11月定例会閉会、「義務教育における30人学級の推進」意見書が全会一致で可決

京都府議会は今日12月21日、11月定例会の最終本会議が開かれ、急拡大しているCOVID-19(新型コロナ)感染への対策費を中心とした一般会計補正予算案などを可決して閉会しました。本日追加提案された一般会計補正予算案64億3600万円は年末年始の営業時間短縮の要請に応じた京都市内の飲食店への協力金などに充てられます。

共産党議員団から17件、他会派からは4件、合計21件の意見書決議案が提案された中で、「20人程度の少人数学級の早期実現を求める意見書」を提案するとともに「義務教育における30人学級の推進」意見書にも賛成しました。政府が来年度予算で「35人学級」に合意した時点で、広範な府民の運動を背景に府議会で「義務教育における30人学級の推進」が採択されたことは重要です。

共産党を代表して議案討論は浜田良之議員が行い、意見書討論は私が担当しました。詳しくは共産党府会議員団の公式サイトをご覧ください。意見書討論全文はこちらPDFになりますが、改めて下記にて転載・引用します。


 日本共産党の島田けい子です。議員団を代表いたしまして、ただ今議題となっております17意見書案、及び4決議案すべてに賛成する立場から討論をいたします。

 まず、コロナ禍から府民の命、くらしと営業を守るための緊急対策について、「医療・介護施設等への支援の抜本的強化を求める意見書」案、「緊急に消費税減税を求める意見書」案、「中小事業者への緊急支援策を求める意見書」案及び本府の対策を求める「同決議」案、「越年対策の緊急実施を求める意見書」案、「教育費負担軽減と学生支援の拡充を求める意見書」案及び本府に対して「感染拡大に伴う学生への支援を求める決議」案についてです。
 新型コロナウイルスの大流行は、これまでの政権が、際限ない医療・社会保障費の削減で、救急医療をはじめ医療提供体制の縮小を続けてきたことが現場の対応を極めて困難なものにし、アベノミクスや消費税増税が「貧困と格差」を拡大し、弱い立場の人たちがより深刻な影響を受けているのであり、その根本的見直しが必要です。そのうえで、緊急の対策として取り組むべき課題に絞り、意見書・決議案を提案させていただいております。
 京都府内で、新型コロナウイルスの重症患者を受け入れてきた府立医科大学付属病院など14病院すべての病院長が18日、感染拡大の「第3波」を受けて医療のひっ迫を連名の声明で訴え、「このまま重症患者が増加すると、医療崩壊を招きかねない」と警鐘を鳴らしました。また、コロナの長期化は多くの事業者を直撃しており、「このままでは年を越せない」との悲鳴があがっています。廃業・倒産・雇い止め等による生活困窮への対策も、一刻の猶予なく求められています。
 ところが、12月8日に閣議決定された政府の経済対策は、医療や暮らし・事業の緊急事態への対応は皆無に等しく、持続化給付金など事業者への直接支援は終了、雇用調整助成金特例措置は2月末までで縮小の方向まで示されています。また医療体制への直接支援となる「医療機関への減収補填」もいまだに拒み続けています。いま、緊急に求められているのは、ただちに予備費7兆円も活用し、「第3波」の危機から国民のいのちと暮らしを守ることです。
 17日には超党派の「医師国会議員の会」が、すべての医療機関に早急な減収補填などを行うよう、田村厚生労働大臣に緊急要請をいたしました。年末年始に大規模な医療崩壊を起こすことのないようにするために、国の支援の抜本的拡充を求めようではありませんか。
 また、中小事業者への緊急支援策について、12月13日の赤旗新聞日曜版には、宮津商工会議所の今井一雄会頭、伊根町商工会の濱野儀一郎会長が登場され、「日本経済を支えるのは中小企業。それを支えるのは国の基本」として、「一番の対策は消費税率を下げること」「思想信条を超えて取り組まないといけない」と力説されています。こうした現場の願いに応え、党派を超えて国へ意見を上げようでありませんか。
 また、府としても緊急の越年対策として、緊急相談窓口を設置し、生活支援相談にも取り組むなど体制をとることを求めます。
 さらに、若者たちの暮らしも深刻です。「高等教育無償化プロジェクト・FREE京都」がおこなった「コロナ禍の学生実態調査」で、春の調査に比較しても、秋の調査ではさらに「生活が苦しくなっている」学生が増加し、日本民主青年同盟が5月以降府内20カ所で実施した食材提供プロジェクト利用者1,200人の調査でも、食べることに事欠くなど少なくない学生が厳しい学生生活を余儀なくされており、経済的支援が必要です。そもそも学生の困窮の根本問題である高学費の問題を解決するために、国の責任で「学費半減」などの抜本拡充を求めようではありませんか。そして本府にも、「学生のまち・京都」として、特段の努力を求めるものです。

 次に、「20人程度の少人数学級の早期実現を求める意見書」案及び、「少人数学級編成のための教員配置を求める決議」案、3会派提案の「義務教育における30人学級の推進を求める意見書」案についてです。
 今議会には、「子どもと教育・文化を守る京都府民会議」から、「すべての子どもたちの命を守り、安心して学べる学校づくり、教育条件の整備をもとめる」請願署名16,033筆が寄せられました。
 小中高校すべての学年で20人程度の学級編成が可能となるよう、国へ教員定数の改善を求めるとともに、京都府独自の教員の配置、学校教育に係る保護者負担の軽減を求める内容です。
 この32年間、「行き届いた教育をすすめる会」が取り組み、国会に届けられた全国教育署名は4億6559万筆となりました。今年はとりわけ、「コロナの下で苦しんできた子どもたちに少人数学級を」と教育研究者有志が呼び掛けた署名が、短期間に京都で31,000筆、全国で220,000筆が集まるという画期的な運動となりました。
 こうした中、全国知事会、校長会、教育委員会等の全国団体が動き始め、長年にわたり少人数学級を拒み続けてきた自民党が、30人学級の実現のための標準法改正を決議するまでになり、政府が40年ぶりに義務教育標準法の改正を行うこととなりました。
 政府方針の「5年かけて小学校のみ35人学級」をさらに進めるために、本日、京都府議会として「義務教育における30人学級の推進をもとめる意見書」を上げる意義はたいへん大きなものがあります。さらに、中学校・高校でも少人数学級が求められています。
 来年度は加配分の予算を回して措置することもあり、文科省の予算はむしろ減少しています。共産党提案の意見書案は教育署名に寄せられた府民の願いに応え、20人程度学級の実現を目指すものです。当面、小中学校全体で30人学級を早期に実現し、さらなる拡充へ、OECD加盟国でも最低水準の教育予算を引上げることを求めます。
 また、本府に置きましても、「京都式少人数教育」として選択性の教員配置を行っておりますが、中学校現場では、少人数を選択したくても教員が不足してできない現状があります。全国的に見ても最悪ともいうべき、過労死水準を上回る長時間労働の実態を是正し、教員の処遇改善と正規化、加配措置の拡充を求めるものです。

 次に、「京都こども文化会館の存続・再開を求める決議」案についてです。
 京都こども文化会館が11月13日で閉館されました。
「20年間、毎年ホールで歌ってきたのに、コロナで春のコンサートが延期になり、そのまま舞台を奪われた」
との合唱団の声、
「ありがとうイベントでも多くの方が名残を惜しんでいた。商店街から子どもの姿がなくなる」
などの声が相次ぎました。
 京都こども文化会館の存続と再開を求める署名は、閉館発表後も短期間で3,500筆を超える署名が知事と京都市長宛てに提出され、その後も再開を求める運動が続けられています。
 そもそも閉館の最大の理由となっているのは、施設の老朽化と耐震性能の低さですが、老朽化を放置してきた京都府と京都市の責任こそ問われているのです。京都市は建物の除却を京都府に求めていますが、跡地の活用方法も決まらない中で除却を急ぐのは極めて異例のことです。京都スタジアムや北山エリアの開発には、一部の企業の利益のために府民の税金を数百億円規模で投資する一方、子どもの文化施設は10億円の改修費用さえも出さずに潰すことは許せません。

 次に「後期高齢者医療費窓口負担の引き上げに反対する意見書」案についてです。
 政府は14日、75歳以上の高齢者の医療費窓口の患者本人負担を1割から2割に引き上げることを全世代型社会保障検討会議最終報告に盛り込みました。細る年金でくらしを切り詰めている高齢者が受診を我慢し、早期発見・早期治療が遅れれば、病状回復は困難になり、命にかかわります。
 菅首相は、窓口負担増で「若い世代の負担上昇を抑える」としていますが、老人保健法の1983年当時45%あった国庫負担を35%に減らし、高齢者の医療費を若い世代へ肩代わりさせる後期高齢者医療制度をつくったのは、自民党・公明党政権です。若い世代の負担軽減というなら、少なくとも国庫負担を45%に戻すべきです。高齢者のいのちを脅かす2割負担導入方針は撤回し、高齢者を含めたすべての世代の社会保障を充実させることが必要です。

 次に、「原子力発電所の再稼働の中止を求める意見書」案について。
 関西電力大飯原発3・4号機について、大阪地裁は、原子力規制委員会の判断に誤りがあったとして、設置許可を取り消す判決を出しました。各地の原発再稼働にお墨付きを与えてきた規制委員会の審査に、根本から疑義を突き付けるものです。規制委員会は、他の原発の耐震性の審査でも同様のやり方で「合格」させているのであり、今回の判決を真剣に受け止め、審査をやり直すべきです。現在定期検査で停止中の大飯3・4号機は動かしてはなりません。さらに、その他の老朽原発を含む原発も当然再稼働を中止すべきです。

 次に、「北陸新幹線『延伸』計画の中止を求める意見書」案についてです。
 北陸新幹線金沢−敦賀間で、敦賀駅やトンネル工事が難航し、建設費増大と沿線自治体の新たな負担増も明らかになっています。そして、著しい環境破壊、生活と営業の基盤を壊す無謀な計画を、住民に説明なく強引に進めるなどもってのほかです。

 次に、「種苗法改定の撤回と種子法の復活を求める意見書」案についてです。
 「種苗法改定」は、「品種の海外流出の防止」を口実に、「登録品種」について農家の「自家増殖」を一律禁止するもので、農家は毎年の購入や許諾料負担を強いられ、安心・安全な食料の供給、多様な食文化が脅かされます。
 2019年から始まった国連「家族農業の10年」の流れに逆行し、安倍前政権の下で「種子法」の廃止、「農業競争力強化支援法」が強行されてきましたが、今回さらなる改悪を進めるものです。日本の農業と安全な食料を守るために、種苗法改定の撤回と種子法の復活を求めます。

 次に「日本学術会議の6名の任命拒否の撤回を求める意見書」案についてです。
 菅首相による日本学術会議会員の任命拒否など人事介入問題に対して、学協会や大学人の抗議声明は1,000を超え、映画人有志の会、日本消費者連盟、日本自然保護協会、「生長の家」等宗教団体など、幅広い個人・団体が抗議の声を上げています。京都大学前総長の山際寿一・前学術会議会長は、
「国の最高権力者が、意に沿わないものは理由なく切ると言い出したら、国中にそういう空気が広がる」
と述べ、多くの個人・団体の皆さんが「今度は自分たちだ」と警鐘を鳴らしているのです。
 戦前、京都帝大法学部・瀧川幸辰教授がその著書と研究を弾圧され大学を追われることとなった「滝川事件」、その手が東京帝大法学部にも伸びた「天皇機関説事件」など、学問の自由が剥奪され、科学者たちが軍事研究に総動員され、さらにすべての国民への圧殺へとつながり、侵略戦争への破壊の道へと突き進んだ歴史を繰り返してはなりません。
 そもそも、学術会議法や憲法にも違反する学術会議任命拒否は、撤回以外にありません。平和と学問の自由・思想信条の自由を保障し、自由が享受できる日本社会をつくるため議員諸氏の賛同を求めます。

 次に、「桜を見る会など政治と金をめぐる疑惑解明を求める意見書」案についてです。
 安倍晋三後援会主催の「桜を見る会前夜祭」について、会場となったホテルへの支払い額が参加者から集めた会費を上回り、その穴埋めの事実が明らかになりました。また、「前夜祭」が最初に開かれた2013年から、安倍氏が補填を隠蔽するための工作をし、2014年、政治資金規正法違反で安倍政権の当時の目玉閣僚だった小渕優子経済産業大臣などが辞任に追い込まれた事件以降、記載自体をやめたことも明らかになりました。いよいよ、公職選挙法違反、政治資金規正法違反の疑いが濃厚となっています。有権者に対する買収は、票をカネで買う許されないもので、河井克行元法相夫妻の大規模買収事件とも共通です。
 さらに、自民党の2人の農林水産大臣経験者の現金受領疑惑が相次いで発覚しました。吉川議員と西川元議員を国会に招致すべきです。「桜を見る会」前夜祭をめぐる国会答弁で安倍前首相のウソが発覚したのに、解明に背を向ける菅首相の責任も重大です。政府与党は安倍氏の国会での証人喚問に応じるべきです。河井夫妻の事件、「森友」「加計」「桜」をはじめとした連続する一連の疑惑について、徹底解明を求めるものです。

 最後に、「核兵器禁止条約の署名・批准を求める意見書」案についてです。
 広島・長崎で核兵器が使われてから今年で75年。史上初めて核兵器を違法化する国際条約が2021年1月22日に始動します。米露英仏中の核保有5大国や核兵器に固執する勢力による妨害の中、被爆者国際署名は世界中で1,000万人を超えるなど、日本の被爆者をはじめ「核兵器のない世界」を求める多くの政府と市民社会が、大国の妨害と逆流をのりこえて達成した画期的な成果です。
 世論調査では7割の国民が、日本も核兵器禁止条約に参加すべきだと答えています。核兵器廃絶を訴えてきた被爆者の高齢化は進み、平均年齢は83歳をこえました。被爆75年の節目に、
「命あるうちに核兵器廃絶を」
と命がけで訴え続けた被爆者の悲痛な思いに応えて、唯一の戦争被爆国である日本政府こそ、速やかに条約の署名・批准をすべきです。その声を本府議会から挙げるよう賛同を求め、討論を終わります。