平成30年9月定例会 決算特別委員会 書面審査 政策企画部―2018年10月12日〜島田敬子府議の質疑応答部分

◯島田幹事  1点お願いいたします。文化庁移転に関連してです。
 文化庁移転促進事業、先ほどもございましたけれども、東京のイベント会社に仕事をしてもらって、機運醸成の取り組みなどをされたわけですが、大阪と東京ですか、知事や市長は挨拶されましたが、京都府民の目の前で展開もされておらず、またさまざまな取り組みをやっておられますが、京都新聞の8月8日付の報道等では、住民の期待や理解が広がっているとは言いがたいとの声も紹介されておりますが、率直なところはどうでしょうか。
 また、閣議決定のもと、国策としての政府機関の移転の問題でありますし、国において、あるいは京都府において意見を聞くとか、パブコメをするとか、そんな機会があったのかどうかも含めてお教えいただきたいと思います。

◯辻村文化庁移転準備室長  東京、大阪でのシンポジウムでございますけれども、東京、大阪で行ったのは、もともと平成28年3月に京都移転が決定いたしまして、その後、京都市、京都府、それぞれ京都府内で機運醸成の取り組みを進めてきたわけなんですけれども、平成29年度については商工会議所含めて三者で、日本全体のことでもありますし、大阪あるいは東京首都圏、そういったところの方々にも、しっかり文化庁が京都に来るということをPRといいますか、啓発をしていきたいという思いで、東京、大阪でやらせていただいた次第でありまして、本年度につきましては京都でまたシンポジウムを行っていきたいと考えているところでございます。

◯島田幹事  答弁漏れですが、率直に言って京都府民の期待や理解が広がっているとは言いがたいと、このような新聞報道があるが、府の感想はどうですか。

◯辻村文化庁移転準備室長  そういうシンポジウムだけじゃなくて、さまざまな京都府のイベント等でいろんな啓発の取り組みもしておりますし、少しずつではありますけれども、京都移転の事実なり意義について浸透してきていると考えておるところでございますし、今後とも機運醸成に向けて取り組みを進めてまいりたいと考えている次第でございます。

◯島田幹事  率直に言って、府民的な意識を聞くなり、国民の意見を聞くなり、そんなこともされておりませんし、府民的な議論ができているとは言いがたい現状であると思います。京都移転協議会等での議論があるものの、府民の負担がどれだけになるのか明確にしないまま、そして府民への説明、もちろん議会への説明もそうですが、理解を求めるための情報提供もほとんど行われず進めてきたのが現状ではないかと思います。
 平成28年1月に文化庁京都誘致協議会が政府に対して、移設土地は京都で提供、庁舎建設費用は地元が応分の負担をする用意がある、職員等の受け入れも協力すると、早々に要望して、3月にはまち・ひと・しごと創生本部が政府機関の移転基本方針を決定し、文化庁の移転費用の視点として、京都側が土地を提供し、庁舎建設費用も応分の負担をする意向が示されているので、国として行革の観点を踏まえつつ検討を進めるとされております。政府機関移転に上げられた他の消費者庁とか中小企業庁等の移転案件の視点に比べますと、突出して京都だけが早々に地元負担の用意があると明言をされていると、突出しているんですが、このあたりはどういう現状だったのでしょうか。

◯川口政策企画部長  文化庁の京都移転でございますけれども、委員から今、御指摘ありましたように、消費者庁とか統計局の移転はございますけれども、まさに霞ヶ関の本庁が移転するのは京都府への文化庁移転だけでございます。この文化庁の京都移転につきましては、京都府域の活性化とともに、オールジャパンの文化行政にとってよかったねと後世言ってもらわなければならないという中で、今回先ほどお話しありましたように、昨年はシンポジウム、東京と大阪でやりましたし、日本全国の皆さんに京都への文化庁の移転が、これは日本の文化行政全体にとっていいことであったね、こういう理解に立っていただくためにやっているものでありますし、京都府内へのPRにつきましては、京都市でありますとか、文化庁自身でありますとか、それから経済界でありますとか、いろんな言うたら主体がPRをやっておりますし、京都府でも精華大学の漫画を使いながらそういうPRもしているということでございます。
 政府機関の地方移転、これにつきましては委員御指摘のように国策ということでございますけれども、現実的に考えますと、京都府が土地を提供する、庁舎について応分の負担をする用意がある、これだけ地元として温かくお迎えをするという姿勢を示したからこそ、この文化庁の京都移転が何とか実現できる、こういうレールに乗っていったんではないのかなと思っておりますし、そういう中で応分の負担をする、京都府がこういう表明をした以上、文化庁が京都へ来ていただいて、新しい文化行政を京都から発信する、こういうことでもって京都府域もしっかりと活性化していく、こういうことでもって応分の負担のリターンが府内隅々まで行き渡るように、これから我々はしっかりと文化行政を進めていきたいと思っております。

◯島田幹事  移転費用をめぐって、2016年3月22日、京都への移転が決定された後の本府議会で、自民党の議員からも「建設費について応分の負担をするというのは誘致を有利に進めるための方策として心情的には理解できるが、論理的には破綻している。なぜ建設費を地元が負担しなければならないのか。経済界が負担の用意があるとの声もあるが、府民の税金を使うとなれば事情は違う」とまで発言をされておりました。続けて、「引っ越し費用や職員の宿舎費用を求めることを示唆した文科大臣の発言は全く論外だ」と、そして「地方財政法、財政健全化法の趣旨を踏まえれば費用負担はなじまない。慎重な姿勢で協議をせよ」という指摘がなされた。これが始まりでございました。しかし、私もこの発言を聞いていまして、そのとおりだと思ったわけですが、中央省庁の移転は国の責任でやるのが基本だと思うけれども、最初から知事は、応分の負担ということを口にし、そして「コストが明らかになれば府民にも理解が得られるように説明しながら負担のあり方を協議する」と答弁したけれども、実際は不透明なままに、前のめりで市長、知事がそろって誘致活動をやったということで、進め方として問題があると思うんですね。
 具体的に事業が進んでいるわけで、幾つか聞きたいんですが、文化庁の京都移転費用をめぐる負担割合の調整で、8月7日に知事と市長が文科大臣と面会し、全体費用を国と折半することで正式合意したと報道がありますが、当初山田知事は3分の1に抑える方針を示した経過もありますが、これとて承服できないわけですけれども、それ以上の負担を求められる結果になったことについてどのような経過があり、どのような認識なのか、お答えください。

◯川口政策企画部長  今回8月の第5回移転協議会におきまして、地元協力の内容につきましても大筋の合意が得られたと、あくまで府議会での御了承をいただくことを前提にということでございますけれども、国と京都側で対等の負担となるように、土地相当額の貸付料については無償にする、建物相当額の貸付料については国の6割負担とする、こういうことでございますけれども、以前京都府といたしまして、地方負担3分の1程度ということで、国の公共事業の直轄負担金でありますとか、そういったことを1つのメルクマールとしながらそういうことを申し上げておったんですけれども、国は国でこれまでの前例等を見ますと、半額は地元として負担をしてもらわなければなりませんねというところから、交渉を重ねていく中で、何とか土地代含めて、国と地方が対等の負担となるように建物相当額については4割減免という着地点になったということでございます。

◯島田幹事  京都にとっていろいろなメリットもあるかもしれませんが、基本、政府機関の移転ですので国の責任のもとでやられるべきで、今の説明では、なぜ対等というか、半々の分担になるのかわからないですよね。それで、議会の了承が得られることを前提にということでありますが、土地相当額は無償と、この土地相当額というのは幾らの評価か、あるいは建物相当額は4割を減額するとあるが、根拠は何なのか。新聞報道で、警察本部耐震化に20億円、3号館建てかえ新庁舎建設による文化庁利用部分の建設費は12億円、締めて32億円、これは京都府と市がまた負担、折半だと、これもどこでどう決まって、京都市民にすると、これは市民の税金、府民の税金、二重払いということになるわけですが、これとてどんな説明があって、どんな根拠でこの負担割合を決めたのかというのが皆目わからない。このあたりを明確に答弁いただきたい。
 それから、国の賃貸料約2億円を減額し、半額1億円を数十年かけて払ってもらうと、これは何十年計画で払ってもらえばペイするという計算になっているのか、あわせてお聞かせください。

◯川口政策企画部長  まず、今現在、概算で試算をしている賃料の関係でございますけれども、土地相当額を無償、それから建物相当額を4割減免ということによって、国の毎年お支払いいただくべき貸付料が約1億円、それから減免額が約1億円ということになってございまして、これによって建設費、先ほど委員がおっしゃいました警察本部の本館と増築部分含めまして約34億円、これにつきまして、起債の利子等含めまして約四十数年間でこの賃料によって建設イニシャルコストが回収できるということでございます。
 そういうことでございまして、応分の負担と京都府は表明しておりますけれども、基本的にはその応分の負担という点につきましては、使用料の減免という形で京都府、京都市が負担していくということでございますけれども、今申し上げましたように四十数年でその全額が回収できるというもくろみを持っているところでございます。
 以上です。

◯島田幹事  4割の減額の根拠などとか明確な御返答がなかった、それから京都市との折半の理由、根拠は何か。もう1回お答えください。

◯山内副知事  文化庁に関するお問い合わせでありますけれども、まさに明治維新の150年を迎えまして、国の機関が地方に本格的に移転をする、これは初めての事例でありまして、これを何とか国に飲んでいただく、理解をしていただく、そして一緒に新しい文化行政を地方と一緒につくり上げていく、これが最も基本的な一番の大きな目的でありまして、そして地域に文化行政の拠点を持ってくることによって、文化で地域の創生を図っていきましょう。ですから、内閣府が担当されたという形になってくるわけでありまして、その中で、国も相当の痛みを実は伴います。生活の拠点を250人余りの方が移していただかないといかん。その負担は向こうでやっていただくわけでありますので、そういった意味で、少なくとも基本的な施設の整備については、国と地方とで平等に分担をしましょうと、そしてその中で新しい文化行政の展開をやっていきましょうということで、文化行政の基本法の改正までやっていただいた。さらに、文科省の設置法案の改正までやっていただいて、そしてこれからの日本を担っていく新しい文化行政を国と地方が一体的になってつくっていくんだといった、そういったトータルの中で初期経費の分担については、これは財務省との調整もありましたけれども、同じ負担できちっとやっていきましょうといったところで決着がついたというのが基本だろうと思っておりまして、それを踏まえて、我々として新しい文化行政の展開によってこの京都にさらなる受益が返ってくるのではないかと、私どもはそう期待をしておりますので、これは別にうちのところだけはありませんけれども、ある意味で逼迫をしていた文化行政の新しい枠を取っ払って、大いに文化行政の枠を広げて、そして文化で地域が元気になる、経済も元気になる、そういった創生をぜひともやっていきたいということで御理解をいただきたいと思います。

◯北岡委員長  島田幹事、残り3分です。

◯島田幹事  東京にあろうが、京都にあろうが、そして文化は京都だけではなく、全国全体の文化、底上げしなきゃいけないので、いろいろと説明ありましたけれども、その中には期待もあるかもわからないですけれども、費用負担の問題は今の説明では説明になっていない。2月の予算特別委員会で我が党の山内議員の質問に、「移転規模はわからない」と、「これからだ」と部長が答弁されながら、その後の自民党の片山議員の質問に答える形で、山内副知事から、「当初予算規模も1割ふえた。人員定数も1割ふえた。警察本庁舎では広さは足りないという指摘を受けていて、3,000平米足りないから3号館建てかえと一緒に工夫できないか検討している」と、突然答弁をされました。そして、6月補正には建てかえの基本設計費ですか、予算が出てきたわけですが、そしてとにかく文科省からどういう要求が出てくるかということを踏まえて、柔軟に、強行に一定対応すると答えた。つまり、なし崩し的に事態が進んできたと見えるわけですね。一方、国は行革の視点で、なるべく政府のお金を減らさないように抑制的に進めるという大方針のもとに、京都にいろいろと言っていると。そして、京都府の責任で整備される庁舎は、内装は伝統産業のものを使っていいものに、独立性も持ってなどと要求しているわけですね。今後、一体何を要求するかと要注意だなと。
 来年度の予算の概算要求で、文化庁の京都移転の先行組織となる地域文化創生本部関連、前年度予算とほぼ同額の55億8,000万円ということで、65億円を要求したが、財務省査定で55億円になったとの報道でありまして、それはどうかと。今後、文化庁の移転で、たとえ京都に来た場合に、前向きに前進するというならば、予算も抜本的にふやすというめどがあるのかどうかという点では、めどがそんなに明るいものではないと思うんですね。教育委員会の建てかえ等で、京都府の教育委員会のスペースなりお尋ねしたかったわけですが、この本体の京都府の職員の職場環境なり、文化財を含めて行政が抜本的に改善されるようなこともちゃんと踏まえて、国にはしっかり予算要望も出していただきたいと指摘・要望して、終わります。