令和2年9月定例会 決算特別委員会 書面審査 教育委員会―2020年10月9日〜島田敬子府議の討論部分

○島田委員  よろしくお願いいたします。
 私からも、教職員の働き方改革について、コロナ禍の今後の対策も展望して伺いたいと思います。
 コロナ禍の一斉学校休業が、子どもたちや家族にも大きなストレス、負担を与えたと思います。先日の常任委員会の質疑で、不登校の子ども、10日以上の不登校は若干減少しているものの、小学校で368名、中学校で843名、全欠席は小学校で13人増えて42人、中学校では36人増加して100人との答弁がありました。今後も増加するのではないかと心配の声が上がっておりますが、現状どうでしょうか。
 また、青森大学の客員教授が、「臨時休校中に保護者がタブレットなどを買い与えた結果、8割の小学生がメディア・ネットへの接触時間が増え、その結果、生活の乱れやネット依存傾向の子どもが増え、視力低下などの目の異常の兆候が見えてきている」と。さらに、障害児童の放課後デイサービス事業所などの連絡会が、障害のある子どもたちの生活に関するアンケート調査も行われまして、ここでもやはり、「テレビや動画、ゲームの時間が多かった」「生活リズムが乱れた」、こうした声も紹介をされております。現状をどのように認識されておりますか、伺います。

○栗山学校教育課長  まず、不登校についてでございますけれども、委員が御指摘されましたとおり、全体の数としては減少する一方、長期の不登校については増加しているという傾向が見られるところでございます。まさにこうしたことを私どもも懸念しておりまして、既に補正予算で配置いただきましたスクールカウンセラーを、当初は8月だったものを、年度末配置を可能としたところでございますし、また生活習慣についても、確かに休業期間中にそういった生活習慣が乱れたという報告も受けているところでございます。これについても、まなび・生活アドバイザーを補正予算により配置をさせていただいておりまして、これについても同様に年度末までの配置とさせていただきまして、こうしたことも活用しながら、学校とともにしっかりと学習習慣そして生活習慣が正常なものとなっていくように私ども努めてまいりたいと考えているところでございます。
 以上でございます。

○島田委員  つらい思いをしてきた子どもたちに直接声を聞くとか保護者の声を聞くとか、障害児の問題については私も本会議で質問させていただきましたが、現場で子どもたちの体調の不調とか心身の状況等の調査などはされましたでしょうか。
 ちなみに、京都市が、「子どもたちに心と体のアンケート」というのを行っていらっしゃったりするんですが、こうした取組を併せて、京都府教育委員会としてはどのような取組をされておりますか。

○栗山学校教育課長  私ども、子どもの状況について網羅的に直接保護者や子どもに調査をしたわけではございませんけれども、府内の教員においては、臨時休業期間中から非常に熱心に家庭訪問等を行うことで、保護者や子どもの状況について非常に密に把握をしてきたところでありまして、これについては、臨時休業終了後についても熱心に状況を把握しております。私どもは、こうした教員から市町教育委員会を通じて、状況について報告を受けたところでございまして、引き続き市町と密接に連携をしながら、状況をしっかりと把握し、必要な対応をしていきたいと考えているところでございます。
 以上でございます。

○島田委員  しっかり調べるべきだと思います。内閣府の子どもの貧困対策に関する有識者会議が開かれておりまして、日本大学の末冨教授が提言をされておりますが、
「教育の中では、緊急事態宣言下の一斉休校期間中の、とりわけ貧困世帯の子どもたちとか若者の生活・学習状況、格差の検証、長期休校の疫学的効果の検証等をしっかりやって、説明責任を果たすべきだ」
と、このように求められております。ぜひ本府としても工夫を凝らして調査を求めたいと思うんです。
 いじめ・不登校対策としてのスクールカウンセラー、先ほど補正でスクールサポーターとか加配がありましたが、これもなかなか現場で人が見つからないということで、100%ではない状況もありますが、そもそも当初予算等の配置で、スクールカウンセラーは配置校は27校ということで、対象小学校は207校中27学校、それで原則週4時間から8時間で、配置以外の未配置校180校は年に4回、1回4時間しか入らない状況。さらに、京都式「学力向上教育サポーター」事業、まなび・生活アドバイザーの配置についても、207校対象のうち小学校は29校、原則週4時間から8時間、未配置校が180校、これも年4回しか入らないという現状なんですよね。
 学校をプラットフォームとして、福祉関係機関とも連携を取りながらしっかり支援をするというとても大事な事業ですので、重点項目として今後強化されると思うんですが、こうした現状をどのように考えておられますか。今後の方向も含めて見解を伺います。

○栗山学校教育課長  まず、スクールカウンセラーについてでございますけれども、御指摘がありましたように、小学校については拠点配置は27校でございますが、一方で中学校、高校については既に全校配置を終えているところでございます。その上で、未配置校につきましては、補正予算におきまして、週1回の配置を可能とする予算を組んでおりまして、既に未配置校のうち約9割の学校がこの予算を活用してスクールカウンセラーを配置いただき、非常に有効に活用いただいているところでございます。
 私どもとしても、スクールカウンセラーについてはその役割は非常に重要と考えておりまして、今年度末までしっかりとこうした配置ができるよう努めてまいりたいと考えているところでございます。
 以上でございます。

○島田委員  来年度以降もしっかり体制を強化しなきゃいけないと思います。各市町村からも要望が出されておりますが、綾部市などからは、「スクールカウンセラーは多くが複数校兼任で、また週1日のみの勤務であることから、十分な対応ができない状況である。各校1名の常勤配置が必要」という声が出されております。八幡市などからは、全国や京都府平均に比べても困難な子どもが多い状況の中で、配慮が必要な子どもたちへの支援体制整備のために、スクールカウンセラーが各中学校区に複数配置となるよう、増員を要望されております。
 こうした要望にぜひ応えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○栗山学校教育課長  スクールカウンセラーの配置でございますけれども、御指摘のように、小学校についてはまだ全校配置に至っていない状況でございまして、私どもとしても、今後、配置の充実については努める必要があると考えている一方で、スクールカウンセラーについてはそもそも人が足りていないという状況がございます。学校以外にも、病院、一般企業、福祉施設など、非常に様々な施設で需要があるという状況がございます。したがいまして、まずはこうした人の確保ということを私ども引き続きしっかりしていくとともに、仮に今後、常勤化ということを考えました場合には、多額の財政支出があることでございますから、既に中央教育審議会等ではこれまでも、国において今後の標準化等について検討すべきと言っておりますので、まずは国において、全国的な育成の在り方、常勤化の在り方について配置した上で、私どもとしてもその流れの中で考えていくことが適当ではないかと考えているところでございます。
 以上でございます。

○島田委員  すぐ財政の問題を出されますが、ソーシャルワーカーが、学校がプラットフォームになって、この方たちが重要な役割を果たしていて、福祉関係の連携もしなきゃいけないし、学校との連携は現状ではなかなかできないという声がソーシャルワーカー自身からも出ているわけで、これはちゃんと専門的な人材ですので、正規職員として、あるいは常勤として確保していくという方向を開いていかなきゃいけないと指摘をしておきたいと思います。
 特別支援教育の充実に関連してです。
 これも資料を頂きました。特別支援学校の児童生徒の推移を見ますと、平成28年の1,580人が今年は1,702人に、特別支援学級に在学する小・中学校児童生徒は同じく1,832人から2,422人に増え続けております。
 これも綾部市の様子を見ますと、障害者差別解消法施行、インクルーシブ教育の推進等で、中丹支援学校ではなく地域の小・中学校へ通学する児童が増加をしていると。例えば綾部市では、中丹支援学校在籍児童生徒は15人、支援学校籍で地域の学校に就学している児童生徒は14人と、ほぼ同数の子どもが通常学校・学級で学んでいるということで、介助員の養成ですとか府費の支援教育指導員の増員等も要望をされております。八幡市も同じく、支援が必要な児童416人に対して、府は2校に27時間、非常勤講師2人を充てているだけと。中学校は、265人に対して、府の配置は1校に1人だけ。市が頑張っておられますけれども、支援学校も今後の見通し、そして計画的な整備を展望しなきゃいけないと思うし、通常学校・通常学級にいる障害がある子どもたちへの支援の強化も求められていると考えておりますが、現状認識と課題について教えてください。

○山田特別支援教育課長  まず、特別支援学校に在籍する児童生徒数ですけれども、ここ数年増加傾向ということで、現在、今後の見込み数もいろいろと見込んでおりまして、ここ数年、また増加傾向になるのかなと思っておりますけれども、そういった部分ではしっかりと施設も含めて対応していきたいと思っております。
 小・中学校の通常学級に在籍する、支援を要する子どもたちなんですけれども、委員から御説明がありましたように、特別支援教育充実事業で非常勤講師を配置させていただいておりますけれども、この非常勤講師につきましては、要は学校全体で特別支援教育を推進していくための体制を整備するものということで、学校なり市町村等の御意見を聞きながら配置をさせていただいているところです。これを活用しまして、さらに特別支援教育が充実するように進めていきたいと思っております。
 以上でございます。

○島田委員  通常学級における発達障害を含めまして、児童生徒の推移とかもしっかり調査をなさって、全体でどんどん増えていますので、これまで私どももずっと取り上げてきましたが、後追いで、新設校ができてはすぐ満杯になるということですよね。そうした点も含めて、他府県にもありますように、見通しを持って計画的な整備が必要であると思うんですが、その点いかがでしょうか。

○山田特別支援教育課長  先ほども説明させていただきましたが、現在、今後の特別支援学校等の児童生徒の推移を、いろいろ学校の状況なども聞きながら今見込んでいるところでして、そういうものも含めまして、今後どのように対応していくのかは検討していきたいと考えております。
 以上でございます。

○島田委員  よろしくお願いいたします。
 教職員の働き方改革であります。
 教育長がメッセージで、本府の教職員の働き方について、
「過労死ライン、月80時間以上の残業をしている教員が、全国と比較しても相当多い。非常に深刻な状況にある」、
このようにメッセージを発しておられますが、現状どうでしょうか。
 あわせて、これも教職員の病気休暇・休職の状況について資料を頂きましたけれども、精神・行動障害が非常に増え続けております。もう時間がありませんので、数は紹介しませんけれども、近年のこうした傾向、そしてこうした教職員に対する支援ですね。原因はどのように分析をされておりますか。また、対策はどうですか、お聞かせください。

○安達管理部理事(教職員企画課長事務取扱)  まず、働き方改革、教員の長時間勤務の状況でありますけれども、平成29年度に行いました勤務実態調査によって全国と比較しますと、非常に高い割合になっているということであります。この間、実行計画に基づきまして取組を進めてきました結果、平成29年度と比較しますと週当たり約2時間程度の減少ということになっておりますけれども、校種別に見ますと、例えば小学校では、平成29年度では、いわゆる過労死ラインを超えていた者が52%でありましたけれども、これが令和元年度の調査では32%、約20%の減少ということになっておりますし、特別支援学校でも、平成29年度31%であったものが11%、これも20%減少しております。ただ、中学校、高等学校につきましては、調査結果を見てもお分かりになりますように、なお課題が残っているような状況でございます。
 それから、精神性疾患による教員の状況でございますけれども、従来から、教員に限って言いますと50人前後でこの間推移をしておりまして、全国的な課題でありますけれども、高い水準で休職をされている先生方がいるということで、従来から私ども、メンタルヘルス対策が重要だということで考えておりまして、早期発見、早期対応、円滑な職場復帰に向けた様々な取組をしてきたところであります。
 原因についての認識を問われたところでございますけれども、これにつきましては、個々の職員の状況を見ていきますと本当に様々な要因でございまして、職場によるものもあれば個人的な事情によるものもあって、複合的なものでありますけれども、職場における主なストレス要因としては、職場の人間関係でありましたり、あるいは職場環境の変化、転勤をした直後、そういった場合への対応がうまくいかなかったケースでありますとか、場合によりましたら保護者等からの要求水準の高まりなどもあるところでございまして、こういったことにしっかり対応できるように、今年度、心の病に対する対策の手引をちょうど改訂いたしまして、組織的な対応をしていただくように強調しながら指導に努めているところでございます。
 以上でございます。

○島田委員  全小・中学校、府立学校、支援学校全体で302人の方が長期に休まれて、161人が精神・行動障害という大変深刻な状況です。
 これも教育長のメッセージでおっしゃっていますように、
「疲労が蓄積し、健康を損なった状態、友人や家族と触れ合う時間もなく、ワーク・ライフ・バランスが壊れた状態で、果たして子どもたちに豊かな教育ができるのでしょうか。先生方がはつらつとして、子どもに憧れられるような存在にならなきゃいけない」
と発しておられます。全くこのとおりでありまして、根本的には過密労働、大変な状況があります。それに加えてコロナがありますので、ここはほんまに、発言もいただいて、お金も頂いて、体制を強化していただきたいと思います。
 最後に、府立高校臨時職員の産前産後休暇問題であります。
 丹波支援学校で、7年半、給食調理員として働いてきた臨時職員が、妊娠・出産を迎えるに当たって産休の取得を願い出たところ、当初、府教育委員会はこの産休を認めず、産休前の任用打切りを提示いたしました。その後、当事者家族が声を上げまして、特例的に3月31日まで任用ということになったようであります。
 そもそも男女雇用機会均等法が、事業主は女性労働者が結婚・妊娠・出産したことを退職理由として予定する定めをしてはならないとしているのに、任用のされ方でさっきのような事態が生まれているのは問題であります。働き方によって処遇が違うということも問題で、府立学校の全教職員が安心して有休の産前産後休暇、育児休暇などを取れるように検討すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○安達管理部理事(教職員企画課長事務取扱)  臨時教職員の産前産後休暇の件でございますけれども、臨時的任用によって職員として働いていただくことというのはございますけれども、地方公務員法によりまして、任用期間6ヶ月ということになってございます。その間に妊娠が判明されたような場合には、任期の終わるまで産休を当然ながら認めているところでございます。
 一方で、臨時的任用というのは臨時の職でございまして、その間最後まで働いていただける適任者を選んで採用するということが、公務員法上、一方で求められるところでございます。そうした中で、今回のケース、具体のケースのお話がございましたけれども、なかなか人材が見つからないということの中で、やむを得ずそうした措置をしたところでございますけれども、今回につきましては、任用の更新に当たりまして十分な説明が当初にできていなかったということで対応させていただいたところでございますけれども、男女雇用機会均等法の精神は当然ながら守っていかなければいけない、一方で公務員の任用としても法律に基づいて適正に行っていかなければならないということのバランスの中で、個別に対応してまいりたい、このように考えております。
 以上でございます。

○島田委員  会計年度任用職員の制度の見直しも行われておりますが、いろいろ細かい点は今日は抜きますけれども、厳しい勤務状況が続いている学校で、せめて妊娠・出産・子育てを安心してできるように、環境を一刻も早く整えるべきだと思います。「子育て環境日本一」を言うなら、足元の職場で実践をいただきたいと思います。
 そして、安心して休暇が取れるように、休暇の保障とともに、産休代替教職員を年度当初に確保することを求めたいと思います。京都市では、年間100人ほどの方が産休を取られていますが、年度途中の講師の確保が難しいので、この4月1日に50人、2学期が始まる8月1日には20人の代替要員を確保して、職場でも、妊婦も学校も大変喜ばれております。
 広島県や兵庫県でも行われており、京都府でも前向きに検討すべきですが、いかがでしょうか。

○大路管理部長  今お求めの件につきましては、この間、職員団体からもお求めがございます。京都市あるいは兵庫県のお取組についても承知をしております。確かに効果という点では、御説明のとおり、安心して働けるという状況の一つの策とは思います。一方で、我々はいろんな制度を持つ中で、また財源かと言われるかもしれませんけれども、財源問題とは無縁ではございませんので、その確保も必要でございます。そうしたことで、ほかの制度も含めて考えていきたいと考えております。
 以上です。

○島田委員  国や地方自治体それぞれ、教育予算がこのような形で、本当に貧弱だと思います。現場から提言もしていただきたいと思います。
「正規雇用の職員すら見つからない」
「講師すら見つからない」
「必要な教員が配置されない状況でスタートした学校がある」、
木津川市なども言われております。教育に穴があるような実態は何としても解決するために、前向きの積極的な検討をお願いいたしまして、終わります。
 以上です。