平成31年府民生活・厚生常任委員会閉会中 所管事項の調査 – 2019年1月16日〜島田敬子府議と成宮真理子府議の質疑応答部分

下記のテーマについて、理事者及び参考人から説明を聴取した後、質疑及び意見交換が行われた。
・誰もが仕事と私生活を両立できる環境づくりについて
  ~育児も仕事も人生も笑って楽しむ父親が社会を変える~

 

中川委員長  まず、所管事項の調査についてでありますが、本日のテーマは「誰もが仕事と私生活を両立できる環境づくりについて~育児も仕事も人生も笑って楽しむ父親が社会を変える~」であり、参考人として、大阪教育大学教育学部准教授の小崎恭弘様に御出席いただいております。よろしくお願いいたします。
 本日は、大変お忙しい中にもかかわらず、本委員会のために、快く参考人をお引き受けいただき、まことにありがとうございます。
 小崎様におかれましては、兵庫県西宮市役所で初の男性保育士として12年間勤務された後、平成26年4月からは現職の大阪教育大学教育学部の准教授として、父親や家族のあり方について研究・指導される一方で、「父親であることを楽しもう」の理解・浸透を目的に平成18年に設立されたNPO法人ファザーリング・ジャパン[https://fathering.jp/]の顧問として、講演会やセミナーを通した普及啓発、男女共同参画のための支援者の養成などに御尽力されています。
 また、本府においても京都少子化対策総合戦略会議の委員として施策への御助言等もいただいているところです。
 本日は、そういった日ごろの取り組みを踏まえたお話をお聞かせいただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、初めに理事者からテーマに係る説明を聴取いたしますが、説明の準備が整うまで、しばらくお待ち願います。
 それでは、まず理事者から説明を聴取いたします。説明は簡潔、明瞭にお願いいたします。

足立府民生活部男女共同参画監  男女共同参画監の足立でございます。座ったまま説明をさせていただきます。
 それでは、テーマに関する説明でございますが、お手元の資料、もしくはスクリーンをごらんいただきたいと思います。
 まず、男性の家事・育児への参画状況でございますが、今回のテーマは「誰もが仕事と私生活を両立できる環境づくりについて~育児も仕事も人生も笑って楽しむ父親が社会を変える~」でございまして、ワーク・ライフ・バランスはもちろんのこと、女性の活躍や少子化対策を進めるに当たりましても男性の積極的な家事・育児への参画を進めることは大変重要な課題となっております。
 資料1にございますとおり、女性の就業者につきましては、この5年間で201万人と急速に増加をしておりまして、共働き世帯数が、妻が専業主婦である片働き世帯の2倍となるなど、社会の構造が大きく変化をしてきております。
 しかしながら、その次の資料2にございますとおり育児休業の取得率、これにつきましては、女性が83.2%であるのに対しまして、男性は5.1%にとどまっており、男性の育児参画はまだまだ進んでいない現状がございます。
 また、次の資料3、こちらは週に60時間以上働く者の割合をあらわしておりますが、全国平均で女性が4.3%に対しまして、男性が13.1%となっており、特に京都府におきましては男性が13.9%と全国ワースト4位となっており、中でも子育て期に当たる30代・40代前半の男性の割合が著しく高くなっております。長時間労働により家事・育児等への男性の主体的な参画が困難となっており、また家事・育児等の負担が女性に集中することにより、女性が仕事と生活を両立することを難しくしているという状況にございます。
 また、御承知のとおり、少子化の進行は地域社会の活力の低下をもたらすなど、重大な社会的課題でございます。京都府におきましても、平成28年の合計特殊出生率が1.31と、全国ワースト4位となっており、少しずつ上がってきてはおりますが、依然として少子化が進行しているという状況にございます。
 続いて、資料4をごらんください。子どもがいる夫婦の夫の家事・育児時間が長いほど第2子以降の出生割合が高いというデータがございます。家事・育児等への男性の参画は少子化対策にとりましても大変重要です。
 その次の資料5にございますとおり、現在、男性の家事・育児に費やす時間は日本では1時間23分と、世界的に見ても最低水準にございまして、特に京都府におきましては週当たりの男女間の育児・家事時間の乖離が47都道府県の中で最も大きくなっているという現状にございます。家事・育児などの役割は男女がともに担うことが大切であり、そのためには長時間労働を前提とした働き方を見直して、男性も家族の一員としての責任を果たすことができる環境をつくることが必要です。府民1人1人が仕事上の責任を果たしつつ、家庭生活や地域活動なども充実させるために、また育児や介護等により時間に制約のある人がともに働き続けるためにワーク・ライフ・バランスの実現が喫緊の課題となっております。
 続きまして、女性活躍推進拠点「京都ウィメンズベース」におきまして実施をしております本日のテーマに関連する取り組みにつきまして説明をさせていただきます。
 資料6をごらんください。京都府におきましては、女性活躍推進法の成立に先駆けまして、平成27年3月、経済団体を中心とする各種機関や大学と京都市、京都労働局等の21団体の連携によりまして「輝く女性応援京都会議」を設立いたしております。本会議を女性活躍推進法に基づきます協議会として位置づけますとともに、本会議におきまして平成28年3月に策定をいたしました京都女性活躍応援計画を、女性活躍推進法に基づく京都府並びに京都市の推進計画としても位置づけているところでございます。
 そして次のページ、同じく資料6でございますが、輝く女性応援京都会議における女性活躍の推進拠点といたしまして、平成28年8月に京都ウィメンズベースを烏丸御池に開設いたしました。官民連携の協議会としての女性活躍の推進拠点の設置は全国で初めてでございます。京都府、京都市、京都労働局、京都商工会議所が事務局を担いまして、それぞれの強みを生かしながら、中小企業におけるワーク・ライフ・バランス、女性活躍など、さまざまな事業を実施しているところでございます。
 本日のテーマにございます誰もが仕事と私生活を両立できる環境づくりにつきましては、男性社員の意識改革はもちろんでございますが、何よりも企業、そして経営者の理解がないと進みません。
 その次の資料7、10ページ、11ページでございます。京都ウィメンズベースにおきまして実施しております働き方改革やワーク・ライフ・バランスの推進に関する事業を紹介させていただいております。ワーク・ライフ・バランスの取り組みにつきましては、女性活躍とワーク・ライフ・バランス、これは男女共同参画の両輪でもございますことから、京都テルサにございました京都ワーク・ライフ・バランスセンターをウィメンズベースに統合いたしまして、女性活躍とワーク・ライフ・バランスの実現のための女性活躍推進法に基づく事業主行動計画の策定支援、そして京都ワーク・ライフ・バランス推進企業認証制度を通しまして仕事と子育て、介護等との両立や働きやすい職場環境づくりに向けた専門家による助言、ワーク・ライフ・バランス推進企業と求職者等とのマッチングなどを実施しているところでございます。
 また、共働き家庭の増加や、晩婚化による晩産化等によりまして、育児と介護が同時に進行するダブルケアなど新たな課題も出てきている中で、健康福祉部とも連携をしながら企業を対象としたシンポジウムや相談など、仕事とダブルケアの両立にも取り組んでいるところでございます。
 一方、企業におけるワーク・ライフ・バランスの取り組みは経営トップや上司の方の意識によるところが大変大きいことから、経営者や管理職、人事担当者などを対象としてワーク・ライフ・バランスの推進や働き方改革をテーマとしたセミナー、研修などを実施いたしております。
 その他の取り組みといたしまして、同じく資料7でございますが、昨年度、組織のトップの大半である男性が女性活躍に対するみずからの思いや取り組みを発信することによる機運の醸成を図るため「京都女性活躍応援男性リーダーの会」を結成いたしまして、企業の女性活躍に係る取り組みにつきましての情報交換会などを開催したところでございます。
 また、資料8でございますが、平成30年度の京都ウィメンズベースの事業全体の概要を載せておりますので、後ほどごらんいただければと思います。この間、企業様からは昨今の人手不足の折、取り組みにかける人的な余裕がない、またノウハウを持っていない、ワーク・ライフ・バランスの推進のメリットがわからないなどのお声を頂戴している一方で、府の取り組みによりまして、社員全体の働き方の見直しや、社員の定着、モチベーションのアップにつながったというお声も聞いており、男女を通じた働き方改革に取り組みたいと考えておられる中小企業経営者の方もふえてきていると実感しているところでございます。
 今後とも行政と経済団体を初めとするあらゆる団体・組織との連携のもと、女性活躍と表裏一体である男性の家事・育児など家庭生活への参画などが促進をされるよう、働き方の見直しなどの取り組みを継続して行ってまいりたいと考えているところでございます。
 以上で説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。

中川委員長  ありがとうございました。次に、参考人の御意見を拝聴いたしたいと思いますが、説明の準備が整うまでしばらくお待ち願います。
 それでは、小崎様、よろしくお願いいたします。

小崎参考人(小崎恭弘 大阪教育大学教育学部准教授、NPO法人ファザーリング・ジャパン顧問)  大阪教育大学から参りました小崎と申します。きょうは、どうぞよろしくお願いいたします。
 また、このような機会をいただきまして本当にありがとうございます。僕は父親支援ということを専門にやっておりますが、行政にさまざまな影響を与える議員方の前でお話をさせていただけることを非常に光栄に思っております。
 きょうのテーマ、今もお話がありましたが「誰もが仕事と私生活を両立できる環境づくりについて~育児も仕事も人生も笑って楽しむ父親が社会を変える~」ということで、父親の育児、あるいはそれにかかわる生き方についてのお話を少しさせていただこうと思っております。時間が40分ぐらいということで、結構ボリュームがあるので少し早口でお話をさせていただきたいと思います。
 もともと兵庫県西宮市で男性保育士をしておりました。その間に育児休暇を3回とって、その2つから自分自身の経験を踏まえて、男性が育児にかかわっていくことを研究テーマにしております。今、大学では家庭科の教員養成にかかわっております。
 もともと幼稚園・保育士の教員養成にいたんですが、大阪教育大学では家庭科の教員養成におります。家庭科に保育があるというのは御存じですかね。家庭科といえば、調理実習であったりとか服飾で小物をつくるというのがあるんですが、実は家族・保育領域というものがございまして、次の世代の親を育てていくということが家庭科の一つの大きな柱で、それを教えております。今はNPO法人のファザーリング・ジャパン[https://fathering.jp/]あるいはファザーリング・ジャパン関西の顧問をしております。
 父親の育児の話をする前に、やはり今、社会全体を見ていくと家族が大きく揺れているということがあるかなというふうには思います。家族関係学というものを大学で教えているんですが、そもそも今はもう家族の定義が非常に困難で、「家族とは」といっても誰も定義ができない状況になっていると思います。それはなぜかというと、この社会が大きく変化していく中で、家族ということが捉えにくくなっているということが言えるかなと思います。
 例えば、晩婚、未婚、非婚の進展であったりとか、いわゆるできちゃった婚、おめでた婚と言われているんですが、昔は少し考えにくかったのですが今は婚姻全体の3割ぐらいは、いわゆるおめでた婚というふうに言われております。その中で、日本というのは結婚・出産という順番を守る国なんです。このおめでた婚というのも、実は期間が短いだけであって、結婚・出産の順番は一緒なんです。例えばフランスとかで言うと、いわゆる結婚を前提としない子どもたちが半数ぐらいいるので、これは東アジア特有の家族像があるのかなと思います。
 どういうことが言えるかというと、つまり結婚しないと子どもが生まれないというのが日本の大きな特徴であると思います。それでは、結婚すればいいのかというと、実は今、離婚もすごく多くなってきていて、最近ちょっと学生と話をしていて、学生が驚いたんですけれども、結婚・離婚にまつわる数字で「36」「16」「9」という数字が注目を浴びています。何かというと、この36は離婚の1年間の割合です。結婚全体の中で36%が離婚をすると。それから、16というのはどちらかがいわゆるバツイチ、離婚経験のある御夫婦です。9%は両方がバツイチ、いわゆる離婚経験があるというふうになってくると、離婚が絶対だめということではないんですけれども、この数字一つを見ても従来の結婚観と大きく変わってきているのかなというふうには思います。
 そのように考えると夫婦になっていくことの難しさ、あるいは家族をつくることの難しさということが今の社会の大きな特徴である。昔は簡単に言えば結婚すれば夫婦、子どもが生まれれば親子・家族と定型化していたと思うんですけれども、今は夫婦になる意識・努力、家族をつくっていく意識・努力・取り組みが非常に必要ではないかというふうには思います。
 例えば、それが1つわかりやすいのは、これは青いグラフがいわゆる共働き家庭、赤いグラフが専業主婦世帯です。昭和55年、1980年代というのはもうごらんのとおり専業主婦が共働き世帯の倍いました。それが1995年、平成10年ぐらいに同数になって、現在は共働き世帯がいわゆる専業主婦世帯の倍いると。これがちょっとやっぱり年配の方、いわゆる経営者層の方々に一番御理解いただけていない感じがします。つまり、自分が頑張っていたときは専業主婦の方、奥さんがいて男性は仕事さえすれば全てよかったんですけれども、今はそうではない。つまり、今の1つのスタンダードは、ともに働き、ともに育てる夫婦・家族であるということが言えるのではないかと思います。
 それでは、何でこの昭和50年代は専業主婦が多くいたのかというのも非常に簡単で、男性が雇用環境・労働環境で圧倒的優位性を保っていたからです。これは何かというと、日本型雇用ということで、いわゆる一生その会社に勤める、あるいは終身雇用の前提の中での右肩上がりということで、年功序列の中で出世して給料も上がっていくというふうに言われていたんですが、それが大ぶん崩れてきていると言えます。
 これは何かというと、20代、30歳未満の単身者の男性・女性の可処分所得です。1989年から見ていると、もう圧倒的にやっぱり男性の方が優位なんです。これは何が言えるかというと、「誰のおかげで飯が食えているんだ」「誰が養っていると思っているんだ」というのが昭和の男性の1つのあるべき姿、家族のあるべき姿なんですが、大ぶんそれが崩れていると。これは、2010年に初めてわかったんですが、可処分所得は女性の方が少し上になりました。これは日本の労働史上初めてです。この後、また男性が上になったんですけれども、どういうことが言えるかというと、やはり女性の職業あるいは労働環境がかなり改善されてきたのではないかと言えます。これは男性の給料を100とした場合、昭和というのは、ちょっと乱暴な言い方をすると女性は50、半分の給与です。平成に入って60%、現在は75%ぐらいまでは来ていると思います。
 ただ、これでもやっぱり25%引きというのはおかしいとは思います。同一労働、同一賃金の法改正等の話が出てはいますが、それでも男女の差はあるんです。それでも女性の労働条件がかなり改善してきたということが言える反面、これをひっくり返すと何が言えるか、若年男性の雇用環境、労働条件が非常に厳しいと思います。だから、「誰のおかげで飯が食えているんだ」というのは、もう言わないほうがいいと僕は学生に言っているんです。それを家で言ってしまうとどうなるかというと、奥さんがパッとこっちを向いて、「えっ、私」という話になる時代が来ているのかなと思います。
 そのような中で子育て支援ということが社会の中で注目を浴びるようになりました。これは子どもを育てていく大変さということがあるとは思うんですが、子育て支援法の中で子育て支援ということが明確に定義をされました。基本理念のところで、これは日本の歴史上初めて出たんですが、「父母その他の保護者が子育てについての第一義的責任を有する」という基本認識、この文言はそのまま児童福祉法の改定にも引き継がれております。
 今は子育て支援、あるいは保育が非常に多様化し、サービスが充実していく中で、子どもを育てる責任は誰にあるのかという議論がありましたが、今、明確にやはりそれは保護者が第一義的に担うと。ただし、それができない場合は社会の中で、そこを担っていくというふうにはなってはいます。
 この子育て支援が社会的に求められるというのは決していいことばかりではなく、その背景としては、やっぱり子育ての閉塞感、それから一番多いのは児童虐待の増加だと思います。これは後にも話が出てきますが、1990年は全国での通報件数が1年間に約1,000件です。それが、去年、一昨年、130,000件になってきました。これは虐待に対する意識が高まったということも言えると思うので、増加イコール全てがダメというわけではないと思います。ただ、増えていることは決していいことではないと思います。
 それから、家族の多様化ということで家族像が非常に多様化していく中で、離婚であったり、母子家庭・父子家庭のひとり親家庭が増えていく、あるいは先ほども言いましたが婚姻を前提としない家族というのも増えていると言えると思います。
 それから、これらを受けて、いわゆる税金等のコスト意識ということで、市民サービスとして、公共セクターが子育て支援に非常に力を入れているということが言えると思います。
 それから一番下ですが、行政のサービス意識の拡大ということで、もう今は子育て支援を標榜していない自治体はないと思います。そういうふうに思うと、今、自治体の子育て支援のメニューというのは全国で非常に均等化されてきました。サービスの充実という言い方はできると思うんですが、余り特色がなくなってきたという言い方もできるのかなというふうには思います。
 そういう子育て支援ということが理論化していく中で、子育て支援は4つの大きな視点で語られるようになってきました。「子どもの育ちということを支援する」「親の子育てを支援する」「親子の関係性を支援する」「社会環境を整備する」、この4つの大きな視点で子育て支援が今、語られていると思います。
 上から下に行くほど高度で難度が高い、あるいは行政の関与が大きいという言い方ができるのかなとは思います。そういうふうに考えると、今の子育て支援というのは、家族を支えていくという視点が非常に重要にはなってきています。ただし、先ほども言ったように、メニューが非常に多様化し、あるいは充実していく中で、今の子育て支援は、ほぼ飽和状態になっていると思います。多分、皆様の地域にも子育て支援センターがあり、それから子育て支援にかかわる人員であったりとか場所も非常にたくさんある。あるいは子育て支援の担い手であったり、いろんなメニューもふえているというふうには思います。
 ただし、じゃあ少子化が解決されたかというと、残念ながらそれは先ほどの御説明にもあったように解決はなされてはいません。今、子育て支援ということが、何をしたらいいかがわかりにくい中で、新しい顧客の創造が起きました。それが父親であると思っております。
 この父親支援という言葉は、実は言っている人間がほとんどおりません。昨年ですが、日本の父親支援をまとめた本を1冊書かせていただきました。それが多分日本で初めての父親支援をまとめた本であるとは思いますが、父親支援というのは父親が本来の力を発揮できるようにするためのプログラム、あるいはその環境の整備と考えております。
 僕は父親支援というのは、子育て支援の延長線上にありながら新しい4つの視点、軸が入っていると思います。それが赤印で示している「エンパワーメント」「パートナーシップ」「ワーク・ライフ・バランス」「ネットワーク」です。
 まず1つ目、父親が子育てについての正しい知識、理解、価値感を得られるように父親をエンパワーメントすること。
 それから、父親と母親がパートナーシップを理解して、夫婦ともに子育てができるようにしていくこと。
 それから3つ目、これは非常にわかりやすいんですが、父親の育児の話をするときに、どうしてもやっぱり企業、働き方の話が出てきます。そういうふうに思うと、父親が仕事や生活、家庭、地域とのかかわりができるようにワーク・ライフ・バランスを意識した生活者になること。
 それから4つ目、父親自身が積極的に育児や家庭生活の主人公として暮らしていけるよう、地域社会の環境に対してかかわりやネットワークができるようにすること。この4つが父親支援における非常に新しい特徴ではないかと思っております。
 このエンパワーメント、パートナーシップ、ワーク・ライフ・バランス、ネットワークというのは、母親あるいは子育て支援全体でも意識はされていたんですが、余り強く意識はされていませんでした。従来の子育て支援が、どちらかというと母親支援であり、それから子どもとの育ちを包括しているという中で、根本的な転換にはなりませんでした。しかし、今まで育児をしていなかった父親が子育て支援に入ってくることにより、今までのロジックが大きく転換していくと思っています。
 そういうふうに考えると、父親が育児にかかわっていくためには、企業であったり社会であったりという、そもそも前提としているものを変革していく必要があるということに行き着くのではないかというふうに思っております。
 その中で、いわゆる2010年に「イクメン」ブームが起きました。2011年の流行語大賞にノミネートされました。この流行語大賞にノミネートされると、基本的にはもう次の年にはみんな忘れ去られていくんですけれども、イクメンは残った言葉だと思います。積極的に育児を行う男性ということなんですけれども、じゃあ積極的にすればイクメンかというと、なかなかそうでもないなと思っています。僕は、そこに責任と覚悟ということが必要ではないかと。子どもを育てることというのは、とても楽しくて、すばらしいことなんですけれども、そんなに簡単なものでもないと思っています。1人の人間をきちんと育てていくという意味では、責任と覚悟が必要ではないかと思っております。
 そういういろんな社会の流れを受けて、僕たちがやっているファザーリング・ジャパンというものができました。もう、できて12年です。代表の安藤も京都にも非常にたくさん来させていただいております。国のいろんな委員もやっていますし、僕は顧問を務めてはいるんですが、これは父親が育児を頑張りなさい、ちゃんとやりなさいというような団体ではないです。父親であることを楽しんでやっていこうというふうに思っています。やっぱり今まで父親というのは子育ての外にいた人間、直接かかわることがない人間だったものを、ぐっと子育ての場に引き寄せることによって、その間の母親、地域、企業、社会、みんなが育児にかかわっていけるのではないかと思ってさまざまな活動をしております。
 このように父親が注目される理由ということなんですけれども、背景としては幾つかあると思います。一つが少子高齢化です。何度も話は出ているんですが、これも2つあります。何かというと、父親が企業で働いているときに最初に何を考えるかというと、やっぱりこれからパイの縮小になっていきます。そういうことを意識していったときに、父親自身が少子化ということを意識するのと、みずからの社会保険であったり年金の問題、当事者として少子化ということを考えていく。
 それから2つ目と3つ目ですが、これは余りよくない話です。育てる側、育つ側が非常に困難な状況にあります。これは、さっきの児童虐待の問題もそうですし、それから少年自体が加害者、被害者にもなる少年犯罪というようなこと。今まで父親は「そんなもん、子育ては女の仕事やろう、俺は関係ないわ」と言えたんですけれども、先ほども言ったみたいに虐待が1年間に130,000件になると、決して父親は無関係ではないと思うんですよね。そういうふうに、やっぱり社会の子育ての不安定さが、父親が育児にかかわっていく要因になったと思います。
 それから4つ目は男女共同参画社会の到来ということで、男らしく、女らしくというのではなく、その人らしい生き方ということが求められるようになってきたと思います。聞くところによると、昔のうちの祖父母の時代は「風呂・飯・寝る」と言って1日生活できたと。これは考えてみると羨ましいですよね。うちの家で今「風呂」と言ったら、うちの奥さんは間違いなく「洗っておいて」と言うと思いますね。「飯」と言ったら「作っておいて」と言われますし、「寝る」と言ったら「布団を敷いて」と言われて。いいことやと思います。男性・女性というだけで生き方が決まる時代ではないということです。
 それから、企業の経営戦略と人材育成ということで、やっぱりワーク・ライフ・バランスであったりダイバーシティというふうに、多様化であったり、そのバランスのとれている生き方ということを企業が意識していく、あるいはそうじゃないと人が定着しない、集まらない、それから、もう少し言うと企業効率が上がっていかないという意味では、非常にここを意識されていると思います。
 それから6つ目は家庭内バランスということで先ほども言ったみたいに、働く女性が非常にふえていく中で、育児をしていく男性がふえていくのは当然ではないかと思います。
 それから7つ目はやっぱり男性自身の変革、意識の改革が起きたと思っています。昭和を簡単に言うと、水と安全はタダという時代だったというふうには思います。僕は去年50歳になったので、もう本当に昭和は自分自身もそうやったなと思っていました。ただ、今、水と安全がタダと思っている人間はほぼいないと思います。そういう意味では、社会全体の変化の中で男性がようやく家族であったりパートナーということを大切に思う、できる社会になったのかなと思っています。
 そうは言いながら、これは長時間労働、週60時間以上働いている人の割合ですが、やっぱり変わらず労働時間が多いのは誰かというと、20代、30代の一番の働き盛りです。働き盛りというのはどういうことかというと、多くは父親だというふうに思っております。
 これも何かというと、日本、スウェーデン、フランスの父親と母親の帰宅時間の比較です。スウェーデン、フランスというのは合計特殊出生率、一生に女性が子どもを産む数が2.0人以上。大体、人口を維持している国です。日本は1.3人から1.4人で、急激な少子化が進んでいるんです。そこを比較してみると非常にわかりやすいんですが、スウェーデンでは午後6時までに7割の父親が家に帰ってきているんです。フランスも実は一番多いのは午後6時までなんです。日本は一番多いのは午後8時かというと、よく見ると午後8時以降なんです。どうですかね、皆さんは何時ぐらいにお家に帰っておられるか。これは東京都の調査によると、東京都のサラリーマンの帰宅時間のボリュームゾーンは午後11時です。やはり日本の男性の長時間労働ということが際立つのではないか。
 これは、ちょっとカナダとドイツの研究者にこのデータを見せたら、彼らは「クレイジー」と一言、言っていましたね。日本だと別に当たり前なんですけれども、やっぱり世界的に見ると日本というのはやっぱり非常に変わった国であると。これは先ほども同じデータが出ていましたが、これも6歳未満の子どもを持つ父親の家事・育児時間です。乱暴な言い方をすると、世界のお父さんは3時間は家事・育児をしています。うち1時間は育児をしています。これは世界スタンダードです。日本は家事・育児は1時間23分の育児49分なんです。これは、実は1週間の平均なんですよ。平日だけ見ると、日本の男性は多分育児を30分もしていないですね。30分なら、ちょっと機嫌のいい隣のおっちゃんでも遊んでくれると思いませんか。そう思うと、これは男性を父親と呼んでいいのかどうかなんですよ。日本の男性というのは、非常にしんどい生き方、働き方をしている。
 保育士をしていると、どういう相談を受けるかというと、もう本当に子どもがパパになついてくれないと。「パパ、嫌。あっちに行って」とか、朝仕事に行くときに「パパ、また帰ってきてねと言って玄関で手を振られるんです、先生」と。けれども、これを見ると当たり前です。日本の男性たちのしんどさということが非常に見えるかなと思います。
 これも先ほど出ていました。2人目が生まれる条件というのは、1人目の時に父親がどれぐらい育児をしているかで2人目が生まれるのが決まってくる。一番下、父親が6時間以上育児をしている家というのは、もう8・9割近く2人目が生まれるんです。もう全く育児をしていない家というのは1割しか生まれない。それはそうですよ。1人目を産んで父親が何もしないときにママがどう思うかといったら、「こんなにしんどいことを2度とするか」と思うわけですよ。父親が育児にかかわってきたときに、「こんなに楽しいことをやっぱりもう1回したい」というふうになると、政策の中で考えていかなくてはいけないのは、1人目を産んでもらう政策と、2人目を産んでもらう政策というのは、やっぱりちょっと別になるのではないかと思います。
 今のをまとめていくと、日本というのは父親が家事・育児ができない、しない社会ということです。触れ合う時間がない、育児ができない、パートナーともかかわれない、父親がいないのが当たり前になっていきます。先ほどの男性の帰宅時間の話、スウェーデンは7割、お父さんが午後6時に家にいますよと女性の講演会でいうと、多くの人が「たまに早いのはいいけれども、毎日は嫌」と言われますね。日本はある意味女性もそれになれてしまっているのかなと思います。
 その中で何が起こるかというと、男性が家庭を作っていく力が弱くなる、あるいは家庭の問題に父親が対応できない。もっと言うと逃げます。僕は臨床系の大学院に行ったので家庭内の問題の話を聞いたりするんですけれども、ほぼ父親は出てこないですね。出てくると意外に解決するか、問題がややこしくなるか、非常に両極端になっていきます。そういうふうに思うと、いかに父親が家族の中でのキーパーソンになっているかということ、それから反対に母親の育児負担、家事の負担が非常に大きいということが言えるのではないかと思います。
 これまでの父親というのは、日本の中では2番目の親、遅れてまた親、母親のサポート、叱り役、最後に頼りになる、思春期に出てくるというような、まことしやかに言われているんですが、実はここら辺が研究では結構否定されています。思春期に突然出てきても何が起こるかといったら、おまえは誰やという話になるわけですよね。これというのは、母親の育児中心とか、精神的な支えとか、経済的な支えになってくるんですけれども、これは合理的に父親が育児をしなくていい根拠にされてきたと思います。つまり、仕事をすれば全てから許される免罪符を与えられるということで、父親の責任回避ということになってくる。このことがやっぱり僕は子どもにとって一番問題だと思っています。幼少のころに親と言うべき存在がいないということですからね。それから、母親イコール家事・育児、父親イコール仕事という固定化が根強くあるなとは思います。
 それがどういう問題を生んでいくかというと、ちょっとデータは古いんですけれども、オレンジのほうが自殺者全体の女性の割合、緑が男性の割合です。自殺はずっと30,000人台で続いていたんですが、今ようやく25,000人になりました。ただ、これはすごく問題やと思うんです。昭和40年代は交通事故と自殺で10,000人ずつ死んでいるんですよ。今、交通事故の年間の死亡者数がどれぐらいか御存じですか。びっくりしますよ。3,500人ですから、3分の1になっています。けれども自殺は3倍、2.5倍というふうになって全然減っていない。その自殺の圧倒的多数は男性、それも40代以上というふうに思います。もう自殺なんて成年男子の問題ですよ。
 もう1つ、男性が育児をしない社会の悲劇、児童虐待、先ほども言いましたように非常に数が増えています。1,000件が130,000件。これは誰がしているかというと、加害者の多くは女性です。ただ男性は増えてはいるんです。大体6割から7割が実母というふうには言われてはいます。ただ、これは家庭内統計なので、いわゆるママの彼氏とか父親じゃない人間が虐待した場合は母親のネグレクトというふうにカウントされるんで、ちょっとこれも問題ではあるんですけれども。それでは、これは母親が悪いのかというと、虐待の話をするときにやっぱり父親は出てこないんですよ。いかにも母親が悪いような論調があるんですけれども、いや、お父さんは何をしているのと僕なんかは思うんですね。
 さあ、もう1つ、大きな悲劇は何かというと、高齢者虐待がありますよね。これは、2006年には高齢者虐待防止法というものが出ています。児童虐待に比べると社会的な課題にはなりにくいんですけれども、非常に大きな問題です。これは誰がしているのか御存じですか。被害者は75歳以上のおばあちゃんが殴られるというのが一番多いんですよ。殴っているのは誰かというと、もう圧倒的に息子なんです。2番目がご主人なんです。僕は、これが非常に興味深いなと思うのは、児童虐待が圧倒的に母親・女性の問題なのに対して、高齢者虐待は急に男性の問題になるんですよ。いろんな理由があります。虐待で気をつけないといけないのは、一要因で語れるものではないです。複合的な要因が重なっているので一要因に特定はしませんが、僕の思う1つの要因は男性が育児をしていないということです。つまり、家事・育児・介護というのは非常に親和性が高いと思います。
 委員の皆さんは、男性もおられますけれども、この1週間ご飯を作られましたか。自分でお茶を入れられますか。ご飯を作れない、お茶を入れられない人が自分の母親のおしめは替えられないと思います。その延長線上に介護があると思うと、つまり子どもが幼いころに育児をしない男性たちが、世代を超えてこういう介護の問題になっていく。父親が育児をするということは、単に子ども・子育てだけの話ではなくて、社会全体、時代を超えての大きな課題につながっていく、あるいは課題の解決につながるんではないかなとは思います。
 今までの話をまとめていくと、男性が育児ができない社会というのは、男性が追い詰められていくということです。女性が追い詰められて虐待、それから今、子どもが追い詰められて子どもが親を殺める事件とかがありますね。こんなに痛ましいことはないと思うんですよ。これは、やっぱり家族が追い詰められている。
 家族が定義できないという大きな要因は何かというと、家族の定義は昔は福祉の追求集団と言われていたんです。簡単に言うと、家族は幸せになるために集まっているんですけれども、児童虐待、家庭内の暴力、DV、高齢者虐待、殺人事件も今、半数以上が家族間で起きています。家族がゆえに幸せになれないのですよ。
 こういう問題を抱えている家族を一気に幸せにする方法があるんです。すごく簡単。父親が育児をするんです。男性が育児をできる社会的な環境、状況をつくっていく。僕は父親の育児というのは5人の人を幸せにすると思っています。子どもの幸せというのは多様な価値観、関係性、かかわり、その多様性の数やと思います。今、社会の中で非常にしんどい子どもたち、親は母親が都市部で1人で子育てをしているということですよね。父親がかかわることでの多様性の担保。母親のしんどさ、この育児不安、育児ノイローゼというのは孤独です。父親が育児にかかわることでうまくいかないこともたくさんあるけれども、孤独ではなくなるというふうには思います。
 それから、一番大きいのは父親やというふうに思います。今の父親たちの生き方というのは、非常に労働中心、仕事中心の中で、その価値観でしか社会をはかることができないということです。そうではなく、子どもという多様な人とのかかわりということが多様性を担保していくと思います。
 それから、企業では効率化、メンタルヘルス、ワーク・ライフ・バランスをとっていく、あるいはそれがとれている人間がやっぱり仕事としても非常に効率がいいということがわかっています。そういうふうに思うと、企業にとっても意味がある。
 それから、社会にとってやっぱり父親が育児をしていくことで、子どもたちの豊かな環境をつくっていくということができるんではないかと思っています。
 そういうふうに思うと、やっぱり男性が社会の中でキーパーソンになってくると思います。もう今の男性を見ているとわかりますけれども、この社会で一番かわいそうな生き物です。それは、やっぱり男性自身が、例えばわかりやすいのは、平均寿命は日本は長いと言われていながら、男女で7歳ぐらいの差があるんです。これは皆さんも当たり前やと思っているんですけれども、合理的な説明はできないんですよ。いろんなデータを見るとわかるのは、やっぱり長時間のストレスにさらされているということやと思うんです。だから、男性自身が自分の生き方を大事にしていく中で、子育てであったり、働き方ということの意識ができるんではないかなとは思います。
 そういう意味では父親支援というのは、非常に変化の可能性が大きいです。どういうことかというと、母親にこれ以上何かを求めるのは100メートル走のタイムを縮めるようなもんやと思います。もう無理です。まだ父親に関してはマラソンの部分があると思います。例えば、働き方というのは、走り方の問題であったりとか、ペース配分を考えると、いろんな意味で効率化ができる部分というのがかなりあるのではないかなと思っています。
 今日は議会ということなので行政課題からちょっと考えていくと、父親支援というのは行政課題の解決の遠因やと思います。行政課題というのは、何かをしたから全てが解決するようなものではないんですが、さまざまなファクターを考えていくときに、父親支援は行政にとって非常に意味があると思っています。個別の意義というのは、児童虐待対策や女性活躍推進です。この女性活躍推進に関して言うと、やはり非常に重要なのは女性を労働市場に動員していく施策であると思うんです。これは仕方がないと思います。労働人口が少ないんです。それでは、同時に男性の家庭進出を果たさないとだめやと思います。だから、女性の社会進出は男性の家庭進出とセットで考えていくという考え方になると思います。
 それから子どもの育ちとか、結婚は絶対しなくちゃいけないわけではないんですけれども、さっきも言ったみたいに子どもを産んでもらう人口を増やしていくという中では、結婚は非常に重要になってくると思うので、やっぱり父親を支えていくことが結婚につながっていく。ワーク・ライフ・バランスの推進にもなっていく。
 そして、社会的な意義としては少子化対策、男女共同参画です。それから、これは自治体によっては、やっぱり高齢者の活用。これは、京都府で僕たちもやらせていただいているんですが、子育ての達人事業という事業をしています。僕も福知山市であったり京都市とか、いろんなところでやらせていただいていますけれども、子育てにかかわろうという高齢者が本当にたくさんおられるんで、やっぱりその人たちをうまく活用していってほしいなとは思います。
 それから男性のネットワーク、これは兵庫県もそうなんですが、父親のネットワークを今、構築しようとしています。やっぱり男性はつながるのが下手くそです。そういう意味では、男性が市民として生きていけるようにしていくということ。地域の活性化というので、市民を考えたときにやっぱり成年男子は仕事しかしていないので市民じゃないんですよ。そういう意味では子育てを通じて市民を育成していくということ。そう思うと、いわゆる父親支援ということは、もういいことだらけやなと思っています。
 具体的に全国でいろんなことを取り組んでいます。父親支援の方向性ということで、現役の父親ではパパスクール、お父さんたちのプログラムとかネットワークづくりをしていくということをやっています。これは、東京都、横浜市なんかが非常に熱心にしています。
 それから、プレパパへの支援ということでは、いわゆる妊娠期からの父親教育ということで、プレパパママセミナーであったり、育児休暇の啓発であったりということです。
 それからパートナーシップの支援ということで、これは最近僕も呼ばれたりしているんですけれども、企業に昼間の研修でパートナーを呼んできてもらう。この前も高知県警に呼ばれたんですが、高知県警で働いている人のパートナーを呼んで、そこで講演会をしていくというようなことをしています。
 それから、企業への支援ということで、今、ファザーリング・ジャパンでは、育児を支え企業業績を上げる「イクボス」の推進をしています。知事で言うと今、全国37名の知事がイクボスの宣言をしていただいています。滋賀県なんかは非常に熱心に取り組んでおられて、県立高校の校長先生、それから警察署長、つまり県のトップの方々に全員イクボス宣言をさせて機運を図っているというようなことがあります。
 それから企業のインセンティブですが、これは兵庫県がそうですけれども男女共同参画や少子化対策のパートナーシップ企業同盟になると商工中金の利率利子補給、それから県下のいわゆるポイント加算をしているという、そのインセンティブを明確にしているというようなことをしています。
 それから僕の専門は今、家庭科なんですけれども、中学生、高校生のライフデザインであったりとか、父親の育児を中心とした生き方については香川県が県として高校生全体のパンフレットをつくったりというような取り組みをしています。
 制度的には、今、マタニティの特典であったりとか育児休業の義務化ということで、これは広島県の三次市というのは、市役所の男性で子どもが生まれたら育児休暇を義務づけています。そういうとこら辺まで移行しているところもあると。さまざまな取り組みがなされているのではないかと思います。
 これが最後になります。父親支援、先ほども言ったみたいに、今までの父親が育児をしなくていい社会の中で父親を育児に導入していく中では、やっぱりパラダイムシフト、今までなかったことをやっていくので、大きな転換期になると思います。ただし、あつれきも多いです。やっぱり、父親が育児をするというと、じゃあ誰が仕事をすんねんとか、そんなもん男らしくないやろうと。片や、やっぱり母親は何をしてんねんっていうような議論もあるんですけれども、やはり男女共同参画の視点で、その人らしい生き方を考えていったときに、仕事も、それから家庭もうまくバランスをとっていくことが男女ともに必要ではないかなとは思います。
 それから男性の変化ということを女性、子ども、家族、会社、地域、社会の変化につなげていくというので、「父親ドミノ」と書いているんですけれども、やっぱり一番最初を倒していかないと、その後は倒れない。僕たちは、男性の育児休暇というのは、ボウリングの一番ピンというふうに言っています。ストライクを狙いにいくときには、やっぱり一番ピンを倒さないと、あとが倒れないんです。だから、父親が育児休暇を絶対にとる必要があるわけではないんですけれども、それを象徴的にやっていくというようなことが必要ではないかなとは思います。
 それから、単独ではなくて、やっぱり地域、保育、NPOというようなことを考えていくということが大事かなと思います。行政にいろんなところで話をさせていただくんですけれども、従来、行政はやっぱり人権、男女共同参画、環境の3つというのは全ての政策を横串で貫くというような意識があったと思うんですけれども、ようやくそこに子育て支援が入ってきたかなと思います。
 それから、ちょっと沖縄とかに行って思ったのは、平和行政ってなかなか本土では言わないんですけれども、それも含めて子育て支援、人権、男女共同参画、環境、平和、この5つというのは全ての行政の施策の横串になるような政策になっていけばいい。その中に父親ということを位置づけていただければ非常にありがたいなと思います。
 ちょうどいただいた時間ぐらいになりましたので、ちょっと早口で申しわけなかったんですけれども、一応、僕からは終わりたいと思います。今日はどうもありがとうございました。

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島田委員  ありがとうございます。
 男性が育児をしない社会の悲劇というのが本当に衝撃的で、ほんまやなと思って一々うなずいておりました。やっぱり8時間働いたら、ちゃんと食べていけるお給料をもらって、子どもたちと夕食をちゃんと食べられて、そういう当たり前の人間らしく生きられる社会制度にしないといけないなと思っております。
 委員方のいろいろなお話があって、世代間で意識が大分違うし、家族のことを言い始めるとあれですけれども、私は今、里帰り出産の娘と孫と、そして2歳半の男の子を見ているんです。私は看護師をしていて、もう本当に、必然的に2人で育てないと、夜勤のときは父親がちゃんとしてくれたので助かって今があるわけですが、そういう関係で、共働きで、お父さんが手伝ってくれないと働けなかったということで必然的に父親が参画していて、それで乗り切ってきました。
 それで孫を一緒に見て、娘も世話をしているときに、今の子どもたちの働き方とかがとてもしんどいし、赤ちゃんと長男が2人でわあーっと泣きわめいていると母親がいらいらしているのですが、お父ちゃんが土日に来ると、もう娘のいらだちが違うんで、やっぱり父親が家にいないとだめだと思って2人でうなずいたりしているんです。
 何が言いたかったかというと、今の子どもたちを見ていますと本当に支援をしてあげたいんですけれども、参考人は、企業人、経営者の中でいろいろなセミナーをやったりする場面と、それから大学生、高校生とか若い人たち、若い労働者に働きかけるというか、そうする場面とを経験されていると思うんですけれども、そのあたりはどうなんでしょうか。

小崎参考人  ありがとうございます。
 やっぱり、働き方がしんどいというのは実はそうで、ここ何年間か世帯収入は実は全然上がっていないんですよ。それなのに女性の働く率は高まっているということはどういうことかというと、つまり男性労働者の賃金が下がっているんです。その補填のために今、共働きがあるというのは、やっぱり家計を維持するために共働きを選択しているというのが非常に多いのかなとは思うんで、そこのしんどさというのは、やっぱり変えていく必要があるかなとは思います。
 それから、企業に対しての研修会、講演会、それから組合とかも、実は明日もあるんですけれども、やっぱり今、労働力不足の中で、いかに働きやすい職場をつくっていくかが企業が生き残る戦略であると。これは、昨日もちょっと出ていましたが、労働力は、このままではもう18%ぐらい下がっていくと。それでは、今、働いていない人というのは、もうこれは2つしかなくて、女性か高齢者ということで、社会みんなで働いて現状を維持していくというふうになったときに、やっぱり多様性を意識していく中で、今まで男性が24時間365日働けるモデルが企業の文化の1つやったというところを変えていく必要があるのではないかという話を企業に向けてして、だからイクボスになってくださいねという話をします。
 それから、若い人に対しては、これはもう高校生あるいは中学生のプログラムをやっていくときに、ここでも多様な生き方をしていいんだよと。実は、若い人のほうがある意味、男女共同参画の意識が低いです。もう男性は何が何でも頑張って生きていく、働いて生きていく、養っていくという。女性は、まだまだうちの学生なんかでも専業主婦になりたいというふうに言って。別に専業主婦がだめやとは僕は言わないのですけれども、そのときに旦那さんには幾ら稼いでほしいと思っているのと聞いたら、もう全然イメージがなくて、1,000万円、2,000万円と平気で言うんです。いや、そんな人は今はいないからと。そういう意味では、今の若い子のほうが社会ということをすごくわかっていない、リアリティがないと思うんです。だから、そういう意味では若い人たちに多様性を言いながらもリアリティ、夢を持ちながらも現実ということを教えるようにしています。
 だから、先ほどプログラムの話があったんですけれども、各層とか世代によって、多様なプログラムを用意して、それが1つにまとまって京都府全体を支えていく、あるいは盛り上げていくような人のつくり方とか、働き方、結婚、ライフデザインをしていくということが重要ではないかなと思います。

島田委員  お話を聞いて、そんなふうになったらいいなと思います。それこそ追い詰められる男性たちに自己責任でいろいろと求めても、これは解決がなかなか難しいので、本当に社会制度の仕組みそのものをやっぱり変えないといけないなと思いました。
 それで、育児時間を取ることの重要性がとてもよくわかって、これは先ほどもお話がありましたが、中小零細企業にもどうにか支援をしながら、男性が子育てをできる社会を作ってこそ女性も幸せになれるな、家族も幸せになれるなと思いました。頑張りたいと思います。ありがとうございます。

成宮委員  小崎先生、いろいろと示唆に富んだお話をありがとうございました。
 ちょっと私も自分個人のことを言うと、今、私は子どもが2人いて、上の子はもう高校生なんですが、下の子が保育園という、この10年あいて子育ては割と長くやっていて。保育園生活を今、13年ぶりぐらいにもう1回6年間やっているというときなんですけれども、10年前の上の娘のときの保育園生活に比べて、保育園の行事とか保護者会の行事にお父さんが来るというのがすごく増えているんですよね。特に、やっぱり土曜日・日曜日の運動会とか、生活発表会とか、卒園式とか、その練習とかも含めてお父さんとお母さんがそろって来ると。保育園へ預けているから、両方平日はもうほぼフルタイムで必死に働いている夫婦が多いんだけれども、それでもやっぱり保育園にかかわる、子どもにかかわることはお父さんも一緒に来るし、それが結構広がってきているなというのをこの10年間の間ですごく感じます。
 お父さんたちも、何か今ちょっと議論があったような子育ては大変やから、しんどい仕事を分担しなくちゃいけないみたいな感覚じゃなくて、やっぱり子どもにかかわるのがすごく楽しいし、もっと言ったら、子どもを通じて保護者同士が仲よくなったりとか、保護者会のいろんな行事とか飲み会とかも、お父さんだけの会とかも大体どこの保育園にもできたりしているんです。
 子育てという、一生の中でかけがえがない体験を通じて自分の人間関係も広がるし、自分の喜びにも幸せにもしていくというような意識が、この10年でもう本当にすごく広がっているし、一定その条件ということでも週休2日の話もありましたけれども、少し変わってきている面があるのかなというふうに思います。
 それでも一方で、やっぱり保育園に預けていないお母さんたちの話も、きのうたまたま幼稚園のママたちの集まりがあって話を聞いていたんですけれども、そこは、やっぱりお父さんが帰ってこないというのがすごい悩みで、3人とか4人とか子どもがいらっしゃって、上の子は幼稚園へ行っているけれども、下の子が癇癪を起こして、もう夜中にもすごく泣いて、泣き続けているから、隣からピンポンと、大丈夫ですかと何回も言われるんですと。お父さんはどうしているのと聞いたら、お父さんはまだ帰ってきていない時間ですというようなことがあって。そこから、やっぱり参考人もおっしゃったように父親が育児にかかわれば、父親も含めて家族がもっと幸せになれるのに、なかなかそうではない実態が一方で本当に広くあるなということをすごく日々実感をしながら議員活動もさせていただいているところです。
 今日のお話で、すごく示唆に富んでいて、やっぱり一番注目をしたのは労働時間、帰宅時間のことにかなり言及をされて、研究もされているということで、2人目が生まれる条件の話だとか、それから、スウェーデンやフランスなんかの話も本当に日本と違うなというふうに思うんですよね。京都府議会の海外視察で一昨年にフィンランドとイギリスに行ったんです。フィンランドは午後4時半ぐらいにみんながダーッと帰って、残業をする人は全然いなくて、お父さんたちも帰って子どもとバドミントンをするとかね。バトミントンは明るいうちじゃないとできないと思うんですけれども、そういう話とか。イギリスでもロンドンの金融街で午後3時半ぐらいにビジネスマンがかばんを持って帰られるという姿を見て、そこをやっぱり変えなくちゃいけない。
 その上で府民生活部からの報告にもあったんですけれども、京都は週60時間以上就業する雇用者の割合がワーストで3番とか4番になっているんです。週の労働時間は40時間だから残業20時間を毎週やれば過労死ラインに達してしまうわけです。そういう中で国の労働基準法の問題とか、働き方改革のいろんな構造的な変化をつくっていく問題があるんですが、子育て支援という観点から、さっき育休の話もありましたが、育休をとれるようにするだとか、労働時間を短くするだとか、有給をちゃんと取れるようにするだとか、地方自治体の行政施策として、そういうことに踏み込んでおられるようなところがあるのかどうか、私はそれがすごく必要だと思うんですけれども、その辺で参考人のお考えだとか御研究だとかをお聞かせいただけたらなと思います。

小崎参考人  ありがとうございます。
 まず、父親の参画が増えているというのは、多分10年あいて保育の場に戻ると、もう全然景色が変わっていると思いますね。朝なんかは本当にお父さんのほうが多いときとかがあったりするんです。本当にある意味でイクメンと言われている人たちが増えているんです。考えてみれば自分の手で自分の子を育てるというのは当たり前のことで、それが今までできていなかったことのほうがおかしいと僕は思うんで、すばらしい反面、委員がおっしゃったみたいに二極化やと思います。これは育児だけではなく、教育にしても、福祉にしても本当に二極化が進んでいて、その中の標準とか平均がすごく取りにくい社会になっているのは、また新しい課題にはなっているかなとは思います。
 それから、企業の働き方の軸に関して言うと、やっぱり僕たちが今、進めているのは、イクボス、経営トップの判断です。先ほど大企業がと言われたんですけれども、「イクボス中小企業同盟」というものもつくっています。日本はやっぱりもう90%以上が中小企業なので、結局そこに変わってもらうためにどうしていくか。大阪教育大学もイクボス宣言をしているんですけれども、大阪府なんかでも柏原市など、地域全体でイクボス宣言をして企業同盟をつくったりしているところがあります。
 自治体で言うと、今、非常にイクボスに力を入れているのは北九州市です。北九州市は市長をはじめ、管理職全員がイクボス研修を受けて、さまざまな施策として庁内から変えていくというようなことをしています。
 企業にすると、イクボス企業同盟は今、200社を超えています。これは、やっぱり経営戦略で、3大メガバンク、それからかなり大手のとこら辺が入ってきてくれてはいるんで、やっぱりそのトップの明確な意識と思いということで労働時間を削減していく、あるいは超過勤務をやめていく、働き方の質を上げていくというようなことをやっているところが多いのではないかなと。
 これが多分、来年度の働き方改革の大きな政策につながっている。ただ、自治体レベルでそこに一生懸命取り組んでいるのは、都道府県で言うと、最近行ってすごいなと思ったのは三重県です。三重県は男性の育児休暇取得率が25%ですかね。やっぱり鈴木英敬知事が音頭をとって積極的にやっていきたいというようなことを言っていると、そこら辺のメッセージが明確になっていく。これは、大事なのは何かというと、その企業、行政にしてもいいんですけれども、評価軸が何かということやと思うんですよ。長い時間働くことが評価される文化の中で労働時間は短くはなりません。だから、どういう軸をトップが持つかということが非常に重要ではないかなとは思います。

成宮委員  ありがとうございます。
 長く働くことがよしとされる物差しではなくてということはすごく大事だと思うんですが、同時に京都なんかのさっきの、大企業はそれこそ育休とかがちゃんととれたりとか、保護者会で一緒のママたちも大企業で働いているママは短時間労働とかが3歳までずっと認められている。けれども、やっぱり京都は中小企業がすごく多くて、そこで時給の引き上げとかいう問題ももちろん絡んでくるんですけれども、有給をちゃんと取ったり、育休を取ったり、平日早く帰るということを、経営トップが大事だというふうに思うのと同時に、やっぱり育休を取ってもらったほうが、うちの会社に実際にメリットがあるみたいな、政策誘導ができるような施策をもっと自治体として研究されたり、国ももちろんですが、あるのかなっていうふうに思うんです。
 例えば中小企業の皆さんに聞いて、やっぱりどこも人が足りないと言って、その理由は大卒とかで就職した若者が辞めちゃうんですよね。20代とかで3つも4つも仕事を変わって、働き続けられなくて、その働き続けられない理由はもちろんいろんな要素があるとは思うんですけれども、その人が働き続けられるということの1つの要素に、やっぱりさっきの子育ての意識の変化、家族も大切にしたい、自分も大切にしたい、趣味なんかも大切にしたいという思いがあって、そのことと仕事の両立というのが、やっぱり今の若い世代はすごくあると思うんです。そういう若い人たちが働き続けられる上で、子育てと両立する上での、行政として政策誘導がもっと何か要るんじゃないかな、私ももっと勉強したいなと思っているんですが、いかがでしょうか。

小崎参考人  そうですね、政策誘導という意味では、今、特にこれも都市部が多くなってくるんですけれども、本当に労働力不足なので、これがイコール政策誘導になるかどうかはわからないですが、企業を中心に、辞めてもまた戻ってこられるパスポートを発給しているとかというようなことがあります。1回やめたらおしまいではないよとか、あるいは地方銀行なんていうのは、旦那さんの転勤先の銀行でそのまま就職ができるというような制度をつくっていたりとか。確かに場所は違うけれども業種が似ていると、そこでまた人材が生かせるというようなこと。それから、女性がいきなりダイレクトに働くんじゃなくて、育児の間にインターン的に働いて、ならし運転をして、そのまま、また正規で働いていくというような、企業のほうがそこら辺は深刻なんで、いろんな取り組みとか工夫があるので、やっぱりうまくそういうものを活用していったり、導入していくということがすごく大事ではないかなとは思います。
 先ほどちょっと兵庫県の例を言ったんですけれども、政策誘導で少子化対策あるいは男女共同参画に協力的な企業に行政のポイント加算をするということをしているんですね。これがおもしろいのは、いわゆる建設業が9割ぐらいエントリーするんです。それはそうですよね。庁内の公共事業のポイント加算になるわけですから。これは賛否両論があるんですけれども、いわゆる建設業ばかり集めても仕方がないという反面、今まで全くそんなことに興味・関心もなかった建設業が一気に変わっていくという意味では、すごくメリットがあると思うんです。意外に行政は自分で使えるものが余りないんですよね。そういうふうに思うと、そういうものを活用化していって、企業にインセンティブをつくっていくということはすごく大事で、そういうものは政策誘導的なものにはなってくるかな。
 この父親の育児に関して言うと、やっぱりいろんな自治体が政策としてやっていたり、今、佐賀県がゼロ歳からの父親の育児ということで、かなり大きな事業を打っていただいています。それから、兵庫県なんかも常に父親の育児を、子育てあるいは労働行政の中でやっていて、企業への派遣事業とかもやっていたりします。神奈川県なんかは、やっぱり父親のネットワークサークルを一生懸命つくっていく、そういう意味で情報交換をしていくというようなことをしているんで、都道府県レベルでもさまざまな取り組みをしているところはあるかなと思います。

成宮委員  ありがとうございます。
 企業のインセンティブ、政策誘導ということで、先ほど認証企業の話なんかも少しあったんですが、府民生活部の理事者でお考え等があればお願いします。

足立府民生活部男女共同参画監  認証企業になっていただきましたら、京都府の物品調達だけではございますが、入札の優遇制度を設けてはおります。
 以上でございます。

成宮委員  わかりました。その労働時間、働き方の問題も含めて、より一層の対策が必要というふうに考えますので、また考えていきたいと思います。
 終わります。