◯島田敬子委員 北陸新幹線延伸計画についてです。
南丹市美山町田歌区の住民のみなさんが環境アセスメントの受け入れを当面見合わせることを決議いたしまして、11月30日には鉄道建設・運輸施設整備支援機構に通知し、それとともに京都府に対しても現行ルート選定の合理的理由や建設残土処理間題について回答を文書で求められているが、どのように対処されていますか。
◯瀬野加津人 建設交通部・交通政策課 課長 現在、関係課と調整しながら事実の確認等を進めて適切に処理をする予定でございます。
◯島田委員 適切に処理とは具体的にどういうことですか。文書で回答を求められておりますが、そうされますか。
◯瀬野課長 これまでから府民の方の意見でありますとか、提案につきましては直接申請といいますか、提案された方に適切な形で回答しております。今回の案件は、文書での回答を求めておりますが、京都府として回答できる分について現在検討中でございます。
◯島田委員 明確に住民の意思が示されているのに、これを無視して、本格調査に至った機構に対して、何か意見を上げられたのでしょうか。
◯瀬野課長 北陸新幹線、敦賀―大阪間でございますが、この事案につきましては、かねてから本会議でも答弁がございますように、国家プロジェクトといたしまして、国の方から事業者として指定されております鉄道·運輸施設整備支援機構が環境アセス法に基づいで実施されているものでございます。
京都府といたしましては、現時点におきまして方法書に対して、法に基づく意見書が出る進め方についてお話をしているところでございます。具体的には地域におきまして、慎度な調査と、丁寧な地元説明を求めております。
◯島田委員 今年の4月17日に、京都府の西脇知事から機構に対して、環境影響評価方法書について、環境の保全の見地からの意見書がすでにあげられています。
「本事業が、都市トンネル、立坑、斜坑、高架橋、橋梁、駅、車両基地及び換気施設といった施設の存在及び共用とともに、広範囲、長期間に及ぶ、エ事の実施により環境影響が著しいものとなることが想定される。また、本事業では、対象事業実施区域の大部分を占めるトンネル区間における掘削などに伴い、大量の建設発生土、建設汚泥等が発生し、その保管・運搬・処理・処分等における環境影響も著しいものとなることが想定される」
として、環境影響評価、事業の具体化や手続き、個別事項として、水質・地下水・水資源への影響、掘削発生土の保管・運搬・処理・処分の問題について意見が出されています。多くは準備書への明示を求めることとなっておりますが、現在までに、機構からはどのような返答があるのでしょうか。また、文書での提示があるのでしょうか。
◯瀬野課長 環境影響評価法に基づいて、委員が紹介いただきました、知事としての意見を申し上げているところでございます。
◯島田委員 申し上げていても、上げっぱなしで回答はないということですね。
◯瀬野課長 先ほど委員がご説明されましたとおり、準備書において明記されるものと承知しております。
◯島田委員 住民の不安もまさに、知事意見書で挙がっている意見と同趣旨の意見であります。教賀―新大阪間140kmのうち8割が大深度を含む地下トンネルであり、4〜7kmおきに掘る斜抗、市内郎では立坑の掘削土砂の量や処理方法が住民にとってとりわけ大きな不安となっています。
京丹波町下山から左京の花脊、小布施で60年にわたり丹波広域基幹林道が整備されておりますが、その法面が各地で崩落を起こし、最近の豪雨で谷に積まれた土などの基底部分から崩壊し、何度も復旧作業を行っている事態で、崩れた土砂が木々の根っこを飲み込んで、杉の木がどんどん枯れていく無残な事態があると、60年から林業に携わっている方からお話を伺いました。北陸新幹線で掘削された大量の建設発生土が域内処理となって、美山や京北の谷に埋められたら、山はどうなるのか、地域はどうなるのかと怒りの声と不安の声を上げておられます。
機構は京北の住民説明会で「詳細なルートが決まらないと明確に示せない」との答井を繰りかえしておりますが、知事意見でも住民への説明でも環境影響評価の項目だけでなく、検討経緯、および詳細が決定していない事項についても具体化にあたっての考え方を広く情報提供し、判りやすく説明することとなっておりますが、事態はそのようになっていないのが現実であります。
近年の台風、大雨で土砂が流出するようなことが起これば、下流に甚大な被害をもたらすことの懸念、地下水への影響、有害物質を含む残土の処理など、環境保全上懸念される問題についても、京都府として予測をする必要があると思いますが、いかがでしょうか。
◯富山英範 建設交通部 部長 委員のご指摘いただきました内容につきまして、先ほどからご紹介がありますように、法手続の中で知事から意見書を提出しているところでございます。その回答につきましては、最終的には準備書というもので出てくると思われますけれども、準備書の段階で施設の位置、構造、工法についてですね、より具体的な情報が出てくると予定されることから、そこにおいて十分な配慮が行われていることが、我々として重要だと思っております。
従いまして、そういう情報の無い状況で、京都府として何らかの予想を評価するということは、現実的にはできないものと考えております。
◯島田委員 2月定例会の答弁で、専門家等の助言を得ながら定量的な予訓を行うとともに、地下水等の影響回避など極力低減するよう予想結果も踏まえて、環境保全等の措置を検討するように行うということを言っておられるんですよね。京都府として専門家の助言等は、受けておられるのかと。それから、地下水に関しても、これまでの文献と合わせていろいろと調査があるけれども、地下水については機構の方で専門家委員会を設置をして検討されるという答介もいただいていますが、現状はどういうことになっているんでしょうか。
◯瀬野課長 鳥田委員がご紹介いただきましたのは、京都府といたしましては先ほどから繰り返しになります法に基づきまして、方法書における意見という中で、「豊富で良質な地下水が生活や産業、上下水道等に幅広く利用され、京都の文化を支えていることを指摘した上で、専門家等の助言を受け十分な調査等を実施し、影響を回避、または極力低減することをするよう検討を求めるとともに、環境保全措置や共用後のモニタリングを含めた長期的な視点で調査等を計画し、実施する」よう求めておられます。
◯島田委員 ということは京都府独自で検討していないということですね。機構に要望するだけで。
◯瀬野課長 環境影響評価法に基づいて事業者が実施されるものと承知しております。
◯島田委員 各地の事例で環境影響評価を行っていても、様々な問題が起きているので、美山の方が不安になっている。それから準備書が出された段階ではもう遅いという、これを覆せられるならいいですよ。だけど、だいたい、環境影響評価が通ってですね、工事された結果、例えばリニア工事では長野県の南木曽町で、工事短縮によって発生残土を運ぶダンプが大幅に増えて地域住民の不安が広がっているのに、発生土置き場は工事が始まっても決まっていない。それから敦賀周辺の工事の遅れ、加賀トンネルでのヒビ割れの起きた件、いま現に起こっている問題ですが、事故が起こっても住民に説明せず、有識者でつくられる検証委員会も非公開ということで、説明をされてないわけです。
なので、ことほど然様に、工事が前提で、計画ありきということで進む事自体が大問題です。繰り返しませんが、これは例えば静岡県で大井川の止水問題で、住民の6人に1人の水道水に影響があるということで、知事あるいは部長等も議会等弁など見ておりますと、やはり住民の立場でですね、いろんな影響についてはちゃんと自分の言葉で指摘をされていて、国に対しても専門的な言葉で検討せよと。そしてまた静岡県自身も専門家を入れて、JR東海も入れて検討会が持たれています。だから、それくらいしないと自治体の役割を果たしたということにならないと思うわけです。
京都市内の問題では、地下40m以下の大深度を通過する工事について、この間、東京外郭環状道路の大深度地下トンネル設置の掘削工事で、大規模な地盤の崩落が起こりました。これまでも、愛知県春日井市では、リニア建設予定地の大深度地下の工事で炭坑跡が陥没する等、事故が発生しておりますので、京都市民も他人事でないということで不安が出されているわけです。
すでに知事意見と合わせまして、府内自治体からも例えば水道水を地下水に委ねている城陽市・京田辺市・久御山町の農業・工業用水等、取水を行って営業されている方々も水質及び地下水位の低下等への影響が懸念されるとの声をあげておられます。
呑龍(雨水幹線いろは呑龍トンネル)工事では、記憶に新しいところでありますが、大変な水圧で地下水がトンネル内に流出して171号の陥没事故(2017年11月に京都府向日市の国道171号線が陥没した事故)があって大変なことになりましたが、これ十分予測されることなんですよね。予測した上で、様々な件について意見をあげている、様々なデータなり、これまで検討され研究された結果については(京都市全体のエリアの中の水の流れを再現できるだけの)データを持っていて然るべきだと。それで予測をすべきだと思うんですが、その点はどうですか。
◯瀬野課長 答弁の繰り返しになりますが、環境影響評価法に基づきまして、京都府の知事が申し上げている中身は、準備書で明記するよう求めています。
◯島田委員 納得ができる答弁ではありませんが、準備書は、ではいつ頃の計画なのか、お聞かせください。
◯瀬野課長 事業実施主体であります、鉄道運輸機構から具体的なスケジュールまでは示されておりませんが、現在、環境影響評価の調査が始まったという状態でございます。
◯島田委員 いろんな設階があるので、住民の声もしっかり耳を傾けながら言うべきことは言っていただきたいと思います。
京都丹波高原国定公園辺地域に伝統的建築物もあります。観光の資源にもなっております。ここに、1日何十台何百台と、10年15年という工事期間にトラックが走り回って、いったいどうなるのかと。美山町、京北町も若い世代が子どもを連れて移在をされ、例えば京北町学区の6割は移住者の子どもたちですが、こんなことになりますと、若い人たちはみんな離れていってしまって過疎・高齢化が一気に進むということも出されているところであります。
住宅地の陥没事故も、どこも責任を取らなくて住民が泣き寝入りということになっています。自然も壊して地域に住む人の生活や営業に深刻な影響を与える。そして膨大な建設費の負担を京都府民に押しつけることに対して、まともな説明も対応もなく推進の立場で示されているというのは無責任だと思っています。コロナ禍でテレワークとか、会議もいちいち東京に集まらなくてもいいとか、状況は一変しました。東海道新幹線もガラガラです。一度立ち止まって見直すべき時ではないかと思います。現状の認識はいかがですか。
◯瀬野課長 北陸新幹線につきましては、日本海国土軸の一部を形成いたしますとともに、大規模な災害が発生したあかつきには、東海道新幹線の代替機能を果たす役割を行うという、また関西全体の発展につながる国家プロジェクトであると認識しております。
◯島田委員 一辺倒の説明では住民は納得はいたしません。北陸新幹線の現行ルートは少なくとも最悪のルートだと。米原ルートで決着したものが突然、政府与党プロジェクトチームで先行を決定されまして、これが京都府民に押しつけられたもので、説明会では機構が「東京で決められたものだ」と説明しておられます。
京都・小浜ルートに2兆円を超えてどんどん膨らむ。当初の費用便益費は1.1、米原ルートは工事費3分の1で便益費は2.2と。経済的な問題、財政問題についても真摯な検証があったのか、なぜ突然変わったのかわかりません。費用の件も環境や地域破壊の件も最も最悪なルートでありまして、新幹線には賛成という人も含めて
「このルートはあかんやろ」
というのが住民の普通の感覚であります。教賀―京都間をサンダーパードが走っておりますので、もう20分も変わらないですよ。そういうルートは、やはりいったん立ち止まって見直すべきですし、リニアの積極的推進も中止すべきだと、指摘をいたしまして終わります。