付託請願
第898の1号請願「学費・奨学金の負担軽減と若者の雇用改善を求めることに関する請願」について審査が行われた。
◯成宮委員 共産党会派として紹介議員になっておりますので、趣旨を説明させていただきたいというふうに思います。
学費・奨学金の負担軽減と若者の雇用改善を求める請願につきましては、この4年間だけで今回4度目の請願として寄せられております。請願署名も合わせますと、4回で合計16,000筆近い数の請願署名ということになります。
学生、若者御自身、それから保護者や、また大学を初めとした教職員の関係者の皆さんも幅広く賛同されて、本当に大きく運動が広がっている、こういう状況にあり、この声に応える必要があると考えます。
前回は昨年の2月議会に請願が寄せられましたけれども、この前回に続き、今回も本委員会に係る内容としまして、学生・保護者にとっての生活の問題ですね。生活費、特に礼金、敷金や家賃などの下宿費用が大きな負担となっていること、それが学生生活を圧迫している現状があり、その現状を鑑みて家賃補助や公営住宅の空き家の有効活用など、行政がぜひリードして安価で安全・安心な下宿先の確保、提供などを学生に対して行うようにという声が寄せられているわけでございます。
私は、この背景にある、学生生活の実態を少し新しい調査から紹介したいと思います。
京都の私立大学の教職員組合の皆さんが、毎年、私立大学の学生・保護者の家計負担調査というものに取り組まれておりまして、この2月に2018年度、今年度の調査結果が出されまして、それを御報告いただいたところでございます。
京都の中にあります5つの私立大学で、学生や保護者合計5,705名の回答ですから、かなり大きな規模の調査になっております。つぶさには紹介できませんが、3つほどその特徴を述べさせていただきますと、1つは、私立大学ですけれども、入学年度にかかる費用が本当に大きくなってきているということです。私立大学に通う自宅外の、つまり下宿生活をする学生でいいますと、平均が279万円です。その御家庭の年収もこの調査で聞いているんですけれども、平均が899万円です。これもかなり高いなと感じるわけですけれども、入学年度にかかる大学の費用が279万ですから、その平均899万円の中でも実に、3割を超えているということなんですね。
2つ目には、その学生・保護者の皆さんに奨学金を利用する予定があるのか、既に申請しているのかと聞いておられるんですけれども、「申請を既にしている」「申請する予定だ」を含めて42.5%になっています。そして、「申請の予定がない」という6割近い方の中でも、なぜ申請しないかというと、奨学金は現状では返済義務があるため、今後の負担を考えると申請ができないという答えが、その中の3割になっているということなんですね。
3つ目の特徴ですけれども、その中で学生さんへの仕送り額がどうなっているか、自宅外生、下宿生活を京都で送っている学生さんの調査なんですけれども、実は仕送り額というのは、この調査が行われてことしで31回目になるんですが、この10年近くは毎年、減少傾向にあります。2012年度は、毎月平均87,000円あったものが、2018年度では80,000円から81,000円ぐらいに減ってきているということです。うち、家賃は毎月51,000円から52,000円ぐらいというふうになっていますので、80,000円ぐらいの仕送りのうち50,000円ぐらいは家賃に消えてしまうというのが、京都で暮らしている私立大学の学生の実態だと。だから、請願にもあるように、アルバイト必須になる、アルバイト収入に頼らざるを得ない。本当に大変な生活状況にあるわけです。
実は、親御さんの年収も年ごとに減少傾向にありまして、学費の高騰、それから奨学金の問題というのは、私どもも繰り返し議論してきましたけれども、直近のこの間というのは、10年前、20年前と比べても本当にさま変わりした、大変な状況が進んでいると言えるかというふうに思います。
こういう状況の中で、今回寄せられている請願の声です。府として、給付制奨学金の創設や、また返済支援制度をさらに拡充していくこと。また、生活に直接支援を行うという趣旨からも、家賃の補助や公営住宅の活用など、負担軽減の施策が必要というふうに考えます。
この問題は、党派・会派を超えて一致できる問題であるというふうに思いますので、ぜひ皆さんの御賛同をお願いしたいというふうに発言させていただきます。以上です。
◯井上委員(自民党) 今の成宮委員から、第898の1号の請願の趣旨説明を受けまして、気持ち的にわからないこともないし、理解はできます。この請願というのは、どちらかといえば、文教のほうの所管のような感じがいたしますが、京都府におきましては、高校生給付型奨学金支給制度はありますし、また高等教育の無償化が2020年4月から実施されてまいります。低所得者世帯の者であっても、社会で自立し、活躍することができる人材を育成する大学等に進学できるよう、その経済的負担を軽減することにより、我が国における急速な少子化の進展への対処に寄与するため、真に支援が必要な低所得者に対して授業料及び入学金の免除と給付型奨学金の支給をあわせて措置をすることが、この無償化の趣旨であります。
また、行政主導によって、安価で安心・安全な下宿先の確保にいたしましても、次世代の下宿として、京都ソリデール事業があり、若い人たちに対して一定の応援を京都府もいたしております。
私も、高校時代に下宿をしておりましたかげんで、父親の会社が倒産をいたしまして、日本育英会から大学を卒業するまで奨学金を受給した経験がございます。大変に助かり、感謝をしておるところでございます。今から振り返って考えてみますと、大学を卒業した当時は、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」というので、返さなくてもいいだろうという思いは確かにございました。借りたものを返すということは、面倒くさくなるというか、そういった気持ちにもなったこともございます。ところが、育英会の職員さんの話を聞いておりまして、この奨学金の返済金が直ちに次の後輩たちに受け継がれていくんだということで、そうかということで、私も月々の返済をしていったことがございます。
今、借りている大学生の皆さんに言いたいのは、確かに受け取って助かっているのは、卒業したときには負債となって残るという気持ちじゃなくて、やはりそのおかげで卒業ができて、これから社会に大きく貢献ができるんだという礎をつくってもらったのが奨学金であるということをやっぱりしっかりと見据えて、これからの社会に大きく活躍していただいて、社会人として返せるだけの能力をつけていく。私はそれを望むんですね。いただいたお金が負債となって、卒業したときに非常に暗くなるというのではなくて、逆にそれをばねとして頑張っていただくというのは、僕は我々の時代のほうがもっと条件は厳しかったと思うんですね。それでも、みんながやってきたんだから、やっぱり今の時代はもっと恵まれていると思うんですよ。社会的なアルバイト先もあるし、そういった条件は恵まれていると思う。だから、300万円の負債を負ったとかじゃなくて、借りたものはやっぱり返していくということでやっていただきたい。
今のところは、気持ちはわかるけれども、請願の趣旨にはちょっと賛同ができないということで、以上です。
◯島田委員 私どもも街頭、大学やハローワークの門前等で、若い皆さん方にお声を聞きました。井上委員の時代と随分違いましてね。奨学金は有利子で、高い場合は3%ですから、奨学金じゃなくてローンなんですよ。
それで、本当に深刻な話を聞きましたのは、結婚も予定していたのに、お嫁さんになる人が800万円の奨学金の借金を抱えているということを聞いて破談にしたと。こういうことまで起こっているんですよ。例えば夫婦そろって、男性も女性もそれぞれ400万円、500万円という奨学金の借金を持っていると、結婚したスタート時から1,000万円の負債を抱えてという、今日的にそういう問題になっていて、しかも家族がそれを負担して家族が破産をしているという件数がうなぎ登りにふえているという現状があります。
しかも、借りたお金を返すという点では、京都の若者の働き方というのは、2人に1人が非正規でしょう。だから、正社員あるいは高い給料をもらえる職場に勤められたとして、月2万円、3万円とかが払えるという方はあっても、もともと正社員として就職できなかった場合は返せないという今日的な問題があって、非常に深刻です。
しかも、先ほどの特徴にあったように、奨学金の返済が社会問題になって、これは借りたら大変だ、返せない、だから借りない、だから学校生活を諦める。高校生の中には、自分でアルバイトをして家計を応援している高校生もいました。しかし、親のそういうことでとても大学など望めないということで、私は、若者の希望を奪っている現状にあるというふうに思っております。
現状の問題もぜひ理解をしていただいて、国がいろいろとやろうとしておりますが、対象が非常に少なく、低所得者対策などというものは1つの高校に1人ぐらいしか当たらないような規模でありますので、今後、どうなっていくのかはありますが、それほど深刻なんですよ。そういうことを聞いております。そして、そのアルバイトがブラックであっても物が言えない。学業への専念も阻害されている現状もあって、そういう点で、ソリデール事業も何件が借りられているのかどうか、まだ利用が上がっていません。この事業はいいので、もちろんどんどん拡充したらいいと思うんですが、いろいろ工夫を重ねて学生たちの声も聞きながら、住むところを確保するといういろんな工夫ができると思うので、それこそ知恵を集めて行ったらよろしいし、利子補給等についてもそういうこともあって、中小企業支援と一体の奨学金返済支援制度もできたわけで、さらなる拡充を求めるものであって、ぜひ御賛同いただきたいというふうに思います。
◯西脇委員 井上委員がおっしゃったように、もちろん借りたものは返さなければならないというのは当然なんですけれども、私の大学時代もそうでしたし、それから井上委員もそんなに年は違わないと思いますが、その当時というのは、大学の授業料は今と比べたら半分以下だったと思うんですね。国公立大学は当時は安かったですけれども、今では、50万円、70万円と余り私学と変わらないような高さにもなっています。ましてや私学の場合は、100万円から150万円とか、場合によれば院の場合もそれ以上だと。特別な学科などは大変な額だということで大変な状況ですね。だから、昔の一定の年代と比べても今は大変な負担をしながら、親子、それから子どもさんも頑張っている。
それから、返さなければならないけれども、学費のために、返済のために、生活費のために大学時代を本当に全うできるのか。4年を無事に卒業できるという学生は、今、本当に減っている。どんどん途中退学ですね。私の息子の友達も、そうでした。学びたいけれども、親御さんも大変なので仕送りも望めないということで、やむなく、アルバイトもしたけれども、結果的にはアルバイトも深夜でしかも週40時間とか、大変なアルバイト中心の学生生活を余儀なくされて、どちらが本業かわからないと。しかも、その働き方の中身もブラックですよね。正規社員と同じ責任を多くの学生が持たされるというふうな実態も、この間、京都府や京都市などと一緒につくってきました協議会の調査結果でも出ているかと思います。
ですので、今の学生自身も勉学を全うできない、ましてや大学を卒業して以降も40歳過ぎまで月2万円ないし3万円をずっと払い続けなければならない、途中で途切れると今度は新たなローンも組めないということですね。ブラックリストに載ってしまうという話も聞いていますので、やはり今の学生、それから卒業する若い人たちを応援するという意味でも、今回の請願の趣旨をしっかりと精査していただいて、共感していただいて、これは可決をしていただくようにお願いしたいと思います。
◯堤委員(府民クラブ) やはり学力であったりとか研究を行っていくというのは、国の基でありまして、そこの研究者をどのようにして育成していくかというのは、非常に重要な問題だと思っております。
研究を行うための時間の確保ということは、国の未来をつくっていくことでありますので、そこのところでアルバイトに時間をとられてしまうということは、我が国の未来を、現在のアルバイト、生活費を稼ぐという行為で使い潰していくということは、非常にもったいないことであるなというのは、痛切に感じております。
特にこの請願の中で、大学院進学者では800万円と言われる奨学金の返済があると言われておりまして、これはまさしく事実であります。この裏に何があるかというと、明らかに独法化の問題があります。独立法人が立ち上がることによって、大学のポストが減っていって、助教、助手のポストが減って安定した収入を得ることができずに、アルバイトあるいは講師で食いつないでいかないといけない。そのために、研究がおろそかになっていって、生活のほうも破綻していく。あるいは、研究に費やせる時間がないために、新しい論文を生み出すことができなくて、ポストを得ることができないという悪循環があるのは、確かなことです。
しかし、その問題というのは国の制度の問題でありまして、こちらの府議会の中で議論できる内容ではないということも、また一面の事実でございますので、こちらに書いてあるような内容というのは、本府議会で扱うことは不適当であると感じております。
また、行政の皆さんに対してお伺いしたいんですけれども、家賃の補助や公営住宅の空き家の活用等で、ソリデール事業を行っているということを今、他の委員から紹介いただきましたけれども、現状について教えていただけますでしょうか。
◯中本健康福祉部こども・少子化対策監 ソリデール事業につきましては、その事業自身は建設交通部で所管をしておりますけれども、高齢者のおうちで大学生等の若い方に低廉で良質な住宅を確保するという事業でございまして、これは平成28年度からされていまして、一応それぞれ高齢者の方とのマッチングがございます。そういうのも経てということですが、今、建設交通部からお聞きしているところでは、現時点で15件の件数があったと。今も何件か面談をされて、お住まいになるに向けてのマッチング中というふうにお伺いをしております。
その上で、そのソリデール事業をお使いの中で、例えば生活困窮世帯のお子さんであったり、あるいはひとり親家庭のお子さんの場合は一定の家賃補助を出すという。そちらにつきましては、健康福祉部で所管しておりますけれども、この間の15件の中にはそういう該当の方がおられなかったということでございまして、ただ、今後、そういう該当の方が来られましたら、きちっと私どもは福祉型のソリデールという形で家賃補助をしていきたいというふうに考えております。以上でございます。
◯堤委員(府民クラブ) ありがとうございます。該当の方がいらっしゃらなかったというのは、非常に残念なことでございますけれども、より広報啓発に取り組んでいただきますようにお願い申し上げます。以上です。
◯成宮委員 今、堤委員からソリデール事業についての御質問がありましたけれども、確認したいんですが、来年度はどのようにしていこうと。拡充していこうというふうになっているのか、その点を1点、確認したいというふうに思います。
◯中本健康福祉部こども・少子化対策監 ソリデール事業につきましては、建設交通部のほうの予算になると思いますが、継続するというふうにお聞きしておりますし、私ども、そういう生活困窮世帯のお子さんが出た場合の家賃補助につきましては、当初予算には計上されておりませんが、出てきたときに補正でお願いをすることになろうかというふうに考えておるところでございます。以上でございます。
◯成宮委員 はい、わかりました。生活困窮世帯のお子さんが出てきた場合には、当初予算にはないけれども、対応していくということですね。このことを見ましても、学生さんの生活支援については、府の行政、そして府議会で議論すべき大事な問題があるというふうに確信をいたしました。
それから、府の役割ということで言いますと、請願にも紹介されていますけれども、奨学金返済支援制度は京都府独自の制度として創設をされていますよね。国のほうでは、先ほどありましたように、給付制奨学金の創設や来年度一定拡充が行われるという議論もありまして、これは自民党・公明党政権のもとで、私はもっともっと拡充して、多くの学生を対象にすべきだと思いますけれども、大事な施策というふうに思います。そして、国の動きがそうやってあるもとで、京都府独自にも返済支援制度を行っていくことも実態に合っていて、しっかりと拡充をすべきというふうに私たちは考えるわけですけれども、そういう点からも、学費に対する給付制奨学金を創設したり、返済支援制度を創設したり、これも京都府独自の役割や、また議論が非常に求められている情勢にあるというふうに考えますので、府議会でやることや府がやることはないというのは違うと指摘をしておきたいと思います。
それから、井上委員からお話がありましたけれども、本当に学生時代に御苦労をされて学費を払ったり生活されてきたことをお聞きしまして、美術系の大学に通っておられたと。私も美術系の大学で大変苦労しましたので、本当に共感するところでございますけれども、40年前の奨学金の借入額と、先ほどありましたように学費の高い、低いという問題は、先ほど言いましたようにこの10年、20年で本当に変わってきているということがありますし、今、日本育英会も学生支援機構という形で取り立てなんかも本当に厳しくなって、学生ローン会社化しているという社会的な批判もあるところでございます。
井上委員が覚えていらっしゃるかどうかはわかりませんが、幾らぐらいを借り入れて毎月幾らぐらいを返済をされていたか。今、私の知り合いですと、同じ美術系の大学で600万円を借りて、毎月6万円を返して、22歳から62歳まで返さなければならないというような友人もおります。自分が62歳になるまでですから、自分の子どもや孫にさえ教育費がかかってくる、こういうところまでの非常に重い負担というのが、今の現状でございます。40年、50年前と本当に違う、このことをぜひ知っていただいて、これは国の動きもありますから、党派・会派を超えて御賛同いただくということが必要と再度述べておきたいと思います。以上です。
●審査結果…挙手採決の結果、賛成少数により、不採択と決定した。
所管事項
委員会の所管事項について質問・答申が行われた。
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◯島田委員 2点伺います。
美山診療所の問題であります。京都新聞にも報道されました。予算議会でも質疑がありましたが、南丹市議会本会議で市長が美山診療所について、直営を視野に検討するとの方針を示したと書かれてあります。平成31年度中に方針をつくりたい、準備を進めていくとのことです。一方、市長は現在の医療水準を維持することは厳しいともおっしゃっていまして、どうなるのかいろいろと不安が広がっているんですが、南丹市がきちっとお決めになれば対処していくというこれまでの答弁もありましたので、現状、どういう動きか、確認をお願いしたいと思います。
◯井尻医療課長 南丹市議会のほうでそういった市長の答弁があったというのは聞いておりますけれども、そこにおきましては、南丹市が運営の形について御協議をされる中で方向が決まれば、その中で対応していきたいというふうに考えております。以上でございます。
◯島田委員 では、本府にはまだ届けられていないんですか。市議会では、方針とかが決まったというようなことで答弁されているので、どういう方向かというのは何らか、概要等も含めまして何もお知らせはないんでしょうか。
◯井尻医療課長 市議会での状況についてはお聞きをしておりますけれども、まだこれから方向について検討されるというふうにお伺いしているところです。以上でございます。
◯島田委員 2月27日の健康福祉部書面審査で光永議員の質問に対して、運営形態を含めて市で検討中としながら、運営については補助金も出していることを踏まえて助言をしていると答弁されておりますが、どのような助言をされているんでしょうか。
◯井尻医療課長 まず、運営につきましては、運営補助金があるということでその算定でございますとかいうことについて、こういった形のものが利用できるということ。それから、施設整備につきましても、昨年から本年度も御利用いただいているところでございますけれども、そういった形で助成制度があるといったこと。それから、お医者さんの確保については、いろんなチャンネルがあるということでどういったものが利用できるのかといったこともあわせて、協議といいますか意見交換をしているところでございます。以上でございます。
◯島田委員 市長は、先ほど言いましたように、現在の医療水準を維持することは厳しいと。維持したいけれども、頑張るけれども、厳しいという表現をされているんですが、こうした発言になる背景には、本府の何らかの助言で何か示されているのかというふうに思うわけですけれども、いかがですか。
◯井尻医療課長 南丹市長のお話のバックボーンというのは、私どもは承知いたしておりませんけれども、いずれにいたしましても南丹市が、これから地元の方々とお話をして決めていくというふうにお聞きしているところでございます。以上でございます。
◯島田委員 これまでも繰り返し述べておりますように、それは団体の問題だ、南丹市の問題ではなくて、美山地域の地域医療を確保する点で一緒に責任を負う立場だし、医療を守る責任、体制を整える責任があると指摘をしてまいりました点でいうと、ずっと現場ばかりに責任をかぶせるという言い方はどうかと思うんです。12月定例会の本会議でも質問いたしましたように、入院病床が確保できるかどうかは最大のネックにもなっております。南丹市長の議会答弁では、直営の条件に合理化を示唆する発言もあったやに聞いており、新聞の報道にもあるように「現在の医療水準を維持するのは厳しい」という認識を示されている点について、府はどう思っていらっしゃるんですか。
◯柴田健康福祉部副部長(健康担当) 山診療所は、南丹市が条例で設置されております診療所でございます。そういう点で、南丹市も運営費の助成を実施されておるというところでございます。
その中で、例えば合併前ですと、平成18年でございますが、美山町の町域の人口は5,200人ほどおられたということで聞いております。それが、現時点ですと3,700人余りということで、1,000名以上人口が減っている。そして、高齢化率は40%を超えているというところでございます。そうしますと、地域の医療のニーズ、介護のニーズ、相当変わってまいります。公費を投入する以上、そのあたりをしっかりと吟味して、そして今後、どのような形がよいか、それを考えるということを南丹市は現在おっしゃっております。私どもは、そういう考えを踏まえまして応援したいというふうに考えております。以上でございます。
◯島田委員 経営をちゃんと考えなさいよと暗に指導なさっているわけですね。南丹市が自発的にじゃなくて、府との調整の中で一緒の懇談会の場でもやっていらっしゃるのでね。単純に、今の現状を維持するなんていうことはだめですよということを端的におっしゃっているんですか。
◯柴田健康福祉部副部長(健康担当) 今ほど申し上げましたような客観的な事実がございます。そのあたりを踏まえて、南丹市も今、公費を投入されております。公費を投入する以上、きちんとした状況をつかんだ上で南丹市議会のほうの理解を得て、公費の投入を考えたいということでございます。以上でございます。
◯島田委員 各診療所、例えば和知診療所は老人保健施設も19床持たれて、人口は美山よりも少ないんですよね。それでも1億円を投入されているんです。美山の4.7倍、支援をされているんです。財政を預かるものとして、お金の問題はいろいろとあるかもわかりませんが、地域医療の水準を後退させないということで、ここに医療がなくなると、逆に人口減に拍車がかかるという側面もあるんですよね。ですから、市町村も大変ですよ。だけれども、これは市町村の条例にあると言いますが、京都府の保健医療計画にちゃんと位置づけられている病院でありまして、そこへの支援は、南丹市も京都府もやっぱりやると。その観点でいくと、人口が減っていますよというのじゃなしに、やっぱり今の医療の水準を後退させないというのをネックに本府のリーダーシップが必要だというふうに思います。
南丹市議会の質問・答弁を聞いておりますと、診療所の職員の雇用継続についても質疑がなされておりまして、直営なら、現在、働いている職員の雇用が引き継げるようにすべきと。そのような質問の際に市長は、機能を縮小するなら引き継げないだろうと。ということは、機能縮小して現在働いている人の解雇もあり得るという重要な答弁をされている。そこまで言っている。だから、頭はどうも機能縮小に傾いていらっしゃるのではないかと心配するわけですが、再度聞きますけれども、府としては現在の医療機能を確保するという決意があるか、入院機能が必要であると考えているかどうか、明確にお答えください。
◯柴田健康福祉部副部長(健康担当) 京都府としましては、南丹市と協力しまして美山診療所を、僻地診療所に今回、指定しておりまして、そして中部総合医療センターを僻地医療支援病院という形で指定しております。そのような形、そして先ほど医療課長が申し上げましたような機器整備等、施設のスプリンクラーの改修等、そのあたり、京都府としても支援しているところでございます。
今後も、医療ニーズにつきましては、やはり住民に一番近い南丹市で今後とも検討されるというふうに考えております。以上でございます。
◯島田委員 その答弁が冷たいと言っているんですよ。地域医療を確保する責任は、市町村ではなくて京都府にもあるでしょうと。どういう医療をつくっていくのか、在宅も含めまして現に議論もされているわけで、国の方針が出されていてこれは抑制基調でしょう。減らせ、減らせとおっしゃって、介護医療院とかに転換せよという動きの中で、差し迫った課題で合理化の選択が迫られているという状況があるわけで、そこは12月にも言いましたように、地域の人たちに寄り添って支援をすることがなければ、これはどの程度口に出したかわかりませんが、やっぱり合理化案を進めるようなことになってはいけないと思うんです。介護医療院に一旦なると、夜間無医地区になりますよ。観光でお客さんをお呼びになるといろいろと言っておられますけれども、そんな人たちの医療も責任がとれませんよ。
ですので、過疎地域の地域医療を支える診療所とかがいろいろとほかにもありますけれども、今回、直営との見通しも含めて検討という市側の動きがあった点を踏まえて、その直営の条件に合理化などが進まないように、これは注意をいただく必要があるというふうに思うわけです。それでそれぞれの市町が大変な財政的な問題を含めて御苦労されているので、そこは応援する立場に立たないといけないというふうに思うんですけれども、入院機能の問題、もう1回、明確に答えてください。
◯柴田健康福祉部副部長(健康担当) 入院機能等につきましては、南丹市のほうが地域の医療ニーズ、介護ニーズを踏まえて検討されるということで考えております。以上でございます。
◯島田委員 本府の姿勢はそういうことであるということで、理解をするものではありませんが、地域医療をきちっと確保するという点で、高齢化率も46%を超えております。大事な命のとりでですので、医療水準を後退させないような努力をお願いしたいし、また地域では医療の灯を消すなということで運動もさらに広がっているようでありますので、一緒に私どもも頑張っていきたいというふうに思います。
それと2つ目は、福祉職員の大幅増員と賃上げの陳情にかかわって質問をいたします。
ヘルパーの8割が非常勤であり、低賃金に置かれまして、総合事業の導入等がさらにこうした事態に拍車をかけております。在宅でも施設でも深刻な人材不足となり、これも12月議会で質問いたしましたが、府内各地でショートステイが閉鎖されたり、グループホームが撤退をしたり、特別養護老人ホームを整備したもののフル回転ができないなど、在宅・施設問わず介護現場の深刻な人手不足が広がっております。
その大きな問題として、介護職員の確保が困難ということもございます。ですので、非正規化ではなく、正規化の流れをつくっていく、さらに大幅な賃上げのための御努力が必要だというふうに思っております。この間の質問等では、4回の処遇改善で月額57,000円が加算をされたとされておりますけれども、現場では、介護職の給与法がそもそも整備されていない施設が8割に上って、そもそもベースアップというそういう仕組みになっていないというので、何年働いても賃金が上がらないという現状だというふうに思っております。
京都府が、福祉人材育成認証制度によって常勤職員としての採用や職員のキャリアパスと連動した給与制度の設計、休暇取得などの就労環境の改善を進めているということでありますが、さらに国が処遇改善で加算したとされるそれが、現場の労働者のところでしっかり給料として反映されているかというようなことを見届けることが必要だと考えますが、この点、現状いかがでしょうか。
◯神田介護・地域福祉課長 福祉職員の処遇改善の点でございますけれども、委員御指摘のとおり、これまでから私ども、国のほうに要請・要望した結果、数次にわたり処遇改善、今、御紹介のあった点も含めましてございましたところでございます。ただ、現に施設のほうでもそうした給与体制がまだまだ不十分というようなこと、数量的にどれだけの施設がどうかという診断はできませんけれども、認証制度、もちろんこういったことを通して、あくまでも職員さんの働きやすい職場環境の確保、あるいは新たに福祉の業界に入ってくる方が安心して働けるといったようなことから、認証制度を設けて、京都府内のそれぞれの法人あるいは事業所に対して、そうした給与体系、きちっとした見通しが立てられるようなことを私どものほうもお願い、要請しているといったようなところでございます。以上です。
◯島田委員 認証制度を取得されている施設は、法人ですか施設になるんですか。全体の対象の何割ぐらいまで今、普及されているんでしょうか。
◯神田介護・地域福祉課長 京都府内、およそ1,000余りの事業所がございますが、そのうち平成30年12月28日時点では、認証事業者が276事業所といったような状況でございます。以上です。
◯島田委員 276事業所については、ちゃんとベースアップのある給与表が整備されているという理解でよろしいんですか。
◯神田介護・地域福祉課長 委員御指摘のとおりでございます。
◯島田委員 それ以外はまだということですかね。
◯山口健康福祉部高齢社会対策監 認証事業者は、今、介護・地域福祉課長が申し上げたとおり276事業所なんですけれども、この認証に至るための宣言というものがございまして、つまり自分ところの施設、法人は、そういう環境改善、就労改善をしていきますよという宣言をする事業所がございまして、これが681事業者ございます。ですから、2つ合わせると、宣言、認証で事業者全体の8割ぐらいですか、そういう取り組みを進めているというところでございます。
◯島田委員 そういうふうにつかんでいらっしゃるのであれば、その現場で一体、常勤職員と非正規職員の雇用の割合がどうなっているのか、これは調査済みですか。
◯神田介護・地域福祉課長 今、御紹介しました認証事業所は既にできている、あるいは取り組もうとする宣言事業所というところで把握しておりますけれども、個々の施設ごとの正規、非正規の割合というのは今すぐに把握していないところでございます。以上でございます。
◯島田委員 今つかまれている総数でどんなぐあいになっていますか。
◯神田介護・地域福祉課長 少し古いデータで恐縮でございますが、平成28年度時点の府内で常勤が24,752人、非常勤が19,280人、常勤が56%といった状況でございます。以上です。
◯島田委員 やはり現場から上がっているように、なお多くの人たちが非正規であり、低賃金の状況にあると。なので、月額57,000円の加算が届いていないという現実がありますね。それできちっと、キャリアパスとかがいろいろとありますので、これはどこまで見届けておられますか。
◯山口健康福祉部高齢社会対策監 職員に行き渡るということが加算の条件になっておりますので、それは介護職員に行っているということでございます。ただ、この今の制度では、介護職員以外には加算の分を回せないというような状況になっていますので、そこについてはいろいろと差が出てくるということは聞いておりますけれども、57,000円そのものは介護職員へ行っているというふうに御理解いただけたらいいと思います。
◯島田委員 いやいや、介護職員に57,000円が全額行っているわけではなくて、施設の経営でいろいろ。(「違うやろう」と言う者あり)違うんですか。確認して。
◯山口健康福祉部高齢社会対策監 加算の要件が、職員へ給与として渡すということになっていますので、これは全て職員へ行っているというふうに御理解いただきたいと思います。
◯島田委員 わかりました。介護職員に行っているということですが、そもそも給与表がないところではそうはなっていないという声があるんですが、これはそうですか。給与表がなくても当たっているはずだと。
◯山口健康福祉部高齢社会対策監 加算をとられている事業所であれば、それは行っているというふうに理解をしております。
◯島田委員 そもそも加算をとれる要件に達していないと当たらないということですね。ということで、なかなか現場の労働者の賃上げにはほど遠い現状があって、しかも非正規等が蔓延している。このごろは人材派遣業から支援をしていただくというようなところまで来ておりまして、これは本当に大変な時代でありますが、少なくとも京都府としてやるべきは、正職員化とかいろいろと就労環境改善に努めていらっしゃるのであれば、お1人お1人の労働条件等、賃金等も含めてしっかりと現場の実態を把握する調査が必要だというふうに思いますが、現在のお取り組みの状況と課題はどうですか。
◯神田介護・地域福祉課長 今の課題でございますけれども、確かに処遇改善といったことも含めまして人材の確保ということ、これは大きなところでございます。当然、そうした、いわゆる給与というんですか、給与面でのアップというのは大事ですけれども、就労環境の改善、世間で言われている「きつい」とか「大変」とかそういうようなことを少しでも軽減するための、例えばICTなり介護ロボットの導入、こういったことの普及も含めるとともに、そもそもの介護現場のイメージを少しでもよくして、そうした新たに介護現場に就職していただこうというようなことでの福祉人材確保のいろいろな取り組みをやらせていただいているというような状況でございます。以上でございます。
◯中川委員長 島田委員に申し上げます。会派残り時間、残り3分でございますのでお願いいたします。
◯島田委員 実態調査を行って課題が何にあって、支援をしながら国にも必要な意見を上げるということが必要であるので、ぜひ御努力いただきたいというふうに思います。労働基準法等の法令違反をなくすという点では、介護現場には、具体的な指導とかそういうものはあるんですか。
◯神田介護・地域福祉課長 労働基準法違反というようなところのお答えは、ちょっと難しいところがございますが、ただ私ども、そうした社会福祉施設の指導監査は行っておりますので、そうした中でやはりそうした違法な点、あるいは違法とまでは言わなくても不適切な点がございましたら、その都度施設なり法人のほうに指導はやっているところでございます。以上でございます。
◯島田委員 ありがとうございます。
今日は、介護労働者の問題を取り上げましたが、保育の現場、あるいは障害者施設の現場など、まだまだ大変な劣悪な状況や低賃金があります。本当に困ったときに私たちの命を支えたり、あるいは介護や支援が必要な立場になったときにそれを支えていただく重要な福祉職場の人たちというのは、とても大切だと思うので、国も地方自治体もやはりもう少し力を入れて支援をしなければいけないところかなというふうに思います。終わります。
委員会活動のまとめ
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◯西脇委員 1年間、理事者の皆さん、そして事務局の皆さん、それから委員長、また副委員長、委員の皆さん、本当にお世話になりました。ありがとうございました。
この委員会というのは医療や介護、それから子育て、障害者の問題、また原発を含めた防災、消費生活、男女共同参画、それからLGBTなどなど、本当に所管が広くて、かつどの問題も府民の皆さんの命や健康、財産、人権を守るために極めて重要であるということ。京都府から提案された各施策についての議案や計画案などの審議も、重要な中身にふさわしい十分な時間をかけて丁寧に審議するということ、これは当然ですが、私もその姿勢で緊張して常に挑んできたつもりでございます。
今年度も、子どもの医療費助成の拡充を初めさまざまな請願が、多くの府民の皆さんから府議会に届けられたところですが、私どもがほとんど紹介議員になったということですが、残念ながらほとんどが否決されてきたということでございました。極めて残念な結果でした。
今後ですけれども、かねてから私どもが求めております、請願の提案者から直接請願の趣旨説明を行っていただくこと、これは改善が必要だということで引き続き提案をさせていただきたいと思います。
それから、具体的にですけれども、私は旧優生保護法下の強制不妊手術の問題も取り上げさせていただきました。京都府では、現在89名がその対象ということで、うち13名の個人を特定する資料も既に公開をしておられますけれども、いまだに全容は明らかになっていないというふうにお聞きしております。現在、当事者の皆さんが尊厳を求めて賠償請求を求める裁判に立ち上がっておられるところですけれども、改めて府として1日も早い被害者の皆さんの実態の解明、それから被害者の皆さんへの、国の謝罪と救済を実現させるために、府としての相談体制の確立と被害者の皆さんに寄り添った支援、これが必要ですので、求めさせていただきたいと思います。
それから取り上げたのが、精神障害者の医療費助成の問題、救急医療体制などの支援の拡大促進についてですけれども、精神障害者が地域で治療をしながら安心して暮らせる環境をどうつくっていくのか。とりわけ、精神障害者の救急の入院体制について、現状の改善が必要だということも求めさせていただきました。丹後医療圏では、府立医大北部医療センターでは不十分なので、舞鶴医療センターなど中丹医療圏で対応しているというふうな現状だということも明らかになりましたけれども、丹後医療圏においても入院体制を整えていただいて、精神科救急医療体制を整備されるよう、これは改めて求めていきたいと思います。
また、経済的負担の軽減、移動の権利の保障のためには、精神障害者の運賃割引制度の拡大も喫緊の課題となっています。JRなどの事業者に対して運賃割引の対象を精神障害者にも拡大されるよう、さらに国の努力とともに府としても積極的に働きかけに努めていただきたいと思います。
それから、これは一般質問でも取り上げましたけれども、性的マイノリティーの人たちの生きづらさの問題についてですが、京都府では現在、そのための研究会を立ち上げて、当事者から聞き取りなどを継続して行っておられるということもお聞きしました。この問題では、本会議を含め各会派の皆さんも同じ立場で取り上げてこられたことでもありますので、引き続き、府として茨城県のようなパートナーシップ条例などの全府県の先を行くような積極的な施策を実施していただいて、発信をしていただきたいと思います。そのことで、性的マイノリティーの当事者の方々がいろいろな人がいていいんだと、京都府はみんなを大事にしているんだというそういうふうに思っていただけるかと思いますので、そういうアピールもしていただきたいと思います。
それから、こども文化会館の存続についてですが、昨日も質疑をさせていただきました。9月のあり方検討会の報告書では、廃止を視野に入れた内容で、その前提で既に財産無償貸付けの議案においても1年間のみとなっています。これまでのこども文化会館が、子どもたちの文化・芸術活動において演劇や合唱などにとどまらず、さまざまな側面から多大な役割を果たしており、それはどなたも否定はできないものだと思っております。しかも、「こども」という名前が冠された文化会館は、府内には1カ所のみだと思いますので、この間、京都府も京都市も同会館への補助金の削減や耐震改修などの本来求められる支援を怠っておきながら、役割が終わったとするのは大問題だと思っております。文化庁誘致には熱心ですけれども、足元の子どもたちへの文化・芸術活動の拠点としてのこの会館は、やはり存続をしていただくと。府市協調のもと、拠点にふさわしいさらなる支援を行うようにということで、強く求めておきたいと思います。
終わりにですが、理事者、事務局の皆さんの御健勝、御健康を心から祈念いたしまして、まとめとさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
◯成宮委員 まず、中川委員長、片山、諸岡両副委員長、そして委員の皆さん、お世話になりました。理事者の皆さん、大変お世話になりありがとうございました。この委員会は、命や健康、福祉、また貧困対策、子ども、高齢者、障害者など府民に直接かかわる委員会として、大変重要な委員会に所属をさせていただきました。
地方自治法には、地方自治体の役割というのは住民の福祉の増進というふうにありますから、まさに京都府政にとって1丁目1番地、重要な委員会であるということで私も緊張して当たると同時に、私自身は特にどんな問題でも、課題でも、現場や当事者の声を聞いて届けようと努力してきたつもりです。その立場から大きく2点、発言したいと思います。
1つは、西脇知事も子育て環境日本一と掲げられていますが、その中身を当事者の皆さんが本当に実感できるようなものにすることが課題です。府民の皆さんと一緒に、子どもの医療費を中学校卒業まで無料にという運動や世論を広げてきました。このたびこの9月から、3歳から15歳までの通院の医療費窓口負担が、月3,000円までだったものが1,500円に下がるということになりました。京都市も同じ制度にするという予算が出ております。
お母さんたちがどう思うのかなと思いまして、早速子どもが通う保育園のお母さんたちに「9月から1,500円になるんだけれども、どう思う」と聞いてきました。70人ぐらい、話をし、大多数のお母さんが、「下がるの、うれしいわ。よかった」と言って喜んでくださいました。2月の半ばでしたけれども、70人のうちの3人の方が既に知っておられて「知っているよ、よかったね」と。同時に、「でも、京都市以外はずっと200円のところもあるよね。無料のところも、高校卒業までというのもあるんですよね」と。「1,500円は中途半端だな。ぜひ、もっと下げてほしいな」とやっぱり大多数のお母さんがおっしゃるんですよね。その声を必ず届けますと言って約束をしてきたので、ここでもお伝えしたいと思うんですけれども、ぜひこれは、京都府、京都市共通の課題ではありますけれども、無料化を目指したさらなる拡充を求めたいというふうに思います。
あわせて、子育て環境の議論の中でも、やっぱり社会全体、政治の全体が、子育てや教育を丸ごと応援してくれるよ、自己責任じゃないよという安心感が今、必要になっているんじゃないかなと思うんですね。そういう点では、貧困と格差が広がる中で、給付制の奨学金をつくってお金の心配なく大学に行ける社会にしていくことだとか、またこれは他部局ですが、全員制の温かい中学校給食を府内のどこでも子どもが食べられるようにするだとか、そういうさまざまな具体的な課題があると思います。本府としてもぜひ役割を積極的に果たしていくことを求めたいと思います。
あわせて、子育てをめぐっては、特に働くこととの両立を考えたときに、やっぱり必要な場合に誰もが安心して保育所に入れるというのが、待ったなしだなと思います。京都市では、2月の終わりに保育所に入れる、入れませんの通知が行って、ちょうどこの3月1日に保護者のところに届くというふうになりました。私の友人でも、子どもが同級生なんですが、卒園してしまう。下の子どもさんが残念ながら保育園を落ちてしまったというお母さんの相談があって、今、走り回っているんですけれども、なかなか何ともならない事態もあります。京都府域全体においても、保育園の待機児童が、去年の4月1日時点では75人、それから潜在的待機児童が747人というお答えが本会議でもあったかと思います。本府として、市町村と連携しながら、思い切って認可保育所をふやしていくことが、引き続き求められると思います。
また、そのためにも、保育士の処遇改善が本当に待ったなしになっています。国が規制緩和をしていくという方向で、企業主導型保育事業だとか小規模だとかを進めていく流れですが、そうではなくて、よりよい保育を保障していく。そのためには保育士をしっかり確保していくということで、処遇の改善の責任を行政が果たしていくことが大事になっています。
それから、児童虐待防止対策、児童相談所の体制・機能強化についてです。
全国で本当に悲しい事件が相次ぐ中で、もうこれ以上1人も虐待で命を奪われる子どもがあってはならないと多くの皆さんが願っておられると思うんですけれども、行政として求められるのは、体制の強化だと思います。この間の市町村との連携や保護者への研修等も非常に大事ですが、それを担っていくのは、現場では人の問題ですから、マンパワーです。正規雇用、非正規雇用の皆さんが、現場で支えておられますが、その皆さんが身を削って必死に支えているという現状をやっぱり抜本的に変えていく本府の責任が果たされるべきというふうに思います。一時保護所の整備、環境改善も含めて求めておきたいと思います。
それから、もう1点は、原発再稼働とそれをめぐる原子力災害避難計画、また避難者支援の問題です。3.11東日本大震災福島原発事故から間もなく8年を迎えます。政府が進める原発再稼働方針ですけれども、輸出も次々できなくなる、ビジネスとしても、もう成り立たないという声が上がるなど、本当に行き詰まっている。そういう中で、国内では本府のすぐお隣、若狭湾岸でも再稼働が次々と進められていますけれども、その大きな矛盾の中にあって、再稼働を前提にした避難計画というのは、どうしてもその矛盾が露呈してしまうというのが今の状況だと思います。どうしても、全住民の被曝を防ぐにはほど遠い実態になっている。その狭間で、担当の職員の皆さんが大変努力されていると思うんですけれども、やはりこの根本の矛盾があるということで、本府として、再稼働を容認するのではなくて再稼働中止という声を上げていく必要があると考えます。
また、そのもとで何としても子どもを守りたいというお母さんたちが、安定ヨウ素剤の事前配布等の運動やさまざまな取り組みを広げておられますが、この声にも真剣に耳を傾けていただきたいと思います。
あわせて、今、国は2020年避難者ゼロを掲げて避難者への住宅支援等も次々と打ち切っていくということになってきており、これは本当に大問題だと考えます。今、京都でも、それから全国各地でも原発避難者による賠償訴訟が続いておりまして、京都でも、それから先日は神奈川でも東京電力とともに国の責任を認めて、賠償についても命じるということになってきております。
そういう中で、国と一緒になって避難者への支援を次々、打ち切っていくということではなくて、本府独自にも支援の継続や再建を求めたいと思います。あわせて、避難者への健康診断が本府で民間の医療機関などを初めとして継続をされてきている、手弁当で行われているということも本委員会でも紹介し、支援も求めたところでございます。ぜひ、こうした声にも耳を傾けていただければと思います。
最後に、改めて理事者の皆さん、本当にお世話になり、いろいろと教えていただきまして、ありがとうございました。ぶしつけな物の言い方もあったかと思いますけれども、申しわけありませんでした。心から感謝と敬意を表したいと思っております。本当にありがとうございました。
◯島田委員 1年間、大変お世話になりました。ありがとうございます。
何人かの委員からもお話がありましたが、重要課題調査としての参考人質疑は大変有意義でありました。隆生福祉会の藤本理事長の介護職員の働く環境づくりの課題や、大阪教育大学の小崎准教授の「育児も仕事も人生も笑って楽しむ父親が社会を変える」と題したお話は、非常によかったです。意見交換もできてよかったです。
男性が育児をしない社会の悲劇に児童虐待があり、そして高齢者虐待にまでつながっているという御指摘で、統計資料もあって、本当にそうだなということで、育児時間をとるとか育児休業をとるとかという単純な話ではなくて、やっぱり本当に子育てを社会全体で応援をしながら、男性も女性もやはり人間らしく生きていくという環境づくりがないとだめだなというふうに思います。
男性が追い詰められている、みずから命を絶つ、女性が追い詰められていると子どもの虐待、子どもが追い詰められている、みずから親をあやめる、家族が追い詰められている、家族であるがゆえの問題、男性が育児できない社会の功罪もこのように言われたんです。各段階によっていろいろと施策はあるかと思いますが、根本的には男性を家庭に戻すという、長時間労働の是正とかそんなことにもありますし、京都府でも職員がどんどん減らされまして、皆さん、本当に過酷な労働を強いられておりますが、こんな問題もやっぱり解決をするべきだなというふうに思いました。
管内調査では、地域福祉支援センター宇治小倉の障害者支援の取り組み、管外調査では静岡市の児童相談所での里親の取り組みなど、非常に印象深く残っております。さまざまな課題の解決の糸口や政策化においてその回答は現場にあると思っておりますが、委員長初め、事務局の皆様の御尽力で、たくさんのことを学ばせていただきました。本当にありがとうございます。
みずからの1年間の質問なども振り返ってみましたが、先ほどもありましたが、今年度はたび重なる災害が発生し、昨日も議論しましたような、災害から住民の命や財産を守るための自治体の役割が鋭く問われた年であったと思います。
大阪北部地震後の議会で私自身、本来安全であるべき学校のブロック塀が倒れて、9歳の女の子が亡くなったり、登下校を見守る高齢者の方が亡くなったということを取り上げまして、これから何を教訓として学ぶのか質問もいたしましたが、「第2次京都府戦略的地震防災対策指針及び推進プラン」等では、ブロック塀の問題なども過去の地震災害等を踏まえて計画もあったし、点検がされていたはずなのに見逃されていた。この点で緊急点検や建築基準法違反などの実態調査を行い対策をするよう要望いたしました。その後、国も予算をつけて、学校に限らず府内市町村で通学路上の安全点検などが取り組まれて、順次、改修が進んでいることは評価をするものです。
また、昨日議論いたしましたが、災害対応の総合的な検証における住民避難、被害未然防止、そして被害を最小限にするための基盤整備、情報伝達のあり方、職員体制の確保、帰宅困難者や要配慮者の避難と避難者のあり方など、検討すべき課題も順次整理をされてまいりましたので、引き続き、専門家の御支援をいただきながら、市町村と連携して早期の計画の策定と必要な財政の確保、支援を求めておきたいと思います。
また、私は、重度障害児(者)在宅生活支援事業及び民間社会福祉施設サービス向上補助金の廃止問題について、取り上げてまいりました。各事業所で大変な運営等の困難もございます。医療的ケアの必要な障害児(者)の生活の保障、さらには法人の安定的な運営に寄与した事業の廃止で、障害者に対する支援が後退させられかねないことを指摘もしてまいりました。その後、実態調査も進んでいると思いますが、先ほどは時間がありませんので質問を行いませんでしたが、今後、引き続き現場の声をしっかりお聞きになって、京都府が行った施策が現場にどのようにあらわれているのか、そこまで責任を持って現場の調査を行いながら、必要な改善を要望しておきたいと思います。
介護保険問題。制度発足から20年になりますが、保険料は2倍になったのに制度見直しのたびにサービスが切り捨てられ、給付の対象を狭める改悪が行われてきました。介護保険制度の生みの親である厚生労働省の初代老健局長の堤修三さんが、「団塊の世代にとっては国家的詐欺となりつつある」とそのようにまで批判されるような、保険あって介護なしという現状が広がって、府民の困難を広げていると思います。
日本共産党府会議員団といたしましては、高齢者の暮らしの実態アンケートに取り組んでおります。なかなか声を上げられない方々や孤立している方々がいる、誰一人置き去りにしないという点で、これはまず歩いてみなきゃわからないということでアンケート調査に入りました。
医療や介護の負担がのしかかり、低い年金、高い保険料、がんや難病医療の負担、加えておむつ代や介護用品レンタル料、通院のタクシー代など保険外の負担も非常に大きくのしかかっております。特別養護老人ホームに入れない、難病でも病院を転々としなければならない、地域で通える病院がない、老老介護、介護離職、家族に難病や障害を抱えているなど複合的な課題を抱えられている事例がたくさんありました。行政の相談にまで行きつかないという事例があります。地域包括支援センターの体制を強化して、出ていってそうした方々の支援を行う。あるいは、保健所等の体制も強化して、こうした方々に手を差し伸べる、そうした体制が必要と実感をいたしました。
認知症でひとり暮らしの高齢者も、ヘルパーさんたちの援助で何とか地域で暮らしておられる中で、質問もいたしましたように国がそのヘルパーさんたちの生活援助を制限するなどが、さらに困難を広げております。ぜひ、国への必要な見直しの意見を上げて、そのために京都府では実態調査で利用者の声などもつぶさに調べていただいて、まとめて報告をいただいておりますので、それらを踏まえて府民の目線でぜひ、頑張っていただきたいと切に願います。
最後に、周産期医療体制と医師確保についてです。
4月から府立医科大学と京大病院から舞鶴医療センター並びに京丹後市立弥栄病院に小児科のお医者さん、産婦人科のお医者さん、常勤医4名が派遣されることになって、非常にうれしいです。周産期医療体制がこのままでは崩壊しかねないとの現場の声もお聞きをして、お伝えをし、何度も当委員会でも取り上げてまいりました。2つの大学病院があるのに、京都府のリーダーシップをどう果たすのかということも言いましたけれども、先ほど申し上げました医療過疎地域の支援も含めて、しっかりリーダーシップをとって、どの地域に住んでいても安全で良質な医療が提供できるように京都府の努力を求めておきたいと思います。
国保都道府県化問題では、高過ぎる国民健康保険料の問題、国保の構造的問題は解決できないことがはっきりしてまいりました。特に、国保でいいますと、均等割。赤ちゃん、子どもたち、収入がない人に保険料が均等でかぶせられるという、これは少子化対策にも逆行しておりますし、協会健保あるいは共済健保などそういう保険にはない制度でこれは一刻も早く廃止をして、国からの必要な国保支援をいただきたいと思いますし、これは自治体独自に取り組みも広がっているので、京都府としてもぜひ検討をいただきたいと思います。
以上、要望をいたしまして、まとめといたします。1年間、ありがとうございました。
その他
下記のとおり発言があった。
◯島田委員 意見書1つ、決議1つです。福祉職員の大幅増員と賃金の引き上げを求める意見書、児童相談所職員の大幅増員を求める決議、以上2本を提案させてもらいます。お願いします。