大量の掘削残土処理計画がない北陸新幹線の延伸計画は中止を | 令和3年9月定例会 本会議 一般質問 – 2021年9月27日

○島田敬子議員  日本共産党の島田けい子です。先に通告しています数点について、知事並びに関係理事者に質問します。

 まず、北陸新幹線延伸計画についてです。静岡県熱海市の土石流災害は開発行為による危険な盛土が放置した人災の可能性が報じられる中で、北陸新幹線工事で発生する880万㎥もの大量の残土の処理がどうなるのか、美山や京北をはじめ住民の不安が一気に高まっています。
 私は、計画のルート上にある京北山国の井戸集落及び小塩川流域を調査しました。小塩川上流の山の尾根には丹波広域基幹林道が走っています。この林道は、丹波町下山から左京区花脊大布施まで全長64.5kmを、本府が開発したものですが旧京北町域には27ヶ所の盛土施行箇所があります。ここ数年来の豪雨等で広域林道や取付け道路の盛土の一部が崩れ、土石流となって谷川を埋め、樹齢60年の杉が多数立ち枯れ、砂防ダムは土砂で満杯の状態でした。山そのものも荒廃し、あちこちで崩落しています。このような現状の中、新幹線工事により山や谷筋が残土で埋められたり、仮置きされれば、土砂災害が多発し、ヒ素を含む有害残土で川や地下水が汚染され、工事そのもので水道水や農業用水源である小塩川が枯れれば、集落には住めなくなると危機感を訴えられました。

 南丹市美山町田歌区の自治会は、7月10日、鉄道建設・運輸施設整備支援機構に対し、大量の掘削土砂の残土処理について質問状を提出したところ、8月23日、「現時点で残土量が不明なため処理計画も決まっていない」との回答です。
 9月定例南丹市議会で、市長は
北陸新幹線の残土は非常に心配している。単に工事の残土というより、国定公園の中であり豊富な水資源も涵養し地下水もある。かつ伝統的建造物地区という文化的にも大切な場所をどう守っていくか。地域の宝、糧として生きている方もいる。一時のトンネル工事でつぶすということになってはいけない」
北陸新幹線延伸は、本市にとってメリットがない」
「新幹線の許認可は知事が権限を持っており、折に触れて適正な対応をしてほしい、できれば別ルートで行ってほしい。地域の皆さん方の意見を無視することはできない。処分を行うことに賛成できない」
と答弁されました。

 そこで、伺います。知事は、この地元自治体市長の判断をどう受け止め、どのように対応するのか、また、政府与党PTや鉄道建設・運輸施設整備支援機構に対して、計画を明らかにし、説明責任を果たすよう求めるべきと考えますが、いかがですか。

○西脇隆俊知事  北陸新幹線の延伸計画についてでございます。北陸新幹線につきましては、日本海国土軸を形成するとともに、大規模災害時において東海道新幹線の代替機能を果たし、関西全体の発展につながる国家プロジェクトであると認識をしております。
 先日、南丹市長が市議会において、北陸新幹線の建設発生土の処理などへの懸念を示されたことは承知をしておりますが、建設発生土の処理方法などにつきましては、現在実施中の環境影響評価の結果を踏まえ、今後環境への影響を充分に配慮し、鉄道運輸機構で検討されていくものでございます。
 こうしたことから去る7月29日に開催されました、与党PT北陸新幹線敦賀~新大阪間整備委員会に出席をし、国定公園内の自然環境への影響、地域の文化資産、地下水への影響、建設発生土の処理の方法などの施行上の様々な課題について、充分配慮するよう強く申し入れたところでございます。
 京都府といたしましては、引き続き、国や鉄道運輸機構に対して、慎重な調査と丁寧な地元説明を行うとともに、環境の保全について適切な対応を行うよう様々な機会を捉えて求めてまいりたいと考えております。

○島田敬子議員  「慎重な調査と丁寧な説明、環境保全の対応」
と毎回同じ答弁を繰り返しておられます。しかし、機構は全く説明をしておりません。
 それどころか、残土の量が不明で処理計画が決まらない。一事が万事、説明も無く地方自治をも踏みにじる計画をなぜ知事は認めることが出来るのか、この点について、再度お答えください。

○西脇隆俊知事  環境影響評価方法書の知事意見におきましても、トンネル区間の掘削におきまして、大量の建設発生土が発生して、運搬・処分などによります環境影響も著しいものに想定されることを指摘しております。その上で調査などを適切に行うとともに、当該影響の回避又は極力低減するよう工事方法などの検討を行うように求めております。引き続き慎重な調査と丁寧な地元説明を行うとともに、環境保全について適切な対応を行うよう、様々な機会を捉えて強く求めてまいりたいと考えております。

○島田敬子議員  北海道新幹線工事では、新函館~札幌区間、基準値の190倍ものヒ素や鉛、有害物質を含む対策が必要な残土の仮置き場が、土砂災害警戒区域や浄水場の取水地の直近に計画をされ、住民の不安が広がって止まっていた計画が、また開始されました。あちこちで有害残土が仮置きされて出ている。そこが進んでいるんであります。始まってからでは止まらないんです。そもそも、自民党・公明党与党プロジェクトが勝手に決めて、押しつけたとも言える事業です。地元住民や自治体の合意が出来ない計画は中止を重ねて求めておきます。

 次に、香りの害と書く『香害』および化学物質過敏症対策について伺います。
 『香害』とは香水や合成洗剤、柔軟剤、消臭除菌スプレー、防虫剤、化粧品、芳香剤などに含まれる合成香料に起因し、様々な健康被害が誘発される現象をいいます。
 そして、この香害がきっかけとなり『化学物質過敏症』を発症する人が増えています。
 『化学物質過敏症』とは、何らかの化学物質に大量にさらされたり、ごく微量でも長期的に繰り返し、さらされた後に発症するといわれていますが、人によって現れる症状が異なり広範囲の症状が現れるのが特徴です。

 日本では、2009年に病気として公式に認知されましたが、専門的な診断治療ができる医療機関が少なく、普通の医療機関の検査では異常が出ないこともあり、“心の病い”とされるなど、周囲に理解されず、孤立してしまう方も多く、深刻です。全国の患者は100万人、予備軍を含めると400万人を超えると推計され、全人口の7.5%が化学物質過敏症対象者であるという報告もあります。
 日本消費者連盟などでつくる「香害をなくす連絡会」が2019年末に行った調査で、7000人以上が洗濯時に使用する柔軟剤や香り付き合成洗剤、除菌消臭剤等で苦しんでおり、その多くが女性、若い世代でした。そのうち、約2割が、仕事を休んだり、職を失ったり、学校に行けない子どもなど深刻な被害実態が明らかになりました。
 先日は、「化学物質過敏症を話し合う会」を主宰しておられる中京区の飲食店経営の中塚さんや京都府在住の同症に苦しむ当事者の皆さんと、健康福祉部・薬務課、健康対策課と懇談が行われ、私しも同席して、当事者の深刻な事態を伺いました。
 中塚さん自身、2016年に仕事中に店内で倒れ入院。2017年に化学物質過敏症の診断を受けました。厨房で大量に使っていた塩素系漂白剤や従業員の髪や衣服から匂う人工香料が原因とされています。喉や目の症状にくわえ、記憶力の低下、視覚障害も心配されています。路上で気絶することも度々あるそうです。
 料理店で働く調理師の女性は、客の衣服の柔軟剤の香り等で突然発症。熱く熱した鉄棒でこめかみを差し込まれているような強烈な頭痛がはじまり、吐き気、下痢、腹痛、睡眠障害で苦しんでおられます。お客さんにポスターを張るなどして協力を求めると、
「普通に使われているのが、何であかんのや」
と逆に怒鳴られることもあったそうです。
 京都府南部にお住いの女性は、高校2年生の娘さんが発症。クラスメートが強い香りの柔軟剤を使い始めたことがきっかけでした。
 突然の頭痛、吐き気、鼻水、咽頭痛、下痢、腹痛に見舞われました。そのうち、ある日すれ違った喫煙者のたばこの臭いで、全身に蕁麻疹、めまい、頭痛、呼吸困難をきたすなど一気に重症化しました。
 学校で、他の保護者に説明して理解を得ようとしましたが、
「家庭で何を使おうが自由なので、やめてもらうことなどできない」
と、教師の理解が得られず、個別授業も希望しましたがそれもかなわず、発症5ヶ月後に退学を余儀なくされました。
「娘は、部活や学校生活を楽しみ、保育士を目指し、夢と希望をもって頑張っていたのに今は絶望しかありません」
と話されました。
 乙訓地域にお住いの女性は、線維筋痛症の治療で使った薬剤で重症の化学物質過敏症を発症。急に気絶して救急搬送されることもあります。普段は寝たきりで、週3回、解毒剤のグルタチオン点滴を受けています。これがないと食事も水も受けつけず、生きられないそうです。

 このように、香害や化学物質過敏症は一部の特別な人だけが発症するものではないことが明らかです。コロナ禍、消臭除菌剤の多用により、その被害は現在も広がっています。さらに、社会的弱者ほど、重篤化するケースが多く、外にも出られないため、実情を訴えることも困難な事態になっているのです。

 国内では、2000年頃から、メーカーが競い合って、合成洗剤や柔軟剤などの生活用品に人工的に香りを添加した製品を売り出しはじめ、消費者の清潔志向の高まりに乗じて「除菌」「消臭」「香り付き」など、新たな製品開発販売に拍車がかかりました。
 2009年、輸入代理店などを通じてアメリカから強い香りの柔軟剤ダウニーが輸入されてから状況がさらに悪化。輸入量は2000年から5倍に、香粧品香料の生産量は10年間に、1.8倍になりました。合成香料の95%は石油をもとに作られ、アレルギーや神経毒性や発がん性があります。天然香料でも抽出する際には有機溶剤などの毒性のある化学物質が使われています。柔軟剤には毒性の強い第4級アンモニウム塩が使用されています。
 さらに、被害を深刻化させているのが、2010年代から製造が始まったプラスチック製のマイクロカプセルです。柔軟剤の1つのパッケージの中に何万個のマイクロ(μm=10-6m)サイズやナノ(nm=10-9m)サイズのカプセルが入っているものもあります。香り成分や消臭剤をカプセルで包み、外的刺激や熱で外壁を破壊し、長い時間をかけて拡散します。
 拡散したマイクロカプセルの外壁は多様なプラスチックでできており、例えば、ウレタン樹脂の場合はカプセルが破壊されるとき有毒なイソシアネートが飛び散ります。花粉より小さいマイクロカプセルは、肺の奥まで入り込み人体に影響を与える恐れがあります。
 マイクロカプセルは下水処理場でも取り除くことができず、河川に流れ、海を汚染します。深刻化する世界の海のプラスチック汚染に対して、欧州化学物質庁(ECHA:European Chemicals Agency)は2019年に「一次マイクロプラスチック規制提言書」を発表しました。国内では、市民団体連合が、家庭用品へのマイクロプラスチックの利用を規制するよう国へ提言を提出されました。
 2020年4月に国民生活センターが「柔軟仕上げ剤のにおいに関する情報提供」をWEBサイトで公表しましたが、「適正に使用すれば問題ない」との立場で、製品から揮発する化学物質についての詳細な分析は行わず、「科学的根拠がない」ことを理由に各省庁間のたらいまわしの状況で対策が進みません。石けんや洗剤などの生産者団体である日本石鹸洗剤工業会の自主規制に任せています。
 一方、米国の疾病予防管理センター(CDC:Centers for Disease Control and Prevention)は2009年、職員に香り付き洗剤などで洗った衣類を着て来ないように求め、施設内で香水や芳香剤など香り付き製品の使用を禁止し、米国やカナダではいくつもの州で公共施設、学校、大学、病院で香り付き製品の自粛が行なわれています。EUでは化粧品規制でアレルゲンであることが明白な26種類の成分について物質名の表示が定められ、配合量も規制するなど、欧米では規制が広がっています。

 そこで伺います。
 一つは京都府に専用の相談窓口を設置することです。相談を受ける中で、その声を聞くことで実態も把握できます。滋賀県ではこの間、相談窓口を設置しました。保健所で実施しているシックハウス相談のみならず、香害や化学物質過敏症に悩む人々の相談に対応できるよう、職員研修を実施すべきと考えます。
 二つは、公共交通機関、公共施設、介護、医療、保育、学校等で香り付き製品の使用を控えるよう、啓発等を進め、理解を広げること。ポスターの掲示やチラシの配布等を行うとともに、京都府のホームページにも香害についての情報、相談機関や専門医療機関等の情報を掲載すべきと考えます。
 三つ目に、国に対し、実態調査や分析等を進めるとともに、香料等の安全性についての実効性のある法規制を行うこと。家庭用品へのプラスチック製マイクロカプセルは製造販売を中止すること。柔軟仕上げ剤、消臭剤等を「家庭用品品質表示法」の指定品目として、香料の成分表示を義務付けること。国民生活センターにおいて「香害」についての情報提供を徹底し、相談窓口を設置することを求めるべきと考えます。いかがですか。

 次に、教育委員会におたずねします。先ほど紹介しましたように、子どもたちにも重大な影響が出ています。
 京都府教育委員会の調査では、近年、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー疾患をもつ児童生徒が増加傾向にあり、令和元年度調査では化学物質過敏症は198人、アナフィラキシーのある児童生徒は1040人と、全校種に在籍しています。文部省や厚労省のマニュアルでも、洗剤・芳香剤・消臭剤等に含まれる化学物質の子どもへの影響を指摘しています。学校における子どもの体の異常について、香害を含む最近の動向や相談等の現状はいかがですか。
 生徒や教職員への理解を広げること等が必要であり、長野県安曇野市では、教育長名で「香料についてのお願い」の通知を保護者に配布する例などもあり、府教育委員会として、府内の学校でポスター等による啓発を行うべきと考えますが、いかがですか。

 次に、医療的ケア児者への支援対策についてです。
 一つは丹後圏域で実施中の医療的ケア児者移動支援モデル事業についてです。与謝の海支援学校に通う高校2年生の生徒さんは、生まれた時から、24時間人工呼吸器を装着する等、医療的ケアが必要な重度の障害を持っていますが、小学校は地元の学校へ、そして、中学から支援学校に通学しています。学校では看護師のケアもありますが、送迎はお母さんです。片道25分毎日、2往復、11年間、自分の車を改装し、吸引器を乗せ、人工呼吸器のモニターをチェックしながら運転をされます。気が気ではありません。
 途中で異変が起きれば車を路肩に停車し、アンビューバックで呼吸を補助したり、痰を吸引したりすることもあります。京都府教育委員会に実情を訴え、対策を要望しましたが、聞いてもらえず、やむを得ず京都新聞の読者欄に投稿。その後、その記事を見た現場の努力で、振興局予算で今回のモデル事業が始まりました。
 京丹後保健所の担当者がコーディネーターとなり、事業所からの運転手の派遣、訪問看護ステーションからの看護師の派遣を調整しています。月に5回下校だけのモデル事業ですが、子どもが安全に通学でき、この事業の継続を希望されています。このような児童生徒は、京都府内で19人おられます。大阪府では、昨年9月から、介護タクシー等に看護師が同乗し通学できる「医療的ケア通学支援事業」を本格実施され、50人が利用しています。滋賀県でも始まっています。
 そこで伺います。丹後でのモデル事業の成果を踏まえ、京都府内全域で実施をすべきです。いかがですか。

 さらに移動支援の事業でも施設でのケアの充実においても看護師確保が重要課題となっています。事業所における看護師確保対策について、国の加算措置等が順次改善されていますが、更なる改善を国へ求めるとともに、本府でも積極的な取り組みが必要です。現状と進捗状況についてお聞かせください。

 また、私はこれまで府北部地域に、医療的ケアを必要とする人を含む重度障害児者が安心して暮らせる施設の整備も求めてまいりました。2020年6月定例会で、健康福祉部長から
「福祉圏域ごとに、保健所を中心に、これからの在宅療養生活を支えるための地域の現状、課題、連携のあり方について検討し、医療型短期入所の拡充、グループホームの整備など、支援体制の充実を検討する」
との答弁をいただいております。その後の取り組みと、進捗状況についてお聞かせください。
 9月18日には、医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律が施行されました。法の趣旨に基づき、積極的な取り組みをお願いし、答弁を求めます。

○長谷川学・健康福祉部長  香害及び化学物質過敏症対策についてでございます。京都府では、柔軟剤などの香りで頭痛や吐き気がする方や化学物質による過敏症で悩んでおられる方からの健康相談につきましては各保健所で、生活相談につきましては京都府消費生活安全センターで対応しているところです。国においては「香り」に対する反応には個人差もあることなどから、いわゆる香害の原因を究明するための調査研究を行うことは、現時点では困難と考えられておりますが、化学物質過敏症などに共通してみられる病態の解明については、研究が進められているところでございます。
 こうした研究の結果を踏まえ、適切な相談対応を行ってまいります。また、職員の研修につきましては、厚生労働省の補助を受けて、一般社団法人・日本アレルギー学会が実施しているアレルギー相談員養成研修会を毎年保健師が受講しているところであります。

 次に、公共交通機関や公共施設などへの周知・啓発についてでありますが、先日、柔軟剤などの香りで困っておられる方への配慮に関する啓発ポスターが消費者庁において、関係各省と協力のもと作成されたところであります。今後これらを用いて、関係機関に情報提供するなど、まずは困っている方がいるということを知っていただけるよう、府民への情報発信につとめてまいります。
 また、香害及び化学物質過敏症に関する規制や対策につきましては、先ほど申し上げたとおり、国において研究が進められているところであります。今後、研究結果などをもとに、国において法規制の必要性を含め対策の方向性を検討されるものと考えており、国の動向を注視してまいります。
 なお、国民生活センターにおいては、これまでからいわゆる香害に対する相談に対応しており、柔軟仕上げ剤の臭いに関する情報について消費者から寄せられた危害情報の照会と注意喚起が実施されているところです。京都府といたしましては、今後も必要に応じて、情報提供などが行われるよう国に求めていくとともに、引き続き府民からの相談に丁寧に対応してまいりたいと考えております。

 次に、医療的ケア児者についてでございます。医療的ケアを必要とする方々が、地域で安心して暮らしていただくためには、医療、保健、福祉、教育との他分野、他職種による総合的な支援が必要となります。そのため、福祉圏域ごとに保健所を中心とした協議会を設置し、医療的ケア児や家族を対象としたアンケート調査の実施や他職種連携のあり方の検討など、支援体制の充実をはかっております。
 なお、北部地域の福祉事業所の整備については、個別に事業所等から相談を受けているところでございます。こうした支援体制の充実をいっそう進めるため、本年3月に策定した第6期障害福祉計画、第2期障害児福祉計画では、1ヶ月分の必要なサービス見込み料を、グループホームでは、令和元年度の1,824人分から令和5年度には2,268人分へ、短期入所では令和元年度の1,617人分から令和5年度には2,066人分へと増やすことを定め、計画的に整備を進めることとしております。
 今後、本計画にもとづき、市町村や関係機関とも連携して医療的ケアを必要とする方々が、地域で安心して暮らしていける環境を整えてまいります。

 次に丹後圏域で行われている医療的ケア児者移動式モデル事業についてでございます。丹後圏域では、医療機関や福祉事業所等の資源が限られる環境の中、医療的ケア児者の送迎に係る家族に負担軽減を図るため、関係機関が連携し、地域課題を地域で解決する取り組みとして、移動支援の先駆的なモデル事業を実施しているところでございます。
 他の圏域での実施については、丹後圏域での結果を踏まえるとともに、市町村と関係機関が協議を行う中で、各圏域ごとの実情に応じて取り組みが進められていくものと考えております。

 次に、看護職員の確保についてです。障害福祉サービスを提供する事業所が、日常的に人工呼吸器による呼吸管理や喀痰吸引等を必要とする医療的ケア児を受け入れるためには、安全にサービスを提供するための看護職員の確保が必要となります。そのため、看護職員の配置に要する費用が障害福祉サービス等の報酬に適切に反映されるよう国に対し、制度の充実を強く求めてまいりました。
 その結果、令和3年度の報酬改定において、事業所に看護職員を配置する場合や医療機関と連携して体制を整える場合等の加算の充実が諮られたところでございます。
 また、京都府では、病院に勤務される看護師や訪問看護師を対象に、在宅療養児支援連携研修を実施し、医療的ケア児の支援にかかわる看護職員等の確保に努めているところでございます。今後、今回の報酬改定や国の補助事業を充分に活用し、看護職員を確保していただけるよう市町村や事業者に対して丁寧な説明や助言に努めるとともに、京都府ナースセンターとともに連携して、潜在看護師の復職につなげるなど人材の確保に努め、社会全体で子どもを育む環境の整備に取り組んでまいります。

○橋本幸三・教育長  香害及び化学物質過敏症対策についてでございます。令和元年度のデータでは、議員ご指摘の通り、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーを持つ児童生徒の割合は5~7.5%で年々増加傾向にあります。一方、化学物質過敏症は、これらと比較しますと大幅に少なく、0.1~0.3%で横ばい傾向にありますが、症状が多様で個人差も大きいことから、対応が難しい疾患の1つであると考えております。
 学校においては、学校環境衛生基準にもとづき学校薬剤師との連携のもと、各学校の状況に応じて原因物質となり得るホルムアルデヒトやトルエンなどの揮発性有機化合物の検査を年に1回行い、健康的で快適な学習環境の維持に努めているところでございます。
 児童生徒の相談対応についてでございますが、年度はじめに保護者から提出いただく 保健調査票等で症状を把握するとともに、担任や養護教諭等による日々の注意深い見守り保護者や主治医、学校薬剤師等と連携して、作成した個別の教育支援計画等により適切な対応を継続しているところであります。
 加えて、柔軟剤等の香り成分にも化学物質が含まれていることや、香りの強さの感じ方には個人差があることから、教職員及び児童生徒の理解を深めるとともに、使用量の目安などを参考に周囲にも配慮した使用を促すことが重要と考えており、文部科学省など関係5省庁が作成した香りに関するポスターを府立学校や市・町教育委員会へ配布して啓発をしたところでございます。
 府教育委員会といたしましては、児童生徒が、学校で安心して過ごせるよう、引き続き学校薬剤師等と連携し、適切な環境を整えられるよう努めてまいります。

○島田敬子議員  香害対策について、市民団体の運動等で、やっと答弁があった5省庁連名のポスターが作られました。しかし、本府はシックハウス被害問題となった2003年~2006年当時、京都府議会でも集中的に議論しましたが、その当時からホームページも全く変わっておりません。
 そして、学校でも対策強化は急務です。学校に来れない不登校の子どもの中にもいらっしゃいます。京都府教育委員会として、把握し調査もすべきです。神奈川県平塚市ではシックスクールマニュアルを改訂し、香害についても明記し対策に乗り出しています。これら、先進自治体に学び、京都府及び教育委員会の取り組みを強く要望します。
 医療的ケア児の通学支援・医療施設の整備など支援法の理念に基づき、早期の実現を求めて質問を終わります。