令和2年9月定例会 決算特別委員会 書面審査 危機管理部―2020年10月14日〜島田敬子府議の質疑応答部分

○島田委員  私からは、原子力防災に関連して伺います。よろしくお願いいたします。
 常任委員会でも指摘をいたしました、関西電力や政府が老朽原発、高浜1・2号機、美浜3号機を再稼働させようとしている問題ですが、稼働すれば福島原発事故後に原則40年、最長で延長20年のルールができてからの初の事例となります。しかも、政府は40年越えの原発は例外中の例外としていたにもかかわらず、その約束も反故にしようとしております。福島原発事故がなかったかのようなこれらの国の動きについて、本府の認識を伺います。
 また、再稼働について、本府としてどのような意見を上げていらっしゃいますか。併せて、35年経過の高浜原発4号機は、2016年2月に1次系配管から水漏れ事故が起こり、続いて1週間後、原子炉が緊急停止をした原発です。2019年10月、3台全ての蒸気発生器の伝熱管5本の損傷、減肉があり、原因が特定できないのに、破損した伝熱管に蓋をして稼働させました。定期点検中の35年経過の高浜3号機も、1月に蒸気発生器伝熱管の減肉損傷が見つかって、規制委員会が入り、調査中ですが、いまだ原因が特定できておりません。同じく7月20日から定期点検中の大飯3号機、1次系配管で深さ4.6mm、長さ6.7cmの傷が見つかりました。管の厚さ14mmに対して設計上必要な8.2mmの厚さを満たしているので、交換せずに引き続き使用すると説明しているようであります。こうした問題で、理事者は「原子力規制委員会という専門的機関で判断されることだ」と答弁されておりますし、知事も「蒸気発生管の損傷などあってはならない事項だし、徹底した原因究明と再発防止を要請されている」、この答弁にとどまっておりますが、この際、今日は副知事もいらっしゃっておりますので、先ほどの2点、老朽原発稼働延長問題、それから高浜原発のトラブル、大飯原発のトラブルで減肉が明らかであるのに交換せずに動かそうという関電の方針について、京都府としてはどのような見解か伺いたいと思います。
 また、知事はどのように行動して発言をされているのか、さらに関西広域連合の動きも最近見えませんが、どのようなことか教えてください。(「答弁できん」と言う者あり。)

○松村危機管理部理事(原子力防災課長事務取扱)  原子力発電所の御質問でございますが、まず京都府といたしましては、従来どおり府民の安心・安全を第一に考えて原子炉の安全性を確認していくというスタンスは継続ということでございます。そして、お答えとしまして、まず、すみません、1つ御報告ですけれども、高浜の3号機の伝熱管につきましては、本日午前中に規制委員会の議題でかかりまして、最終確認が要りますが、規制委員会の判断では、条件を付して稼働という判断がされたものと今は理解しております。確認が必要ですが、そういう状態でございます。ただ、この高浜3号機の蒸気発生器の伝熱管、そして大飯につきましては、現在規制委員会で審議中でございますが、こういったものにつきまして、安全性につきましては専門機関である規制委員会の判断と認識しております。ただし、京都府としましても、経過、そして結果についてはしっかりと報告をいただいて、納得ができるものか、理解ができるものかというのは関西電力からお聞きしたいとは思っております。
 以上でございます。

○島田委員  担当ではその答弁にとどまるかと思いまして、改めて副知事にお願いしているのですけれども。答弁いただけませんでしょうか。(「答弁したよ、今」と言う者あり。)

○古川副知事  原子力の問題でございますけれども、今もありました安心・安全が第一というのはそのとおりでございます。それと、今までから知事が申しました部分の意見を踏まえながら、私どもはこれまでから対応しているという形でございます。これまでから申し上げていますように、まずは安全を確認するということが第一になっておりますので、そういう部分を、いろんな形で専門的な見地からの安全性についても提起をしていきたいと思っております。

○島田委員  大飯原発の地域協議会が平成31年1月21日に開催されておりまして、議事録がありますので見ましたけれども、当時の山内副知事が素朴に心配だと。それから府内自治体の長からも、60年ということについて疑義が言われましたが、残念ながら、資源エネルギー庁が、政府のエネルギーミックス、「2030年に総発電量の20%から22%を原子力でやる」という方針に変わりはないと言われて、そのままになっているわけです。言われっ放しなんです。元々、原発作られて寿命が30年とか40年とか言われたものをこれ以上動かす。しかも、どんどんトラブルが起こって、こんなに危険なことはないわけであります。
 老朽原発を稼働するなというのが府民の声でありますが、脆性遷移温度、以前、共産党府議団も質問いたしましたけれども、金属の粘りが温度が低いとなくなると。高浜原発1号機が、日本でワーストワンの原発で、なんと99度で壊れる危険が高くなると。原発が緊急に停止したりして、水などを投入して、冷やすときに99度で割れてしまう危険が高くなるという、そんな原発が高浜原発1号機でありますし、既に2号機、美浜2号、1号、大飯2号、廃炉になりましたが、第6位は高浜4号機、第7位が美浜3号ということで、全国で6基廃炉になりましたが、これを除きますと、ワースト10に残りますのがいずれも関西電力の若狭の原発4基ということで、これが関西、京都府の間近にあるということなんです。
 しかも4号機は、プルサーマル運転もしている。こんな危険な事態を許していいのかどうかというのが問われていると思うんですよ。
 こういう現状を今も3号機を動かすということですが、それで安全・安心で頑張っておられるという状況かと思うんですが、いかがでしょうか。

○古川副知事  先ほどありました運転期間40年を越えるという部分で、この安全性の問題につきましては理解が得られるまで丁寧に説明してくださいという形をこれまでから申し上げてきたとおりでございます。その中で、私どもがこの前から申していると思いますけれども、原子力防災専門委員に金属・コンクリートの専門家に参画いただいて、そういう部分で専門的な見地からも安全性を追求していきたいと申し上げているとおりでございます。

○島田委員  議論が進みませんので、老朽原発、直ちに廃炉を求めたいと思うんですが、高浜原発に係る地域協議会について、先ほど申し上げましたようにトラブルが続いておりますけれども、平成29年5月開催以降、1度も開いておられません。原発稼働に係る同意権が京都府にない、その中で地域協議会が置かれました。実質的には、先ほど言いましたように政府の方針をのまなきゃいけないような会議ですので、再稼働にお墨つきを与えるような場になっているという問題もあるとは承知しておりますが、しかし、事故が起これば、これまで協議をしてきたはずです。
 高浜2号機のクレーン倒壊事故後、3回の協議会が行われております。その後が行われていないんですよね。協議会は原発の安全確保対策等についてしっかりと説明を受ける、また地元自治体からも声を上げていただく場でもあると思うんですが、これは京都府が判断して随時不定期に開催することになっておりますが、なぜ開かないのか。また、京都府と7自治体の協議ということですが、府内7自治体、UPZ[Urgent Protective Action Zone:緊急防護措置を準備する区域]圏内の7自治体は協議会開催要望などはされていないんでしょうか。

○古川副知事  この間、地域協議会が長らく開催されていませんでしたけれども、私どもの認識といたしましては、40年の原発の稼働の問題云々というよりも、この間、関西電力におきます金品問題、これがございました。まずは企業の体質としてどういうものかという、この根源的な問題がきちっと整理されない限り、その先の議論には進めないという形で、その金品問題の整理を、今、解決を待っている状況でございます。

○島田委員  金品授受問題は重要です。重大事故につながりかねない事態でありますが、この問題は徹底的に究明すべきだという立場でありますが、この間、関電は第三者委員会を設けて調査報告書を求めましたが、全容解明が尽くされておりません。元助役が高浜原発3・4号機の増設で根回しに動いていたこと、2011年東京電力福島原発事故以降に金品の額が急増したとも報告書には記載されておりますし、東日本大震災以降、停止していた原発を再稼働させる動きとの関連もうかがわせる報告書がまとめられております。国が再稼働を進める中で増加した安全対策工事の発注などをめぐり、特定の業者に便宜が図られた疑惑、その背景に徹底的にメスを入れなければなりません。今ちょうどその金品問題、企業体質と再稼働の議論の前提が壊れているからとおっしゃったんですが、この点は、じゃあ何か発言されているのでしょうか。

○古川副知事  そもそも私ども、まだ関西電力からこの金品問題につきまして、これからどうしていくかという、ここの御説明をまだ受けているわけじゃございません。ただ、原発の再稼働の問題よりも、まずはそこの企業体質の問題をどうしていくか、それがあってからの議論だと認識しております。

○島田委員  金品授受問題は、原発が汚れた原発マネーによって推進されたということでありまして、自治体にまで還流している、福井県では100人に及ぶ職員にバラ撒かれているということでありますけれども、これは関電任せでない真相解明を、国・自治体が挙げてやる必要があります。だからといって、先ほど申し上げました安全確保対策に関わる協議、説明をしっかり受けるということは協議をしなきゃいけないと思うわけです。その立地自治体並みの同意権ですけれども、高浜・大飯両原発のUPZ圏内の自治体においては、万一、過酷事故が起こった場合には、立地自治体と同様の被害が及ぶおそれがあることから、この周辺自治体の同意権について法的な位置づけが必要であるという考えで、京都府も7自治体も関係省庁に要望してきたと思うんですが、現段階での協議状況、議論の到達はどの程度になっておりますか。

○松村危機管理部理事(原子力防災課長事務取扱)  同意権の件でございますが、国に毎年度、法的枠組みの整備をしてくださいということでお願いをしております。現在、進捗状況はございませんが、機会あるごとに要望しているのが現状でございます。

○島田委員  いずれにいたしましても、中性子を浴びてどんどん脆くなっているという事実は変わりないと指摘されているというふうに思います。立地自治体並みの同意権について、さらに強力に求めていただきたいと思います。
 次に、安定ヨウ素剤の事前配布についてです。府内自治体では住民避難計画を取りまとめて、備蓄や避難計画における避難の基準・配布方法等を定められていると思います。現在国は、30km圏内については事前配布を認めておられます。これについては府内自治体はどうなっておりますでしょうか、教えてください。

○松村危機管理部理事(原子力防災課長事務取扱)  安定ヨウ素剤につきましては医療課の所管でございますが、安定ヨウ素剤の事前配布につきましては、服用して24時間の効果ということがございますので、飲むタイミング、原子力災害時にいつ飲むかというのは難しい判断でございます。飲むタイミングと、それと24時間たった後もう1度服用するのは副作用があって危険ということから、飲まずに避難をする方針になっております。そして、安定ヨウ素剤のそもそもの目的は、放射線の雲、プルームから内部被曝を避けるというのが主な目的にしておりますので、そういった点で、誤飲も含めまして総合的な判断で、PAZ[Precautionary Action Zone:予防的防護措置を準備する区域]、そしてPAZに準じた地区以外につきましては現在は緊急配布をするということで変わりございません。
 以上でございます。

○島田委員  PAZ圏内は配布をされているということでありますが、島根県、鳥取県では、既に島根原発から30km圏内の県民を対象に、避難時にヨウ素剤を受け取ることについて不安がある人を対象に事前配布を行っているんです。様々あると思いますし、今日はそこの議論のところはできませんが、屋内退避を一旦して、そして、指示があれば20μSv(マイクロシーベルト)を超えれば避難せよと。備蓄場所から、医者やら、自治体職員がこれに関わって配布をしてということですけれども、もともとアレルギーの危険がある人なんかはとても不安だし、そういう点も含めてこれまでも指摘をしたわけですけれども、最後の防護っていいますか、子どもたちにとっても被曝をして傷害を受けることのないような大事な施策だと思いますので、もう少し詳細に検討をいただきたいと思います。
 それと、避難に関連をいたしまして、UPZ圏内85,000人についてのバス避難の計画があったかと思います。75%の人が舞鶴等で避難するとなると、64,000人、1,417台のバスの確保、100%だと2,298台のバスの確保が必要だと。運転手の確保も要ると。課題があったと思いますが、今これはバス会社の協定とか確保の状況等はどんなことになっておりますでしょうか。

○松村危機管理部理事(原子力防災課長事務取扱)  京都府のバス協会と京都府とは協定を締結しております。また、関西広域連合におきましても、バス会社、関西広域連合域のバス会社との協定を締結しております。そして、国にも、それでも足りない場合については協力要請ということで全国知事会の提言に対しての回答をいただいておりますので、状況としましては、まず府内のバス会社で京都府が調達をし、そして足りない場合は関西広域連合、そして国という流れになります。あと、タクシー協会とも福祉車両の関係の協定を結んでおりますので、そういったものと災害の状況に応じて対応をしていきたいと考えております。
 以上でございます。

○島田委員  協定を結ばれているということですが、先ほど申し上げました京都府の計画にある数字に対応しての確保状況というか、台数ですね、具体例で言うと。これはどうなっているんですか。

○松村危機管理部理事(原子力防災課長事務取扱)  京都府内の観光バスにつきましては、約700台ございます。それの半分が調達できたとして、複数の往復をすると。それで足りない場合については関西広域連合、そして国という形になりますので、先ほど申し上げました災害の状況に応じて、避難準備の状況に応じて対応するということになります。
 以上でございます。

○島田委員  複合災害等も想定をいたしますと、とても避難ができる内容ではないということも、この避難計画1つを見ても分かると思うわけであります。防災について、万が一の最悪の事態を想定して行うものであろうと思います。多分巨大地震は起きないだろうですとか、原発事故は起きないだろうとかという思いでの取組では府民の命は守れないと思います。
 ぜひ府民の命を預かる京都府として、責任ある仕事、責任を果たしていただきたいと思います。
 老朽原発、トラブルが続く原発の廃炉、ぜひ住民と一緒に声を上げていただけたらなと思います。強く要望して終わります。
 以上です。