平成31年2月定例会 京都府行政の今後のあり方に関する特別委員会―2019年3月11日〜島田敬子府議と光永敦彦府議の発言部分

委員会活動のまとめ

1) 今期1年間の本委員会の活動を終えての総括的な所感や意見、要望等について、各委員からの発言を、本委員会の活動のまとめとすることが了承された。
2) 委員会活動のまとめについての協議が行われた。

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◯島田委員  正副委員長並びに委員の皆さん、そして理事者の皆さん、事務局の皆さん、1年間、大変ありがとうございました。
 特別委員会の目的として、「東京一極集中の是正を図る文化庁の京都への移転を契機として、広域交通網の現状と展望、情報通信技術の進展及び業務の標準化、危機管理等の現状を踏まえ、京都府行政の今後のあり方について調査し、及び研究する」ということでございました。調査については、これに関連した中身で、濃密で最先端の課題もたくさん勉強をいたしましたし、学者さんなどの専門家を招いて多くのことを学ばせていただきましたが、率直にいって、なかなかついていけないとこもございました。京都府行政のあり方ということを議論する上では、やはり足元からの地域の現状とか、そして組織のあり方を検証するということで、引き続き検討が必要であると考えます。自治体戦略2040構想研究会報告について、参考人をお呼びして勉強いたしましたが、人口減少の中で、このままでは自治体が立ち行かない、IT化、AIで職員を半分にする、自治体業務のフルセット主義からの脱却、そして基礎自治体から広い圏域単位での行政の集約化ということが中心の目的で、これが地域に一体何をもたらすのか、慎重な審議が必要だと思います。全国町村会会長さんなども、机上の発想ではなく、現場の実態を踏まえて、我々の声を聞いてほしいと述べておられますが、まさに小規模自治体の切り捨てに進みかねない、このような危惧がなされているのだと思います。
 高齢化と人口減少で人間社会のコミュニティーが弱体化をしてきたことに加えて、大災害の時代に入ってきた今日、持続可能な地域づくりのためには何が必要か。現状は地域の、その持続可能性を逆に壊しているのではないかと考えます。市町村合併が強力に進められ、京都府の組織の統廃合もあり、振興局、土木事務所、保健所などの統廃合、加えて、郵便局も農協も再編、小中学校を初め、幼稚園、保育園など、公共施設がどんどん集約化されて、地域が本当に火の消えたような状況になっているのが現状ではないかと思います。地域の振興を担っている組織で働く府職員、教職員の減少、市町村で働き、生き、暮らしている、こうした地域を支える公務の人材も手薄になってきているのではないか。多発する災害に対応できなくなっているということが非常に深刻だと受けとめています。立派な道路ができ、建物ができても、あるいは一部の先端産業が立地しても、そこで住み続けることができなければ、地域が活性化したとは言えないと考えます。
 先ほどもデービッドさんのお話がありましたが、地域が豊かになるためには、1人1人の住民が豊かに暮らせること、地域の産業を活性化するには、地域で生きている中小企業、農林水産業など、第1次産業を維持し発展させるための本気の取り組みが求められていると思います。合理化、集約化、さらに府営住宅や下水道など、住民の命、暮らしを支える公務を民間の稼ぐ場に提供してしまって本当にいいのか。立ちどまって考えるべきだと思います。国の施策について、地方自治体が住民を守る組織としての発言をしていただきたいと。集約化した振興局のあり方自体も、科学的に検証する必要があるというふうに思います。限られた財源をいかに効果的に投資するかと言いながら、北陸新幹線とか、リニアが声高に叫ばれておりますが、それよりもまずは府民の暮らし、命、財産を守る防災対策の強化、そして、これに必要な人材の確保など、もう一度、組織の見直しを含めて検証をしていただき、まさに京都府全域が元気になるような対策をぜひ打っていただくよう、求めておきたいと思います。憲法に定められた幸福追求権、生存権、財産権を保証するために、その役割を地方自治体が果たせる、こうした立場で御努力いただきたいし、私自身もそういう観点で今後とも努力をしていきたいなと考えます。
 以上で終わります。1年間、ありがとうございました。

◯光永委員  正副委員長並びに委員の皆さん、理事者の皆さん、事務局の皆さん、本当にお世話になりました。ありがとうございました。
 私は、この委員会は、確かに非常に幅広くて、しかし、どうしても検討しなければならないという両面を持ったもので、非常に荷が重い部分もあったかなと思いますし、まだまだそれぞれの分野で、もっとお互いに研さんしていく必要もあるし、論議を積み重ねる必要もあるかなと思います。
 ただ、理事者の皆さんは、こういうことに今、直面して、日々仕事をされているかと思いますので、そういう点でいうと、私はどうしても、今日、まとめにあたって、幾つか簡単にお願いかたがた述べておきたいことがあります。
 それは、総論でいうと、やはり地域の持続可能性をどう保証していくのかと。そのための行政のあるべき姿はどうなのかという、いわば当たり前と言っちゃ当たり前のことですけれども、そこに立ち返った仕事のしぶりや、政策の立て方などを本当に日々、追求していただきたいなと、私もそうしたいなと思っています。
 具体的には、やはり1つは、住民自治をどう保証するかということは非常に大事だと思っています。例えば、宮崎県の綾町なんかも、私も行きましたけれども、小さい町ですが、地域協議会などをつくって、予算権限があって、そこで公民館などを中心にして、地域のまちをつくり続けていることで、人口減少に歯どめをかけて、別に派手な施策をやってはるわけでもないけれども、ずっと存在し続けて、この地域の安心感が生まれているということもあります。これは別に宮崎の話だけではなくて、全国どこでも努力が始まっているし、花開きつつあるところも多いんじゃないかなと思います。その意味では、京都府としては、地域の丸ごとを支援したり、底上げするという観点から、何をしていけばいいのかということを、ぜひ考えて具体化していくということが必要かなと思います。とかく新しいことがいっぱい提起されていますので、そこに飛びついていかざるを得ない状況はわかるんですけれども、そうではなくて、本当に粘り強い、持続可能性を求めた地域づくりが、住民自治をもとに、今すごく努力されているので、そこに本当に寄り添うというのが大事かなと、1つは思っています。
 もう1つは、やはり基礎自治体をどう支援するかということ。これも言うまでもないことですけれども、その意味では、市町村合併の検証をして、本当に今後、広域化していくことがいいのかということは考えなきゃいけないんじゃないかなと思っています。市町村合併の時代は、合併をするのかどうかを住民投票で決めたりだとか、すごくやられていたと思います。ある意味、是非は別にして、そういう論議があったことが非常に大事だったかなと思っているんですけれども、最後、京都府が合併を推進してきたということがあったので、今みたいな形になってきた部分があるかと思うんですけれども、あれから大分たって、今日では自治体が存在し得るのかというような論議がずっとある中で、そういう合併の是非みたいなことの検証なく、もう現状がこうだから仕方ないじゃないかという方向で物事が進められることに、物すごい危惧を持っています。
 したがって、基礎自治体の支援というのは、もともと自治体が大きくなかった時代にどうだったのか、合併してどうだったのかということを踏まえた対応が、私は必要かなと思います。その意味では、京都府も組織としても広域化しましたけれども、広域振興局のあり方を、もとの振興局に戻すだとか、今回、災害が続いておりますので、駐在職員の体制を強化しようという方向も副知事から話がありましたけれども、さらに駐在所ではなくて、土木事務所そのものをもとに戻すだとか、職員体制の整備とともに、やはり自治体の支援を本当に今後どうしていくのかということは、これは歯を食いしばってやらなきゃいけない仕事だと思いますので、そこは努力が要るかなと思っております。
 最後に、この委員会でも大分論議になりました、自治体戦略2040というのもあるんですね。これは今後、具体化されていくんでしょうけれども、これはもともと振り返れば、自治体消滅論が基礎になっているのではないかと思うんですよね。自治体はなくなっていく可能性が高いから、その中で広域連携をやろうだとか、AIを使おうだとか言われています。ただ、私、全議の研修会に行って、この自治体戦略にかかわられた委員の方の学習会に出ましたけれども、広域連携とかははっきりいってどうでもよくて、AIをどう使えるかということの基盤整備を全国的に進めるかどうかが鍵なんだということを、かなり露骨にといいますか、正直に言われておりました。結局、職員が減ったもとで、どう対応するのかという話じゃなくて、新たな自治体産業化でもうけをどうつくるのかということを本気で考えてはるなと思いまして、これはやっぱり自治体戦略2040という大層な話じゃなくて、実際はその儲け口をどうつくるかという話なんだということを、ゾッとして聞いておりましたけれども、そんなところに本当に乗っていっていいのかなということは、住民の福祉の増進を掲げる京都府としてどうなのかと。まして、税金で成り立っている京都府でありますから、そういう方向がいいのかということは、地方創生の交付金が出たときに飛びついたようにならならいように、国は追いつめようとしているかもしれませんけれども、そこは府の職員さんとして、ぜひ、矜持を持って、御苦労は多いかもしれませんけれども、御努力いただけたらと思いますし、私もその一端を担う者として、そういう立場から今後も発言や、皆さんと論議していけたらと思っております。1年間、ありがとうございました。