平成30年2月定例会 エネルギー政策特別委員会―2018年5月16日〜島田敬子府議の質疑応答部分

所管事項の調査

下記のテーマについて、理事者及び参考人から説明を聴取した後、質疑及び意見交換が行われた。
 ・天然ガスをめぐる内外の動向とメタンハイドレートの開発に向けた取組等について

◯能勢委員長  まず、所管事項の調査についてでありますが、本日のテーマは、「天然ガスをめぐる内外の動向とメタンハイドレートの開発に向けた取組等について」であり、参考人として、京都大学大学院経済学研究科特任教授の内藤克彦様に御出席をいただいております。
 本日は、大変お忙しい中にもかかわらず、本委員会のために、快く参考人をお引き受けいただき、まことにありがとうございます。
 内藤様におかれましては、東京大学工学系研究科物理工学専門課程を修了後、環境庁に入庁され、地球環境局地球温暖化対策課調整官、水・大気環境局自動車環境対策課長、東京都港区副区長等を歴任され、平成26年からは、京都大学大学院経済研究科特任教授として、エネルギー経済学を専門に御活躍をされていると伺っております。
 本日は、そういった日ごろの御活動を踏まえたお話をお聞かせいただければと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
 それでは、初めに理事者からテーマに係る説明を聴取いたします。
 説明は簡潔明瞭にお願いいたします。

◯金谷環境部副部長  それでは、京都府の取り組みについて御説明いたします。
 お手元に配付しております1枚もの、「京都府におけるLNGインフラ整備とメタンハイドレート開発の促進に向けた取組について」をごらんください。
 大きくLNGとメタンハイドレートに分けて書いております。
 まず、LNGインフラの整備促進についてでございますが、1つ目の丸です。平成27年度から、この北近畿エネルギーセキュリティ・インフラ整備研究会というのを兵庫県と共同で立ち上げまして、本日の講師でいらっしゃいます内藤克彦先生に座長をお願いいたしまして研究を進めております。国土強靭化の視点から、エネルギーセキュリティの強化に向けて中間取りまとめを行いまして、広域ガスパイプラインの沿線の天然ガス需要調査ですとか、広域ガスパイプラインの敷設の概算費用積算などを行っております。
 また、2つ目の丸ですが、今年度は、新たに京都舞鶴港へのLNG基地の誘致に向けた調査を行っておりまして、舞鶴市の平地区を想定しまして、LNG基地やLNGの火力発電所のレイアウト案の作成ですとか、概算費用の積算等に取り組んでおります。
 3つ目の丸ですが、平成27年度からアラスカ州とのエネルギー資源に関する覚書を結んでおりまして、意見交換等を進めているところです。
 次に、表層型メタンハイドレートの開発促進についてでございます。
 1つ目の丸ですが、日本海側の12の府県で海洋エネルギー資源開発促進日本海連合を平成24年に設立いたしました。表層型メタンハイドレートの資源量の把握調査ですとか、回収技術開発等について、国への要望・提案活動を行いましたり、日本海海洋資源フォーラムなどを実施しております。これらの取り組みにつきましては、日本海沿岸地帯振興促進議員連盟日本海エネルギー部会と連携して行っておりまして、今後もそのように進めてまいりたいと思っております。
 2つ目の丸ですが、府民の方に知っていただこうということで、メタンハイドレートの燃焼実験やミニ講座を平成28年、29年と京都環境フェスティバルにおいて行っているところです。
 そのほか、これらのテーマをあわせて効果的に啓発していこうということで、平成28年、29年と舞鶴におきまして府民フォーラムを開催し、啓発を進めているところでございます。
 説明は以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

◯能勢委員長  では、次に参考人の御意見を拝聴いたしたいと思いますが、説明の準備が整うまでしばらくお待ちください。
 それでは、内藤様、よろしくお願いいたします。

◯内藤参考人  ただいま御紹介にあずかりました京都大学の内藤でございます。
 本日は、こういう説明の機会を設けていただきまして、大変ありがとうございます。
 それでは、時間も限られているようでございますので、早速始めさせていただきます。
 まず、天然ガスをめぐる内外の動向とメタンハイドレートの開発に向けた取り組み等についてということで、京都府さんから先ほど御説明がございましたとおり、メタンハイドレートの話、あるいはパイプラインの話、それから舞鶴のlNG基地の話、こういったいろいろなプロジェクトが動いているわけでございます。これらに関して世界の動きから簡単に御説明をいたしたいと思います。
 まず、天然ガスをめぐる国際情勢でございますが、地域別天然ガス需要見通し、そもそも今、世界的にエネルギー環境は激動しておりますので、天然ガスが今後どうなっていくのかということをまず頭に入れないと、正しい政策判断ができないのかなと、こう思います。
 ここに書いてございますとおり、約1年ちょい前にCOPで結ばれましたパリ協定というのがございます。ここで世界各国が温暖化対策に取り組むという方向が一応出されたわけですが、そういう情勢を受けまして、天然ガスのウエートというんですか、これが非常に世界的に重くなってくるという傾向がございます。したがって、天然ガスの需要は今後も伸び続けるということになろうかと思います。
 資料を見ていただきますと、例えば北米も伸びますし、特にアジアはかなり伸びる、中国も伸びる。中国は今まで石炭中心のエネルギー体系であったわけですが、パリ協定というようなことを前提に今すごく大胆なエネルギー転換に取り組み始めている、こういう状況でございます。
 これは、需要のほうの見通しでございますが、IEA(国際エネルギー機関)で取りまとめた2017年のレポートに書かれているものでございます。例えば、2040年にはどうなるかということですが、上のほうはいわゆる再生可能エネルギーですが、一番下の天然ガス、やはり基本的なベーシックなエネルギーとしてずっと2040年以降も生き残るであろうということが言われております。何が減っているかというと、石炭ですね。これは、後でまた資料の中に出てきますが、石炭需要が減少し、天然ガスに置きかわるというのが世界的な趨勢になっているわけでございます。
 それから、燃料種別の発電電力量見通し、発電所の燃料のエネルギー源としてどうなるかと、こういうことで、これもやはりIEA(国際エネルギー機関)の見通しですが、この持続可能な開発シナリオというのは、先ほどのパリ協定を達成するためのシナリオというのでIEAがまとめたものでございますが、これを見ていただきますと、やはり天然ガスというのは大体しばらくは増えて、最後は再生可能エネルギーに少し置きかわりますが、ベーシックなところを支えていく構造になっているということでございます。
 値段のほうでございます。そうはいっても天然ガスは高いんじゃないかというのが日本人一般の頭の中にあるわけですが、これも実は状況が変わっておりまして、ここに書いてあります米国のシェールガス、この米国のガス価格を見ていただきますと、2010年から2016年までで、すとんと落ちています。これはシェールガスが出てきたおかげで、天然ガス相場全体が暴落しているという状況があります。それが1つです。ですから、基本的に、天然ガスの値段は昔考えられていたほど、世界的には高くはないという状況に実はなっております。
 それともう1つ、これも後でもう1回出てきますけれども、下がっているのは実はスポット価格が下がっていると。アメリカの天然ガス価格の下落に対応して、世界の市場価格が下がっているわけですね。ただ、日本の場合は長期契約で結んでいる原油連動のLNGがありますので、そこまでは下がらないという状況があるわけでございます。
 発電所に使った場合はどうなるのかということなんですが、これも今、世界的にこの石炭火力のほうは、どんどん対策コストがかさむ傾向がこれから出てくるということを考えると、発電コストも平均的に見ても石炭火力よりもLNG火力のほうが安くなるという傾向があります。これは、我が国でというよりは、世界全体の傾向としてはそうなっています。
 もっと顕著なのは、アメリカの例ですが、アメリカの場合はシェールガスでガス価格が下がっています。アメリカのシェールガスの値段がどこで決まるかというと、アメリカ国内でも、国内の石炭とアメリカ国内のシェールガスで価格競争をやっています。発電したときに石炭よりも安くなるぎりぎりの値段で大体シェールガスの値段が決まっているというのがアメリカのガス価格の状況ですね。ですから、必ずアメリカでは石炭よりもシェールのほうが安くなると、発電した場合にですね、ということもあって、アメリカでは発電所はいわゆる再生可能エネルギー、風力とあとはガス火力に全部置きかわりつつあると。新しい大統領がパリ協定だったりというような話をしていますが、経済メカニズムにより、そこのところはどんどん動いているので、実態としてアメリカは温暖化対策は自動的にどんどん進むという状況になっているという話です。
 ガス供給のほうの話に移りますと、パイプラインの整備状況というのがございますが、これはヨーロッパの例です。基本的にネット状にパイプライン網ができておりまして、あらゆるところで使えるような状況になっていると。
 アメリカの場合も同様でして、パイプラインネットが全国を覆うような形になっております。例えばカリフォルニアの電力会社は何をやっているかというと、相対契約でコロラドの牧場のバイオガスを買って、カリフォルニアで燃やすということをやっているわけです。これはパイプでつながっているからそういうことができるわけですね。実際にこのコロラドのバイオガスの現物がこっちに来ているわけじゃなくて、ここでパイプラインにインプットして、ここからアウト、出すということで、事実上、紐付けされてゼロエミッション燃料を使うことができると、これはパイプラインでつながっているからこういうことができるというようなことをアメリカではやっています。
 中国の場合はどうかというと、中国ももう石炭が使えなくなりつつあるという情勢の中で、新疆ウイグルのほうからパイプを引いたり、L基地から内陸に持っていったりというようなパイプライン網をどんどんつくっている状況で、幹線はもうできているという状況ですね。
 韓国は、日本よりも進んでおりまして、国策で全国ネット網ができている状況です。1つ、韓国の例での注目点は、パイプラインでつながっているのでL基地の数が少ないんですね。数ヶ所のL基地で済ますことができているんですね。日本の場合はこれから御説明しますけれども、パイプでつながっていないので、数十ヶ所のL基地があり、いってみると無駄な投資というか、そういう状況になっているということでございます。
 天然ガス輸入量は、我が国の場合は8,300万㌧でかなりの量を毎年輸入しております。
 日本のパイプラインの状況はどうかというと、これは現在の状況でして、結果的にここに書いてありますけれども、日本のガス会社というのは、地域配ガス会社であるので、この幹線パイプラインをつくるという発想がそもそもないということで、実はL基地ごとに分断されているというのが日本の状況ですね。唯一新潟から仙台に東ガスのラインにつながって、これは20cmぐらいの細いパイプなんですが、これがなぜあるかというと、新潟はガス田があるからというので今でも細々と出ていますが、その新潟のガス田のガスを事業地に持ってくるという鉱山保安法のパイプという珍しいパイプがあって、唯一ここだけつながっていると。これはあとで出てきますが、これが横断していたために、東日本大震災のときは助かったというような話がございます。
 全体を整理しますと、先進国の中においては、パイプの総延長は結構、日本もありますが、それは東ガス管内や大ガス管内の、あるいは東北ガスのいわゆる配ガス網、ディストリビューションのパイプはあるので、総延長はあるんですが、実は都市間を結ぶ幹線パイプになりますと、一般の先進国に比べて1桁、2桁小さい水準ということになっています。これは先ほど言ったパイプライン網がないから、こういうことになります。
 その結果、1つのあらわれとしてガス価格が高どまりするというようなことがあるため、今、経済産業省でエネルギーシステム改革としてガスの自由化を進めています。2022年に導管事業が分離されたときにどうなるかというところはあるわけですが、今のところは全国ガス市場がなく、地域に分断されているので、それぞれ独自の価格圏を構成しているので安くならないと、競争原理が働かないと、こういうのが今の日本の状態です。
 こういった流通上の問題に起因して割高なガスとか、あと災害時に融通がきく、電力の場合ですと送電線が一応つながっていますので、その関電の大規模な発電所が倒れても、中部電力から支援を受けるということができますが、ガスの場合はつながっていないので、なかなかそういうことが現時点ではできないと。
 それから、これもこの後お話ししますが、メタンハイドレートがとれたとして、流通のさせようがないということですね。アメリカやヨーロッパのように、全国がパイプでつながっていると、天然ガスを全国に流通させることができるわけですが、天然ガスで出てきたものを1兆円かけて液化するような馬鹿な人はいないので、そうすると流通はどうするのかと、こういう問題が出てくることになります。
 それから、温暖化対策として手段が制約されていますと、これは例えば、日本海側とか日本の内陸部はパイプネットがないために、主として重油については、選択肢が非常に狭められているという問題があります。また、発電所ですと、L基地がある新潟を除くと大体石炭か原発しかつくれない。オイルは高いから回さないとして、選択肢が非常に制約されている。温暖化対策としてのガスが使えるようになると格段に違うということがあります。
 そうはいっても経済的には石炭のほうが安いという話になるんです。これは東京電力のOBがつくった資料でして、2016年の実勢発電単価を計算してみると、実は東電管内で石炭よりもガスのほうが安いという結果が出ました。これは先ほども申し上げたとおり、アメリカのシェールガスのせいでガス価格全体が落ちているからということになります。ですから、今までの頭と少しチェンジしないといけないという情勢になっています。
 メタンハイドレートでございますが、これは日本海側で出てきた表層型メタンハイドレートというのがこの京都府等で今注目されているところでございます。これがどうやって発見されたかというと、魚群探知機で海底から上る泡がピラミッド状にぶくぶくと出ているのが発見されたんですね。漁業の専門家の先生がこれを発見して何だろうと調べたらば、メタンの泡だったということで、調べてみると海底にドライアイス状のメタンが露出しているという状況になっています。太平洋側のメタンハイドレートは地層の中に埋もれているので泡になってぶくぶく出るようなことはないわけですが、日本海側のものは表面に出ていますので、採取もしやすいのではないかということが言われております。
 経産省の調査ですと、1,742ヶ所から既にこういうガスチムニーが発見されるという状況になっております。
 これを実用化すべく、経産省のほうでも開発計画を進めているわけです。一応この平成30年代後半に商業化に持っていきたいという計画にはなっているところでございます。
 どのくらいの資源量があるかということなんですが、これは先ほど1,700ヶ所のうちの1ヶ所について200mから250mの区画でどのくらい埋蔵されているかというのを調べたもので、5haについて調べると6億m3あるということがわかっています。これが1,000ヶ所以上あるわけですから、トータルの資源量としてはかなりのものがあるということになります。
 技術のほうも、回収技術の公募を行って、今6件の技術について経産省で調査をしている最中という状況でございます。
 メタンハイドレートがとれてもパイプラインがないと、近畿圏で使うことすらできないということになるわけですが、そこでこの京都府、兵庫県の共同で設けられました北近畿エネルギーセキュリティ・インフラ整備研究会というところで中間取りまとめとして提言などを行っているところでございます。
 1つは、やはり、国土強靭化に資するであろうということです。先ほどお話しいたしましたが、この東日本大震災のときに仙台市のガス局のガスが使えなくなったんです。これはL基地が津波で使えなくなったんですね。L基地が津波で壊れて使えなくなったと。そのときにこのパイプライン、細いパイプですが、一応新潟とつながっていたので、バックアップできたので復旧が早かったと、こういうことがあります。
 近畿圏の場合は、例えばこの京都、大阪、神戸あたりですと、瀬戸内側にこうやってLタンクが並んでいますけれども、仮にこれが南海トラフ地震で損傷をしたときにバックアップのしようがないということになりますね。そのときに日本海側にL基地をつくってパイプでつなげておくとバックアップ機能が果たせるであろうということで、この研究会では1つはこの国土強靭化のために必要ではないかという提言をしているわけでございます。
 例えば、ガス供給が1日途絶えると543億円ぐらいの損失になると、ガスがなかったらビジネスができないと、ほとんどの業務でそういうことになるということであると思います。
 ということで、提言としては、この日本海側にパイプを通して、なかんずくこの舞鶴に基地を設けて日本海側から太平洋側につなぐパイプラインを引いてバックアップ機能を持たせたらどうかと、こういう提案をしているわけでございます。
 とはいっても、国が動かないと、やはりネットワークにならないということで、国に戦略的整備の提案を、積極的に動いてほしいという要望をした上で国土強靭化のためのネットワークの強化をしてほしいと。それから、LNG基地をつくって受け入れ先の多様化をしてほしいと。メタンハイドレートの開発促進をしてほしいと。それから、地元としては地域産業の振興のためにも必要であると。例えば天然ガスがないと、タンクローリーで重油を運んで燃料供給しているという形態ですと、いわゆるコージェネのエネルギーセンターみたいな大規模なものがなかなかつくれないんですね。例えば東京でも太平洋側ですと、コージェネを使った熱電併給で大規模エネルギーセンターをつくって、それを例えば都市開発の中心に据えるというようなことが行われておりますが、そもそもそのエネルギーセンターでガスがないとつくれないと、ローリーが1日10回も来るようでは、とてもやってられないというような話があります。
 具体的に、例えば高速道路沿いにつくったらどうかというようなことを提案しているわけです。
 こういった京都府さんの働きを受けて、経産省でもガスシステム小委員会においていろいろ検討されまして、平成28年に今後の天然ガスパイプライン整備に関する指針(案)というものを出しております。
 この中で京都府、兵庫県で提案している舞鶴―三田ラインを含めた新潟―三田ラインというのを1つのケーススタディーの候補にしようということに経産省でもしていただいたということでございます。
 今後は、専門家会議を設置して、もうちょっと具体的な検討に入るということになっているわけでございます。
 一方で、高速道路を利用したらどうかという話がございましたので、この国交省のJICE(国土技術研究センター)、これは道路局の外郭団体ですね。ここで高速道路に天然ガスパイプラインを設置するとしたらどういうパターンがあり得るかということを検討しております。
 道路の専門家が一生懸命考えた結果、例えばこの盛土部であれば、のり面の裾野のこの下のところとか、側道の下あたり、この辺を使っていくのが一番道路にも影響がなくていいのではないかというような方針が一応JICEから出されております。
 コストはどのぐらいかかるかというこれもJICEで試算したものがございまして、260億円から400億円の間でできそうだということで、一般的に今、ガス業界等で言われている値段よりは、若干安めのコストでできそうだという試算になっております。
 これは具体的なそのルート図ということになります。
 京都府さんのほうでも、この需要調査、パイプを養うためにはどのくらいのガスが必要で、それだけの需要があるかということで、一応需要調査をやったところ、いわゆる熱としてのガス需要だけでパイプを養うための需要の半分ぐらいはあるのかなということで、これに発電用の需要を加えれば十分パイプを養っていけるのではないかというようなことになっております。
 最後に、天然ガス取引の話で、これは最近の情勢を受けて出てきた話ですが、先ほどアメリカのシェールガスが出てきて、それからパリ協定の後、世界的にガス利用が急速に拡大する傾向があります。そのときにどういう契約になるかというと、昔はLNGを使っていたのはほとんど日本ぐらいしかなかったので、長期契約で確保するということをやっていたわけですが、今いろいろな国がLNGを買うようになっていまして、スポット市場がどんどん広がっています。これは日本の需要は世界の需要でいうと40%ぐらいのシェアをまだ占めているので、日本がいるので世界のスポットシェアというのは今の3割ぐらいですが、日本を除外すると、もう半分ぐらいスポット市場で実は取引されていると、年々スポット市場が伸びている状況になっている。
 どこが違うかというと、やっぱり長期契約はオイルの値段に引っ張られるので、高値安定になってしまう傾向がありまして、スポットのほうが市場原理が働くのでやっぱり安いんですね。ですから、これはアメリカがもちろん市場原理が働いているので一番安いんですけれども、スポット市場になると、ヨーロッパ並みの値段で日本でもガスが入手できるのではないかということが言われております。
 アジアのエネルギー需要が非常に高まって、特に中国、インドのエネルギー需要が非常に伸びていますので、これもガスを中心に伸びる。これはパリ協定の影響で、脱炭素化の流れがあります。例えば石炭鉱山の出資会社が鉱山投資をやめるなんていうことも世界的に動き始めております。
 LNGハブ機能がもし我が国に来ると、まずガスの値段が下がると、アジアプレミアムがなくなると。市場価格に連動した価格での導入が可能になるということなんですが、LNGの専門家に言わせると、実はこの舞鶴が非常にハブをつくるのに向いていると、こういう話があります。今、アジアにはシンガポールにしかハブがないんですが、これからアジアのLNG取引が活発になると、グローバルにはもう少し東寄りのところにハブをつくるというニーズがあるんですね。どこがいいかというと、韓国が当然手を挙げていますが、日本ですと、実は日本海側がいいのではないかと。太平洋側は実は港湾自体がもうキャパシティーいっぱいというか、混んでいて収容能力がないので、例えば舞鶴だったら港湾キャパシティーが十分あるので、ここに持ってくれば大需要地とすぐ100kmのパイプでつなげられるのでいいのではないかという議論もあります。というのが現在までのところで、そういう意味でも舞鶴は今、注目されているというところでございます。
 私のほうからは以上でございます。

 

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◯島田委員  ありがとうございます。
 先ほど化石燃料については限界というか、埋蔵量が想定されているという話なんですが、このメタンハイドレート等も含めまして、これまで海洋エネルギー資源開発促進日本海連合等の取り組みの中で資源量把握の調査等も行われてきた結果についてどのような資源量があるのか、ちょっと教えていただけたら。

◯高屋エネルギー政策課長  日本海連合でも、特に表層型のメタンハイドレートについての資源量、埋蔵量の確認をするようにというふうなお願いを要望させていただいてまいりました。先ほどの内藤先生のほうのお話にもありましたように、まずは平成25年から27年の調査で1,742ヶ所、可能性がある箇所を確認した後、その次の次のページにあったんですけれども、1ヶ所だけ資源量の確認をされたところがございまして、そこが海鷹海というところで6億m3の量を確認されております。ただ、日本海側の表層型メタンハイドレートの全体の量の把握というのはまだ資源エネルギー庁の調査でも明らかにもなっておりませんし、日本海連合といたしましても、継続して埋蔵量の把握をしていただくようにお願いを要望させていただいているところでございます。
 以上でございます。

◯内藤参考人  課長の説明に若干定量的補足を加えると、私の資料のまずメタンハイドレートでチムニー構造が1,742ヶ所あるというのが、とりあえず今の時点の経産省の調査でわかっているわけですが、そのうちの1ヶ所で今、課長から御説明がありました海鷹マウンド構造というところで6億m3ですね。単純にこれが例えば6億m3の埋蔵量のものが1,000数百ヶ所あるということで掛け算をして比較すると、どこと比較すればいいかというと、7ページ目、日本で天然ガス輸入量は年約8,300万㌧と書いてありますが、この下のほうに注書きで8,300万㌧≒1,000億m3と書いてあります。これで計算すると大体何年分に相当するかというのが一応算出できる資料構成になっております。たしかさっき暗算でやったら、今見つかっているところでも10年はもつんじゃないかという計算になろうかと思いますが、ちょっと正確じゃないかもしれないので、それは御容赦をいただきたいと思います。間違っているかもしれません。

◯島田委員  先を見通して投資をしていくときに、やはり将来を見通したそういうものもないと、ハードだけ整備をしても、その先どうなるのかという見通しが、素人ですが、なかなかちょっとわかりにくいなと思っているんですけれども。
 それと、舞鶴港のLNG基地誘致に向けた調査の中でのレイアウトが既につくられて概算費用も積算されているということなんですが、この結果についてと、それから民間事業者からの意見聴取もされているということなので、どういう特徴があり、発言があり、また課題があるのか、この際お聞かせください。

◯高屋エネルギー政策課長  舞鶴港におけるLNG基地を整備するとすれば、どういうふうな形でできるのかというふうな調査を平地区を中心に私どものほうも今年度、概算の本当に絵姿というのをシミュレーションで出させていただきました。それによりますと、平のエリアでも18万kLのLNG基地と20万kLのLNG火力発電所を設置することは一定できるというふうな結果が出ております。
 なお、経費的にはおおむね基地、発電所で先生のほうの資料にもございました。大体650億円というふうな数字でLNGの基地の整備費用というのは数字として出ております。あわせまして、民間事業者さんの関係なんですけれども、実際にパイプラインを今まで整備されているような企業さんですとか、実際の需要家の方、それからいろいろ投資をされてきているような事業者さんなどと一緒になっていろいろお話をお伺いしたところでございます。やはり舞鶴におけるポテンシャルの高さというのは御理解いただいておりますけれども、具体の整備に当たって、今後いろいろ一緒になって勉強していかないといけない課題についても御指摘をいただいているところです。
 以上です。

◯島田委員  その課題についてもう少し具体的に、それから参加の民間事業者というのは具体的にはどういうところと検討、勉強会をされているんですか。

◯高屋エネルギー政策課長  今御説明申し上げましたけれども、企業さんの種類といたしましては、実際にパイプの整備をされておられる会社ですとか、また発電事業に取り組もうとされている会社等なんですけれども、そういったところからの御意見をいただいております。
 課題といたしましても、やはりLNGの船を着けるためには一定の深さが必要であるというふうなこともございますので、今後、舞鶴港の港湾整備などもあわせて実施していかないと、実際のLNGの基地整備にはインフラ整備が必要だというふうなお話などもいただいているところです。
 以上です。

◯島田委員  差し支えなければ、企業名なども、御無理ですか。

◯高屋エネルギー政策課長  申しわけございません。いろいろ勉強会的な形での進め方なんですが、民間企業さんのほうのいろいろな事情もございますので、こちらのほうでは種類だけにとどめさせていただければと思っております。
 以上でございます。

◯島田委員  では、公開ではないということですか。

◯高屋エネルギー政策課長  公開の会合という形では開催はさせていただきませんでしたので、まず御意見をお伺いするというふうな機会として御理解いただければと思います。
 以上です。

◯島田委員  先ほどの650億円等々の積算された現段階での計画等、ちょっと資料をいただけたらうれしいです。

◯高屋エネルギー政策課長  そちらにつきましては、エネルギーセキュリティ・インフラ整備研究会は、公開の会合の中で開かせていただいておりますので、公開した資料としてございます。また、資料の取り扱いについては正副委員長と御相談の上で対応させていただくということでよろしゅうございますでしょうか。よろしくお願いいたします。