広域交通であるJRや京都丹後鉄道の整備を進めるとともに、地域のバス路線の維持・確保、新モビリティの導入など、地域交通の確保についても市町村と役割分担を行い、取り組んでいるところでございます。
おめくりいただきまして、右下2ページを御覧ください。スライドの1、京都府域の鉄道網の状況をお示ししております。
府域の南北をJRと京都丹後鉄道が結んでおります。鉄道網については、昭和54年以降、沿線自治体と協力し、計画的に電化や複線化を進めているところでございます。山陰本線につきましては、平成22年3月に京都―園部間の複線化が完了しているところでございます。
下段、スライド2を御覧願います。奈良線についてでございます。
奈良線につきましては、JR京都駅から木津駅までを順次複線化しているところでございまして、平成25年に奈良線高速化・複線化の第2期事業に着手しているところでございます。全区間34.7kmのうち、今回の2期事業によりまして、京都駅から城陽駅間の完全複線化を含めまして、22.2kmの複線化が完成することとなります。令和4年3月の開業を目標に進めているところでございます。
次のページ、3ページを御覧願います。上段スライド3でございます。京都丹後鉄道でございます。
平成27年に上下分離方式を採用しておりまして、民間事業者であるWILLER TRAINS株式会社が運行を、基盤管理を北近畿タンゴ鉄道株式会社が担っているところでございまして、設備投資や管理経費について、京都府を含めた沿線自治体が支援しているという状況でございます。上下役割分担することで、運行については自由な経営、沿線自治体の支援などによって、鉄道施設の計画的な整備、更新が可能となっているところでございます。
下段スライド4でございます。地域公共交通の活性化再生法についての御紹介でございます。
地域公共交通の活性化及び再生に関する法律については、平成19年に地域の公共交通の維持・確保や利便性を向上させることを目的に制定されたもので、平成26年、令和2年に法律改正がされているところでございます。
令和2年の改正によりまして、地域公共交通計画について、自治体での策定が努力義務化され、地域公共交通計画につきましては、地域の移動に関する関係者で協議を行い、地域の移動手段を総動員し、地域公共交通の確保に努めることとされたところでございます。
次のページ、4ページを御覧願います。上段スライドの5でございます。
計画の策定状況でございまして、現在、京都府域では、複数市町村によります広域計画が3地域、市町村によります単独計画が5自治体で策定されているところでございます。広域計画につきましては、京都府も協働で作成をしているという状況でございます。今年度、新たな計画として、広域計画が1地域、市町村単独計画が2自治体で進められているところでございます。
下のスライド、広域計画についてございますけれども、北近畿タンゴ鉄道沿線地域、JR山陰本線沿線地域、JR関西本線沿線地域で策定をしているところでございまして、鉄道を基軸とした公共交通の活性化を主な目的としているところでございます。
次のページ、5ページを御覧願います。上段スライド6、バス路線確保などの支援制度についての御紹介でございます。
京都府では、地域間幹線系統としまして、複数市町にまたがるバス路線を確保するため、国と協調して運行をする事業者を支援しているところでございます。真ん中、市町村運行確保生活路線につきましては、民間バス事業者が撤退した路線につきまして、市町村が代わって運行をしている場合、これを支援しているというものでございます。その下、地域でつくり・支える交通システム支援につきましては、地域公共交通計画に位置づけられた市町村が行う事業を支援するというもので、地域デマンド交通等への転換の際に活用いただいているという状況でございます。
下、7番のスライドでございます。MaaS(Mobility as a Service:いろいろな種類の交通サービスを需要に応じて利用できる1つの移動サービスに統合すること)の取組事例を紹介しております。
京都丹後鉄道沿線での事例では、WILLER社や関係機関と一緒に取り組んできているところでございまして、アプリを活用したQRコード決済の導入などを行っております。今年6月からAIオンデマンド交通を導入しまして、京丹後市の峰山町と大宮町の一部で1ヶ月5,000円、サブスク方式の運行を開始したところでございます。
京都府域では、そのほか、相楽東部地域や学研都市などでもMaaSの取組が行われているところでございます。
次のページ、6ページをお願いいたします。府内各地域で運行されております様々な移動手段の確保に関する取組の御紹介でございます。
8番のスライドにつきましては、綾部市、舞鶴市における地域による自主運行バスの御紹介でございます。
NPO法人や地域住民によるバス運行協議会が運行しているところでございまして、住民の方の移動手段を確保しているという状況でございます。
下のスライド9番でございます。こちらは市町村によりますデマンド交通の事例の御紹介でございます。
南丹市、久御山町、宮津市の事例でございます。南丹市、久御山町では、市バス等の公共交通がない地域で予約型乗合タクシーを運行しておりまして、宮津市では決まった時間に路線を運行する定時・定路型のデマンド交通となっております。
次のページ、7ページをお願いいたします。スライドの10番、地域住民の方による移動手段の確保事例、御紹介でございます。
南山城村の村タクにつきましては、自宅など希望する場所から目的地までタクシー感覚で利用できる交通システムとなっております。京丹波町のおでかけ号につきましては、40kmの範囲内で、自宅からJRの駅やバス停までを原則として、片道5kmまでは500円で利用ができるということになっております。
下段のスライドにつきましては、後ほど東参考人から詳しく御紹介いただきます京丹後市域のささえ合い交通の取組でございます。
福知山市の“みわひまわりライド”につきましては、予約制となっておりまして、買い物や商業施設への移動に利用することができるという状況になっております。
以上、一部ですが、取組を御紹介させていただきました。地域による移動手段確保の仕組みができ始めているところでございまして、今後、鉄道やバスなどの幹線に加えまして、それを補完する移動手段として、このような取組が増えてくるというふうに考えております。地域公共交通につきましては、少子高齢化、人口減少などによりまして非常に厳しい状況が続いているところでございます。京都府におきましても、地域住民の方々の移動手段の確保について、市町村と連携して取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。
説明は以上でございます。
◯池田委員長 ありがとうございました。
次に、参考人の御意見を拝聴したいと思いますが、説明の準備が整うまでしばらくお待ち願います。
それでは土井様、よろしくお願いいたします。
◯土井参考人 はい、土井でございます。今日は、こういうすばらしい場所、特に魅力ある地域づくりというテーマの委員会で発言させていただく機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
今日、公共交通の確保というテーマで、少し皆さんと一緒に考えさせていただきたい。この地域公共交通、一体どれくらい大事なのかなということを皆さんと一緒に考えていきたいというふうに思っています。
先ほど簡単に私のプロフィールを御紹介いただきましたけれども、私は基本的にはこの総合交通政策とまちづくりということをテーマに、実務をやったり、大学にいる時は研究をやったり教育をやったりということをやっています。この中で結構大事なものが、この下から2番目の国土交通省交通政策審議会、これが先ほど京都府の細井課長に、御紹介いただきました地域公共交通活性化再生法、これが公共交通に関する根幹になる法律なんですけれども、それが平成26年と昨年、令和2年の2回改正がされています。その改正の時に、国土交通省の委員会に呼ばれまして、一緒に法改正の内容を手伝うということをやっていました。これは何で改正したかと言うと、公共交通が今まではビジネスとして成り立ってきたんだけれども、だんだん、どうも人口減少であったり、あるいは地域の特に過疎地なんかでは、どうやって公共交通を残していったらいいのかというのが極めて重要になってきて、法律の枠組みを少しずつダウンサイジングというんですかね、より使いやすいものにして、より事業として成り立たないものも何とか掬い上げようよということで、法改正をされました。その法改正の根本的なものとしては、1つ1つの交通を個々に見るだけではなくて、要するに人の動きというのは、1つの乗り物に乗ってそれで終わりということもありますけれども、多くの動きは、例えば私も今日、嵐電に乗って地下鉄に乗ってここに来たんですけれども、いろんな手段を乗り換えて目的を達成するので、その乗り換えるということは、公共交通のネットワークがうまく使えるようになっていないと、1つ1つうまくできていてもなかなか使ってもらえないんじゃないかということで、ネットワークをどうつくっていくかということも、非常に重要なテーマになっているということです。
こういう写真があるんですけれども、これは阪急にいる時の私なんですね。何で私やと言うと、イベント担当プロデュースというのをやっていまして、御承知の方も多いかもしれませんが、宝塚ファミリーランドというところで、たまたま当時の阪急の怖い社長に呼ばれて、おまえ、明日からイベント担当のプロデューサーやれやと、えっ、それはなぜやらないかんのですか、それはおまえな、人を集める仕組みというのは、実はイベントの中にいっぱいヒントがあるんやと、そういうことをおまえ勉強してこいと言われまして、では、分かりましたということで、この中に入っているのは実は私なんですけれども、こうやって人を集めるというのは、例えば公共交通ですごく大事なのは利用促進ですね。多くの人が来てもらって利用してもらうというのと基本的にはあまり変わらないことをいろいろやっていましたということです。
それから、京都府さんと関わりがあるものというと、さっきの国交省の法改正の話もそうですし、近畿運輸局でもいろんなお手伝いをさせていただいています。
ほかにも長岡京市であるとか亀岡市、城陽市、それからちょっと違いますが、京都市右京区、それから南山城村、村タクという話がありましたけれども、これもちょっと、トヨタ・モビリティ基金という、電気自動車を350万台つくるという宣言をした自動車会社ありますよね。そこの社会貢献をする財団法人というのがあるんですね。それがトヨタ・モビリティ基金で、トヨタ・モビリティ基金は車を売る会社から、むしろ人の移動を支える仕組みをどうつくっていくかということを社会貢献活動で一生懸命やられていると。そちらの今お手伝いをずっと、3年になるんですけれども、やっていまして、この南山城村は、実はトヨタ・モビリティ基金の助成を受けられて、村タクのほうを実現させていると。
それから、精華町では、御存じの方も多いかもしれませんが、連節バスですね。あれは目につくんですけれども、地球温暖化をできるだけ抑えるためには、車から公共交通に転換してもらおうよということで、連節バスの導入をされています。
それから、これ、トヨタ・モビリティ基金の略称がTMFなんですけれども、こちらに今年の11月25日に、いろんな小さな地域で移動の仕組みの取組をされている活動についてシンポジウムがありました。そのシンポジウムの内容をこちらで動画で配信されていますので、もし御関心あれば、非常に刺激的なシンポジウムでしたので、御覧いただけたらと思います。ちょっと私も20分ぐらい講演をさせていただいています。
皆さんにお伝えしたいことは山盛りあるんですけれども、時間も足りませんので、まずは公共交通は一体何を支えているのか、公共交通、大事や大事やと言っていても、それはおまえらの勝手やろと、俺は車しか使わへんやから公共交通を支えるということについて、それは何となく善意でお手伝いぐらいはするかもしれんけれども、それは車で走りやすい道を造るほうが大事だよと。それもそうなんですけれども、実際に公共交通は何で大事かということを、できたら今日、皆さんと共通認識を持ちたいなと思って、このスライドを入れてみました。
いろんな意見があると思いますが、我が国が抱える大きな課題ってありますね。外交上の問題もありますし、それから例えばコロナの話もあります。そういうこともたくさんあるんですけれども、国内的に私たちが抱える大きな課題というのに、1つはここで挙げていますように、人口の減少ですよね。それから、地域の疲弊というものは、多分トップ10に入るかどうか分かりませんけれども、重要な課題であることは皆さんも御了解いただけると思います。
人口減少ですけれども、ちょっと計算してみると、えらいことなんですね。総務省のデータなんですけれども、去年から今年、この1年間で大体55万人ぐらい人口が減っていると。55万人ですね。さっき、ちょっとトヨタの話をしましたので、トヨタの本社がある豊田市で人口42万人ですね。ですから、豊田市以上の人たちが毎年毎年、自然減少で減っていると。これ矢印をかけていますけれども、地方の衰退は人口減少の中でも自然減少だけではなくて社会減少、流出もどんどん起こっていると。ますますボディブローで地域のパワーが落ちていくと。ここに書いていますように、地域経済あるいは雇用の機会、教育あるいは文化を支える仕組みというのがどんどん落ちていくと、非常に生活の安定が揺らぐということになると、もうこの地域に住んでいたら大変やと、引っ越そうやないかみたいな話になってくると、ますます地域が衰退していくということで、この問題を何とか食い止める方法はないかなということを考えると、私たちにできることというのが幾つかありそうだと。
子どもがたくさん生まれるように、それはちょっと難しい。
ただ、我々にできることは、人々が自由に動ける、こういう仕組みをつくることで、例えば、免許返納の話、よくありますけれども、免許返納してえらい大変やないかと、俺はどうやって動いたらええのや、歩けって言うんかと、そやけれども、あんな遠いとこまで歩けへんでということで、なかなか免許返納できない人たちもたくさんいらっしゃいますよね。そういう人たちに公共交通をうまく提供すると、安心して免許返納もできるということで、車を持っている人にとっても、実は自由な移動を支える仕組みをつくることは、極めて大きな価値があると。
いろんなところで、いろんな会議に出て、ここの地域は皆さん、主にどういう手段を使って動かれていますかという話をすると、うちはもう車あったら十分なんやと、どこでも行けるし便利なんやと。これは、兵庫県の加西市、兵庫県の真ん中ぐらいある非常に豊かな農村地帯なんです。PT調査と書いてあるのはパーソントリップ調査、ちょっと古いんですけれども、これが最新のデータなんですね。外出する時、どんな交通手段で外に出はりますかと言うと、8割の人が車を使っていると。それ以外の2割の人が、歩いたり、自転車に乗ったり、バスとか鉄道を使っている。みんな確かに車を使って非常に便利に生活している。
ただ、こういう地域でも同じデータで、車を気軽に利用できない人、どれぐらいますかと。車を気軽に利用できない人は、1つは免許持ってへん人、もう1つは御家庭に車がない、こういう人口を集計してみると3割なんですね。29%。3割の人が実は車を使うことを自由に、気軽にできへんということですね。
では、こういう人はどうやって動いているのかと言うと、車で送迎してもらっているということが非常に多いと。送迎してもらうというのは、送迎するほうも大変ですね。送迎してもらうほうは気兼ねがあって、なかなか気軽に外出する回数が減ってしまう。要するに、外出が潜在化してしまう可能性があります。
だから、そういうところに公共交通を入れると、人々の様々な移動に対するニーズをサポートすることができると。これは公共交通のトリセツと書いていますが、こういうホームページをつくっていまして、そこの中のイラストをちょっと抜いてきているんですけれども、アイスクリームが好きやけれども、夏はスーパーまで歩いていくのが30分かかって、アイスクリームが溶けてしまうさかい食べられへんのやと。でも、バスがあったら荷物を運んでアイスクリームを食べられるのでうれしいねと。これ、実話ですよね。
それから、さっきちょっと言いましたけれども、免許返納、よくあるあるの話ですが、危ないからやめてよね、いやいや、そやけれども、これ車に乗らへん、返納したらもう俺どこも行けへんでということですが、免許返納しても安心して住み続けることができるような地域をどうつくるのかと。
それから、これはイラストじゃなくて写真なんですけれども、三方よしのコミュニティーバス。何や分かりませんよね。これコミュニティーバスです。ここに実はこれ高校生が、乗ろうとしている。この高校生というのが特別支援学校の生徒さんなんですね。特別支援学校の生徒さんというのは、実はなかなか免許を持てない。この人たちがどこへこれから行くかと言うと、社会見学で工場に行くんですね。その工場がまたなかなかすばらしい工場で、この卒業生の人たちを雇用してはるんですね。これは多様性を会社の中でもきちんとつくっていって、いろんなニーズを把握していくためには、こうした支援学校の生徒さんの発想もむちゃむちゃ大事なんやということで雇用されているんです。企業にとってもいいし、この子たちにとっても定職を確保することができる。
さらに、その実の親ですね。障害を持っているお子さんの親というのは、もう本当に大変、自分が先に年とるわけですから、この子らが将来どうするんやという不安が止まらないという話ですけれども、子どもたちが自分で個人の健康保険証を持つことができたということで、ごっつ喜ばれて、三方よしなんですけれども、その三方よしを結ぶのが、この運転できない人たちがこれで通勤されるという仕組みができたというのは、事柄として非常に小さい話ですけれども、1人1人の社会に対する喜びというのは、すごく大きなものだと。
あと、中学卒業して行きたい高校に行けなかったらどうしても流出してしまうけれども、自分で行きたい高校へ行けるようになるとか、クラブ活動ができるとか、それから送迎を減らすといったようなことがありますということで、公共交通を支える意味として、これ、TMFと書いているのは、先ほど申し上げましたトヨタ・モビリティ基金の調査の結果なんですけれども、公共交通を支える活動をしてどういうことがありましたと言うと、白黒で申し訳ないですけれども、この緑色に塗っている上から2つ目、公共交通の利用者が増加したとか、外出手段が変わりましたよというのも上げられているんですけれども、ちょっとこちらのほうで赤く塗っているものは何かいなと言うと、一番上なんですが、地域内でのいろんな社会的な取組の機運が高まったとか、この何段下かな、5段目には住民同士の交流が活発になりましたということで、地域の力をつけていくということも、うまく公共交通があることで力を発揮することができるようになると。
そうすると、確かに車も大事なんだけれども、公共交通で支えられることで、実際、全国に27ヶ所ぐらいこういう活動が、今一生懸命取り組んでいるんですけれども、人々の間に共感や笑顔が、本当に広がっていったということがあります。
これを整理すると移動の仕組み、公共交通をうまくデザインして移動の仕組みをつくると、外出が増えました。外出が増えることで、人々の接点が増えるし、個人にとってはフレイル予防にもなると。そうすると、その地域の人口の定着も実現し、地域の衰退に歯止めをかけることができる、そういう手応えを持つことができると。
ただ、全ての公共交通でこういうことができているかと言うと、これはちょっと怪しい。
ですから、もうちょっと、現在ある公共交通をもっともっと役に立つようにしていく必要があるということだと思います。
現状ですけれども、これは皆さん、御存じかもしれませんが、データは古いんですけれども、なぜ古いデータを置いたかと言うと、これ国交省のデータなんですけれども、平成30年度、2018年のバスの事業者さんとバスと鉄道の会社は企業としてどんだけ黒字で、どんだけの人が赤字なんやというデータですね。もうぱっと見ていただいたら分かるように、真っ赤っかですよね。7割の事業者さん、バス事業者、鉄道事業者は赤字やということですね。これ、コロナの前ですね。コロナの後といいますか、まさにこの2、3年後、さらにこれが増えている。いろんな調査をやっているんですけれども、間違いなしに赤字の会社は増えていると。
これは赤字でどうやって運行を続けていくことができているんやということが気になりますね。理由は2つありますね。1つは、儲かっている部門、例えば不動産部門で儲けて、その儲けを鉄道とかバスの運行に回していると。内部補助ですね。もう1つありますね。これ、皆さんとめちゃめちゃ関係がありますね。行政からの補助ですね。この2つで運行をすることができていると。
コロナで非常に大きなダメージを受けた時に、こういうことをどう支えていくのかなと、この現状以上の厳しい状況をどう支えていくのかなというのが、極めて大きな問題になります。
これはいろいろお話を伝えたいんですけれども、赤字の話なんですが、あまり時間がないので、もし後ほど御質問があればお答えしていきたいと思います。
公共交通政策の重要性。さて、京都府の役割は何でしょうということですね。先ほど公共交通を支える法律は、地域公共交通活性化再生法がありますよという話をチラリとしましたけれども、その前提となる法律があります。これが交通政策基本法という法律ですね。交通をどういうふうにこれから考えていかねばならないのかということの大きな方向づけをし、それからこれに基づいて白書をつくっていったり、あるいは地域公共交通計画をつくっていくということですね。交通政策基本計画、そういう計画をつくっていく。
この中で、これまでは鉄道事業者、バス事業者任せやったものを行政が、地方公共団体が自ら先頭に立って、地域公共交通をこれからは維持し確保していくということが役割ですよということで、先ほど申し上げた地域公共交通活性再生法という法律があります。この法律の中で、それぞれ役割が明確に書かれています。第4条なんですけれども、国の役割、都道府県の役割、皆さんここですよね。それから、基礎自治体の市町村の役割、交通事業者の役割ということです。
都道府県の役割は何かいなというと、地域公共交通、それから鉄道やバスの活性化と再生を推進するために、広域的な見地から必要な助言、援助を行う、それから主体的に公共交通の活性化と再生に取り組むということになります。皆さんは、その取組を議会の立場と、それから執行する行政の立場とで、これを実現していくということが責務になる、やらないといけないということになります。
公共交通のそういう話をすると、すぐに、ああ、ほな、自動運転がええんちゃうかとか、ちょっと前ならデマンドがええんちゃうとか、もうちょっと前ならコミバスがええんちゃうかとか、こういう乗り物からスタートするというのがすごく多い。これは新聞にも載りやすいし、分かりやすいからですね。精華町でも連節バスという、2台つなげたバスを導入したら、やっぱりすごく写真も撮っていただいて、ニュースにもなります。
ただ、きっちりその計画を考えないといけないです。
公共交通のつくり方と書いていますが、運行形態、例えばデマンドとかコミバスとかというのは、この運行形態の選択なんですね。ここからいきなりやってもなかなか成功しないです。一体この地域はどんな問題があって、どういう人がこの移動の仕組みに対して期待しているのか、それからコストと収支の検討をやった上で、どんなものがいいのかということで実際に実証運行をしてみて、どういうものを導入したらいいのかを決めていくと。こういうことを常に議会の皆さんも、それから執行部の皆様もここから考えましょうということですね。今、自分たちでこれをやるんじゃなくて、この人たちを助けることが大事なんだよということを考えてほしいというふうに思っています。
移動の仕組みも今や我が国は情報技術の進展の結果、かつてあった鉄道とか路線バスとか、それからタクシーだけではなくて、最近は色んな山盛りの新しい技術を、要するに情報通信技術を背景にして、新しい移動の仕組みができてきたり、それから規制の緩和によって、様々なそのものが生まれてきたということで、これからもいろんな仕組みが生まれると思います。そういうものは、この仕組みを導入するという話じゃなくて、さっきも申し上げたように、自分たちが困っている人を助けるためにはどういう仕組みがいいのかということを、ぜひ考えてほしいと思います。
あとちょっと、もう少しお時間だけお願いします。
公共交通のサービスというのは、単に車両だけではなくて、こんなものを動かしているよということではなくて、路線あるいはデマンドの場合やったらエリアとか決めていくと、それからNODE、バス停の位置とかデマンドの場合ならどこの区域をどういうふうに走るか、どこの駅に走って、うまく結びつけるか、ダイヤもすごく大事ですね。それから、運賃。運賃無料というのも含めて、運転というのをどう考えるかというのはすごく重要です。それから車両と、それをうまく情報提供していく。ホームページに上げていますというだけでは、これはなかなかつらいですね。
こういうサービスをうまくアレンジ、デザインすることで、人々の利用を促進するということで、公共交通を利用する人たちが増えるといいますか、結果的に増えるんですね。困っている人たちに手が届くようなものをつくっていくということになります。
最後に、モビリティー確保の方策ということで、少しだけ話をしたいと思います。お手元の資料とは並べ方とか全然変えていますので申し訳ないんですけれども。
モビリティーというのは、移動ですよね。移動の仕組みを確保するためには、いろいろ必要ですということで、幹線が大事です。それから、サービスを改善するとともに持続性ですね。今よかったらいいのではなくて、利用する人たちは10年先ぐらいまで見越して利用のことを考えるということになると、できるだけ続けていくようにする。それから、外出機会をできるだけ増やしていく。村バスと書いていますね。自家旅客有償運送。これは南山城とかですね。それから、ダウンサイジングとかいろいろやっていきます。
いろいろ書いていますけれども、最後に1つ、これちょっと追加したのは、コロナで路線の減便とか廃線を言われてくる事業者さんがすごくあると。私が関わっている京都府下の自治体さんでもそういう声がバス会社から、もう3割お客さん減ったさかい3割減便してくれへんかという話があります。その時には、解決策として、分かりました、減便しましょうということが1つありますけれども、普通はそれはないですよね。
では、続けてちょうだいよとお願いばかり言うというのは、なかなか難しいです。1つは利用促進。できるだけ乗ってもらって、利用者を増やして運賃収入を上げていく。それから、補助金とか協賛金。補助金というのは行政からサポートする。それから、運賃の変更ですね。3割お客さんが減ったんやったら、3割運賃を上げるというのも選択肢になると思います。
京都府におけるあともう1つ重要な課題は、せっかく広域的な仕事をされるわけですから、今日いらっしゃっている方が専門的知見がないとかそういうことでは全くないわけですが、ぜひできるだけ専門的な知見あるいは現場感覚を持って多くの市町村の皆さんと中に入っていただいて、より望ましい仕組みをつくっていくということができれば、すごくいいのかなと思います。
ちょっと、古い話になりますが、この10年間、2009年から2018年の10年間、京都大学と一緒になって交通政策研究ユニットというのを京都府さんのリードでつくられておりました。この時は本当にすごくいろんな人たちが、京都府だけではなくて京都府下の市町村も、それからもう少し外部の府県の方も御参加いただいて、私もちょっとお手伝いしていたわけですが、人の交流、それから基礎的な知識を導入するということができました。今からこれも同じものをつくるのは難しいと思いますけれども、何らかの意識を持って多くの人たちを育てていくということも、ぜひぜひこれからも取り組んでいただければありがたいというふうに思います。
最後に、こういうホームページ、公共交通トリセツというのをやっていますので、もし御関心あれば、公共交通の勉強したいなということであれば、ぜひ御覧いただければありがたいと思います。
ちょっと時間オーバーしましたけれども、申し訳ありません。私のほうからの参考人の話題提供は以上というふうにさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
◯池田委員長 はい、ありがとうございました。
それでは、ここでちょっと休憩を入れたいと思います。10分間休憩を入れますので、よろしくお願いします。換気のための休憩でございます。
――休憩――
◯池田委員長 休憩前に引き続き、委員会を再開いたします。
それでは、次に東様、よろしくお願いいたします。
◯東参考人 今日はどうもありがとうございます。ただいま御紹介いただきましたNPO法人『気張る!ふるさと丹後町』の東と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、このようにささえ合い交通について説明させていただく機会をいただきまして、誠にありがとうございます。先ほど土井様の話の中で、公共交通はネットワーク、つながりが大事ということなんですけれども、私ども、これから話すのはネットワークの端で行っている話になろうかと思いますので、それを実際に実践している具体的な話をさせていただきたいと思っております。
それで、視察に来られた場合、大体1時間お話しする内容を15分程度にしてほしいということなんで、ちょっと要点を絞りに絞って話させていただきたいと思います。お手元の資料に沿ってお話しさせていただきます。それで、要点だけをお話ししますので、細かいところは、また改めて読んでいただければ幸いです。
まず、タイトルなんですけれども、書いていますように、スマートフォンを使いUberのアプリで配車して、マイカーを使ったライドシェア型の公共交通として運行をしております。「ささえ合い交通」というのは愛称で使っております。これは道路運送法に基づくものでして、自家用有償運送の中の現在は交通空白地有償運送という制度で運行しております。運行当初は、公共交通空白地有償運送というものでした。それで、スマートフォンを使っていますので、多分利用される側は京都市内タクシーでもUberのアプリが使えるんで利用されたこともあろうかと思いますけれども、実はドライバーにつきましても、このアプリだけで対応しているという。ドライバーアプリというのがUberのほうであるんです。ですから、このアプリだけで全部対応して、基本的に電話連絡等はなしで済ませられるという形でやっております。
それでは、ちょっと座らせていただいて、具体的内容をお話しさせていただきたいと思います。
ささえ合い交通は、2016年5月26日、約5年半ほど前に運行を開始したんですけれども、これまで視察に来られました自治体さん、各種団体、大学等をちょっと今日、お話しさせていただくということで振り返って件数を見たんですけれども、約250件の方が視察に来られております。それ以外にも、マスコミ、各種メディアで取材を受けましたのが約50件等ありまして、約300件ほどいろいろ見に来ていただいたり、扱っていただいたという経緯がございます。
その中で、幾つかの自治体さんで、Uberのアプリを使うというところはほとんどないですけれども、いろんなアプリを使われたり、アプリを使わずに電話でやられたりというところも聞いたりはしています。
それで、ささえ合い交通が実現したものとしましては、まず2点挙げさせていただいていまして、住民の移動をサポートするというものです。これも各地でやられているものなんですけれども、ささえ合い交通では、2つ目の観光客、インバウンドの移動もサポートできるように運行当初からしております。細かい法律上のところはちょっと割愛しまして、要は誰でも乗れる状態を最初からやってきております。住民、特に高齢者の自由な移動や外国人の通訳不要、要はUberのアプリは多言語対応していますので、各世界の言語で使えますので、特に通訳不要で移動できるインバウンドにも対応しております。移動の自由さ、楽しさ、交流人口を拡充することを目指しております。
次、丹後町について簡単にお話ししたいと思います。右のこの上の図を見ていただきたいんですけれども、見ていだたいたように、丹後町は6つの町が合併した京丹後市の中の一番北端にあります。鉄道の駅もないところで、病院とか大型スーパーも町内にはないところです。そのような中で、利用者のニーズの1番多いのが、こういう町外の病院へ行くという状況です。
そして、4ページのところでは、こういうふうに海岸に面していますので、急傾斜地に集落が建っていますので、この坂の上り下りが高齢者にとって大変というのと、これから冬場につきましては、結構雪が積もりますので、雪が積もるほどささえ合い交通の依頼が多くなると。要は、路線バスですと、雪で走れなくていつ来るか分かんないと、病院にも間に合うかどうか分かんないということで、そういう時はささえ合い交通に依頼されます。
そして、ふだん自動車で通っている高齢者ですとか、自転車に乗っている高齢者なんかも、雪道は行けないんでということで、雪が降れば降るほどささえ合い交通の依頼があるという状況です。
次、5シート目なんですけれども、実は丹後町内では、3種類の公共交通を運行しております。この前の図で言ったら青い一本線は民間の路線バスです。これはずっとあります。その中で、次に市営バスというのを運行しました。これは赤い点線の中の狭いエリアだけが運行を可能という制約のある条件です。東と西でまた曜日が違います。その中で、やっぱりかなり移動に不便だということで、要は行きたい時に即どこへでも行けるということで、ささえ合い交通の運行を進めたという次第です。
利用者の中では、羽が生えたようだというふうなありがたい言葉もいただいております。
先ほど土井様の話で、高齢者は送迎してもらっているということなんですけれども、送迎してもらうとなると、隣近所で結局ただでは済まないんですよね。結構なお返しをしたり、現金を渡したり、結局運賃よりも高くつくんじゃないかと思います。その中で、ささえ合い交通ができたことによって、気兼ねなく、運賃によって割り切って移動できるのでありがたいというふうな声もよく聞いたりをします。
その次は、先駆けてやった市営バスの概要はちょっと飛ばさせていただきます。
次、シートの7なんですけれども、ここからささえ合い交通の運行の概要について、ポイントだけ触れさせていただきます。
法律制度では道路運送法に基づくものでして、地元の住民がドライバーとなりまして、マイカーを使って運行しています。これは各市町村にあります地域公共交通会議で承認を受けないといけないというものです。それを受けて、国土交通省に登録するということになるんですけれども、実はこの地域公共交通会議というのが、法律上は目に見えないんですけれども、運用上で結構なハードルになっているというふうに感じるのが実際です。やるほうにとっては、なかなか手ごわいというか、自由に、思うとおりにいかないというのがこの地域公共交通会議ということです。
配車方法は、スマートフォンでUberのアプリを使って即時配車なんですけれども、細かいことは省きますが、途中からスマートフォンを持っている人も代理で配車するという制度を始めました。
そして、次の運行区域なんですけれども、ここが一番、主にはタクシー利用者さんとの競合の関係で制約を受けるところでして、これが京丹後市なんですが、その中の丹後町でしか乗車できないというふうに、ちょっと制限を受けております。町外へ出て、そこからは乗って帰ってこれないということです。この点は一番最後の課題でもちょっと挙げさせていただくところです。
降車は京丹後市全域で降りれるんですけれども、ただし市外には出れないと、そういうふうな形になっております。
料金は、おおむねタクシー料金の半額程度の設定になります。これも細かいことを言いますと、国土交通省からの指導の下、半額程度に設定されたということで、運賃設定がそう自由にできるというふうな形ではないですということです。
支払い方法は、クレジットカード決済のみだったんですけれども、途中から現金支払いも可能になりました。
運行時間は、午前8時から午後8時までで、年中休みなしで運行しております。この運行時間については特に制限はなくて、真夜中の12時でもやろうと思えばやれるんですけれども、午後8時で精いっぱいだろうということで、そういうふうにしました。
利用者は、丹後町民、観光客、誰でも乗れる形になっております。
次、配車・応答の仕組みをちょっと簡単に触れますと、利用者は、このスマートフォンかタブレットでアプリを使って車を呼びます。そうすると、それが即ドライバーのこのスマホに呼び出す形になります。だから、事務所で依頼の電話を受けて、事務所からドライバーに電話するという手間は一切ないです。ということで、ドライバーはどこか事務所に詰めて待機しているんじゃなくて、自宅ですとか用事があったら出かけながらでも待機できると、そういうふうな形になります。家の前に停めてある車で迎えに行きまして目的地にお届けすると、そういう形になります。これは、タクシーでUberのアプリを使われているのと基本的には同じです。
次、ドライバーの現状なんですけれども、ポイントだけ言いますと、資格は一種の普通免許の方は国土交通大臣認定講習を受けてもらう必要があります。これは1日か2日の講習なんで、それほど手間ではないです。
人数は、現在14名を国へ登録して進めております。
そして、視察に来られた中でよく聞かれるのが、では、事故があった場合の保険はどうしているのかという点なんですけれども、保険は現在NPOが団体保険に加入しています。2種類の保険をかけています。要は、車に乗っている場合の、いわゆる自動車保険と運行という意味では車に乗る前と乗った後というのもありますので、特に冬場は雪が積もって滑ってけがするということもあるんで、その辺を想定して乗車前後の傷害も補償するという2種類の保険をかけて進めております。
実際の業務は、ドライバーの自由な空いた時間で対応する形態ということで、特に何曜日の何時から何時までと、そういうような勤務表があるわけではないです。ドライバーのアプリのオンライン、オフラインの切替えで対応をしているということで、電話連絡等は基本的にはなく済まされるという形で進めております。
次、シートの10で、安全運行管理も徹底しておりまして、道路運送法に基づいて運行しておりますので、毎日運行するドライバーは点呼を行っております。アルコールチェッカーでチェックしたり、会話を通じて健康管理などを行っております。日常以外にも警察署による安全講習会を毎年開催しております。今週の月曜日にも京丹後警察の方に来ていただいて安全講習を行ったところです。そのほかドライバー会議を定期開催して、課題の共有とか安全運行の意識を徹底しておりまして、幸いこれまで無事故無違反でやってこれております。その辺、タクシー業者がよく言う、要は一般住民が運転した運送は危険じゃないかと、安全じゃないとよく言われますけれども、実はかえって人を乗せるとかなり安全意識があり、安全運転しますので、そうそう安全じゃないということは実際には言えないと。かなり安全に運行しているというのが実情というふうに御理解いただきたいと思います。
次、シート11のところでは、観光についても行っております。この載っているのは、観光スポットとか地元のドライバーならではの穴場も運行できるというところです。
下のところでは、間人という間人ガニを水揚げするところで有名なところなんですけれども、魚屋さんへも案内して間人ガニを見に行きましょうということで、なかなか買うのは大変なんですけれども、見るぐらいはいいだろうということで、魚屋さんへ案内して、こんなものですと言ったら、気に入っていたカニを買って宅配便で送ってもらったりして、地元商業者、漁業者さんにも結構貢献できるんじゃないかと。あとは、地元ドライバーならではの穴場の、知られていない食堂にも案内できると。
その中で、ちょっとニーズに応えられない制約がありまして、この丹後町の東側に伊根町があるんですけれども、要は伊根まで行く間も結構魅力ある場所がありまして、丹後町からすぐ先なんですけれども、市外に出られないということで、ここの案内、行きたいんだけれどもと言われても、いや、ちょっと行けないんですというふうに渋々断らざるを得ないというふうなところが残念でなりません。
運行実現の要因とメリットをまとめております。要因としましては、まず地域公共交通会議の承認が必要ということです。では、なぜ丹後町でできたのかと言うと、要は近隣タクシーの営業区域にあるんですけれども、距離が遠くて割が合わず送迎が敬遠されます。逆に言うと、敬遠はいいんですけれども、断ってくるという場所でもありますので、その中で丹後町だったらいいんじゃないかということで、賛成いただいたというふうな内々の経緯があります。
メリットとしましては、7点挙げておりまして、Uberのアプリを使うので、電話受付・ドライバー呼び出しの人的負担がゼロ。利用者が行きたい時に即配車し移動できる。行きたい時に即移動できるという点です。3つ目は、最近はかなり高齢者の人身事故のニュースが多いですけれども、免許返納の促進にも貢献しています。今年度も何名か免許返納されたというふうな形で、無料クーポン券を提供しております。ドライバーもアプリを使えますので、運転する、しないの意思表示が簡単。5番目に挙げていますのは、要はマイカーとスマホがありましたらどこでも待機できますので、事務所に詰めなくて済むというのが一番大きいんですけれども、女性もドライバーとして活躍しやすいというところがあります。遊休資産の有効活用ということで、日頃使われていないマイカーを活用できる。行政コストの負担がゼロと書いていますのは、現在行政からの補助金なく運行をしております。非常にボランティア的な要素が多い運行になっているんですけれども、これは行政としては非常にありがたいという要因になるんじゃないかと。この辺は、ちょっとまた後で課題でも触れます。
利用の流れをシートの13、14で上げておりますけれども、ちょっと流れは、細かいところは見ていただくとしまして、このアプリは日本全国どこからでも丹後町に直接配車が可能なアプリになっております。要は、丹後町にいなくても、子どもさんがこの京都市内に住んでいても、京都市内から丹後町の親御さんの送迎をアプリで配車依頼できるというものです。
ただ、下のほうでちょっと帯に書いていますのは、高齢者はアプリとかスマホを使うのが難しいんじゃないかと言いますけれども、実はUberのアプリは利用者で押さえるんじゃなくて、ドライバーのアプリで出発地と到着地を押さえるんですね。要は、利用者が少々間違えて入力しても全然問題ないというアプリで、ともかく呼びさえすれば問題なく移動できるというふうな形で可能になるというものです。
次、めくっていただきまして、今年度の4月から福祉タクシー利用券、免許返納時提供無料クーポン券、さらには市が発行しています高齢者外出支援割引券、この辺、要望した中でようやく使えるようになったという点です。
今後の課題で挙げていますのは、まず5点を挙げておりまして、丹後町外への往復運行、町外に出ても町外から乗って帰れるようにしてほしいということです。特に病院への帰りをできるようにということで、京丹後市の市役所の方と一緒に協議しながら進めていっているところです。運賃の高さ感の緩和というのも、やっぱりタクシー料金の半額と言っても高いという声がありますので、その辺はちょっと緩和策が望まれると。3)どうしても利用者が限られてきますので、市外や観光客を増加していきたいと。特に観光地ですので、その辺の京丹後市周辺のところも連携をできればなという思いがあります。4番目は、ドライバー点呼でのテレビ電話等による遠隔点呼の定常化というのは、これは田舎ですと結構遠いところへドライバーさんが点呼に行くんですけれども、テレビ電話で点呼をオーケーですよというのを一般化、国のほうで明確にしてもらいたいという点があります。5)で書いていますのは、スマホを持たない高齢者に対して、では、なぜ持たれないかというところがあるんですけれども、実は大概の高齢者の方、ガラケーは持たれているんですよね。ただ、スマホを持つには高コストで通信費も高いと。だから、持たれないというところがありますので、ぜひ福祉情報の提供ですとか災害情報の提供を行政さんのほうで総合的にセットで提供する中で、スマホをかなり安く保有できるような普及策を考えていただきたいというふうな思いでおります。
最後、京都府下と書いていますのは、これは京都府さんのホームページでもPRで載せられていますけれども、オリンピックが行われる年に大概行われていますワールドマスターズゲームズが関西で行われる。これがコロナの関係で2026年に延期されたということです。ですから、それに対してインバウンド客への万全な移動手段の確保が必要ではないかということです。なぜ特にこれを思ったかと言いますと、京丹後市の久美浜町でカヌーが開催されるんですけれども、北海道の観光客の方が景観がすばらしいんで久美浜町で観光したいとタクシー会社に電話したら、1台でドライバー1名しかないんで観光案内を受けられませんと、そう断られたという。利用者の目線に立っていないんですね。
一方で、この区域はタクシーを営業しているんで、自家用有償運送とかその辺のマイカーを使った運送は認められませんと、そういう既得権益を守らんがための言い訳が強く聞こえるというので、ぜひこの辺の観光手段の確保は京都府さんが主導されて、この京都府下のこのような自治体で行える、インバウンドの客をどういうふうに満足してもらって観光できるのか、PRを含めて検討していただきたいという点です。
次の資料は、私どものNPOについての紹介を簡単に載せています。なぜ、『気張る!ふるさと丹後町』という名前がついたのか簡単に触れますと、今、NHKの大河で、名前を忘れましたけれども、渋沢栄一がテーマでありますけれども、かつて東の渋沢、西の松本と言われる時代がありまして、その松本重太郎の出身地がこの丹後町の間人というところから取ったという次第です。
あと、あしたのまち・くらしづくり活動賞で奨励賞を頂いたですとか、全国過疎地域自立促進連盟会長賞を頂いたという表彰があります。
最後のページにつきましては、経済同友会で2020年の1月22日に、日本版ライドシェアに関する政策提言をされているんですけれども、その中で実はこのささえ合い交通についての記述がされております。その中で、京丹後市丹後町の場合、最後の点、先ほど言ったいろいろ制約があることに対して、利用者本位とは言えない実態があるというふうに経済同友会のほうも認めるということで、地域公共交通の確保の点で、ともかく利用者を第一に考えた形でぜひ確立していっていただきたいというのが私の強い思いであります。
報告につきましては以上です。どうもありがとうございました。
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◯島田委員 本日はお話しいただきましてありがとうございます。参考人のほうが赤字と呼ばないでということで、諸外国でも収入が経費を下回っているけれども赤字と呼ばれていませんと、公共交通は地域を支えるインフラとして重要と位置づけられているというお話で、全くそのとおりだというふうに思うんです。国の機関、いろいろな検討の場にも参加をされていらっしゃるんですが、京都市の地下鉄等の支援でも、地域の公共交通に対するそもそもの支援というのは、なかなかしていただけないというのが現状で、必死でやり繰りして赤字になったら廃止と、負のサイクルに陥っている現状は、やっぱり何とかならないものかと常々思っております。地域の足は、それこそ移動する住宅みたいなもんで、無料で住民の足を支えている国々もありますし、その辺りの見解をもう少し教えていただきたいと思います。
◯土井参考人 はい、御質問ありがとうございます。赤字と呼ばないでは、スライドをすっ飛ばしてしまいましたので、御質問ありがとうございます。
そもそも日本は鉄道会社、バス会社が儲かる会社やったんですね。非常にいい会社で、運賃収入で十分賄うことができていたと、そういう時代が長く続いてきたわけですね。JRの場合は、旧国鉄で何か我田引鉄みたいな政治的な路線がたくさん出てきて、なかなか収支が合わないというのがあったわけですが、私鉄、それから民営のバスというのは基本的には儲かっていました。
それが先ほど図で見ていただきましたように、7割の会社が赤字になるような状況になってきたわけですね。理由はいろいろあるんですけれども、1つはやはり自動車型の生活ですね。みんなが自動車便利やさかい使おうやないかと。先ほど8割の人が外出する時に自動車を使うという話をさせていただきましたけれども、圧倒的にライフスタイルが変わってきたと。自動車を使うということだけではなくて、自動車型の社会というのは車が走りやすいようなまちをつくってきたわけです。
どういうことかというと、車が止まると渋滞するので、これは具合悪いと。渋滞の対策として2つあるんですが、道路を増やしていくと、もう1つは走りやすいように、街そのものを外側に広げていくと。そうすると、道路を走りやすいので車が走りやすくなる、渋滞も減るということになるわけですね。
ただ、そうやって郊外に住宅が広がり商業施設が広がっていくというのは、人口密度が薄くなるわけですね。公共交通は苦手なんですね。公共交通は密集しているところに線路があったりバス路線があると収益が上がるわけですけれども、すかすかなところをバスが走っていてもお客さんがなかなか乗ってくれないということで、郊外化することによって利用者が減ってきたと。
ですから、車に負けてきたというのと、それから都市の構造が車によって変わってきたというのが大きな要因です。最近の要因では、あと人口の減少と、こういうのがダブルパンチかトリプルパンチできいてきていると。だから、儲かっている会社は非常に減りましたということですね。一部の大都市の、京阪神で言うたら民鉄、首都圏で言うと地下鉄とか民鉄の一部はもうかっていますけれども、それ以外の全国の公共交通というのは非常に経営が苦しくなっている。
さて、こういう状況をこのまま置いておいていいのかという話が、公共交通はインフラかどうか。多くの人は間違いなしにインフラだと、要するに生活を支える水道であるとかごみの収集とかと同じように、基本的には生活を支えるものだという意識は持っているわけですけれども、そこに税投入をしていくかどうかというところについては、すごく意見が分かれるところですね。それやったら道路のほうにお金を投資したほうがええやないかというのも、これも確かにあるわけですし、限られた財源をどういうふうに有効に使っていくかということでいくと、なかなか公共交通にまでお金が回らないというのが、他にも使わなあかんことがたくさんあるということです。
では、解決策は、何があるかというので、これは例えば滋賀県の三日月知事は、交通税を取りますという公約をされています。それで、要するに税が増えるわけですね。市民にとっては税が増えるわけですが、そのお金を原資にして公共交通を支えるような仕組みを考えると。まだ明確に税をナンボ取って、それから使途、使い道はどうするかというのは決まってはいないですけれども、そういう問題提起をされていると。これは、多分コロナの状況を今後どういうふうに扱っていくかということを考えていくと、非常に重要な1つの試みになると思います。赤字と呼ばないでというのは、公共交通は赤字やということを、ほんなら黒字にしたらええやないかという話と、それから補助をするにしても赤字の補填額ぐらいしか行政補助は駄目よという考えになりがちですよね。赤字を補填するという発想をやめましょうというのが、今日の私のレジュメに書いているところなんです。
何でかと言うと、赤字の補填と言うと、先ほどのような行政補助、赤字額の補填部分とすると、2つのややこしいことがある。
1つは、赤字を減らすということの話が絶対出てくるわけですね。だから、それは補助金分を減らせる。ところが、赤字を減らすというのは、方法として収入を増やすというのができたらいいんですけれども、できへんから赤字になるわけです。そうすると、サービスを下げていくと、コストを下げていくと赤字の部分は減るわけですけれども、利用者も減るので、いつまでたっても収入も減っていく、赤字を下げて収入が減る、コストを下げて収入が減るということになっていくと、結局廃線に、やめちゃうよということになる可能性があるわけですね。こういう問題が起こるんで、赤字の補填というのあまり言わないようにしましょうと。
もう1つの赤字の補填の悪いところは、サービスを上げようとするにしても、赤字のとこにそんなお金を投入して役に立つんかいという話になると、サービスを上げないと利用者は増えないですから、そういう投資をするということに対するマインドがすごく落ちるわけですね。これが赤字補填という話をすると問題になります。
地域の皆さんを支えるものにしていこうという話になると、先ほど冒頭、今日の話で申し上げましたように、車を持っている人も車しか使わへん人も、実は公共交通があるというのは、例えば気兼ねなく免許の返納もできますよというような社会をつくっていくということにつながっていくので、実はみんなに関係するんやと、自分ごとやでということをまず理解してもらって、その上で公共交通に対してどういうふうに公共側として向かい合うかということが次に大事なことになってくると。
無料は、あんまりよくないと思っています。何でかと言うと、やはり利用する人には多少の受益者負担を求める必要があると思います。それは大きな額ではなくてもいいんですけれども、その利用に対するモラルハザードのないようにするためには、多少の負担は、応分の負担というんですか、持ってもらうほうがよかろうなと。それは納税者に対するきちんとした説明をするためにも、必要になってくるのかなというふうに思います。
◯島田委員 移動を支えることは生活を支えることであるし、本当に大事なことで健康寿命を伸ばすという点でも、その移動の保障というのはとても大事で、そういう立場からやはり税金の使い方についても検討が必要かなというふうに思っていますのと、そういう交通計画を策定する場合に、参考人が大事にしておられる移動に困っている人の把握から始める、調査をするというとても大事な指摘だなというふうに考えているんです。
現在、先ほどありました地域公共交通計画策定、それから見直し作業が京都府でも行われておりますよね。先ほど家元委員からもお話があったJR山陰本線、園部―綾部間の沿線地域の公共交通計画策定、この支援業務のプロポーザルがかかっていますが、調査も含めて今ということなのですが、また既に見直されたところ、策定されたところの調査の在り方、先ほど先生の御指摘の視点の地域住民の利用あるいは移動に困っている方の意見をしっかりお聞きして状況を把握するという、この観点があるのかどうかというのを少しお聞きをしたいというふうに思うんです。
◯細井交通政策課長 公共交通計画策定に当たっての地元の意見、どう聞いているかというお話かと思いますけれども、地域公共交通計画を策定するに当たりましては、法定協議会という組織をつくって議論をするということになっております。それで、この中には、交通事業者、市町村はもちろんのこと、利用者の代表ということで自治体の方であるとか地元の利用者の方も入っていただいて議論をするということになっております。
併せまして、今回やっております山陰本線沿線、もしくは関西本線沿線でもやっているんですけれども、利用者の方にアンケートをとったりとか地域懇談会を行ったりして、実際使っていただく方、地域の方の意見をお聞きした上で、課題の整理もしくは今後の検討策、対応策なんかを検討していっているという状況でございます。
以上でございます。
◯島田委員 会議を何回も重ねられて様々な意見交換をされていて、確かに自治連合会の役員さんとかが住民代表で数名か入ってらっしゃいますが、その方々はもちろん地域の方のことをよく御存じだと思うんですけれども、調査で今、本当に困っていらっしゃる様々な意見を吸い上げるという点では、もう一工夫、二工夫要るのではないかということ思っていまして、せっかく見直すのであれば、ぜひ御努力もいただきたいというふうに思うんですが、土井参考人、何か御指導いただければ。
◯土井参考人 今のお話で一生懸命やられているというのは間違いないと思うんですけれども、例えばちょっと今私が携わっているのは、滋賀県に近江鉄道という鉄道があるんですけれども、そこも非常に赤字で苦しんでいて、これから廃線にするかどうしようかというのが、上下分離でやりましょうというのまでは決まりました。
ただ、利用がすごく少ないので、どうしたらいいのかなと。
ただ、高校生の通学はすごく多いので、今度の日曜日に高校生に集まってもらってワークショップをして、ともかく使っている人だけやなしに、自分の友だちで電車、近江鉄道を使いそうな人はどれくらいいて、その人らがどうしたら乗ってもらえるのかというようなことを、高校生の目から見て考えてもらおうというようなことも、2回ぐらいやる予定していますけれども、一例ですけれども、そういうことももし可能でしたら、取り組んでもいいのかなというふうに思います。
◯島田委員 はい、ありがとうございます。ぜひ今日の勉強したことを一緒に共有しながら、よりよい地域公共交通をつくっていきたいなと思っております。
それで、先ほど山陰線減便の問題が出ておりまして、各地の赤字だということでどんどんそういうふうにJRもなってきているわけですが、新幹線の影響ですね。北陸新幹線の延伸計画に関わって在来線が減らされるのではないかという不安が非常にあります。それで、実際にこれまでいろんなところで新幹線が通って、その並行在来線はまさに減便されて、料金が上がって高校生の通学の足が不便になっているという、そんな現状も少し勉強はしてきたんですが、この全国的な様子というのは何かもし資料等をお持ちあればお話しいただきたいというふうに思うんですが、土井参考人、伺えますか。
◯土井参考人 今のはなかなか微妙な話で、並行在来線の問題ですよね。結構やっぱり困っているところもあれば、わりと富山なんかはうまいことやられているような事例もありますので、どう活かしていくかということをまずきっちり考えていって、新幹線とは大分やっぱり性格が違うので、地域の交通をどう支えるか、要するに幹線はもう新幹線に任せると。でも、やっぱり地域間の移動というのはたくさんあるので、それをどう並行在来線のほうで拾い上げていくのかというので、結構ちゃんとやれば、それなりの手応えはあるんじゃなかろうかなというふうに思います。