平成30年6月定例会 府民生活・厚生常任委員会2日目ー2018年7月11日〜「福島第一原発事故被災者への幅広い健診保障を求めることに関する請願」島田敬子府議・西脇郁子府議・成宮真理子府議、他会派府議の発言部分

付託請願

第474号請願「福島第一原発事故被災者への幅広い健診保障を求めることに関する請願」について審査が行われた。

◯成宮委員  本請願「福島第一原発事故被災者への幅広い健診保障を求めることに関する請願」についてでございます。
 この問題、被災者・避難者への健康診断の問題ですが、少し本議会での議論の経過説明をさせていただきたいと思います。
 6年前の9月議会本会議で、我が党の光永議員の質問に対しまして、当時の健康福祉部長が「原発事故による放射線被害の対策、健康問題は非常に重要」と述べられ、「本府では、健康への影響調査について対象地域を限定することなく確実に実施すること、特に子どもの健康に及ぼす影響は極めて大きいことから、必要な健康対策を全国知事会を通じて国に求めている」と答弁をされたところです。
 そして、今回も請願を出されております避難者健診実行委員会から昨年の9月議会の本委員会に陳情が寄せられました。
 私、質問をさせていただきましたけれども、そのときに理事者からは、府内の当時の避難者数は、福島県の避難指定地域とそうでない地域、他県も含めた自主避難者を合わせて67世帯147人と。そして、福島県からの避難者には福島県や県立医大の依頼により京都医療センター、京都府立医科大学で健診の対応をすることになっているが、受診者数など詳細を把握していないと。また、府立医大は事情で休止になっているという御答弁がございました。そして、やりとりの中で、避難者の健康不安や子どもの健診の重要性、さらに関東の自治体での民間健診への支援の動きがある中でいろいろと勉強させていただきたいという御答弁がございました。
 さらに、今回、避難者健診実行委員会が、議会への請願ということで、2,292人の皆さんの署名も合わせての議会請願をされております。
 請願の要旨にもありますように、その一番の趣旨というのは、昨年の福島県民健康調査の結果とともに京都での昨年12月の避難者集団健診の結果からも、原発事故の健康への影響について広く健診の保障が必要になっているということでございます。
 京都での昨年12月の避難者健診の結果をお聞きしましたところ、5歳1ヶ月から24歳11ヶ月までの49名の子どもさんたちが受診をされて、甲状腺エコー判定結果では、A1という結節や嚢胞の異常を認めなかったもの、A2という5mm以下の結節または20.1mm以上の嚢胞というのに対して今回B判定が新たに2名出たということで、これは数年ぶりのことだとお聞きをしました。このB判定になった2人の子どもさんはそれぞれ径が4mmか5mmということで比較的小さな結節なんですけれども、癌が見つかるのは嚢胞からじゃなくて結節からいうふうにお聞きをしておりまして、この2人の方は甲状腺の状態などから精密検査が必要という判断をされたということです。また、これまで数回受診をしている子どもたちの中には、A1からA2に、A2からBにとか、逆にA2からA1になど、判定が年によって変化をしている子どもさんもいらっしゃるということでございました。
 実行委員会の方は、健診の対象者というのは、福島県内だけではなくて、東北地方だとか東京、千葉など、いわゆるホットスポットと呼ばれる地域からの避難者が対象ということでやっておられるわけで、福島県外であってもこうした定期的な子どもたちの健診が重要になっているということを強調しておられたところでございます。
 あわせて、その重要な課題を京都で現状担っているのは、この避難者健診実行委員会、京都府保険医協会や京都民医連などの皆さんです。
 今紹介しました毎年12月の検査が昨年のもので6回目ということで、健診は本来自己負担が6,500円かかるんだけれども、避難者からは徴収せずに、募金や手弁当で実施をされているということです。これまで6回で数百万円の負担もかかっているということも少しお聞きをしたんですけれども、それでも子どもの健診優先で頑張って、発災当時、ゼロ歳からおおむね18歳までの子どもさんの健診をずっと継続してやっておられて、大人の避難者からも要望があるんだけれども、なかなかフォローできない現状だということでございます。
 この問題、根本の問題は、原発事故による健康不安、健康被害という課題でありますから、何よりも国と、それから東京電力が、福島県民健康調査の対象であるのかないのかにかかわらずに、やっぱり不安を持っておられる皆さんに健診を保障することだというふうに思いますし、それは当然のことであります。
 同時に、原発事故の影響を心配する皆さんに、その健診の中身、甲状腺エコー検査や血液検査、尿検査なんかも含めて行う責任は国と行政にあるわけで、請願も「国に対し、意見すること」ということを第1の項目に挙げておられる、ここが一番の趣旨になってくるというふうに思います。
 同時に、現状それが福島県民健康調査以外にないというもとでは結果的にも民間健診への助成などが必要になっているんではないか、こういう重要な問題提起であるというふうに私どもも認識をしておりまして、ぜひ皆さんに賛同いただいて、本委員会からも意見を上げていく必要があるのではないかなというふうに考えているところでございます。ぜひ御賛同をよろしくお願いいたします。
 以上です。

◯井上委員(自民党)  今の請願に対して、原発事故の被災者に対する支援は、県内避難所に限らず、必要であると思っております。しかしながら、ただいまの本請願は幾つかのわからない点があるわけです。
 まず、民間医療機関による健診活動をされているということでありますが、そもそも、原発事故を踏まえ、国と福島県が県民健康調査の仕組みを構築されてきたものと思っております。京都府においても3つの医療機関が指定されており、基本的にはこの枠組みで対応されていくのが筋ではないかと、こういうふうに思っております。
 そもそも健康管理のこの調査は福島復興再生特別措置法に基づいて基本方針を策定し、進められているもので、各自治体が任意に取り組んでおられるものであると、このように思っております。まずは、国や事業者、福島県が今後どのように進めていこうとされているのか、それらを踏まえて考える必要があると思います。
 ここで理事者にお聞きしたいのは、府としても何か独自に不安払拭の取り組みをされているのか、ちょっとお尋ねをしたいと思います。

◯松浦健康対策課長  今の京都府への避難者への支援ですけれども、毎年3月に開催されております避難者の交流相談会におきまして、京都府から保健師を大体2名から3名派遣いたしまして、健康相談の対応をさせていただいているところでございます。
 具体的な相談内容といたしましては、いわゆる生活習慣病の相談であったりとか、あるいは子どもの発達の関係、特に言葉が少し遅いんだけれどもといったような、そういった相談が寄せられていると承知をしております。
 以上でございます。

◯井上委員(自民党)  今お聞きしたように、府としてもそういった面で取り組んでおられるということで、あえてこの請願を今採択していく必要はないんじゃないかなと私は思っております。
 以上です。

◯堤委員(府民クラブ)  お疲れさまでございます。
 福島の事故は本当に痛ましいところで、子どもたちの健康被害があるということは大変に心配するところですけれども、先ほど紹介者のほうからもありましたが、やはりこれは一義的には国と県、事業者の取り組むべき課題かなと思うところです。
 それで、これまで福島県がこの問題に対して取り組んできたと思うんですけれども、その経過と、それからこれからどういう取り組みをなされようとしているのか、ちょっと教えていただけますでしょうか。

◯松浦健康対策課長  これまでの取り組みでございますが、事故発災後、国の交付金を活用いたしまして福島県において基金を造成し、県民の健康調査を実施されてきたところでございます。
 平成24年12月時点では県外の協力医療機関は71病院でしたけれども、現在、平成30年7月時点では114病院まで広がっているという状況にございます。
 今後の県の取り組みでございますが、子どもたちの健康を守る観点から、健診は継続をしていくと。そのあり方につきましては、「県民健康調査」検討委員会というものを設けられておりまして、その中において議論、検討をされるとお聞きしているところでございます
 以上でございます。

◯堤委員(府民クラブ)  もう既に福島県のほうでも取り組みが進んでいるということで了解をいたしました。
 また、京都府でも、原発災害の備えとして、ヨウ素剤の準備もしていると思います。甲状腺がんの発生は、放射性ヨウ素を子どもたちが取り込んで、それで発生するというメカニズムがあると聞いておりますけれども、放射性ヨウ素の半減期は極めて短いものであると聞いています。大体どのぐらいの期間かということは把握していらっしゃいますか。

◯松浦健康対策課長  申しわけございません。放射能によっても種類がいろいろございまして、早期に半減するものと長期になるものがあろうかと存じております。
 以上でございます。

◯堤委員(府民クラブ)  ありがとうございます。
 放射性ヨウ素は確かに種類がありますけれども、何でヨウ素剤を準備しているかというと、極めて半減期が短いこともあって、甲状腺はヨウ素で満たされているが、そのヨウ素剤を取り込むことによって放射性ヨウ素が体内に取り込まれることがないというメカニズムであるというふうに聞いております。
 それで、この請願の項目を見ていると、1番のほうで「将来」という文言もございますし、「原発事故の影響を心配される方々に対し」という文言もございます。余りにも無制限に健診を広めていくということを請願として挙げておりまして、これは原発事故の被災者への補償の範囲から逸脱するものであると私は考えておりますので、この請願に対しては反対をしようと思っております。
 以上です。

◯島田委員  お話がありましたように、基本的には国の責務であると思っております。現在行われている検査内容についても拡充して、公的責任でしっかりと、国の責任でちゃんとやれというのが趣旨であると思います。
 それで、原発問題は、徹頭徹尾、国民、他者に犠牲を押し続けております。平常運転時でも下請・孫請労働者が被曝を強いられたり、そして今回ひとたび事故が起これば多くの人たちが放射性物質の危険にさらされたということで、エネルギー政策が国策として推し進められている以上、原発事故における県民はもとより、被曝を心配する近隣住民、自治体住民、ホットスポットが確認できている地域の住民、また京都等へ避難をされている住民の健診、手厚い健診は国の責務だというふうに考えております。
 京都では、避難してこられた方から1年に1度は健診を受けたいという要望が寄せられて、そして民間医療機関等が有志の会をつくって、まさにボランティアで、あるいは募金を集めたりなどして集団健診を開催しておられるところでありまして、国の責任、国への要望も上げるとともに、まずは自治体から、避難者の受け入れ自治体として、健診受診を希望する人たちに対して、公的補助制度の創設等、責任を果たしていくことが重要かというふうに思っております。
 原発事故の内部被曝の問題は本当に無視はできませんで、今、半減期の短い問題だけおっしゃいましたけれども、例えば長崎・広島の原爆症問題、低線量被曝。もうずっと経過しているにもかかわらず新しい疾患が出ておりますし、甲状腺がん等だけではなく、これまでの原爆の経験から言いますと、全ての癌や心臓疾患、あるいは肝機能障害や甲状腺機能低下、糖尿病などについても因果関係が認められてきております。
 これらがそういう経過に至ったのは、当時、広島等の先生方、お医者さん方が健診、診療を続けられて、その蓄積した被爆者の診療カルテとか健診記録等が後に原爆症認定裁判とか核被害の実態を伝えるための大変重要な証拠となってまいりました。ですので、今回の福島原発事故の問題も、長期にわたる健康診断、その当事者への支援とともに、今後、未来社会に向かってもこの被曝の実相を明らかにしていくことが大変重要であると感じておりますので、自民党等の指摘は当たらないというふうに思います。
 京都府の取り組みは毎年3月に相談会を実施する等のみで、科学的な検査データの蓄積という観点でも不十分であると思っておりますので、ぜひ採択をお願いしたいと思います。

◯片山副委員長(自民党)  ちょっと整理をしたいと思うんですけれども、先ほど理事者から説明してもらったんですが、国のほうからは福島県に交付金を出して、それを基金化して、その基金から福島県民に対しての健診を行っていると。
 例えば、京都に避難されている方は福島県民ですよね。その方に対しての健診は、京都では指定をした3ヶ所の医療機関で受けられるようにはなっているんですか。そういう理解でいいんですかね。

◯松浦健康対策課長  副委員長御指摘のとおりの取り扱いとなっております。
 もう少し申し上げますと(片山副委員長「いや、できるかどうか」と言う)、はい、できるようになっております。

◯片山副委員長(自民党)  福島県から避難をされた方が京都府内の医療機関で全く健診を受けられないので、有志というか、篤志といいますか、そういう意味を含めて民間の病院がやっているからやってくれという請願なのかなと思っていたんですけれども、現実的に3ヶ所でできるんですよね。

◯松浦健康対策課長  福島県からの避難者、いわゆる県外避難者ですけれども、県外避難者につきましては、先ほど申し上げました114の医療機関であれば、そこへかかっていただきまして、甲状腺のエコー検査、これを受診いただけます。その際の費用負担につきましては、冒頭申し上げましたように、福島県のほうで措置がされるということになりますので、自己負担なしで健診を受けていただくことができます。
 以上でございます。

◯片山副委員長(自民党)  わかりました。この要旨を読んでいたら、そういうふうに受けとめたもので。避難されている方が京都では全くそういう健診を受けられるところがないので民間の病院がボランティアでやられているのかなと思っていたんですけれども、現実的には3ヶ所あるわけですね。まあ、それは広がっているということですね。今、71病院から114病院までに広がっているということで。だから、この要旨に書いてあるのと現実とがちょっと違うなと。それは理解できました。
 それとあと一点なんですけれども、先ほど成宮委員からありましたように、結節からがんになるということと、そして、この要旨の中に書いてありますように、「現時点で、福島第一原発事故との因果関係は解明されていない」と。それと、この1行目、2行目にありますように、福島県民健康調査の実施状況の結果によりますと、190名の方が小児甲状腺がん及び疑いのある子どもたち、そのうち153名が手術を終えられたと。これ、残り37名の方はどうされているのかというのと、私もちょっと本を読んだんですけれども、実際、甲状腺というのは、検査をすれば、がんが見つかると。だから、いっとき、韓国でしたかね、検査をしたらかなりの甲状腺がんが見つかったと。だから、その辺、甲状腺がんについては、ちょっと医学的な見地がわからないんですね。それと、ここに書いてあるように、原発事故との因果関係は解明をされていないと。ただ、こういうふうに健診をすれば、小児甲状腺がんの疑いがある子どものうち150名が乳頭がんの手術をされたと。これはどういういきさつがあったのか。現実的に、その甲状腺がんというのは検査をすれば誰でも見つかるみたいな話なのか。僕はそういう本を読んだことがあるんですけれどもね。だから、その辺が医学的な見地からはどうなのか。ちょっと説明願いたいなと思います。

◯渡邊健康福祉部保健医療対策監(健康・医療政策担当、医師バンク担当)  甲状腺がんにつきましては、一定のスクリーニング、がん検診をやりますと、将来的にその症状を発生して実質的になるがんだけではなくて、いわゆる「潜在がん」と言われております、ナチュラルヒストリー、自然史の中で、必ずしも急激に進行するとは限らない、さまざまながんが見つかるとも言われておりまして、がん検診としてのスクリーニングをどこまでやるのかということは医学的にはいろいろな疑義が発せられるところであります。
 そういう意味で、見つかったもの全てが因果関係として言えるのかどうかということも含めまして、それについてはまだなかなか難しい問題が多々あるというふうに認識しております。
 以上です。

◯片山副委員長(自民党)  私は、これを読ませていただいて、現実的に大変なことかなと。実際、大変いろんな不安を抱えながら避難されているのに、京都に来たらどこも受診できない、健診もできないのかと思っていましたが、現実的には3病院が対象で、そこで無料で健診を受けられるということで、請願に書いてある内容とかなり違いがあるんじゃないかなというふうに感じました。京都府内で全くそのような対応ができていなかったら、この請願というのは大変正しい請願であって、我々も賛成をしたけれども、今、説明を受けますと、現実にそういうような体制もでき上がっているし、今後も医療機関としてはふえていくという傾向にあります。そういう意味も含めたら、この請願はまだ時期が早いんじゃないかなというふうに思いますので、賛成はしかねます。
 以上です。

◯成宮委員  今の議論に対して、大きく3点、追加でお聞きをしながら述べたいというふうに思います。
 1つは福島県民健康調査の対象なのかどうかということと、2つ目にはその福島県民健康調査の現状が十分なのかどうかということと、それから3点目については先ほどありました因果関係についてどう見て、どういう姿勢をとっていくことが必要なのかということでございます。
 まず、1点目の福島県民健康調査の対象であるかどうかということですけれども、これで線が引けるのかどうかというのは、先ほど井上委員からも、また堤委員からもありましたが、福島県民かどうかにかかわらず、こうした調査は必要であるというふうに井上委員もおっしゃったと思うんですね。ホットスポットの問題もあります。千葉や周辺の関東の府県でも、発災の直後、水道水の汚染だとか子どもの尿からセシウムとか、母乳からも見つかったということがありました。子どもたちが遊ぶ砂場の砂が汚染をされているというようなこともありました。それが福島県の県境で線が引けるのかというと、そうではないと。汚染が広がった、だからこそ、福島県民はもちろんですけれども、その周辺の皆さんも含めて全国に避難をされ、そして子どもたちを初めとして健康不安を持っておられる現状があるわけですよね。
 ですから、今、国の基金で福島県民健康調査が始まっているということは論点としてあるんですけれども、それで十分だということは言えないと。だから、この避難者健診実行委員会も、「将来まで広く国民全体に」と堤委員はおっしゃいましたけれども、これはそういう趣旨ではなくて、件名を見ていただきましたら「福島第一原発事故被災者への幅広い健診保障」となっておりますから、福島県民かどうかで線を引かずに広く保障してくださいという趣旨になっているということがまず1点目でございます。
 それから2点目なんですけれども、現状の福島県民健康調査で十分じゃないかと、受けられているじゃないかということがありました。それでは追加でお聞きをしたいんですけれども、今、京都府域の医療施設の幾つで福島県や福島県立医大からの依頼の調査が行われていて、何人の方が受診をされ、どういう結果が出ているのかを教えてください。

◯松浦健康対策課長  1点目の福島県民だけでよいのかどうかという御質問ですけれども、済みませんが、そこは線引きの話もあろうかと思います。そこは我々で判断するべきものではないかなと思っております。
 2点目の、十分かどうか、どこでやっているかという話ですけれども、府内3医療機関で実施をさせていただいておりますが、府立医科大学、京都医療センター、洛和会音羽病院のこの3病院でやっております。
 ただ、京都府を経由して検査をするというものではございません。あくまで福島県のホームページを見る限りにおいては約100人程度検査をされているというのを承知しておりますが、それ以外のことは、申しわけございませんが、うちではわかりかねます。
 以上でございます。

◯成宮委員  ということですので、昨年の9月にお聞きしたときにも府立医大は事情で休止になっているということと詳細な人数については把握していないということで、引き続き本府としてもこれはつかんでいただく必要があると考えますけれども、詳細な中身だとか、その結果について、福島県民健康調査での京都への避難者への健診でどうなっているかということは現状十分だとは言えないということでございます。
 それから、3つ目の因果関係について、今お話がありましたけれども、この避難者健診実行委員会も現時点で因果関係は解明されていないというふうにされているんですね。因果関係があるともないとも、解明・確定はまだであるというふうにおっしゃっているんです。その段階で行政や国がどういう姿勢をとるのかということが問われているわけです。
 例えば、避難者健診実行委員会で2012年から健診を中心的にやっておられる小児科医の尾崎医師は、原発事故と健康の問題は今後も続いていく問題だと。同一方法で全国的な健康診断を実施し、記録を永年保管していくことが大切だというふうに指摘をしておられますし、また、先ほど島田委員からもありましたけれども、過去の原爆の被害や、また水俣病被害などを振り返っても、例えば尾藤廣喜弁護士なども、大規模な同一方法による健康診断の継続、手記などの行動記録を残すことによって、今の段階ではまだ疫学的なデータが不十分だと。だからこそ、国や行政、加害企業によって公的な調査を積み重ねていって、今現状ではあるともないとも言えないことについてこれから何十年もかけて解明していく必要がむしろ出ている。だから、現状で「ないじゃないですか」と言って健診をしないんじゃなくて、あるかないかわからないんだから、むしろしなくちゃいけない、しかも大規模にしなくちゃいけないという立場で国と行政がこの深刻な問題に当たるべきだと、こういうことを避難者健診実行委員会は指摘をしているということでございますので、これはやはり国に対して意見も上げていくし、また京都府としても、避難者健診実行委員会がこういう取り組みを積み重ねてこられた、その到達の上に出ている請願ですから、しっかりと受けとめる必要があるというふうに思うわけでございます。

 

●審査結果…挙手採決の結果、賛成少数により、不採択と決定した。

 



 

下記のとおり発言があった。

◯島田委員  意見書1件と決議案1件をお願いしたいと思います。
 1件の意見書は、旧優生保護法による不妊手術の被害者に対する救済を求める国への意見書でございます。
 1948年に施行された旧優生保護法は、精神障害者やハンセン病患者に対して、本人の同意なく強制的に不妊手術を行うことを認めました。厚生労働省の調査によりますと、この法律のもとで不妊手術を受けた障害者が25,000人、本人の同意なしに行われた人は16,475人であると報告されております。京都府の調査では、府内で手術を強制された人は89人、そのうち個人が特定されている人は13名、加えて本人同意の強制をされた疑いがある人は48人となっております。
 これらの問題は重大な人権侵害であり、国として被害者に対して謝罪をするとともに、不妊手術を受けた人たちの高齢化が進んでいることを鑑みまして、早急に補償、救済措置を講ずることが求められていると思います。あわせて、事実の全容を解明する実態調査、資料の保管状態を調査して、当事者の人権に配慮しつつ、収集・保全を図ることを国に求めたいと思いますので、御賛同いただき一緒に上げられたらいいかなと思います。
 もう1点、京都府に対する決議でございますが、重度障害児(者)の在宅生活支援事業及び民間社会福祉施設サービス向上補助金に関する決議でございます。
 もう、縷々議論をしてきましたので繰り返しませんが、新しい知事のもとでの6月補正で復活なり改善が図られるかなと待っておりましたが、それが見られませんでした。各事業所で予算・事業計画を策定されて執行段階に入るときになって突然廃止をされた、そのやり方も問題ですし、医療的なケアが必要な障害児(者)の生活の保障、さらには法人の安定的な運営に寄与した事業の廃止で重度障害児(者)に対する支援が後退をさせられかねないし、法人の財政状況をさらに困難にして、職員の処遇の維持、施設・事業所の改修はおろか、維持・存続も脅かすこととなっております。「現場の実態を調査する」と約束をされましたけれども、その実態に即した制度への改善、必要な財政措置等も求める内容で、決議をお願いしたいと思います。
 以上でございます。