令和3年6月定例会 府民環境・厚生常任委員会(2日目)及び予算特別委員会府民環境・厚生分科会(3日目)―2021年6月30日〜島田敬子府議の質疑応答部分

◯島田委員  宿泊療養体制に関連して質問いたします。
 コロナ陽性者の宿泊療養施設の医療看護体制について、本会議の答弁で部長から、療養者が医療が必要になった場合の適切な医療のアクセスについて、今回の事態を受けて検証を行った上で今後検討を進めるとの答弁がありました。医療のアクセスという点では、病院への転送判断の時期が適切だったか等を判断するのには、受入医療機関側も交えて検証が必要と考えますが、そのような検証をしているのか、何に焦点を当てて検証をされているのか教えていただきたいと思います。

◯片岡健康福祉部副部長(健康担当)  宿泊療養施設の療養体制でございますけれども、今現在、宿泊療養体制につきましては、緊急に対策が必要なものにつきましては既に対策を講じているところでございますけれども、やはり宿泊療養だけではなく、入院から宿泊療養、自宅、全て全体の中でどういうふうに療養体制を京都府として講じていくかということを今検討してございまして、その中の1つに宿泊療養もあると認識をしておりますので、そのデータの中で今後検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。

◯島田委員  いや、受入医療機関側を調べていただいて、手遅れになって病院に来られるという事例なんかも、宿泊療養施設から転院される途端に亡くなられた例も1例あったと前回も報告があったんですが、この医療アクセスに適切につなげるという点で検証が必要なので、そういう医療機関側の情報収集とか、そんなことはやってるのかということを伺っているんですが。

◯片岡健康福祉部副部長(健康担当)  宿泊療養施設につきましては、この間、転院する際、すぐに転院できない場合にも対応できますように酸素の投与でありますとか夜間の医師の常駐等、必要な体制を整えてきたところでございます。
 一方、受入側でございますけれども、現在、第4波はどのような療養状況だったのかということを、実績数値も含めて今、内部で検討を始めているところでございますので、その辺りをしっかり踏まえて今後必要な体制を検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。

◯島田委員  医療機関、受入側も含めまして調査、検証しているということですね。その理解でよろしいですか。

◯片岡健康福祉部副部長(健康担当)  入院から宿泊療養、自宅療養を全て、全体を通して検討しているということでございます。
 以上です。

◯島田委員  続いて、現場の指揮命令系統が非常に重要という答弁もございました。入院コントロールセンターとの連携、また常勤医師と看護師等の関係等々について検討していきたいとの答弁もありました。派遣看護師について、プロポーザルの契約仕様書では、可能な限り同一人を派遣するとの記述がありますが、現状はどうなっているのか。
 また、当初、平安ホテルで立ち上げの際には看護協会に委託をしておられました。滋賀県なども看護協会に委託しておりますし、都道府県が直営でナースセンター等を通じて看護師を雇用しているというような自治体もありますが、本府はなぜ看護協会委託を継続できていないのか教えてください。

◯片岡健康福祉部副部長(健康担当)  宿泊療養施設につきましては経過がございました。今、ヴィスキオとアパの2ヶ所を運用しているところでございます。当初につきましては、看護協会のほうからも立ち上げのときは御協力をいただいたわけでございますけれども、現在は民間のほうから、別のところから看護師の派遣をいただいているというような状況になってございます。
 以上です。

◯島田委員  質問に答えてください。看護協会になぜ委託継続はされなかったのかということです。

◯浅山健康福祉部副部長(総括・総務担当)  委員がおっしゃいますように、当初は看護協会に委託して看護師に来ていただいていたというのが現状かと思います。看護協会とも相談する中で、なかなかやはり看護師の確保が難しいという中で、どういう確保の方法があるのかという中でいろいろ御議論させていただいて、検討させていただいた中で、全国的にも提供いただいている派遣会社からの看護師の派遣が一番確保しやすいということで、今現状はこういう形になっているという状況でございます。
 以上です。

◯島田委員  先ほどの答弁もなかったんですが、派遣会社との契約等の関係で、同一人を派遣するとの記述、この現状はどうかということと、派遣元の実態は現場の看護師が非常に入れ替わりが早いし、先日の宿泊療養中の死亡等の案件もあって人が集まらなくなっているというようなこともお聞きをしております。辞めていくという話も聞いておりますが、現状はどうでしょうか。

◯東原健康対策課長  ヴィスキオの看護師の状況ですけども、現在入所者が少ないということもございまして、この機会を利用しまして宿泊療養施設の看護師の方向けに勉強会をさせていただいています。その目的としましては、定着とスキルアップを目的としまして、防護服の着脱等々の勉強会をさせていただいています。
 いずれにいたしましても、コントロールセンターとか医師、看護師、京都府の連携は必要だと考えておりますので、引き続き、状況に応じて取り組んでいきたいと思っております。
 以上でございます。

◯島田委員  定着とスキルアップの研修はとても大事だと思いますが、ということは定着していない、大変入れ替わりが激しい現状が派遣元の派遣会社にあるということなんでしょうか。
 併せて、日常的に業務遂行上で課題があった場合には、看護師が相談する先は派遣元なのか、京都府の管理者なのか、あるいはリエゾン保健師なのか、それはどういうシステムになっているんでしょうか、併せてお答えください。

◯東原健康対策課長  まず、定着についてですけれども、現場のほうからは、その辞めていく等々の話は直接には聞いていないところでございます。
 もう1つ、何かあったときの相談ですけれども、まず現場のほうに京都府の職員としまして事務統括という者がいます。そちらのほうに相談するのと、京都府の保健師がいますので、そちらのほうに相談するということになっております。
 以上でございます。

◯島田委員  いろいろ患者さんの管理とか、そういう点では一々連絡調整があってしかるべきですが、日常的な業務遂行上課題があったり、これは改善が必要だというふうな判断を現場の看護師がした場合の調整はどうなっているのかということです。

◯東原健康対策課長  現場の問題についてですけれども、改善が必要ということであれば、京都府の事務統括と京都府の保健師も加わって、まず状況を確認いたしまして、その現場の看護師にも加わっていただいて、問題点、課題点を見つけて、改善が必要であれば改善に努めるということになっております。
 以上でございます。

◯島田委員  では、このたびの事例等では、そういう意見聴取とかを行って、どんな課題が見えてきましたか。

◯東原健康対策課長  今回の事案につきましては、先ほど御答弁させていただいたとおり、入院から宿泊療養、自宅、その中での今回の宿泊施設の事案につきましても、その中の1つとして検討していくということとしております。
 以上でございます。

◯島田委員  実際にこれまでも指摘しましたように、医療はチームで成り立っていて、やはり派遣会社に最大人員何人とか、いろいろ人の配置まで委ねられておりますけれども、やはりチームでそういう業務遂行、責任ある体制をつくっていく上では限界があるのではないかと私は感じております。看護協会、あるいは府立医科大学病院等も連携をいたしまして、ぜひ責任ある体制をつくるよう、これを求めておきたいと思います。
 2つ目は、医療的ケア児支援法についてです。
 9月施行となっておりますが、準備状況はいかがでしょうか。今回の法律の成立によって、各省庁、自治体が保育所あるいは学童保育、学校現場等で、医療的ケア児の受入れに向けて支援体制を拡充する責務、努力義務から責務になり、さらに地方交付税として予算が配分されて、自治体が予算を持って強制力のある中で医療的ケア児を支援する事業を進めていくことが可能になります。
 子育て日本一を掲げる京都府が、この分野でも先進的役割を務めていただきたいと考えておりますが、国から通知が来ていないようですので、ここは部長にぜひ決意と覚悟について伺いたいと思うんですが、いただけますでしょうか。

◯長谷川健康福祉部長  代表質問、一般質問等々で知事、私のほうでお答えさせていただいたとおり、医療的ケア児については非常に大変重要だと思っておりますので、今後、国とも連携をしながら施策を進めてまいりたいと思います。

◯島田委員  参議院の厚生労働委員会で田村厚生労働大臣が、医療的ケア児のみならず難病、慢性疾患、障害を抱えた子どもたち、家族にも同様であるべきであると。必要な支援を受けられるように努力するとも答弁をされております。なので、医療的ケア児にとどまらない、そうした子どもたちも含めて支援を行えるよう具体化を急いでいただきたいというふうに思っております。
 それらを踏まえまして、医療的ケア児・者移動支援モデル事業について伺いたいと思います。
 丹後圏域自立支援協議会医療的ケア部会が2018年に行った医療的ケアを必要とする御家族の地域生活の支援に関するアンケート調査を行っておりまして、その中で45%の人が子どもたちの体が成長にするにつれて大変体が重たくなって、この負担の大きいと、そして不安も大きくなっているということで、移動の問題を挙げていらっしゃいます。2020年7月にその移動の負担を軽減して当たり前の生活を送っていただくということを願って移動支援モデル事業の検討が行われて、10月からその医療的ケアが必要な子どもが支援学校に通う際、毎日お母さんが学校に届けるということをやっていましたが、これをモデル事業によりましてNPO法人や訪問看護ステーション等が連携をいたしましてモデル事業を行っております。5月まで8回の実績だと伺っておりますが、この事業についての評価をお聞きしたいと思っております。
 それで、自立支援協議会の場では保健所も音頭を取って進めてきた事業で、この事業が今年度終了となると聞いておりますが、この後の事業について、医療的ケア児支援法の制定を受けてどう対応するのか、お聞かせください。

◯鎌部障害者支援課長  丹後圏域でされています医療的ケアの移動支援の関係ですけれども、丹後地域の中で地域課題を解決する施策の一つとして、モデル事業として実施されたと承知をしております。
 京都府内のところで医療的ケアで移動支援等が必要な方等、私どもも聞いておりますけれども、それぞれの地域の中で対応はされていると聞いております。特に他の圏域のところで、本庁に対してこの事業の事業化というところまでは聞いていない状況でありますけれども、今回、医療的ケア児の支援法というような形ができまして、センターをつくっていろんな相談を受けるというような体制も整えていくと思いますので、そういう状況も踏まえまして、今後、事業についての判断等はしていきたいと思っております。
 以上です。

◯島田委員  大きな成果が上がっているというふうに思っておりますし、法の理念、趣旨にも合います。福祉圏域ごとで自立支援協議会の場で鋭意、各所で検討あるいは実践もこのように行われておりますので、ぜひ責任を持って継続できるように、本格実施へとつなげていただきたいというふうに、これは要望をしておきます。
 医療的ケア児・者を受け止めるために欠かせない看護師確保についてですが、昨年6月定例会で質問・要望もしておりました。これも本会議の答弁で、3人の看護師を介した場合の措置、報酬の加算の改善が行われたということでありましたが、3市5事業所にとどまっておりまして、やはり小さいところはなかなかハードルが高過ぎて活用できないやの話も聞いているんですが、この辺りはどのように支援をされていこうとされますか、お聞かせください。

◯鎌部障害者支援課長  本会議のところで答弁させていただきました生活介護の関係のところの看護師加算の事業所ですけれども、京都府内のところで約100近くの事業所がある中で、医療的ケア児等を対象とされているのが約半数のところの事業所になろうかと思います。そのうち今回の報酬改定を受けまして、新しく設定された区分のところに実施をされたところは今おっしゃっていただいた3市5事業所というような状況になっております。
 ただ、それ以外の今現在従来の基準のところにおる事業所はまだ十幾つかございますので、そちらのほうで看護師が確保されれば、新たな基準のところに行く可能性はあると思っております。
 今後、医療的ケア児者のところの利用に応じて、事業所のほうが必要な人員を確保して届出をされるものと思っております。
 以上です。

◯島田委員  せっかくできた制度を活用しながら、しかし、やはり以前京都府が行ってきた看護師加配の補助金のほうが現場の実態に合って大変使いやすかったという要望も聞いておりますので、ぜひ、ここは前向きに検討をお願いしたいと思っております。
 病床削減と後期高齢者医療2倍化法の問題です。
 通常国会で通過をいたしました病床削減を促進して、お医者さんの長時間労働を容認する医療法等の改定案が可決をしましたが、新型コロナ感染症の医療の逼迫が広がる中での、しかも消費税を財源にして補助金で病床削減を促すと、これを法定化したもので大変、極めて遺憾でありますが、昨年度89億円で全国で2,700床、京都府も100床削減しております。今年度は190億円が計上されて、単純計算で10,000床規模の削減がなされると、これだとお医者さんや看護師不足に拍車がかかって、今後の感染症対策なり、あるいはワクチン接種でも今大混乱ですが、こうした影響、医師・看護体制の後退にもつながります。この辺りで京都府の見解はいかがでしょうか。

◯井尻健康福祉部副部長(地域包括担当)  病床の確保についてでございますけれども、京都府におきましては、地域包括ケア構想におきまして、京都府のいわゆる当時策定したときの病床数と、それから、そのときの稼働病床数が全国で一番隙間が少ないという状況で、300床余りまだ増床するという位置づけで計画をつくらさせていただいたものでございまして、現在もその計画に基づきまして2025年に向けての病床確保については、病床の転換はございますけれども削減という意味合いでは、京都府としてはそういう位置づけはしていないところでございます。
 以上でございます。

◯島田委員  いろいろ病院も生き残りの戦略、計画があって、しかし狙いは高度急性期とか、急性期を中心に20万床も減らすという、そして医師・看護師を抑制していくという狙いがあるんですが、今の御答弁だと、必要病床数は地域医療を守るためにしっかり確保していくという立場で頑張っていただくということでよろしいんでしょうか。

◯井尻健康福祉部副部長(地域包括担当)  地域包括ケア構想を策定したときの病床数が29,600床余りでございまして、当時の国の試算が29,950床余りということでございまして、その隙間につきましては、逆に京都府といたしましては、地域の偏在も含めまして、それから必要な機能も満たしていくように進めていくところでございます。
 以上でございます。

◯島田委員  全国自治体病院開設者協議会ですとか、あるいは全国知事会・市長会なども、地域医療崩壊をさせるような計画はやっぱり見直すべきだと、単に効率性、経済性のみを追求した再編ではなく、しっかりと地域医療を守る立場から発言をされておりますので、京都府としても必要な意見を上げていただきたいと思います。
 加えて、高齢者医療費2倍化法案も可決をいたしました。約370万人の窓口負担を1割から2割に引き上げることは深刻な受診抑制をもたらす。さらに、この法律の中では、国民健康保険料(税)の引上げを誘導する仕掛けもありますので、これは重大だと指摘をしておきたいと思っておりますが、実施がまだ先ですので、これも府民の命を守るために中止・撤回を求めるべきと、これは指摘、要望をいたしまして、終わります。