平成30年12月定例会 府民生活・厚生常任委員会2日目ー2018年12月14日〜島田敬子府議の質疑応答部分

付託議案

下記の議案について審査が行われた。
 ・第2号議案「介護保険法に基づく介護医療院の人員等の基準に関する条例制定の件」
 ・第3号議案「京都府手数料徴収条例一部改正の件」
 ・第5号議案「介護保険法に基づく指定居宅サービスの事業の人員等の基準等に関する条例等一部改正の件」
 ・第6号議案「京都府がん対策推進条例一部改正の件」

 

討論

◯島田委員  第2号議案「介護保険法に基づく介護医療院の人員等の基準に関する条例制定の件」及び第5号議案「介護保険法に基づく指定居宅サービスの事業の人員等の基準等に関する条例等一部改正の件」に反対をし、第3号議案、第6号議案については賛成の立場で討論をいたします。
 第2号議案、第5号議案については、昨年5月の改正介護保険法、地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律の成立を受けたものでございます。医療と介護の一体改革として療養病床削減のための新たな受け皿として介護医療院を創設するとともに、福祉のあり方の見直しとして高齢者と障害者(児)のサービスを複合させた共生型サービスの創設等を行うものでありますが、介護医療院については、長期療養に伴う高齢者が入院する介護療養病床の廃止を現在の経過措置からさらに6年間延長し、新設する介護医療院に移行することに伴う設備、人員等の配置基準を設けたものでございます。
 昨日指摘をしましたように、介護医療院が日常的な医療管理、看取り、ターミナル等の機能と生活施設としての機能を兼ね備えた新たなタイプの介護保険施設としていますが、人員配置も施設設備の基準もそれを保障するものとはなっていません。介護職員や看護師の労働条件では、職員の離職や人員不足が加速することも懸念されます。基準の緩和・引き下げ、安上がりの施設への転換とも言うべき介護医療院の設置には反対です。
 第5号議案は、共生型サービスの人員・施設基準を定めるものですが、介護保険、障害福祉、いずれかの指定を受けた事業所が他方の制度における指定を受けることが容易になるように基準を緩和するものです。障害福祉と介護保険の垣根を低くし、現場レベルで両制度をつなげることで近い将来の一元化への布石としようとするものであります。
 高齢・障害分野における行政の縦割りを是正させる面がありますが、人員体制、介護・障害報酬などサービスの質が担保され、高齢者、障害者の願いにかなう事業になるか保証がありません。
 障害者施設入所者が65歳を過ぎても引き続き同じ施設で入所できるのがメリットと答弁されましたが、対象や目的の違うサービスを強引に統合するのではなく、現行の介護保険優先原則を見直し、障害当事者の年齢にかかわらず必要なサービスを保障する法体系に踏み出すことこそ必要であります。
 そもそも厚生労働省及び「我が事・丸ごと」地域共生社会実現本部の出発点は、効率化、生産性の向上、自助・互助・共助の優先、地域住民の支え合いなど、福祉・介護の財政抑制にあることは明らかであり、障害当事者や関係団体からも厳しい意見が上がっているものであり、以上によって反対です。

 

採決

 初めに、第2号及び第5号の議案2件について、挙手採決の結果、賛成多数により、いずれも原案のとおり可決された。
 なお、第2号及び第5号の議案2件について、少数意見が留保された。
   (留保者…島田委員、賛成者…西脇委員、成宮委員)
 次に、第3号及び第6号の議案2件について、挙手採決の結果、賛成全員により、いずれも原案のとおり可決された。

 

所管事項

 委員会の所管事項について質問・答弁が行われた。

◯島田委員  3点ばかりお願いします。
 まず、保育等子育ち環境充実事業費補助金に関連して伺うのですが、子育て環境日本一ということで保育環境の整備の事業でありますけれども、申請の相談相手が株式会社アイシーエルに委託されていると。最初の申請書は京都府に提出をさせたのに、手続に入って問い合わせをしましたら、それはアイシーエルに委託をしているからそこに相談してということになっていると。どうしてこの事業まで民間に丸投げをするのかと、このような意見が保育園の現場から出ているんですが、この経過と考え方についてお聞かせください。

◯今里こども総合対策課長  保育等子育ち環境充実事業に係ります事業の進め方でございますが、今回この事業につきましては6月補正で議決をいただいたところでございます。ただ、今回の補助内容と申しますのが保育所の施設設備の整備に係るものでございまして、今年度内に整備事業を終える必要があるということ、やはり短時間の間にその事務処理をせねばならぬということ、補助件数、申請件数が多いということが想定されておりましたので、今回事業を円滑に進めるために、事務の丸投げではございませんでして、京都府の事務の補助的な部分、例えば申請書の不備を園に照会させていただいて整えたりとかといった部分についてアイシーエルに委託をしているものでございます。
 当然、事務につきましては京都府が責任を持って行うものでございまして、採択の決定等につきましては京都府で責任を持ってさせていただくというものでございます。
 以上でございます。

◯島田委員  急がなければならないということですが、この事業者に決定をしたやり方というのはどういうことになっているんですか。またプロポーザルみたいなものをしたんでしょうか。

◯今里こども総合対策課長  業者につきましては、入札をさせていただきまして決定した次第でございます。
 以上でございます。

◯島田委員  最初から申請件数も多いし、間に合わないからということは、結局人員体制もなかなか追いつかないということでしょうか。補助的などという説明ですが、現場は、申請書を出して、単なる民間事業所にいろいろと相談をしてやりとりするという関係ではないと。これは京都府が直接相談に乗り、対応すべき性質のものであると思うんですが、いかがでしょうか。

◯今里こども総合対策課長  窓口的なところはアイシーエルにお願いをしておりますが、当然アイシーエルと京都府では密接に連絡も取り合っておりますし、いろんな案件につきましては京都府からアイシーエルに指示をし、その指示のもと、民間の保育園さんと調整をしていただいているというところでございます。
 以上でございます。

◯島田委員  お話にありましたように、具体的な相談の細かいやりとりはアイシーエルと。京都府の指示によってアイシーエルがやるということで、そのこと自体がおかしいというふうに現場は言っているんですよ。これは指摘をしておきますが、同様にこのような補助金等の申請を委託している件数は健康福祉部では一体どれぐらいあるんですか。

◯今里こども総合対策課長  すみません。健康福祉部での数につきましては承知していないところでございますが、他の部局につきましては同様の形で補助金に係る事務の補助を委託している案件があると聞いているところでございます。

◯中本健康福祉部こども・少子化対策監  今、こども総合対策課長から中身について御説明いたしましたが、あくまで事業につきましては、説明会も私どもみずから実施をしておりますし、申請の前の段階の相談につきましても私どものこども総合対策課で受けております。実際に申請書を整えられて、一定の募集期間も設定をしておりましたので、お持ちになるのがいっときに集中するということも想定されましたので、その受理業務につきまして民間業者さんに委託をして混乱のないようにしたと。ただ、不備があるとかというのは、形式的に見て、添付書類等が整っているかどうかについて府の委託を受けたその民間業者がお話をさせていただいたことでありまして、中身等については、先ほども御答弁させていただきましたとおり、私どもが責任を持って今審査をしているところでございます。
 そういう観点でさせていただいているということでございます。

◯島田委員  ちなみに、委託経費、契約の金額はどういうことになっているかというのと、御答弁がありませんでしたが、この補助金以外に健康福祉部で同様の補助事業を民間に委託している事業は何がありますか。(「把握していない」と言う者あり)こども総合対策課長は把握してない。

◯大藤健康福祉総務課参事  健康福祉部でそれらの業務を委託しているという件は、これ以外にはございません。

◯今里こども総合対策課長  今回のアイシーエルへの委託費でございますが、消費税込みで160万円程度でございます。
 以上でございます。

◯島田委員  このような事業まで民間に委託するというのは問題だと。必要な人員体制も整える必要があるというふうに思います。事業の補助金の決定そのものが遅れていて現場に示すのも遅れたという事情もあるかと思いますが、これは指摘をしておきたいというふうに思います。(「そういうことがあったのか」と言う者あり)

◯中本健康福祉部こども・少子化対策監  募集期間はこの秋に締め切らせていただいておりますけれども、現在審査をしているということでございますので、そんなに時間をかけることなく決定をしていきたいというふうに思っております。個別に大幅におくれるということではなくて、6月補正予算でお認めいただいたものでございまして、その後、要綱の制定等で秋に御説明をさせていただいたというところでございます。
 そういう点で今回混乱のないように極力円滑に進めるためにその一部の業務を委託したということでございますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 以上でございます。

◯島田委員  今回だけが特別な事情ということですか。今後もこんなやり方をやるんですか。

◯松村健康福祉部長  今回、6月補正で私どもの予算を組ませていただいたということと、それから事業そのものが京都市域も含めまして多くの保育所等の対応になるということもございまして、事業の内容の説明に大変多くの時間を使わせていただきました。
 私どもとして円滑に事業を執行するに当たりまして今回はこういう形をとらせていただきましたけれども、今回が特別なのか今後またこういう形があるのかというのは事業の中身ごとに考えていきたいと思っておりますし、年内に申請に対する決定をさせていただいて各保育所でお取り組みいただきたいというふうに思っているところでございます。
 以上でございます。

◯島田委員  相談される園のほうは、これまで申請をこのように委託されるなんていう事例も経験もなかったので、びっくりされたと思うんです。本来行政が直接的にやるべき事業であるということで、いろいろな課題があるならば、もう少し体制もしっかり整えるなどの対策をとっていただきたいというふうにきょうは指摘をしておきたいと思います。
 2つ目は、児童相談所の体制の問題と福知山児相の一時保護の問題です。
 本会議代表質問で成宮議員も質問をされました。いろいろと答弁がありましたけれども、現実には現場に非常に不安が走っております。11月に方針が決定されて、現場の非常勤の職員などに管理職からお話をされていますが、陳情書にも出ておりますけれども、一時保護所がなくなるので2人体制の宿直が必要でなくなり、移転後は1人宿直体制でやると。それで、もともと一時保護所は非常勤の人たちで成り立っておりますけれども、この人たちが、1年3ヶ月後、きちんと整備された後で継続的に仕事に戻ってこられるのかどうかということも含めてそのような待遇の問題と、そもそも、指摘をしましたように、子どもたちの人権といいますか、ケアが必要な子どもたちの一時保護という観点では非常に問題があるというふうに思います。1年3ヶ月の間でも一時保護所がなくなるのは非常に大きな問題があるということで改めて指摘をし、再度見解をいただきたいというふうに思います。
 現在、福知山児相の一時保護の子どもたちは18人もいらっしゃるそうですけれども、所内で保護できるのは5人と。もともと不足しているんですけれども、1人1部屋しか現実には対応できていない。既に他所にも保護されておりますが、全部なくなって、しかも宇治や東山の家庭支援総合センターに往復5時間以上もかけてその子どもたちに会いに行くと。この移動時間、面会回数に応じて対応時間がふえて、他のケース対応や業務に支障が生じかねない事態であるというふうに思いまして、現在の執行体制での業務運営は非常に困難になるというふうに思います。
 他所の一時保護所も満杯と。対応困難な状況もあるのではないかと思うわけですけれども、その管内の児童が一時保護できないという事態になればケースワークが成り立たなくなると職員は大きな不安にさいなまれております。この点で見解を伺いたいというふうに思います。

◯高野家庭支援課長  一時保護所の運営に当たっている職員についてでございますが、現在までに福知山児童相談所の所長から丁寧に説明をいたしまして、現時点で雇いどめをするというような形にはなってはございませんで、できる限り継続的な雇用を進める形で現在進めさせていただいております。
 児童指導に当たる宿日直の方につきましても、回数は減るかもしれませんが、再開された後の体制も含めまして、できる限り現時点のものを維持してまいりたいというふうに考えております。
 それから、子どものケアに当たっては福知山児相の近くに児童相談所があってということでございますが、仮設で整備をするのは非常に困難がございます。子どもに対するケアを提供するには、やはり仮設設備ではなくて、きちんとした就寝や学習や食事、こういったものをトータルにできる家庭支援総合センターや宇治児童相談所の一時保護所、それから児童養護施設等の施設を活用するのが適切だというふうに考えておりまして、こういう選択をしているところでございます。
 職員には一定の負担をかけるというふうには考えておりますが、このことも含めて今後の人事配置や定数等の形でできる限り職員への支援をしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

◯島田委員  一定の負担と言われますが、限界を超えているのではないかというふうに思います。例えば、もう一度伺いますが、福知山児相に関しても児童福祉司さんは今8人ですか。それから心理担当職員が5人。24時間で対応されております。このことを含めまして正規職員が18名、嘱託が26名の体制でやりくりをされておりますが、基本は非正規職員が上回っていますよね。そして、残る常勤の職員等でずっと回しながら対応されているんですが、この人員体制というのはこのとおりの体制ですか。

◯高野家庭支援課長  人員配置の詳細につきましては、今、御紹介のあったことだと思いますが、私どもとしては、正職員も含めて、これまでの間、体制を強化してまいりました。それから、今後につきましても体制を強化して、こういった一時保護所の運営についてもできる限り職員の負担を軽減してまいりたいというふうに考えておりますし、現在一時保護に当たっている職員が移送対応に当たれないかなど、これまで調整をしてきているところでございます。今後もこういったできる限りの調整を行いまして職員の負担を軽減するように努めてまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。

◯島田委員  職員の体制について、実際に首を切るわけではないけれども回数が減るということで、一時保護所の運営にかかわる非常勤の方々もその間いろいろと考えるわけですよね。今、どう選択されるのかは個々人がお決めになるということですが、とても大事な人材が、1年3ヶ月後、再出発したときに戻ってきてくれるのかどうかという不安もあるわけです。最初に申し上げましたように、社会問題化している児童虐待事例の増加に伴って施策を充実すべきときに行政責任を放棄しているに等しい事態であると。これは、1人の社会福祉士さんが1人ででも言わなければならないという非常なる決意で陳情をされているわけであります。子どもの最善の利益を守るという権利保障の観点からも考え直すべきだというふうに指摘されているんですね。
 それで、いろいろと情報を聞きますと、介護施設で空いているところがあるし、病院も一部使っていない旧館があるとか、もっと真剣に探せば福知山なり北部で確保できる場所があるというふうに思うんですけれども、その努力はいかがだったんでしょうか。

◯松村健康福祉部長  まず、福知山児童相談所の一時保護所のこれまでの入所の観点でございますけれども、今までから、例えば全ての事例を福知山のところで保護していたわけではなくて、これは宇治児童相談所、家庭支援総合センターの子どもたちも同じなんですが、子どもの状況に応じて家庭支援総合センターでございますとか宇治児童相談所など、私どもとしては、子どもたちの状況に応じて、児童養護施設を初めとした施設を活用する中で子どものことを最善に考えながら取り組みをしてきているところでございます。
 そうした観点で、一時保護所にするのは、単に寝泊まりするというだけではなくて、先ほど家庭支援課長からも御答弁させていただきましたように、子どもの状況をまずきちんと観察できるということが一つ。それから、その一時保護の間でも子ども自身が精神的、心理的な部分できちんと安心できるような観点で保護できる状態になることが1つ。
 このことから考えますと、私どもとして、今、委員から御紹介のありました病院であるとか高齢者の施設であるとかというところが児童福祉として成り立つものかということから考えますと、それではやはり違うだろうというふうに考えております。
 今回仮設という形になりますけれども、実際にでき上がった後、改修した後の福知山児相については、その環境がきちっと整えられるような一時保護所として改修すべく今準備をしているところでございます。この1年少しの期間については職員には確かに大変負担をかけるところではありますけれども、私どもとしては、家庭支援総合センターでありますとか宇治児童相談所等を活用してきちんと保護をしていくということが子どもの権利という観点からも正しい選択というふうに認識をしております。
 以上でございます。

◯島田委員  その宇治児相も家庭支援総合センターも大変な状況ですよね。
「一時保護所が所内にないので保護する前に他所の保護所と常に受け入れの調整を要し、時間のロスが大きい。所内にあれば毎日の朝礼時に保護している子どもの状況が報告・共有できることから、ケースワークに支障を来している」
これは、福知山児相だけなくて、京田辺市の相談所にも現在一時保護所がないので現にそういう困難を来しておりますね。また、家庭支援総合センターでも、新しく児童相談業務に携わることとなった方が異動でふえて、しかも保護件数が昨年度は前年比5割増となり、増員があっても相談件数増に追いつかない状況だと。それで、宇治児相は、同じく通報受理件数が昨年度は前年比5割増。
「福祉司と判定員はセットで動くが、人数に差があって改善が必要」
というようなことが宇治児相からも出ていますよね。
 だから、今の状態でもそれぞれの施設が非常に困難な状況でケースワークをされていて、福知山児相の仮移転に伴ってそこらに行っていただくんだということですけれども、それも大変だということが現場で出ているわけですよ。なので、国も増やす方針ですし、本府も、前倒しの配置とか、いろいろとやっておりますが、保護件数の増加に追いついていないという状況があると。この点はどう考えますか。

◯松村健康福祉部長  子ども自身の、それこそ一時保護所の場所の観点でございますけれども、ある他府県では、中央児相、中央の一時保護所という形で県内の1ヶ月で一時保護をされている府県があるのも事実でございます。私どもとして一時保護をどういう形でしていくかというのは、これまでからも職員も交える中で有識者の御意見も賜りながら一時保護所の機能を考えてきているところでございます。
 私どもとしても、子どもの権利、子どもの状態を見るという観点と、それから職員そのものの負担、今、委員から御紹介のありました効率的な児童指導という観点と、2つの部分があるというふうには承知をしております。
 ただ、先ほども申しましたように、非行児童であるとか、どうしても同じように入れることができない、例えば性的虐待を受けた子どもは思春期の男性と思春期の女性とが同じ保護所にいることそのものについて子どもには心理的に負担になるということから考えた場合に、やむなく児童相談所間の移動がどうしても必要になってくるというのも事実でございます。そのときに、今、委員の御紹介のありました、毎日顔を見ることができないというのがあるのも実際でございますので、私どもとして、3児相1支所、いわゆる4ヶ所間の心理司でございますとかワーカー同士の情報共有あるいは一時保護所等の職員との情報共有、それをどうするべきかというのは常に考えながら対応させていただいているところでございます。
 仮設でやっている間についても、それも十分活用しながら、職員とともに適切に対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。
 以上でございます。

◯島田委員  いろいろなケースがあって、決算の質疑の中では2人1室の計算で足りているみたいな答弁があったんですけれども、今おっしゃったように、1人1室保護というのが現状ですよね。そして、福知山児相も5人しか受け入れられないんですよね。それで、福知山児相だけではなくて、そのほかの児相についても手狭になっているし、できた当時から環境も非常に劣悪な中で、その整備も必要だと思うんですよ。子どもの最善の利益を保障するための環境になっていませんからそれは求めておきたいし、他府県が1ヶ所に集めるようなことは聞いておりますが、それをしないで京都府はしっかりと地域に張りつけているというのは評価をしておりますので、そういう方向は堅持していただきたいというふうに思うわけです。
 先ほど言いましたように、正規職員が18人で、非常勤が26人と。これも非常にアンバランスですよね。正規職員のワーク・ライフ・バランスも崩壊をしている現状だと現場からも意見が出ております。正規職員の大幅な増員は急務でありますが、仮移転中の業務対応案についてもさらなる検討をいただきたいというふうに思うんです。
 先ほど、一時保護所の職員が移送体制に入れるか検討という答弁もあったんですが、これは具体的にどうされるのですか。

◯高野家庭支援課長  これは人事当局にお願いをしているところでございますが、移送にやはり人手がかかります。複数体制で移送せねばならず、正職員だけでは難しいですので、補助的用務に当たれるような職員を確保できないかということで今、進めさせていただいているところでございます。
 以上でございます。

◯島田委員   期日が迫っておりますが、一時保護所の場所については本当に最後までもう少し探していただくということも含めまして、それから職員体制の充実も含めまして、現に働いていらっしゃる皆さん方の総力でくれぐれも現場に混乱がないように頑張っていただきたいというふうに思います。
 それで、一時保護の関係で、福知山児相は18人と。そして、5人しか入れないと。あとは今どちらに行っていらっしゃるのかということと、その他の児相の保護人員と、それから民間の児童養護施設等で受け入れている人の数などを具体的に教えていただきたいと。

◯高野家庭支援課長  福知山児相の一時保護の児童ですが、現在、家庭支援総合センターに10人程度、それから宇治児相に1人。これは平成29年度の状況でございます。全体71件に対してそのような数になっておりますし、委託保護につきましては施設のほうに15件程度委託をしております。これは、府内各地の児童養護施設や乳児院に委託をしているところでございます。
 委託保護につきましては、家庭支援総合センターとか宇治児相も含めまして平成29年度は3割程度になっております。
 以上でございます。

◯島田委員  福知山児相の問題は万全の体制をとっていただくことを含めて、そのほかの児相についても、例えば京田辺市の支所にも一時保護所の設置あるいは体制の強化などの要望もこれまでから出ておりますし、議会でも質問をさせていただきました。ぜひ増員等を含めて万全の体制をとっていただきたいと要望をしておきます。
 3つ目は美山診療所の問題です。
 美山からも傍聴に来ていただいておりましたけれども、
「京都府の答弁は非常に他人事だね」
と言われました。本当に緊急の課題ですのに、知事の答弁も健康福祉部長の答弁も
「現在、懇談会を設置されて住民の医療ニーズに合った診療所の機能や経営のあり方を検討することとされている。その結果をもって」
ということですが、
「運営の困難な原因を1つ1つ解決せずにあり方を考えよう」
では、これは寄り添った支援ではないというふうに思うんですよ。それで、
「医療ニーズに合った診療所の機能や経営の見通しを立てなさい。尾嵜さんみたいな働き方のお医者さんは来ませんよ」
と、こんなふうにしているので、もう本当に苦渋の選択で法人が合理化案を出さざるを得なかったというところに追い込まれているのが問題なわけですよね。なので、本会議でも言いましたように、複数の常勤医師をきちんと確保する手だてをどうしたらよいか、もちろん紹介はされているとおっしゃいましたけれども、もう少しきめ細かに一緒に医師確保に動くことが必要だというふうに思うんですよね。改めてそのことについて伺いたいのと、林健センターや和知診療所には京都中部総合医療センターから年間290回も医師派遣をしていると。美山についてはなぜ派遣できないのかという点をわかりやすく御答弁ください。

◯井尻医療課長  美山診療所の開設の部分につきましてですけれども、本会議でも答弁がありましたように、まず設置主体であります南丹市でどういう診療所の運営をしていくのかというところがなければ、お医者さんを確保するに当たりましても条件面が整っていない中ではなかなか来ていただけない、御紹介してもそこが整理できていない中では先生方は安心して行けないという状況もございますので、そこはきっちりとしてほしいというのが懇談会でも出ていた意見でございます。その懇談会では、さらにそういった条件を見ながら周辺の明治国際医療大学附属病院でありますとか中部総合医療センターも含めまして支援をしていくというようなお話もありますので、まずはどういった運営方針があるのかということをきっちりとしていただきたいというのが設置者への要望なり見解であったというふうに考えております。
 それから、複数の派遣につきましても、どれだけの機能を持たせるのかが明確でない中で、お医者さんの業務量がわからない中で複数というような話は、まずはどれだけのことをするのか。これも同じことでございますけれども、美山診療所がどういった機能を果たしていくのか、まずはそこがはっきりしない限り、設置者のほうできっちりとどれだけの機能を持たせるのかということがなければ、周辺のところもどこまで協力をしていいのかがなかなか見えないというのが懇談会でも出ていた意見でございます。
 以上でございます。

◯島田委員  そのような指導をされるのでもう経営が成り立たなくなって、これは民間ですから、潰れてしまうと。そこまで追い込まれていて、入院病床を廃止するなんていう案まで飛び出したと。8月20日の懇話会の席上では合理化案も議論されかけておりましたけれども、それこそ尾嵜先生と診療所側からも発言があって、非常に困難な中で地域を支えていらっしゃる現状に、他は何も言えなかったのではないですか。美山診療所にだけ「これからのあり方をきちんとしなければ医師は支援しない」というのは、あり得ないでしょう。ほかの医療機関だって医療構想調整会議で、それぞれの病院がどういうふうに今後生き残っていくのか、あり方が議論されている。そんなことを材料にして医師を派遣する・しないのことではないですよ。お医者さんの確保の困難さについて、医療課長がおっしゃっている細かい背景はわかるのですけれども、先ほど答弁がなかったんですが、林健センター、和知診療所には派遣しているんですからね。制度上は可能なわけですから、これは緊急事態ですので、派遣することは可能ではないですか。

◯松村健康福祉部長  美山診療所の部分にお答えする前に、まず地域でやっています調整会議でございますけれども、各病院の経営がどうなるべきかという観点で医師派遣をしているのではなく、その地域でどんな医療が必要か、どういう病棟・病床機能をそれぞれの病院で持っていただくかというのをまず議論させていただいております。私どもとして、病院の経営そのものの観点で「ここの病院は病床をどうしよう」とかというのを議論しているのではないというのをまず御答弁させていただきたいのが1点です。
 それから、美山診療所でございますけれども、委員からの御紹介もありましたように、いわゆる公設民営で、南丹市が設立をされている診療所でございます。そういう意味では、林健センターと何ら変わるものではございません。お話がありましたように、周りからの医師派遣ということは可能かと思います。ただ、その病院としてどういう医療を提供するのかというのをきちんと地域の中から見極める必要があると私どもは思っておりまして、先ほどの懇談会にも京都府の職員が出席する中でどういうふうにしていくんだという議論にはかかわらせていただいているところでございます。
 以上でございます。

◯島田委員  常勤のお医者さんという点でいきますと、プライマリ・ケアに対応できる総合医がまず要るんですよ。そして、診療科ごとに糖尿病ですとか、そのほかの医師。だから、そういう意味での総合医と言うんですか、全体が見える常勤の医師をもう1人、複数配置をして、そしてそのほかの機能についてはいろいろと非常勤対応でやりくりしておられます。現状それをやっておられるわけですよね。それで、今、民間であっても僻地診療所に位置づけられて、支援も可能だということです。尾嵜先生が75歳を超えて、今でも遠くから山道を車で通われていて、事故でもあれば、もう途端に医療は止まってしまうというところまで来ていると思うんですよ。だから緊急事態という認識を持っていただいて、これは南丹市とともに努力をいただきたいというふうに思います。
 それで、医師不足は美山診療所だけではありません。これまでも言ってきましたけれども、現実に、僻地医療の医師確保あるいは代替医師の支援等、その機能を京都府の地域医療支援センターなり、へき地医療支援機構にももっと御尽力いただきたいと思うんですが、今後どういうふうに取り組みを強化されますか。

◯井尻医療課長  京都府へき地医療支援機構におきましては、僻地拠点病院からの医療従事者の派遣でありますとか、それから僻地で働くお医者さんの研修でありますとか、そのほか僻地の状況を知ってもらうために学生時代からの実習の受け入れとか、そういったものをさせていただく中で、僻地拠点病院の10の病院から13の診療所には支援という形で派遣をしていただいておりますし、今、実際にそういった形で各拠点病院から僻地診療所への派遣をさせていただいているところでございます。
 以上でございます。

◯島田委員  大学側との調整もあるし、いろいろな課題があるというふうに思うんですが、これまで決算でも紹介いたしましたけれども、僻地医療の専任担当官なり地域医療センターでの専任の担当官がいて、常日ごろから自治体等の実態を調査し、意見交換なども行って効果的に支援する体制をつくる、強化をする必要があるというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

◯松村健康福祉部長  決算の書面審査のところでも御答弁をさせていただきましたとおり、私どもの保健医療対策監が医師バンク担当ということで地域医療の実際の担当をさせていただいているところでございます。地域枠、自治医科大の卒業生、各病院の病院長の御意向、また行政でしたら市町村の御意向等もしっかりと把握する中で、私どもはこの保健医療対策監を中心に対応させていただいているところでございます。
 医師お1人お1人は、いろんな専門性を持ちたい、こういう道を自分で歩んでいきたいという思いを持っていらっしゃいます。それもしっかりと把握させていただく中で「では、こういうキャリアパスの形でこの病院にこういう形で行きませんか」という調整をさせていただいております。大学とも連携しながら取り組みを進めておりますので、医師確保という観点で、医師不足というのは私どもとしてますます努力をするべきだというふうには思っておりますけれども、京都府の組織の中でその担当としては持たせていただいているというふうに認識しているところでございます。
 以上でございます。

◯島田委員  では、その医師バンク担当の渡邊保健医療対策監もいらっしゃいますので、この際お聞きをしたいと思います。

◯渡邊健康福祉部保健医療対策監(健康・医療政策担当、医師バンク担当)  まず、医師というものは生涯学習が一番基本にありますので、一生勉強しなければならない、そういう高度専門職業人であります。そういう意味で、単に医師が足らないから数合わせでここに行っていただいたらいいと、そういうことでは決してその地域医療はうまく回ってまいりません。必ず御本人、若い医師は若い医師なりの将来像、それから中堅は中堅なりの将来像、そしてベテランの先生はベテランの先生なりの将来像等もそれぞれしっかり聞かせていただく中で、その先生の将来も見据えて、末永く京都府で京都府民のために働いていただけるような医師配置になるべく、その設置者、また病院長、先生方の御意向も踏まえながら、できるだけミスマッチしないようにやっていくというのが私の基本的な考えでございます。
 以上です。

◯島田委員  考え方というか、スタンスはわかりましたけれども、現実に医師を各地域できちんと派遣をというか、充足して地域医療提供体制を整えていくという点から、他府県の僻地医療の対策とか、いろいろと御存じだと思うんですけれども、京都府の課題は何がありますか。

◯渡邊健康福祉部保健医療対策監(健康・医療政策担当、医師バンク担当)  今までは、京都府立医科大学と京都大学、2大学に医学部がありますので、その大学の高度専門的な医療をベースに京都府全体を見て進んできたかと思うんですけれども、その中で地域のいろんなニーズが時代とともに変わってきておりますので、時代の変化に対しての医学会全体の変革と申しますか、それがまだまだ足らないというふうに考えております。
 そういう意味で、そのことにつきましては両大学医学部にもしっかりとお願いをしておりますし、何しろ目先のことで、例えば自治医科大学の先生方の義務年限9年ですとか地域枠の9年の中だけのことを考えていくと、結局長期的にはさらにまずい状況になりますので、その先も京都で働いてよかったと思っていただけるようにそれぞれの意見をきちんと聞かせていただく中で、今、委員から御指摘のありましたような総合診療的な分野にも人材を広げていく、そういうふうな方向で頑張っていっているつもりでございます。
 以上です。

◯島田委員  各府県の僻地医療の対策等、改善に向けて、また保健医療計画も改定をされて取り組みが行われておりますので、ぜひその点も御配慮いただきながら京都府の施策の推進に御尽力いただきますように要望をしておきます。美山診療所は緊急課題ですのでよろしくお願いいたします。
 終わります。